广告广告
  

  薄暗い廃墟の一室。

  壁に差し込む街灯の光が、バドレの牙をかすかに照らしていた。

  その前に立つのは、数多の暴力を拒み続けてきた「平和の指導者」。

  人々からは希望の象徴と呼ばれる存在だった。

  指導者は静かに問いかける。

  「なぜ君は、この道を選んだ? 本当は……違ったのではないか?」

  バドレは沈黙し、やがて乾いた笑いを漏らした。

  「違う? ああ……違ったさ。 オレは――昔、読んだ本みたいに、弱い者を助ける英雄になりたかった。 群れを守り、誰かを救って、『ありがとう』って言われる側に……な。」

  その瞳は一瞬だけ、黒目を宿した少年の面影を取り戻す。だが次の瞬間、彼は顔を歪め、両の手を見つめた。血にまみれ、震えるその手を。

  「けど……気づけば人を殺しすぎた。 虐げられてきたオレが、今度は虐げる側に回っていた。 正義のふりをした、ただの怪物だ。」

  彼は声を押し殺し、最後に吐き捨てるように呟いた。

  「……もう戻れない所まで来てしまった。」

  「バドレ……いや、loco。君はまだ――」

  平和を掲げる指導者は、一歩前に出て言葉を紡いだ。

  「君がどれほどの罪を背負っていようと、変われる。 英雄とは、決して過去が汚れていない者を指すのではない。 今ここから――」

  その言葉を遮るように、バドレの喉から乾いた咳が漏れた。最初はかすかに、だがすぐに激しく咳き込み、口元を押さえた手が赤く染まる。

  「……っ、けほっ……ごほっ……!」

  鮮血が床に飛び散る。

  指導者は息を呑み、低く呟いた。

  「それは……」

  理解した。――彼がもう長くないことを。病に蝕まれた身体。短命を運命づけられた

  「ハーフ」としての宿命。

  だがバドレは、その視線を拒むように肩をすくめ、口元を拭った。そして、どこか諦めた笑みを浮かべた。

  「……喋りすぎた。」

  短く言い残すと、踵を返す。その背中は、弱さを隠すように大きく見せつけながらも、影は深く揺れていた。

  夜の路地にその姿が溶けていき、指導者は呼び止めることもできず、ただ沈黙の中で拳を握りしめた。

  ──そして数日後。

  ざわめく広場。

  数千の群衆を前に、

  平和の指導者が演壇に立った瞬間。

  「どいてくれ!」と、

  怒号とともに、人波を割って一つの影が乱入してくる。

  牙を隠そうともせず、肩を揺らしながら歩むその姿。群衆がざわつく。

  「locoだ!」

  「怪物が来たぞ!」

  護衛たちが銃を抜きかけたその時、指導者は片手を上げて制した。彼は悟っていた――数日前、血を吐いた彼の姿を。その命がもう長くないことを。

  「……来い。」

  静かな声でそう言うと、壇上への階段を示した。

  驚く群衆の前で、loco――バドレは壇上に立つ。血の気の失せた顔、震える足。だが、その声だけは確かだった。

  「オレが……全部だ。この混乱も、流れた血も、憎しみも。ハーフのせいじゃない。

  オレだけだ……オレだけの所為だ。」

  一瞬、広場が静まり返る。彼は苦しげに咳き込み、赤い雫をマイクに散らしながらも、最後の力を振り絞った。

  ざわめく大集会の壇上。locoいや、バドレは、血に濡れた喉で声を振り絞った。

  「オレが……全部やった……!悪役は……一疋でいい……」

  群衆が息を呑む。彼はよろめきながらも、最後の言葉を紡ごうとした。

  「でも……母がくれた名前は…バドレ。オレは……オレは……!」

  声が途切れる。胸を押さえた瞬間、血が喉を裂き、彼の身体は力なく壇上に崩れ落ちた。

  静寂。指導者が駆け寄り、バドレの身体を抱き上げる。その瞳はまだ温もりを宿しているようで、だがもう何も告げはしなかった。

  群衆の視線が壇上に集まる。今なら真実を語れる。

  「彼もまた弱者だった」

  「本当は英雄を夢見ていた」と。

  だが指導者は――そっと目を閉じ、彼の未完の言葉を胸に封じ込めた。

  やがて、ゆっくりと顔を上げる。広場に響いた声は、彼自身の信念を呑み込みながらも、はっきりとしたものだった。

  「この暴虐を指揮したのは……locoだ。 彼ただ一疋の、狂気と傲慢の果てだった。」

  群衆からどよめきと安堵の吐息が広がる。悪役は一疋。不安定(ハーフ)全体ではなく――“loco”だけ。

  指導者は腕の中の亡骸にだけ、小さく囁いた。

  「……バドレ。最後まで、自分を悪役にしてみせたな。」

  そして、壇上に立つその姿は、群衆にとって

  「locoを討った平和の象徴」として記憶されたのであった。

广告广告