募る想いは毒のように

  ポケ獣人達が暮らす世界。

  ポケ獣人達はわざを使っても人を傷つけるような威力は出せないが、淫のエナジーに目覚めて人々の生活を脅かすヴィランが存在していた。

  彼らのわざの威力は、一般人とは比べ物にならない程強力で、その力を使い、人々からエナジーを奪っていた。

  しかし、そんなヴィランに立ち向かうヒーロー達もまた存在していたのである。

  彼らは体の中にエナジーコアが形成されており、そのおかげでヴィランに対抗できるだけの威力のわざを扱うことができた。

  そうした正義の心を持ったヒーロー達の組織がヒーローフォースなのである。

  とある大都会の深夜の港倉庫街。

  人気のない倉庫の一つで密かな取引が行われていた。

  15人のデルビルを率いるヘルガーとウツボットだ。

  ウツボットがアタッシュケースの中身を開き、何らかの粉末が小分けにパックされたものをヘルガーに見せる。

  ヘルガーはパック越しに鼻をスンと鳴らして中身を確認する。

  「へっ、相変わらずいい仕事するじゃねぇの。

  今後もよろしく頼むぜ。」

  「上手くサバけよ。

  お前らが捕まって俺まで巻き込まれるのはゴメンだからな。」

  「任せとけ任せとけ!

  おい!例のブツ出せ!」

  ヘルガーが指示すると一人のデルビルがアタッシュケースを持ってきて中身を見せる。

  そこにはぎっしりと札束が詰められていた。

  「じゃあ取引成立っと。

  アッシはとっととズラかるぜ。」

  「おう、また頼むぜ。」

  そう言ってウツボットが足早に倉庫から出ようとすると、出入口から複数の人影が入ってくる。

  「全員動くな!

  ヒーローフォースだ!!!」

  先頭に立つヒーローネーム:LG247と呼ばれるルギアが倉庫内にいるヴィラン達に警告する。

  「くっ!ねむりごな!!!」

  「やっちまえ!」

  「「「ひのこ!!!」」」

  ヴィラン達の対応は早く、ウツボットやデルビル達が目くらましを兼ねた攻撃を行う。

  マトモに喰らえばヒーローと言えどもダメージは免れないがルギアが一瞬目を閉じ、瞳に力を込めながら開くと全ての攻撃がその場で停止する。

  ルギアのサイコキネシスだ。

  「「「えっ!?」」」

  その場にいたヴィラン達が戸惑っている隙にルギアの影から何者かが水流をまといながらデルビルの一人に突っ込む。

  その動きにヘルガーが気づく前に更に3人デルビルを倒したのはヒーローネーム:DK503と呼ばれるダイケンキだった。

  取引相手のウツボットも既に他のヒーローに拘束されたのを見てヘルガーは部下すらも見捨てて窓を割って逃げ出した。

  「へっ、へへっ!

  大損害だがまだこれさえありゃどうとでもなる!」

  ヘルガーは積み上げられたコンテナの間を逃げながら胸元にあるものを確認する。

  それはアタッシュケースから抜き出したいくつかの粉末のパックだった。

  あれだけの混乱なら一人いなくなったことに気づかれるまでもう少しかかるだろうと思っていたヘルガーの足元に草の輪っかが生える。

  「なっ!?おべえええぇぇぇ!!!」

  足をとられて派手に転ぶヘルガー。

  擦りむいた痛みにのたうち回っていると人影が近づいてくる。

  それは先程のダイケンキだった。

  痛みを堪えながら立ち上がるとヘルガーは大きく口を開ける。

  「バークアウトオオオォォォ!!!」

  取引を邪魔された恨みや転ばされた屈辱が込められた恨みの波動が響き渡る。

  ダイケンキはヒーロースーツから露出している盾で防ぐが、衝撃を受けたコンテナが崩れ始める。

  「ハッハァ!潰れちまえ!!!」

  ダイケンキの動きを止めつつ障害物を用意することを考えて放った技が上手く決まりヘルガーは勝ちを確信する。

  しかし、ダイケンキはその鋭い眼差しでヘルガーを捉え続ける。

  「なっ!?」

  ダイケンキが崩れ落ちるコンテナを足場にして飛んだり、邪魔なコンテナを大太刀で弾きながらヘルガーに迫ってくる。

  そして大太刀を大きく振りかぶるとヘルガーの頭を側面で殴りつけ、ヘルガーは気絶した。

  倉庫に突入した部隊の隊長であるルギアが逮捕したヴィランの移送や荒れた現場の復旧作業の指示を出しているとヘルガーを抱えたダイケンキが戻ってくる。

  「隊長、ヘルガーを確保しました。」

  「流石DK503だ!

  ご苦労!」

  「はっ!」

  「ではそいつは他のヴィラン達の所に連れて行ってくれ。

  所轄の警察が到着したら後は任せよう。」

  「了解!」

  隊長の指示に従い、ヘルガーを連行するダイケンキ。

  その尻尾が僅かに揺れていたことに、誰も気が付かなかった。

  現場の後始末を警察に引き継いだダイケンキが支部に戻ると執務室へと向かう。

  先程の件の報告書を作成する為だ。

  ダイケンキが執務室までの廊下を歩いていると声をかけてくるポケモンがいた。

  それは大陸支部にいるはずのヒーローネーム:LZ003と呼ばれるリザードンだった。

  「よぅ、お疲れDK503。」

  「何故お前がここにいる?」

  「なんだよ、せっかく同期が声をかけてやったのにツレないねぇ。」

  「そんな暇があるなら見回りでもしたらどうだ?」

  「相変わらずだなぁお前も。

  今日もあの人の前でカッコつけたんだろ?」

  リザードンのその言葉に無表情だったダイケンキが頬を赤らめた。

  「だ、だれがチームとかは関係ない!

  自分はただ任務をこなすだけだ!」

  「へーいへい。

  まぁ俺も仕事あるからそろそろ戻るけどよ、今度一杯やりに行こうぜ。」

  「まぁ、付き合ってやらんこともない。」

  「そー言えるようになっただけ昔よりマシになったよな。」

  「うるさい。」

  「じゃあ、またなー。」

  手をヒラヒラと振りながら去っていくリザードン。

  軽そうな態度を取っていたが同期でありながら無愛想なダイケンキに何かと構ってくる彼なりの気遣いにフッと微笑むとダイケンキは報告書の作成に取り掛かった。

  報告書を作り終わったダイケンキはルギアがいる隊長室に向かう。

  在室中であることを確認すると部屋のドアをノックする。

  「入ってくれ。」

  「失礼します。」

  ダイケンキが隊長室に入るとヒーロースーツから隊服に着替えたルギアが机で作業を行っていた。

  「今日の件の報告書を作成しましたのでご確認の程、よろしくお願いいたします。」

  「わかった、預かろう。

  DK503、今日も素晴らしい働きだった。」

  ルギアの労いの言葉にダイケンキの尻尾が微かに揺れる。

  「いえ、自分は任務を遂行したまでです。」

  「君の作戦遂行能力を私は高く評価している。

  戦闘能力だけで言えば既に君は私と同格だと考えている。」

  「いえ!自分が隊長と同じだなんてそんな…!

  自分はまだまだ未熟者です…。」

  「それでは困るな。

  君もいつかは自分の部隊を率いることになるんだ。

  隊長が未熟なままでは部下に不安を与え、市民に不安を与える。

  ま、私が言えた口ではないのだがな!

  私は君に助けられてばかりだ!」

  「じ、自分も隊長と一緒で、その、光栄です…。」

  「はっはっは!ありがとう!

  今日この後時間はあるか?

  たまには一杯どうだ?」

  「えっ?いや、はい!問題ありませんっ!」

  「よし、ならすぐに雑務を片付けるから執務室で待っててくれ。」

  「了解!」

  隊長室を出たダイケンキは大きく息を吐く。

  ブンブンとちぎれんばかりに動き出しそうな尻尾を抑えるのに必死だったのだ。

  そう、ダイケンキの胸の奥に秘めた想いは、ルギアへのものだった。

  息を整えながらロッカールームで私服に着替え、執務室に戻るダイケンキ。

  ミジュマルの頃から憧れていたヒーローLG247。

  市民の為に戦う彼の背中を見て、いつか彼に追いつきたい、いつか彼の隣に立ちたい、そんな想いで自分を鍛え続けてきた。

  自分にはLG247みたいな強力な超能力はない。

  それでも自分なりの戦い方を模索し続け遂に彼に認められつつあるのだ。

  本当は涙が出る程嬉しかったのだ。

  明日からより一層鍛錬に励もうと心に決めていると声をかけられる。

  「待たせたな、行こうか。」

  「はいっ!」

  夜の街を歩く二人。

  普段見られないルギアのジャケット姿についチラチラと目を向けてしまうダイケンキ。

  まともに顔を見れずに視線を落としてしまい、金と銀に輝くタイピンばかりを見てしまう。

  すると、あまりの緊張にルギアが何かを言っているのを聞き逃してしまった。

  「あっ!申し訳ありません!

  今何とおっしゃいましたか?」

  「あぁ、私の行きつけの店で大丈夫かな?」

  「はいっ!光栄です!」

  「おいおい、今はプライベートなんだ。

  もう少し砕けてもいいんだよ。」

  「了解!

  あっ、いえ、わかりました!」

  「ふふっ、じゃあ行こうか。」

  穏やかに笑うルギアの笑顔に目が奪われる。

  ヒーローフォースに入隊するまで彼がこんな穏やかな顔で笑うのを知らなかった。

  もっと彼と一緒にいたい。

  もっと彼のことが知りたい。

  それは紛れもない本心であったが、こんな気持ちを抱え続けてもよいのだろうかと自問自答するダイケンキ。

  こればかりは考えても答えは出なかった。

  とあるポケモンがテレビをつけるとニュース番組が流れていた。

  「本日、またもやDK503が大活躍!

  危険薬物を流通させていたウツボットやヘルガー一味を検挙しました!

  素早い動きとまさに水のように鋭いキレのある攻撃が特徴のヒーローで以前から活躍を耳にしていた方も多いと思います!

  ゆくゆくはLG247に並ぶ海洋支部の隊長となる予定であり、更なる研鑽を積んで海洋地区の安全に務めていくとのことでした!

  続きましてお天気のコーナーです!」

  ヒーローフォース会見室からの報道が行われたようでテレビの中では現隊長であるルギアに肩を掴まれ無表情のダイケンキが映されていたが、テレビを見ていたポケモンはとあることに気づく。

  「へぇ〜面白そうな奴み〜っけ。」

  そう言うとパソコンを広げ何かを調べ始めるのだった。

  次の日、隊長室に呼ばれたダイケンキが中に入るとそこにはルギアだけではなく海洋支部支部長のヒーローネーム:KI382と呼ばれるカイオーガもそこにいた。

  一体何事かと思うダイケンキにカイオーガが告げる。

  「君の日頃の活躍を評価し、長らく空席であった海洋部隊の副隊長を任せたい。受けてくれるかね?」

  「自分が、でありますか?」

  「君なら実力は申し分ないとLG247から報告は受けている。後は君次第だ。」

  ダイケンキが驚いてルギアを見ると微笑みながら頷く。

  憧れのルギアがここまで自分を認めてくれたのだ。

  その期待に応えなければヒーローになった意味はない。

  「謹んでお受けいたします。」

  カイオーガから人事に話を通すので、正式な辞令は後日ということでその日は解散となった。

  その日の夜、リザードンにダイケンキから連絡があった。

  普段は業務端末による業務連絡ばかりで個人端末で連絡してきたダイケンキに驚くリザードン。

  「おぅ、どうした?

  珍しいなお前から連絡してくるなんて。」

  「その、相談がある。」

  「そ、相談!?

  お前が?俺に?」

  「茶化すようなら切るが?」

  「いやいや!そんなんじゃねぇよ!

  いや、ホントに珍しいと思ってよ!

  それでどうしたよ?」

  「その、だな…。

  とある人に日頃の感謝を伝えたいのだがどうすればいいのかわからん。

  お前ならどうするんだ?」

  「あぁ、ルギア隊長ね。」

  「ち、ちがっ!そんなんじゃ!」

  「あのな、本当に相談する気あるなら肝心なとこ隠してちゃ意味無いのよ。

  どうせバレてんだから素直になりゃいーの。」

  「すまん…。」

  「別にいいけどよ。

  ただそーゆーのって日頃の会話とかからヒント得るもんだぜ?

  本当に何も思い浮かばねーの?

  こう趣味とか好きなものとかさ。」

  「お酒は嗜まれるようだ。

  後は…。」

  「どうせお前のことだから普段から仕事の話ばっかなんだろ?

  あれだよ、街中でヴィラン探す時みたいにその人の服装や言動に注意してみりゃ意外と見つかるもんだぜ?

  俺も何かわかったら教えてやるけど自分でもなんかヒント探してみるんだな。」

  「わかった。恩に着る。」

  「いーさ。俺とお前の仲だろ?」

  「あぁ。」

  リザードンのアドバイスを受け、ルギアへのプレゼントのヒントを得ようとするダイケンキだったが上手くいかなかった。

  今までルギアと雑談しようだなんて思わなかったから仕事以外の事で声をかけようとすると緊張してしまって声が出なかったし、仕事の話の流れからリザードンのようなノリで雑談を仕掛けようとしても結局仕事の話に戻ってしまう。

  ならばとルギアの普段の服装や言動からヒントを得ようとしても大抵隊長服かヒーロースーツだし、たまに目が合ってしまい「何か用か?」等と聞かれると「いえ、何でもありません!」と引っ込んでしまう始末で日にちだけが過ぎていった。

  更に数日後、その日のダイケンキは非番だった。

  翌日に辞令が下るが、ルギアへのプレゼントが決まらず、とりあえず街に繰り出したのだった。

  ギフトショップや百貨店を見て歩くが果たして自分のセンスでルギアが喜ぶような物が選べるのか自信が持てずウロウロするばかり。

  リザードンも特に情報を得られなかったようで「もう酒にしたら?」等と言われたが折角なら形に残るものにしたい。

  フラフラと街を歩いていると路地裏から誰かが言い争う声が聞こえた。

  状況を確認する為に忍び足で近づくと既に起こっていた争いに誰かが介入しているようだった。

  「だからぁ!お前は関係ねぇだろうがよ!

  引っ込めおっさん!」

  「君達が彼に何をするかわからない以上退く訳にはいかない!

  君達こそ彼に絡むのを止めなさい!」

  ダイケンキが物陰から窺うと柄の悪いブラッキーと紫の肌をしたルギアが言い争っていた。

  ルギアの後ろにはエイパムが隠れていた。

  状況を察したダイケンキは現場に乗り込んだ。

  「私はヒーローフォースのものだ。

  一体何があったか説明してもらえますか?」

  あえて距離がある内からヒーローフォースであることを名乗るとブラッキーがやべっという顔をしながら逃げていく。

  反対にそれまで毅然とした態度でブラッキーに立ちはだかっていた紫のルギアがホッとした顔をする。

  「ヒーローフォースの方ですか助かりました。

  この子がさっきのブラッキーに絡まれていたもので。」

  ブラッキーがいなくなり、ルギアの後ろからエイパムが姿を現す。

  「すみません、街を歩いてたら彼にぶつかってしまってここに連れ込まれて困っていたんです。

  そしたらこの方が間に入ってくれて。」

  「そうだったんですか。

  大丈夫かい?何かされてない?」

  「はい、その前に助けてもらったので。」

  「いやいや、私も割って入ったものの頭が真っ白になってしまって…。」

  「まぁ被害は無いみたいですから大事にはしませんが気をつけて出歩いてくださいね。それと今後は警察を呼んでください。それでは。」

  「はい!二人ともありがとうございました!」

  エイパムはそう言って頭を下げると路地裏から出ていく。

  ダイケンキも立ち去ろうとしたが、声をかけられる。

  「あの、もし良ければお礼にコーヒーでも如何ですか?」

  「いや、そんな大したことは。」

  「でしたら普段街を守ってくれてるヒーローさんにささやかなお礼を。」

  そう言ってニコニコ笑う紫のルギアにダイケンキはふとLG247の姿を重ね合わせてしまう。

  「では、いただきます。」

  そして二人は近くの広場にあるカフェテリアに入る。

  普段こういった店には縁のないダイケンキだったが、コーヒーの香りが立ち込める落ち着いた空間に心地良さを覚える。

  店員からメニューを渡されるが、職場のコーヒーメーカーくらいでしかコーヒーを飲んだことがないダイケンキは何を頼んだらいいのかわからずとりあえず聞いた事のある銘柄を頼んだ。

  テーブルの向かい側で紫のルギアが再びダイケンキに笑いかける。

  「いやぁ、付き合ってもらってなんですが逆にご迷惑でしたかね?」

  「いえ、今日は自分も非番でしたから。」

  「それは良かった。

  この辺を歩いていたということは何かお買い物で?」

  「えぇ、知り合いに贈り物をと思いまして。」

  「そうですか。

  それは素敵ですねぇ。

  何か良い物は見つかりましたか?」

  「いえ、それが全く。

  生憎自分にはどうもそういったセンスが欠けているようでして…。」

  「大事なのは気持ちだと私は思いますよ。

  貴方がそこまで一生懸命相手のことを想っているんです。

  きっと何を贈っても喜んでくださると思いますよ。」

  「それは、それで選びがいがないような?」

  「おや、そうですね。

  これは失礼しました。」

  二人で顔を見合わせると自然と笑みが零れる。

  普段なら他人とここまで談笑することなんてないが同じルギアであるせいかなんとなく話しやすい気がした。

  「何かその人で印象に残ってることはないですか?

  それは貴方がその人を意識している部分です。」

  「そう、ですね…。」

  うーんと頭を悩ませるダイケンキ。

  思い浮かぶのルギアの真剣な顔、ヴィランに向ける怒りの顔、不意に見せる微笑む笑顔。

  顔が赤くなるのを感じ、お冷を飲んで考え直すダイケンキ。

  ふと、思い当たるものがあった。

  「タイピン…?」

  「タイピンですか?

  それならプレゼントに丁度いいと思いますよ。」

  「そう、ですね。

  うん、いいですね。

  ありがとうございます。」

  「いえいえ、最初に助けてもらったのは私ですから。」

  そしてコーヒーを飲み終えたダイケンキは紫のルギアと別れ、教えてもらったオススメの百貨店に向かったのだった。

  翌日、副隊長の辞令を受けたダイケンキは執務室のデスクから隊長室に新たに設けられた新しい自分のデスクに私物を運んでいた。

  今まで隊長室にはルギアが一人だけだったのでてっきりダイケンキにも新しい部屋が与えられるのかと思ったがそんなことは無かった。

  これはダイケンキにとって嬉しい誤算であった。

  一通り荷物を運び終えるとルギアが声をかけてくる。

  「明日からよろしくな!

  副隊長!」

  「えぇ、よろしくお願いします。」

  紫のルギアと話したせいか、前よりも自然にルギアに話すことができるようになったのもダイケンキにとって喜ばしいことだった。

  しかし、流石にプレゼントを渡すとなると緊張で喉が乾く。

  なるべく自然体を意識してルギアに話しける。

  「あの、隊長。」

  「ん?どうした?」

  「お渡ししたいものがあります。

  こちらをどうぞ。」

  「ん?開けても構わないか?」

  「どうぞ。」

  丁寧に包み紙を剥がすルギア。

  小箱が手のひらに転がり落ち、ゆっくりと開けるとそこには青を基調とした色鮮やかなシェルデザインにワンポイントでラッコのプレートが付いたタイピンが入っていた。

  ルギアは黙ってタイピンを見つめる。

  一方、ダイケンキは本当にこれで良かったのかと気が気でなかった。

  ルギアの反応がないのも不安を更に助長する。

  無言の時間が暫し流れ、ルギアがダイケンキに問いかける。

  「これは?」

  「あの、その、隊長にはいつも大変お世話になっておりますので日頃の感謝と申しますか、その…。

  いえ!この程度で表せる程ではないと言いますかえぇと…!」

  ダイケンキが言葉に困っているとルギアは丁寧にタイピンを小箱に戻すと机から立ち上がってダイケンキを抱きしめる。

  「えっ!そのっ!何かお気に召さなければっ!」

  「違う、ありがとう…!

  大切にさせてもらう。」

  「は、はい…。」

  思わず抱きしめ返そうとするダイケンキだったが、失礼ではないだろうか?そもそも自分が抱きしめていいのだろうか?と悩んでいる間にルギアがダイケンキから離れる。

  自分の机に戻ると引き出しから何かを取り出す。

  「その、私も君の昇進祝いを用意していたのだが君のと比べると随分見劣りしてしまうな…はは…。」

  ルギアの照れ顔を初めて見たダイケンキは驚くが、ルギアから白い羽根のバッジを受け取る。

  まるでルギアのように色がそっくりだったがまさかなと思い直す。

  「ありがとうございます。

  私も大切にさせていただきます。」

  「男にバッジというのもどうかと思ったんだがこれは試作段階の特別製でね。」

  「特別製?」

  「まぁお守りのようなものと考えてくれ。」

  「そうですね、まるで隊長の羽根のようですしね。」

  「 まぁ似てる、かもな。」

  僅かに間が空いたような気がするがダイケンキは気にせずルギアからの初めてのプレゼントを鎧の隙間に仕込むのだった。

  それからの日々はまるで夢のようだった。

  今までは同じチームであったものの隊長室と執務室で別れていたが、今では出動中も執務中もいつも一緒。

  タイムスケジュールもほぼ一緒になったから一緒にトレーニングすることも増えたのである。

  少しずつ仕事以外の話題もできるようになり、ルギアとの仲が深まっているのを感じるが、打ち明けられない想いも大きくなっていった。

  その日も業務を終え、自宅までトレーニングを兼ねて軽く走りながら帰っていると、ゴミが散乱しているゴミ捨て場を片付けている見覚えのある影を見つけた。

  それはいつぞやの紫のルギアだった。

  「こんばんは。

  お疲れ様です。」

  「ん?あぁ!あの時の!

  その節はお世話になりました。」

  紫のルギアはダイケンキに気づくと微笑みながらペコリと頭を下げる。

  「いえ、自分こそコーヒーご馳走様でした。

  これは?」

  「いえね、私も通りがかったらゴミが散らかっていたものですからこうして片付けていたんです。」

  「自分も手伝います。」

  「いえいえ、私が勝手にやっていることですから。

  ヒーローの方にそんな真似させられません。」

  「では自分も勝手にやらせていただきますね。」

  「おや、一本取られましたね。

  ではあちらの方を頼めますか。」

  「えぇ。」

  こうしてダイケンキと紫のルギアはゴミ捨て場の掃除をした。

  幸い、紫のルギアがほとんど終わらせていたのでそう時間はかからなかった。

  掃除が終わり、近くのベンチでひと休みしている紫のルギアに近くの自販機で買った缶コーヒーを手渡すダイケンキ。

  「ありがとうございます。」

  「自販機の缶コーヒーで恐縮ですか。」

  「いえいえ、缶コーヒーには缶コーヒーの味わいがありますよ。」

  ベンチで二人並んで座るダイケンキと紫のルギア。

  一息つくと、ダイケンキが紫のルギアにお礼を言う。

  「先日はありがとうございました。

  おかげで良い贈り物ができました。」

  「それは良かった。

  あんなに悩んでいたのですから余程大切なお方なのでしょうね。」

  「いえ、そんな、大切とかそういうのではっ!」

  思わず飲みかけのコーヒーを吹き出すダイケンキ。

  自分のハンカチを取り出そうとするとスっとハンカチを差し出す紫のルギア。

  人様のハンカチを汚す訳にはいかないと自分のがありますのでと断るとハンカチを取り出し口を拭く。

  「なんか余計なこと言ってしまったようですね。」

  「いえ、本当に気にしないでください。

  大切…。うん、そうですね。大切な人です。」

  「私が口を出せるようなことではなさそうですが何か複雑な事情がありそうですね。」

  「そんなことはありません。

  自分が勝手にあの人を慕っている一人相撲なだけなんです。

  そのくせ告白する勇気もない臆病者なんです。」

  「ふむ、いっそ伝えてみればどうです?」

  あまりにもサラっとダイケンキにとってとんでもない紫のルギアの発言に再びむせるダイケンキ。

  「と、とんでもない!

  打ち明けたところで迷惑になるだけです!」

  「私も当事者ではないから好き勝手言えますからねぇ。

  でもタイピンを喜んでくれたのでしょう?」

  「えぇ、まぁ。」

  「では今の関係に影響のない範囲で距離を縮めて本当に脈がないのか確認してみては如何です?

  例えば相手が貴方のプライベートに興味があるかとかどういうタイプが好きかとか。」

  「な、なるほど。

  善処します。」

  「ふふ、上手くいくといいですね。

  では、私はそろそろ失礼させていただきます。

  頑張ってくださいね。」

  紫のルギアはそういうと、空き缶をゴミ箱に捨ててダイケンキに頭を下げると何処かに行こうとする。

  その姿を眺めていたダイケンキだったが、紫のルギアを呼び止める。

  「あの!よければ連絡先を交換しませんか!?」

  その夜、ベッドに入りながら自分の個人端末を見るダイケンキ。

  ルギアとリザードンしか登録していなかった電話帳に三人目の連絡先が登録されていた。

  こうも自分の胸の内を晒してしまうのはやはりあの人と同じルギアだからなのだろうか。

  今日貰ったアドバイスを明日から早速実践してみようと決意して目を閉じるダイケンキなのであった。

  次の日のヒーローフォース隊長室。

  その日のまとめを行い、夜勤への引き継ぎ準備をルギアと二人で行っているタイミングでダイケンキはしかけた。

  「今日も一日お疲れ様でした。」

  「あぁ、君もお疲れ様。」

  「ところで他愛のない話ではあるのですが本日のパトロール中に子供達が隊長の話をしているのを耳にしまして。

  子供達の間でも隊長はやはり憧れの対象であるようです。」

  「本当か?

  はは、それで新しいヒーローが増えてくれるならありがたいがな。」

  「隊長はこう、憧れと言いますか参考にしているヒーローはいらっしゃるのですか?」

  「そうだなぁ…。

  強いて言えば部長にはお世話になったから彼のやり方に似ている部分はあるかもしれないなぁ。」

  「部長、ですか。

  プライベートでもお付き合いが?」

  「今じゃたまに呑みに行く程度だよ。

  部長は今それどころじゃないし。」

  「何か抱えている案件が?」

  「あぁ、いや、あくまでプライベートの話さ。

  それも上手くいってるんだか…。

  私が言えることではないがな。」

  「!?」

  「それって隊長もプライベートで何かお悩みがあるんですか?」と聞いてしまいそうになるのを咄嗟に言葉を呑み込むダイケンキ。

  流石にこの質問は踏み込み過ぎだろうと何とか話題を逸らす。

  「そうなんですね。

  そういえば隊長はお酒を嗜まれるようですがご家族と飲まれることもあるんですか?」

  「家族?

  いいや、私は独り身だ。

  おかげで仕事が遅くなっても文句を言われることも無いのだがな。」

  そうやって自虐的に笑うルギアが独り身だと言うことに安堵しつつ、少しだけ踏み込んでみることにした。

  「その、失礼かと存じますが隊長程の方なら良いお話もあったのでは?」

  「そりゃあ自慢じゃないが話自体はあった。うん。

  私にはもったいないくらいの話もね。

  だが私はヒーローだ。

  いつどうなるかわからない身だし、家族に寂しい思いはさせたくないんだ。」

  今度は寂しげに笑うルギアにダイケンキは胸を締め付けられるような感覚に襲われ、思わず口にした。

  「それなら隊長を一人にさせないくらい強くなれれば隊長と家族になれますか?」

  「はい?」

  キョトンとするルギアにダイケンキは自分が何を言ってしまったのか反芻する。

  下手したら告白とも取られかね無い自分の発言を慌てて訂正するダイケンキ。

  「い!いや!今のはそういう意味ではなくて!

  その!それくらい芯の通った方なら隊長と釣り合うのではないかということで!

  あの!ほんと!変な解釈をしないでいただければ!」

  慌てふためくダイケンキの様子に口を押さえて体を震わせるルギア。

  それでも押さえた口から笑いが漏れている。

  「っふ!ふふっ!ふははははは!!!

  わーっはっはっはっは!!!

  あ、ありがとう!ふふっ!

  じゃあ君が強くなったら、ふふっ、お願いしようかな?くくっ。」

  「ですからそういうことではなく!

  その、失言でした…。勘弁してください…。」

  思わぬ失言であったが、さっきまでの寂しげな表情ではなくなったので良かったのだと無理矢理納得したダイケンキなのであった。

  そしてダイケンキに新たな目標が生まれた。

  もっと強くなってルギアの隣に寄り添える存在になると。

  決意を新たに日々の業務とトレーニングに精を出していたダイケンキだったがとある出動要請がかかった。

  最近市場に出回っている『ドリーム淫』というドラッグの販売会が極秘に開かれるとのことだった。

  これは接種すると自分の思い通りの淫夢を見られるとの事であり、薬品に含まれた微量の淫エナジーが依存率を高め、ゆるやかにヴィラン化を促し、最終的にヤク漬けのヴィランが誕生してしまう厄介な代物だった。

  モニターに映し出された取引現場である廃ホテルの図面を眺めながら作戦会議をする海洋支部のヒーロー達。

  彼らの目には今回の作戦を必ず成功させるという強い正義の炎が燃え上がっていた。

  作戦当日。

  作戦の最終確認が行われ、ルギア隊長が檄を飛ばす。

  「今回の最大目的はヤクの売人の確保だ!

  今まで他の地区でも尻尾を掴むことが出来なかった組織を尻尾を我々の手で掴むぞ!

  君達ならできると私は確信している!いくぞ!」

  「「「変身!!!」」」

  ルギアの合図で一斉に変身するヒーロー達。

  それぞれが着ていた隊員服が光の粒子となって弾けて全裸になるも、腰のベルトから光が広がり各々の特性に調整されたスーツへと換装され、胸にはヒーローの証であるヒーローコアが露出する。

  光が収まった頃には頼もしいヒーローの面々が揃っていた。

  とある廃ホテル。

  ホテルの屋上で周囲を警戒しているゴルバットの姿があった。

  彼はヴィランではないものの、生まれ持った特技を見込まれていわゆる闇バイトを行っていた。

  そのバイト内容は同じように雇われた仲間と強力しながらこの廃ホテルに近づく者がいないか警戒すること。

  万が一警察やヒーローが現れて捕まったとしても中で何をしているのかは知らないから都合がいい。

  今まで何度か参加したが誰も近づいてきたことがなく、適当にスマホを眺めて定期連絡するだけで高額収入を得ることができていた。

  この日も他の階で見張りをしているヨルノズクやリングマ、雇い主と定期連絡しながら通販サイトで次に何を買おうか検索していた。

  「てーきれんらーく、こちら屋上異常なーし。」

  「廊下も異常なし。」

  「ロビー異常ねぇ。」

  「オッケー。

  なら引き続き頼むよー。」

  定期連絡を終え、スマホ画面に戻るゴルバット。

  聴力に優れた彼の耳がヒュッと何かの音を捉えた時、既に彼の意識は頭を何かに撃ち抜かれ刈り取られていた。

  廃ホテルから数百m離れたビルから無線で連絡しているインテレオンがいた。

  「こちらIL818、屋上ターゲットを無力化。」

  「GK658、廊下の見張りを確保にござる。」

  「SW134、ロビーのクマちゃんはおネンネだよ。」

  狙撃と隠密に優れたヒーローにより見張りを無力化した海洋部隊は廃ホテルに突入する。

  屋上とロビーの両方から突入して挟み撃ちにし、目標を確実に捕らえる計画だ。

  屋上は隊長のLG247が、ロビーは副隊長のDK503が率いることになった。

  ダイケンキが手近な部屋に突入すると、そこには一般人と思われるポケモン達が薬の接種をしていて、突入してきたダイケンキを虚ろな目で見つめる。

  薬独特の甘い香りとポケモン達のフェロモンや精液の臭いが充満していて一瞬顔をしかめるが、ベッドに横たわってロクに反撃もしてこない人達をくさむすびで拘束するダイケンキ。

  手分けしてテキパキと薬の服用者達を拘束していくダイケンキだが、ヴィランの姿がないことに懸念を抱いていた。

  (どの部屋も服用者ばかり、薬の売人はどこに?)

  そんなことを考えていると上の階が部下の叫びが聞こえた。

  ダイケンキが急いで上の階に向かうとそこには服用者達とは明らかに纏う空気が違うゴーリキーが先行していたSW134を足元に転がしていた。

  「ぼ、僕の隠密は完璧だったはずなのに…。」

  「あぁ?まぁ姿は見えなかったけどオレちゃんなんとなーくわかっちゃったんだよねー。

  ま、残念でしたってことで。」

  そうシャワーズにおどけるゴーリキーの手からはバチバチと電撃があがっていた。

  恐らく襲いかかったシャワーズをかみなりパンチでノックアウトしたのだろう。

  シャワーズの悲鳴を聞きつけたのか階下からゴルダックとフローゼルがやってきた。

  「GD055!FZ419!いくぞ!」

  「「はい!」」

  ダイケンキ、ゴルダック、フローゼルにはとある共通点があった。

  それが細かい指示が無くても意思疎通できる強みだった。

  三人の足元を水が覆いダイケンキは正面から、他の二人は壁を走り左右からゴーリキーに高速で襲いかかる。

  「「「アクアジェット!!!」」」

  海洋部隊が誇る機動力トップヒーロー達を前にしてもゴーリキーの余裕の表情が崩れることはなく、寧ろよりニンマリと笑っていた。

  ゴーリキーが床を踏み鳴らし叫ぶ。

  「フンッ!ファストガード!」

  踏み鳴らしたことで生まれた衝撃波がホテルの壁に床に広がっていくとダイケンキ達の足元を覆っていた水が消え、三人は勢い余ってバランスを崩す。

  ダイケンキは何とかジャンプし、空中で宙返りして何とか着地するが、ゴルダックとフローゼルの二人は中途半端な姿勢でゴーリキーに突っ込んでしまう。

  「お前達!!!」

  ダイケンキが叫んだ時には遅かった。

  「はーい、かみなりパーンチ!」

  再びかみなりを纏った両腕がゴルダックとフローゼルの顔面を捉え、吹き飛ばす。

  ダイケンキの方に吹き飛ばされた二人をダイケンキは抱き止める。

  顔面に弱点タイプのパンチがクリーンヒットし、二人は気絶してしまっている。

  「ヒーローが来たからやっばーいと思ったけどこの程度なら見張りなんて雇わなくて良かったなー。よっわーい。」

  明らかに挑発しているゴーリキーの態度に歯を食い縛るダイケンキ。

  気絶した二人を床に降ろすと大太刀を取り出しゴーリキーに向かって構える。

  するとダイケンキ達とは逆の階段からルギアが降りてきた。

  ルギアは一瞬で状況を察するとサイコキネシスでゴーリキーを拘束しようとする。

  「へいへいへーい隊長さん!

  そんなことしていいのかなー?」

  自分にかけられようとしているサイコパワーの圧に気づいたのかゴーリキーは懐から取り出した何かをダイケンキに向かって投げる。

  ルギアはすかさずサイコキネシスで止めようとするがなげつけられた物体はあくのオーラに包まれてルギアのサイコパワーを受け付けない。

  ダイケンキは投げられた物を叩き切ろうと大太刀を振り下ろす。

  ゴーリキーがなげつけた物の正体に気づいたルギアは「やめろ!」と叫ぶがダイケンキの大太刀はもう止められない。

  ルギアは近くの部屋のドアをもぎ取るとわざを繰り出す。

  「トリック!」

  その瞬間、ダイケンキの目の前にドアが現れ、廃ホテルの廊下が大量の電気で溢れた。

  ダイケンキ達の方にも電気が走るが、ドアが盾代わりとなって電気を受け止める。

  「ぐあああぁぁぁ!!!」

  「隊長!!!」

  急に現れたドアがバランスを崩して倒れるとそこにはこちらに向かって走ってくるゴーリキーと倒れるルギアの姿があった。思わず大太刀を捨ててルギアに駆け寄りそうになるダイケンキに向けてルギアが叫ぶ。

  「確保!」

  その言葉にハッとしたダイケンキはゴーリキーに向かって必殺剣を繰り出そうとする。

  しかし、ゴーリキーはそんなダイケンキにベロベロバーと舌を振る。

  「残念でしたー!

  今日はここまでだぜー!」

  そう言って手元に隠し持っていたボタンを押すゴーリキー。

  すると、ゴーリキーの姿がパッと消えてしまった。

  ゴーリキーの気配が完全に無くなってしまったことに呆気に取られつつもルギアに駆け寄るダイケンキ。

  「隊長!隊長大丈夫ですか!?

  しっかりしてください!!!」

  ルギアの足元に散らばっている破片を見てダイケンキは察する。

  ゴーリキーがなげつけたのはでんきだまであり、あのままではダイケンキだけではなく気絶していた他の三人まで巻き込まれることを察してルギアがトリックでホテルのドアと入れ替え、部下を守ったのだ。

  その代償にルギアは炸裂した大量の電気により麻痺を起こしている。

  ルギアがそこまでしてくれたのにみすみすゴーリキーを逃がしてしまった自分に腹が立つ。

  しかし今はそれどころではないとバックパックからラムのみエキスを取り出しルギアに投与しながら部下に指示を出すダイケンキなのであった。

  ルギア含めた怪我人は病院に送られ、同行した隊員から全員無事であると聞いて少しだけ安心したダイケンキだったが、事後処理をある程度終わらせて、一人夜道を歩いていると、ずっと抑えていた自分に対する怒りが込み上げて来る。

  部下を守れなかった自分。

  部下の仇も取れなかった自分。

  未だにあの人に守られてしまった自分。

  そしてあの人を守れなかった自分。

  先程までは何とか心を殺して淡々と事務を行っていたが、それも終わった今、感情が抑えられなくなる。

  「自分は!自分は…!

  守れなかった!!!」

  誰もいない路地にダイケンキの慟哭が響く。

  ダン!ダン!と地面を殴りつけるダイケンキの拳が徐々に地面の舗装にヒビを入れていく。

  もちろん中身の状態でそんな真似をしているダイケンキの拳もタダでは済まなかったがダイケンキは感情のままに地面を殴り続けていた。

  そんなダイケンキの腕に飛び掛かって止めようとする人がいた。

  「何をしてるんですか!?」

  我に返ったダイケンキが顔を上げるとそこには紫のルギアがダイケンキの腕に抱きついていた。

  「なん…で…?」

  「家に帰ろうとしたら変な音がするから覗いてみたら貴方が!

  こんな事になるまで何やってるんですか!?

  とにかくこちらへ!」

  そう言っていつぞやのベンチにダイケンキを座らせる紫のルギア。

  バッグからペットボトルの水とキズぐすりを取り出すと血だらけのダイケンキの拳を洗い流してキズぐすりを噴霧する。

  顔をしかめるダイケンキに紫のルギアが言う。

  「何があったか知りませんけど自業自得です!

  貴方の手はこんな事に使うものじゃないでしょう?

  人を守る手のはずだ。」

  紫のルギアの言葉にダイケンキは自嘲的に笑う。

  「じゃあ誰も守れないこんな手はいらないですね…。」

  「何があったんです?

  私で良ければ聞きます。」

  今さら外見を取り繕う事もバカバカしくなったダイケンキはヤケクソ気味に今日あったことを紫のルギアに打ち明けた。

  そんなダイケンキの話を最後まで聞いていた紫のルギアだったが一通り話を聞き終わると鋭く言い放つ。

  「一番隊長さんの気持ちを踏みにじってるのは貴方なのではないですか?」

  紫のルギアのその言葉は今のヤケクソになっているダイケンキでも許さないものだった。

  「踏みにじってる?踏みにじってる!?

  この私が!?」

  初めて紫のルギアに怒りを覚え今にも掴みかからん眼差しで睨みつけるダイケンキ。

  そんなダイケンキに怯むことなく紫のルギアは言葉を続ける。

  「だってそうでしょう?

  隊長さんに守られ、後を託された貴方にできることを考えてみなさい。

  後先考えずに八つ当たりしている場合じゃないでしょう?

  そりゃそうしたくもなる気持ちはわかります。

  でも貴方まで怪我をしたら貴方を守った隊長さんの気持ちはどうなるんですか?」

  その言葉にダイケンキの頭に渦巻いていた熱がサーッと引いていく。

  本当に自分は何をしていたのだろう。

  「すみ、ません…。」

  呆然とし、何とか怒りを向けてしまった謝罪をするダイケンキ。

  そんなダイケンキを紫のルギアが抱きしめ、ポンポンと背中を叩く。

  「大丈夫。

  貴方は強いポケモンです。

  その悲しみも悔しさも力に変えられる人です。

  大丈夫ですよ。」

  再び感情が抑えられなくなったダイケンキは紫のルギアの胸の中ですすり泣く。

  そんなダイケンキを紫のルギアはいつまでも優しく抱きしめているのであった。

  「あの、ほんと、ありがとうございました…。

  なんかもう色々と無様な様を晒してしまって…。」

  「いえいえ、落ち着きましたか?」

  「えぇ、それはもう…。」

  一通り泣いてスッキリしたダイケンキに今度は恥ずかしさに襲われていた。

  隣に座る紫のルギアを顔をまともに見ることが出来ないダイケンキとニコニコ穏やかな笑顔の紫のルギアが対称的だった。

  あぁ、そういえば…と紫のルギアが話題転換する。

  「隊長さん私と同じルギアだったんですね。」

  「そうですね、あまり言いふらさないでいただけると助かります。」

  「もちろんです。

  もしお見舞いに行かれるのでしたらズアのみなんか持って行くと喜ばれると思いますよ。」

  「ズアのみ?」

  「えぇ、我々ルギアはサイコパワーが溜まり過ぎると軽い目眩、酷いと頭痛に襲われるのですがズアのみを食べるとスッキリするんですよ。

  隊長さんも入院中ということであれば何かと不自由な思いをしてらっしゃると思いますので喜ばれるかと。」

  「そうなんですね。

  本当に何から何までありがとうございます。」

  「いえいえ、頑張ってくださいね。」

  「はい!」

  去っていく紫のルギアに深く頭を下げるダイケンキだった。

  翌日、隊長を含む何人かが入院したことで生じた業務を片付けたダイケンキは病院に向かっていた。

  面会時間はとっくに終了していたが事情を汲んだ病院側の対応によりルギアの部屋に案内されるダイケンキ。

  病室に入るとテレビでニュースを流しながら手元の端末でも何かを調べているルギアの姿があった。

  「おぉ、ダイケンキか。

  無事でよかった。仕事を増やしてしまってすまない。」

  そうやってペコリと頭を下げるルギアに申し訳なくなり、深く頭を下げるダイケンキ。

  「この度は、自分の至らなさでご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。」

  周りのことを配慮し、声を抑えてはいるが深々を頭を下げるダイケンキ。

  「頭を上げてくれ。

  今回の件は隊長である私の責任だ。」

  「いえ、今回の目的はヴィランの確保でしたので発見した時点で隊長に一報入れるべきでした。

  それに仲間の負傷に気を取られ犯人から気を逸らしてしまった自分に非があります。」

  「だからそれも含めて隊長の責任なんだ。

  自分ばかり責めるんじゃない。」

  「自分も副隊長です。

  隊の責任を私にも背負わせてください。」

  「そういうことなら余計に頭を上げてくれないか?

  二人で責任取って今度こそ奴を捕まえよう。」

  「わ、かりました。」

  ようやく顔を上げたダイケンキは失礼しますと言ってルギアのベッド脇の椅子に腰掛ける。

  「お加減いかがですか?」

  「君も聞いているとは思うが麻痺は君が措置してくれたおかげで痺れはない。

  一応弱点のでんきを浴びてしまったから検査入院というだけでこのまま数値に問題がなければ明後日には退院だ。」

  「それは良かったです。

  よろしければこちらをどうぞ。」

  ダイケンキは紫のルギアにオススメされたズアのみが入った紙袋を手渡す。

  「ズアのみじゃないか!

  どうしてこれを?」

  「友人から勧められまして。

  隊長のお役に立つのではないかと。」

  「その友人もエスパータイプなのかな?

  こうやることがないとサイコパワーが溜まってしまってね。

  嬉しいよ。ありがとう。」

  そう言って笑うルギアの笑顔に癒されるダイケンキ。

  心の中でこの笑顔を今度こそ守ると誓うのだった。

  そんなダイケンキの手に絆創膏が貼られていることに気づくルギア。

  「ん?君も負傷したのか?」

  ダイケンキの手を取り傷口を眺めるルギア。

  本当のことを言う訳にもいかず昨日の事後処理の時にちょっと…と言葉を濁すダイケンキ。

  ルギアはそんなダイケンキの手を優しく撫でる。

  「大したことないならいいが君も無茶をするんじゃないぞ?

  君だって私にとって大切な人だ。」

  その言葉に顔を真っ赤にするダイケンキ。

  「それはどういう意味でしょうか?」と聞きたくなるがブンブン揺れそうになる尻尾を抑えるので精一杯だ。

  ルギアがダイケンキの手を離すと、「今日はこの辺で失礼します。」となるべく不自然にならない程度の速度で逃げ出すダイケンキなのであった。

  病院を早足で駆け抜けたダイケンキの個人端末が震える。

  最近は主に紫のルギアとやり取りしていたので彼かと思い端末を手に取ると案の定彼からの通知があった。

  端末をタップして詳細を確認したダイケンキの足が止まる。

  そこにはベッドに両手を縛られ股を晒されてる紫のルギアの画像とメッセージが表示されていた。

  『昨日はどーも♡

  今度はサシであそぼーぜ👍🏻

  来なかったりお仲間呼んだらコイツに相手してもらうからよろしく〜👋』

  無言でピキッと端末がなるくらい強く握りしめたダイケンキは添付されていた座標に向かい出した。

  ダイケンキが着いたのは町外れの廃工場だった。

  変身して中に入るとダイケンキが来たのを察知したのか床に取り付けられた扉が開いて地下への階段が現れる。

  トラップ等がないか注意深く進んでいくダイケンキだったが、思ったよりも深く、端末が圏外となる。

  階段を下り終えると扉が一つだけあり、開け放つダイケンキ。

  そこには大きな暗い空間が広がっており、入口からの光に照らされたダイケンキの影が大きく広がる。

  すると、スポットライトの電源が入り、紫のルギアが縛られたベッドが照らし出される。

  「大丈夫ですか!?」

  ベッドに駆け寄るダイケンキ。

  しかし途中で暗闇にスパークが走るのを捉えて目をやるとかみなりパンチで不意打ちしようとしているゴーリキーがいた。

  咄嗟に盾でゴーリキーの拳を弾き距離を取るダイケンキ。

  体勢を立て直し大太刀を取り出し斬りかかるがゴーリキーが手元に何らかのスイッチを取り出す。

  まただっしゅつボタンかと思いファストガードに注意しつつアクアジェットも併用して斬りかかるがゴーリキーがスイッチを押すのが早かった。

  その瞬間、紫のルギアの悲鳴が響く。

  「んあああぁぁぁ!!!」

  思わずダイケンキが紫のルギアに目をやると内股になりながら必死に脚をよじらす姿があった。

  「彼に何をした!?」

  「べっつに〜?

  ただアンタがオレちゃんに酷いことしようとしたらどうなるかわかるよね〜?」

  そこでゴーリキーがもう一度スイッチを押すとルギアの悲鳴が止んで荒々しい呼吸が部屋に響く。

  何とか隙を作るためにゴーリキーに呼びかけるダイケンキ。

  「大人しく投降しろ!

  淫エナジーの浄化を受けるんだ!」

  「オレちゃん今の生活に満足してっからさ。

  昔みたいな退屈な日々はゴメンなのよ。

  アンタらヒーローおちょくる方がおもれーじゃん。」

  「貴様ぁ!!!」

  紫のルギアには悪いが単独行動である以上長引かせればゴーリキーが次にどんな手を使ってくるかわからない。

  言動からこのゴーリキーも元々は一般人のようだが淫エナジーの汚染が深刻である様子から多少の犠牲を無視してでもコイツはここで仕留めなければならない。

  ダイケンキは改めて大太刀を握る手に力を込め、ゴーリキーとの距離を詰めていく。

  「ちょっ!?マジかよっ!?

  アイツがどうなってもいいのか!?」

  人質を握っているのに再び突っ込んできたダイケンキに対してゴーリキーは再びスイッチを押し、紫のルギアの悲鳴が響く。

  しかし、ダイケンキは最早ゴーリキーのことしか見ておらずお調子者のゴーリキーに冷や汗が流れる。

  ダイケンキの意外な行動にゴーリキーは次の動きが遅れており、剣の間合いに捉えた。

  渾身の力で大太刀を振りかぶるダイケンキの力にスーツの腕部分が限界まで引き伸ばされる。

  「わ〜っ!ヤバいって!ヘルプ!ヘ〜ルプ!!!」

  ゴーリキーが何かをほざいているがもう遅い。

  ダイケンキが必殺の一撃を放とうと腕を振り下ろした瞬間、まるで体が見えない力に固定され、握っていたはずの大太刀が明後日の方向にすっ飛んでいった

  「なっ…!?」

  驚愕するダイケンキの目の前でニヤリとしながらゴーリキーが放ったかみなりパンチがやけにスローモーションで迫ってくる。

  目では追えているのに体を動かすことができず、そのままゴーリキーの拳は無防備のダイケンキの腹に吸い込まれる。

  「ぐはあああぁぁぁ!!!」

  空中で固定され、吹き飛ぶこともできずにパンチの威力を全身で受け止めたダイケンキは思わず叫ぶ。

  ただでさえ動けないのに体に麻痺が広がり、ダイケンキは見えない力に身を任せることしかできなくなってしまった。

  「あ〜ビックリした!

  コイツ人質がいるのに構わず突っ込んできやがった!

  ある意味コイツもぶっ飛んでるんじゃね?」

  「な?面白いだろ?

  オレの目に狂いはなかったって訳だ。」

  ゴーリキーと話す聞き覚えのある声にダイケンキは目を見開く。

  馬鹿な…何故あなたが…。

  だがこの場に残っているのは一人しかいない。

  ダイケンキが顔を動かすとそこにはベッドに腰掛けながらこちらを見てニヤニヤと笑う紫のルギアがいた。

  「じゃ、仕上げといこうか?」

  「仕上…げ…?」

  [newpage]

  ゴーリキーは注射器を取り出すとダイケンキに近づいてくる。

  動かない体を動かそうと必死になるも何もできないダイケンキ。

  ゴーリキーはヒーロースーツに守られていないダイケンキの首筋に注射器を突き刺し、その中身を一気に注入する。

  「クソ…、何を…?」

  「すぐにわかるよん。」

  何かが体を巡るような感覚と一緒に息が荒くなっていく。

  自分を押さえつける恐らく紫のルギアのサイコパワーの感触がまるで全身を愛撫されているようなこそばゆいものに変わっていく。

  「お、おまえら…まさか…。」

  「そりゃあヴィランですから?

  ヒーローのエナジーをほっとく訳ないじゃん。」

  紫のルギアがベッドから降りて指先を振るとダイケンキはベッドに降ろされる。

  「じゃあオレはちょっとお色直ししてくるから先に楽しんで。」

  「オーケー。

  ヒーローなんて久しぶりだなぁ。」

  紫のルギアがどこかに消えるとゴーリキーがダイケンキの股間に腰掛ける。

  股間同士が擦れ合う感触に声が出そうになるのを必死に歯を食いしばって耐え、代わりにゴーリキーを睨みつける。

  「へへっ、いーねぇー。

  アンタみたいな堅物ヒーローがアヘ顔晒すのがたまんねぇ。

  すぐ堕ちたらつまんねぇから頑張って耐えてくれよ?」

  そう言うとゴーリキーはダイケンキの腕をバンザイのポーズで固定しながら覆いかぶさり、唇を重ねる。

  「んっ、んんっ、んっ!」

  せめてもの抵抗として唇を硬く閉じるダイケンキだったが、ゴーリキーの舌はダイケンキの唇を難無くこじ開け、食いしばった歯を舐められる刺激に声が漏れる。

  互いに鍛えた肉体が擦れ合い、心地よい快感に襲われるダイケンキ。

  (大丈夫だ…。まだこの程度なら耐えられる…!)

  唾液を通してゴーリキーの淫エナジーがダイケンキを汚染しようとするが、ヒーロースーツの防御機能がそれを防ぐ。

  淫エナジーの中和にダイケンキのヒーローエナジーが消費されるが今のところ全く問題にはならない。

  明日になれば出勤しない自分に何かあったと察した部隊の連中による捜索が始まるだろう。

  まだ負けてない。自分が最後まで耐えられれば。

  そう考えていると股間の感触に変化が生じた。

  擦り付けられてたゴーリキーのチンコが大きくなってきたのだ。

  ゴリゴリと力強くダイケンキのスリットを抉るような刺激にダイケンキの腹の奥がキュンとなる。

  ゴーリキーがダイケンキを押さえつけていた手を離し、腰から脇にかけてスススーッとフェザータッチを行う。

  くすぐったさに襲われるダイケンキだったが、ゴーリキーの指先が胸の近くを通った時、これまでとは違う感覚がダイケンキの体を走り思わず腹筋に力が入る。

  その反応を見たゴーリキーは体をスライドしてダイケンキの体の左側に降りると触りやすくなった右胸に指を這わせる。

  スーツにプクリと浮かんだ乳首を避けるように指を這わせるゴーリキーだが、時折指が乳首に触れるとダイケンキの体がピクッと震える。

  (さっきからなんだ?

  乳首が変だ。)

  ダイケンキとて雄なので性処理くらいしたことはあるが、チンコを手で扱くくらいで他に自分の性感帯があるだなんて思ったことは無かった。

  しかし、ゴーリキーの指が乳首を掠める度にダイケンキに嫌な予感がよぎる。

  もしゴーリキーが乳首を攻め始めたらどうなるのだろう。

  そんなことを考えているとゴーリキーがキスを止め、突然ダイケンキの左乳首を吸い始め、右乳首を指で弾く。

  今までで最大の快感にダイケンキの理性の壁にヒビが入った。

  「く゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」

  舌先が、指先が乳首を弾く度にダイケンキの体を快感が電撃のように広がっていく。

  動けなくなったはずの体をビクンビクンと震わせるがゴーリキーがそれを押さえつける。

  「やめ!!!や゛め゛ろ゛お゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」

  辛うじて残った理性がやめろやめろと言うが、本能が快楽を求め、より気持ちいい位置を求めて体を動かしてしまう。

  そしてスーツやスリットの奥に隠れていたチンコが更なる快感を求めて姿を現した。

  スーツに浮かび上がったダイケンキのチンコはまるでコンドームに覆われたようであり、そのエロさにゴーリキーは舌なめずりをする。乳首を舐めながらダイケンキのチンコを掴むとダイケンキの体が跳ねた。

  「アァッ!んおっ!うおおおぉぉぉ!!!」

  (き、気持ちいい!

  このままでは…エナジーが…!)

  ヒーローは淫エナジーを中和できるがそれはあくまでヒーローエナジーあってのもの。

  もし射精してしまえば抵抗するためのヒーローエナジーは減少してしまう。

  それだけは絶対にダメだと頭の中では理解しているが、体は快楽を受け入れてしまう。

  「ぁ…も、もぅ…ダメ…。」

  「あぁ!?イクのか!?イッちまうのか!?」

  「やめ、やめろぉ!

  や………ぁ………。

  イ゛!イ゛ック゛ウ゛ウ゛ウ゛ゥ゛ゥ゛ゥ゛!!!」

  ダイケンキの咆哮と共に膨らむヒーロースーツの先端。

  ヒーロースーツの先端が大きくなる度に胸のヒーローコアの輝きが弱くなっていった。

  ヴィランの前でエナジーを放出してしまったダイケンキは虚ろな目で空を見上げながら荒く胸を上下させる。

  (イッて、しまった…。

  こんなヤツに…こんなヤツに…!)

  悔しさで目の端から涙を流すダイケンキに構うことなくゴーリキーは再びダイケンキに覆いかぶさると、股間同士を擦り合わせていく。

  ヒーローエナジーで滑りが良くなったダイケンキのチンコがスーツ越しにゴーリキーのチンコとグッチョグッチョと重なり合う。

  「あぁ…やっべ…。

  めっちゃきもちいぃ…。」

  目をトロンとさせ、だらしなく舌を垂らしながらも腰を激しく動かすゴーリキー。

  抵抗する力も気力もなくされるがままのダイケンキ。

  「あっ、あっ、あっ、あっ…!」

  と無意識に喘ぐことしかできない。

  「あ〜っ!やべっ!

  オレっちもイクっ!

  あ〜〜〜〜〜っ!イクイクイクイク…!

  んあっ!あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!ん゛あ゛っ゛!!!」

  ゴーリキーがダイケンキに見せつけるような体勢で射精する。

  ラバースーツにクッキリの盛り上がったチンコの先がまるで風船のように膨らんでいく。

  息を整えたゴーリキーはニヤリと笑うとスーツを解除に中から先程自分が出した淫エナジーを掬い出す。

  それをダイケンキのスーツの股間に擦り付けるとスーツから煙があがる。

  「バカな!?

  何をしている!?やめろ!!!」

  「淫エナジーを遮断するお前らのスーツだけどよ。

  濃厚な淫エナジーをこうすると…。」

  ゴーリキーがグリグリとより強く淫エナジーの宿った精液を擦り付けるとビリッと嫌な音がしてダイケンキのヒーロースーツの股間部分が溶けてしまった。

  そしてそんなヒーロースーツを押し退けるようにダイケンキのチンコがブルンと姿を現した。

  「おっほー!

  デケェのはわかってたけどやっぱ生で見るとちげぇなー!

  えっろ…。」

  ゴーリキーはそう言うと破れたヒーロースーツから漏れ出したダイケンキのエナジーを舐め取っていく。

  チンコの根元を丁寧に舐められてダイケンキの体は反応してしまう。

  「うっ、く…!あっ、んくっ…!」

  「あぁ、うめぇ…。

  やっぱエナジーはヒーローの直飲みが一番だよなぁ…。

  協力してマジよかったぁ…。」

  舐められて興奮して出たダイケンキのプレエナジーまで舐め取りながらゴーリキーはウットリとしているとダイケンキが口を開く。

  「協力…?

  じゃあ今回の件はあのルギアが?」

  「ピンポーン!

  あ、戻ってきた。

  じゃあ交代だな。

  今度は最後まで犯させてね?」

  ゴーリキーがどこかに消えると入れ替わりにルギアがやってきた。

  その肌は白く、一瞬ドキッとするダイケンキだったが、その目がさっき見た紫のルギアの相手をバカにするような目つきだと気づくと怒りが湧き上がってくる。

  「貴様!何のつもりだ!?」

  「ん〜?

  君の夢を叶えてあげようかと思って♡」

  ダークルギアがダイケンキの耳元に近づきフゥと息をかけるとゾクゾクとした感覚に喘ぐダイケンキ。

  そして耳元でまるで本物の隊長によく似た声で囁くダークルギア。

  「DK503、私も君のことが好きだ。

  愛している。」

  頭の中ではダークルギアが隊長の真似をしているだけとわかってあるのに胸がときめき、嬉しいと思っている自分がいることがたまらなく悔しい。

  「私も君にずっとこうしたかった…。」

  ダークルギアがそう言ってダイケンキに体を重ねると、優しく触れるだけのキスを何度かしてくる。

  唇が重なった何度目かの時、ダイケンキはいまだ震える腕に何とか力を込めるとあろうことか自分からダークルギアを抱き寄せ濃厚な口付けを交わす。

  「チュッ、クチュッ、チュッ、ジュルッ。」

  (あぁ…隊長…、隊長隊長隊長!!!)

  涙でぼやけた視界には白いルギアがいて本当にずっと恋焦がれてきた隊長とキスしているみたいだった。

  舌で感じる温もりが、絡み合う相手の舌の柔らかさがたまらなく心地好くダークルギアの腹に擦れ合うチンコが痛いくらい勃起してプレエナジーが止まらなくなる。

  ダークルギアが口を離すと唾液が伸び、落ちてくる唾液を舌で受け止めるダイケンキ。

  ルギアが体勢をズラし、大きく硬くそそり立ったチンコのギリギリに手を伸ばすと問いかける。

  「触っていいかい?」

  普段のダイケンキなら即座に断っていたが、気づけばダイケンキはダークルギアの手を掴み、自分のチンコに重ねていた。

  「っぁ…んあっ!あぁっ!きもちいいっ!」

  プレエナジーのせいでグッチョグッチョと水音を立てながらチンコを扱かれて喘ぐダイケンキ。

  ゴーリキーのゴツゴツとした手も気持ち良かったが、ダークルギアのプニプニと柔らかな手はまるでチンコに吸い付くかのようで最高の快感に襲われる。

  (隊長が!俺の…!いや違う!これはダークルギア…!

  でも…きもちいい…。)

  チンコを扱かれる快感に喘ぐダイケンキだったが、もう一度キスがしたいと思うと、それを察したのかダークルギアが深く口付けてくる。

  ダイケンキの金玉がせり上がり、ビクンと体を仰け反らせるとチンコからエナジーが噴き出す。

  ビュクッ!ビュルッ!ビュルルッ!!!

  ダイケンキの体に飛び散った精液をまるで毛繕いでもするかのように舐め取ってくれるダークルギアにダイケンキは優しさを感じてしまっていた。

  ヒーローコアの光も消えかけており、ダイケンキのエナジーが残り僅かであることを示している。

  ダイケンキのエナジーを一通り舐め取ったダークルギアはエナジーを出してはぁ…はぁ…と荒い息を吐くことしかできないダイケンキの顔に自分のスリットから飛び出したチンコをずずいっと差し出す。

  スリットから飛び出すくらいには大きくなっているようだが、まだ完全勃起とはいかないようだ。

  「私のチンコも舐めてくれないか?」

  「ふぁい…。」

  ダークルギアの指示に素直に従うダイケンキ。

  最早ダイケンキには正常な判断ができなくなっていた。

  懸命に舌を伸ばし、ダークルギアのチンコを飲み込むと未経験なりに頑張ってしゃぶり出す。

  具合がいいのかダークルギアのチンコも段々大きくなり、頭を撫でられて嬉しくなるダイケンキ。

  時折深く呑み込み過ぎて吐き出しそうになるのを我慢しなからしゃぶっていると、腰を引いてチンコを抜き取るダークルギア。

  ダークルギアのチンコから漏れ出たプレ淫エナジーが体を侵食し始めていたがダイケンキはそれには気づかず、それどころかもっとしゃぶりたいと舌を突き出しダークルギアを上目遣いで見つめながら催促していた。

  「そんなに私のチンコがほしいか?」

  「ふぁい!ほしいれす!」

  しかし歩き出すダークルギア。

  ダイケンキが絶望の表情に染まるが、ベッドの足元に登り、ダイケンキの腰を掴むとダークルギアの意図を察し、自ら足を上げ、ゴーリキーにスーツを溶かされ丸見えになったケツ穴を晒す。

  「お願いします!ここに!ここに隊長のチンコをください!」

  遂に自分から快楽を求めるようになってしまったダイケンキ。

  その様子にダークルギアは満足そうに笑うとペッと唾を指に吐き出しダイケンキのアナルをほぐしていく。

  「あっ!あぁ…気持ち、いい…!

  んっ!んっ…、あぁ、あんっ!」

  ある程度慣らすとダークルギアはそのチンコをダイケンキに差し込んでいく。

  初めてのアナルセックスにダイケンキは息苦しさと痛みを覚えながらも、念願の隊長とのセックスに溺れていく。

  隊長が自分を求めていると思うと全てがどうでもよくなる。

  「んぐっ!つっ!あぁっ!ごほっ、げほっ!

  はっ!はっ!はっ!はっ!はっ!

  ふーっ!ふーっ!ふーっ!ふーっ!」

  本能で痛みを逃がす為に深呼吸をするとヌルンと一気にチンコがダイケンキの中に入っていく。

  「かっ!は…!」

  「DK503…、入った、ぞ…!」

  「はっ、はいっ!」

  「動くぞ…。」

  パチュン…パチュン…パチュン…パチュン…

  「あっ…!あっ…!んっ…!あんっ…!」

  パン、パン、パン、パン

  「あっ!あっ!あっ!あっ!」

  パンッパンッパンッパンッ!

  「あ゛ぁ゛っ゛!あ゛ん゛っ゛!ん゛あ゛っ゛!く゛お゛っ゛!」

  段々と腰の動きを激しくしていくダークルギア。

  されるがままだったダイケンキだったが、ある所を突かれ、力の限り体を引き締める。

  その締め付けがよかったのかダークルギアの表情からも余裕が消えていく。

  「お゛お゛っ゛!う゛お゛っ゛!ん゛あ゛っ゛!お゛ほ゛ぉ゛!!!」

  「素晴らしい!素晴らしいぞダイケンキ!

  欲しいか!?私のエナジーが欲しいか!?」

  「ほ゛し゛い゛ぃ゛!!!隊長のがほ゛し゛い゛ぃ゛!!!」

  「ならイクぞ!イクぞ!!!

  受け取れっ!!!

  んあああぁぁぁ!!!」

  「がっ、あ…!自分も…出るっ!!!

  あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」

  ダイケンキとダークルギアの両方から噴き出るエナジー。

  だがそれはダイケンキにとって淫エナジーの摂取とそれに抵抗するためのエナジーの放出を意味していた。

  既にダークルギアの唾液から淫エナジーに犯されていたダイケンキのエナジーコアは輝きを失い、薄暗い闇に染まりつつあった。

  だがダークルギアには不可解なことがあった。

  ダークルギアはとあるヴィラン組織の幹部であり、彼クラスの淫エナジーが注がれたらいくらヒーローでもヴィラン化が始まってもおかしくないはずであった。

  ダイケンキのエナジーコアは淫エナジーに染まり始めているもののまだ墜ちきってはいない。

  まぁこのまま犯し続ければいずれは…と考え直し、再びダイケンキを犯し始めようとした時、誰にも知られていないはずのアジトの地上から地下まで蒼いレーザーのような光が貫き、激しい風が部屋に吹き渡る。

  この攻撃をよく知っているダークルギアはダイケンキを盾にして身構える。

  地上から地下に一人のヒーローが舞い降りる。

  それは入院しているはずのLG247だった。

  その目は怒りに燃え、視線だけで並のポケモンなら気絶しそうなほどだった。

  ルギアはサイコキネシスでダイケンキを包み、ダークルギアから奪い取る。

  もちろんダークルギアも抵抗しようとしたがそのあまりに強力なサイコパワーに易々と人質を奪われてしまった。

  「言いたいことは山程あるが今はどうでもいい…。

  消えろ。」

  隊長は静かな口調でそう告げると口を開く。

  口に周囲の空気が集まり蒼い輝きを放つ。

  「エアロブラスト!!!」

  蒼い光が地下室を照らし出し、激しい風が何もかもを吹き飛ばす。

  これがルギアを隊長たらしめる必殺技であった。

  風が止むと、ダークルギアの前に光る壁が五枚展開されていたが、その全てが左半分砕けており、ダークルギアの左腕から血が流れている。

  「仮にも血を分けた兄弟に本気のわざ出すとか流石は隊長様。

  やる事がえげつないねぇ。」

  「黙れ。

  今回は見逃してやる。

  だが次私や彼の前に現れてみろ。

  ただでは済まさん。」

  「あらゆる通信を遮断するここをどうやって見つけたんだか。

  そっちの方がよっぽどヤバいのでは?」

  「二度は言わんぞ。」

  「せっかく面白いオモチャ見つけたのに残念。

  では本日はこれにて。」

  そう言ってダークルギアはいつの間にか手に忍ばせていただっしゅつボタンを押して何処かに消え去った。

  残された隊長は抱き抱えた意識を失ったダイケンキを見る。

  スーツをボロボロにされ、淫エナジーに犯されたその姿を見て思わず涙が零れそうになる。

  「済まなかった…!」

  ダイケンキの胸元に顔を埋めた隊長の言葉が小さく地下室に響いた。

  ダイケンキが目を覚ますとそこには自分を見下ろす隊長の顔があった。

  「おっ!?うおっ!?」

  「よかった!目を覚まして…!」

  そう言って強く自分を抱き締める隊長の感触に嬉しくなるダイケンキだったが、次第にそれは苦しさに変わる。

  「あの!隊長!ギブです!苦しいです!」

  「ああ、すまん!

  だが本当によかった…!」

  直前に見た隊長が偽物だったせいで一瞬血の気が引いたダイケンキだったが、いつもの穏やかな眼差しに本物だと確信し安心するダイケンキ。

  辺りを見渡すと自分が病院に入院していることを察する。

  「あの、自分は…?」

  「あぁ、奴はある組織の幹部ということしか判明していなくてな。

  その組織とやらがどのような存在なのかすら掴めていないのだ。

  だが確実に言えるのはその組織は今までの犯罪組織とは確実に一線を画す。

  あと、もう一つ言えるのは奴は私のクローンだ…。」

  苦々しげに話す隊長の話にダイケンキは驚きを隠せない。

  「クローン!?隊長の!?

  それはどういう…?」

  「君にだから話すが私は昔その組織に捕まっていたことがあるのだ…。

  その時行われたヒーロークローン計画で生まれたのが奴だ…。」

  突飛もない話だったがダイケンキはすんなり受け入れられた。

  通りで隊長に似た雰囲気を演じられた訳だと。

  「だ、だが君も君だぞ!

  なんであんな奴と親交があったんだ!?

  悪いが君の端末を調べさせてもらった。

  奴らに繋がる何かがあったかもしれなかったからな。」

  「それは仕方ありません、ね!?」

  今回の件は自分のせいであり、どうせ個人的なやり取りも少ないから個人端末を調べられても気にしないつもりだったがとあることに思い至り動揺するダイケンキ。

  「あ、あの…、中身を知っているのは…。」

  「あぁ、解析班のMG376と私だけだ。

  証拠品とは言えプライベートだからな、部隊の皆に公開するようなことはせんよ。」

  部下を思いやる完璧な私!と言わんばかりにドヤ顔をするルギアだったが、ダイケンキの方に向き直るとまるで地面に沈んでいくのではないかと思うくらい項垂れるダイケンキの姿があった。

  「ど、どうした!?」

  ダイケンキは今にも消え入りそうな声で答える。

  「ということは…、隊長は全部見たんですよね…?

  その、アイツとのやり取りを…。」

  「そ、そうだな。

  寧ろ目的がそれだからな。」

  ルギアのその言葉がトドメになったのかダイケンキは力無く横たわる。

  虚ろな目で天井を見上げながらルギアに告げる。

  「自分…ヒーローやめマス…。」

  「どうしてそうなる!?」

  「ダッテ…、ダッテ全部見たんデショウ…?

  自分が不純な動機でヒーローやってたの知ったのデショウ…?」

  「あぁ、そのことだが…。」

  「そんな半端な気持ちでヒーローやってたからこんな体たらくなんですヨネ…。

  本当に申し訳ありまセン…。」

  ルギアの話を聞こうとしないダイケンキの肩を掴みあげるルギア。

  「聞け!

  君のヒーローとしての働きは私が誰よりも側で見てきた!

  確かにここ最近はショックを受けても仕方ないとは思うがそれで君の活躍が無かったことにはならない!

  君は人々を救ってきたヒーローなんだ!」

  その言葉にダイケンキの瞳に光が戻る。

  しかし、感情が戻ってくるとそれは溢れ出し涙となる。

  「でも、でも…!

  自分が本当に守りたかったのは貴方なんです!!!

  それなのに!守るどころか!守られてばかりで!!!」

  悔しさに歯を食いしばって泣くダイケンキを優しく抱き締めるルギア。

  抱きしめながら背中をポンポンを叩くところが悔しいけどダークルギアの模倣は完璧だったんだなと思うダイケンキ。

  「すみませんでした…。」

  「いいんだ。

  実は、その、今回の件は私にも原因があるんだ…。」

  ルギアのその言葉にダイケンキは首を傾げる。

  自分が一人で突っ走ってしまったことしか原因が見当たらず困っているとルギアが顔を赤くしながら打ち明ける。

  「さっき君は私に守られてばかりと言っただろう?

  君がそう思ってくれていたことが私が嬉しかったんだ。」

  それと今回の件がどう繋がるのかわからないダイケンキは続きを待つ。

  「つまりだね、その、私も君のことが好きだ。

  好きな人を守りたいと思うのは私だって同じなんだ。」

  ダイケンキの頭の中が真っ白になる。

  隊長が?自分のことを好き?

  そこに嫌な思い出が蘇る。

  そう言えばダークルギアにも同じことを言われて騙されたのだった。

  恥ずかしさで顔を真っ赤にする隊長を顔を突然掴むとゴシゴシと擦り始めるダイケンキ。

  「わっ!?ちょっ!?何を!?」

  白いままの肌に呆然としながらダイケンキは呟く。

  「隊長が?自分を?本当に?」

  「ほ、本当だ!

  私LG247はDK503を愛してる!

  これからもずっと君を守りたい。」

  真剣な眼差しでこちらを見つめるルギアにダイケンキはやっと現実を呑み込む。

  憧れのヒーローが自分を。

  返事は決まっていた。

  「自分も隊長のことを愛してます。

  隊長を守れるようにもっと強くなります!

  隊長を一人にはさせません!」

  ダイケンキの言葉にニコッと笑うルギア。

  ダイケンキも目の端から再び涙を流しながら笑い返すが今度の涙は喜びの涙だった。

  椅子から立ち上がったルギアが顔をダイケンキに近づける。

  何をされるか察したダイケンキは目を閉じその時を待つ。

  柔らかい温もりが唇から広がるまでそう時間はかからなかった。

  〜おまけ〜

  ダイケンキが入院している病室。

  お見舞いに来たルギアに好きなヤタピのみを剥いてもらいながらダイケンキは気になっていたことをルギアに聞いた。

  「そういえばあの時なんで自分の居場所がわかったんです?

  通信は遮断されてたみたいですけど。」

  「あ〜。」

  少し気まずそうにしながらルギアは答える。

  「副隊長昇進の時にバッジを渡しただろう?」

  「あぁ、これですか?」

  ダイケンキは鎧の隙間に仕込んでいたルギアから贈られたバッジを取り出す。

  「発信機かなんかとか?

  でもそれでも遮断されますよね?」

  「それね、私の羽根を加工したものに私のサイコパワーを込めてあるんだ。

  それで私にはバッジの場所がわかるし多少なら淫エナジーにも対抗できるんだよ。」

  「なるほど、それで。

  なんでそんな気まずそうな顔してるんですか?」

  「いや、部下に羽根とはいえ自分の一部だったものを贈るのってこう、重いかなと…。

  それにそんなつもりはなかったけどいつでも居場所を把握されるのも嫌かなぁなんてね。」

  ダイケンキは思った。自分達は自分の頭の中でばかり考えて遠回り空回りしてばかりだったのだなと。

  「隊長、これからはお互い何か悩んだこと、困ったことがあったらちゃんと話し合いましょう。

  一人で悩むのは無しにしましょう。」

  「そうだな。

  互いに支え合おう。」

  そう言ってきのみを剥く手を止め、自分の手をダイケンキの手に重ねるルギア。

  ダイケンキはルギアに笑いかけると今度は自分からキスをするのだった。