薄暗い階段を降りていくと、地下特有のこもっているような湿った独特な空気がする。
大学の同級生から教えてもらった新しくできたというライブハウスは思ったよりも奥まった場所にあった。路地を曲がり更に地下へと続く階段を下りる。
地下に続く階段を降り会場の扉を開けると、こじんまりとした地下の空間とは思えないほど大勢の人で溢れかえっていた。
金曜日の夜とはいえ、こんな新しい場所にこれほどの人が集まるというのは驚きだった。
「相当な人気なんだな…」
ようやく見つけた壁際の小さなスペースに身を寄せる。期待と興味が高まる中、照明が暗くなり、ざわめきが一瞬で静寂へと変わる。ステージに小柄な女性が現れた瞬間、会場全体が静まり返った。
スポットライトがステージの中央を照らし出し、そこに現れたのは小柄な金髪の女性だった。
フリルの付いた厚手の衣装に身を包み、その姿は一見すると普通のアイドルのようにも見える。
しかし、彼女が口を開いた瞬間、会場の空気が一変した。
~~♪~~♪~~♪
彼女が口を開いた瞬間、会場を満たしたのは天使の歌声としか表現できないような、透き通った美しい歌だった。その声は会場全体を包み込み心に直接語りかけてくるようだった。
僕は言葉を失った。
厚手の衣装は手足をフリルで覆い隠しているにもかかわらず、彼女の動きは軽やかで、まるで風に吹かれる羽根のように歌いながら踊る。ステージ上を人間の動きとは思えないほど滑らかに舞い、跳ね、そのすべてが音楽と完璧に調和していた。
「す、凄い……」
そのパフォーマンスのすべてに表現できない魅力があり聴く者を引き込む不思議な力を持っていた。
周りの観客を見渡すと皆一様に彼女だけを見つめ、他の何も目に入っていない様子だ。若干異常とも思えるほどの没頭ぶりに僕は一瞬だけ違和感を覚えもした。
一時間ほどのライブはあっという間に終わり拍手喝采の中、彼女は軽やかにステージを去った。残された余韻で一杯お酒を飲んで帰ろうとして注文をした時にお酒を注いでいる一人の女性が目に入った。
バーテンダーの服装をした緑色のポニーテールをした女性は、先ほどの歌手とはまた違った美しさを持っていて、厳かで気品がある雰囲気を醸し出していた。
ふと、彼女から先ほどの歌手と同じような不思議な雰囲気を感じ取り、思わず見入ってしまう。すると、彼女の菫色の瞳と目が合った。
その視線に、僕は思わずドキリとする。
視線を逸らしたしまいその先には受付の横には手伝いの人員募集の張り紙が貼られていた。興味本位で見ていると声をかけられる。
「興味があるのですか?」
動揺しながらも確かに興味はあった。学生のアルバイトを探していた矢先でもあったので思わず頷くと、彼女は微笑み、手元から一枚の用紙を取り出して差し出した。
「よろしければ、これをお持ち帰りください。こちらが募集要項が書かれていますのでご検討いただければ…」
「あっ…あ、ありがとうございます…」
返事をする僕の声は、いつもより少し高く震えていた。女性はただ静かに微笑むだけで、それ以上何も言わなかった。
帰り道、僕は何度も募集用紙を眺めながら、今夜のライブと不思議な魅力を持つ二人の女性のことを考え続けていた…。
[newpage]
翌日の夜、僕はコンビニで買い物の帰りに人通りの少ない道を歩いていた。
手に持ったアルバイト募集の用紙を時折見ながら昨日のライブハウスのことを思い返していた。
金髪の歌姫の歌声…。
そして菫色の瞳を持つバーテンダーの女性…。
あまりにも印象的で、一日中頭から離れなかった……。
それとは別に昨日もらった募集用紙の内容はライブ全般と言われたが、あまりにも仕事内容が大雑把で何をするのかはっきりしない点が引っかかっていた。
「面接後にライブ全般って具体的に何をするんだろう…あんなにすごいライブハウスなのに、スタッフ不足なのかな?」
雑多な思考を巡らせながら歩く道は街灯の数も減り暗さを増していく。あと数分も歩けば自宅に着くという場所で、どこからか聞こえてきた音色に足を止めた。
……♪
高い位置から聞こえてきたことが分かり足を止め見上げたが、夜空の暗闇の中では微かな月の光だけでほとんど何も見えない。一瞬だけ人の体ほどの大きな翼のようなシルエットが闇に溶け込んでいくのが見えた……ような気がした。
「なんだったんだろう…」
背後から突然、コートの上から両肩をがっしりと掴まれた。
その感触は人間の手ではなく、何か固いもの。パニックで声を上げる間もなく、僕の足は地面から離れていく。
「な、何だっ!?」
驚きの声を上げる間もなく体が宙に浮きあがる。
風が顔に当たり髪が激しく乱れ、自分が空を飛ばされているという現実は恐怖よりも、脳が理解できなかった。
体を動かして抵抗しようとした瞬間、上から女性の声が聞こえる。
「落ちると危ないから動かないでね~」
足元を見ると町の明かりが小さく見えかなりの高度があることに気づくと、身がすくんでしまって大人しく従うしかなかった。
徐々に飛行速度が落ちていき、静かに降下し始めた。目の前に二階建ての建物が見えてきた。人目につかない郊外に立つその建物の屋上へと僕を連れた何かは静かに着地する。両足が固い地面に触れ漸く安堵の息を漏らす。
「いや~怖かったよね?…ゴメンね!」
振り向くと、そこには整った顔の金髪の女性が立っていた。しかし、腕の部分が大きな翼になっている異形の存在であり、ピンク色の羽毛が風に吹かれて揺れていた。
その姿を見て、僕は言葉を失った。
「ご苦労だったハル」
そして屋上の端に、もう一人の姿があった。昨日バーテンダーをしていた緑髪のポニーテールの女性だ。彼女もまた、腕の代わりに大きな翼を持っていた。白をを基調としながらも、その先端に向かうにつれ虹のように七色にグラデーションが輝いている。
「昨日ぶりだな青年…まあ、中に入ってもらおうか…説明することがたくさんある」
すでに理解はしていたが目の前の二人は人間ではない。翼を持つ異形の存在に僕は無言でうなずき、高所を飛行していた恐怖が残る震える足で二人について行くしかなかった…。
外観からは想像できないほど内装は豪華な応接間へと通された。
「そちら側に座ってくれ青年」
彼女が翼で示したのは、深い赤のアンティーク風のソファだった。翼で物を指す姿に現実感の欠片も見いだせず言われるがままに座る。
僕の正面のソファに先ほどの二人が座った。
よく見ると金髪の女性の姿が、昨夜ライブハウスで観客を魅了していた歌姫そのものだと気づいた。表情や雰囲気は同じなのに、腕は大きな翼で足も鳥のような逆関節と鋭い爪にばかり目が行って気がつかなかった。
「あ!……あなたは昨夜の…」
「うん!覚えててくれたんだ、嬉しいな!」
金髪の女性は嬉しそうに言い翼をばたつかせる。
それとは対照的に、緑髪の女性は威厳に満ちた佇まいで僕を見つめていた。昨夜の受付でのバーテンダー姿とは印象が異なり、露出の多いドレスは彼女の肌と翼の白さを際立たせ、そこにいるだけで圧倒的な存在感を放っていた。
「あなたたちは…一体…」
「私はハーピー一族の代表でもある……そして、便宜上この国の名前はアヤメと名乗っている」
童話や神話に出てくるような存在が現実にいるとは思えなかったが、彼女たちの姿を見れば否定もできない。アヤメは淡々と言葉を続ける。
「そして、こちらはハル」
アヤメは金髪の女性を指差した。ハルは元気よく手を振り、正確には翼を振った。
「昨日はありがとう!来てくれて嬉しかったよ!」
改めて見ると彼女の顔と髪型は昨日のライブで歌っていた歌姫そのものだった。あの厚手の衣装の下に隠れていたのはこんな姿だったのか…。
「私たちは数年前にこの国に来てな。生活資金も得るため、種族の本質の"歌うこと"を満たすために、ライブハウスを始めたといったところだ」
「だから、わたしが歌ってたんだ!」
アヤメが目で合図するとハルさんは突然歌い始めた。その声は昨日のライブで聞いたものと同じく、透き通るように美しかったが、より強い力を帯びているように感じた。
僕の頭が徐々にぼんやりとしてくるのを感じたがなんとか意識を保とうと必死に抵抗する。
歌が止むと、アヤメは驚いたような表情で僕を見つめていた。
「驚いたな……通常、ハルが本気を出した歌声を間近で聞けば人間はすぐに魅了されるのだが…」
「ね!言ったとおりでしょ?」
アヤメはうなずき、話を続ける。
「現在人手が足らなくてな…我らの声に耐性がある新しいお手伝いを探していたというわけだ」
僕は混乱しながらも、徐々に状況を理解し始めていた。神話や作り物の中だけと思われた生物が現実に存在し、僕にアルバイトを持ちかけている。まるで夢か悪い冗談のようだった。
混乱している僕を見てすかさず、テーブルの引き出しから書類を取り出す。
僕に渡された契約書には勤務時間や報酬が記載されていた。週3回の勤務で時給は一般的なアルバイトの倍以上であまりにも魅力的な金額だった。
「守秘義務はあるが我々としても貴重な人材だからな…これくらいは払おうと思っているのだが…」
「え!こんなに給料が高いんですか!?………………やらせていただます!!!!」
時給の良さとに心を奪われてしまって、細部までよく読まないまま契約書にサインをしてしまう。
しかし、この時にさらに細部まで確認しなかったことがボクとしての転機でもあった……。
[newpage]
それから一通りの軽い説明をアヤメさんから受けて一区切りついたところでハルさんが微笑みながら軽食の盆を運んでくる。皿の上にシンプルなサンドイッチが数枚並んでいた。
「いきなり夕食時に連れてきてしまったから腹が減っているだろう? 」
空腹を感じていたし、せっかく出されたものを断るのは悪いと思い、素直にサンドイッチに手を伸ばした。ハムと野菜の間に鮮やかな黄色というよりは金色に輝いているような不思議な卵が挟まれている。
ハルとアヤメは僕がサンドイッチを食べる様子をじっと見つめていた。彼女たちの視線には何か気になるものがあったが、空腹もあってあっという間にサンドイッチを平らげた。
ドクンっ!!
食べ終え一息ついたところで突然、心臓が強く鼓動を打ち始めるのを感じた。最初はただの緊張かと思ったが、次の瞬間、全身を熱が駆け巡り始めた。
「あっ…ぐっ……ぁ…」
まるで内側から燃え上がるような熱さだった。謎の興奮と共に呼吸が荒くなり、急激な発汗と共に全身を自慰のピークの時のような快感が沸き上り膝から力が抜け思わず壁に寄り添う。
アヤメの方を見ると微笑みながら僕の様子を観察していた。その余裕のある表情に彼女が何かを知っていることが伝わってきた。
「な、なんだか…体が…熱い……」
「慌てることはない……まあ、仮体験といったところだ」
なにもしていないのに張りつめたあそこがズボン越しに服越しでもわかるほど勃起していた。今までの人生で一度も経験したことのない異常な状況に戸惑う。
「仮…体験?…はぁ…はぁ…体…おかしくなっ……!!?…ぐぅっ…うぅぅぅぅ゙ぅ゙!!!!」
大きく痙攣した直後に勢いよく精液が一物から飛び出し、パンツの中に温かい液体が広がり快感の暴風が全身を襲う。断続的な吐精が続きながら、それでもなお絶頂感が鎮まることをがない。
手足を震わせながら喘ぎ声を漏らしているが自分の一物が徐々に縮んでいく。同時に男性特有の筋肉質な体つきが徐々に失われていく。肩幅が狭くなり、腰回りの線が柔らかくなっていく。
「ぎゅ…ぐぅぅぅぅ!……あああ゙あ゙ぁ゙ぁ゙ぁ゙!!!!」
一物は無くなった代わりに一本の筋が濡れた割れ目からとめどなくだらだらと粘液を流し続けていると、ひときわ大きい絶頂と同時に性別という概念さえ曖昧なその姿にさらなる変化が訪れる。
肘から手にかけて細かい産毛が生え始めたと思うと、鮮やかな赤みを帯びた羽毛が腕を覆い尽くす。指も覆われた段階で人間の指の感覚が消失した。代わりに羽特有の骨格自体が音を出しながら変形され、さらなる強烈な快感として脳に伝わってくる。
「ん゙ぁ゙ぁ゙!!?……は、羽!?」
足がふらつき前のめりに倒れる。変化は下半身にも及んでおり足がゆっくりと逆関節へと変形し始めていた。すでに足の指が融合しており五本あった指が徐々に四本の太くて鋭い爪へと変わっている。
足首から徐々に皮膚が硬く変化し始めており鱗のような質感の肌が膝上まで侵食していく。
「はっ………あっ!…あぁぁぁぁん♡」
ひときわ強いオーガズムとともに体をのけ反らせると短い黒髪が急速に伸び、根元から色が変わっていく。紅蓮のような赤色に染まり肩まで伸びたセミロングの髪と変貌した。
すべての変化が終わったと同時に力が抜け落ち、浅い呼吸を繰り返しながら自分の体に起きた変化を徐々に認識し始める。
「はぁ…はぁ……いったい何が…」
思わず漏れた声は男性のものではなくハスキーで妖艶な女性の声となっていた…。
笑顔でハルさんが翼で器用に持っている長鏡を恐る恐る覗き込むと、面影は輪郭くらいしか残っておらず炎のような深い紅い髪と鮮やかな赤の翼を持ち、フラフラと立っているハーピーの姿があった。
「ちょっと!!…何でボクもハーピーになってるんですか!!」
「強いハーピーの卵を食べてしまうと一時的にハーピーとなる、いわば一時的な同族化の呪いの類だ」
ボクはハーピーとなった自分の姿に魅力を感じてはいたが、呪いと称された力で説明もなく性別ごと種族を変えられたとあってはさすがに心中穏やかではなかった。
「呪いって……そんな重要なこと、なぜもっとはっきり言ってくれなかったんですかぁ…」
「契約書には全部書いてあったのだが……読まなかったのはキミの落ち度だろう」
ボクの抗議にアヤメさんはさも当然と言わんばかりに涼しい表情で答える。
急いで契約書を確認するとはっきりと『接客業務中は同種族となるもの』と書いてあった。これは明らかにボクの責任だろう……。
[newpage]
それからというもの二人からハーピーとしての基本的な動作や、ライブハウスでの仕事内容について教わっていた。翼での物の持ち方や逆関節の足での歩き方など、数時間で少しずつ慣れてきてはいた。
ハーピー化も悪いことだけではなかった。
アヤメさんの卵を食べた変化後のハーピーとしての体は人間の時の疲れも吹き飛んで、溢れんばかりの活力に満ちることも説明される。
元々の呪いの意義は大昔に万病の霊薬と使われていたらしい。そのため狙われることが多く、口にしたものへの罰としての呪いが生まれたとのことだった。
練習が一段落したところで、突然下腹部に奇妙な感覚が広がり始めた。尿意に似ているが明らかに違い、同時に体がポカポカと温かくなり始めた。
「あの…なんだか変な感じがするんですけど…」
翼を腹部に手を当てるとアヤメさんは何かを理解し小さく苦笑いを浮かべる。そして、アヤメさんに手を引かれるまま建物の廊下を進み広い浴室へと案内された。
「これから起こることはハーピーとしては自然なことだからあまり驚かないで」
下腹部の違和感はさらに強くなり、服を脱がされ洗い場の椅子に腰掛ける。臍下に翼を押しつけると固い何かが一点に集約し、下半身に向かい始めているのを感じる。
体の内側で何かが形作られていくような、奇妙だが快感を伴う感覚がし何となくだが嫌な予感がしてきた…。
「ちょっと待って……こ、これって……」
自分に満ちる力が下半身に移動し、痛みと快感を伴いながら固形化していくのを感じずにはいられなかった。頭の中で状況を理解し始め本能的にそれを拒否しようとする気持ちが湧き上がったが、体はすでに自律的にプロセスを進行させていた。
「っっ!さすがに嫌だ!…い、いや、だ…っあああああんっ!!」
生まれ変わった性器から秘部が滴り始め、ぐしょぐしょに濡れぼそったハーピーの膣を通り抜けていく。無言でテンポよく圧迫するアヤメさんの翼と出口に近づくにつれ快感が高まっていく…。
「だっ…出しちゃ……ゔゔゔぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙ぅ゙!!!!」
快楽の極みへ昇りつめると同時にボクは両腿の間からコロンと卵のような何かを産み落とした。
卵を産み終えると体に別の変化が始まり、翼の羽毛が抜け始め、胸が平たくなり足も五本の指に戻っていく。脱力と共に人間の姿に戻っていった。
「まぁ、いずれ慣れるわ」
アヤメは僕の頭をポンポンと撫でた。その仕草は、まるで子供をあやすようだった。
「慣れるものなんですか…?」
ボクは疑問を口にしたが、内心では『多分慣れることはないだろう』と思っていた。こんな経験、何度繰り返しても受け入れられる気がしなかった…。
もう浴室の鏡を見ると、そこには元の男性の姿に戻った僕が映っていた。体は人間に戻っても心はまだハーピーの心から抜け出せずにいた。
寝る前までずっと今日の出来事を何度も思い返した。ハーピーとの邂逅、自身のハーピー化、衝撃的な産卵。全てが非現実的で夢の中の出来事で寝付くことができなかった。
[newpage]
それからというもの、僕は週に3回ハーピーに変わってライブハウスのお手伝いをすることが日常となった。当初は戸惑いの連続だったが、徐々に新しい生活のリズムが出来上がっていった。
「今日も大盛況だったし疲れたなぁ…」
長い裾のコートを脱ぎながら、僕は控室で愚痴をこぼした。
ライブハウスでの仕事は想像していたよりも大変だった。長い衣装で羽と爪を隠し客の前では普通の女性スタッフを装い、翼と鳥のような足爪を隠すため、常に長い服を着ることになり少しだけ暑苦しい。
今日のライブも終わり比較的早く人間の姿に戻ってしまったので、控室の掃除をしていた。床に落ちた羽根を拾い集め、衣装を整理する。単調な作業をしていると背後でドアが開く音がした。
振り向くと、そこにはハルちゃんが立っていた。しかし、いつもの明るい表情ではなく、顔を赤くして熱っぽい息をしていた。
「フー…フー…」
荒い息遣いと、獲物を見つけた狩人のような鋭い眼差し。ハルの足爪が床を引っ掻く音が耳に届く。僕は既に何が起きるか理解していた。
言葉を発する間もなく素早い動きで僕に飛びかかり、鋭い足爪で抑えつけられ、控室のソファーに押し倒される。爪ですべての衣服を引き裂かれ、あっという間に裸にされてしまった。
「オスの匂い……もう無理…我慢できない…」
発情したハルちゃんはスカートの奥の秘部からはだらだらと愛液を垂らしつつ、ボクの一物に馬乗りになった状態でまだ勃起していない僕の肉棒に擦りつけてくる。
普段は明るく振る舞う歌姫とはまるで違う肉食獣のような姿を初めて見た時は一瞬戸惑ったが、これも仕事の一部だと割り切ることにしているが可愛い顔に迫られてはドキドキしてしまう……。
「あっ♡…勃ったね……じゃあ挿入れるね」
躊躇なく広げた膣口は騎乗位の体勢で僕の肉棒を飲みこんでいく。人間とは違う構造のためだろうか、きつさがあるもののスムーズに奥まで飲み込んでしまう。
「んあぁッ!?♡♡」
最奥にコツンと当たるのを感じ取るとすぐさま前後に激しく動き出す。バチン!バチン!と肉同士がぶつかり合う音が響く。膣壁を擦りつけるたびに感じる刺激に悶えながら射精を促す激しい運動が続く。
「あぁぁぁ!!…わたしイク!!……イクイクイっちゃうぅぅぅぅ!!!」
その瞬間、子宮口が僕の亀頭に強く吸い付き熱い奔流を受け止め始めた。ハーピー独特の膣内が収縮を繰り返すのを感じ、圧迫感をトリガーに快感が流れ込み僕も軽くイってしまう。
体を反らしながら絶頂を迎えているハルちゃんのはしばらくビクビクと痙攣を続けていたが、再び血走った眼をこちらに向けたと思うと上下運動を再開させた。
「まだ…全然…全然!足りないよぉぉ!!!」
ばちゅんばちゅんと翼を抱きしめながら、耳元で力をこめた声で精力を強制的に引き上げて容赦なく搾精される。
こちらも弱い所を突き上げて何回もイかせ続けているのにハルちゃんは衰えることもなくヒートアップしていく様はハーピーならではのものなのだろう…。
「あ゙あ゙あ゙ぁ゙ぁ゙!!…また…イ゙グッ!!…ん゙ん゙んぴぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙ぃ゙!!!!!!」
「んっ!!ぐぅぅぅぅっ!!」
僕は十数回も膣内に白濁液を注ぎ込むことになり疲労困憊になっていた。しかし、ハーピーの性欲は満たされることはなく休むことなく腰を振り続くことを強制され快感を叩きこみ続けられもはや生きたディルドのような扱いであった。
やがて、満身創痍の僕を置いていきすべて解消したハルちゃんは感謝を述べるとスッキリとした表情で帰って行った。体を起こそうとするが、力が入らない。
『発情状態を静める』という仕事は、むしろ役得と言えるかもしれないが、文字通り死ぬほど疲れてしまうのが問題だった。
若いハーピーは定期的に興奮状態になり、その熱を静める必要があるのだという。歌に耐性の無い人間は精力を高められた時点でほぼ廃人になってしまうため、僕はその性欲処理も担っていた。
「うぅ……もう…ダメ……」
その言葉と共に、僕は疲労で意識を失った。
目を開けると、見慣れた天井が目に入った。柔らかなベッドの感触と共に、どこか大人な香水の香りが鼻腔をくすぐる。
「目が覚めたようね」
顔を向けるとベッドの脇に座りアヤメさんは穏やかな表情で僕を見下ろしていた。どうやら、いつものようにハルちゃんに搾り取られたあと、控室で眠り込んでしまったようだ。気がつけば事務室の部屋のソファに運ばれていたらしい。
「お疲れさま。ハーブティーを入れたから少し休め」
器用に足で差し出されたカップから立ち上る香りが、疲れた体を少し癒してくれる。
「ハルの相手でそのありさまじゃ、私の相手は無理ね」
冗談めかして言うアヤメさんに僕は少しムッとしたが、以前に酔ったしまったときにアヤメさんに迫ってしまったときがあった。
ハルとは違う種類の迫力で、あっという間に手籠めにされた記憶が蘇る。
あの時はハルちゃんとは比較にならないほどの激しさで、挿入しただけで壊れた蛇口のように精液を吐き出すオモチャになってしまい、あっという間に手籠めにされた記憶がよみがえり苦笑いをする。
ハーブティーを飲み終え、少し落ち着いてきたところでアヤメは真剣な表情に戻った。
「そろそろ試用期間が終わるけれど、どうする?続けるかしら?」
そう言われて初めて時間の経過を実感した。
あの不思議な出会いから早くも3ヶ月が過ぎていて、週3回のハーピー化と、ライブハウスでの仕事、そして時々のハルちゃんのお相手の対応。決して楽な仕事ではなかったが不思議と辞めたいとは思わなかった。
「続けます!」
即答する自分に少し驚きもしたがそれが本心だった。する瞬間の快感は何物にも代えがたく、すでに一種の癖になっていた。大変な仕事ではあるが、ハルちゃんもアヤメさんも不思議と好感の持てるハーピーだった。
確かに、最初は手がない状態の動作も分からず、鳥のような関節の足での歩き方にも苦労した。しかし今では、業務が早く終わりハーピー化が解けないときは羽を広げて自宅まで飛び帰ることもあった。いつの間にか魅了の声も、僅かながら使えるようになってきていた。
「さすがは私が見込んだ人間だ…実はもう一つ、手伝ってほしいことがあるのだが」
予想外の提案に、僕は目を丸くすることとなった____
[newpage]
あれから数ヶ月が経ち、すっかり冬の気配が漂い始めた季節。僕は楽屋でタオル一枚になり、鏡の前に立っていた。手には金色に輝く卵が握られている。
「……よし!」
自分に言い聞かせるように呟くと、片手で器用に卵を割りながら口に流し込むように飲み込む。生で食べることで起こる急激な変化の快感は今では楽しみの一つになっていた。
「うっ!…来るっ…!!」
心臓が大きく鳴った瞬間、体の変化が始まる。骨格が急速に組み変わりながら胸が微かに膨らみ始る。髪が伸び赤く染まっていき抱くように構えた腕は翼となる。
変身の過程で味わう快感は数十秒の間に圧縮されその強烈さは凄まじいもので、変化が終わる瞬間は必ず、蕩けるような表情を浮かべてしまう。
「あ゙あぁぁぁ…あぁ……」
ハーピー化が完了し度深呼吸をして落ち着きを取り戻す。短時間で男としての種を吐き出しきり、白濁まみれになっている巻いていたタオルを控室にある洗濯機に放り込む。
慣れた手つきで真紅のドレスを身につける。
以前は羽を隠す衣装を着ていたのだが、ボクの提案でを肩を出し、衣装の飾りとしてハーピーの翼をそのまま見せるスタイルに変更してもらった。観客からの人気も高く、特殊効果か何かだと思っているようで誰も気づかないので好都合だった。
「~♪~♪……うん!これでOK」
軽い声出しも終わり本番を待つ。今ではすっかりステージに立つことが当たり前になり、むしろその高揚感を楽しみにしていた。
最初にアヤメさんから提案された時は迷ったが、一度経験してみると思いのほか自然に歌うことができた。度重なる変身でハーピーの本能というのか、歌うことへの親和性は高くなっていたのだと思う。
「今日も満員だよ!みんな私たちの歌を聴きに来てるんだよ!」
ドアが開き、ハルが顔を覗かせた。いつもの明るい笑顔で、綺麗なピンクの翼を引き立たせる可愛いステージ衣装を身にまとっていた。
数分後に会場内の照明が落ち、観客のざわめきが静まる。一条の光がステージを照らし出し、ボクとハルの姿を浮かび上がらせる。
歌い始めると、ハーピーの魅了の力が自然と声に乗る。客席の観客たちが一様に見入る様子が見える。
色や光度を変えながらステージの照明が様々な角度でボクたちを照らし、会場全体が一つの世界に包まれていく。
ハルとのデュエットになると、会場の空気が一層緊張感を増した。二人のハーピーの声が交わり、時に絡み合い、時に離れていく。その度に、観客からは歓声と拍手が沸き起こった。
(こんなに楽しいことだったなんて……)
何度もステージをこなすたびに、パフォーマンスも上がり、何より歌うことの喜びを知った。
かつて契約延長を決めた時は、単なる高給への魅力だったが、今はこのステージで歌うことが最大の理由になっていた。
ハーピーとして生きる時間と人間として生きる時間の両方の世界を行き来できるボクは、ある意味で幸運だったのかもしれない。
そしてこの先も、この二重の生活を心から楽しんでいけるような気がしてならなかった……。