ねがいごと

  ー「ねがいごと」

  きょうは、たなばたらしい。

  このまえの日曜日、

  ピンポンってなって大きなダンボールあけたら、プラスチックで出来た小さい笹がとどいてた。

  どうやらぱぱがこの日のためにネットで買ったらしい。

  ままは「またそんなの買ったの?」ってあきれたかおしてたけど。

  ぱぱひとりだけすごくうれしそうだったよ!

  コロナでお外にあんまり出られないからって、おうちで楽しもうねって!

  ぱぱに「てて、ねがいごとかいてない」っておこられた。

  ねがいごと…

  新しく出たくまちゃんのおもちゃ?

  おいしいもの??

  たくさんおでかけしたいけど、まま赤ちゃんいるし……

  ままの赤ちゃんにはやくあいたいとか?

  うーん、ぱぱとままはなんてかいたんだろう?

  「皆が健康で過ごせれますように。」

  「家族全員が幸せに過ごせれますように。」

  ままとぱぱの字でかいてあるけど、漢字が読めないからわかんないや。

  けどふたりとも、机の上でなかよく笑いあって書いてたから、きっと楽しいお願いごとなんだろうなぁ。

  「てて、書けた?」

  えんぴつずっとにぎってるぼくに、ままがやさしくこえをかけてくれた。

  「ぱぱにはないしょだよ?

  まだね、かけてないの……ぼくたくさんあるから……」

  ぱぱにいったら絶対怒られる。

  けどままも困っちゃうかな?

  「じゃあ、ててが1番叶えたいことは?」

  怒られると思ったのに。

  ままはやっぱり優しかった。

  いちばん叶えたいこと…

  「わかった!かく!」

  かけたけど、はずかしいからそっとぽけっとの中にかくしておいた。

  すこししたらぱぱが笹にかざりたいからって、ぼくのねがいごととろうとしたから、自分でかざるって嘘ついちゃった。

  ウソはダメだってままとぱぱに怒られてるのに、ごめんね。

  あとでこっそりかざっておくのはほんとうだから、ウソじゃないよね?

  ままとぱぱが星のかたちをしたにんじんがはいってるシチューをつくってるあいだに、ぼくはベランダに置いてある笹に、ねがいごとの紙をかけておいた。

  みんなでシチューを食べたあと、ベランダでいっしょに星をながめることになった。

  今日はくもってて、そんなにきれいに星はみえなかったけど、ひさしぶりにままとぱぱがはしゃいでる姿見れて、なんだかうれしかった。

  ままは前よりはうごけるようになった。

  でもさいきんはお腹が大きくて重たそう。

  ごはんもおなかがおおきくなったら、すこししかたべれなくなっちゃったみたい。

  もうすぐうまれるかもしれないから、ちょっと不安なんだって。

  ぱぱに怒っちゃうのがいやだって、ぼくにいってた。

  けど、ほら。

  ぱぱ、いちどもままに怒ってないでしょ?

  いまもずっとお空じゃなくて、ままのことみてるよ。

  まま、ぼくもいるんだよ。

  ぱぱみたいに包み込めるようなおおきい手じゃないけど、いつかはぱぱみたいに大きくなる予定だし。

  つたわるかわからないけど、お空に夢中なママの手をゆっくりにぎった。

  パパという先約がいたけど。

  しばらくのあいだ、

  ぼくの弟がうまれたあとのお話とか、彦星と織姫のお話を聞きながら、ベランダに座っていた。

  けど、あっというまにいつもの寝る時間がやってきた。

  ふわぁ〜。

  「テテ、もうねむたい?」

  ままがぼくがあくびをしたのをみて気づいたみたい。

  「うん…ねむたくなっちゃった。」

  「そっか、じゃあおふとんはいろっか?」

  「……ままは?」

  「ままはまだやることたくさんあるから、まだ寝ないかな」

  「そっか、じゃあぼく先に寝るね?」

  ままのやりたいことを優先してほしかったのに、けっきょくぼくのおふとんについてきてくれた。

  僕が目をつむるまで、ままはいつも一緒におふとんにはいってくれて、トントンってやさしくたたいてくれる。

  この動きと、ままの体温とかおりがここちよくて幸せなのに、すぐにねちゃいそうになるんだ。

  ままは朝起きると、僕じゃなくてぱぱに抱きついて眠ってる。

  だから僕がねたら、このあとぱぱにとられちゃうの分かってる。

  ああ、

  今日もまだいっしょにままといたいのに、ねむたくなっちゃった。

  「まま、だいすき、おやすみ……」

  「テテ、おやすみ、だいすきだよ」

  ままのこえがどんどん遠くなっていく。

  『ままにたくさんあまえたい。』

  ぼくのしわしわになっちゃったねがいごと、かなうといいな。

  🎋