AdAd
  
虎々てんたくる その2

  「着きましたよ。」

  時間にして1,2時間ほどだろうか。うとうとと迫り来る眠気と戦っていた虎に声が掛けられた。

  はっ、と顔を上げて虎は馬車から降りる。鬱蒼とした森の中。陽の光もそこまであたらずどこか不気味だ。

  「あ、危険なので剣は預かっておきます。」

  危険だからこそ剣を持っておきたいのだが。…しかし断った事で話を破棄されても面倒だし、もったいない。

  虎はしぶしぶといった感じで獅子の男に剣を預けた。

  代わりに、という訳では無いだろうが獅子の男は水筒とわずかばかりの食料を虎に渡した。

  「水と食料です。…安心してください。近くには川も果実の成る木もありますから。」

  「分かった。」

  「それに、3日経ちましたらまた来ますので。その時にまた食料をお渡ししますね。」

  「…ここで1週間か。」

  「はい。それでは、私はこれで。」

  頭を下げて獅子はまた馬車に乗り込みその場を後にした。

  その馬車を見えなくなるまで見送り…虎はせせらぎの聞こえるほうへ歩き出した。

  

  「だんな。あいつ…何日で堕ちると思います?」

  馬をいなしながら馬車の主はにやにやとした笑みを浮かべて獅子に尋ねた。

  「さぁ。…私が行くころにはもう狂っていると思いますよ。」

  獅子もまた、薄暗い、いやらしい笑みを浮かべていた。

  

  さて、そんななんとも薄気味悪い会話なぞ知る術も無い虎は川に来ていた。

  ここは先ほどと違い陽の光が良く当たっている。

  せせらぎが聞こえていたから迷う事も無かったが…思っていたより遠く。

  というか道が険しかったせいで全身が汗まみれだ。

  「…ちょっくら水浴びするか。」

  呟くや否や虎は水分のしみこんだシャツとズボンを脱いだ。

  陽の光で温まっている岩の上にそれを投げると虎はしゃがみ込み川の水を手ですくった。

  冷たく、気持ちが良さそうだ。見た目にはとても綺麗である。

  しかしすぐ入る事はせず、目を凝らして川を見渡してみる。

  清らかな流れに、優雅に泳ぐ魚の群れを見つけた。あれは、清流にしかすめない魚である。

  大丈夫そうだ。そう判断した虎はまだ身につけていた下着を脱いだ。

  シャツ越しでも分かるほどだったが、全身の筋肉は畏怖を覚えるほどの盛り上がり。

  そして白い陰毛に覆われている股間部には萎えていても尚存在感のある肉棒がぶら下がっていた。

  根元の睾丸は鶏の卵ほどの大きさで、同性からも羨ましがられるほどだ。

  現に傭兵になりたての頃は上司などに体を求められたものである。

  虎はすぅ、と息を吸い込みゆっくりと川の中に進んでいった。

  冷たく心地よい水が虎の全身をしっとりと濡らしていく。

  そういえばこんな川で水浴びをしたのはいつぶりだろうか。

  そんなことを思いながら両手で水を掬い飲む。

  気がついていなかったが喉が酷く渇いていたのか冷たい水がとても美味しく感じた。

  もう一口飲み、ぷはぁ、と幸せそうな息を吐いた。

  しばらく水浴びを楽しみ、川岸に上がる。

  全身をぶるぶる震わせて体についていた水を飛ばし、シャツなどを置いていた岩の上に腰掛けた。

  じんわりと暖かい岩が少しばかり冷えた虎の体を温める。

  まだ食料などの問題はあるが…ここで1週間。それだけであれだけの金貨がもらえるのだ。

  当初に感じていた怪しさなど当に忘れて。虎は渡されたわずかばかりの食料が入った袋を開けた。

  中にはシリアルバーのようなものが一口サイズで何個か入っていた。

  ぽいぽいと数個口に放り込み咀嚼する。

  甘ったるいような、それでいて辛いような。そんな奇妙な味に虎は顔をしかめる。

  まぁ研究者が作ったものなのだろう。水筒に入っていた水で流し込む。

  眉間にしわを寄せたまま、虎は岩の上でごろりと寝転んだ。

  …陽の光が眩しい。それに暖かい。

  「くわぁぁぁぁ…」

  虎は大口を開けて欠伸をした。なんだか酷く眠くなってきたのだ。

  それに、なんだか全身が温かいと言うより、熱くもなってきた。

  股間の肉棒に血が集まっていくのが分かる。

  性欲が高まった時のようだ。

  しかし、それ以上の眠気が虎の思考に靄をかける。

  虎は衣服も身に着けず、そのまま眠りについてしまった。

  鬱蒼とした森で蠢く、触手の存在にも気がつかずに。

  

  

  

  野太い嬌声のような声が聞こえる。

  ずちゅずちゅと生々しい音が聞こえる。

  「ん…んぅぅぅぅ…」

  虎はその音で目を覚ました。

  そこは先ほどまで見えていた空とは全然違う光景だ。

  暗闇の中で、虎は顔を何度も動かす。しかし何も見えず、空を仰いで、ようやく星の瞬きが見える程度だ。

  もうすでに夜になってしまったのか。いや、それになんだこの違和感…

  寝起きで良く動いていない頭を無理やりフル稼働させる。

  「んぁぁぁぁっ!イグッ!またっ、いっぢまうぅぅぅぅ!」

  そしてそれを邪魔するのは男の声だ。その声にはおおよそ理性というものが感じられず。

  混乱する虎の頭をさらに混乱に陥れる。

  立ち上がろうとする虎だが…そこで違和感の正体に気がついた。

  岩の上に横になっていたはずなのに、今は立っているのだ。いや、立たされているといったほうが正しい。

  両手と両足がなにかじっとりとぬれた紐のようなもので縛られているのだ。

  「なんっ…だこれっ!?」

  思わず声を出し、両手に力を入れてその縄を千切ろうとする。

  しかし虎の筋肉が盛り上がるだけで、とてもその縄は千切れそうにも無い。

  その時、縄がぐねぐねと動いたように虎には感じた。

  暗闇の中で、何かが虎の体に巻きついた。

  「やめろっ…なん…んんむむぐぐぐ!!」

  全身に巻きついた縄は虎の体のあらゆる場所を弄り始めた。

AdAd