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友達の熊獣人の家族になっちゃうお話

  「おーい熊田、今日お前ん家行っても良いか?」

  魔法学校も終わった帰り際に友達の熊田に話しかけると

  いつも通り少しビクッとした感じにこちらに向くとニコっと笑うと

  「うん、いいよ」

  と、カバンを肩にかけると大柄な身体を椅子から立たせてこちらに来た

  いつ見ても熊獣人である事を考慮したってかなりの大柄だ・・・2mは平気で超えてる・・・

  「どうしたの?呆けちゃって」

  こちらに来て背をかがめてジーっとこちらを見てくる熊田に気づいて少し驚いたが気を取り直して

  「なんでもないよ!ほら行こうぜ!」

  熊田の腕を引いて学校を後にした

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  熊田の家に行く帰り道、こちらをチラチラと見てくるのに気づいた

  「どうしたんだよ急にチラチラ見てきて?」

  疑問をぶつけると熊田は少し気まずそうに

  「いや…その、今更だけどなんで僕なんかと友達になってくれたのかなって、ほら僕って大きいから怖がられるし、獣人って人間とはちょっと違う魔法を使うって言うからみんなもあんまり近寄って来なくて…それにほら、あんまり喋らないし…」

  少ししょぼんとした様子で話す熊田に俺は

  「そんなの気にする事無いって!人間の俺からしたらめっちゃ大きくて羨ましいくらいだしさ!それに話したら気が合ったんだから友達になったんだし!」

  俺がそう言うと熊田はパァッと表情を輝かせて

  「嬉しい!ありがとうね!この大きい体の事、羨ましいなんて言われたの始めてだよ!」

  そう言って筋肉と脂肪が詰まってる太い腕を俺の身体に回すとヒョイッと重さなんて感じてない様に軽く抱き上げてくる

  「わっわっびっくりするって下ろせって!」

  熊田はよほど嬉しかったのかそのまま抱きかかえられたまま熊田の家まで行ってしまった

  幸い道中は誰も通りかからなかったとはいえかなり恥ずかしい…

  [newpage]

  「くつろいでってね」

  熊田の家に入るとようやく下ろしてくれてリビングまで案内してくれた

  部屋自体が相当デカイし家具とかも部屋のデカさに似合うビックサイズだ

  座布団を敷いてテーブルにお茶の入ったコップを用意してくれたけどこれコップか?ジョッキの間違いじゃないのか?座布団だってこれ敷いて普通に寝れるデカさだぞ…?

  熊田の家族もみんな熊田と同じくらい、いやそれ以上にデカいのかと思うとちょっと興味がわいてきた

  「熊田ってそういや家族とかってどうなってるんだ?」

  なんとなく聞いてみるとこれまた嬉しそうに

  「お父さんとお母さんはね海外でレスラーとして頑張ってるんだよ!」

  そう言って両親の写真を見せてくれたり武勇伝を語ってくれたりした

  あえて魔法を使わず、肉弾戦で魅せるレスリングには確かに熊田みたいな大柄の獣人は向いてるだろう

  両親の事を語る姿はとても嬉しそうで、普段の大人しい熊田からは想像できも出来ない

  「それに兄ちゃんは建設会社で色々頑張ってるし!」

  家を建てたりしてる様子を撮った写真なんかを見せてくれたりして熊田は本当に嬉しそうだ、家族が大事な様子が伝わってくる

  「キミは家族とかってどうなの?」

  熊田が興味ありげに聞いてくるが生憎と天涯孤独の身だとそれとなく伝えると熊田は

  「ご、ごめんね、聞きにくい事聞いちゃって…」

  と謝ってきた、気にしてないよと伝えたがちょっと気まずい雰囲気だ…

  どうしようかとお茶を飲みながら考えてると熊田が口を開いてきて

  「それじゃあね、あのね、もし良かったらキミも僕の…」

  「今帰ったぞ~!!!」

  熊田が何かを言いかけた所で玄関先から大きな声が響いた

  その後ドシドシと重量感のある音と共に小山と見間違う巨体がリビングに入ってきた

  「お?なんだ客か、良く来たな!」

  ガハハと笑う巨体には見覚えがあった、さっき写真で見た熊田の兄だ

  「兄ちゃんお帰り!紹介するね、僕の友達なんだ!」

  熊田の紹介に続いて自己紹介をすると熊田兄は嬉しそうに

  「ワシは見ての通りコイツの兄ちゃんじゃ、弟が世話になっとるみたいじゃのう!」

  大きい声でガハハと笑う姿は熊田と正反対で細かいことも笑い飛ばす豪胆さを感じさせる

  「ちょうど良いわ飯でも食ってけ、ついでに泊まってけ!学生なら明日休みじゃろう!」

  流石にそこまでは…と断ろうとしたが熊田の嬉しそうな顔を見て止めた

  まぁ少しくらいは良いだろう、どうせ家に帰っても天涯孤独の身、誰も戻って来やしないのだ

  快諾すると熊田が嬉しそうな声で

  「やったあ!それじゃあ準備しなくちゃ!キミは座っててね、ほら兄ちゃん手伝って!」

  と、いそいそと熊田兄と一緒に部屋の外に出て行ってしまった

  「喜びすぎだろ熊田…」

  ちょっと引きつつもしばらくテレビでもつけて待っている事にした

  特に興味も無い番組を流しながら待っていると何か部屋の外から漏れ聞こえて来た

  「・・・でね、…も…にしてあげようかなって」

  「ワシは良いが…は・・・するんじゃ」

  「平気…使えば…改変…いないし・・・」

  料理の献立でも話しているのだろうか?

  特に気にも留めずテレビを見て待っていることにした

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  「お待たせ!いっぱい作ってきたよ!」

  「ワシらの自信作じゃ!」

  そう言って大量に運んできたのは肉、肉、肉、飲み物、肉…肉ばかりである

  「テーブルの上が肉で一杯だ…」

  若干の威圧感を覚えつつテーブルの上にところ狭しと並べられた肉の山を見る…見た事ない料理ばっかりだ

  「せっかくキミが来てくれたから熊族の伝統料理にしてみたよ!」

  「たっくさん食え食え!若いんじゃからな!」

  そう言って熊田兄は肉を大量にみんなの皿によそい、熊田は赤い飲み物をコップに注いでくれる…これも見た事無いが熊族の料理なのだろう

  獣人の伝統料理は結構まだ人間には馴染みが無いのだ

  「それじゃあ準備は終わったみたいじゃのう!それではいただきますじゃあ!」

  熊田兄に続いて熊田と俺もいただきますと言うとよそわれた肉にかぶりつき始めた

  「めっちゃ美味しい!!」

  率直な感想が出た、肉の山だというのに癖も無くスルスル食べれるしこの赤い飲み物も凄くイケる

  その食べっぷりを見て熊田も嬉しそうにしてるし熊田兄も気に入ったようでどんどん肉を渡してきては飲み物を注いでくれる

  熊族の伝統料理を粗方食べつくした所でふわふわとした満足感と地面に足がついて無い様な浮遊感に襲われてとても幸せな気持ちだった

  「どうだった?気に入ってくれたかな?」

  熊田がいつの間にか俺の横に来て抱き着いてくる、毛皮の感触とその下にある筋肉と脂肪の感触が心地良い…

  「うん、とても満足した…」

  心地よさを感じていると後ろから更に別の感触に挟まれた

  「それは良かったのう、ほれワシのも味わうんじゃぞ」

  背中越しに感じるのは熊田兄の身体だろう、熊田よりも建築会社で働いてるせいか筋肉の方が付いている感触を感じる

  「あ~…なんか幸せ…」

  満足感と浮遊感に襲われながら二人の身体の感触を感じるのは幸せだった

  どんどん頭の中がグルグルして良く分からなくなっていく

  「お兄ちゃん」

  熊田の声が聞こえる、お兄ちゃん?後ろの熊田兄の事かな?

  「ワシの可愛い弟よ」

  熊田兄の声が聞こえる?弟?熊田の事かな?

  「お兄ちゃん」

  「弟よ」

  「お兄ちゃん」

  「弟よ」

  「お兄ちゃん」

  「弟よ」

  そんな言葉が繰り返し、繰り返し聞こえる

  あぁそうだこれ、俺に言われてるんだっけ

  何で言われてるんだっけ?俺って熊田のお兄ちゃんだっけ?

  あれ?俺なんでこうしてるんだっけ、いっつもこうしてるんだっけ?

  よくわからない、ふわふわしてる

  「俺ってなんだっけ?」

  「「家族だ」」

  あぁそうだった俺って家族だった、兄貴に抱き着かれて弟に抱き着いて…

  あぁでも幸せ…

  身体が変わってく、元に戻っていく、俺は家族なんだから熊獣人な筈なのになんで人間のフリなんてしてたんだっけ・・・

  どんどん身体が大きくなっていく、身体にも元の獣毛が生え揃っていく

  腕や脚は元通りに筋肉と脂肪が詰め込まれて太く大きくなっていき

  爪も鋭いものが生えていく

  耳は頭に丸くなりながら戻っていき鼻も黒く染まって前に伸び、より大好きな弟の匂いを強く感じ取れていく

  そして抱き着いた弟の顔が正面から見えるくらい元通りに大きくなると大好きな兄弟に挟まれながら、俺は眠りに落ちた…

  [newpage]

  「うーん…あれ俺何してたんだっけか」

  自分の部屋で目を覚ますと机の上に突っ伏していた

  目の前には魔導書がある辺り、執筆して魔力を込めた後眠ってしまったらしい

  ぐるりと部屋を見渡すと何故か違和感があった、普段から生活している自分の部屋、見覚えしかないはずなのに何故か違和感がある

  まだ重い体を引きずりながら姿見を見るといつも通りの自分が映る

  2mは軽く超えている巨体に少しぼさぼさになった茶色の獣毛

  最近ずっと魔導書執筆の仕事をしていたせいかお腹が出始めている

  それでも鍛えてた筋肉は未だ衰えて無いのか腕や脚はまだ筋肉質であった

  そう、[いつも通り]見慣れている熊獣人の姿が映るだけだった

  「ふぁ~あ…今何時だ?」

  何気なく見ると朝の5時、いつも通り兄貴達の弁当と朝飯を作るのには良い頃合いだ

  俺はゆっくりと音を立てない様に2階の自分の部屋から1階に降りてキッチンに入ると冷蔵庫を開ける

  「あれ、肉の在庫減りまくってる…兄貴のやつまたつまみ食いでもしやがったな…!」

  起きてきたら問い詰めてやろうと思いつつ普段通り朝食の準備を始める

  いつも通りの献立、いつも通りの弁当作り、何故か少し違和感があるがそんな事より今は目の前の料理を上手く作るかの方が大事だ

  しばらくしてると俺の耳がピクリと動き、ドシドシと聞き覚えのある音が階段から響いてきた

  「おはよう弟よ!朝が早いな!」

  ガハハと朝からうるさい兄貴が起きてきた

  「兄貴!また冷蔵庫の中身つまみ食いしやがったな!肉の在庫減りまくってるじゃねぇか!」

  怒りを向けて怒ると兄貴はキョトンとした感じで

  「なるほどそうなってるんじゃな」

  と意味不明な事を言ってきた

  「あぁ?なに変な事言ってんだ?それよりさっさと顔とか洗ってこい、兄貴と違って可愛い可愛い弟が起きてくる前に身支度整えとけよ!」

  そう言うと兄貴はいつもの調子で

  「すまんのう!じゃがワシも可愛いじゃろ?うん?可愛いじゃろ?」

  なんて変な事を言ってきやがったので思いっきり腹に蹴りを食らわせてやった、その後もしつこく絡んできたのを振り払って洗面所に押し込んでやった

  30超えた奴が何言ってんだ…俺も27で秒読みだけどよ

  弁当を作り終え朝食を並べると、階段からトシトシと音がしてくる

  聞きなれて毎朝の楽しみになっているこの音に尻尾も自然と揺れてくる

  「おはようお兄ちゃん」

  見慣れた末っ子の姿が目に入る

  「おはよう可愛い可愛い弟よ、今朝も可愛いな」

  そう言って思いっきりなでなでしてやる、少し恥ずかしがった顔もするがそこもまた可愛いのだ

  「ねぇお兄ちゃん、何か変わった感じとか…ない?」

  弟はこちらを探る様に見てくる、なんか不思議に思ったが特に深く考えず

  「ちょっと寝落ちしたせいで身体に違和感あるくらいだ、大丈夫だよ」

  そう答えると弟は嬉しそうに笑って

  「やった!ありがとうねお兄ちゃん!」

  そう言って抱き着いてきた、とても可愛い

  「おーおー良く分からないが朝食の前に顔を洗ってきな、兄貴がいるからおはようも言ってこいよ」

  弟は分かった!と言って洗面所に行った・・・うむ、可愛い弟だ

  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  「おはよう兄ちゃん!やったよ無事成功!」

  「おはようじゃ!良かったのう、ワシも初めてじゃったからな」

  2人の熊獣人が洗面所の中で会う、なんら変わりない光景だが彼らは計画が上手くいった事を喜び合った

  「それにしても家族に迎える為に現実改変魔法とは…あれは一応熊族の中でも禁術なんじゃがのう」

  「だってほら寂しそうだったし…悪い人じゃなかったから、一緒にいたいなって…」

  「優しいのう・・・よし、しっかりと兄弟として家族として迎え入れてやらねばの!」

  そう言って2人の熊獣人は身支度を整えてリビングに向かう

  新しい家族の美味しい料理をいつも通りに食べて家族として迎え入れる為に

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