宝守ドラゴン

  グランとアイリスは冒険者として旅をしている。グランは背が高く逞しい20代前半の男で、身体能力が非常に高い戦士であり、剣だけに限らず様々な武器を駆使して戦うことが得意だ。冷静で勇敢な性格であるが、信念が強いために融通の利かいない一面もある。一方、アイリスは背が高くスタイルも良い20代前半の女性で、大人しい性格だが知識欲が旺盛で、常に新しい魔法を学ぶことに熱心である。それ故、若くして賢者の称号も与えられている。

  そんな二人は3年前に冒険者ギルドで初めて出会った。お互い冒険者になることは決めていたが、仲間がいなかったので、冒険者ギルドで良さそうな人を紹介してもらったのだ。二人はそれまでお互いを知らなかったが、同じ街に住んでいた。そのため、ローカルトークでも話が弾み、すぐに意気投合した。

  二人がパーティーを組んで最初に挑んだのは、『スライムのダンジョン』だった。ここはその名の通り、スライムがたくさん出現する初心者向けのダンジョンだ。スライムは透けて見えるコアを破壊するか、体から取り出すと倒せるが、ぐにぐにした体なので、剣でも勢いよく斬撃を与えないと意外に斬れない。スライムくらい勢いよく斬れないと強靭な肉体を持つ他のモンスターを倒すことは困難だ。なので、このダンジョンは修行場としてもうってつけの場所だった。

  二人は薄暗いダンジョンの中に入った。ダンジョンは不思議なことに薄暗いが全くの暗闇ではないのだ。二人は話しながらダンジョンに潜っていく。

  「グランはもういくつかダンジョンを攻略しているんだっけ?」

  「嗚呼、そうだな。初心者向けのダンジョンはいくつか回った。ここは初めてだが、俺のランクからするとこのダンジョンは余裕のはず……アイリスとは初めてパーティーを組むから、比較的安全な場所でお互いの実力や相性を見ておきたいと思ってな」

  「そうだね。私はまだ一度しかダンジョンに入ったことがないから……足手まといになっちゃうかも……」

  「気にするなよ。俺は魔法なんて使えないから補助してもらえると助かるよ」

  「そ、そうかな。頑張るね」

  「お、言っているそばから早速出てきたぞ。これは普通のスライムだな」

  グランは早速、剣を引き抜いてスライムを真っ二つにした。コアを斬撃で破壊したので、スライムは瞬時に動かなくなった。

  「すごい。一発で仕留めちゃった」

  「これくらいできないと上級ダンジョンには挑戦できないからな。それより、スライムのコアの欠片はギルドに持って行くと売れるが……回収する?」

  「ううん、いいよ。今日は戦利品入れる袋とかそんなに持って来ていないし……プラチナスライムとかだったら話は別だけど……」

  「そうだな。あれはなかなかお目に掛かれないレアものだからな」

  『スライムのダンジョン』は様々なタイプのスライムが出現する。炎を吐くもの、毒を放つもの、電撃を繰り出してくるもの……ダンジョンの奥に進めば進むほど、多様なスライムが出現するので、それらに対処することも含めてここは修行場として効率的な場所なのだ。

  「次はアイリスがスライムを倒してくれ。いろいろ魔法が使えることは聞いているが、実践的にどうなのか見ておきたい」

  「わ、わかった! 頑張る!」

  アイリスは気合いを入れた。

  洞窟のようなダンジョンを進むと、すぐに新たなスライムが天井から現れた。

  「フ、フレイムー!」

  アイリスは持っていた杖先をスライムの方に向けて呪文を詠唱した。すると、杖先から轟々とした炎が発生し、スライムの方に勢いよく飛び出した。スライムは炎に包まれ、跡形もなく消失した。

  「おお……やるじゃないか。コアも残らないくらい丸ごと焼き尽くすなんて。本当に初級冒険者なのか?」

  「え、えへへ……そうだよ、まだまだ初心者だよ。でも、魔力を高める修行と魔法の練習は頑張っていたからね」

  「すごいな。大物になる予感しかしないぞ。もっといろんな魔法を使うところを俺に見せてくれ!」

  「わ、わかったよ」

  二人はその後も出現するすべてのスライムを倒していった。アイリスは火だけでなく、風、水、土、闇、光、治癒など……本当に様々な魔法を習得していて、グランはかなり驚いた。あまり自信がなさそうにしているが、アイリスの放つ魔法は威力もすごい。グランはアイリスとパーティーを組んで正解だったと思い始めていた。

  「ふぅ……だいぶ奥まで来た気がする。そろそろ出口かな?」

  「うーん、俺も初めて来たから分からん。他の冒険者も先に行ってしまったからなぁ」

  ダンジョンは一方通行になっている。まっすぐ進んでいくと、やがて地上に戻る出口へと繋がっているが、迷路になってなかなか出口に辿り着けないことも少なくない。ダンジョンの出口は世の理を曲げられており、出口からは絶対入ることができない仕組みになっている。『スライムのダンジョン』は複雑な迷路はないと二人はギルドから聞いていたはずだが……。

  「ねぇ、グラン、この壁から漏れている光って何だろう?」

  「壁から光?」

  洞窟タイプのダンジョンで光を発するものと言えば、アイテムくらいしか思い付かない。

  「確かに、薄っすらこの壁光っているな……」

  グランが不思議に思いつつその壁に手を当てた時だった。

  「う、わぁぁぁっ!」

  「グ、グラン!!!」

  グランは壁の向こうにすり抜けていった。

  「グ、グラン、大丈夫?」

  アイリスの心配そうな声が壁の向こうから聞こえる。

  「ここは……通路が少し光っている。明らかにこれまでの通路とは違う。もしかして隠し通路か……アイリス、君もそのままこっちに向かって直進してくれ。多分そのまますり抜けられると思う」

  「わ、分かった!」

  壁の向こうのグランは大丈夫のようだ。アイリスは意を決して壁に直進した。すると、壁に肌が触れる感触は一切なく、別の通路に出た。

  「あ、グラン。ここは……?」

  「多分、隠し通路だ。他の冒険者の気配もしない。もしかしたらまだ発見されていなかったところかもしれない……」

  「え? そ、そうなの? 隠されてるってことは、何か重要なものがあったりするのかな……?」

  「嗚呼、とんでもないお宝が見付かるかもしれないぜ」

  「そ、それはすごいね! でも……やぱり強いモンスターもいるんじゃないかなぁ……」

  「そうだな。いる可能性は高い」

  「えぇぇー! それなら……やめておこうよ。私達、今日初めてパーティーを組んだばっかりだし……」

  「うーん……確かにそうなんだが……俺はこの先に何があるのか知りたいよ。それにスライムではちょっと物足りなさを感じていたんだ」

  「え、えぇ……グラン、行く気満々じゃない……」

  「アイリス、怖いならここで待っててくれても構わないぜ。俺がこの通路の先まで確認したら戻って来るからさ」

  「ちょ、ちょっと待ってよ! ダンジョンで一人にしないで! わ、私も行くよ……」

  アイリスは未知の通路よりダンジョンで一人にされる方が嫌だった。

  「よし、それじゃあ、今まで以上に慎重に進もう」

  「うぅ……分かったよ」

  アイリスはグランには結構頑固なところもあるんだなとこの時初めて知った。

  二人は慎重に洞窟の中を進む。奇妙なことに、全くスライムが現れない。

  「静かだね……」

  「嗚呼、スライムの気配もモンスターの気配も全く無いな……なんか普通じゃない」

  「うぅ……この先に何があるんだろう……」

  アイリスは恐々と杖を構えているが、グランはワクワクしてるような感じだった。

  「あれ、扉がある……」

  「本当だ。今まで扉なんて一つも無かったのに……」

  いかにもお宝があるような、それでいてそれを守る強敵がいるような雰囲気を放っている。

  「ほ、本当に行くの?」

  「嗚呼、ここまで来て行かないのは無いだろう?」

  「でも何がいるのか分からないし……」

  「怖かったらアイリスはここで待っておくといいよ。この通路はモンスターも出現しないみたいだし」

  「またそのパターン!? い、行くよ! 私を一人にしないで!」

  アイリスはグランに乗せられる形で同行することになった。

  「ここまで使ったことないけど、アイリスは回復魔法も使えたよな?」

  「うん。使えるよ」

  「それじゃあ、いざって時は頼むぜ!」

  グランは謎の扉を開けた。

  扉を開けた先は何もない部屋だった。洞窟ではない。石造りで囲まれた空間だった。

  「あー、これはもしかして先駆者が既にお宝持って行っちゃったやつか……?」

  「えぇー! それじゃあ、今までのやり取りは取り越し苦労?」

  アイリスはへなへなと床に座り込んだ。

  「まあ、そういう時もあるって……って、何かの気配がある」

  「え? どこどこ?」

  アイリスはその気配をまだ察知していない――その時、勢いよく扉が閉められた。

  「閉じ込められた!? アイリス、身構えろ!」

  「は、はい!」

  アイリスは立ち上がって慌てて杖を構え、周りを警戒した。

  「何か来る!?」

  グランが剣を構えたところに向かって、虹色のスライムが飛び込んできた。

  「ぐっ……あぁっ!」

  グランは剣で何とか弾き返した。

  「だ、大丈夫? グラン? 虹色のスライムって……もしかしてプラチナスライム!?」

  「ハァハァ……大丈夫。間違いない……プラチナスライムだ。つまり、こいつ自体がお宝って訳だな。しかし、思っていた以上に強そうだ……」

  プラチナスライムは今までのスライムとは異なり、かなり俊敏に動き回る。まるで重力が存在しないかのように、壁から天井まで瞬間的に移動する。これでは攻撃を与えるのは困難だ。

  「アイリス、奴の動きを止める魔法は何かないか?」

  「え? そ、そんな急に言われても……早く動き回るなら、攻撃範囲を広げた魔法なら通じるかな……?」

  「何でもいい。やってくれ!」

  「分かった。やってみる!」

  グランとアイリスは背中合わせになって、お互いの背後を守りつつ、プラチナスライムが攻撃してくる時を待つ。

  「来た。アイリスの方だ!」

  「ワ、ワイドフレイム!」

  アイリスは広範囲の炎を繰り出した。確実にプラチナスライムを捉えている。

  「え?」

  しかし、プラチナスライムは全く無傷でアイリスの方に飛んでくる。

  「アイリス、危ない!」

  「きゃぁ!」

  間一髪でグランがアイリスを肩で弾き、アイリスは床に倒れたが、グランは剣でプラチナスライムの突進を堪えた。

  「るああぁぁぁぁ!!!」

  重い突進を力一杯弾き返す。それでも、プラチナスライムは無傷のようで、弾き返された後も、壁から壁へと飛び回っていく。

  「くそぉ……扉も閉まっているし、逃げるに逃げられない……核は見えているんだが……弾力が強くて斬り切れない……」

  グランはどうやってプラチナスライムを倒せるか必死で考えている。

  「あ、ありがとう、グラン、守ってくれて」

  「嗚呼、大丈夫か、アイリス?」

  「うん、大丈夫」

  「魔法で攻撃してみた感触はどうだった?」

  「どうも効いていないみたい。無効化されている気がする……」

  「やはりか……俺もさっきのを見てそんな感じがしたんだ。となると……物理的な攻撃じゃないとダメか……アイリスは俺の回復役に徹してもらった方がいいかもしれない」

  「……。グランなら見せてもいいかな……」

  アイリスは小声で呟いた。

  「え? 何か言った?」

  「一つ試したい魔法があるの。でもこれから見るものは誰にも話さないで欲しい。二人だけの秘密で……」

  「? わ、分かった。何が起きても誰にも言わないよ。約束する」

  「ありがとう……それじゃあ、魔法が終わるまで私をプラチナスライムの攻撃から守って欲しい」

  「オーケー。既に二回攻撃を受けて弾き返せることは確認済みだ」

  「それじゃあ、よろしくお願いね……あんまりこっちは見ないでね……」

  アイリスはそう言って呪文を詠唱し始めた。

  「太古より伝わりし、禁断なる闇の魔法よ……我の姿をモンスターへと変えよ――〝ワーウルフ!〟」

  アイリスが杖を振りかざすと、光に包まれた。

  「何だこの光……ハッ! プラチナスライムの突進!」

  グランはアイリスの魔法が気になったが、プラチナスライムが壁からこちらに向けて突進してきたのでそれどころではなかった。プラチナスライムはグランの方に飛び込んできたので、そのまま剣で受け止めた。

  「ぬああぁぁぁぁ!!!」

  グランがプラチナスライムの突進を受けている時、アイリスの体に変化が生じていた。アイリスが険しい表情をすると、靴を脱いで裸足になった。指の爪が尖り、歯も尖りながら鋭い牙に変化した。耳がピクピクと動き、白い毛をまといながら頭上へと移動し、獣の耳と化した。

  「はぁはぁ……」

  アイリスの呼吸は荒くなり、お尻の付け根から皮膚が伸びていく。その伸びた皮膚は先端から毛が伸びてきて、ふさふさとしたオオカミのようなシッポになった。手足の内側には桃色の盛り上がりができ、それはまるで肉球のようであった。手足の指が太く短くなり、体中から毛が少しずつ生えていく。鼻先が黒ずみ、それに合わせて口も前方へと伸びていく。顔も毛で覆われていくが、髪型は残ったままだった。二足で立っているが、体が二回りほど大きくなり、踵が伸びたことで逆間接のような姿勢になった。

  「はぁはぁ……ふぅ……」

  アイリスは呼吸を整える。その姿は純白のワーウルフだった。

  グランがプラチナスライムを弾いてアイリスの方を見ると驚愕した。そこにはアイリスの服を着た白いワーウルフがいる。しかし、完全なモンスターではなく、髪型や顔立ちなどアイリスの面影も残っていた。

  「ア、アイリス……なのか……?」

  「うん……そうだよ……詳しいことは後で話すから、今はプラチナスライムを倒すことに専念しましょう」

  「わ、分かった」

  「ワーウルフになった私は力が強くなっている。もしかしたらグランの剣戟より強いかもしれない。だから、プラチナスライムが次に飛び込んできたら、今までのようにグランが剣で受けて。その横から私がプラチナスライムに攻撃してみるから!」

  アイリスは一思いにグランに作戦を伝えた。プラチナスライムの行動に特に変化はなく、こちらに攻撃する機会を狙って壁から壁へと飛び回っている。グランはアイリスにいろいろ聞きたいことがあったが、目の前の敵に集中することにした。その時、プラチナスライムがアイリスの方に目掛けて突進してきた。

  「アイリス! そっちに行った! 場所を変わってくれ、俺が攻撃を受ける!」

  「うん!」

  アイリスはスッと素早い動きで横に動き、プラチナスライムの攻撃を躱した。それをすかさずグランが剣で受ける。

  「くっ、重い……」

  グランの剣にはヒビが入っていた。このままでは剣が折れ、プラチナスライムの突進をもろに受けてしまう――そう覚悟した時、アイリスが叫んだ。

  「アオオオオオオオオオーーーーン!!!」

  オオカミの鳴き声と共に、アイリスは爪を立てた手でプラチナスライムの体に突き刺す。プラチナスライムは激しく体の色を様々な色に変える。

  「ワオオオオオオオオーーーーン!!!!!」

  アイリスは鳴き声と共により一層強くプラチナスライムの体に爪をめり込ませる。そして、プラチナスライムが一際激しく光り輝いた後、無色透明になった。その時、アイリスの爪がプラチナスライムのコアを貫いていた。

  「はぁはぁ……やった……のか?」

  「ハァハァ……そう……みたいだね……」

  プラチナスライムはどろりと体を地面に落とし、その中央には虹色の割れたコアが輝いてた。

  グランはプラチナスライムのコアを回収した。

  「すごい。まさかプラチナスライムを倒せるなんて……ギルドで換金すれば半年くらい飲み歩いていても問題ないくらいの報酬がもらえるぞ」

  「そ、そうだね……」

  グランは喜ぶ一方、ワーウルフの姿になったアイリスは少し余所余所しい。

  「あー、えーっと……アイリスがモンスターに変身できるのは分かったけど……その理由は……聞いても良いのかな?」

  「う、うん。グランは誰にも言わないって約束してくれたから……私はいろいろな魔法を覚えるのが好きだったんだけど、一般的な魔法は全部覚えちゃって……もっと難しい魔法を覚えたいなって図書館でいろいろ探していたら、偶然にも一般書に紛れて置かれていた禁書を見付けちゃって……それがモンスターに変身する魔法だったの」

  「そ、そうなのか……知識欲な感じはしていたが、まさかそんなところまで手を出していたとは……まさに好奇心は猫をも殺すってやつか……」

  「うぅ……そんな感じ……これ絶対他の魔法使いから怒られるやつだから……他の人には絶対言わないでね」

  アイリスは大きな手を合わしてグランに頭を下げた。

  「あはは! 大丈夫だよ! もうアイリスは俺の相棒みたいなもんだし!」

  「あ、ありがとう……」

  「それにしても良い毛並みだな。ちょっと触って良いか?」

  「え? えぇー!」

  グランは恥ずかしがるアイリスの腕を触った。キレイな白い獣毛にサラサラとした撫で心地。とても上質な毛皮みたいだ。

  「あ、ちょ、ちょっとグラン! シッポはダメだって!」

  グランはアイリスのシッポを撫でた。アイリスはこそばゆいのを堪えているようだ。とても可愛い。

  「アイリスはこのままでもいいかもしれないな。可愛くて強いし」

  「もう! 私は人間だよ! そんなこと言わないで!」

  「あはは、冗談だよ。それで、人間にも戻れるんだろ?」

  「う、うん……そうなんだけど……」

  「ん?」

  アイリスが自分のシッポを両手で触ってもじもじする。

  「どうした? もしかして戻れないのか?」

  「い、いや……戻れるんだけど、その……恥ずかしくて……」

  「?」

  グランはアイリスが恥ずかしがっている理由がよく分からなかった。

  「抜かないとダメ……なの……」

  「え? 抜く?」

  「……うぅ……だから……一人エッチしてモンスターの気を抜かないと……人間には戻れないの……」

  「え、えぇー!?」

  グランは驚愕のアイリスの告白に大きな声を上げてしまった。

  「うぅ……恥ずかしい……どうしたら……」

  「そ、そんな方法じゃないと戻れないなんて……えー、すごい魔法もあるんだな……」

  「うん……だから禁書なんだよ……多分……」

  二人は良からぬことを想像してお互いに赤面した。

  「わ、分かった。そ、それじゃあ、多分扉も開くと思うから……俺はアイリスが人間の姿に戻るまで外に出ているよ」

  「ダ、ダメ……それでまた扉を閉めてプラチナスライムが発生したら……私一人で倒さないといけなくなる……一人じゃ無理だよ……」

  「いや、そんなこと言われても……同じ部屋にいるのは……ど、どうしたらいいんだ?」

  「うぅ……私も分からない……」

  二人は赤面するばかりで、いいアイデアが思い付かなった。何もないこの部屋では隠れる場所も無い。最終的に、グランが部屋の端っこで壁の方を向いていて、反対側の端っこでアイリスが一人エッチをすることで同意した。

  「ん……やっぱり恥ずかしいけど……早く人間の姿に戻らなきゃ……」

  アイリスは手にできた肉球でクリトリスを弄り始めた。

  「はぁん……」

  今の太短くなった指ではマンコに入れることができない。モンスターの気を抜くには潮を噴くのが一番であるが、指が入らない今はこの方法で少しずつモンスターの気を抜いていくしかない。

  「はぁん……ふぅん……」

  アイリスは出来る限り声を押し殺している。部屋の端と端なので、グランにこの恥ずかしい声は届いていないと思うが、何の音もしない静寂な空間なのでとにかく恥ずかしい。その恥ずかしさが何故か少し自分を興奮させていることに気付いた。思えばこの魔法はいつも自分の部屋でしか試したことがなかったから、外で、しかも異性がいるところで使ったのは初めてだった。そう考えると余計恥ずかしくなってくる。

  「はぁはぁ……」

  アイリスは長くなったマズルから舌を出し、手をペロペロと舐めて、肉球を濡らし、その肉球で優しくクリトリスを愛撫する。ぬちょぬちょとした滑らかな性感帯に体がビクンと感じてしまう。

  「はぁ……はぁ……」

  少しずつであるが、モンスターの気が抜けてきたのがわかる。鋭くなった爪が短くなり始めた。

  服は着たまま、床に座って行為に耽る。今日は一応モンスターに変身することを想定して、パンツは穿いて来なかったが、それは正解だった。毎回パンツを破いていてはお金が勿体ない。

  「ん……」

  シッポが短くなり始めたのを感じる。アイリスはグランが優しく撫でてくれた自分のふさふさシッポを両手で掴んだ。思えば、今まで男性にあんなに体を撫でてもらったことなんてあっただろうか? 考えれば考えるほど恥ずかしくなってくる。

  「ぅん……はふぅ……」

  アイリスのシッポはどんどん小さくなり、毛はすっかり体に吸収され、ただの肉棒のような状態になった。しかし、まだ適度な長さがある。

  「んっ……はぁっ、はぁっ」

  アイリスはその肉シッポを自分のマンコに入れた。手がまだ大きいため、今、マンコに入れることができるものは肉シッポしかない。シッポオナニーは好奇心で今までにも試したことがあった。

  「あっ、んっ、んっ……あひゃっあんっ!」

  体が感じるとマンコに入れたシッポもビクンビクンと動く。変身中のシッポは敏感で、マンコの中も敏感とくれば、下半身がすべて性感帯になってしまったような感じだ。自分の部屋なら思いっきり声を出して一人エッチに耽るところだが、今は恥ずかしくてそんなことはできない。グランを意識してしまう。ドキドキする。

  シッポは少しずつ短くなっていき、とうとうマンコに入らなくなってしまった。そのままシッポは体の中に消えていく。しかし、他の体も少しずつ人間に戻ってきていた。まだワーウルフ化した顔なので、自分のエッチな愛液のニオイを嗅いでしまうが、マズルは少しずつ短くなってきていた。耳も頭の方から顔の側面へと移動してきている。体が少しずつ小さくなり、柔らかな女性の体へと変化していく。胸はワーウルフなのでアイリスの人間の時と同じような膨らみを保ったままだが、複乳が生えていた。いつもは複乳を弄ったりもするのだが、今は早く人間に戻りたいので、クリトリスを弄ることに集中している。

  「はぁん、あぁん……んっ……あっ、指……」

  まだ肉球はあるが、指がイイ感じに短くなっていた。これならマンコに入りそうだ。アイリスは肉球付きの指をマンコに入れ、Gスポットを集中的に擦り始めた。

  「んっ、んっ、あはぁんっ」

  多少声が漏れてしまうのは仕方が無いと諦め、感度を高めてオシッコが出そうな感覚にもっていく。マンコに入れた指の肉球がちょうどいい具合に性感帯に当たってとても気持ちいい。

  「んっ、や、あ、あぁっ……」

  体中の毛が体の中に吸収されていき、逆間接的だった下半身の骨格もほっそりとした人間の女性らしい骨格へと戻っていく……指の肉球が消失したところで、指を三本入れ、アイリスはイキそうな感覚が高まってきた。

  「んっ、やっ、あっ、あぁんっっ――――!!!」

  できる限り声を押し殺し、ビクンと体が波打つのを感じながら、アイリスは絶頂に達し、潮を噴いた。潮を噴くと一気にモンスターの気が体から流出し、アイリスの体はみるみる間に人間の姿へと戻っていった。

  「はぁっ……はぁっ……」

  人間に戻ったアイリスは身嗜みを整え、グランの方に歩いて行った。

  「グ、グラン……人間に戻った……よ……」

  オナニーした時に漏れた声がグランに聞こえていないか気になって恥ずかしい……いや、間違いなくこの静かな部屋では聞こえていただろう……アイリスは気まずさを感じていた。

  「おっ、本当だ。戻ってる。どうもここは行き止まりみたいだから、正規ルートに戻って出口に向かおう」

  「……うん!」

  アイリスの気まずさを余所に、グランはこのことに関しては特に何も言わなかった。アイリスはそんなグランに少し好意を持った。

  二人は正規ルートに戻り、無事『スライムのダンジョン』を攻略したのだった。

  ギルドに帰って換金してもらおうとプラチナスライムのコアを出すととても驚かれた。過去にもプラチナスライムが『スライムのダンジョン』で出現した報告はあったが、ここ数年全く報告が無いSSS級モンスターだった。プラチナスライムを倒したのは初めて組んだパーティーだったということもあり、ギルドでは一時話題になったが、二人は隠し通路のことは秘密にしておいた。グランの推測通り、半年は遊んで暮らせる大金が手に入った。もし金欠になることがあったら、多分あの部屋出現する……と思われるプラチナスライムをまた倒しに行こうと考えている。

  それから二人はパーティーを一緒に組んだまま様々なダンジョンに挑戦し、見事攻略していった。二人だけの秘密がより強く二人を結び付けていたのかもしれない。アイリスは魔法使いだったのだが、様々な魔法が使えることで、賢者の称号を得ることになった。グランも戦士としてのランクをドンドン高めていった。二人は特定の街には長居せず、ダンジョンを攻略すると、すぐ次の街へと移動した。できる限り多くの場所に行き、広い世界を知りたかった。旅は辛いこともあったが、楽しいことの方が多かった。

  そんな二人は、ある街に辿り着いた。その街は田舎のような場所だった。早速ギルドに行ったが、あまり賑わっていなかった。ギルドの職員に話を聞くと、近くの山の中に『宝守ドラゴンのダンジョン』があるのだという。そのダンジョンはあまりにも攻略が難しいために、挑戦者が少ないのだという。挑戦した冒険者のほとんどが戻って来ない。しかし、極稀に攻略者が現れ、その攻略者はすごく高価な財宝をたくさん持ち帰って来たのだという。それは伝説級の話ではなく、三年前に攻略者が出たとの話だ。ギルドは冒険者から買い取ったその財宝を他の街に売り捌いて生計を立てていたが、それ以降は攻略者が現れないので、困っているのだという。二人は既に十分なお金を持っていた。グランはあまり財宝には興味なかったが、ドラゴンと戦えるのなら、挑戦してみたいと感じていた。

  「アイリス、この街のダンジョンを攻略するのはどうかな?」

  この街に着いた夜、グランは酒場でアイリスに提案してみた。

  「うーん、いろいろ情報を集めてみたけど、そもそも挑戦する人が少ないので、よく分からなかった。でも、攻略が難しいのは事実のようね。モンスターも強いし、トラップも多いみたい」

  「なるほど、それならむしろ攻略しがいがあるな」

  「私達のランクで攻略できるか怪しいわ……ここはやめておかない?」

  「何を弱気なことを言うんだ、アイリス。俺達は立ち寄った街のダンジョンをすべて攻略してきただろう?」

  「それはそうだけど……ラッキーで攻略できたところもあったじゃない?」

  「運も実力の内さ。何とか行けるって」

  「もぅ……グランは言い出したら聞かないんだから」

  アイリスはこうなることは大体予想が出来ていた。

  「それじゃあ、明日は攻略の準備を整えて、明後日ダンジョン攻略に行こう!」

  「分かった」

  アイリスはあまり乗り気ではなかったが、行くと決まれば、心の切り替えをしなければならない。一体『宝守ドラゴンのダンジョン』はどんなダンジョンなのだろうか……。

  翌々日、二人は早速『宝守ドラゴンのダンジョン』に向かった。山の奥にあるのかと思いきや、山に入ったすぐそこにあって少し拍子抜けした。何なら「冒険者以外立ち入り禁止」の立て看板もあった。ある意味わかりやすい。

  「ギルドで話を聞いていた通り、冒険者は誰もいないようだな……」

  グランはダンジョンに入って少し経った頃、そうポツリと呟いた。

  「そうみたいね。それならモンスターやトラップをできる限り回避するために、ワーラビットに変身しておくわ……太古より伝わりし、禁断なる闇の魔法よ……我の姿をモンスターへと変えよ――〝ワーラビット!〟」

  アイリスは立ち止まり、禁書の魔法を使った。光に包まれた後、アイリスの体に変化が起きた。アイリスは険しい表情をすると、靴を脱いで裸足になる。指の爪が小さくなり、前歯が少しずつ長くなった。耳がピクピクと動き、白い毛をまといながら頭上へと移動し、著しく長いウサギの耳になった。

  「はぁ……はぁ……」

  アイリスの呼吸は荒くなり、お尻の付け根から少し皮膚が伸びていく。その伸びた皮膚の先端から毛が伸びてきて、まん丸なウサギのシッポになった。手足の指が太く短くなり、体中から毛が少しずつ生えていく。鼻先がY字型になり、それに合わせて口も前方へと伸びていく。顔も毛で覆われていくが、髪型は残ったままだった。踵が伸びたことで逆間接のような姿勢になった。アイリスはウサギと人間の中間のようなモンスター、ワーラビットに変身した。

  グランはもう何回もアイリスの変身するところを見ているので慣れているが、人の体がモンスターに変わっていく光景はいつ見てもすごいなと感じていた。アイリスは他の冒険者がいないなら、自分がモンスターの姿でも襲われる心配が無いと踏んだのだろう。実際、アイリスのモンスター化は人間の時とは違う能力が使えるのでダンジョン攻略ではかなり役に立っていた。

  「はぁ……はぁ……行きましょう、グラン。ワーラビットの姿なら、遠くにいるモンスターの音も察知しやすいし、トラップを踏んでも高いジャンプ力で避けることができるわ」

  「そ、そうだな……よし行こう」

  二人はダンジョンの奥に向かって進み始めた。

  グランはアイリスのモンスター化には慣れているとはいえ、モフモフした姿に変身されると、ついペット感覚でなでなでしたくなる衝動に駆られる……いけないいけない、ダンジョンの中で集中力を落としては命取りだ。

  グランがもふもふ欲求に苛まれていると、カチッと音がした。ついうっかりトラップを踏んでしまった!

  「アイリス、前から矢が飛んできた。避けろ!」

  グランが警戒して言うより先にアイリスは軽やかにジャンプしてトラップの矢を回避した。グランより高く飛んだので服の中が丸見えになったが、全身がもふもふしているので、パンツを履いていなくとも大事な部分は見えなかった。

  「ありがとう、グラン。トラップには気を付けて」

  「お、おう。そうだな」

  グランの気の緩みがアイリスを危険な目に遭わせてしまった。グランは気を引き締め直した。

  二人はその後も何度かトラップにかかったり、モンスターと遭遇したが、アイリスのおかげで、必要最低限の労力で順調にダンジョンを進むことができた。そして、大分深く潜った先で、精巧な模様が刻まれた扉の前に立った。それは如何にも神殿のダンジョンの最終試練とでもいうような厳かな雰囲気が漂っている扉だった。

  「今までとは雰囲気が違う。おそらくここが宝を守るドラゴンがいる部屋だ。アイリス、ここに来るまでに体力と魔力を使ったが……大丈夫か? たぶん、モンスターへの変身魔法も使うことになると思うけど……」

  「うん……大丈夫。体力と魔力の回復薬もまだ余裕があるよ。変身も大丈夫……だけど、一度人間の姿に戻るわ。モンスターから別のモンスターには変身できないから。グランは少し休憩していて」

  「わ、わかった」

  アイリスがモンスターから人間の姿に戻るには一人エッチをしてモンスターの気を抜かねばならない。グランも慣れているので、気を使ってアイリスから離れた。

  「んっ……」

  アイリスはマンコにバイブを挿入し、そのスイッチを入れた。バイブがマンコの中で激しく振動する。加えて、大きなワーラビットの手でクリトリスを愛撫する。性感帯を集中して刺激することで絶頂を導きやすくしているのだ。

  「アッ、ダメ……イク……ッ………はぁはぁ……」

  アイリスはすぐにイケるように修行していたおかげもあって、最近はすぐに潮を噴けるようになっていた。アイリスの体がワーラビットから人間の姿に戻っていく……。

  「はぁはぁ……グラン。お待たせ……戻ったわ」

  「よ、よし、アイリスも少し休憩してくれ。ここからは激しい戦闘になるかもしれない。今のうちに体力も魔力も十分に回復させておこう」

  「ええ、そうね」

  モンスターが現れる気配も無いので、二人は扉の前で少し休憩を取ることにした。

  「よし、そろそろ行こうか」

  「うん。私も大丈夫」

  二人はドラゴンに挑む準備を整えた。

  「あの……私がモンスターに変身するとして、ドラゴン相手に何のモンスターが効果的なんだろう……全然分からない……」

  「うーむ、確かにそうだな……ドラゴンより強いモンスターなんて早々いないからなぁ……アイリスが変身できるモンスターにも限りがあるし……何に変身するかはアイリスの直感に任せるよ」

  「わ、分かった」

  二人は万全の態勢でドラゴンに挑むことにした。グランが扉を開ける――と、そこにはほの明るい部屋に巨大な2匹のドラゴンが眠っていた。ドラゴンの周りには金銀財宝様々なものが散らばっている。

  「これが……宝守のドラゴン」

  「大き過ぎる……」

  二人が目にした2匹のドラゴンは、10ⅿもあろうかという巨大さだった。1匹は体中に青い鱗が生えているオスのドラゴン、もう1匹は体中に赤い鱗が生えているメスのドラゴン。頭には角、背中には翼があり、長い尻尾もある。並みの冒険者じゃ絶対に勝てない。そんな王者の風格を放っていた。グランもさすがにこの大きさのモンスターとは対峙したことが無い。単純に物理攻撃だけで、虫を潰すように殺されるかもしれない。そんな嫌な考えさえも彷彿させられる。アイリスもあまりにも巨大なドラゴンを見てビビっていた。アイリスが変身できるモンスターの中にもドラゴン並みの大きさに巨大化できるものはない……。

  〝人間か……〟

  二匹のドラゴンは目を開き起き上がった。

  「!? ドラゴンがしゃべった?」

  グランは驚いた。今まで人間に言葉を話すモンスターには出会ったことがない。それはアイリスも同じだった。アイリスは元々人間なので、モンスターに変身しても人の言葉を話すことができるが、このドラゴンは元々人間という感じはしない。

  〝我はただのドラゴンではない。神よりこの財宝の行く末を見守ることを命ぜられたゴッドドラゴンなり〟

  「ゴッドドラゴン……聞いたことがない……しかし、雰囲気だけでも普通のドラゴンではないことが分かる……」

  「ええ、私も聞いたことがない……ここから財宝を持ち帰った冒険者は何故それを他の人に伝えなかったのかしら……」

  〝お主らはよくここまで辿り着いた。ここは『試練のダンジョン』なり。ここまで辿り着いた人間には財宝を与えよと神より申し付かっておる。好きなものを選べ〟

  「まさか神の存在まで出てくるとは……本当に神はいるんだな……」

  「そうね、信仰の対象でしかないと思っていたけど、こんなドラゴンがいるんじゃ、神様も本当に存在するのかも……」

  二人は知覚できない上位存在に畏怖した。

  「財宝か……それよりも俺はゴッドドラゴンとどこまでやれるか勝負したい」

  「え? グ、グラン? 正気? いくらグランが強いからってこのドラゴン相手に勝てるはずがないわ」

  「確かにそうかもしれない……でもやってみないと分からないだろう? 今までそうだったじゃないか」

  「それは……そうだけど……」

  偶然にも今までのピンチは何とか切り抜けることができてきた。いや、できてしまったというべきかもしれない。グランのこの自信は過去の経験から今に繋がっている。しかし、このゴッドドラゴンは明らかに格が違う。絶対に勝てない……アイリスはそう感じたが、それを口にすることは出来なかった。

  「ゴッドドラゴン。俺はお前らと戦ってみたい。自分の腕を試してみたいんだ」

  グランはアイリスに構わずゴッドドラゴンに向かって言った。

  「ちょ、ちょっとグラン!! いくらなんでも無茶よ!!」

  「大丈夫さ、アイリス。戦うのは俺だけでいい。アイリスは回復役をお願いしたい。このドラゴンからは敵意を感じないから君には攻撃してこないだろう。もし俺が死んでも……君はこの財宝を持ってダンジョンを出てくれ」

  「そんな……」

  いくら何でも勝手過ぎる。ここまで一緒に様々な冒険をしてきたのに……最後に無謀なことをして死に急ぐなんて。

  「グランはそういう人だったよね……分かったわ。私も一緒に戦う。一人にしないでって前から言っているでしょう?」

  「アイリス……」

  二人は見つめ合い、ゴッドドラゴンに挑む覚悟を確かめ合った。

  「ゴッドドラゴン、俺はお前と戦いたい! 自分がどこまで強いのか腕試しをしたいんだ!」

  〝我々と戦わずとも神はそこにある財宝をお主らに与えて下さる。財宝は欲しくないのか?〟

  「財宝も確かに欲しいけど……それ以上に俺はお前と戦ってみたいんだ!」

  〝……〟

  二匹のゴッドドラゴンはグランの言葉を受け、見つめ合った。会話をしているような声は聞こえてこなかったが、何かしら意思疎通を行っているようだ。

  〝良かろう。お主の願いを聞き入れた。しかし、人間の姿では我らに絶対に敵わない。なので、お主らもドラゴンになることが条件だ。それなら対等なチカラで我らと戦うことができるだろう〟

  〝そこにある虹色の宝箱を開けなさい。その中にある秘薬は我々の角から生成されたドラゴンへと姿を変えるものです。人の姿を捨て、ドラゴンの姿になる覚悟があるのなら、お相手しましょう〟

  今まで話し掛けてきた青いゴッドドラゴンに加え、赤いゴッドドラゴンも話し掛けてきた。二人はゴッドドラゴンに言われたように、虹色の宝箱を開け、その中に入っていた輝く瓶を取り出した。

  「アイリスがいつもしている変身魔法みたいな感じかな?」

  「いえ……違うと思う。多分、これは一度飲むともう人間には戻れなくなる秘薬よ。ドラゴンに変身する秘薬なんて賢者の私でも聞いたことがないもの。ねぇ、グラン……そこまでして戦いたいの? 財宝は自由にもらえるのよ?」

  「……。アイリス……戦士というのはどこまでも自分の実力を試してみたくなる性分なんだ。自分より強い奴を目の前にして逃げる事なんてできないんだ……だからアイリスは――」

  「ここで見てろって言いたいんでしょう? 本当、グランは融通が利かない人なんだから。さっきも言ったでしょう。私もあなたに付いて行くって。あなたがドラゴンになるというのなら、私もドラゴンになるわ」

  「そんな、いいのか? 人間を捨てることになるんだぞ?」

  「今更あなたが私にそんな心配をする事じゃないでしょう?」

  「そ、それは……そうなんだけど……」

  「だったら大丈夫。始めましょう」

  「……分かった」

  二人はゴッドドラゴンに向き合った。

  〝それでは、その瓶の液体を一口ずつお飲みなさい〟

  二人はゴッドドラゴンに言われた通り、一口ずつ輝く瓶の中に入っていた液体を飲み、瓶は再び虹色の宝箱に戻した。すると、すぐに体に異変が起きた。体中が急激に熱くなってくる。二人の背中の皮膚が2ヵ所盛り上がり始めたのだ。皮膚の盛り上がりはドンドン激しくなり、着ていた服は悲鳴を上げて突き破られた。服を突き破った皮膚は左右別々の方向に向かい、やがてゴッドドラゴンと似た翼となった。

  「はぁはぁ……翼が……生えたみたいだな……アイリス、いつもこんな苦しい……体験をしていたのか……」

  「はぁはぁ……グラン……違うわ……この変身は……私のしていた禁書の変身魔法より……もっと……強制的で強力なものよ……はぁはぁはぁ」

  二人は急激な体の変化に苦しみ始めた。熱い。まるで炎の中に投げ込まれたかのように血肉が湧き踊っている。

  〝お主達がその変化に耐えられた時、著しい強さを手に入れるだろう〟

  二匹のゴッドドラゴンは二人に何もして来ない。ただ見守っているだけだ。

  「ぐああああぁぁぁ!!」

  「いやあぁぁぁぁ!!!」

  二人は雄叫びを上げながら体の変化に耐える。お尻が熱くなってきた。お尻の付け根が後方へと伸びていく。その皮膚にグランは青い鱗、アイリスは赤い鱗が纏っていた。伸びたシッポは着ていた服を突き破ると、すっかり爬虫類のシッポのようになった。

  「シッポ……自分で動かせる……すごい……」

  「そうでしょう……人間の体にないパーツができるのは不思議だよね……はぁはぁ……」

  二人の体は筋肉質になり、体が少しずつ大きくなっていく。それに伴って、着ている服があちこち破れてしまった。最早服を着ている意味はあまりないのかもしれない。二人の手足の爪は急激に大きく鋭くなり、靴はもう使い物にならなくなってしまった。体中にドラゴンの鱗が生えてくる。この鱗は一つ一つが硬かった。踵が上方へと上がり、つま先立ちのような状態になると、逆間接のような体勢になった。

  顔が熱くなると、少しずつドラゴンのように鼻と口が前方へと突出し始め、視力、嗅覚、味覚の感度が高くなった。

  「ああぁぁっぁぁぁぁあぁー!!!」

  「はぁはぁはぁ……」

  グランの方がアイリスより苦しそうだった。これはアイリスの方がモンスターへの変身に馴染みがあったからかもしれない。今や二人の身長は2.5mほどにまで巨大化していた。しかし、髪型や胸の膨らみなど、人間としての男女の特徴はそれぞれ保ったままだった。呻き声を上げながらドラゴンへの変身に耐える二人だが、人とドラゴンの中間的な……ワードラゴンとでも言うべき姿に変身したところで、体の熱がだんだん収まってきた。

  「はぁはぁ……ふぅ……熱が……大分マシになってきた」

  「はぁはぁ……すごい……体に力漲っているわ……」

  ワードラゴンと化した二人は、呼吸を整えた。

  「これで変身完了したのか?」

  「分からない……」

  〝まだだ、お主らの体は完全なドラゴンの体格になっていない。その中間段階な姿は最終形態に変化する中休みであろう〟

  「そうなのか……でもすごいな。パワーが溢れている。背中の翼を羽ばたかせれば飛べるんじゃないのか?」

  グランはそう言って、背中の翼をはためかせ始めた。すると、ぎこちない動きではあるが、体が少しずつ宙に浮いてきた。

  「おお、すごい! すごいぞ! 空を飛んでる!」

  グランは子供のようにはしゃぎながら翼をバサバサ動かして空を飛んだが、その衝撃で、着ていた服がすべて破れ去った。全裸になったグランの全身はまさに人間とドラゴンの中間的な姿だった。アイリスは全裸のグランを見て少し赤面した。

  「アイリス、見てくれ、結構自由に飛べるようになったぞ!」

  「う、うん……」

  アイリスはグランのおチンチンが見えることに恥ずかしがっていた。今まで自分の恥ずかしいところはグランに見られることはあっても、グランのそういう場所を見たことはなかったのだ。しかし、珍しくグランがはしゃいでいる姿は、何だか可愛らしいとアイリスは思った。

  「うわぁぁっ!」

  「えっ? きゃぁっ!」

  グランは翼の動かし方をミスして、アイリスの方に落下してきた。そのまま、グランはアイリスを仰向けに押し倒す形で着地した。

  「はぁはぁ……ビックリした……ごめん、アイリス……!?」

  グランが手を当てている場所は、アイリスのおっぱいだった。

  「ご、ごめん、すぐに上から退くよ……!!?」

  グランがアイリスのおっぱいから手を退けようとすると、鋭くなった爪がアイリスの着ている服に引っ掛かり、結果的におっぱいを露出させることになった。

  「うわぁぁっ! ごめんごめん!」

  グランがアイリスに馬乗りになっている姿勢から立ち上がろうとする度、アイリスの服に鱗が引っ掛かり、ドンドン服を割いていく……。

  「あははっ! いいよ、グラン、気にしないで」

  アイリスは恥ずかしさよりもグランの慌てる行動に思わず笑ってしまった。

  「いつも冷静なのにこういうのは慌てるのね」

  「い、いや……不覚と言うか何と言うか……」

  少し照れ気味のグランのおチンチンはギンギンに勃起していた。それを見たアイリスは顔が真っ赤になったが、思い切ってグランに言った。

  「私、グランのこと好きよ」

  「え?」

  グランは思わぬアイリスの告白に驚いた。

  「グランは勇敢だし、優しいし、少し頑固なところもあるけど、私のこともいろいろ気遣ってくれていたし……冒険者の仲間ってこともあるけど、普通に好きになっちゃってたわ」

  「アイリス……俺もアイリスとパーティーを組めて本当に良かったと思っている。モンスターに変身した後で人間に戻る時はいつも少し気まずかったけど……アイリスはどんな姿になってもいつも可愛いと思っていたよ」

  「グラン……ありがとう……嬉しいわ。ねぇ、その……私、すっかり濡れてきちゃってて……あの……両想いだったし……完全なドラゴンになっちゃう前に……エッチなことしておかない?」

  「え? アイリス?」

  この言葉を聞いて、グランのおチンチンはますます立派に立った。

  「何だかもう我慢できなくって。いいかなぁ、グラン?」

  アイリスがそういうと、さらに体が一回り大きくなった。ドラゴン化の影響で発情しているのかもしれない。アイリスは今やグランより体が少し大きい。

  「ちょ、ちょっと待って、アイリス、いいのか?」

  「いいよ。それにここにはエッチできる相手、グランしかいないもの」

  アイリスはグランの両肩を掴み、そのまま押し倒す。形勢逆転して、グランは仰向けになった。そのままの流れで、アイリスは馬乗りになってグランのおチンチンにマンコを挿入させる。

  「あぁんっ……」

  アイリスの引き締まったマンコと重さがグランに伝わる。

  「あぁっ……」

  グランも思わず呻き声を上げた。挿入してしまってはもう戻れない。というか、グランより大きなアイリスにのしかかられて、グランは身動きが取れない。アイリスが腰を上下に振り始めた。

  「あっ、んっ、やっ、はうん……」

  人間のマンコでは再現できない引き締まりに、グランは悶絶しそうになる。アイリスは少しずつ少しずつ体が巨大化していく。しかし、それはグランも同じだった。グランのペニスも人間に近かった形から、より細長く伸びた形状に変形していく。

  「いやぁぁぁ!!」

  そのせいで、アイリスの膣の中をグランのペニスが満たしていく。

  体がムクムクと巨大化するにつれ、アイリスのおっぱいも最高潮に巨大化してきた。乳首もビンビンに勃起している。とてもエッチな姿だ。グランはマズルがさらに突き出て、長くなった舌でアイリスの乳首をチロチロと舐めた。

  「あぁぁん! グランんんん!! 好き!!!」

  グランはさらに舌を伸ばし、アイリスの乳首を締め付けることに成功した。緩急を付けることで、アイリスは艶やかな喘ぎ声を漏らす。

  エッチしている最中にもドラゴン化は進んでいく。細かった四肢はムクムクと太くなり、首は長くなっていく。頭からは角が発達し、髪の毛が鱗に置き換わっていく。シッポはさらに太く長くなり、その体長はワードランゴンの2倍の5mに達しようとしていた。これでもまだゴッドドラゴンの大きさには届かない。

  「はぁはぁはぁ……」

  今まで一人エッチしかしたことがなかったアイリスは初めてのグランのペニスに興奮が止まらない。アイリスはいつかグランと結ばれて暖かな家庭を持てたらいいなと淡く夢見ていた。思っていたことと形は違えど、アイリスはグランと一つになれたのだ。これ以上の幸せな瞬間はなかった。

  「あ……あぁぁん! あぁぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁん!!!」

  アイリスはより一層激しく上下に腰を振り、大きな叫び声と共に仰け反った。絶頂と共に潮を噴く。その瞬間、目覚めたかのようにグランが腰を起こし、アイリスの体を強く抱き締めて、激しく腰を振り始めた。

  「あ、らめっ!らめらってえぇぇぇ、グラン、らめえええぇぇぇぇっぇぇ!!!!!」

  「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

  グランはひたすらアイリスの動く気持ち良さに耐えていたが、そろそろ限界を感じたので、フィニッシュは激しく動くことにした。すっかりドラゴンの体になった2匹は地面を割る勢いで激しく交尾し、ついに受精の時を迎えた。

  二匹はそれぞれビクンビクンと体を震わし、それぞれ地面に倒れ込んだ。アイリスの体からグランのペニスが抜け、大量の精液が零れ出た。

  「はぁはぁ……」

  「あうぅ……」

  二匹は感無量という感じでしばらくそのまま倒れていた。

  もうすっかり本来の目的を忘れていた。アイリスの体に異変が起きたのは少し時間が経ってからだった。体力が回復してグランがのっそりと起き上がると、ゴッドドラゴンに話し掛けられた。

  〝見事だ。ドラゴンの姿になりつつも自我を保っておる。お主の挑戦を受け入れよう。今から我らと戦うか?〟

  自分が申し出たことではあったが、グランはすっかり戦意を喪失していた。

  「いや……何だかすっかり戦う気力がなくなってしまった……ドラゴンになってしまってもうこの体では人間生活はできそうもないし……どうしたらいいか……」

  〝戦意が無いのであれば、無理に戦う必要もないだろう。行き場が無いのであれば、我らの里に案内しよう。元人間と言えど、今はもう体の構造もドラゴンだ。歓迎する〟

  「ドラゴンの里……?」

  グランが不思議に思うと、ゴッドドラゴンは空間に穴を開けた。このダンジョンでずっと財宝を守っているのかと思ったら、時空移動できるのか。次元が違い過ぎる。グランは改めてゴッドドラゴンの偉大さに痛感した。

  「はぁ……はぁ……グ、グラン……」

  アイリスの意識が戻ったと思ったら、苦しそうな顔をしている。

  「アイリス、どうしたんだ?」

  「な、何かすごくお腹が張って苦しい……」

  〝それは卵でしょう〟

  赤い鱗のゴッドドラゴンが言った。

  そうか、さっき交尾したからアイリスに子が宿ったのか? となれば、自分達の子供だ。

  「俺はここにいる。頑張って産むんだ、アイリス」

  「う、うん……頑張る……はぁー、ふぅー、はぁー、ふぅー」

  アイリスは呼吸を整える。まさかこんなに早く自分の子供に会えるなんて思っていなかった。

  「んんぎぎぃぃ……」

  アイリスは苦しそうな声を漏らす。アイリスのマンコが徐々に大きく開き、中から白い卵が顔を覗かせる。

  「あぁぁぁっ! はぁはぁはぁ……」

  アイリスは思いっきりいきんで卵を一つ産卵した。

  「やった! でかしたぞ、アイリス!」

  「待って……もう一つ出て来そう……はぁー、ふぅー、はぁー、ふぅー……」

  アイリスは再び険しい顔をして全身に力を入れる。

  「んあぁぁぁっ! はぁはぁはぁ……」

  再びアイリスは産卵した。その卵も同じ真っ白な卵だ。

  「はぁ……はぁ……多分、もう大丈夫……お腹も引っ込んだ……」

  アイリスは二つの卵を産んだ。これは双子と考えていいのだろうか?

  〝卵はこのままにはしておけません。早く私達の里に持って帰って、温める準備をしましょう〟

  赤い鱗のゴッドドラゴンはそう言って、割けた時空の方に視線を送った。

  「わかった。ありがとう、ゴッドドラゴン。お世話になるよ。アイリス、大丈夫か?」

  「うん。産卵したら随分楽なったわ。それよりも早く私達の子を温めてあげないと。話はすべて聞こえていたわ。ドラゴンの里に行きましょう、グラン」

  「嗚呼、そうしよう。アイリス」

  アイリスとグランはそれぞれ我が子の卵を一つずつ前足で抱え、ゴッドドラゴンに導かれながら、時空の裂け目に入って行った。