ミ~ンミンミンミン
この音。五月蝿いこの音がまさに気温を上げているかのように感じた。
蝉は一週間の命と言うけれど、その短い期間でこうも妨害してこなくてもいいのに。
絶え間なく出る汗をタオルで拭うと、我慢できず暑すぎ…とぼやいてしまう。
さて、今日も頑張らないと。
一人心の中で自分を奮い立たせて店の前に立った。
「…始めるか…」
虎食わせ。それは、このラーメン屋の名前だ。
っと言っても、そのラーメンの中に虎の肉が入ってる訳じゃないからな?食った事無いし怖いし!
…あ、別の意味で食ってるかも。それはまた後で。
店の前の散らかったゴミや葉っぱは集めて捨てた。
店内も掃除したし、調味料の減りやメニューもちゃんと置いてある。
うん。綺麗だ。これなら文句は来ないだろう。
ガララ
すると店の引き戸が開いた。
「おぉ早いな。ふぁ~」
欠伸をしながらボサボサ頭で出てきたのは、虎の獣人だ。
俺より少し背が大きく、体の幅も俺よりある。おまけに腹が凄い出てる。叩きたい。
この虎獣人は、この虎食わせの店長だ。俺が初めて会ったのは数カ月前の冬のこと。
普通のサラリーマンをしていて、大して楽しみもやりがいもない毎日。その日々にうんざりしながら帰っていたんだ。
やっぱり冬ということで凄く寒かったのを覚えてる。かじかんだ手を擦り合わせて暖を取ろうとしたもんだ。
息を吹きかけながら歩いていたらふと横の、このお店に気がついたんだ。今思うと今まで気付かなかった自分が嫌になりそうだよ…。
その日の冷え込みは凄くて、とにかく温まりたかったんだ。ちょうどお腹も減っていたし。
だからほぼ無意識で中に入った。そして、この店長さんと出会ったんだ。
姿形から豪快でちょっと怖いかなって思ったけど、話してみると凄く良い人で細かい事もちゃんとしてる人だったんだ。
俺はすぐに打ち解けて、笑顔で話し合えた。
運が良かったのか分からないけど、その時は俺以外客がいなくて、誰に対して気を使うこともなかった。
それに店長が作るラーメンの美味いこと美味いこと。自然と美味しいって言葉が口から出たんだ。
本当見つけてよかったよ。
気前の良い店長がビールを奢ってくれたりして、体にアルコールが入って行くと俺はだんだんと気分が良くなったんだ。
お酒ってそういうもんだろ?…そういうもんなの!
細かいことを気にしなくなった俺はさらに店長と談笑し、過剰なスキンシップへと発展したんだ。
そしてそれは悪戯へと変わり、その悪戯が元で俺達は…したんだ。
互いの男根をズボンの上から揉み合って、それが原因で色々な感情に流されて、結局店長は店を閉めたんだ。
俺が囁いたせいなんだけど店長もまんざらでもなかったみたいだし。
緊張気味な店長はテーブル席の畳の上へと上がり、そこで俺が脱がしたり弄ったりした。
どうやら店長はこういう行為は初めてだったらしく随分と初々しかった。
あの時の…可愛かったなぁ……。
そこではもう色々と。そりゃ色々やったさうん。
パンツ越しに男根掴んで扱いたり射精した店長の精液拭って舐めさせたり無理に口に突っ込んだりと……。
今思うとちょっとやり過ぎかも。
でも店長も許してくれたし。まぁいいかな。
それで、色々あって俺は店長に告白したんだ。
正直、不安はあった。行為以前にほら…男同士だとか、あって間もないのにとかさ。
でもどうやら店長も同じ気持ちだったらしい。素直に、そして凄く嬉しかった。
お互いに、宜しくと笑い合って俺達は…付き合いだしたんだ。
そうして恋人同士になって数ヶ月。色々あったなぁ。
冬から春、今の夏に変わるに向かって…俺は仕事をやめたし店長とはお店を回って買い物を楽しんだりした。
別にその時の仕事場は気に入ってるとかじゃなかったし、何を思うこともなくすんなりと辞められた。
その後は店長の所に行って、一緒にラーメン屋頑張ろうってなったんだよ。恋人同士だし一緒に居たかったからね。
ただ…そこで店長の本気を見たというか。
(そうじゃないだろ!しっかり、ここはこうだ!)
(は、はい!)
(違う違う!全くお前は!)
(ご…ごめんなさい!その代わり今度は俺が受けで……)
(ふざけてるなら帰れよ)
(ご…ごめん)
職人魂と言うのだろうか、ラーメンの事となると冗談のかけらも通じないんだ。
凄く怖くて、泣いた日もあった。まさかこんな表情があるとは。
俺がお店に入った時のは営業スマイルだったのかなぁ。
でも、そこは優しい店長。俺が失敗して怒られて落ち込んでると、お店を閉めた後にちゃんと慰めてくれるんだ。
よく頑張ったなって。次は頑張ろうなってさ。それが嬉しくてまた泣いちゃうんだけど…。
思えば涙もろくなったかなぁ。
結局そういう日は店長に甘えて一日終わるんだけどね。
そんな、色々な思い出があって今があるんだ。
っとと、昔話はもういいだろう。
「いつも悪いな。掃除させちまって」
「いいよ。店長にはお世話になってるし。それより顔洗ってきてよ。そんなボサボサ頭じゃ人前に出られないよ?」
「俺はタオル巻くからいいんだよーだ」
ぷいっと横を向くと踵を返す店長。そのまま奥の洗面所へと向かったようだ。
この店は、カウンターの奥に廊下が続いていて、そこに色々部屋があるんだ。ここがいわば自分たちのスペース。
和室に寝室、洗面所とおトイレ。風呂場。キッチンと…広くはないけど生活するには十分な環境が整っているんだ。
仕事が終わると疲れてお互い風呂に入って即寝ちゃう。なんてこともザラだったなぁ。
「そういえば最近、店長と二人で何かするってないよな…」
嬉しい事?にお客が増えたようで、ここ何日かはバタバタした日が続いている。
確かに売上にも繋がるし良いことなんだけど……。
「(たまにはお休みして店長といちゃいちゃしたいなぁ…)」
本当。そう思う俺だった。
「さてさて、今日も沢山作るかな!」
頭にタオルを巻いてパンと一つ手を叩く店長。意気込んでるなぁ。
俺も頑張らないと…。ふふん自慢だが最近やっと店長にラーメンを褒められるようになったのだ!少しだけ…。
っと、こりゃ失敬。
とにかくだ!今日も一日働こう。
「じゃぁちょっと看板を下げてきてくれ。ついでに暖簾もな!」
「人使いあらいよー」
「悪い悪いって」
笑顔でそう言うと店長は準備をしだした。それを見て俺も外に出て暖簾をつける。
それを見て待ってましたとばかりに人が近寄ってきたんだ。
あれ…この人は。
「すまねっす!開店っすか?」
「え?あぁはい。どうぞ」
「っへへ。やったー」
顎下白い、狼の獣人が嬉しそうに笑うと店内へと入っていった。
そういえば最近よく見かけるなぁこの狼さん。このお店が気に入ったのだろうか?それにしても開店を待つなんて。
…っへへ。
俺も慌てて中に入ると、カウンター向こう側へ言って店長の手伝いをする。狼さんは早速食べてた。
ラーメンを褒めてもらえたと言っても、まだお店には出せそうもないようだ。だからもっぱらレジや注文を受ける担当になる。
いつかは俺も!お店の人に美味いラーメンを食べさせて驚かせてやるんだ!
ガララ
「へいらっしゃい!」
続いて土佐犬のおじさん。その後に熊のお兄さんが入ってくる。
よしよし。今日も幸先良いな。
早速コップを持って行き、おしぼりを置く。
「あぁすまない。えっと…醤油ラーメンを」
「かしこまりました。少々お待ちください」
注文を紙に書いて頭を下げると…。
「すんませーん」
「あ、はーい」
熊のお客からの声が耳に入って飛ぶように向かう。
「じゃぁチャーシューで」
「あ、大盛りでな」
「かしこまりました」
台本のような同じセリフを言って紙に書く。
今日も忙しく…ん?
ガララ
「へいらっしゃい」
あわわ…こりゃまた。
見たところ、5人組の男性グループが店内に入ってくる。
そしてその後ろに女性の猫獣人と鹿獣人、更には鰐獣人のおじさんまで。
い、いきなりだな!
驚きで若干の放心をしていたが慌てて首を振る。気を引き締めなきゃ!
今日はまだ始まったばかりなんだ!
「客増えたな…忙しくなるけど、頼むな?」
「うん店長!頑張るね!」
「おうよ!頼りにしてるぜ」
店長の笑顔で元気を貰った所で俺は注文の声が飛ぶ店内を走り回ったんだ…。
ガララ
「ありがとうございましたー」
数時間、汗を飛ばしながら動きまわり、ようやく一息つけるようになった。
お客も大分減り、店長も洗い物をしている。
「俺がやりますよ。ラーメン作るの店長だけなんだから」
「お、悪いな。早くワン公にも作れるようになってもらわねぇとな?」
「もうまたワン公って~」
「いいじゃねぇかよぉ」
店長はいつからか俺のことをワン公と呼ぶようになった。あだ名のようなものだと言っていたけど、何だかなぁ。
まぁ結構気に入っちゃってるんだけど。
場所を変わり、俺が洗い物をしだすと勘定の声が響いた。
店長が俺が行くからと向かってくれたようだ。
…やっぱり店長の背中大きいなぁ。抱きついて臭い嗅ぎたいなぁ。
いけない。集中っと。
「ありがとさん~」
店長の声…渋い低い…格好良い。
「何考えてるんだ俺は…」
小さくボソリと呟く。何だろう、今日に限って自制心が弱い。
だめだなぁ全く。
「おいおい、手が止まってるぞ」
「え?」
店長に言われてハッとする。水が出っぱなしで丼に当たっていたらしい。
「疲れたか?」
「い、いえ大丈夫です!店長の方が自分より頑張ってるし、こんな事ぐらいで疲れただなんて…」
「正直なれよ。な?」
ポンと頭に手を置かれて撫でられる。優しいなぁ店長。
だからこそ、甘えちゃダメなんだ。これ以上甘えたら、弱くなる一方。もっと強く。
「今日はもう終いにしよう」
「そうですね!…へ?」
そう言うと店長はカウンターから表に出て、壁にかかった閉店の札を持つと外へ出て行った。
そして外で引っ掛けると戻ってきたんだ。
って!もうなの!?今はお昼を6時間ほど過ぎた時間だけど、いつもはもっと、真っ暗になってもやる時だってあるのに。
「勘定をしたいのですがー」
「あ、はーい!」
一体どうしたんだろう…。
すべての客が出て行くと、店長は引き戸の鍵を閉めた。
もう閉店…。
「さぁてと、残りの時間、ゆっくり過ごそうぜ?」
「い、いいんですか?まだまだ稼げるじゃないですか」
「おいおい、そんなに儲けようとしなくてもいいんだぜ?」
「でも…」
言おうとした時、店長は俺のマズルを掴んできた。
当然喋ることも出来ず、息も苦しい。いや本当に苦しいって!
ガフガフ言いながらじたばたしているとガハハと笑っていた。
「うるさい口はこうだぞ!」
「ん~…!っぶは!ゲホ!もう店長いきなり何するんですか!」
「最近ワン公は頑張り過ぎなんだよ」
ガハハと笑った後に一息、そして落ち着いて言ってきたんだ。
頑張ってはいる。確かに…でもそこまでじゃないと思ってた。
「前にも言ったが、これは趣味でやってるんだ。別に世界一のラーメン屋になろうとなんか思ってねぇ」
「平凡な、どこにでもあるようなラーメン屋。それでもここを選んでくれる客がいる。それでいいんだ」
「お前のお陰で最近は余裕がある。だから無理なんかするなよ」
その言葉がちくりと…いやぐさりと刺さる。
見透かされていたのかもしれない。
店長のラーメン屋が、もっと有名になって、皆に認められればいいなって。そう思ってた。
それ自体が悪いことじゃないと店長は言うだろう。でも生き急いでやる必要はないんだ。
ゆっくり、楽しくやっていく。それが一番じゃないか。
俺は、何か忘れていたのかもしれない。
「うん…有難う」
「おう。そうと決まれば」
途端に店長はニヤリと笑って俺を担いだ。って…え?
ちょ、ちょっと危ないよ!
今まさに、俗にいうお姫様抱っこをされているんだ。
そのまま奥の廊下にサンダルを脱いで上がるとスタスタと歩いて行く。
どこへ行こうというのかね。
揺れる体が少し怖くてしっかり捕まると何故か嬉しそうに笑う。
ふんふんと鼻歌まで。
様子を見ていると…ここは寝室だ。
寝るにはまだ早いよ?
「さぁて、最近してなかっただろ?」
え…え!?
驚く俺を無視してドサッとベッドの上に落とす。
「て、店長!もう~」
「いいじゃねぇかよ。それにその…」
だんだんと尻すぼみになり目線を逸らすと小さく一言「た、溜ってたし…」とだけ呟いた。
なんだかんだでしたかったのか。そうなら言ってくれればいいのに。
「し、仕方ないだろ!それに俺から言ったらなんかまるで俺が…」
「店長淫乱だもんね?」
「だぁ~違うっつってんだろ!」
ガオガオと吠える店長を笑うとベッドに座って店長の手を引っ張る。
「うぉ!?」
押し倒されて仰向けになるとその上に乗っかり、顔を近づけた。
鼻先が互いにぶつかる。湿っているのが分かった。
それに鼻息荒く顔も真っ赤だ。
誘ってきたのは店長なのにまるで動けずに居るんだ。目線も逸しちゃうし。本当慣れないんだなぁ。
「じゃぁ店長」
「お、おぉ…」
俺か口を当てるとゆっくりと開いてきた。それを見て目を瞑り、口を合わせる。
横に向いて、マズルギリギリまで押し付けて齧り付くと、中に舌を入れていく。
やっぱり店長はぎこちないが、構わず口内を貪った。
「ん"…ふ、んぅ…」
壁を這いずり、牙を舐めて、舌を絡ませる。
店長にはまだそういうことは出来そうもないから俺が積極的に攻めていくんだ。
互いの唾液が合わさり、くちゃくちゃと室内に粘着質な音が木霊する。
口から漏れ出る涎で服が濡れることさえ気にせず、一心に店長を求めた。
「…んぁ、はぁっ。相変わらずその、う…上手いなワン公は」
「店長が動かなすぎなんだよ」
「そ、そんなこと言ったってよぉ…んんっ!」
困る店長の頭を地面に押し付けて、その首筋を舐める。
すると店長は何も言えずにブルリと震えた。
よしよし、後はこうやって服を上げてと…。
求めるは店長の胸、そして乳首だ。
まだ刺激や興奮が足りないのか、店長の乳首は柔らかい。
それを容赦なく胸ごと咥え、舌でちろちろと転がすように遊ぶ。
「んひぃ!あ"!」
突然の甘い刺激で大きく震えるとギュッとシーツを掴んだ。
それを目で楽しみながら片方の乳首を指で弄くる。すでに乳首はしっかり勃っている。
「お、俺は女じゃないってのに…なんで胸なんかで…」
「っへへ、乳首こんなに硬くなってるよ?」
「い、言うなって…!あぁ!んはぁ!
まるでタコのように吸い付くと、口の中で軽く甘噛みする。
たっぷり乳首を堪能した後に、涎で塗れた店長の胸を鷲掴んで激しく揉み回した。
こうやって見るとまるで女性そのものだ。盛りの、発情期の猫のようだった。
でもまだ快感や、乱れる事を我慢しているみたい。強情なこって。
ようし…。
俺は手を離すとそのまま店長の体を舐めまわしていく。
お腹、へそ。
「はぁっはぁっ!んぁ!ふぅっ!んんぁ!」
いちいち可愛く反応するんだからたまらない。どうにも止めることが出来ない。
病みつきになりそうだ。
まぁこれくらいでいいだろう。そろそろ本命をいただくとしよう。
店長のズボンはすでに立ち上がって山が出来ている。そのズボンのベルトを外し、パンツと一緒に下げて脱がす。
より一層緊張気味になった店長の顔は未だに不安そうだ。
何を不安に思うことがあるのか。
「どうしたの?」
「い、いや…別に…その、お手柔らかにな…」
鼻先をぽりぽりと掻くと恥ずかしそうに言ってきた。
そうかお手柔らかにね。よしよし。
俺は了解と頷くと顕になった店長の男根に根本まで齧り付いたんだ。
「んがぁあ!?」
そうなったら最後俺は吸い付いて離れない。
口の中で舌を巻きつけるように舐めまわし、エラに這わせて擦り上げる。
鈴口も無理矢理押し広げて刺激するほどだ。
そのまま激しく頭を上下に揺さぶった。
「がぁ!あ"!んぁ!あ"!は、激しいって!待て!ゆっくり…ひやぁ!!」
涙声で店長は慌てるが全て無視。これも店長に良くなってもらうためですよ。
太っている人はその脂肪に挟まれてモノも小さめ、ということがあるらしいが、店長のは中々に大きい。多分俺よりも。
だからこそしゃぶりがいも擦りがいもあるんだ。それに玉だってずっしりと重みがある。
触れば柔らかくて気持ちいいし揉めば中身が動いて楽しい。それに皺を伸ばしながら揉むと店長はより一層声が大きくなるんだ。
「あ"あ"あ"!そ、そんな二箇所同時に…玉はまってくれ!はぁぁ!動かさないでくれぇ!」
ブンブンと頭を振る店長。そんなこと言ったって抵抗しないしシーツを掴むだけじゃないか。
気持ちいいんでしょうが。
もっともっと良くなってもらいたい。俺は口を離し弄くっていた玉に近づくと口に咥えた。
吸い付いて転がして、汗ばんだ玉の味を舌で堪能する。
「くぅ!そ、そっちは違うと…んはぁ!玉はダメだってのに!」
口からどんどん出る嬌声を聞きながら恍惚になる。
店長の玉はしゃぶっていて気分がいい。ずっと口に入れていたい。
汗か、少ししょっぱいがそれがまた興奮する。あぁ癖になりそう。
手で男根を扱きつつ雄臭い玉を引っ張ったりして何度も甘噛を行った。
「ん、んぐ…ごふ、んん」
店長の玉がビクビクしだし、射精が近いことを俺に告げる。
感じてくれていることを嬉しく思いながら俺は男根にむしゃぶりついてスパートを掛けた。
「はぁっはぁっはぁっ!だ、ダメだ出ちまう!イク!はぁっはぁっ!あ"あ!あ"!イク!イクゥ!んがぁぁあああ!!!」
ビュルル!ビュル!ビュクビュク!…ドプ……
「あ…あぁ…はぁ…」
最後に腰を突き出すと店長は叫びながら吐き出したんだ。
溜まってた。って言うだけあって、量も凄く多い。それに味も濃い。
その射精は数十秒続き、俺の口を満たしていった。
まぁいくら好きな人のだからっていっても精液はそんな簡単に飲めないけどね…。
「ん"ぐ…っはぁ。沢山出したね店長」
「ぜぇ…ぜぇ…相変わらず激しいんだっての」
息を荒くしながら言うが、顔は怒っていなかった。
良くなかった?って聞くと恥ずかしそうに良かったと言ってくれたから大丈夫だろう。
「さて…後は、ワン公だが…」
「それなんだけど」
「ん?」
そうだ。ずっとしたかったことがある。
今までこういうエッチは何回かしてきたけど、まだ俺達は"繋がって"ないんだ。
いままで店長の中に挿れたこともないし、入れられたこともない。
勿論今の今まで俺は誰かと付き合ったことがないから、童貞。笑うなよ?
この初めては店長にあげたかったんだ。
初めての一回きりっていうのは誰かにあげたら戻ってこない。気持ちの問題かもしれないけど、最初は店長がいいんだ。
「お、俺の中に?ん~…」
「嫌ならいいんだ。無理してまでやりたくないし」
「いや、大丈夫だ。ただ、きっと痛そうだしよ…さっきは俺の言葉無視してくれたが…」
わざとらしく強調して俺を見てくる。うぅごめんなさい。
「今回ばかりは優しくしてくれよ?切れて痛い生活なんてゴメンだぜ俺は」
「分かってますって」
「はぁどうだか」
いかにも不満ですと出したままの店長はベッドの上で四つん這いになった。
なんかこんなふうに見る店長初めてだけどまんま猫だな。
それに店長の尻穴…。
濃いピンクで大人って感じで、またひくひくとヒクついていて…。
扇情的すぎるよ!
「あ、あんまり見ないでくれよ!恥ずかしいだろ!?」
「えへへ、凄い店長。こんなになってる…」
「う"ぅ…まさかこの歳でこんな痴態を晒すとはなぁ」
「俺は嬉しいですよ?」
「お…俺もワン公なら、っけ!ワン公だけになら見られてもいいや!」
吹っ切れたのか、そう言うと前を向いてしまった。可愛いなぁ。尻尾もフリフリだし。
じゃぁ弄っていきますねと言って返事を聞いてから尻穴に舌を当てる。
初めての感触と熱に店長は凄い変な声を出したが、俺は気にせず穴の周りを舐めまわす。
ピチャッピチャッヌチュッ
「ぐぅ…はぁっ、熱…」
まだ不快感や違和感が抜けないのだろう、毛が逆立っている。
ちょっと罪悪感があったが、でも慣れてもらわないと俺が困るんだ。
辛抱してくれ店長。
「はぁぁ!な、中に熱いのが…!」
やや強引にこじ開けて舌を中に入れる。
奥まで入れた後に周りを舐め、ズルズルと抜いて行く。最初はこの繰り返しだ。
何だか変な味…苦いとも酸っぱいとも取れるような…。
美味いとは言えないけど、興奮する味とでも言うのだろうか。
舐めて口に入れるとそれが媚薬みたいに俺に作用するんだ。
息が荒くなって、もっとしたいと思ってしまう。これも多分相手が店長だから。
他の人には絶対やらないよ。何を言われても出されてもね。
「ん…はぁ。指、入れるね」
「ぜぇ……あ、あぁ頼む」
すでに息が切れ気味で心配だが、店長は大丈夫だからと言って俺を促す。
そうだよな。心配ばかりしても進まないし。俺も決心しなきゃ。
指に唾液をまぶすと穴にピトっと当てて、ずぶずぶと挿入していく。
「ぐぅぅ…」
「が、我慢してね」
中を広げるようにして第二関節くらいまでは何とか入った。
その後は前後にゆっくり動かして、痛みがなくなるのを待つ。
なんだろう、初めて指入れたけどこの時点で締め付けが凄いんだ。
指全体が肉に包まれて、それでいて中は腸液で塗れててヌルヌルで。
この中にいれたらどうなっちゃうんだろう…。
興奮と欲をぎりぎりで抑えながらひたすら店長の声を待った。
「つ、次いいぞ…」
「分かりました」
続いて二本目。
「が!くぅ!」
先程より大きな悲鳴。
「ぬ、抜きましょうか?」
「いやいい。はぁっ、ここで止めちまったら意味ないだろ?安心しろ。俺は大丈夫だからよ」
自分の我儘に付き合って、なおもこうやって俺の事を言ってくれる。
申し訳無さがいっぱいだが、今は店長の言葉に従うことにした。
これは店長が決めたことだ。それを無視して止めたら店長を裏切ることになってしまう。
「が、頑張って!」
「あ、あぁ…ありがとな!っへ!」
店長の笑顔だ。俺はまたこの笑顔に救われた。
深呼吸すると、傷つけないように店長の中に指を進める。
早く慣れるように、広がるようにして2本同時に。
中は熱くて、動かす度にぐちょりぐちょりと音が鳴った。
「どうです?」
「はぁっふぅっ、わ、悪くねぇ。痛みもさっきより大分落ち着いた」
「恐らくもう平気だ。い、挿れてくれ」
良かった。正直俺も限界だったんだ。挿れたくてしょうがない。
指を抜くと俺はさっさとズボンとパンツを脱いで穴に男根を押し当てた。
入れますよ。店長…。
「き、来てくれ」
ズブ!!
「ぐあぁぁあ!あ"あ"!」
途端に背をのけ反らせて悲鳴を上げる。驚いて俺はビクリとした。
やっぱり慣らしが足りなかったか!?
だが抜くことも出来なかった。いや、やろうと思えば出来るだろう。
だけど…。
「ごめんなさい店長!俺、と…止まれない!」
そう。欲望に支配されたんだ。
中に入れて肉の感触と熱さ、液体に塗れた穴。
それは俺を一発で引きずり込み、堕としてしまった。
もう今はただの、性欲に蝕まれた犬っころでしかないんだ。
「動くよ!」
「ま…待て……がぁぁあ!」
店長の言葉も今は届かない。
俺は自分のそそり勃つ男根で、ひたすら店長の尻穴を犯したんだ。
陰毛が、玉があたるぎりぎりの根本まで深く差し込んだら、亀頭が露出するギリギリまで抜く。
そしたらまた中の、奥の奥まで差し込む。
同じ行動だが、これが凄く気持ちよかったんだ。
パンパンパン!
「がぁ!あ"!んぁ!はぁっ!」
苦しそうな声が口から漏れているが、気にしている余裕はない。
ヘタしたらこのまますぐに果ててしまいそうだ。
でもそんなにすぐにイったら今まで何分も掛けたのが無駄になる。
もっと繋がっていたい。もっと今を楽しみたい。
店長…犯したいんだ!
「店長!店長ぉ!」
「がぁぁ!わ、ワン公!深い…熱い!ひぎぃい!」
店長はすでに泣いていた。ベッドに顔を押し付けて、俺に揺さぶられている。
後ろから見るその姿に煽られて、俺は更に腰を早めた。
ついでに店長の尻尾にも手を伸ばし、付け根を弄った。
「んがひぁああ!!?」
「店長も!良く…はぁっ!良くなって!あぁ!」
「し、尻尾はダメだって!あ"あ"あ"あ!」
そう言われるとやりたくなるのが生物というもの。
俺は嫌がる店長の静止を無視して根本ぐりぐりと掴んでは回す。
太ももが尻にぶつかってぱんぱんと甲高い音を鳴らす。
そして玉がぶつかると周りに体液が飛沫となって飛んでいた。
シーツの汚れも甚大だ。だがそれを気にしてなんかいられない。する必要もないんだ。
今は何も考えずまぐわっていたい。一つになれたんだ。店長の中に入ってる。
俺が店長を抱いているんだ。
パンパンパン!
「がぁぁ!くぅ!ワン公のが…!溢れちまってるぅ!はぁっはぁっ!漏れるぅ!」
先走りだらだらと中で溢れ、結合部からは擦る度に漏れでていた。
それが潤滑剤となってスムーズな行為が出来る。気持ち良さも大幅アップだ。
腰が止まらない。もっともっと深い所を欲している。
店長の背中に倒れると俺は両手を横に伸ばして店長に抱きつく。
「わ、ワン公!?」
次いで店長の胸に手を伸ばすと、硬くなっている乳首を見つけ執拗に弄った。
指で弾いて、擦ったり。摘んでは指先で揉む。
「がぁぁ!はぁっ!な、何が何だか…!頭が変になっちまうよぉ!」
「店長!狂って!もっとおかしく…俺を求めて!店長!!」
「はぁっはぁっ!んああ!あ"あ"あ"!はぁっ!あ"あ"!」
だめだ、良すぎて…もう持たない!
中に、で…出る!!
「店長!で、出る!出す!イクゥ!」
「俺も!はぁっ!俺もイっちまうぅ!!」
ビュルルルルル!!!
最後に腰を深く突き出して再奥にて射精をする。
今までで一番気持ちよくて、量の多い射精だった。
店長もいつの間にか自分で扱いていたようで俺の数秒後に射精を行った。
余韻に浸かる俺達。もはや何も言えなかった。
こんなに気持ちいいだなんて。それに…こんなに……。
「つ…つかれ…た」
「お、俺も……暫く動けねぇぞ…」
「は、い…」
倒れるように俺は背中の凭れたんだ……。
「もう大丈夫か?」
「は、はい…」
あの後数十分は動けなかった。
倦怠感が凄く、店長に手を借りてようやく起き上がれて座った所。
まさに骨抜きだった。
「全くお前は年寄りになんて無茶しやがるんだ」
「ご、ごめんなさい。あんなに気持ちいいだなんて思わなくて。凄く締りが良くて熱くてヌルヌルで」
「店長と繋がってるんだと思うと俺もう…」
「わ、わかったっての!いちいち口に出すなぃ恥ずかしい」
ボリボリと頭を掻くとよっこらせっと立ち上がる。
背伸びをした後に、俺の方に手を差し伸べた。
「ほら風呂行くぞ。シーツも洗わないとだが…もう夜だしなぁ」
そうなのだ。セックスしてたりあれやこれやしていたら外はすでに暗くなっていたんだ。
これには驚いた。時間の経過って早いもんなんだなぁ。
何とか重たい体を動かして手を取ると店長と風呂場に向かう。
廊下に出て右の扉、洗面所に入って正面がそうだ。
服はほとんど脱ぎ去ったから持ってくるだけ、店長も頭のタオルを取ったみたいだ。
あの行為でよく取れなかったな……。
「じゃぁ入るか」
「でも、二人で入れる?」
「悪かったな狭い風呂で」
「どちらかと言うと店長が狭くしてるような…うわ!」
「言っちゃいけない言葉だなぁ?」
「ご、ごめん!冗談だって!」
ようやくいつもの感じと取り戻し、俺達は二人で中へと入っていく。
仕事終わりはいつも汗だらけだから、風呂は予め綺麗にして湯を入れてあるんだ。
タイミングもバッチリ!今日は少し遅くなったけど。
「じゃぁまずは俺からな」
「うん」
店長が先にシャワーを浴びると、スポンジで体を洗っていく。
「じゃぁ悪いが背中頼むな」
了解して受け取り、座る店長の後ろでゴシゴシ洗いだす。
こうやってみると店長の体ってほんとうに大きい。それに縞模様が綺麗に入っていて見ていて飽きない。
虎獣人って格好良いなぁ。こんな模様があったら俺もモテたんだろうか。
…今は他の人なんて眼中にないんだけど。
力強く擦ると心地よいのだろう、ふぅ~と声がした。
やっぱり誰かが喜んでくれるって凄く嬉しいな。
それが恋人だもん。嬉しくないはず無いよ。
そう思うと自然と力が入ったんだ。
「お、やる気満々だな」
「っへへ。店長の為ですもん。流石にもうエッチは今日はカンベンですけど」
「俺だって無理だぃ。また後日だな。愛を育もうぜ?」
「も~えっちー」
「俺は淫乱だってワン公が言ったんだろ?淫乱にさせたのはどいつだぁ?」
こんな変なやりとりが物凄く楽しかったりする。
まるで自分の親みたいだ。
あ……。
「ん?どうした?」
「いやなんでもない。次体頼める?」
「おうよ。貸してみな」
これでいいんだ。私情を挟む必要はない。それにこれは俺がどうにか出来る問題じゃないんだ。
少しでも心配かけたくないんだ。
俺が座ると背中にスポンジが当たる。俺とは違って、優しい手つきだ。
気持ちが良いなぁ。
「まだまだ小さいな。もっと食って大きくならないとダメだぜ」
「そんなお腹になるくらいなら痩せてたほうがいいかなぁ?」
「ほう言ってくれるじゃねぇか」
「でもあんまり太り過ぎると体に良くないよ?お酒も今度から量を抑えないと。それに肉ばかりじゃなくてさ」
「わ、わかってらい!そんな母ちゃんみたいなこと言うなよなぁ」
笑いながら、お母さんも同じこと言ったんだと聞くとそうなんだよなぁと困り顔で言ってきた。
優しいお母さんじゃないか。良い母親だなぁ。
「まぁ、死んじまったんだけどよ」
「え?」
俺はハッとして口を抑えた。
行けないことをした。触れては行けない所に…。
そんな俺の心情が顔やら体に出ていたのだろう。店長はへへへと笑いながら頭を撫でてくる。
「お前が気にする必要はないだろ?なに、俺は何も思っちゃいねぇよ」
だが、やっぱりこういうのは良くない。決して良い思い出ではないんだ。
だから俺は謝った。ごめんなさいって。
すると店長も笑ってゆるしてくれたさ。「あぁ」って。
何やってんだ俺は…。
そっか店長には、親父さんはどうしたんだろうか。
そう思ったけど聞けるはずがなかった。
「さて、終わったし流すぞ」
「う、うん」
ぎこちない俺の返事にもきっと気づいている。だけど聞こえないふりをしてくれているんだ。
強く、ならないと。
パチン!
「うぉ!?」
俺は一つ両手で頬を叩いた。
物凄く痛かった。涙さえ出てきた。だがそれがいい刺激になった気がする。
頭が冴えた。
怪奇な行動に心配していたが、心配はいらないと伝えたんだ。
シャワーで泡を互いに流し、いざ浴槽へ。
しかし…狭い。
「………」
「………」
横に体育座りで入っているのだが、腰が痛い。
なんというか、うん痛い。
「やっぱり狭かったね」
「俺のせいじゃねぇぞ」
「違うって」
どうにも空気が微妙だ。
そう思ったのはどうやら店長もだったらしい。いきなりざぱっと音を立てて立ち上がると俺を抱き、胡座をかいた後にその上に乗せてきたんだ。
「こういう方法もあるだろ?」
にししとしたり顔で笑う店長。それにつられて俺も笑う…はずだった。
いや、笑えたんだ。でも心の底からじゃない。
こんな時にちらつくなんて…。店長と一緒にいるときは大丈夫だって思い込んでいるつもりだったのに。
そんな俺に気がついたのか、店長も少し心配のようだ。
「大丈夫か?俺達は、恋人同士。だろ?」
有難う店長。
俺のことなんか話したってしょうがないけど…言っておこうか。
「実は…お父さんがさ」
「…おぉ」
「今入院中なんだ」
「なに?」
そう。俺の父さんは今体を壊して入院中なんだ。
過労なのか、別の何か病気なのか。俺には分からない。まだわからないんだ。
医者も頑張ってみてくれているし、今のところ命に別条はないらしい。
でもやっぱり心配なものは心配で、それが頭に出てくると心から店長と接することが出来ないんだ。
「そうだったのか…なんか無理に喋らせたみたいで悪いな」
「いえ、自分のことも知ってもらいたくて」
話して少し肩の荷が下りた気がした。
やっと言えた。
その後、俺の事をもう少し話したんだ。
俺は小さい頃に両親が離婚、父親に引き取られた俺は男で一つで育てられた。
父さんは顔は怖いが優しくて、大事にしてくれた。
そんな父さんが最近、会社をクビになった。それは店長と会う前。
流石に俺は大きくなってたからちゃんと言ってくれたよ。
でも大丈夫だ。って、どこかバイトを探すからって。
そんな父さんが心配だったんだ。
一生懸命電話してぺこぺこしてたっけ。きっとストレスがたまったのかな。
そして父さんは不意に倒れたんだ。
急いで病院に電話して、救急車で運ばれて検査した。
以上は見当たりません。その言葉がどれほど俺を安心させたことか。でも逆に分からないと心配でもある。
危ないからと点滴を打って、入院したんだ。
それは店長と付き合って夏になる前の話。流石に言えなかったけど。
今でもお見舞いに入ってる。
「…偉いなワン公は。立派な…奴だ」
「そんなんじゃないよ。当然のこと。むしろ今まで黙っててごめ…ん?」
俺を抱く力が強くなった。そして後ろで音がするから見てみると。
「げっ!」
「ぐす!お前は本当に良い奴だよ…!俺はお前と出会えて心底幸せだ!ひぐ!」
「絶対幸せにするからな!お前の親父さんのためにも!」
物凄く泣いていたんだ。それは嬉しいんだけどさ!
頭に涙とか鼻水とか!つばまで飛んでるんだけど!
落ち着いてと言うのだがかえって余計に泣きだしてしまった。
こりゃ大変だぞ。
「うわぁぁ!もう絶対に放さねぇ!俺も退院出来るのを願うぞぉ!」
「わ、分かったから!有難う!だから泣くのやめなってば!」
「ワン公ぉぉ!!」
「あぁもう!!」
本当うるさくて、俺のためにここまで泣いてくれて…。
「ぐす…有難う店長」
有難う。
バタン
「あ~いい湯だったなぁ」
一変して笑顔の店長。コロコロ変わるんだから。
でも嬉しかったな。まさかあんなに涙もろかったなんて。
「誰だってあんな話し聞かされたら泣いちまうって」
「その、良くなるといいな親御さん………」
プルルル
「あ?」
店長の言葉を遮ったのは一本の電話だ。
珍しいな。何だろう。
はいはいと俺が受話器をとった。店長の家だけど、近くに居たからついね。
そっと耳に当てる。
「もしもし…」
聞こえてきたのは病院の医者の声だった。
ここにいることを予め父さんと医者には伝えていたんだ。
家にいなかった場合、こっちのお店に居るかもなのでお願いしますって。
店長にはまだ言ってないけど。ごめんね!
っとと、一体どうしたんだろう。
「あ、いらっしゃいましたか。いやね、貴方のお父さんなのですが……」
「え……」
俺は目を見開いた。
話し声が聞こえ、察したのだろう店長も心配そうだ。
そんな事よりもだ。
俺は今一度聞き返す。
「ほ、本当ですか…?」
「えぇそうです。貴方のお父様ですけどもね」
「5日後辺りに退院できますので」
これには心底驚いた。そして、凄く凄く嬉しかったんだ!
「倒れた理由は?」
「それがですね疲労やストレスもあったんですけどもね。それと共に…」
「お酒の飲み過ぎですね」
「え"!?」
の、飲み過ぎで倒れたって!?そんなの無いよ~。
あんなに心配したのにー!
「今後は量を控えて頂いてもらわないと。いくらお酒だからと言っても飲み過ぎたら命に関わるので」
「医者の私からもよく言っておきましたから。息子さんの方からもよろしくおねがいしますね」
「分かりました。本当有難うございます」
「えぇ。ではまた何かあったらご連絡します」
がちゃ
っは~。なんか色々と胸がいたいや。
でも良かった。いや、良くないんだけどさ。お酒の飲み過ぎ…。
ん?
「ど、どうだったんだ?今の医者だろ?よく分からねぇけど」
店長さんにはここに電話が来ることの説明をしたんだ。
勝手にするなよな~とちょっと怒ってぺしっと叩かれてしまったが、そこは素直にごめんなさいで許してもらった。
それよりもと急かしてくる店長。人事じゃないんだと聞いてきた。
だから説明したんだ。退院出来るんだ。
そして原因が…。
「酒の飲み過ぎだって。店長も例に洩れていないんじゃない?」
「う"!そ、そうだったのか…確かに酒は好きだが倒れることがあるなんて…」
いやいや過剰摂取はダメでしょ普通に。それぐらい分かっててください。
俺が減らすからねというと割りと本気で唸って迷ってる。
嫌だと言われてもそれが危ないなら気をつけないと。自分で抑制できないなら俺がしてあげなくちゃ。
店長まで倒れちゃこっちの身がもたないよ。
「わ、分かった!まぁしょうがねぇ。ワン公には心配掛けたくないからな」
「が…頑張るぜ」
顔ひきつってるよ。
とりあえず事は済み、俺達は夕飯を食べる。
出てくるのは…ラーメンだったけど。まぁ店長のは美味しいからいっか。
そしてやることやってさぁ後は寝るだけってなった時だ。
「あ"…」
「う"…」
シーツ取り替えるの忘れてた。
思わず二人で苦笑い。あまり会話なくそそくさと取り替えたんだ。
「っは~。やっと寝れるなぁ」
「なんか疲れたね色々」
「あぁそうだな」
でもその疲れが、決して嫌な疲れじゃなくてどこか清々しかった。
店長との仲が更に縮まり、心のわだかまりもとれて、晴れやかな気分。
良い方向に向かってる気がしたんだ。
「明日、お見舞いに行こうと思うんだ」
「ん?そうか」
お父さんにはまだ紹介してないし、このことも言ってない。
だから店長をお父さんに紹介したいんだ。
もしかしたら怒られるかもしれない。なぜ男とと言われるかもしれない。
でも、これが俺の恋であり、愛なのだから。例え何を言われても引くつもりはない。
認めてもらうんだ。
「分かった。俺も、認めてもらえるように頑張るからな」
「そのお腹で言われてもなぁ」
「う"!う、うるせー」
っへへ。
俺は最後に、お願いしますと言って瞼を閉じたんだ。
今日はぐっすりよく眠れそうだ…。
――――――――――――――――――――…
そして翌日。
病院内。個室。
俺の、父さんが入院してる部屋。
張り詰めた空気。かしこまる店長。
この人は今、今までにないくらい真剣な目で覚悟をしていたんだ!
「はぁっはぁっ…んぐ」
「………」
黙る父さん。その目は鋭い。
店長すら少し押され気味だが、つばを飲み込むと店長は言ったんだ。
「む、息子さんを…!お、俺に、いや私に…いやその某に…」
おいおい…しっかりしてくれよ店長…某って…。
「ええい!このワン公を俺にくだせぇ!!」
よし言った!
いや、俺からもだ!
「この店長さんと、いっしょにいたいんだ!お、お願いします!」
二人して頭を下げる。これほど緊張することが過去にあっただろうか。
付き合ってる相手が男でラーメン屋の店長をしていてって説明してる時点で顔色がおかしくなっていったし…。
もしかしたらもしかするかも。ええい!頑張れ俺!
「二人共顔をあげなさい」
その言葉に恐る恐る顔を上げる。
父さんの顔…あれ?笑ってる。
「えっと、貴方がうちの息子の恋人さんですな?」
「そ、そうだす」
だめだこりゃ…。
「中々立派なお腹をしておりますなぁ」
「こ、これはその…!わ、ワン公には注意されたしこれから頑張って減らしていく方向でして…!」
「そうでないと困りますな。私も人のことは言えませんで」
「倒れられてしまったらこいつが一人になるもんでして」
「と、父さんもう~!」
わははと笑うけど俺は恥ずかしいよ全く。
でも怒ってないし印象は良さそうだ。
俺と店長が付き合うこと、改めて聞いたら、勿論いいよと言ってくれた。これには吃驚したなぁ。
俺が好きになった人だ。大事なんだろ?だったら好きにしなさいって。
良かった。話が通じる人で。
「それで、どうなんだい?もう君たちはどこまで進んだい。もう口とかでしてるのかな?それともお尻で……」
「と、父さん!!」
「お、親父さんこんな所で!……その、昨日俺が尻にいれられましたが…」
「店長ってば!」
「わははははは!」
なんで大爆笑してるんだ父さんは!!何が面白いのこれ!?
俺が間違ってるの!?なによこれ!
「ごほごほ!」
「ほら~無理するから。退院出来るって言ったって倒れたんだからまだ安静にしないと」
「すまんね。ただ、嬉しくてねぇ。自分のただ一人の大事な息子が、体の関係まで進められる程大事な人と巡り会えると思うとね」
「う…うん」
何かこっちが恥ずかしくなってくる。店長なんかもう真っ赤になって俯いちゃってるし。手をもじもじさせない!
意外な所で小心者なんだな。
「こんな息子だけど、よろしくやってくれな。十分に可愛がってやっていいから」
「も、もちろんです!時には俺が可愛がったり可愛がられたりで…!」
「もう店長ってば!!!!!」
「わっはっはっはっはっはっは!」
「ゴッホゴホ!
「父さんもしつこって!」
その後は父さん含めて三人で世間話をした。
店長の事、俺の事。こんな人だけど真面目で大切なんだって言ったり。
店長も店長で俺のこと、おっちょこちょいだけどやる気があって誰にも渡さないって言ってくれたんだ。
「熱いねぇ君達。私は妬いちゃうなぁ」
「どうだね店長君。今度息子じゃなく私の味を堪能してみるかい?」
「ちょ、ちょっと何言ってるの!冗談でもそんなこと…」
「お、俺はその…へ、下手だし……これも家族ぐるみでのお付き合いで親睦を深めるというなら…」
「お、親父さんのモノの相手をしますぜ…」
なんで真面目に受け取ってるんだ店長ぉ!
思わず頭をぺしぺし叩くと笑いながら謝る。もう何で俺弄ばれてんだよ~。
でも、良かった。何か良い雰囲気だ。店長の事気に入ってくれたみたいだし。
今はまだ安静にしないとだけど、いずれ三人で買い物とかにも行けたらなぁ。
それにバイトとか…ん?
「あ、父さん!」
「ん…どうしたんだね?」
「父さん今ニートでしょ?」
「ば!に、ニートっていうんじゃない!」
俺と父さんのやりとりに爆笑中の店長。何がおかしいんだろう。
「俺、いま店長さんのお店手伝ってるんだけど。父さんもどう?」
「え?わ、私がかい?」
そうすると店長もポンと拳を手のひらに乗せた。漫画とかなら頭に電球が出てそうだ。
俺の意見に賛成する店長。でも父さんはちょっと浮かない顔だ。
嫌だったかなぁ?
「私みたいな老人が果たして務まるのだろうかね。足を引っ張ってしまうのは私も嫌だもんで」
「それにラーメンを作ると言ってもだなぁ…」
「まぁ待ってくれ親父さん。無理にする必要もない。それに親父さんはあんまり動かさないさ」
「若いワン公が居るんだ。忙しいのはこっちで、俺とかのフォローを少しやってもらえればいい。人は多いに越したことがないんでな」
なんか引っかかるけどまぁいいだろう。
よし店長!もう一息!俺も父さんが近くにいれば安心できるし。直ぐに行動に移せる。
三人で仲良くってものいいもんだよ!父さん!
「店長君がそういうなら…考えておくことにするよ。覚えは悪いが、しっかり教えてくれな?」
「おぉ!勿論だ!」
「うむうむ…あ、エッチの時は私は席を外した方がいいかな?
「え"!?いやその……み、見られる位なら…いやまぁ少しくらいなら」
「むしろ三人で……」
「父さん!!!!!もう!!!!!!!!」
「わははははははは」
そうして俺達は、話を終えて病院を出たんだ。
店長との出会いやその後のこと。今の事。
そして、互いに大事にしてることも。全て伝わった。
今では店長意外見えないし、この人しか愛せない。俺が言ったら店長も俺の事を言ってくれたよ。
それを聞いて父さんは笑った。でも少し残念そうだったな。
子はいつか親元を離れる。そして、俺が男を好きになった時点で俺の家系は後が無い。
それでも、父さんはそれを理由に断ったり道を外れたりはしないでくれって言ったんだ。だから俺も頷いた。
本気で好きになったんだ。何が理由だろうと、嫌いにならない。
俺達三人、残りの人生を宜しくと言って握手をし、その日は病院をおさらばしたんだ。
「良い親父さんだな」
「少々親ばかな所もあるけどね」
「そこがいいんじゃないか。大事にされてるって感じが伝わったぞ」
見れば分かっちゃうもんなんだよなぁ。
俺も実は嬉しいんだけどさ。
「本当…これからも、宜しくな。ワン公も、親父さん共々皆で」
「うん。あ、でも父さんとエッチはしないでよー?」
「ばっ!で、出来るか!あれは冗談だよ!俺がするのはワン公だけだ!」
「も~淫乱なんだから~」
「っへ~んだ!今度は俺にいれさせろよ!」
「いたくしないでよ?」
「わかってるって。大事な恋人だからな」
そう。俺達は恋人。大事な恋人なんだ。
これからもずっとそれは続く。
「今度さ。ワン公と親父さん連れて、海にいかないか?」
「皆で楽しんでよ。いっぱい遊んで、思い出たくさん作ってよ」
「一生悔いが残らないくらい、溢れ出ちまうくらい思い出作って…」
「うん…そうしようか!」
「おぉ!」
俺達は、ガッチリと手を掴んで笑いあった。
楽しみだな海。きっと父さんも喜んでくれる。
空を見れば雲一つ無い青空。まるで俺達の未来のようだ。
曇ることのない、素敵な未来が待ってる。俺はそう信じたい。
「店長…」
「ん?」
「愛してます」
「……あぁ。俺もだ。愛してるぞ」
俺達は体を寄せて…キスをしたんだ…。
「待ってよ店長~!」
「へっへ~んだ!うわっ!」
「ほれ危ないぞ店長君!ここは私に任せて…」
・
・
・
……………完…………