正義と悪は紙一重

  様々な獣人が暮らす世界で、【エナジー】と呼ばれる特別な力を持つ者が現れ始めた。ある者はその力を私利私欲のために使い、ヴィランと呼ばれた。ある者は私利私欲にまみれた力を持つ者を罰する立場となり、ヒーローと呼ばれた。

  一週間という長い戦いの末、ヒーローたちはついにヴィランが集う施設を壊滅させた。

  大都市の廃ビル地下に隠されていたその施設が露見したのは、住人の失踪事件ではなく、駆け出しヒーローの一人、赤い毛並みの虎獣人ライネがヴィランに捕らえられ、連れ込まれたことがきっかけだった。

  わずか一週間。されどライネは見るも無残な姿へと変わり果てていた。

  殴られた痕のようなあざはまだしも、赤い毛並みは汚され固まり、筋肉質だった腹部は妊婦のように膨れている。

  中身はすべてヴィランたちの精液。毛並みを覆うのも精液。彼だけではない。捕らえられた住人たちも皆、ヴィランのはけ口にされていたのだ。

  標的となったのはライネを含め、すべて有毛の獣人たち。対するヴィランはワニやトカゲ、カエルといった毛のない獣人たち。因縁はあったのだろうが、決して許される行為ではない。

  幸いにも失踪者の中に死者はなく、医療班ヒーローの力で肉体は元に戻された。

  だが、慰み者にされた記憶が消えるわけではない。ヴィランの雄を求めてしまうよう堕とされた心が戻るわけではない。

  家族は悲しみに暮れる。起きれば精奴隷と化す被害者たちの対処は、眠り続けさせるしかないからだ。

  そんな中、紫の毛並みを持つ狐獣人ピスは、相棒であり同期でもあるライネの復活を諦めきれずにいた。

  そんな彼に呆れつつも気遣うように、先輩ヒーローであり同郷出身の黒毛の狼獣人ネスランが、二人きりになるよう呼び出した。

  「…ネスランさん。何の用ですか?」

  「擦れてるなぁピス。」

  「あたりまえです!僕は!…僕はこいつを止めきれなかった。同行も、出来なかったんです! 」

  ライネが捕まったのは単独行動が原因だった。本来、駆け出しヒーローは二人以上で行動する決まりなのに、怪しい影を見つけたライネがピスを置いて突っ走ったのだ。

  しかも最後は追うか報告かで激しく言い争った末の、喧嘩別れのようになってしまっていた。

  「…苦しかったな。」

  「っ!あなたに、何がわかるんです!」

  「わかるさ。俺も駆け出しの頃、相棒がヴィランに捕まったんだ。」

  「…え?」

  一瞬、唖然とするピス。だが、悲しげに俯くネスランの姿に、それが事実だと悟った。

  「一度くらい聞いたことないか?ロロという白い柴犬のヒーローの名を。」

  「…知ってます。知ってます。僕はヒーローになる前からあらゆるヒーローに憧れてましたから。あまり長くは活動していなかった方ですよね。」

  「さすがピスだ。ロロは俺の相棒。ロロは俺の相棒。駆け出しの頃、一番支えてくれた相棒だ…」

  悲痛な面持ちで語るネスラン。その姿に、ピスも顔を伏せながらロロの記憶を口にする。

  「…ロロさんは確か、一時期休養して、その後少し復帰しそうですが、すぐに引退したとテレビで聞きました。」

  「…そうだな。その復帰について、お前に話がある。」

  「復帰について…?」

  ネスランが真剣な表情に変わり、ピスは息をのむ。

  「お前はヒーロー開発支部を知っているか?」

  「…知っています。ヒーローの装備を作る支部で、実質的な本部ですよね。」

  ヒーローが所属する機関は全て【ヒーロー支部】と呼ばれ、地域ごとに統率されている。

  その中でも装備開発を担う【ヒーロー開発支部】は各支部に装備を供給しており、実質的な本部と揶揄されることもあった。

  「間違ってはいないが、人の多いところで口にするなよ。その開発支部に元老と呼ばれるお方がいる。その方こそ、ロロの精神を取り戻してくれた人物だ。」

  「えっ!?じゃ、じゃあ、ライネも元に戻せるのですか!」

  「あのお方なら可能だ。ただし非常に気難しい。彼の前では、嘘偽りなく真実だけを答えられると約束できるか? 」

  「…よくわからないですけど、それでライネが元に戻るのなら。」

  決意の色を宿したピスの目に、ネスランは笑顔を見せて肩を叩いた。

  「よく言った!お前なら必ずお眼鏡にかなうはずだ。いいか?必ず誰の紹介か聞かれる。そのとき迷わず俺の名を出せ。」

  「わかりました!」

  「よし!なら善は急げだ。ライネも一緒に、俺が開発支部まで送ってやる!」

  「ほんとですか!お願いします!」

  ネスランに連れられ、まずはライネが運ばれているヒーロー専用病院へ向かう。

  奥の病室。カーテンで仕切られたタンカーの上に眠るのは、先日救出された被害者たち。点滴で命を繋いでいるが、未来は明るくない。

  その一番奥に、赤獅子ライネの姿があった。

  病院関係者は全員ヒーローに理解があり、少数だがエナジー持ちもいる。だからこそ熟練ヒーローであるネスランがライネを連れ出すと言っても、誰一人反対しなかった。

  病院の屋上から救急ヘリにタンカーごとライネを乗せ、ネスランが操縦する。付き添うピスは、心配そうにライネを見つめ続けた。

  別の街まで一晩飛び続けた翌朝、大都会の巨大ビル群の一つに着陸する。先ほどの都市も高層ビルが立ち並んでいたが、このビルはすべてを凌駕するほどの巨塔だった。

  屋上のヘリポートにある建物は一つ。中に入ると、並んでいるのは巨大エレベーターの乗降口だけ。

  ピスがタンカーを入れると、ネスランが開口ボタンを押したまま慣れた手つきでいくつかのボタンを押す。すると、ボタン下部が開き、新たに最下層と書かれたボタンが現れた。

  「元老は最下層にいる。君とライネだけで行くんだ。そうしなければ、彼は話すら聞いてくれないからな。」

  「えっ…わかりました。先輩はどうするのですか?」

  「俺は屋上で待つさ。終わった後、運ぶ役が必要だからな。」

  ネスランはそう言い残し、最下層のボタンを押してエレベーターを出る。

  扉が閉ざされ、残されたのはピスとライネだけ。静かにビルの地下へと下っていく。

  ふと気になりボタンを見るピスだが、点灯しているのは最下層のみ。どこにも止まらず、一直線に目的地へと向かっていた。

  そこは青に染められた広い地下の部屋。目立った飾りはないが、ガラス張りの床下には水が揺蕩う。

  その中央で、ノートパソコンに向かい何やら作業をしているのはゾウガメの獣人。立派な甲羅を背負い、背のない丸椅子に腰掛けていたが、来訪者に気づくと椅子を回し、振り返った。

  「新人か。そこにいてはエレベーターを他の階層で使えない。入れ。」

  「は、はい!」

  エレベーター内でとどまっていたピスは、タンカーを押して部屋に入る。すると、なぜか開いたままだったエレベーターは閉じ、上へと戻っていった。

  ゾウガメ獣人はゆっくり立ち上がると、二人に近づいた。

  「さて、来てしまったからには話くらいは聞こう。誰の紹介だ?」

  「ネスラン先輩です。あなたのことは元老と聞いてきました。」

  「ほう、芯の通ったいい返事だ。自己紹介しよう。儂はロストという。元老などと呼ぶ者もいるが、しがない開発者の一人だ。」

  「僕はピス。まだ駆け出しのヒーローです。こちらで寝ているのは、相棒のライネです。」

  地下で一人作業している人物がしがない開発者のはずがない。ピスは訝しんだが、表情には出さず、まっすぐ自己紹介を返した。

  その様子にロストも頷き、タンカーに眠るライネへ視線を向ける。

  「なるほど。ネスランが気に入りそうな新人だ。まあ、なんとなく察しはつくが、要件くらい聞こう。」

  「はい。ネスラン先輩から聞きました。あなたなら、精神を病んでしまったライネを戻し、ヒーローとして復帰させられると…」

  ピスはネスランの言葉を完全に疑ってはいなかったが、本当にそんなことが可能なのかという思いはあった。

  「確かに儂なら精神を戻し、復帰できる可能性を持たせることはできる。…だが、あえて言おう。帰れ、小僧。」

  突如冷たい目を向け、エレベーターを指さすロストに、ピスは紫の毛を逆立たせ、激昂した。

  「何て言い草ですか!?それでもあなた、ヒーロー支部の一員ですか!?」

  「少し違う。儂は外仕事こそしないが、現役のヒーローだ。」

  「…え?」

  思わぬ言葉に一瞬激情が落ちたピスだったが、すぐに飲み込み、なおさらに怒りを露わにし、牙をむく。

  「なら、なおさらです!ヒーローならば、目の前の助けられる可能性を捨てるんですか!」

  「儂のエナジー能力だ。誰に使うかは儂が決める。」

  「っ!そんなの、ヒーロー失格です!」

  「小僧。お前にヒーローが何たるか、語られる筋合いはない。」

  ロストが鋭く睨みつける。声こそ静かだが、先ほどよりもずっと重く響いた。

  ピスも思わず一歩下がり、逆立っていた毛がしおれる。

  ロストは一度目を閉じ、今度は憐れむような表情へ変わった。

  「…わかるぞ。大切な友なのだろう?だが、与えられた負荷は肉体にしみついている。眠らせておかなければ、精奴隷と化すだろう。」

  「…はい。医師にそう言われました。知っていたのですか?」

  「いや、ちがう。儂の力は、記憶の読み取りと、記憶の操作。だからわかるのだ。」

  「記憶の読み取りと、操作…」

  ヒーローらしくない能力だとピスは思ったが、口には出さなかった。だがロストは感じ取ったのか、説明を続ける。

  「儂の言う記憶とは、脳にある記憶だけではない。肉体に刻まれた経験や、心に背負ったものすら書き換える。それを施して起こせば、普通の生活を送ることもできる…」

  「っ!なるほど、ある意味での、医療ですね。」

  「そうだ。だが、不思議なことに世の中ままならぬ。一度精に溺れたものは、どれだけ儂が書き換えても、なぜかまた精に溺れていくのだ。」

  「えっ…どうして…」

  ピスの崩れ落ちるような声に、ロストは首を横に振る。

  「それがわかれば儂も苦悩せぬ。だから去れ。たとえ記憶を全て消しても、再び友が堕ちる姿を見ることになるぞ。」

  再びエレベーターを指さすロストに、悔しそうに震えつつも、ピスはつぶやいた。

  「…させません。」

  「なに?」

  「させません!僕がずっとついています!ライネが堕ちないように!」

  見つめ返すピスの目には、諦めないという強い意思が宿っていた。

  ロストは肩を落とし、少しうつむいた。

  「…まさか、ネスランとまったく同じことを言うとはな。仕方ない。処置を施してやろう。」

  「っ!ほんとですか!」

  「ただし、儂は忠告したからな。」

  ロストがライネの肉体に両手をかざすと、いくつもの緑色の小さな数字がライネの周囲に浮かび上がり、やがて肉体へと吸収されていった。

  「…これで処置は済んだ。寝ていた間はコールドスリープされていたことになる。」

  「…ロロさんの時、テレビで見たことがあります。ヴィランが眠るヒーローから情報を抜くために、コールドスリープさせた事件ですね。」

  「あれは偽りだ。実際は儂が処置を施してやったわけだ。」

  「…なるほど。」

  ピスは事件当時、ヒーローもそんなことをされるのかと恐れたものだが、今ならそれ以上に酷い仕打ちを想像できてしまう。

  「上でネスランを待たせているのだろう?明日でいいから顔を出しに来いと伝えてくれるか。」

  「はい、了解です。ありがとうございました! 」

  「礼を言われるほどではない。だが、儂のことはよほど信頼できる者以外に話すな。儂の力は、本来忌むべき力だ。」

  「…はい。」

  ピスは他の被害者にも施せないのかと言いかけたが、記憶を操る力だと知り、確かにヒーローらしくない力だと感じた。忌むべき力という言葉に同意してしまう自分もいる。

  それでも今は、相棒を助けられたことを喜ぶべきだと気持ちを切り替え、エレベーターへ向かう。

  不思議なことに、すでにエレベーターは開いていて、ロストは見送ることもなくパソコンへ向き直っていた。

  長い上昇ののち、屋上に到着する。待ちかねていたネスランが片手をあげて迎えた。

  「戻ったか。その顔を見るに、うまく気に入られたようだな。」

  「はい!処置してもらえました。不思議な技でしたが、効果があると納得できました。」

  「あの方の力は本物だぜ?でもここで話せる内容じゃないな。ほら乗れ。」

  「はい!」

  きれいな朝日の中、ヘリはピスたちの街へと飛んでいく。

  ライネを見つめながら、ピスはふと伝言を思い出す。

  「あっ、そういえば!ネスランに伝言です。明日以降でいいから顔を出せ、とのことでした。 」

  「おっとっと。こりゃ多分、怒られるな!」

  「えぇ!?そうなんですか!」

  「はっ!まぁ、明日行くさ。一度家に戻って休んでからな。」

  「…すみません、付き合わせてしまって。」

  「よせ。俺が誘ったんだ、気にすんな。」

  気恥ずかしさからか、その後は会話もなく病院に到着する。

  病院に戻ると、ネスランは院長室へピスを連れていった。フクロウ獣人の院長はこの病院で唯一、元老を知る人物。処置が済んだと聞いただけで、ライネに必要な対応を整える。

  点滴は外され、大きな空腹感に襲われるだろうと説明されるが、回復に必要だと納得してピスは頷いた。

  ネスランとはここで別れ、ピスは院長の運転する救急車でライネと共に自宅へ送り届けられた。

  [newpage]

  大仕事を終えたネスランは、自宅のマンションへ帰ってきていた。

  オートロックを抜け、三階の部屋に入る。

  高級マンションとして有名だが、六畳ほどのダイニングに小さなキッチン。風呂とトイレは別とはいえ、部屋の広さは地味といえる。

  だが、家賃が高い理由は防音性にある。隣室との間に最新の吸音材が敷かれ、扉も密閉性が高く音は漏れない。耳のいい獣人たちが安眠のために選ぶマンションだった。

  玄関が閉まると同時に、ダイニングから白い柴犬が四足歩行で駆け寄ってくる。

  ただの犬なら不思議はないが、彼は獣人。本来は人と同じ二足歩行の骨格で、しかも衣服をつけていない。

  全裸のまま駆け寄った白柴は、ネスランにたどり着くと立ち上がり、抱きついてきた。

  それでもネスランは嫌な顔一つせず、柔らかく笑みを浮かべて受け止め、優しく頭を撫でる。

  頭一つ分の体格差がある、彼らの日常のスキンシップだった。

  「ただいま、ロロ。」

  白い柴犬獣人の名はロロ。かつてのネスランの相棒ヒーローである。

  だが今は人としての面影もなく、犬のように尻尾を振り、舌を出して息を荒げ、撫でてもらおうと頭をこすりつけてくる。

  「うん。俺も今日はこの時間に帰れてうれしいよ。」

  「くぅーん、くぅーん…」

  ロロは甘えるように声をあげる。しかしネスランは撫でる手を止め、焦りを含んだ目で見つめた。

  「ロロ…言っただろう?週に一度だけだと。」

  「くぅーん、くぅーん…」

  宥める言葉も届かず、ロロの鳴き声は止まらない。白い体に似合わない真っ赤な亀頭球付き犬チンポがむき出しとなっていて、ネスランのズボンにこすりつけていた。

  その異様な興奮に当てられたかのように、ネスランの呼吸も荒くなる。やがて口角が上がった。

  「まったく…悪い子だ。お風呂場に来なさい。」

  「ヘッヘッヘッ!」

  玄関すぐ横の風呂場は、洗い場も浴槽も広く二人で使うには十分だ。ズボンには先走りがついていたが、気にも留めず脱ぎ捨て、ネスランは服を脱ぐ。

  洗い場に入ると、ロロは仰向けに寝転がり、服従のポーズをとりながら尻を上げて見せた。

  「我慢のできない悪い子だ。お仕置きが必要だね。」

  ネスランもすでに臨戦態勢といわんばかりに、鍛え抜かれた黒毛の体に似合う亀頭球付きの真っ黒な狼チンポをむき出しにしていた。

  慣らしもせずにロロの両足を鷲づかみにすると、狼チンポをむき出しの尻穴へあてがい、そのまま挿入していく。

  受け入れるのが当然とばかりに、柔らかに広がっていくロロの尻穴。奥へ奥へと狼チンポを飲み込んでいく。

  根元にある太い亀頭球すら押し込まれ、ロロの尻穴はそれを受け入れた。

  ネスランの狼チンポのすべてを咥え込み、ロロは恍惚の笑みを浮かべ、犬のように息を荒げる。

  「さぁ、お仕置きの時間だ。」

  ネスランの狼チンポがズルリと引き抜かれたかと思えば、すぐに亀頭球の根元まで突き入れられる。

  激しすぎる出し入れに、尻穴は亀頭球が出入りするたび『ポン、ポン、ポン』と情けない音を鳴らした。

  しかし、お互いにその音など耳に入っていないかのように、獣のように快楽へ身をゆだねる。

  ロロの赤い犬チンポの先からは先走りがだらだらとあふれ、白い体を汚していく。

  ネスランは大口を開き、牙も舌もむき出しに腰を打ち付けた。振り回される黒毛に覆われた玉袋がロロの尻を打つのも気にせずに。

  「グルルルッ!」

  開いた口を閉じ、うなりをあげたネスランは、ロロに抱きつきながらひと際深く突き入れ、精液を注ぎ込む。

  「キュン!キュン!キュイン!」

  注がれる精を感じながら、ロロも射精し始めた。

  吹き出す精液がネスランの黒い体を汚していく。

  お互いに長く長く、まさに犬のような射精。ロロの腹がわずかに膨らみを見せたところでようやく収まり、乱暴に狼チンポが引き抜かれて体を離す。

  「キュイン!」

  「まったく、俺まで汚して。悪い子だ。本当に、かわいいやつだ…」

  服従のポーズのまま、息を荒げぐったりするロロの少し膨れた腹を、ネスランはそっと撫でる。

  あれほど射精したはずの黒い狼チンポは、なおもガチガチに勃起し、収まる気配を見せなかった。

  『こうして毎日ずっとロロと交尾できればいいのに。』ネスランの中に靄のように漂う感情。

  『こんなかわいいロロを独占したい。』靄は濁りを見せる。

  『俺のロロを知る存在が居る。』濁りはどす黒いものに変わった。

  黒で塗りつぶすように、再びロロの足をつかむと、狼チンポを尻穴へ突き入れた。

  ----------

  激しい性交を終えた翌日の夕刻ごろ。ようやくネスランは重い足取りでロストの元を訪れていた。

  ロストが立ち上がり迎え入れると同時に、ネスランは片膝をついて頭を下げた。

  「遅かったな。昼前には来ると思ってたぞ。」

  「すいません。色々と忙しくて…」

  「…儂は悲しいぞ。後輩には嘘をつくなと説いたはずなのに、お前はそんな薄い言葉で誤魔化すのか。」

  「っ!?体が…!?」

  見抜かれたと焦り、立ち上がろうとしたネスランの体は、縛られたように動かない。唯一動くのは口元だけだった。

  「あれほど正義感の強かったお前から、今や感じるのはヴィランの負の感情ばかり。まったく、嘆かわしい。」

  「っ!」

  ロストはネスランが部屋に入った時点で気づいていた。ヒーローだった彼が消え、独占欲にまみれたヴィランに堕ちてしまったことを。

  「今は、眠れ。」

  「俺はっ!ロロ…」

  かつての相棒であり、今や独占したいと願う存在の名をつぶやき、ネスランは倒れ込む。悔しさと怒りの混ざる表情のまま眠るその顔は、もはやヒーローの面影はなかった。

  ロストはため息をつき、机から通信機を取り出す。

  「懸念通り、ネスランがロロに堕ちた。回収を頼む。」

  応答はなく、代わりに黒服のドーベルマン獣人が三人、どこからともなく現れる。

  「回収します。房はどうしますか?」

  「…一緒に入れてやれ。」

  一人がネスランを抱えて跳び去り、残りも続く。

  残るロストは少し俯き、甲羅の中からロケットペンダントを取り出す。開けば、そこには真っ白な鶴獣人の写真。

  「フォーよ。次お前のようになるのは、あの若い二人なのだろうか。」

  写真に問いかけても返事はない。ペンダントを閉じて甲羅にしまうと、ロストは再びパソコンへ向かった。

  [newpage]

  まるで溶けてしまうかのような深いまどろみ。その中からもがき出る夢を見て、ライネは飛び起きた。

  「はあっ!?あ?どこだ、ここ…」

  「ライネ!」

  「うぉ!?ピス!?なんだよ、抱き着いたりして!」

  目を覚ました途端、ピスに抱きしめられるライネ。状況を理解できず周囲を見渡し、ここがピスの家だと気づくが、抱きしめる腕はさらに強くなる。

  「お、おい、苦しいぞ…」

  「あっ!ご、ごめん!でもよかった。ほんとに、無事に起きてくれて…」

  「無事って…いや、そうか。俺は確かヴィランっぽいやつを追いかけて、そこで…」

  「うん。捕まって、コールドスリープにされてたの。眠りながらヒーローの情報を抜き取られるところだったんだよ?」

  「そうだったのか…」

  納得するライネを見ながら、ピスはより悲しそうに俯く。

  「…どうかしたのか?」

  「あ、いや…一週間のコールドスリープだったらしいけど、それだけでも筋力とか結構落ちちゃうんだって。リハビリ頑張って、一緒にヒーロー復帰しようね。」

  「おう!あたりまえだ!」

  「ふふ、それでこそライネだよ。」

  いつもの調子を取り戻したライネに、ピスも笑顔を見せる。その瞬間、ライネの胸がわずかに跳ねた。

  「ん?どうかしたの?僕の顔、じっと見て。」

  「あ、いや…お前って結構いい匂いするんだなって。」

  「何言ってるの。変なこと言ってないで、今日は安静に!おかゆ作ってくるから、ちゃんと寝てること! 」

  「あーあ、お小言が始まった。まぁ、体もまともに動かねぇし、横になってるさ。」

  横になったライネに安心したようにキッチンへ消えるピス。

  だが、ライネはずっとその背を目で追いかけていた。かけられた毛布からはピスの匂いが漂ってきて、髭をひくつかせる。

  以前ならば気にもならなかったはずのその匂いに埋もれるように、ライネは顔まで毛布をかぶった。

  翌朝。起きるのが遅いライネを横目に、二日連続ソファで寝た影響か、少し体を痛めたピスはテレビをつけ、ヒーローニュースに目を通す。

  「次のニュースです。熟練ヒーローのネスランが昨日急に体調を崩し、支部長判断でしばらく現場を離れることになりました。原因はヴィランの何らかの技とみられ…」

  「ネスラン先輩が急な体調不良?いや、これって…わかる人にだけわかる嘘のニュースか。」

  エナジーが満ちる世界ゆえ、大半は事実と信じるだろう。だが、コールドスリープの件が偽りと知るピスだからこそ、違和感に気づく。

  「…そういえばロロさんの行方を聞いてないけど、僕だったらどうだろう。」

  ピスは自分に置き換え考える。

  かつての相棒がヒーロー最前線から退いたとしたら、近くにいないことを許せないのではないか。

  そして、ライネと同じように記憶を抜かれたが、実際には捕らえられヴィランの精奴隷にされていたのではと考え、ロストの言葉を思い出す。

  「たとえどんなに記憶の書き換えても、なぜかまた堕ちる…」

  ロロはすでに精奴隷として堕ちているのかもしれないと考えてしまう。

  そして、もしネスランがずっと手元に置いていたなら、ヒーローでありながら奴隷を飼う状況だったのではないかとより考察が進む。

  「…まさか、ヴィラン堕ちしたってこと?」

  ニュースはすでに別のヒーローの話題に切り替わり、邪魔だといわんばかりにテレビを消すピス。

  「もしそうだったとしても、僕は堕ちません。」

  今日からリハビリが始まると医師から伝えられている。

  毛布を顔までかぶったまま眠るライネを叩き起こす。一日も早く共にヒーロー復帰を目指すために。