全頭マスクとネコ

  人の性癖は本当に様々だ。そして、その性癖の扉は、いつどこで開かれるのか全く分からない。私の性癖はかなり特殊だということは自覚している。しかし同時に、この世界には同じような性癖を持つ同志達がいることも私は既に知っている。インターネットのある時代に生まれて良かった。私は一人じゃない……しかし、同志達に会おうと思うほど私は社交的じゃなかった。だから結局、私は一人なのだが……同じ性癖を持つ人達が世界にはいるということを知っているだけで、特に孤独感は無かった。

  私がこの性癖に目覚めたのは高校の文化祭の時だった。みんな、文化祭の準備に毎日必死で疲れていた。当時、比較的仲の良かったクラスメイトの男子が、ふざけて私の背後から私の顔に大きな白いスーパーの袋を被せてきた。突然のことで混乱した私はバタバタと手足を動かしたが、男子がスーパーの袋を手に持って引っ張っていたこともあり、すぐには取れなかった。スーパーの袋が顔に密着して離れないその閉塞感に、最初は戸惑っているだけだったが、少しすると私は自分がドキドキしていることに気が付いた。突然視界が真っ白になる非日常感。すべすべひんやり密着するスーパーの袋。何故そんなものにドキドキしたのかは分からない。しかし、私は確かにその時その状況に興奮していたのだ。結局、男子は周りにいたクラスメイトの女子達に怒られ、私の顔に被せられたスーパーの袋はすぐに取り除かれたのだが、ドキドキしていた私はその男子を怒る気にはなれなかった。

  

  私はその後、スーパーの袋を頭に被せられた時のドキドキ感が何だったのかを確かめるために、家に帰ってから、今度は自分で頭にスーパーの袋を被ってみた。すると……やはりそのスーパーの袋を頭に被せた時にドキドキすることを自覚した。何故そんなことで興奮するのかは結局分からずじまいだったのだが、この時の自覚は私の性的嗜好を大きく変えることになった。

  私は自分が何に興奮するのかを確かめるために色々試してみた。顔だけをビニールに包む場合、全身をビニールに包む場合、顔だけを出して他の体のパーツをビニールに包む場合……その結果、私は 顔だけをビニールに包む場合に興奮することが分かった。こういう性癖に名称はあるのだろうか?と思ってインターネットで調べてみると……フェティシズム的服装倒錯症の一種で「マスクフェティシズム」というらしい。私の他にもこの性癖持ちはいるようで少し安心した。マスクフェティシズムはマスクの着用により性的興奮を覚える人達の性癖のことをいうとのこと。私はまだスーパーで売っている大きなビニール袋で頭を包み込むことだけしかしていないが、インターネットで調べると「全頭マスク」というものにすごく興味をそそられた。高いのかな……と思ってさらに調べてみると、値段はピンキリ。高校生の私にでも手の届くものもたくさんあった。マスクも何も装飾が無いシンプルなタイプのものから、着ぐるみの頭だけを被るタイプのものまで色々あることが分かった。今まで知らなかった世界が一気に開けたような気がした。

  しかし、高校生の時の私はグッと我慢して全頭マスクには手を出さなかった。それを手にしてしまうと、私の青春が歪んでしまう……そんな気がしたから。私が全頭マスクを初めて買ったのは、大学に入って一人暮らしを始めてからだった。

  マスクフェティシズムの性癖は、閉塞感や呼吸の支配感を感じられるため、SMプレイに需要があるという。一方で、全頭マスクを付けた時の独特な視界や感覚に安心感を感じる人もいる。また、全頭マスクを装着したその独特な人外感に、変身願望を叶えるアイテムとしての需要もあるという。フェチズムは多様だ。

  私の場合、全頭マスクを付けた時の非日常感と変身感が好きなのかもしれない。子供の頃から「自分じゃない自分」になりたいという変身願望は少なからずあった。それも人間から離れていればいるほどイイ……。しかし、お金や労力が掛かる着ぐるみやコスプレは大変そうだったので、やろうとは思わなかった。その私の微妙な望みの形が、気軽にオンとオフを切り替えられる全頭マスクという形で顕現した。

  実際のところ、マスクフェティシズム自体は直接性的興奮とは結び付かない。しかし、その全頭マスクを付けるという特殊なシチュエーションに興奮を抱く人達は、性的欲求と強く結び付いていることが多く、全頭マスクを付けないとセックスできないと依存症に陥っている人も少なくないらしい。私の場合がまさにそれだった。

  一人エッチを覚えたのは一人暮らしを始めてから。興奮材料として全頭マスクを付けたまま一人エッチをしたらすごく気持ち良かった。しかし、全頭マスクを付けて無い時に一人エッチをしても……何故か全然気持ち良くなかった。全頭マスクを付けて無い時はイクこともできない。これはちょっと困ったことだ。こういう性癖に理解があるカレシを見付けなければ、結婚なんてできないだろう。

  今、私は大学を卒業してOLとして普通に働いている。仕事して疲れて帰って寝て、また仕事をする毎日だ。この生活のどこにも恋人ができる要素なんて無かった。そりゃ確かに会社の飲み会とかはあるけれど、あまりそういう大勢が集まってワイワイするのは得意じゃなかったので、いつも一人でお酒を飲んでいる。同僚の男性からも特に声を掛けられることはなかった。そんな日常の中で唯一の楽しみが、全頭マスクを付けて一人エッチをすることだった。我ながら歪んでいるとは思う。ムッツリだと言われても反論できない。しかし、仕方が無いじゃないか。これ以外に本当に楽しみが無いのだ。世の中にはそういう人もいるってことを認めて欲しい……。

  「ふぅ……今日も疲れたなぁ」

  会社から帰った私はカバンを置いて軽くため息をついた。可もなく不可もなく。今日もいつもと変わらない一日だった。これは幸せなことなのだと思う。しかし、もう少し刺激が欲しい気もしている。

  「さて、とりあえず夕飯にしよう」

  私は帰りにスーパーで買って来た半額に値引きされた総菜をテーブルに並べた。

  「いただきます!」

  こうやって食事の前に手を合わせるのは、もしかしたら日本人だけの習性なのかもしれない。私は何となくそう思いながら、夕食を食べ始めた。

  「ふぅ……夕飯の時に缶チューハイを飲むのも結構贅沢な時間かもね」

  疲れた体に染み渡るアルコール。がぶ飲みはしない。飲むのは自分の気分が高揚する分だけ。私は比較的少量で酔うことができるので、いつも缶チューハイ1本で十分だった。

  テレビは特に必要に思わなかったので買っていない。代わりにパソコンで動画を流して見ている。私は仕事で疲れた心と体を癒す一時を堪能した。

  「はぁー、さっぱりしたぁ~」

  夕食後、お風呂で軽くシャワーを浴びて心身ともにサッパリ。今日は金曜日。明日は仕事も休みだ。夜更かししようと、何をしようと寝るまでは自分の自由時間。

  「……。やっちゃおうかな……」

  私は何だかムラムラした気分になっていた。

  お風呂から上がって下着も着ずにそのまま寝室に向かう。仕事から帰って来てなんやかんやしているうちにもう23時。夜中だ。早い人ならもう眠りに着いている頃だろう。私の住んでいるマンションの壁は厚い。少々声を漏らしたところで隣人には聞こえない。

  「窓を開けておけばクーラー入れるほどでもないかな」

  ここは三階だ。まず泥棒が入って来る心配も無い。カーテンで閉めておけば、窓を全開にしていても問題は無いだろう。私はそう判断した。

  「さて、今日はどれを付けようかな……」

  私は引き出しを引っ張った。そこには私の全頭マスクコレクションが入っている。ノーマルなごく普通の黒い全頭マスク。でもこれは強盗ぽい見た目になるのであまり可愛くない。アニメ顔の美少女全頭マスク。これはアニメで盛り上がった気分の時によく付ける。しかし、今はそういう気分じゃなかった。ブタ顔の全頭マスク。これは何だか攻められたいマゾ的な気分の時に付けるが……今の気分では無かった。

  「うーん……どうしよう……」

  全頭マスクは全部で10種類持っている。その時の気分に合わせて付けるものを変えている。私はアニマル顔のものが多かった。

  「よし、今日はネコちゃんのでいこう!」

  このネコの全頭マスクはリアル寄りというよりもケモノの着ぐるみ寄りの可愛い全頭マスクで、私のお気に入りだ。クリエイターイベントで売られていて、少し高かったけど、一目惚れして買ったのだった。この全頭マスクはラバータイプではなく、ふさふさのフェイクファーでできているので、手触りも本物のネコを触っているようなふさふさ感がある。

  私はドキドキしながら、ネコの全頭マスクを頭に装着する。今この瞬間から、私は人間をやめてネコになるのだ……。

  目のあたりに穴が開いているので、全頭マスクの外はちゃんと見えるが、視界はやや狭くなる。顔の周りを全頭マスクの内側の滑らかな生地が包み込む。全頭マスクのマズルは少し突き出ているが、口に合わせて開閉できるようにうまく設計されている。やろうと思えばこの全頭マスクを付けたまま飲み食いできるが、全頭マスクが汚れるのは嫌なので私はやらない。

  「にゃーん!」

  ネコの鳴き声を真似して声に出してみたり。役に没入するのは結構好きだったりする。せっかくなりきるなら恥じらいを捨てて役を徹底した方が楽しい。私はネコの全頭マスクを付けた裸の状態でベッドの上に乗る。どこからどう見ても変態だ。こんな場面、泥棒にも見られたくない。しかし、全頭マスクを付けてスイッチが入った私はネコになりきる。

  「にゃぁん。にゃぁ、にゃぁぁぁん!」

  一人でネコの鳴き声の物真似をして、ネコの動作を自分なりに真似る。誰も見ていないけど恥ずかしい。恥ずかしいけど楽しい。興奮する。私は部屋の電気を暗めにして、パソコンでエッチな獣人の特殊メイクをした動画を見始めた。そういう専門のサイトが海外にはあるのだ。特殊メイクは興味があるものの、値段が高いのでとてもじゃないが今は手が出ない。全頭マスクでも十分に興奮できる。なら、これで満足しておくのがいいだろう。

  気分が高まってきた私はベッドの上で仰向けになった。アソコに手を伸ばし、既に興奮して濡れていることを確認する。

  「あっ……!」

  クリトリスの周りを指で優しく撫でる。体がゾクゾクとして少し腰が浮いた。

  「はぁっ……はぁっ……」

  そう言えば最近は忙しくて一人エッチを全然していなかった。もう一ヶ月くらいはしていなかったのではないだろうか。そのせいか、久々に触った局部はとても敏感になっていた。ちょっと触っただけですごく感じる。

  「はぁはぁ……あっ、んっ、はぁはぁ……」

  ぬめぬめとした愛液が手に絡む。その愛液に濡れた手でクリトリスに触り、その刺激を全身で感じ取る。ずっと触ると慣れてしまうが、緩急を付けて触ったり離したりを繰り返すと何度も初めての刺激を繰り返し味わうことができる。

  「はぁはぁ……キモチイイ……」

  お風呂に入ったばかりなのに、また汗を掻いてきた。窓から入ってくる夜風が火照った体と心に気持ち良い。

  「中に……指……入れちゃおうかな……」

  クリトリスを触って性感帯を感じる準備運動ができた私は、いよいよ本番のアソコの中に中指を挿入し始めた。

  「あぁんっ! はぁっ、はあっ! い、いいっ、んあっ、あ、こ、ここぉっ!」

  くちゅくちゅといやらしい音を立て、自分の指で気持ち良い場所を掻き回す。中指をアソコの中に入れ、親指でクリトリスをくりくりと転がす。二つの刺激が体中を走り回る。

  「はぁはぁはぁっ……はぁー、はぁー、ふぅー……やっ……んんっ……」

  ベッドがギシギシ軋む。しかし、隣の住人には聞こえないから多少は激しく暴れても大丈夫。

  「はぁはぁはぁ……二本……入るかな……」

  私は中指に加え、人差し指もアソコに挿入した。

  「うっ……いぃっ……はぁはぁはぁ……」

  アソコが指で満たされる。しかし、最初は指一本しか入らないのに、触っているうちに二本入るように広がるのは我ながらちょっと不思議だ。

  「もうちょっといけそう……」

  頑張れば指が三本入りそうだった。日によって違うのだが、調子の良い日は今までにも指三本が入ったことはある。今日は調子が良さそうだった。

  「はぁ……んっ……」

  私は薬指もアソコに挿入する。流石に指三本は結構キツイ。

  「あっ、でもっ……入っ……た……」

  アソコがすごい圧迫されている感じがある。指もぎゅーぎゅーにぬめぬめした肉感に圧迫されている。とてもエッチだ。

  「あぅっ……」

  もうすっかりネコになりきるモードを忘れていた。アソコを自分の指でまさぐりながら、キュンキュンと鼓動が高鳴っていくのを感じる。ベッドの上で思わず足をキュッと曲げる。

  「はぁっ……はぁっ……」

  イキそうになってきた。私はくちゅくちゅと激しくアソコの中で指を動かす。

  「にゃぁ~ん」

  「はぁっはぁっ……え、えっ……?」

  イキそうなほど感度が高まってきたタイミングで、どこからともなくネコの鳴き声が聞こえてきた。スマホの着信音、ネコの鳴き声にしていたっけ?と一瞬思った後、ベッドの上で目を開けると、部屋の中で何かの目がキラリと光った。

  「きゃぁっ!?」

  私はビックリしたが、出た声はご近所さんへの自制心が働いて控えめだった。

  「にゃぁ~ん、にゃぁ~ん」

  薄暗い部屋の中で目を光らせるソレは、私を見ながら甘えた鳴き声で鳴いてくる。

  「え? ネコ……だよね? 何で部屋の中に???」

  窓は確かに全開にしていた。しかし、カーテンは閉めていたし、ここは三階だ。一体どうやって入って来たのか……? 私はすっかり熱が冷め、とりあえず部屋の電気を点けた。すると、やはりそこにはネコがいた。三毛猫だ。可愛い。

  「にゃぅ~」

  三毛猫は私の方に向かって歩いて来た。そして、私の足にまとわりついて顔をスリスリしてくる。

  「可愛い……ってそれどころじゃない! 君は一体どこからどうやって入って来たの?」

  「にゃぅ?」

  ネコに話し掛けても話が通じないことは分かっているが、こうでも言わないと気が済まなかった。すっかりムラムラした気分が萎えてしまった。これは良いのか悪いのか……? それにしてもこのネコはこの全頭マスクが怖くないのだろうか?

  「ネコちゃーん。ここに居てはダメだよぉ~、さぁ、外に出ようね」

  私はそう言ってネコを手で掴んで、玄関まで持っていった。そして、そのまま扉を開けようとしてふと我に返った。今の自分は顔にネコの全頭マスクを付け、それ以外の部位は何も着ていない。どこからどう見ても変態だ。しかし、今は夜中。誰も玄関の前にはいないだろう……。さっと扉を開けてネコを外に逃がすだけなら、誰にも見られないはず。私はそう思って、そのままの格好で扉の鍵を開けた――その時、大人しく捕まっていたネコが急に暴れ出し、私の手を擦り抜けて私の体の方へと向かって来た。

  「え? ちょっ、あっ! ぶつかる――!?」

  ネコと正面衝突するかと思いきや、不思議なことにネコと体が接触した衝撃が来なかった。

  「? あ、あれ?」

  気が付くと、不思議なことにネコが消えていた。

  「え? ネコ、どこ行った?」

  部屋の中にはいない。消えた? しかし、私は今までネコをこの手で掴んでいた感触がまだ残っている。どういうことだ?

  私はとりあえず、扉を閉めて部屋の中に入った。

  〝にゃ~ん〟

  すると、どこからかネコの鳴き声がする。まだ部屋のどこかにいるのだろうか?

  〝にゃ~ん〟

  「ネコちゃーん、どこぉー?」

  鳴き声は聞こえど、姿は見えない。

  〝にゃ~ん〟

  「え? どこ……?」

  そして、私は気が付いた。このネコの声は頭の中で響いている……。

  「もしかして……私の体の中……?」

  〝にゃ~ん〟

  私の考えを肯定するかのようにネコが鳴いた。

  「嘘っ……ネコとぶつかった時……合体しちゃったってこと???」

  ありえない。しかし、そう考えないと今の状況は説明できない。

  〝にゃ~ん〟

  「あ、あれっ?」

  体が勝手に動く。私は何かに操られるようにベッドの上に仰向けになった。すると、急にムラムラした気分が込み上げてきた。

  「え? な、なにこれ急に……」

  このムラムラ感を払うには一人エッチをするしかない……いや、一人エッチをすることしか私は頭に思い浮かばなくなっていた。

  「はぁはぁ……んっ」

  指三本をアソコに挿入する……先ほど入れていたので、今はすんなり挿入できた。

  「あんっ、あぁんっ、はぁはぁ、イイっ……」

  さっきよりも何故か感じる気がする。気持ちが良い。私は右手をアソコに挿入し、余った左手でムネの乳首をつまんだりして刺激を求めた。

  「はあはぁはあはぁ」

  もしシッポがあればシッポをアソコに挿入して、両手でムネで揉めるのに……何故かそんな不思議なことを思ってしまった。しかし、そう思ったことがきっかけでお尻の付け根に違和感が生じた。

  「ひゃぁっ!? な、に……お尻が……感じるぅぅぅ……」

  お尻に何が起きたのか、自分では見ることができない。しかし、お尻の付け根を中心に体がゾクゾクする。私はついに我慢できずに仰向け状態から体を横に向けた。すると、お尻の付け根からぐいぐい何かが伸びていく。位置的に考えると……まさか、シッポ? そんなこと起こるはずがない……。

  「えっ……うそっ……」

  しかし、姿見に視線を向けると、お尻の付け根から皮膚が著しく伸びていた。気になってその伸びている皮膚を掴んでみる。

  「びゃぁぁぁっ!!?」

  変な声が出てしまうほど体が感じてしまった。

  「はぁはぁはぁ……えっ……これ……本当に……シッポ……?」

  私はとてもじゃないが信じられなかった。しかし、触るとやっぱり感じてしまう。この皮膚が自分の体の一部であることは間違いない。

  〝にゃ~ん〟

  これも消えてしまったネコの仕業なのだろうか?

  「……」

  程よい感じに伸びたシッポ。毛は生えていない。言うなれば肉シッポ。その直径はちょうどアソコに入りそうだなと私は思った。

  「入れて……みる……?」

  自分でも何でこんな発想に至るのかは分からないが、とにかく今はエッチな気分だった。肉シッポはもう伸びきってしまったようで、長さの変化は止まってしまった。お尻の付け根に力を入れると、自分の意思で動かすことができる。何とも不思議な感じだった。

  「お、おぉっ! シッポだ。本当にシッポが生えてる……」

  動物に変身したみたいでちょっとドキドキした。肉シッポの先端を背中側からお腹側に向けて移動させる。それを手に持った。そして、アソコに肉シッポの先端に押し当てると、肉シッポの先端もアソコも同時に感じてしまった。

  「いやんっ……」

  私は残念ながら男性経験が無い。だから、アソコにイチモツを入れるという感覚が分からない。

  「んっ……思ったよりおっきぃ……」

  アソコの中が肉で擦れる感覚。指を入れるのとはまた違う感覚にドキドキする。

  「あんっ……はぁはあはあ……」

  肉シッポを折り曲げて自分のアソコに挿入していく。肉シッポが感じるとブルっと震え、その振動がアソコの中でバイブのように働く。キモチイイ……。肉シッポもアソコもどっちも敏感に感じられて、性感帯の無限ループに陥っているみたいだ。

  「はぁはぁはぁ……動かすと……どう……かな……」

  私は肉シッポをある程度奥まで挿入し終えると、両手で持って、ゆっくりと引いたり押したりし始めた。

  「あっ、あっ、これ、やばっ……」

  セルフオナニーとしては過去最高の気持ち良さだった。アソコがぎゅっと締まって肉シッポを圧迫し、アソコの圧迫に感じた肉シッポがアソコの中でビクビク震えると、アソコの中でバイブが震えているみたいに性感帯同士が擦れ合う。両手をそっと肉シッポから離し、それぞれの乳首をいじる。これは少し自分の自慢のポイントだけど、私のムネは普通の人より大きい。今は確かHカップくらいあったと思う。両手は乳首、アソコは肉シッポで性感帯をそれぞれ刺激すると、もうこれ以上ないくらい心臓がドキドキした。

  「はぁっはぁっはぁっ、やばいやばいやばいイキそう、はぁはぁはぁっっっつああ、あぁぁぁっっっ――――!!!」

  気持ち良さにすべてを委ねて、性感帯を刺激しまくった。ぶしゅっと音を立てて尿道からオシッコが漏れる。いや、オシッコではない。これは潮だ。潮を噴いている。潮を噴くと、その放出感に肉シッポが敏感に反応して震えた。

  「びゃぁぁぁぁ!!! はぁはぁはぁ……」

  気持ち良過ぎて三回くらい連続して潮を噴いてしまった。特に肉シッポをアソコから抜く時が気持ち良かった。ベッドの上はかなりびしょびしょだ。しかし、こういうこともあろうかと私は吸水性のシートをベッドの上に敷いていたのだ。

  「はぁはぁはぁ……肉シッポヤバい……」

  最早何故自分にシッポが生えているのかなんて疑問は吹き飛んでしまっていた。

  「はぁはぁ……うん?」

  ふとお腹の方を見ると、ムネの下に等間隔にピンク色の突起が出来ていた。ニキビみたいな出来物かなと最初は思った。しかし、その突起は乳首の突起に似ているような気もする。

  「なにこの突起……やぁっ!??」

  触ってみると乳首を刺激しているような感覚があった。これは……もしかして……複乳!?

  「な、なんで? あ、でも……キモチイイかも……」

  手のひらを広げていくつかの複乳を撫でると、お腹全体からゾクゾク感が伝わってくる。これはこれでイイ……。

  私がそう思っていると、複乳がムクムクと発達し始めた。複乳は2倍3倍と丸みを帯びて隆起し、なんかお腹がすごいエッチな感じになってしまった。

  「お、お腹が重い……」

  複乳は元からあるオッパイよりやや小さいが、それでもDカップくらいの大きさはあると思う。乳首も立派に勃起し、体を動かすとブルブル震える。

  私の体が少しずつ動物化していっている……。

  〝にゃ~ん〟

  また頭の中にネコの鳴き声が響いた。私が動物化している原因はこのネコと合体してしまったせいである可能性が高い。しかし、分離する方法なんて分からない……。

  「ちょっとマスク外して何か飲もう」

  私はそう思って全頭マスクを外そうとした。しかし、全頭マスクは顔と一体化してしまったかのようにみっちり引っ付いて外せない……。

  「えっ……? 取れない……? 何で?」

  今までこんなことはなかった。これもネコと合体してしまった影響だろうか?

  「ど、どうしよう……あ、え、えぇっ?」

  全頭マスクが脱げなくて混乱していると、体がまた勝手に動き始めた。地面に両手を着き、四つん這い姿勢になる。今までなりきりでこういう動物ぽいポーズは取ったことはあったが、改めて今そういう格好をすると何だか恥ずかしい。しかし、それだけでは終わらなかった。

  「え? ちょ、そ、外出るのぉぉ!?」

  私は四足歩行で器用に走ることができた。部屋の扉を開け、マンションの外に飛び出る。全頭マスクを付けた全裸の女。肉シッポと複乳付き。中途半端な姿にも程がある。そんな女が夜中のマンションを四足で掛けまくる。怪異認定されてもおかしくないくらい奇妙な光景だ。

  〝にゃ~ん〟

  体はおそらく私と合体してしまったネコが動かしている。私の意識はハッキリいているのだが、体の主導権をネコに奪われて止まれない。

  「はぁはぁはぁ……ど、どこに行くのぉぉぉー!?」

  全裸で四足で駆けている割には結構速い。あっという間にマンションを下りて、そのまま草むらを掛け出した。夜中と言えど、外はマンションより人と遭遇する可能性が高い。私は何とか走るのをやめようとしているが、やはり体が私の言うことを聞かない。私はなすがなるまま、真夜中の草むらを四足で駆けて行った。

  「ひぃ……どこまで行くの……?」

  不思議なことに、かれこれ1時間ほど外を移動しているが、今まで人と遭遇はしなかった。いや、正確に言うと、人と遭遇しそうになるギリギリのところで回避していた。ネコの直感だろうか?

  気が付くと、私の視界はいつの間にか広がっているようだった。耳もピクピクと音のする方に動く。ニオイもよく感じられるようになっていた。

  「……。なんか……マスクと……顔のパーツの動きがすごくフィットしているような……?」

  いや、気のせいじゃない。五感がさっきよりも優れている。口も自由に動かせるし、舌も長くなっている。首の方にも毛が生え、全頭マスクは最早顔だけに留まらず、体の方に侵食し始めていた。

  「こ、これ……どうしたら……?」

  全頭マスクを引っ張ると引っ張った部位が痛い。完全に全頭マスクと私の体の感覚がリンクしていた。

  〝にゃ~ん♪〟

  合体したネコは何故だかご機嫌。今日は満月で夜風も気持ちいい。夜の散歩にはもってこいのシチュエーションだった。

  私の体はネコに操られたまま町の中を忍び歩く。我ながら四足で器用に歩けるなと思っていたら、体の体形がどこかおかしい。

  「あ、あれ、踵が高くなってる……?」

  骨格が少しネコ寄りになっているような気がした。いや、確実に変わっていっている。ネコ化が少しずつ進行している……。

  〝にゃ~ん♪〟

  私の中のネコは何だか楽しそうだ。その楽しさは私にも影響があるようで、細かいことが気にならなくなってきた。地面を歩く感覚が変わってきたなと思ったら、手足の内側に肉球らしき盛り上がりができていた。私はこのまま身も心もネコになってしまうのだろうか……? 不安もあるが、何だかそれもいいような気がした。ネコへの変化を受け入れると、体が呼応したかのようによりネコに近付いていく。

  「はぁはぁはぁ……熱い……」

  さっきから体は火照っていたが、その体の熱がさらに激しくなった。

  「う、うぅぅぅ……はぁ……はぁ……」

  全頭マスクから伸びてきた毛が肩に達し、さらにモゾモゾと体を食べるように包み込んでいく。肩から肘、そして腕。その過程で脇が狭まって骨格がネコに近付いた。手の指が親指から小指に掛けて徐々に太短くなり爪が細く鋭く伸びる。それは手というより最早前足だった。体の変化が急激に激しくなったので、私の体は動くのをやめた。人気の無い路地裏に身を潜め、ゴキバキと体を変化させていく。

  「はぁはぁはぁ……つら……」

  体の変化は熱くてしんどい。しかし、同時に高揚感と興奮感もあった。流石に一人エッチをする余裕は無いが、わざわざ性器を触らずとも、体が敏感に感じまくって、愛液が自然と零れ落ちていた。

  「はぁ……はぁ……うぅぅっ……」

  全頭マスクからの侵食が胴体の方に達した。ムネや複乳が毛で覆われていく。すべての乳首がギンギンに勃起していた。侵食はお尻にまで達すると、肉シッポの付け根から先端に向かって飲み込むように毛が生えていく。毛が生えていくゾクゾク感に体がビクビク震え、シッポはピンと真上に向かって伸びていた。

  「あっ……はぁはぁ……」

  体がネコになる。感性までネコになっていくみたいで、目の前をチラつく道路の光を追い掛けたくなる衝動があった。しかし、今光の当たるところに出て行ってしまうと、町行く人々に妖怪だと思われてしまうだろう。衝動はまだ抑えられる。

  「あ、アソコが熱い……」

  全頭マスクからの侵食は、お尻を経由して足先に向かって毛を生やしていく。お尻が筋肉質になり、太ももの筋肉が発達する。アソコの周りの皮膚が少し厚くなり、人間のものからケモノの形状へと変わる。足の指が太短くなり、爪が鋭く細くなる。私の体全体が毛で覆われた。

  「はぁはぁはぁ……」

  呼吸が荒くなってしまうのを何とか落ち着かせる。

  「んんっ!? あ、引っ張られ……」

  今の私は人間大のサイズのネコと人間の中間的な姿。しかし、体が圧縮されるように小さくなっていく感覚がある。いや、実際視界が下がっていく。

  「あふぁぁ、うにゃぁぁぅぁ……」

  鳴き声が自然と出るようになる。丸まった状態で体の収縮に耐えていると、またネコの鳴き声がした。

  「なぅ~?」

  これは頭の中で響くネコの声とは違う。

  「にゃ……はぁはぁにゃぁ……?」

  私が顔を上げると、こちらを見詰めている白ネコがいた。

  「なぅなう、なぅ~?」

  白ネコは私に向かって何か話し掛けている。しかし、ネコ化したと言えど、人間である私にはその鳴き声の意味が分からなかった。

  〝にゃ~ん!〟

  しかし、私の中のネコがこの白ネコの鳴き声に反応した。

  「にゃ? にゃにゃっ?」

  体が小さくなり、すっかり普通のネコと同然の姿になった私の体は、また勝手に動かされることになった。どうもこの白ネコは私をどこかに案内しているようで、私の中のネコが体を動かし、先導する白ネコの後を付いて行く。一体どこに行くのか……?

  私は自分で体を動かすことができないので、体が動くまま見守っている。屋根を伝って歩いている時、聞き覚えのある声が聞こえて来た。

  「にゃにゃっ!?」

  こ、この声は同じ職場の平川さん!? この声を聞いた瞬間、体の主導権が私に返ってきた。声のした方を向く。すると、マンションの一室に平川さんがいるのが見えた。ネコの視力は凄い。こんな暗闇でも見えるだなんて。平川さんは恋人と思しき男性とセックスをしている最中だった。衝撃的なことに、平川さんはマンションの窓に上半身を押し付けたまま後ろの男性に突かれている。職場での平川さんは大人しいので、そんなワイルドチックなセックスをするとは想像できなかった。

  「にゃぅ……はぁはぁはぁ……」

  セックスを見ていると、何だか私もまたムラムラしてきてしまった。もしかしてこの急激な感情の高まりは発情というやつではないだろうか? 白ネコはいつの間にか姿を消していた。どこに行ったのかも分からない。それなら追い掛けなくてもいいだろう。私はそれより目の前の高ぶる感情を抑えきれなくなっていた。

  「にゃぁ……はぁはぁ……にゃにゃぅ……」

  私は腰から座り、きれいに毛が生え揃ったシッポをアソコに入れようとした。しかし、ネコの前足ではうまくシッポを掴むことができない……。

  「にゃぅ……」

  シッポオナニーはとても気持ち良かったし、興奮したのに、ネコの体だとそれができないのは非常に残念なことである。なんとか両前足でシッポを挟み込んで、アソコをさすさす擦り付けることはできたが、あまり気持ち良くはなかった。どうにかこの高ぶる感情を鎮めたい……。

  「にゃぅあぅ……にぁぅ……」

  どうしたもんかなと少し呟いた後、体が結構前屈できることに気が付いた。そう言えばネコは自分で股間の方を舐めているのを見たことがある。もしかしたら、自分でアソコを舐められるのではないだろうか? 背徳感はあるものの、どんな感じなのかが気になった。

  早速試してみる。凄い、本当に体がよく曲がるようになっていた。

  「ふにゃあぁぁっ!」

  自分の舌で自分のアソコを舐めてみた。ネコのザラザラした舌とぬめぬめした涎がクリトリスに擦れて気持ち良い……変な鳴き声が出てしまった。

  「はっはっはっ……ふにゃっ、にゃぁぁっ、ふにゃあぁぁぁっ!!」

  私は体をビクビクさせながら自分の舌で自分のアソコを舐める。指の太さと短さで前足をアソコに入れることはできなかったが、舐めやすいように前足で引っ張ってアソコを開くことはできた。

  「はっ、はっ、はっ、はにゃっ、あんっ、にゃはぁっ!」

  発情した私は一心不乱に平川さん達のセックスをオカズに一人エッチに耽る。チラッと平川さんの方を見ると、片足上げて窓に張り付きながらセックスをするというさらに大胆な行為になっていた。今度職場で会った時、私は普通の顔して挨拶できるだろうか……。まさかネコになった私に見られていたとは夢にも思わないだろう。

  「はにゃっ、にゃぁぁぁぁぅ、ふにゃあぁぁぁっ、ふにゃああぁぁぁぁんんんっっっ!!!」

  平川さん達を見守りつつ、私も気分と感度を高まらせてくと……絶頂の時を迎えた。ちょろちょろと尿道から潮が出る。ネコの体でも潮吹きできることを初めて体感した。

  「フーッ、ハァーッ、フーッ、ハァーッ……」

  私は仰向けになって荒くなった呼吸を整えた。平川さん達の方を見ると、まだ活発にセックスを楽しんでいるようだった。私は一回潮を噴いたことで、高ぶっていた気分が収まった。また見て発情しないように、私はその場を去った。

  しかし、ネコの姿になったとはいえ、屋根の上を歩くことは初めてだ。今までは私の中のネコが体を勝手に動かしていたのだが、いざ自分が体を動かすとなると、うまくバランスを取って歩ける気がしない……しかし、いつまでも屋根の上にいる訳にはいかないので、地上に戻りたい。どうしよう……。

  〝にゃ~ん〟

  私が屋根からどうやって飛び降りようか迷っていると、私の中のネコが鳴き声を上げて、また私の体を動かし始めた。器用にピョンピョンと家と家の塀伝いに飛び移り、見事に地上に着地した。流石ネコである。

  地上に着地すると、クンクンとニオイを嗅ぎ、再びどこかへと向かっていく。もう完全にネコの姿になったので、町のライトが灯っている場所に出ても問題無いだろう。最ももう深夜なので、町を出歩いている人もほとんどいない。

  私の中のネコはどうも適当に町の中を散策している訳ではなく、どこか目的があってそこに向かっているようだった。

  「にゃっ!?」

  前方方向に白ネコが再び現れた。どうもさっき見失った白ネコのようだ。私は白ネコに追い付くと、一緒に並んで歩き出した。一体二匹でどこに向かっているのか?

  「にゃ……にゃにゃっ!?」

  いや、白ネコだけではなかった。あちらこちらからネコがどんどん集まってきている。私を含め、まるで導かれるように、ネコ達はどこかに向かって行く……。なんかネコに囲まれて可愛いがいっぱいで私の心は慈愛に満たされた。

  ネコ達は町から外れて、小高い丘の方へと向かって行く。そう言えば、この町に住んでいるが、こっちの方面は全く行ったことが無かった。ネコ達はいつの間にかもう百匹くらいいるんじゃないかという程多くなり、木々の間を抜けて丘の上へと上って行く。私有地の立ち入り禁止の看板が立っていたので所有者以外は入らない場所。この丘の上に一体何があるのだろうか?

  「にゃぁ……」

  そう言えば、今日は不思議と眠たくならない。不思議な感覚に包まれながら丘の上に到達すると、町を一望できる見晴らしの良い場所がそこにあった。町の明かりが綺麗。薄っすらと地平線が明るくなってきている。この場所で日の出を見ることができたらさぞ素晴らしいことだろう。

  「フニャアァァァァアー!!」

  「フギィィィアァァァー!!」

  見晴らしの良い場所で清々しい気分になっていたのも束の間、突然後ろから荒々しいネコの鳴き声が聞こえた。何事かと思ってそちらを振り向くと、なんとここに集まって来ていた多くのネコ達が一斉に交尾を始めていた。もしかしてこの場所はネコ達の乱交場所なのだろうか!? 私が豹変した状況に混乱していると、大きなオスネコが背後に迫って来ていた。

  「にゃにゃっ!?」

  私はイキリ立ったオスネコのトゲトゲのイチモツを見て顔が硬直した。しかし、体が動かない。どうも私の中のネコは交尾を望んでいるようだ。

  「ふぎぃっ!?」

  私があたふた混乱している隙に、オスネコは私の背後からマウントし、イチモツをアソコに挿入してきた。トゲトゲのペニスがアソコの中で擦れ、少し痛かったが、同時にすごく気持ち良かった。オスネコは高速で腰を振り、私はにゃんにゃん大きな鳴き声を出して交尾はすぐに終わった。

  「はにゃぁ……ふにゃぁ……うにゃぁっ!?」

  一瞬の交尾で一気に絶頂まで達し、疲れて前のめりでぐったりしたところで……すぐに別のオスがペニスを挿入してきた。私は再びにゃんにゃん大きな鳴き声を出し、潮を噴きながらイってしまった。気持ち良いのは確かに気持ち良いのだが、どっと疲れがくる。しかし、ここには数えきれないくらいのネコがいる。私はその後もいろんなオスネコにイかされ続けた……。

  もう何度イかされたか分からなくなった頃、目の前で綺麗な朝日が昇ってきた。シチュエーション的には非常によろしくないが、景色はすごく綺麗だった。まさか人間の男と一度もセックスしないまま、オスネコと何度も交尾することになるなんて……私は一生ネコのままなのだろうか? そう不安に思いながらも朝日を見ていると……私の体からピョンと軽々とネコが出てきた。

  「えっ? あ、声が出る……」

  何が何やらもう訳が分からないが、私の中からネコが出て行くと、私の体が人間に戻り始めた。

  「え? あっ、あぁっ、はぅっ、うぅっ、んっ、やあぁ、あんっ」

  全身がムクムクと巨大化していく奇妙な感覚。手足の指がにゅぅーっと細く伸びる。手足の先端から胴体に向かって生えていた毛が体の中に埋もれていき、本来の乳房がムクムクと大きく発達する。シッポは毛と同時にお尻の付け根へと吸収されていく。急激にネコから人間の姿へと戻される中、全身が性感帯になったみたいに感じ、私はまた潮を拭いてしまった。

  「あぁんっ、これ、やばっ、イイんっ、やぁんっ!」

  私が体を仰け反って噴く潮が、朝日に反射して小さな虹を作る。良い光景なのかそうでないのかよく分からない。胴体の毛が肌の中に埋もれていくと、肩から頭の方に向かっても毛が肌に埋もれていく。次第に融合していた私の体と全頭マスクが分かれ、私がビクビクと感じている中で、全頭マスクが頭から取れた。

  「はぁはぁはぁ……」

  朝日が上り切った頃、私は全裸で人間の姿に戻っていた。周りでは交尾に疲れたネコ達が丸くなって眠り始めていた。私も何だか急激に睡魔が襲ってきて、その場で意識が途切れてしまった。

  〝にゃ~ん〟

  その間際、私と合体したネコが嬉しそうに微笑んでいるような気がした――

  「――んっ……」

  私はベッドの上で目を覚ました。起きたらすっかり日は高く上っていて、お昼過ぎだった。頭がぼんやりとする。意識が覚醒するとともに、昨夜のあの不思議な変身体験を思い出した。

  「夢……?」

  あれが現実の出来事だったのか夢だったのかはよく分からない。その後も同じような体験は起こらなかった。あのネコが何者だったのかも一切不明だ。ただ、起きた時、改めて落ちていたネコの全頭マスクを見て、私と合体したネコの体色や模様とよく似ているなと思った。