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At the end of today(ショウマ夢)
注)なんでも許せる方向け、時系列は球技大会直後~「君との帰り道」2コマ目、甘くない夢
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球技大会の全過程が無事に終了し、疲労感も限界に触れ始めた頃、クラスではこれから打ち上げに行かないかと言う話で持ちきりになっていた。僕は内心面倒だと思っていたが、クラス内での立ち位置はイベントの参加の有無だけで簡単に変動してしまうため、「参加する」と言わざるを得なかった。
西の空の端が仄かに赤みを帯び始めていた。
甲斐君は…もう既に、教室にはいなかった。寂しいような気はしたが、心のどこかで喜んでいるのにも気づいた。本来の自分はこんな人間だったなと思いながら、僕は同じ班の黒毛の犬獣人に目を向けた。相も変わらず彼の背は低く、足が宙を迷っている姿はまるで小学生のようだった。
「ショウマ、一人で歌うの恥ずいからさ、『オレ』と一緒に歌ってくれないか?」
僕は彼…黒柴ショウマに尋ねた。
「おう!俺でよけりゃいくらでも歌ってやるぜ!」
ショウマは尻尾をはち切れんばかりに振りながら、そう答えた。彼は決して歌が上手いわけではないのだが、個人的に合わせやすい歌声で、かつ楽しそうに歌ってくれるからノリやすく、是非ともデュエットしたいと前々から思っていた。願望が叶って嬉しかったのも束の間、ショウマが誰かを探してきょろきょろしているのに気付いた。それが厭だった。『なぜそうしているか』が嫌でも理解ってしまう。認めたくない『それ』に吐き気を催した。
「トイレでも行きてえのか?」
僕は胸のざわめきを抑え、おどけて言った。「ちげーし!!!」と躍起になってショウマが答えた。それから
「あー…いや、シェパは来ねえのかなって」と言った。
表情が強張ったのがわかった。ショウマとシェパ…甲斐君は幼馴染で大抵いつも一緒にいる。だが、僕は甲斐君がショウマに明確な好意を持って接していることを知っていた。だからこそ僕は彼らが共にいるのを快く思っていなかった。彼自身の想いも、ショウマからの好意も、全てを騙しながらなのにショウマとあんなに距離が近いのがとても不快だった。が、僕の杞憂などどこ吹く風、ショウマはいるはずのない甲斐君を探し続けていた。僕がショウマと一緒に居たいと思うように、ショウマは甲斐君と一緒に居たいと思っているんだ。僕の独り善がりな願望で縛り付けてはいけないんだ。そう言い聞かせた。
「甲斐君は…誘う前に帰っちゃってた。多分、来てくれないと思う」
今にも何か吐き出してしまいそうな感覚をおさえて、ありのままのことをショウマに伝えた。
彼は「そっか…」とだけ言うと、少し悩んで、
「ごめん、俺やっぱ行けねえや」
と申し訳なさそうに言った。
「別にいいよ。恥ずいの我慢すんのなんて痛いの我慢すんのより何倍も楽だからな。それより、早く甲斐君のとこに行ってやりなよ」
行かないで欲しい。僕と来てほしい。その思いを抱える自分を何度も殺して、そう言った。
「ありがと。歌ってやれなくてごめんな」
ショウマはそれだけ言って教室を飛び出した。いつの間にか、陽はほとんど沈みかけていた。
勝てるわけないや。
頭の良さも運動神経も努力すれば追いつけたし、追い越せた。
でも、僕は僻んでばかりだった。自分が愛されないのを彼の所為にしてばかりだった。
想いを隠しているのだって同じなのに、彼ばっかりがそうであるかのように蔑んでいた。
彼は自分の非をしっかり受け入れることが出来て、決して誰かを蔑んだりしない。ショウマの幸せを第一に考えてることが出来る、いいやつだ。
端から僕なんかが敵う相手じゃなかったんだ。
「…もうどうだっていいや」
歌える気がしなかったが、僕は段々と小さくなっていく元から小さいショウマの背中に名残惜しさを感じながら、皆に歩調を合わせた。
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