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「せっ、先輩っ!!あ、えと……その……ずっと前から…!」
夕焼けの光ですっかり薄暗くなった、学校の靴箱の横で、いかにも気弱そうな虎が
告白をしていた。
相手は、正反対の逞しい肉つきで、顔には威厳があり、自信に溢れていそうな獅子だだった。
部活の後のせいか、鬣(たてがみ)は、砂埃を浴びているが、それでも美しい毛ヅヤだった。
「んー……ぁー……?」
相手は困っていた。右手で後頭部をポリポリと掻きながら、今の状況を理解しようとしていた。
困るのは、当然であった。十数秒前靴箱で呼び止められたら、何やら告白を受ける雰囲気だった。
しかし、獅子は、状況を理解すると、笑みを浮かべた。
「す……す……」
「す……?」
「す……す……」
気弱そうな虎の顔から、一筋の汗が零れた。
「ぁ……ぁ…えっと…だから…その……す……」
「はぁ……えっとー……」
獅子は、ため息をつくと、状況を整理して問いかけた。
「好きなん?オレのこと」
「ぁ……ぁぅ……〃〃」
虎の顔が一気に赤くなった。そして、コクコクと頷いた。
「んー……」
獅子は、少し怪訝な顔をしたが、すぐにニヤリと笑った。
「恋人になりたいんかな?俺と」
「……ぅん……」
「……まぁ、別にいいよ、あ、言い方悪いのは堪忍な、ためなしで付き合おうや?」
「……ありがと……」
「あー、でも主導権オレが握るぞ、いいか?」
獅子は問いかけた。勿論と言わんばかりに虎は、即答で数度頷いた。
「学校じゃ、話せること限られるから、オレん家行こう、オマエの家でも良いけど」
「……」
虎は、無言で、2度頷いた。
「いや、それじゃ、分からねぇ、オレの家とオマエの家どっちがいい?というかオマエの家ここからどれぐらい離れてる?俺は、すぐ傍のアパートだけど、えーと、500mぐらいかな?」
「え……えーと……いっ、1kぐらいかな?……」
「はぁ……緊張しすぎだぞ?」
虎の様子を見て獅子は、ため息をついた。
「ご、ごっ、ごめんなさい」
「いや、いいよ、すぐ慣れるだろ。あれだろ、オレに憧れてたとか、そういう輩多いからな、でもまー、先日、別れたばっかりよ。……本当……清々し……たっ!」
獅子の様子が一瞬変だった。そして、感づかれまいと虎に背を向けた。
「わりぃ、ちーとトイレ、あ、オレの家行こうな」
「……ぁ……はい」
獅子は、トイレに行った。数分後戻ってきた。
「わりぃー、待たせたな」
「いえ、おかげさまで落ち着きました。これからよろしくお願いします」
「お、おぅ、じゃぁ、行こうか」
そして、二人は、並んで校門を出た。
「あ、こっちな」
「はい、自分も同じ方向です」
「そかー、じゃあんまり家離れて無さそうだな、チャリンコですぐ着きそうだ」
「ですね」
二人は歩きながら、獅子の家を目指した。
二人の間に特に会話はなかった。
獅子は、虎の横顔を暫らく眺めていた。
(意外とめんこいかも……)
「あっ」
急に虎がこっちを向いた、反射的に正面を見るが、遅かった。
『ガンッ……』
電柱にぶつかった、鼻をぶつけ、反動で、おでこもぶつけた。
「痛ぅ……鼻いったぁー…」
「だ、大丈夫ですか?」
「ぐぅー……ジンジンする……」
獅子は、鼻を手で覆いながら、歩いた。
「あの、ちょっと見せてくれませんか?」
「んっ?……」
「血は出てないですね。でも一応消毒しとかないと」
「んっ?消毒?いらねぇーって唾つけとけ……なっ」
虎は、背伸びして、舌を出し、そっと獅子の鼻を舐めた。
そして、ゆっくりと獅子から距離をとった。
「な、ななな、何してんだよ、バッ、ババ、バカ」
「えへへ……でも、僕ら恋人で良いんですよね?」
その問いかけに、獅子は、目線を逸らした。
「…………ぁぁ……」
二人は特に喋らず、歩いていた。
上機嫌でたまに鼻歌を漏らす虎に、虎のことを意識してたまに、ちら見する獅子
雰囲気は、どことなく、恋人同士に近づき始めていた。
そして、獅子の住むアパートが目前に見えた
「あ、あそこな、パートで母ちゃんいねぇーから、二人でゆっくり話そうぜ」
「うんっ!……」
虎は幸せそうな笑みで元気よく答えた。
「……っち……」
獅子は、左右を確認すると、虎をそっと自分の横へ抱き寄せた。
それは、たった数秒間であった。でも、その数秒間で、虎も獅子も、顔が赤らんでいた。
「あ、あっ、ありがと……」
「……」
獅子は無言だった。虎は、そっと腕を獅子の腕を自分の腕と絡ませた。
「い、良いよね?」
「……ぁぁ……」
コノ世界で、同性愛は、珍しいものではなかった。
子孫は残せないが、互いの心を支えあうのは大事、つまり性別よりも相性なのだ。
少し前まで彼女が居た獅子は、思っていた。
『同性愛?別に、反対じゃねぇーけど、まず、オレはねぇーよな。異性にモテまくりだし?……人生勝ち組、ヒャッホォー♪』
そんなことを言っていた時代もあった。
因みに1ヶ月前のことだった気がする。たしかその時は、彼女に振られて落ち込む間もなく、女性に告白されたのだ。
だから、獅子は、すぐに忘れてしまった。彼女が言っていた。別れ際の一言を……
そして、二日前、獅子は、恐らく似たようなことを言われ、彼女に振られたのだ。
ショックが大きく、振られた原因は、耳を通らなかった。
そして、部活でストレス発散して、ついさっきの放課後、告白された訳だ。
人目は、気になった。でも、二人は、腕を緩めなかった。
そして、獅子に導かれるまま、アパート2Fの部屋前についた。
部屋番号は『302』家主の名前は『閾 雄獅(しきい ゆうし)』とかかれていた。
「ここがオレの家だ」
「二人っきりなんだよね?」
「んー、まぁーそうだな……」
獅子は、鍵を、鞄から取り出し、施錠を解除してドアを開ける。
玄関に虎を迎えると直に鍵を閉めた。鍵は、靴箱の上に置いてから。
鞄とスポーツバックを玄関に投げ捨てると虎を抱きしめた。
「んぁ……どしたの?」
「虎、付き合う前にさ…二つだけわがまま聞いてくれないか」
その声は真剣そのものだった。
「うん?僕に出来ることならなんでも」
「〃…ん、んとな……オレもオマエに惚れちゃったみたいなんだ……なんていうか、可愛いし……」
「うん?ありがと」
「セックスしてくれまでは言わない……から……キスしてくれないか?……」
獅子は、すっかり豹変していた。
上目遣いで、おどおどと告白した。
まるで気の弱い虎と人格が入れ替わったみたいだった。
「ん……、分かった」
虎は、暫らく考えてから、ゆっくり頷いた。
虎は、そっと、獅子の口へ唇を触れさせた。
「んんっ……」
獅子は甘い息を漏らした。
その息にそそられるかのように、虎は、強く唇を押さえつけた。
「んんっ、あぁ…舌……舌も欲しい……」
それだけ言うと、獅子は、ゆっくりと口を空けた。
虎は、むさぼるように、自らの舌を獅子の舌へこすりつけた。
「んぅ……んぁぁああぁ……ぁめっ……んぉっとぉぉー……」
雄々しい姿の獅子からは、想像もできない、女々しい声だった。
そして、虎はそっと、獅子を床へ押し倒した。
「これって、僕だけしか知らない、閾先輩の……姿…っ、だっ、だ、だよね?……はぁはぁ……」
「い、言うな……んぁ……駄目……口……塞いで……」
「閾先輩、凄く……可愛いです」
その言葉が、獅子の本音を穿り出した。
「そ、そんなこと、い、言うなよっ……た、頼むから……」
「んっ?」
虎は、疑問を浮かび、座り込んだ状態で獅子の顔を眺めた。
獅子は、目を瞑ったまま、涙を流していた。
「虎……オレを一生大事にしろ!、いあ、一生じゃなくて良い……1年でも、半年でも……頼むから、オレを大事にして……」
「……」
虎は、罪悪感からか、黙って獅子を眺めていた。まるで、獅子になった自分を見ているみたいに、獅子は、精神が脆くなっていたのだ。
「ねー……僕のこと好き?」
「……ぉぅ……」
間があったが、獅子は頷いた。
そして、僕を求めるかのように、空に手を伸ばした。
「何でも言うこと聞くから……愛して…くれないか?……」
虎は、両方の手で、獅子の両方の手を引いた。
「閾先輩の部屋、お邪魔していい?ベッド、良いかな?」
「ぅぅ……」
二人が、獅子の部屋に入ると、獅子は、直に鍵をかけた。
鍵をかけたのを確認した虎を見て獅子は、
「……添い寝……してくれんか?」
「うん……良いよ、良かったら……聞かせてくれないかな?何があったか」
「……ないで……」
獅子は、何か呟いた。虎は聞き取れず、聞き返した
「ん?」
「……捨てないで……」
「う……」
虎は、そのまま頷こうとしたが、言葉を飲み込んだ。
「ぅー?……」
不安そうに獅子は問い返した。
「んっ……」
虎の返事の代わりに、獅子甘い吐息が漏れた。
そして、虎は、獅子の鬣を撫でた。
「んぅぅ……」
[newpage]
オレは、さっき学校で告白された、その虎にベッドの上で添い寝をしてもらっていた。
先にオレがのったから、必然的に壁側で、その後に虎がベッドに入って。
一人用のベッドなのに、二人乗るには、ちょーどいい大きさだった。
・・・体が密着する。虎の息が僅かに耳に届いた。
恥ずかしくて、虎のほうは振り向けない
虎は男だけど妥協しているとかじゃない。
女に捨てられたから、男でもいいやとか、そういう訳でもない。
安っぽいプライドで強がってただけで、実は俺はもうぼろぼろだった。
空元気で部活ではっちゃけたり、振り切ろうとしたけれどダメだった。
それほどに俺の心に受けた傷は深かった。
そんな俺のところにこいつは現れた。
強がるのも疲れてため息つこうとした矢先に、声を掛けられ、告白されたのだ。
『あ、えと……その……ずっと前から…!』
好きでした。って言ってくれたこいつ。
彼女が居た俺なら、彼をあざ笑っていたかもしれない。
あの時は、強がっていった言葉、言ってる自分の心はからっぽで。
トイレで少し泣いたりもしてた。
『いや、いいよ、すぐ慣れるだろ。あれだろ、オレに憧れてたとか、そういう輩多いからな、でもまー、先日、別れたばっかりよ。……本当……清々し……たっ!』
俺は寂しかったんだと思う。 誰でもいいから自分を満たしてほしかった。 バラバラになりそうな自分を繋ぎとめてほしかった。
そう、オレは、寂しいのだ。ぬくもりをくれて、オレのことが好きで大事にしてくれるのなら―――
初めてだった。自分から相手に唇を許したのは、そして、もっと欲しいと請うったのも……
そんな腐った考えでオレはこいつを利用しようとしてる、
別れ際の女の声が不意に過ぎって また自分でも嫌になる。
「ん……」
それにオレは、帰るまでずっと不安にかられてた。自ら弱みを見せたことを、ネタにされないだろうか。 実は相手がたんなるヤリマンで…とか……
自分はひょっとしたら、とんでもない過ちを犯してしまったんじゃないか、とか……
「閾先輩っ」
「なっ、なぁ……」
オレの問いかけよりも早く虎は、問いかけてきた。
「ん?」
「むぅ……?」
そして、ほぼ同時に返事をした。
「……」
「……」
沈黙は続いた。そもそも、オレは、何を聞こうとしていたんだろう
こいつの前にいると変な不安を持ってた自分が恥ずかしくなってくる。
『オレのどこが好き?』
そんなこと聞けたのかな
『オレのこと愛してる?』
付き合って間もないのに、こんな質問意味など無い。
まだオレらはお互いを知らなすぎる。
「むぅぅ……」
オレは困惑していた。
「閾先輩、恋人成り立てだから、話すの抵抗あるかもですが……何かありました?……」
「……」
「・・・・恋人って自分で言ってなんですけど、ちょっと恥ずかしいですね」
顔を赤くしながら照れたように、えへへと笑うこいつに、ふと告白された時の情景が頭に浮かんだ。
『あ、えと……その……ずっと前から…!』
顔を真っ赤にしてモジモジとその一言を言った虎。
かわいらしくて、ちょっと情けない虎。
アレが誠意込めた告白じゃないのなら、彼は役者になれる。
「僕でよければ、先輩の力になりたいです。 とかいっても話聞くぐらいしかできないですけどね」
こんなオレに、苦笑交じりで元気付けてくれる虎。
「……ありがと……な」
優しさに胸を打たれて。
何故だろう……視界がぼやけた……目がじわぁーっと暖かい。
「ねぇ、先輩」
肩をつかまれ、ぐいっと、体が回転する。
「僕に先輩の笑顔、見せてくれませんか?」
目の前には虎の優しい笑顔。
「僕は・・・先輩が元気に笑ってくれてたら、一番幸せですから。」
無邪気な笑みの虎が、そこには居た。
涙のストッパーは、完全に……取れた。
次から次から涙があふれ出てくる。
虎を抱きしめたくて、手を伸ばそうとして。
脳内に数日前に浴びた言葉が響く。
『あんた!自己中なのよ!』
宙に浮いた手がピタリと。
『思いやりなさ過ぎ! 人のことなんだと思ってるの!?』
動かなくなる。
『人の好意弄んだりして! アンタ最低の男よ!』
なのに涙は止まらなくて。
宙をかいた手が虚しくて。
"オレは・・・こいつも不幸にしてしまう"
その思いがこの腕を止める。
出してはいけないと、こいつを悲しませてはいけないと。
腕をゆっくりと
引っ込める。
オレは、自己中で、わがままばっかり言ってて
今求めることは、自己中で……
だから、オレは…手を……引っ込め……近くて、それでも届かない、虎を見た。
涙が止まらず、一瞬目を閉じた。
モフッ…
暖かいモノが、オレの顔にぶつかる。
虎の胸のふさふさとした毛がチクチクと俺の顔をなでて。
「泣きたかったら泣いてください。 辛かったらいつでも呼んでください。」
言葉にならない嗚咽とともに、オレの涙が虎の胸を濡らしていく。
「だって、僕は先輩の彼氏なんですから!」
ぎゅっと体を引き寄せられる。
「うあぁぁっ・・・ とらぁ・・・ごめえ・・!おでぇ・・・・あぁぁあ・・!」
自分の上っ面の部分が剥がれていく。
「ああぁぁぁ・・・!」
汚い部分がさらけ出されていく。
「あぁぁっく・・・うああぁぁぁ・・・」
それをすべてこいつは受け止めてくれている。
俺の汚いところも含めてすべて。
何分たっただろうか
オレの慟哭もようやく落ちついてきた。
きっとほんの数分だったんだろうけれど、オレには何十分にも感じた。
静かにオレのたてがみを撫でてくれるこいつの胸がすごく広く感じる。
……
ベッドに二人で寝転がってて、何故かオレは、また泣いていた
「……ぅ……ぅ……あ"あ"の"ざ」
しかも、言葉に差し支えるぐらい、泣いていた。
「オデ、どだどごど…ぎ、ぎどぅどぅげぐがご…………」
言いたいことあるのに…はっきり言えない…
今…言いたいのに……
『オレ、とらのこと傷つけるかもしれない』と
「ゴメン、流石に聞き取れない……」
当たり前だ、聞き取れたら、別の意味で聖徳太子並に凄い
「……ぐがん(すまん)……」
(※聖徳太子・10人同時に言う別々の話を全部聞き取ったという伝説?がある)
「あ、でも閾先輩忘れてそうだから言ってもいい?」
「……むぅ?」
何を言うつもりなのだろう、何かに期待する訳でもないのだが
オレは、無意識に虎の目を見ていた。
「閾先輩、正義感強いですよね、だから好きなんですが」
好きという言葉に胸がキュンと締め付けられた。
その感覚を不快か、快楽かでいえば、若干の快楽だった。
「覚えてません?体育館裏、三人に殴られていた子のこと」
覚えていなくは無いが、そんな光景何度も見ていた。
勿論、全部、オレの威厳であっさり解決した。
しかし、別に弱いやつを仲間にしたいわけではなかった。
だから、イジメられていたやつとまともに口も聞かなかった。
うろ覚えだが、まぁ全部似たような対応だから思い出すのは一例でいいよな?
*回想*
体育館裏、一人の生徒を囲み、三人の生徒が殴る蹴るなどをしていた。
オレは、三人居た輩の一人の肩を叩き、振り向き様に殴った。
「し、閾!…うっぅぁ……」
とま、そんな感じで、恐怖に怯える輩、この際、どういう風に怯えていたかなんていちいち覚えていない。
「散・れ」
この一言で皆逃げ出すのだ。後に残ったイジメられていた生徒が一人
「あ、あっ、ありがとございます。僕一年の黒井で……」
「興味ねぇー……」
「へっ? ありがとうございました…と言いたい……」
「バカにしてんのか? オレオマエに興味ないから」
「ぇ……いや……助けてもらった恩は……」
オレは別に、友達が欲しいわけでも、優越感に浸りたい訳でもない
「次、苛められても助ける保障はねぇーぜ?」
酷い言葉だが、懐かれても、ウザイ、当時は彼女だっていたし
どう考えても重荷になる。
「あ……はい、すいません……ありが…」
「はぁ……(ホント、K.Yだな)」
オレは、大きく息を吸って、決め台詞を言う。
「カ! エ! レ!」
「……ごめんなさいごめんなさい……」
相手は泣きながら、荷物をまとめ、一目散に逃げるのだ。
今考えると……自己満足にも程があるよな……助けいても性格悪すぎだオレ
救世主にお礼を言いたいのは当然のことである。
今度から……気をつけよう
*回想終わり*
「覚えてます?」
「ぁ…ぁぁ…(助けた人の一人がオレに惚れたという訳だろうか)」
どこに惚れる要素があったんだろう……。
「実は、先輩が助けた一人に、黒井君って友人が居ましてね」
「えっ、ぁぁ……」
虎の声が曇っている、どことなく怖い……
今たまたま思い出した光景も、黒井と名乗っていた。嫌な汗が湧き出るのを感じた。
なんとなくだが、お礼を言われる雰囲気では無さそうだ。
「彼、表じゃ転校したことになってますが、……その後……」
「……待て……い、言うな」
嫌な一言を言いそうな気がした。だって、声が怖い……殺意すら感じる
「ちゃぁーんと聞いてくださいよ。 先輩の一言にトドメ刺されて」
「えっ、いや、トドメって……いや……お、オレ……助けたんだよ?……」
「黒井君は、その後、屋上から……」
「や、やめ……ほんと、行き過ぎた行動すまん!」
「よしっと」
え?あっ?何が良し?ってアレ? 背中の上で両手が縄で縛られてる。
え、ちょ……はぁ?……
「黒井君は、その後、屋上から……」
「と、とりあえず 縄解いて」
オレは、この後なんとなく、まな板の上の魚になるような気がして、悪寒が走った。
虎は、ベッドから降りた、そして、自らのスポーツバックを弄る(まさぐる)。
「黒井君はさ、僕のたった一人の友人だったんだよ?……よ、よくも」
えー、何この理不尽な展開……オレが虎の友人にトドメさして、それでその友人が自殺して…
今復讐されるって…
というか、好きって言ってくれてたのは?……優しくしてくれたのは何故?
そういえば、何かで得た知識だが、囚人を逃がして、自由を与えたと見せかけ、そこも檻の中だ。と
幸せから一気にどん底へ突き落とす。これは、精神に膨大なダメージを与えるらしい
つまり、それだけ憎まれて……今殺されようと
スポーツバックからお目当てのものが見つかったみたいで、背中を見せたまま虎はゆっくりと立ち上がった。
どんなにもがいても、縄は解けない。
虎がゆっくりと振り返る。じわじわと、オレに恐怖心を与えるかのように。
部屋の電灯の光りを反射して、銀色の鋭利なものがキラリと光る。
まぶしいけど、目は閉じれない、体中の神経が目と手足に集中している。
上手く逃げなくては…それが難しいことでも…
足を使い、うまく起き上がる
「大丈夫だよ、急所は外すから」
「……どこが……だよ……」
直訳すれば、楽には殺さないということだ。
……
「ぁ……」
虎の目に涙が見えた。
「……」
もういいや、逃げるの疲れた。
だから、オレは言った
「殺してみ?……」
最後の最後強がってみた。
そして、目を瞑った。虎をうらまない、むしろ、友人に対してゴメンとさえ思った。・
「ん……(最後に幸せありがとうな)」
いつまでたっても、鋭利な刃物は来なかった、それどころか虎が近づいてくる気配も感じなかった。
……
……
……
鼻を刺す微妙な思春期真っ只中の匂い、多分汗の匂いだ。
少しだけ臭い気がするのだが、何故か愛おしい。
そして、うっすら目を開けると。
視界には、虎がいた。どうやら、夢を見ていたらしい……
寝て起きたせいか、妙に精神が落ち着いていた。
「先輩、おはようございます」
「ぁぁ……」
少しだけ、怖くなった、夢のこと、でも確認したかった。
「なぁ、虎?」
「はい?」
「なんで、オレのこと好きなんだ?……」
「……」
虎の返答に間があった、思わず固唾を飲んでしまった。
「……良かったら、思い出して欲しいです。 今じゃなくて良いから」
「……へっ?……」
[newpage]
※ 投稿しながら 軽く流し読みしてるのだが 違和感やネタに走りすぎている気がする……もしくはシナリオが雑
というわけで書き直すかも
とりあえず 書いてる分だけでも楽しみたいって方は 続きをどうぞ
[newpage]
正直、事態は予想がつかないことになるんだなと、僕は実感しています。
凡そ1時間前、告白した、僕の憧れの閾先輩、
きっとガタイのよい体系の彼は、肉体的にも、精神的にも強いのだと
そう思っていたのだが、彼は違った。
僕を家に招いた刹那、キスを求めてきた。
予想したのは、乱暴にキスをされるかと思ったが、実際は、弱弱しく、請うてきたのだ。
奪う気など、全然なかった。しかし、彼の目には涙が流れていたからだ。
本能的に、したほうがいいんだろうなと、僕は直感的に思った。
だから優しく奪った。嬉しかったのか、彼は、もっと求めてきた。
だから、僕は、それに答えた。
そして、そんな行為に……知らず知らず興奮し始めているのも事実だった。
半立ちの逸物のポジションをかって悪かったので調整しながら、そう思った。
(閾先輩可愛い)
予想とは違った、閾先輩、でもそれは凄く、可愛かった。
なんやかんやで、閾先輩のベッドで僕は添い寝をしていた。
ずっと壁を向いたまま僕に背を向けていた先輩を僕は、若干無理やりこちらを向かせた。
甘い声で呻く彼を優しく撫でた。
余談だけど……
なんとなく、雰囲気的に……命令しちゃった。
何故だか、命令を待つ犬に見えたのだ。
僕らは、これからどんな関係に発展するのだろう……。
先輩は何があったんだろう?
「先輩……何があったんですか?」
「ぅ……」
案の定呻くだけだった。小刻みに震えている。
命令していいのか?しかし、やっぱため口で話すのは、抵抗がある。
命令にならない程度の言葉を使えばいいだろうか?
「話せますか?」
「……ぅぅ」
言葉がまだ弱い?……
「話せ……るか?」
「ぁ……」
駄目だ、命令はやっぱり抵抗がある…ってあれ?閾先輩反応した?
「……おい……?」
「わっ……ぁぁぁ……」
ビクッと体が反応した。
「閾先輩?……」
「ぅぅ……」
……やっぱり、命令が聞くのか?
「閾、こっち向いて」
「ぅぅ……」
やっぱりだ……
「向けっ!」
「ぁ……ひゃぃっ!!」
慌てて上目遣いでこっちを見る閾先輩
逞しい肉付きなのに、……ギャップのある弱弱しい瞳
…………
「……(やべぇ……そそる……。先輩……可愛い……)」
「ぅぅ……」
ゆっくりと視線を逸らす閾先輩。
「情けないね、それで」
「グッグッグッ……」
閾先輩の歯軋りの音が聞こえた。ヤバイ、怒らせた!?
殺気を感じ目を閉じて、慌てて謝る
「ご、っごめんなさい、そんなの微塵も思ってないです!」
「ぅぅ……」
あれ……弱弱しい呻き声だけで、何もこない。
……と思いきや……
「ゴメン!……」
思わぬ先輩の謝罪、そして、ガシッと背中を抱かれた
「ひぇっ??」
「傷つけてもいいけど、傷つけないで………オレを……ずっと……ひと時で良いから支えてください……」
「えっ?……」
傷つけてもいいけど、傷つけないで、 それは一見矛盾しているような発言に今の僕は思った。
そして、付き合いだして、その言葉の真の意味を知ることになるのだった。
……続く
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