星を運ぶ虎

  ここは魔物達が住む楽園の世界。

  ムハナと対抗するために星を運ぶ霊獣であるサクラの力を借りてリザードマン、ワニ族、人狼、ワータイガーの力を得て戦の準備をしていたのだった。

  「うわあ〜、ワニ族のとこも『すごい事』になったな、、、、」

  リザードマンであるエドワードはサクラの『力(精液)』を宿したワニ族の子供達がまるでドラゴンのような体格に翼まで生やして水魔法を操るのを見て驚いていた。

  「いやはや、、、まさかここまで巨大になるなんて、、私も驚きです」

  「だが、これでムハナに対抗できる戦力が出来たのじゃ、、後は時を待つだけじゃな」

  そう話すのはリザードマンの族長であった。

  「だが、、、悪い知らせがある。、、、ムハナの奴、人間を利用してワシらに対抗する魂胆らしいからのう」

  エドワード、、、人狼である小狼は族長の言葉に苦虫を噛んだような顔を見せた。

  人間は弱い生き物であるが、その進化はめざましく、魔王すら敵わなくなってきている。

  いくら神に見放された種族と言えども脅威であることに変わりないのだ。

  さらに繁殖力も強く、数も多いためキリがないほどいると言っていいだろう。

  すると側で聞いたボアボア族の『ヒカル』は首を捻った。

  「それって『漢人族』のことを言っているの?」

  『漢人族』、、、人間の中で民度も頭の悪い種族だが、数がとにかく多いので他の国の者達からは恐怖の象徴とされている存在である。

  「だろうなあ、、、ムハナの奴、、、アジアに住む漢人族をそそのかして味方に付けやがったからのう、、、、」

  族長の話にヒカルはニヤリ、、と笑った。

  「それなら大丈夫だよ!、、、、だって漢人族はどの人間より『見栄っ張り』なんだ!、、、、それに、、、、」

  ヒカルは『漢人族』が作った武器を見せた。

  「この武器を見てごらん、、、、いかに漢人族が『見栄っ張り』なのか、、、、、』

  それを見た一同は思わず目を見開いた。

  一見、美しい剣に見えるが、、、、。

  だが、リザードマンの鍛冶屋をやっていた族長は武器を見て驚いた後、、、思わず笑い出した。

  「なんじゃこりゃ!?これが彼らの武器かのう!?」

  族長の言葉にみんな目を丸くした。

  リン.ヤオもなんとなく分かったようで思わず笑った。

  エドワードと小狼とチュニャンは意味分からずに首を傾げていたが、、。

  「これならワシらは『勝てる』ぞ!」

  族長はまるでそれが勝利の鍵と言わんばかりに大声を上げた。

  一方、ムハナはこの地に逃げたリザードマン達が異種族と協力してムハナ討伐を企てていることスパイを通じて知っていた。

  しかも前皇帝の妾の息子と協力していることも、、、、。

  「あんの『キツネ』めぇぇぇ!私に対する恩を忘れおって!!」

  スパイの報告を聞いた現皇帝は怒りのあまり壁を殴って穴を空けた。

  現皇帝は『パンダ』と言う種族だが、、、見栄っ張りでわがままな性格のため人望がないのである。

  だからこそムハナは現皇帝を操り、自らがこの地を手に入れる算段だったのだ。

  所詮は『パンダ』、、、熊以下に落ち潰れた姿にしか見えんが、、まあ都合がいい。

  このまま我が支配すればいいだけのこと。

  ムハナは人間が作った美しい剣を眺めながらニヤリと笑った。

  この剣さえあれば誰も我を止められるものはいない!!

  ムハナは改めて目の前の剣に魅了されていた。

  しばらくして、、、、リザードマンの村の近くに縄張りをしているサクラがなにやらソワソワしていた。

  エドワードはサクラの様子がおかしいことに気が付いた。

  「おい、、どうしたんだ?そんな落ち着きのない様子で、、なにがあったのか?」

  エドワードはサクラに声をかけた。

  するとサクラはリザードマンの高台を登ると遠吠えを始めた。

  「グオーーーーーン!!グオーーーーーー!!」

  その声は地響きのように聞こえた。

  しばらくするとサクラの声に誘われたバオレン種の『トモヨ』達とサクラの息子、、、サクラのつがい達が現れた。

  そしてサクラのもとに集まると静かに身を寄せ合った。

  、、、まるでムハナ軍に対抗するための意思を示しているようにみえた。

  「、、、、これが『アシュラ王』に託した『力』なのか、、、?」

  エドワードはその姿を見て息を飲んだ。

  「、、、、サクラ!俺達も戦うよ!今まで助けられっぱなしだったから今度こそ恩返ししたいんだ!」

  サクラは再び遠吠えをした。

  それを聞いた猫科の獣達は一斉に立ち上がり咆哮する。

  次の日、、、、ムハナは人間達を連れて軍を進めた。

  ムハナの女達も武器を持ってやって来た。

  サバンナから連れて来たゾウとサイもだ。

  亜人の数が少ないが漢人族の方が沢山いる、、。

  数の方が有利だと見て間違いなかった。

  「所詮、烏合の衆だ。、、、我に歯向かうなどバカの極みだな、、ふふふふふ、、はははははっ!!」

  ムハナはライオンらしく笑う。

  だが、リザードマン達がいる軍へ近づくずれ、漢人族がみるみると青ざめた。

  「お、、、おい、、、?、、、なんか『気合い』が入りすぎじゃないか??」

  兵士の一人が思わずつぶやいた。

  、、たしかにリザードマン、ワニ族、人狼、、ワータイガーの数が少ない、、、。

  しかし、、リザードマン、ワニ族、人狼の筋肉がやたらと凄い、、、。

  加えてリザードマンとワニ族の子供達はドラゴンみたいな体格になっているし、、更にフーレン、バオレン、猫科の獣達がめちゃくちゃいる。

  ついでにヒカルの友達であるウミちゃんと言う『龍』がいるし、、、フクロウであるフウちゃんは『ガルーダ』達まで呼んでいた、、。

  「グルルル!」

  「グオン!」

  リザードマン、ワニ族、人狼、ワータイガーの目が赤く光る。

  あまりの覇気に兵士達ですら震え上がった。

  そんな化け物軍団を相手にするのはさすがのムハナ軍の漢人族は、、、、。

  「逃げろーーーーー!!!」

  突然、尻尾を巻いた野良犬の如く逃げ始めた。

  それを見たムハナは驚いて怒鳴った。

  「ま、、待て貴様らぁ!逃げるんじゃない!!!」

  だがそれの合図にリザードマンの軍はすでに駆け出していた。

  「ムハナ軍を倒せーーー!!」

  リザードマン、ワニ族、人狼達による進軍が始まった。

  たしかに人間は強い。

  しかし、、所詮は人間、、特に漢人族は恩知らずで亜人であるムハナ主軍に忠誠がなく、自分達だけが大事であるためあっという間に逃げて行った。

  群れに対して強いはずのムハナ軍はあっさりと数が減った。

  「仕方ない!我らだけで倒すのだ!!」

  ムハナは慌てて命令を下した。

  雌ライオン達は武器を持ってリザードマンの剣を止めるべく戦った。

  ところが、、、、。

  バキっ、ポキッン!

  なんと雌ライオン達が持っていた武器が折れてしまった!

  実は漢人族が作った武器は一見、美しい武器に見えても他の人間が作った武器と違って脆いものだったからだ。

  漢人族は見栄っ張りなので性能よりも見た目で作ることが多いのだ。

  「ギャアアアアアアアア!?」

  雌ライオン達は武器を振り回しながら倒れてしまう。

  ゾウとサイはドラゴン並みに体格になったリザードマンとワニ族により蹴散らされる。

  人狼達は群れで襲う種族でもあるため、隙を突いて攻撃をしてきた。

  どんどん劣勢になってきたムハナは焦り始めると一体の『フーレン』が現れた。

  サクラである。

  「ガウ!(ようやく会えたね!私のお父さんを殺したヤツ!!)」

  「な、なんだと!?なぜ貴様がここに!?」

  ムハナは覚えていた、、、、、。

  ムハナの左目を潰した雄のフーレンのことを、、。

  そして『息子(?)』であるサクラのことも、、。

  「がうぅぅぅ、、、、(お前はやり過ぎた、、、、私達同じ『猫科』である獣達を沢山殺した、、、だからここで成敗するわ!)」

  サクラはそう言うとサクラのつがいであるトモヨ達と息子達がムハナを囲んだ。

  「ガウガウ!(あの時のお返しをするわよ!)」

  その言葉を合図に彼らは飛びかかった。

  そこからはもう乱戦だった。

  ムハナの雌ライオン達はサクラ達によって噛み殺され、、やがて命乞いをして降伏した。

  「、、、ちょっと『気合い』入れ過ぎたかのう?」

  さすがの族長達は苦笑いをしながら呟いた。

  一方、敗北したムハナはサクラが前に来ると、、、いきなりムハナの鎧をむしり取って、ムハナの金玉を噛み砕いだ!

  「ギャアアアアアアアア!?」

  激痛に苦しむ中、タマを食いちぎられしまったムハナも慌てて暴れ回った。

  「ぐるう、、、、(立ち去れ!二度と姿を見せるな!!お前達はこの私が許さない!)」

  その言葉に戦意を喪失したのかムハナは逃げ出していった。

  「、、、、どうやらサクラはあのムハナに『因縁』があったようだ、、、」

  「そうね、、、彼女、、とても怒っていたもの、、、、」

  リンとチュニャンはその様子を見ながら呟く。

  戦いは終わったのだ。

  ムハナの敗北を知らせを聞いた現皇帝はすぐに逃げ出そうとしたが、リザードマンの軍に行く手を阻まれてしまい、、捕らえられる。

  そしてリン達によって『流刑』されることになった。

  リンは新たな『現皇帝』となり、、、チュニャンは一族の仇討ちを果たした。

  そしてリンと協力をしたリザードマンの村が一気に繁栄することになり、、『大国』と呼ばれるまでに発展したのである。

  「まさかここまで『村』が大きくなるとはな、、、、」

  エドワードは大きくなった子供達をあやしながらつぶやく。

  ワニ族や人狼、、ワータイガーだけでなく、、各国の亜人達が集まって来るようになったために村は大きくなり続けていくばかりだった。

  一方、サクラは小狼へ会いに行くとゴロゴロと甘えて顔をなめ回しているところだった。

  「お前の『カミさん(?)』は元気そうだな♪」

  人狼達は嬉しそうにその光景を眺めていた。

  サクラと小狼の息子であるワータイガー達は力も強いため、土木作業には欠かせない人材となったことで工事現場で働くことになった。

  小狼はサクラの暖かい毛皮に包まれながら幸せを感じていた。

  トモヨ達はムハナがいなくなった事で猫科の獣達の平凡を取り戻した。

  やがてリザードマン達は『星を運ぶ霊獣』であるサクラを讃えるように儀式を行いはじめ、遂には信仰の対象にまでなったのである。

  当の本人は分かってないかもしれないが、、。

  一方、、、敗北してサバンナに帰ったムハナは全ての雄ライオンを殺し、、、さらに生殖機能を失ってしまったため、雌ライオン達から『この疫病神!』『一族を滅ぼした悪者!!』と散々言われた挙げ句、雌ライオン達によって、ついに処刑されてしまったという。

  こうしてライオン一族は滅んだである。

  エドワードは卵を温めるサクラを見て思った。

  『ありがとう』と、、。

  ー完ー

  (まだ続きを書くかも!)