アシュラ王と虎使いのこきつねチュニャン

  ここは魔物達が住む楽園の世界、、、、。

  アジア大陸の湖の近くにリザードマンの村があった。

  もともと小さな村であったが、拾われっ子であるフーレン(虎人)、、、『サクラ』のおかげで人狼達が作物を持って来て、物々交換をする事により少しずつ発展し始めていた。

  さらにサクラと人狼である小狼の間に新種『ワータイガー』が産まれたきっかけにアジア大陸に住む学者達や貴族達も集まりはじめ、村はどんどん発展していった。

  「うわあ、、、まさかサクラのおかげで俺達の村が大きくなるなんて思わなかったなあ〜、、、」

  リザードマンである『エドワード』は妻、、『ウィンリィ』と一緒に赤ん坊を抱えながら、呟く。

  「ええ、、なんだかサクラがやって来てからこの村が良くなっていっている気がするわ、、」

  「ああ、、この調子で頑張っていこうぜ!」

  それからまた月日が流れたある日、夜中に客人らしき人物がやって来た。

  「夜分、すいません、、、、あなたがフーレンを保護したリザードマンですか?」

  その客人は一見人間の女性に見えるが、耳が尖っているので恐らく『ダークエルフ』ではないかとエドワードは思った。

  ただ、、、ダークエルフと違い、髪が黒いだけで肌が褐色肌ではなかった。

  「えっと、、?どちら様でしょうか??」

  「、、、、『アシュラ』、、、まあ、ただの『武人』ですよ、、、」

  たしかに女は立派な剣を持っており、服装も動きやすい軽装であった。

  「実は訳あって『男と女の身体を持つフーレン』を探していたのです。そのフーレンに『渡したい』ことが、、」

  その言葉にエドワードは『ああたしかにサクラは『男と女の身体』を持っているな』と思って、サクラに会わせた。

  「うにゃあ?」

  サクラは眠気眼を擦りながらも、彼女を見る。

  「、、、、やっと見つけた、、、、」

  すると女は微笑んでサクラの額に指先で押して何かを唱えた。

  「済みました。ありがとうございます」

  そう言って別れる前にエドワードにお願いをした。

  「もし、、、虎を連れて来た狐の獣人が現れたらフーレンに会わせてください。彼女なら色々と『秘術』を教えてくれますし、、、役に立ちますよ」

  そう言った後、女はふっと煙のように消えてしまった!

  「あれ!?消えちゃったぞ!?」

  驚くエドワードは女を探したが見つからなかった。

  次の日、不思議に思ったエドワードはサクラのつがいである小狼がやって来たので女の話をした。

  「、、、て、ことがあってな、、、」

  それを聞いた小狼は真面目な顔になり、、、、。

  「ソイツ、、たしか『アシュラ』と言っていたのか?」

  「あ、ああ、、そうだけど、、知っているのか?」

  「、、、『アシュラ王』、、、神話の人物で『男と女の身体』を持つ武人、、、ようするに『神様』だよ」

  「はああああ!?『神様』!?」

  その言葉にびっくりしたエドワードは大声を出してしまった。

  「リザードマンの族長にその事を話した方がいい。、、、『大事な話』だ。、、、恐らく、何かがこの地に『起きている』はずた。、、今すぐ皆を集めてくれ、、」

  エドワードは慌てて他の者を呼び集めた。

  皆が揃うと、リザードマン達は驚いた。

  族長とリザードマン達はとりあえず女が言っていた『虎を連れて来た狐の獣人』が現れるまで待つ事にした。

  しばらくして、、、虎を操る狐一族、、、こぎつね『チュニャン』とチュニャンの保護者である黒狐『リン.ヤオ』は白い虎『ビャッコ』と共に新種である虎の頭を持つ獣人、、『ワータイガー』の噂を聞いてはるばるここまで来た。

  「けっこう発展してんなあ?もともと小さな村だっけ?」

  「そうね、、かなり栄えているよね、、」

  さっそくお目当ての『ワータイガー』を見に行こうとするとリザードマンが慌てて二人を止めた。

  「す、、すいません!虎を連れているのでもしや『狐の獣人』の方ではないのですか!?」

  そう言われた二人はお互いの顔を見る。

  そして、頷く。

  「ええ、この子は『チュニャン』と言って『虎使いの狐一族』ですが、、、」

  リザードマンは喜んで事情を話すとエドワードの家に案内されたのだ。

  その後、すぐにサクラは目を覚まして、様子を覗きに来た。

  するとサクラを見たチュニャンは驚いた。

  「こ、、このフーレン、、!もしかして『星を運ぶ霊獣』じゃないの!?」

  今度はサクラの方がびっくりして目がまん丸になったのだった。

  『星を運ぶ霊獣』とは両性具有を持つ伝説の虎で、、、、その霊獣が現れたら『繁栄をもたらす』と東の国では言われているらしい。

  それを聞いたエドワード達は心当たりがあった。

  「そういえば、、。サクラに温められたタマゴから孵化したアルフォンスは、、やたらと『力が強かった』な、、、、、」

  「この村が出来たのも、、、サクラが湖を見つけてくれたからよね、、」

  「あと、、、ご、、、ゴニョゴニョ(サクラの精液)でかかったタマゴから、、、何故かドラゴンみてえなカッコいい『角が生えたリザードマン』が産まれたな、、、(汗)」

  つまりサクラが来た事によって色んな幸運が訪れた事になるのだ。

  「ええ、恐らく『ワータイガー』が産まれたのも、、、彼女(?)の『力』かも、、」

  リンは考えながら答える。

  「、、、それに比べて、、あの『皇帝』は、、、」

  チュニャンは悔しそうに歯を食い縛った。

  その様子を見てエドワードが声を掛ける。

  「、、何があったんだ?良ければ話を聞かせてくれないか?」

  そうしてチュニャンは今までの経緯を説明する。

  もともとチュニャン一族は前皇帝に仕える種族であった、、、。

  ところが西の大陸から来た『たてがみを持つ黒い亜人』が現れたきっかけに皇帝の息子が亜人から珍しい贈り物で貰って気に入ってしまい、、、亜人にそそのかされるまま、前皇帝を殺して現皇帝になるとその亜人を『家臣』として迎えてしまったのだ。

  そしてその亜人が『虎は災いをもたらす薄汚い獣だ!殺して毛皮を糞尿で汚して浄化した方が良い!』とそそのかされるまま、虎や虎の仲間である『窮奇』『虎爺』『水虎』、、そして『フーレン』まで次々と殺処分され始めたのだ。

  もちろんチュニャンの一族は反対したが、『古臭い文化の知識しかないキツネ風情が我らに逆らうな!!』と激怒してしまい、、、結局チュニャン一族まで皆殺しにあったそうだ。

  チュニャン自身はまだ幼くて、母親が命懸けで逃がしてくれなかったらおそらく殺されていたであろう。

  リンは前皇帝の息子だが、妾の子供だったため、殺される事なくこっそり逃げる事が出来たらしい。

  「そうか、、大変だったんだな、、それにしでも酷い事をするな、、、なんでとても綺麗な毛皮を持つ虎を憎むんだろう?、、その家臣になった『亜人』は誰だ?」

  そう尋ねると意外な人物の名前が出た。

  「確か、、名前は『ムハナ』、、」

  「!、、、、『ムハナ』だと!?」

  エドワードとウィンリィ、、そして側で聞いたリザードマン達も驚きの表情を見せる。

  「おい、、アイツ、、ここまで来たのかよ、、!どんだけ『領地』を広げれば気が済むんだよ!!」

  どうやらリザードマン達はムハナを知っているらしく、動揺していた。

  「知っているんですか?」

  リンは不思議そうに尋ねた。

  「そいつはサバンナに住む『ライオン一族』だったけど、自分の親父を殺して親父の縄張りを奪い、、、そして縄張りを広げるために同族である雄のライオンも殺し、、そして同じ猫科である獣も亜人も殺し、、さらに俺達リザードマンまで『奴隷』にした、、恐ろしいヤツなんだよ!!俺達はソイツから逃げるためにここまで逃げてきたんだぜ、、っ」

  エドワードはようやく『アシュラ王』が現れた理由に納得した。

  (なるほど、、だから『星を運ぶ霊獣』、、サクラに託すためか、、)

  アシュラはサクラに『何』を渡したのか分からないが、、恐らく『悲劇』を食い止める為だろう、、いやそれだけじゃないかも知れない、理由は分からないが、、、。

  「とりあえず小狼の一族も『ワニ族』も全員集めて『緊急会議』だ!恐らくムハナは現皇帝を利用して『この国を支配する』つもりかも知れねえからな!」

  エドワードはリザードマンの族長に話すと族長は人狼の族長と、、さらに恩人であるリザードマンの亜種である『ワニ族』の族長にも伝えるように頼んだ。

  「あやつめ、、、、とうとうそこまできたかっ、、しかしワシらがいくら束になっても勝てないじゃろう、、じゃが『人狼』と『ワニ族』、、、サクラの息子、、、『ワータイガー』達がいる、、、!、、それに神である『アシュラ王』がサクラに『何』かを託した、、!恐らくそれが『希望の光』になるだろう、、どうかお主らは出来る限り自分達の安全を確保するのじゃ、、くれぐれも気を付けるんじゃぞ!」

  こうしてリザードマン達はチュニャン達と協力関係を結び、準備を始めたのである。

  エドワードはチュニャンに『アシュラ王』の事を話すと彼女は頷いて『秘術』を教えた。

  そしてチュニャンはフーレンであるサクラに『秘術』を使って教育をする事になったのだ。

  チュニャンは相棒であるビャッコを使って通訳でサクラに話しかける。

  サクラもなんとなく異変を感じ取り、すぐさまチュニャンの『秘術』を学び始めた。

  「大変な事になったな、、、」

  小狼はエドワードの元に駆けつけた。

  「そうだな、、俺も覚悟しないといけねえな、、」

  そう言いながら小狼に感謝をした。

  「助かったぜ、、、お前が教えてくれなかったら間違いなく死んでたよ、、ありがとな、、」

  「礼には及ばんさ、、それより『アシュラ王』はサクラに何を託しただろうな、、 」

  思えば、、、吹雪の中で洞穴にいたサクラと出会ってから色々あったなぁ、、と思いながらエドワードはその出来事を思い出すのだった。

  もしかしたらサクラは神の使いなのかもしれない、、そんな不思議な気持ちになるのであった。

  恐ろしい『魔獣』であるはずの『フーレン』がいつのまにか頼もしい存在になっていた事に気付く。

  「運命って不思議だよな、、、お前も『タマゴ泥棒』だったのにいつのまにか俺の『親友』になってるんだからな、、」

  そう言うと少し恥ずかしそうに小狼は笑う。

  「そうだな。エド達と出会わなかったら俺達も死んでいたよ。ありがとうな、、それとこれからもよろしく、、親友、、」

  小狼はそう言って手を差し出す。

  エドワードはそれを笑いながら掴んだ。

  「おう、こちらこそよろしく頼むぜ、、友人、、」

  こうしてエドワード達は長い長い戦いに挑むことになるのだが、、それはまた別のお話、、。

  ー続くー