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おや……貴方、こんな所で何をしているのですか?
石段の上に座り込んでは体が冷えてしまいますよ、もし宜しければ……そうですね、此方にいらして下さい。
あいにくと神主様方は不在のようですが……心配しなくても大丈夫ですよ……私もこの神社の関係者ですから。
ささ、遠慮などせずに──あら、もしかして貴方、足を怪我しているのですか?
それに顔色も優れない様子……そういう事でしたら、少しばかり失礼いたしますね。
うふふ、驚かれましたか?
私、こう見えても力持ちですので、人一人くらいならこうして運ぶのも訳ないのです♪
それではこのまま、[[rb:社務所 > しゃむしょ]]の方まで運ばせて頂きますね。
よいしょ……っと。
それではお布団と治療の用意をしてきますので、少しばかり此処で待っていてもらっても宜しいでしょうか?
ありがとうございます……それではすぐに済ませて参りますので、今しばらくお待ちを。
お待たせいたしました、それでは座敷の方まで運ばせて頂きますね……はい?
「自分で歩ける」……全く、強がりはいけませんよ?
そのような怪我をしているのであれば、無理をしないで私に身を任せてくれればよいのです……分かりましたか?
宜しい、それでは今一度……よいしょっと。
すぐに降ろしてあげますから、それまでは我慢してくださいね?
おや、ようやく気が付いたようですね……体の調子はいかがですか?
そうですか、それは良かったです。
おや、どうかしましたか?そんなに慌てて……自分がどれだけ眠っていたのか気になる、ですか。
心配しなくても大丈夫ですよ、数時間ほど眠っていただけです。
えっと、怪我の具合を確かめたいので……その、少しばかり見せて頂いても良いでしょうか?
失礼しますね……痛みはないですか?違和感があったり、動かしにくくはないですか?
「大丈夫」……それは良かったです。
あの、お聞きするのは今更かもしれないのですが……貴方はどうしてこの神社に?
こんな事を言ってはいけないかもしれませんが、此処は祭事でもない限り人が来ることなどは滅多にない場所です。
なにか用事があったようにも思えませんし──え、お参りに来ていたのですか?
足を怪我したのは石段で躓いた時に転げ落ちたから……なるほど、そういう理由があったのですね。
はい?貴方も、私に聞きたいことがあるのですか?
私が誰なのか……やっぱりそれ、気になっちゃいますよね。
貴方はこの神社の神主さん達とも面識がありますし、私のような巫女が居ないのも存じているでしょうからね。
それではもし、私が自分の事を「この神社に祀られている者だ」と名乗ったら、貴方は信じてくれるでしょうか?
貴方が毎日のようにこの場所を訪れ、私に祈りを捧げてくれていた事を知っている……そんな事を言ったら、貴方は信じてくれるでしょうか?
信じてくれるのですね……うふふ、ありがとうございます。
最も私は神様ではなくその使い……この神社に祀られている御方の銘を受け、この場所で人々を見守る[[rb:神使 > しんし]]の一匹です。
その証拠に……ほら、この耳……それに尻尾……さて、ここで貴方に問題です。
少し簡単かもしれませんが、私の正体はいったいどんな動物でしょうか?
正解、私の正体は干支にも数えられている虎さんでした♪
動物としての姿は人間を問わず様々な生き物に怖がられてしまうので、最近はこうして人の姿を真似るようにしているのです。
そのおかげで、こうして怖がられる事もなく貴方と話す事が出来るのです。
だって、いきなり人の言葉を話す虎に話し掛けられたら貴方だって怖いでしょう?
そういう事ですので、以後お見知りおきを。
あぁもう、急に起き上がろうとしてはいけません!
お怪我の方は私が治しましたけど、それでも貴方、心身共に少し疲れすぎではありませんか?
見たところ、最近は少しばかり頑張り過ぎているようですね。
「そんなことはない」みたいな顔をしたって、私には全てお見通しですからね?
神主さん達には私から話を通しておくので、せっかくですから今日はこのまま休んでいってください。
どうせ自分の家に帰ったら、また無理をしてあれこれ頑張ろうとするのでしょう?
ですから、気が引けるのだとしても今日くらいはゆっくり、身も心も休めてみてはいかがですか?
私としても普段からお祈りをして頂いてるお礼をしたいので……はい、そう言ってくださるのでしたら、私としても嬉しい限りです♪
そのお顔、まだ眠いのですね……でしたら此方へ。
私が膝枕をしてあげますから、[[rb:夕餉 > ゆうげ]]の時間になるまでゆっくりとお眠りください。
今日くらいは何も気にせず、ゆっくり……えぇ、心よくまで休んでいれば良いのですよ。
それではおやすみなさい……良い夢と共に、貴方が安らげますように。
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