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玲くん奮闘記~神無き月と暴君の宵祭り~ 第四話

  ※注意

  ・ケモナーが書いたので人間が出てこない

  ・素人が書いた小説

  ・神話、伝承はwikiで齧った程度のにわか

  ・ありきたり、厨二臭い設定

  ・他作品のパロ、オマージュ多め(特に東方Project、呪術廻戦要素多め)

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  前回のあらすじ

  四季を倒し倒壊した法隆寺に訪れた玲、どうやら倒壊した法隆寺は結界で隠されていたようだ、結界の内部に侵入しようとした玲だったが、内部に入った瞬間現世とは違う場所に飛ばされる、そして直後に敵の襲撃を受けそれを退けるも、その直後四季の言った"天の犬"であると呼ばれた大妖怪である天狗の叢風 刹那(むらかぜ せつな)が姿を現した、刹那に苦戦しつつも退けて神の国に繋がる門を開き、そして神の国を目指して三途の川の上流を登るのだった。

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  刹那を倒し、神の国への門に飛び込んだ玲は現在三途の川の上流を登っていたが……

  玲「もー!神の国の近辺に来てまでなんで微神なんかに襲われなきゃいけないんだ!あっちいけ!」

  微神とは元々力をあまり持たず、役割もほとんどの無いような神のこと、信仰は全くないので現世では力を発揮できず、また発揮できたとしても頭も霊力も弱く、一般の妖怪にすら歯が立たない、言わば雑魚である。

  そのような神は大抵消滅するか零落して精霊か妖怪になるが、精霊は大抵の場合妖怪に食われる餌であり妖怪にはヒトを食らうことで成るため退治する他ない、かと言って消滅してしまうのであれば微神といえど損失になってしまう、神の国はそのような哀れな微神達を繋ぎ止め維持する為に何千年と昔に創られたのだ。

  しかし微神達はヒトを食らうと妖怪になり神の国の保護を受けられなくなるため、ここで玲を襲うのは不自然だ、何かしら別の目的があるのだろうか、あまりに攻撃に殺意が乗っていない、玲もその事に気づいたのか、移動しつつも思考する。

  玲(なんかみんな襲ってくる割に攻撃が緩いというか、不本意で攻撃してる感じだ、もしかして誰かに命令されてる?正直さっき結構無茶しちゃったからこのまま休めない状態が続くとキツイんだけどなぁ。)

  短時間に神威を二回、そして骨折レベルの負傷を即時再生、大技を一発、このまま休みなく行くと元凶の元に行くより先にガス欠になってしまう程の消耗を既にしていた。

  そんなことを考えている内に三途の川の上流を進むと一際大きな滝が見えた、見上げてみれば端が見えない程大きく長い滝、夕方だと言うのに滝が太陽の光を反射して周辺を明るく照らす、昼間のように明るくなった滝は神々しい雰囲気を醸し出していた、これを昇りきれば神の国に到達するだろう。

  玲「うーん、東京のビルよりも高いなぁ、これじゃあ三途の川じゃなくて三途の滝じゃないか。」

  ?「おや、英雄殿にはお気に召さなかったか?」

  声が聞こえる、先程までの微神とは違う、知性を感じる何かしらが玲に声をかける。

  玲「景観は悪くないけどね、エレベーターかエスカレーターがほしいかな。」

  ?「なるほど、神もバリアフリーを意識する時代ということか。」

  玲「ところで姿を隠してないでいい加減出てきたらどうなの?それとも、神様のくせにヒト前に出れない恥ずかしがり屋なのかな?」

  ?「言うじゃないか、神社に居候している割に信心はないらしいな。」

  そう言い声の主は姿を現す、神々しい青毛に雷のような黄金の毛が差す、正しく嵐を顕すような風貌の男だ。

  伯迅「我の名は統羅祇 伯迅(すべらぎ はくじ)、神仏、神の国を統べる役割を与えられた神の最高傑作と呼ばれる頂点の神さ。」

  玲「うーん、確かに強そうだけどそんな名前聞いたことないし、胡散臭いなぁ。」

  玲「それにこの気配、法隆寺の付近で感じ取ったのに似てるしもしかして貴方が元凶?」

  伯迅「ふむ、信心がない上に礼儀もないとはな、なかなか度胸があるニンゲンもいたものだ。」

  玲「急に初対面のヒトから「実は私は神々の頂点なんです。」なんて言われても信じるヒトなんて居ないと思うけど。」

  伯迅「小僧が知らんのも無理はない、何故なら我は地上に社を置かず、姿も顕した事は一度もないのだからな、我程の神となれば力を振りかざす訳にもいかない、力の行使を神の国に留めるため信仰は集めないのだよ。」

  伯迅「一つ疑問を解消させた所だが、もう一つ質問に答えておこうか、我が元凶か……答えは半分正解というところだな。」

  伯迅「災害を起こしたのは我のせがれだ、あいつには天変地異を引き起こす能力がある上に特殊でな、現世でも力を出せる。」

  玲「貴方の子供が原因なら少しは説教しちゃってもいいのでは?僕が代わりに説教なんて、めんどくさいもん。」

  伯迅「我が責任持って叱ってやってもいいが、それでは頑固なあいつは反省せん、最初から勝てない相手に倒されたところで意味は無いからな、だからヒトという下等生物に倒されれば屈辱を感じて多少は懲りるだろう。」

  玲「そんな下等生物がこんなところまで来る保証なんてないのに、よくもまぁこんなことを、かなりの博打じゃないの?」

  伯迅「だから選定のために選りすぐりの術者を向かわせたのだよ、此処に来るまでにいただろう?」

  玲「……?」

  玲「……もしかして四季も刹那も積鬼もみんなお前が仕向けたのか!?」

  伯迅「いやいや、鬼の小娘は知らないぞ?恐らく四季が騙して使ったってところだろうな、あやつが良くやる手口だ。」

  玲「……それで「最後は我を倒してみせるがいい!」って展開になるの?」

  伯迅「勘がいいではないか、安心しろ、手加減は勿論する、さぁ震え混沌を描く地を平定するために立ち上がりし英雄よ!その実力を我の目に焼き付けてみせるがいい!!」

  『"花鳥風月"

  花ノ章~四季巡りの花吹雪~』

  天に見えるは色とりどりの花吹雪、まず最初に桜、そして次に向日葵、次に金木犀、次に椿と四季に合わせた花に変化し降り注ぐ。

  玲「相手がそんな大物ならもう一気に力を出すべきか!」

  『"麟鳳亀竜"

  式応龍・憑依現界~神威~』

  玲の角が龍を思わせる形に変わり、羽衣と鷹の翼を身に纏う。

  伯迅「ほう、ただのヒトかと思えば……お前、龍神の末裔だな?」

  伯迅(四霊を自信に憑依させただけでは説明のつかないパワーアップ……応龍の龍の霊気と龍神の血が共鳴し何倍にも力を底上げしている……)

  玲「龍神?誰のこと?」

  伯迅「ふん、気にするな、こちら側の話だ、今貴様には関係ない。」

  伯迅「さあ、手短に済ましてやろう!まずは第一波だ!!」

  四色に変化する変幻自在の弾幕が風に乗り加速しながら玲を切り裂こうとする!

  玲(龍は水を司る幻獣、そして応龍は五行の内土の力を持つ神獣、水は様々な形に合わせて姿を変える、土は変化を助ける力を持つ、その水と土の力を合わせて弾幕を変幻自在に避ける!!)

  水のような流れでするする弾幕を避ける、変化する攻撃に合わせて、玲の持つ霊力は流れを変えて最適な形になり容易に回避する。

  接近してお祓い棒を伯迅に振るが簡単に伯迅は回避する。

  伯迅(ふむ、見ていたがやはり四霊の力を扱う能力か、今は応龍と共鳴しているのだな、水の変幻自在の流れと五行の土を組み合わせて変化に対応している。)

  伯迅「ならこれはもう通用しないか。」

  そう考えた伯迅は次の手を用意する。

  伯迅「我の能力は"花鳥風月"、自然の概念を掌握して支配できる能力だ。」

  「このように」と言うように次の手を繰り出す。

  『"花鳥風月"

  鳥ノ章~千羽の鳳~』

  伯迅「さっきのは有効打にならなそうだからな、次は鳥葬と行こう。」

  次は鳥型の霊力弾が無数に顕現する、その一つ一つに尋常ではない程の術が編み込まれており、玲に顔を向ける。

  玲「刹那みたいな弾、これくらいなら避けれるよ。」

  対して「この程度」と玲は簡単に回避する、刹那との戦いで慣れていたのも大きいが、霊力弾自体は刹那の放つ霊力弾と比べてみてら遅いようだ。

  伯迅「刹那と戦ったあとのお前さんにはぬるい弾幕だったか?」

  『"花鳥風月"

  風ノ章~空閑絶風~』

  伯迅「力業が駄目ならば次は搦手だ。」

  風の音が聞こえるが、何も起きない、ただ空を駆ける風だけが感じられる。

  玲「……?何も起きて……」

  しかし次の瞬間、正体不明の何かが玲の身体を抉ろうとして頬を掠める。

  玲「……!?見えないのに攻撃された!?なんだそれ!?」

  斬撃だ、一瞬だけ反応して避けたが次が休みなく来る。

  玲「また……!見えない!!」

  背、胴、頭と四方八方を狙われる、僅かな霊力の揺らぎだけで方向を理解し、ギリギリで回避する。

  玲(これじゃあ念じる時間も技を出す暇もない!なにかこれを攻略する手段がなかったら先にこっちがやられちゃう!)

  玲「分かりやすく攻撃を視覚化する……そうだ!」

  龍の像が現れて雲を吐き、周辺が雲に包まれる、どうやら雲の揺らぎから斬撃を視覚化しようとしているようだ。

  玲「これなら……」

  斬撃の軌道を雲が避けるように動く、玲の目論見通り見えない斬撃を視覚化する事に成功した。

  玲(背中……今度は胸……足元……)

  先程よりも余裕を持って回避する、そして玲は回避するうちにその正体を掴み始める。

  玲「風……多分風だ、風を鋭く放って攻撃してる、かまいたちのような技だね。」

  伯迅「……正解だ。」

  雲が晴れると伯迅が背後にいた。

  そして伯迅は次の技を間髪入れずに発動する。

  『"花鳥風月"

  月ノ章~満月鏡・八咫乃鏡~』

  霊力で板が構築される、その板は鏡のように滝を表面に投影するように映し出される、そこに陽光が収束する、空から降ってくる太陽だけでなく、滝から反射される光すらもそこに収束される、滝の光の反射で夕方でも明るかった滝の周辺は夜のように暗く変化した。

  攻撃に警戒した玲は後ろに飛び距離を取る。

  玲(次は鏡、今度はどう来る?)

  収束された光は次の瞬間レーザー状に放出された、"神速"の二文字が似合う一撃だ。

  玲(はやっ!)

  さらに、打ち出された先にさっきの霊力の板が出現する、そこに当たった瞬間再び反射されるように放たれる。

  玲「あっつ!!」

  玲(霊力でしっかり受けたのに……!)

  反射した陽光を手で受け止める、しかし霊力で受けたというのに掌が焦げる そして再び鏡に陽光が収束し、それを一気に放出する。

  玲(一発目は一直線に動くだけだから単純だし、応龍の龍珠の力を使えば回避は簡単、だけどその次からが……)

  もう一度反射を発動する、ギリギリではあったが見切りこれを躱すがその奥にもう一枚鏡があった。

  玲(三枚目!)

  玲「えいっ!」

  今度は撃ち落とすように掌をレーザーに叩きつける、上手くいったようで、先程に比べれば軽傷だ。

  玲(三発目も防げた……でもこんな調子で防ぎ続けてたら攻撃なんて出来ない!)

  伯迅「どうだ?陽光に灼かれる気分は。」

  玲「楽しいわけないでしょうに……常識的に考えて。」

  伯迅「いやいや、そんな遠慮せずもっと喰らってみるといい、癖になるかもしれんぞ?」

  伯迅がより力を込めると最初の鏡が二つに増え、そして打ち出される光線も二つに増える。

  玲「わっ!二本も!?」

  玲(いやでも当然か、伯迅はずっと余力を残していたし、鏡も複数出せるのは初撃から分かってた、でもただ増えるだけでも労力は二倍になる、一本に精一杯なまま……このままやられる!)

  二本に分かれた光線は玲を焼こうと直進する、一本目と二本目が十字に交差する、交差する点で横に逸れて回避、続いて反射した光線を回避するが、反射時に調整したのか二本の光線のタイミングがズレる、一本目は先程と同じように回避、二本目は叩き落とすようにして軽減、しかし二本目に気を取られている内に再度反射した一本目の光線が背中に当たる。

  玲「あつ……!」

  玲(……?少し威力が軽くなったような?)

  だが最初に攻撃を受けた時より威力が減衰していた。

  玲(反射で勢いが落ちたとか……?いやそれはないか、最初の光線と二発目の光線、最初は反射した回数が一回、二発目のは反射した回数が二回、体感だけど威力はそんな変わってなかった、じゃあ光線の数を増やしたから?)

  技の違和感に気づいた玲はなにかハッとしたように考え出す、周辺環境を利用して攻撃する技なら威力をそのまま量を増やすなんて出来ないはずだ。

  玲(この技は見たところ周辺の光を集めて発射してる感じだった、光を自分で生成してるわけじゃない、だから数を増やせば増やすほど威力が減衰するはず……!)

  策を思いついた玲はこの技を攻略する準備を進める、まずは……

  玲(まずは二本の光線を攻略して三本目を出させる!三本目が出たから今思いついた防御法が成立するかもしれない!)

  再び二本の光線が玲目掛けて放たれる、放たれた光線を避けるともう一度鏡に反射する。

  玲(少しずつ慣れてきた……!後はこれを誘導して……)

  反射された光線をもう一度回避する、更に反射された光線をもう一度回避、また回避と繰り返す。

  玲「……ここだ!」

  そして回避しながら誘導した陽光は互いにぶつかり合って霧散した。

  伯迅(二本目を攻略されたか、なら。)

  伯迅「今度は三本だ、どう攻略してくれるかな?」

  鏡が三個に増え、もう一度放たれる。

  玲「来た!」

  三本のレーザーが玲に向かう、二本でもギリギリだった玲に三本の反射する光線を全て回避するのは難しい、しかしそれは回避するという前提の話だ。

  玲「水よ!」

  水の防御壁を作る、そのまま一本目の光線を受けるが、光線は虹となって分解される、二本目、三本目を順番に受けるが、それも同じように消えた。

  そしてその隙に玲は水を射出して攻撃する、伯迅は腕を使って叩き落とすも、擦り傷を受ける。

  玲「一手入ったね、これは光栄な事なのかな?」

  伯迅「……ほう、水で光を屈折させて光線を分解、そして残留した熱を冷水で即冷却、蒸発した分はすぐに補給し続ければ問題ない、ということか。」

  伯迅(三本以上では簡単に防がれる、一本は簡単に回避可能、二本もあの調子ではいずれ慣れるだろう、この手はもう辞めだな。)

  『"花鳥風月"

  終ノ章~花鳥風月~』

  伯迅「これが最後だ、これを躱せば認めてやるぞ!!」

  花の性質、鳥の性質、風の性質、月の性質を持った四つの霊力弾が伯迅の周囲に浮かび上がる、そして連なり結界を形成しそこから一部が連隊を組み拡散する、四つの性質が組み合わさり様々な自然現象が再現される。

  玲「来る!」

  身構える、やってきたものはあらゆる現象が複雑に入り乱れるまさに神の嵐、まともに受ければ連撃でズタボロにされるだろう。

  その極度の緊張の中、玲は慎重かつ迅速に隙間を見極め、回避する。

  しかしそれでも多少の攻撃は掠め、さらに攻撃の裏に隠れるように更に攻撃が放たれ、その上遅いが広く連なった霊力弾や逆に小さいが速度が早い霊力弾などが細かく入り乱れており、油断も隙もない。

  玲「もう!こんなんじゃ全く攻撃が届かない!ならいっその事全部吹き飛ばしちゃえ!」

  『"麟鳯亀竜"

  式応龍奥義・天都水之水龍葬』

  玲から凄まじい勢いで大量の水が放たれる、放たれた水は一直線に連なり、山を押し流すような圧倒的な大洪水を引き起こす、そして水の軌道上にある弾をかき消し、伯迅へと向かう、しかし……

  伯迅「おっと、そのやり方は関心せんな。」

  伯迅が力を込めると水の砲撃は急激に細まり、威力を無くす。

  玲「なっ……!?」

  伯迅「言っただろう?我は自然を支配し掌握すると、それはもちろん水も例外ではない。」

  伯迅はもう一度かき消された弾幕を充填し放つ、またもや複雑な弾幕の前に玲は追い詰められる。

  玲「あのレベルの技を抑え込むなんて……!」

  玲(いや、でもあれを受け止めて消耗しないなんて有り得ない、確実に霊力は消耗してるだろうし、どっちにしろこのままだと先にこっちがやられる!なら……)

  『"麟鳯亀竜"

  式応龍奥義・天都水之水龍葬』

  さらにもう一度、技を発動して弾をかき消し盤面をリセットする。

  伯迅「おっと、我慢比べか?それは面白いが、それではお前の方が先に限界が来るだろう?」

  先程と同じように水流が抑えられ、再び弾幕を形成する。

  玲「それでもなんもしないよりはマシだよ!」

  『"麟鳯亀竜"

  式応龍奥義・天都水之水龍葬』

  もう一度大技を放つ、伯迅はそれを受け止め、攻撃が激化する前に玲は何度も大技を放ち続ける。

  何度も、何度も、何度もそれを繰り返し、互いに霊力を消費し続ける、そして終わりは訪れた……

  玲「はぁ……はぁ……」

  伯迅「言っただろう?」

  先に限界がやってきたのは玲だった、短時間に憑依限界を三度も、その状態でなんども反動が大きい大技を放ち続ければ、限界が来るのは無理もない、滝のように汗を流して呼吸を荒らげている、霊力もほとんど失っており、空を飛ぶのもやっとで、技を放つのは難しいだろう。

  伯迅(……足りんな、これなら我が止めに行った方が良かったか。)

  伯迅「ここまでの健闘、賞賛してやるがこれ以上はお前の命に関わる、この攻撃で気絶させて治療をしてから現世に送ってやろう、どうせ降参はしないのだろう?負けず嫌いな者は皆その目をする。」

  玲「うわっ!」

  伯迅が放った霊力弾を限界が来た体に鞭を打って回避する、だが余力を使い果たしたからか、憑依が解け元の姿に戻ってしまった。

  今度こそ、とどめを刺すために霊力弾を放つ。

  これで本当に終わりだ。

  ………………………………………………………………………!?

  伯迅「……!?」

  「……もう、あれを使うしかないか」

  揺れる、大気でも地でも川の流れでもない、視覚で理解できるものではない、もっと別の何かが大きく揺らぎ、空気を一変させる。

  玲「……本当に一か八かの賭けだったけど……意外と何とかなるものだね。」

  霊力弾が当たったはずの煙幕の中からは金色に輝く龍のたてがみと角を生やし、手には大きな宝珠を持つ、新たな姿に変化した玲の姿があった。

  伯迅(今の一瞬に何が起こった!?先程までの玲にはもう憑依を維持する霊力は残ってなかったはずだ!ならば何故、こいつは憑依を維持出来ている……!?)

  伯迅「まさか……」

  能力を使い、目の前の異常を観測する、すると玲の中にあった四つの巨大な霊力の反応が一つに減っていた……いや、正確に言えば一つに収束し、何倍にもその力を膨れあがらせていた。

  玲の奥の手、憑依現界には弱点がある、それは憑依現界中に消費した霊力は自然回復でしか回復しないということだが、それは憑依している四霊にも適応され、今回の場合は現在応龍は殆どガス欠状態になってしまっている。

  しかし現在応龍は玲に憑依することが出来ている、理由は応龍が一時的に他の四霊を取り込み、一時的に霊力を取り戻し、更に黄龍へと一時的な強制進化を遂げているからだ。

  玲が従える四霊、特にその内の一体、応龍と玲は最高の相性だった、それは玲の五行属性が水と土で水を司る龍であり土用を司る黄龍の進化前でもある応龍と一致していることや玲自身が龍神の血を引く者であるということなどにも関連している。

  そしてその影響か応龍と玲が憑依している間は共鳴が発生し、応龍の霊力がダイレクトに玲の力に変換される。

  つまり、四霊を取り込ませた状態で再度憑依現界をすれば、応龍(黄龍)が得た霊力を玲が受け取ることで、再び力を解放することが可能になったのだ。

  しかしこれは長時間維持することは出来ない、玲自体にも黄龍という強力すぎる霊獣を身に宿すには相当な霊力を消費する上に応龍という一体の霊獣に三体もの同格の霊獣を取り込ませてしまえばすぐに吐き出してしまう、取り込まれている他三体への負担も大きく、まさに諸刃の剣。

  それを既に大幅に消耗している状態で発動するのだ、数十秒と持たないだろう。

  伯迅「くく……見誤っていたのはこちら側だったか、ならば……」

  伯迅は再び大規模な攻撃を展開する。

  伯迅「もう一度これを受けてみるがいい!」

  そして玲目掛けて発射する。

  発射された弾は玲を追い詰めようとするが、不思議なことに、攻撃は命中しなかった、それはまるで弾自体が玲を躱すようにも見えた。

  そしてその瞬間、玲が持つ宝珠が薄く光ったように見えた。

  伯迅「不自然に弾が曲がった!そしてやつの周りの自然の流れが歪んでいる……やはりあの力は……!!」

  玲が持つ宝珠、それはあらゆる願いを叶えるとされる究極の財宝、"如意宝珠"である。

  中国の伝承においては龍が持つとされる物であり、龍珠と呼ばれたそれはかつて龍神と呼ばれた者が扱い、その力を得るためあらゆる神、術師、妖怪が心血を注いだがそれはついに叶わなかった伝説の神器である。

  それの影響だろうか、因果が歪み空を曲げる、この因果の捻れこそ龍珠が願望機たる所以、因果を歪め過程を飛ばしその"望み"という"結果"を齎す。

  玲(なんだろう、初めて使う力のはずなのに良く馴染む、この玉そのものから使い方を教えられてるみたいに……)

  玲にとってもこの変化は想定外だった、この日初めて応龍を強制進化させたからというのもあるが、それでもこの龍珠の出現は考えられずにいた。

  それもそのはず、龍珠は黄龍が持つ力ではなく、黄龍を憑依させたことで龍神に近づき、その潜在能力を引き出したからこそ龍珠は完成されたのだ、つまり黄龍の能力ではなく玲自身の能力による産物なのだが、玲は自身が龍神の子孫であるということは知らないので想定外なのは当然のことだ。

  玲(でもこれはもう二度とないチャンス!ここで絶対伯迅を倒す!)

  龍珠に霊力を集める、この一撃で決着を決めるつもりだ。

  伯迅「来るか!」

  龍珠の霊力を解放した瞬間、とてつもない閃光に包まれる。

  閃光が消えた瞬間、その場から玲は消え、伯迅の背後に立っていた。

  玲(行ける!)

  お祓い棒に霊力を一点集中し伯迅に向けてフルスイングする!

  その瞬間、決着は着いた……

  玲「あ、あれ?」

  伯迅に叩きつけられたお祓い棒は胴に接したが、その身体に傷は付いていなかった。

  伯迅「……霊力不足か、途中に大幅に消費し、龍珠を二度も使用、流石に限界だったか。」

  身体を支える力を失い、空中から落ちかける玲、それを伯迅が乱雑に、しかし苦しくない程度に掴み支える。

  ……つまり、"合格"ということなのだろう。

  伯迅「我に臆せず立ち向かい、ここまで楽しませたこと、賞賛に値する!お前ならば必ず元凶を打ち倒し、この国を救うだろう!」

  ポカンとする玲をよそに伯迅は滝を瞬時に登りきり、門の前へと運ぶ、滝を登りきった先にある光景は、古めかしくも荘厳で豪華にあしらわれた社が辺り一面に広がる神々の摩天楼だった。

  座るのに丁度良さそうな小さな岩に立つのもやっとな玲を座らせ、伯迅は話し始める。

  伯迅「まず、元凶についてだが……」

  玲「あ、あの、ちょっとまって伯迅……様」

  伯迅「今更敬称なんぞいらん、そもそも敬いや畏れなんぞ最初から求めておらんからな。」

  玲「じゃあなんで最初礼儀がどうとか〜って言ってたの……」

  おっほんと咳払いをして伯迅は話を仕切り直す。

  伯迅「元凶についてだが、先程も言ったが我の息子にあたる神だ、ヒトの血も流れている……つまりハーフというやつだがな、歳はお前と同じ程度で我によく似た青毛と稲妻模様だからすぐに分かるだろう。」

  伯迅「名前は総羅祇 迅(すべらぎ じん)、「総羅祇 伯迅の紹介で総羅祇 迅に会いに来た。」と言えば下っ端の神は屋敷まで案内してくれるだろう、屋敷の中に入れば従者どもが手厚く歓迎してくれるだろうが、そこは心配していない、ほとんどは力を持たぬ微神だからな。」

  玲「……えーっと、つまりその迅ってヒトが異変の地震の原因だから倒せばいいんだね、だいたい分かったけど、具体的な能力とかは……」

  伯迅「ああ、迅の能力は"天変地異"、地震も能力によるものだろう……そしてさらにもう一つ警戒すべき力がある、それは迅が"帝釈天の雷霆"、金剛杵(ヴァジュラ)を扱う資格を持った存在であることだ。」

  玲「ヴァジュラって言うと……」

  伯迅「インドの英雄神、仏教最高の仏、そやつが持っていた武具の一つだな、厄介なことに"天変地異"の力に反応しその出力を底上げしている。」

  玲「並大抵の力じゃ討伐は無理だね。」

  伯迅「そうだ……ところで玲、不思議と落ち着いてるようだが、お前はそのような敵と相対する訳だが、問題ないのだろうな?」

  玲「……どうせ文句言っても強制的に連れてかれるんだろうし、それにあの力を思ってたよりしっかり使えるのが分かったからきっと倒せるよ。」

  あの力、龍珠の力は強力だ、実際一歩足りなかったとはいえ大きく実力差が開き、追い詰められていた中で伯迅に一発入れることが出来たのは事実だ。

  玲「あっ!でもさっき霊力を全部使ったからしばらく戦えないかも……」

  伯迅「ああ、それならもう回復しておいた。」

  「えっ!?」と体の隅々も確認するが霊力はしっかり全身を循環し、それどころか疲労や肉体の傷も完全に癒されている。

  玲「憑依現界中に消費した霊力は自然回復でしか回復しないはずなのに……」

  伯迅「その弱点は憑依している霊獣との同調が完璧でない証拠、他者からでも自力でも同調がしっかり出来ていれば霊力の回復は簡単だ、こればかりは鍛錬で身につけるしかないがな、精進するがいい。」

  玲「ああ、えっと……ありがとうございます??」

  伯迅「さて……あらかた話したいことは話したか、我も慌てている神共を沈めなければいけないので、これにて失礼しよう。」

  何か言いたげな玲を差し置いて空高く舞い一瞬で移動する。

  玲「勝手に話したいこと話されて自分で全くできなかったことを平然とやって……なんか悔しいな……」

  神様というのは総じて自分勝手な生き物なんだろうかと少し疑問を持つが、それを振り払い次の目標に向かう玲なのでした……

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  伯迅「……そういえば言いそびれておったな、迅の部下には一人、神の国でも上位の腕っぷしを持つ護衛をつけておったと……」

  「まあ、問題ないか」と少し楽観的に考えるが、いや、どう考えてもやばいです伯迅様。

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  そして迅がいるであろう一際大きい屋敷の一室の前で微神達を払い除る者がいた。

  ?「ほらほら、同じ従者でもここから先は危険っスから立ち入り禁止っスよ!」

  ?「……しっかし中身は子供っスけど一応立場高い神様なんスからそう好んで訪ねる人なんていないし少しくらいサボってもバレないっスかねぇ……っと余計なこと考えてた、まぁでも通す気もないし、通れないっスけどね……」

  第伍話に続く

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