実験体と一体化し狼怪人となった俺は弟を助けにいく

  鈍い頭の痛みで俺、鱗川太一は目を覚ました。

  随分と長い間、眠っていた気がする。

  重い身体を起こすと、そこは薄暗く、様々な物品が所狭しと乱雑に置かれた倉庫のような場所だった。

  埃の匂いがする空気を吸いながら、俺はなぜこんなところにいるのか思い出そうとする。

  「そうだ、確か……」

  休日で高校も休みだった俺は小学生の弟の陸とデパートに遊びに来ていたのだ。

  そこに悪の組織が現れ、弟を含め子どもたちをさらっていった。

  俺は奴らを追いかけようとしたが、途中で返り討ちにされ、気付けばこの倉庫にいたのだ。

  「そうだよ……陸を助けないと……」

  薄暗い室内を見回すと、物陰にドアが隠れていた。

  俺はドアを開けようとしたが、鍵が閉まっていて開くことができない。

  扉に体当たりするが、扉はビクともしなかった。俺の肩が鈍く痛んだだけだ。

  「ダメだ……」

  どうやら完全に閉じ込められているようだ。

  どうやってこの部屋から出ようかと頭を捻っていると、部屋の隅からガサガサと何かが擦れるような音が響いた。

  驚いて音がしたほうを見ると、ダクトから何か影のようなものが飛び出すのが見えた。倉庫が薄暗いせいでそれが何なのかはわからない。

  「な、何だ……!? ネズミでもいるのか?」

  俺の声は目眩がしそうな静寂の中に吸い込まれた。

  その静寂を破ったのは、やけにくぐもった男の声だった。

  「お前はここから出てえのか?」

  突然、聞こえていた声に俺は驚いた。

  「そうだけど……。お前は誰だ? どこにいる?」

  倉庫の中に人の姿はない。

  謎の声は俺の質問には答えず、続けた。

  「お前は組織の怪人か?」

  「怪人? 俺が? 俺は違う。お前こそ組織の怪人か? 弟を返せよ!」

  「いや、俺様は組織の怪人とはちょっと違う。ここから出たいのなら、俺様が力を貸してやってもいいぜ?」

  「本当か?」

  まさか、ここで助けの手が差し伸べられるとは。

  正義のヒーローとは違うような気はするが、ここから出られるのならなんでもいい。早く弟を助けに行きたい。

  「ああ、ちょっとそこから動くなよ。すぐ終わるからよ」

  「終わるって何が……?」

  俺が訝しんでいると、物陰から不定形の何かが俺の身体に飛びついてきた。

  「うわあっ! 何だこれ!?」

  それはよく見ると、ゲル状でありながらも、何かの着ぐるみのようでもあった。全体的にゲル状に溶けてはいるが、狼の頭のように見える部分がある。

  「大丈夫だ。悪いようにはしねえ」

  声は溶けた狼の頭から発せられていた。

  「悪いようにはって、何をする気だ!?」

  ゲル状に溶けた狼は俺の身体を蠢きながら徐々に覆っていく。ゲル状の狼は生きているからなのか、やけに生暖かい。

  あっという間にゲル状の狼は俺の全身を包み、身体だけではなく、俺の頭部をも覆い尽くす。

  「うわっ! わああああああああ!!」

  口からゲルが侵入してきて、俺はわめき声をあげた。

  眼球から何からまでゲル状の狼が俺の身体に貼り付き、俺はまるで狼に食われてしまったかのようだった。

  だが、不思議と不快感はすぐに消滅した。

  身体の表面に触れてみると、ゲルは固まって着ぐるみのようになっている。

  着ぐるみに触れているはずなのに、なぜか自分の皮膚と同じように触れているという感覚がある。まるでゲル状の狼と一体化してしまったかのように。

  『気分はどうだ?』

  直接、脳内に声が響いた。ゲル状の狼のものと同じ声だった。

  「悪くはないけど、一体何が起きたっていうんだ?」

  『そこに鏡があるだろ? 自分の姿を見てみろよ』

  狼に言われて、倉庫に鏡があることに気付く。

  さっきより、倉庫内が明るく見える気がする。なんだか目の見え方もいつもと違うようだ。

  俺は狼に促されて鏡の前に立った。

  そこに映っていたのは、狼怪人と化した自分の姿だった。

  全身から獣毛が生え、華奢な身体も筋肉質な肉体へと変貌している。手足には長い爪が備わり、口元には鋭い牙が整然と並んでいた。自分の眼とは思えない獰猛な眼光に、つい自分で少し怯えてしまう。

  『今、お前は俺様を着てる状態だ』

  再び、脳内に狼の声が響く。

  確かに、今の自分の状況は着ぐるみを着ているような状態で、身体を触ってみると、内部には自分の肉体が入っているわかる。

  狼の口も内部の自分の口と連動して動いているだけのようだ。

  「一体、お前は何なんだ?」

  『俺様はウルフィーだ。お前はなんていう?』

  「俺は鱗川太一だけど……」

  『じゃあ、太一でいいな。俺様はな、ここの組織で作られた実験体なんだ』

  「実験体?」

  『組織は手っ取り早く怪人を作るために、寄生することで人間を怪人へと変貌させる生命体を作り出そうとした。それが俺様だ』

  「き、寄生って……!? 俺も怪人になってしまうのか!?」

  『まあ、焦るなって。俺様は宿主と一体化して、宿主に俺様の力を与えられる生きた着ぐるみみたいなもんだ。脱げば元の姿に戻れるし、安心しろ』

  「そ、そうか。でも、それって凄いことなんじゃないか?」

  『そうだ。俺様は凄いんだぜ? だが、そんな俺様は生み出されたこの施設から出られず、毎日実験三昧だ。俺様はそんな毎日が嫌になって隙を見て逃げ出してやったんだ。ダクトを通って逃げてきたら、そこにたまたまがお前がいた。お前もここから出たいんだろ? 俺様は単体だとたいした力はないが、宿主と一体化することで真価を発揮できる。協力して一緒にここから逃げ出そうぜ』

  「待ってくれ、俺は弟を助けに来たんだ。ここから出る前に、弟と合流したい」

  『うーん。俺様は早くここから逃げたいんだがなあ。まあ、ちょっとぐらいならいいか。協力してやるよ』

  「本当か?」

  『おう。とりあえずそこのドアを壊して、ここから出ようぜ』

  「いや、ドアはさっき破ろうとしたんだが、ビクともしなくて」

  『さっき俺様は力を与えられるって言っただろ? 俺様がお前の動きをサポートすることで、今のお前は並外れたの力を出せるんだよ。こんなドアぐらい蹴り飛ばせるはずだぜ』

  「よし、じゃあやってみるか」

  俺はドアの前に立って、思い切りドアを蹴り飛ばした。

  ドアは紙でできているかのように簡単にひしゃげて吹き飛び、激しい衝突音が耳をつんざいた。

  ドアの残骸は勢い余って、廊下の壁にめり込んでいる。

  「すごっ……!」

  『ガハハハッ! どうだ、俺様の凄さがわかったか?』

  「うん、これは本当に凄いな……」

  『あと、俺様とお前は感覚を共有してる。俺様が怪我をすると、お前にも痛みが伝わるから注意しろよ』

  「ああ、わかった」

  倉庫内から出ると、そこはどこかの建物の中で、長い廊下にはたくさんの扉が並んでいた。

  ここはやはり悪の組織のアジトなんだろう。

  弟は一体、どこにいるんだろう。全く見当もつかない。

  「何だ!? 今の音は!」

  「こっちのほうから聞こえたぞ!!」

  廊下の向こうからいくつかの声と足音が近付いてきた。

  まずい。誰か来る。

  そう思ったのもつかの間、俺たちは4人の黒いコスチュームを着た者たちに囲まれてしまった。

  覆面をしていて、それぞれの顔はわからない。普通の戦闘員だろうか。

  「なんだ? 見たことない怪人だな」

  一人の男が俺たちのことを眺め回した。

  「実は俺、新人の怪人なんですよ。ちょっと迷子になっちゃって」

  俺はとっさに口からでまかせを言う。

  だが、男はドアの残骸を一瞥し、

  「お前、組織のエンブレムはどうした?」

  と俺に疑惑の目を向けた。

  「実はなくしちゃって……」

  俺はうっかりという感じが出るように、頭を掻いてみせた。

  頼む、これで誤魔化せてくれ。

  男は数回うなずき、

  「そうか。お前ら、こいつを捕まえるぞ! こいつは組織の者じゃない!」

  と他の戦闘員たちに指示した。

  「ラジャ!」「了解!」

  と他の戦闘員たちは俺たちを囲む。

  『太一、これは戦うしかないようだな』

  ウルフィーが俺の脳内に直接語りかけた。

  周りに聞こえないように俺はヒソヒソ声で喋る。

  「俺、肉弾戦なんてやったことないぞ」

  『俺様がサポートしてやる。とにかくやるぞ』

  ええい、どうにでもなれ。

  俺は目の前の戦闘員に思い切り、蹴りを入れた。

  「ガハッ!」

  戦闘員はうめき声をあげて、はるか後方へと吹き飛び、人形みたいに床を転がった。

  「やっちまえ!」

  リーダー格らしい戦闘員が発破をかけた。

  それを合図に戦闘員たちが一斉に俺たちに向かって迫ってくる。

  俺は一人の戦闘員にタックルを決めた。

  戦闘員は吹き飛んだが、俺は隙を突かれ、3人の戦闘員に羽交い締めにされる。

  俺は暴れるが、さすがに3人同時に羽交い締めされては逃げることはできない。

  「ぐえっ!」

  突然、戦闘員の一人が素っ頓狂な声を上げ、羽交い締めをやめた。

  俺の身体の表面からゲル状の触手が伸び、戦闘員の首を締めていた。ウルフィーが助けてくれたようだ。

  『今だ!』

  ウルフィーの声が頭の中で響く。

  俺は残る2人の戦闘員の腕を強引に外し、振り向きざまに、頭突きをお見舞いする。

  戦闘員は昏倒し、もう一人の戦闘員にも顔面パンチを決め、戦闘員は壁に叩きつけられたのち、地面に横たわった。

  残るの戦闘員はウルフィーの触手に首を絞められ、既に窒息して泡を吹きながら寝そべっている。

  『結構やるじゃねえか』

  ウルフィーが褒めてきた。

  「いや、ウルフィーが助けてくれなかったら危なかった。ありがとう」

  『へへ、いいってことよ。あそこで捕まるわけにはいかないからな。さっさと弟を助けに行こうぜ』

  「そうだな。あっ、そうだ」

  俺はのびている戦闘員の胸についているエンブレムを手に取った。

  『なんだそりゃ』

  ウルフィーが不思議そうに尋ねてきた。

  「さっき戦闘員が組織のエンブレムはどうしたって訊いてきただろ? 多分、これがそのエンブレムなんだ。これをつけておけば、組織の怪人に偽装できるはずだ」

  『おおっ、なるほど』

  俺はエンブレムを獣毛が生え揃った胸にぺたりと貼り付けた。

  のびた戦闘員たちは目立つので倉庫の中に隠しておくことにした。ひしゃげたドアも倉庫の中にしまっておく。

  俺たちはその場をそそくさと離れた。

  廊下を当てもなく歩くが、弟がどこにいるのかは全く見当もつかない。

  「ウルフィー、逃げてくるときに弟がいそうなところを見かけなかったか?」

  俺はウルフィーに話しかける。はたから見れば、一人で喋っているヤバい人だろう。

  『いや、そんな感じの場所は通ってねえな』

  「そうか……」

  どうしたものかと思案しながら歩いていると、廊下の十字路で戦闘員とぶつかってしまった。

  戦闘員はよろけたが、すぐに体勢を立て直し、俺の方を見る。

  「危ねえなあ。ん? 見ない顔だな。でも、エンブレムはしてるな……。あ、もしかして、新しく配属された怪人か?」

  戦闘員は俺たちのことを組織の怪人だと勘違いしている。やはりエンブレムを盗んでおいて正解だった。

  俺は組織の怪人のフリをすることにした。

  「ええ、そうなんですよ」

  「そうかあ。そういえば、この前、レザールとかいう怪人が一人殉職したって聞いたな。だから本部から補充されたのか」

  戦闘員は腕を組んでうなずいている。

  どうやら、うまく騙せているようだ。

  俺は弟がいそうな場所を戦闘員から聞き出すことにした。

  「ところで、一般人を捕らえられているところがどこか知りませんか? そこに行くように言われたのに、迷子になっちゃって」

  「ああ、それならこの廊下の突き当りを右に行けばいいよ」

  戦闘員は廊下の向こうを指差した。

  「そうなんですね。助かりました。ありがとうございます」

  俺は軽く会釈して、その場を立ち去った。

  これで弟がいそうな場所もわかった。

  言われた通りに俺は廊下を進んでいく。

  歩いていると俺は不思議な感覚に襲われた。デジャヴにも似たような感覚だ。

  俺はこの場所を知っているような気がする。

  『なあ、太一』

  不意にウルフィーが話しかけてきた。

  「どうした?」

  『太一に合流するまでとさっきの戦闘でエネルギーを結構使っちまって、補給がしてえんだ』

  「補給って、ウルフィーは何を食べるんだ?」

  『タンパク質がいいんだが、俺様には歯がないから、液状のタンパク質がいいんだが』

  「液状のタンパク質? 牛乳とかか? そんなものこんなところにあるか……?」

  『太一、お前、精通してるよな?』

  「えっ!? 精通って、もしかして射精したことあるかを聞いてるのか?」

  『そうだ』

  「あるけど、まさか液状のタンパク質って」

  俺は驚いて立ち止まる。

  『この場ですぐに手に入りそうなのは太一の精液ぐらいだろ?』

  「それは、そうかもしれないけど……」

  俺はあまり気乗りしなかった。

  射精するにはオナニーをするしかないだろうが、自分のオナニーを他者に見られるのが単純に恥ずかしいからだ。

  しかし、ウルフィーのエネルギーが切れてしまうのは、弟を探すうえでも不都合になりかねない。

  「しょうがないか。わかった。射精すればいいんだろ、射精すれば」

  俺は渋々、了承した。

  倉庫として使われている部屋を見つけ、中に誰もいないことを確認してから、物陰に隠れる。

  「仕方ない。やるか……」

  俺は着ぐるみを着ているような状態なので、ペニスを直接掴むことはできない。ウルフィー越しにペニスを擦って、刺激する。

  だが、俺のペニスは縮こまったまま、なかなか大きくならない。

  「クソ、上手くいかないな……」

  『太一、お前、緊張してんのか?』

  「はぁ!? 何言ってんだよ。こんな状況ですぐに勃つわけないだろ」

  『なるほどな。そういうもんか。わかった。俺が手伝ってやろう』

  ウルフィーはそう言った瞬間、股間の辺りが急にぞわぞわとし始めた。

  ウルフィーが着ぐるみの内部で触手を作り、俺のペニスを絡め取る。

  「お、おい」

  俺の声を無視し、ウルフィーは触手で俺のペニスをいじりだした。ウルフィーの触手が優しく俺のペニスに触れ、優しく撫で回す。

  「んんあっ」

  俺は不覚にも声を漏らしてしまった。

  なんだこれは。自分でやるのとは段違いに気持ちがいいぞ。

  俺のペニスは途端に熱くなり、ウルフィーの中でそそり立っていく。

  『うおっ、ちんこってのは弄るとこんなに気持ちいいのか!?』

  ウルフィーが興奮した様子で語りかけてくる。

  そういえば、俺とウルフィーは感覚を共有していると言っていた。ウルフィーの触覚が俺に伝わっていたように、この快感がウルフィーにも伝わっているらしい。

  「そうか。ウルフィーにはちんこがないのか」

  『人工生命体の俺様には生殖機能がないからな。いや、しかし、これはたまんねえな♥』

  ウルフィーは嬉しそうな口調だ。

  『そうだ、こういうときは乳首もいじるといいんだったか?』

  ウルフィーは内部の触手を増やし、ソフトに俺の乳首をつつく。

  「ああっ、そこはダメだっ……! やめてくれっ……!」

  俺は身体をビクンッと震わせてしまう。

  口ではやめてくれと言っているのに、俺の乳首はウルフィーの下で、嬉しそうにぷっくりと膨らんでしまっている。

  『でも、お前めちゃくちゃ感じてるじゃないかよ……っ!』

  ウルフィーは興奮した様子で、触手を使って俺の乳首を舐めるように撫で回す。

  感覚を共有している以上、ウルフィーに俺の快感はダダ漏れなのだ。弱い部位を隠すことなどできない。

  俺の肉棒は既にウルフィーの下で、はち切れんばかりに固くなり、ガマン汁が溢れ出しているのがわかる。

  そのガマン汁を摂取しようとウルフィーは俺の亀頭へと多数の触手を伸ばした。

  触手と亀頭や竿、金玉が擦れ、快楽を発するたびに、俺の肉棒は小刻みに跳ねる。

  「んあっ……はあっ……はあっ……!」

  俺は快感によがり、口を大きく開きながら、肩で呼吸をしていた。

  『これは……俺様も気持ちよすぎて頭がおかしくなりそうだぜ……!』

  ウルフィーも体験したことない快楽に歓びを隠せない様子だ。

  俺の腕が勝手に股間のほうへと伸びていく。

  それは、俺が快楽に抗えずに腕を動かしたのではない。ウルフィーの着ぐるみの部分が勝手に動いているのだ。

  『駄目だ。もう我慢できねえ。俺様が手で出してやる』

  そう言ってウルフィーは着ぐるみの上から俺のいきり立った肉棒を鷲掴みにする。

  「んはうっ! ウルフィー、待って、待ってくれ!」

  俺の静止を聞かず、ウルフィーは俺の肉棒を優しく揉みしだく。

  ウルフィーの狼の手のひらは筋肉質でありながらも、フニッとした肉球が俺の肉棒を包む。それがぴったりフィットして、柔らかな感触がたまらない。

  『待ってくれという割には、全然抵抗しないじゃねえか。ああ、ダメだたまんねえ♥ こんなの、射精したら、どうなっちまうんだ……!』

  ウルフィーは手の動きを加速させる。

  俺は脳が痺れるような快感に抗えず、ウルフィーにされるがままになっている。

  自分で手淫するのとは段違いに気持ちがいい。

  俺の肉棒が歓ぶように脈打ち、快楽の波動を放ち続けて、俺とウルフィーはその虜となってしまっている。

  俺とウルフィーは一匹の獣のようになって、一心不乱に肉棒をしごき続けた。

  股間の熱は次第に最高潮に達し、止められない快楽の奔流が全身を突き抜けた。

  俺の全身がビクンと震える、

  「ウルフィー、で、出る! 出るぞ!」

  俺はウルフィーに声をかけた。

  『ああ、わかってる! 感じるぞ!』

  ウルフィーもはちきれそうなほどこみ上げる射精感を味わっているようだ。

  その瞬間、俺の肉棒からは堰を切ったように大量の精液が溢れ出した。

  俺の肉棒はウルフィーの下で暴れながら、とめどなく精子を吐き出していく。

  俺の股間に広がっていく、生暖かい感覚。

  俺とウルフィーの間に撒き散らさせれた精子を、ウルフィーの触手が吸収していく。

  ウルフィーは最後の1滴まで搾り取ろうと、余韻に震える俺のペニスに触手を巻きつけた。

  触手にペニスが締め付けられるたびに、俺は身体をビクンッビクンッと震わせた。

  駄目だ。もう限界だ。

  今まで体験したことのないような快楽のせいで俺は虚脱してしまい、意識を手放した。

  俺のペニスは名残惜しそうに、残った精子を少しだけ吐き出し、それをウルフィーの触手が吸収していた。

  

  

  『おい、起きろ太一』

  ウルフィーの声が脳内に響いて、俺は目を覚ました。

  そこは先程、俺が射精した倉庫だった。

  股間に広がる精子の感触は全くなくなっている。ウルフィーが全て吸収したのだろう。

  「どれぐらい眠ってた?」

  俺はぼんやりとする頭を振りながら、ウルフィーに尋ねた。

  『30分も経ってねえよ』

  「そうか……。そういえば、エネルギーは補給できたのか?」

  『おう、完璧だぜ。量も質も申し分ねえ。あんなに美味いのは初めてだ』

  「そうか。それは良かった。それじゃあ、俺の弟を助けに行こう」

  俺は立ち上がり、倉庫を出た。

  戦闘員に教えてもらった通りに進んだ先にあった部屋に入ると、そこはいくつもの牢屋が並んでいる区域となっていた。

  多くの子どもたちが鉄格子の向こうでうずくまっていて、俺のことを怯えた目で見つめている。今の俺は狼怪人の姿をしているので当然だろう。

  「陸ー! 俺だー! 太一だ! 返事をしてくれー!!」

  俺は大声を張り上げる。

  声は静かになった牢屋を反響する。

  俺は何度も陸の名前を呼んだ。だが、陸からの返事はない。

  まさか、ここに陸はいないんだろうか。

  俺は適当な子どもに鉄格子ごしに近付いた。

  「なあ、君はどこから連れてこられたんだ?」

  「しょ、小学校だよ。他の牢屋のみんなも同じ小学校から連れてこられて……」

  少年は怯えて震えながら答えた。

  陸は俺とデパートにいたところを拉致されている。ここにいる子どもたちが小学校から拉致されているなら、ここに陸はいないのかもしれない。

  「デパートから連れてこられたっていうやつは子どもは見なかったか? 鱗川陸っていうんだ。府中の伊勢丹で捕まったんだが」

  少年は怪訝そうな顔をした。

  「府中の伊勢丹って何年か前になくなったところ?」

  「え? それはどういう――」

  突然、扉がきしみながら開く音が聞こえ、俺は身構える。

  現れたのは戦斧を持った虎怪人だった。

  筋肉質な体つきで、重そうな戦斧を軽そうに持ち上げて、

  「ついに見つけたぜえ。ここにいたのか」

  と鋭い牙を見せて笑った。

  まずい。どうやら見つかってしまったようだ。

  この区画には出入り口は一つしかなさそうだ。戦うしかないだろう。

  虎怪人は首をかしげる。

  「その実験体の中身は誰だ? 戦闘員でもたぶらかしたかあ? まあ、いい。実験体は回収しろとの命令だ。痛い目に遭いたくなけりゃ投降しろ。中身の奴も命まではとらねえ」

  虎怪人は俺ではなくウルフィーを追ってきたようだ。

  俺の口――正確には着ぐるみの狼の口が勝手に動いた。ウルフィーが動かしているのだ。

  「へっ、やなこった! 俺様は実験漬けの毎日に飽き飽きしてんだ。俺はここから出て自由になるぜ!」

  「仕方ねえなあ」

  虎怪人ベイルタイガーはため息をつき、戦斧を構えた。

  あれ、俺はどうしてあの虎怪人の名前を知ってるんだ。

  ベイルタイガーは地面を蹴り、斧を振りかぶった。

  斧は動きが大きく、俺はその隙をついてベイルタイガーに接近し、拳を入れてやるつもりだった。

  だが、突然俺の腹から背中へと痛みが突き抜けた。

  気付くと俺は後方へふっ飛ばされ、壁に打ち付けられていた。

  「がはっ!」

  ベイルタイガーの強烈な蹴りを俺は食らってしまっていた。

  ベイルタイガーの大振りな斧の構えは罠で、元から俺が騙されて近付いたところに蹴りを入れるつもりだったのだろう。

  俺は急いで立ち上がるが、ベイルタイガーは既に目の前まで接近していた。

  早い。

  どうやらベイルタイガーは戦斧を捨てて身軽になることで、一気に距離を詰めることに成功したらしい。

  俺は振りかぶったベイルタイガーの拳をもろに顔面で受けてしまった。

  衝撃で脳が揺れる。

  着ぐるみが緩衝材になり、意識を飛ばさずには済んだが、生身で受けていたら、頬骨が砕けていたかもしれない。

  俺はベイルタイガーの股下を転がるようにくぐり、牢獄の奥へ続く廊下に逃げ込む。

  「ちっ!」

  ベイルタイガーは舌打ちをした。実験体が意外としぶとく、苛立っているのだ。

  中身のやつも誰だか知らないが、自慢の拳を受けてまだ動けるとはなかなかガッツのあるやつだ。そんなやつが組織の戦闘員にいたとはなと、ベイルタイガーは感心する。

  だが、実験体が逃げた先は行き止まりになっている。これ以上逃げることはできない。

  追いかけると、廊下の突き当りに、実験体は立っていた。

  ベイルタイガーは獲物を狩る虎のように四つん這いになって走り、実験体に噛み付き、相手を捕らえた。

  だが、実験体はやけに軽く、薄っぺらい。

  「な、中身がいないだと!?」

  

  

  脱いだウルフィーを囮にする作戦はうまく成功した。

  ベイルタイガーは中身がいないウルフィーだけを捕まえていた。

  俺はベイルタイガーの後ろに回り込むことに成功し、ベイルタイガーの首を締め上げた。

  ベイルタイガーは暴れるが、ウルフィーが触手を伸ばし、ベイルタイガーの動きを抑えてくれる。

  ベイルタイガーが苦しそうに首を回して、俺の方を見る。

  俺と目が合うと、ベイルタイガーは目を見開き、

  「レザールの……兄貴……?」

  と声を漏らした。

  レザールという名を聞いた途端、俺はベイルタイガーの首を締める手が緩んでしまった。

  その隙にベイルタイガーは俺から逃れてしまう。

  「おい、何やってんだよ!!」

  ウルフィーが吠える。

  ベイルタイガーは咳き込みながらも、

  「レザールの兄貴だよな……! そうだよな!」

  と嬉しそうに俺を見つめる。

  「レザー……ル……?」

  おれはその名をつぶやく。

  俺はその名をよく知っている。

  だが、そいつは誰だ。

  そうだ。この場所を教えてくれた戦闘員が言っていたじゃないか。

  『この前、レザールとかいう怪人が一人殉職したって聞いたな』

  その時は気にならなかったが、それよりも前から俺はレザールを知っている気がする。

  既視感を覚えた組織の廊下。

  目の前の虎怪人がベイルタイガーだということも俺は知っていた。

  弟が拉致されたデパートは何年か前になくなっていて――。

  まさか。

  俺は恐る恐る自分の手を見た。

  そこには人間の手ではなく、ぬらりと光る緑色の鱗に覆われた爬虫類のような手があった。

  緑色の鱗は手だけではなく、腕や全身に広がっているようだった。

  俺は嫌な予感に目眩がした。

  まるで、床が溶け出して、自分が地面にずぶずぶと沈んでいくような錯覚を覚えた。

  俺は空いている牢屋の中に鏡があることに気付き、よろよろと牢屋の中に入っていく。

  「どうしちまったんだよ! 太一!!」

  ウルフィーが叫んでいるが、俺は無視する。

  俺は恐る恐る牢屋の中の鏡を覗き込んだ。

  そこには俺が予感していた光景が映っていた。

  鏡に映っていたのは人間の俺の顔ではなく、トカゲのような頭をした怪人が映り込んでいたのだ。

  俺はそれを見て、全てを思い出した。

  

  

  あれはもう何年も前になる。

  デパートで弟が悪の組織に拉致され、追いかけた俺も組織に捕まってしまった。

  そこで俺はトカゲ怪人レザールへと、弟は虎怪人ベイルタイガーに改造されてしまう。

  俺たちはコンビを組み、組織で活躍していた。

  弟のベイルタイガーは怪人になっても俺を兄貴と慕ってくれて、俺は組織で充実した生活を送っていた。

  何年も経ったある日、俺はあるミッションで敵に酷くやられてしまい――そこからの記憶はない。

  

  

  俺はゆっくりと鏡から離れた。

  そうか。俺はとっくの昔に怪人に改造されていたのだ。

  そういえば、ウルフィーも最初に俺と会ったときに、俺に組織の怪人なのかと尋ねてきていた。それも俺がトカゲ怪人の姿をしていたのせいだったのだ。

  最初に倉庫で目覚めたときは薄暗くて全く気が付かなかった。

  全てを思い出した俺はベイルタイガーに近づき、熱い抱擁を交わした。

  俺とベイルタイガーは長い間、コンビを組んでいて、そこには並々ならぬ絆があったのだ。

  ベイルタイガーは涙を流しながら、

  「兄貴、生きてたんだ……! 良かった……! 良かった……!」

  とわんわん泣き叫んだ。

  

  

  ベイルタイガーによると組織では俺は死んだということになっていたらしい。修復不能と判断されたか、修復できても実戦には復帰できないと判断され、廃棄することになったのだろう。

  おそらく廃棄するまでの間、倉庫に安置されていたところ、俺が奇跡的に目を覚ましてしまい、どういうわけか人間のときの記憶が戻り、怪人のときの記憶がなくなっていたというわけだ。

  今では人間のときの記憶と怪人のときの記憶のどちらも思い出せる。

  だが、ミッションで負った怪我の後遺症で、トカゲ怪人としての力はほとんど使えないようだ。

  俺はベイルタイガーに切り出した。

  「ベイルタイガー。俺と一緒に組織を抜けてくれないか。俺は人間のときの記憶を取り戻した。俺たちは元から本当の兄弟だったんだ。一緒に人間に戻ろう」

  ベイルタイガーは俺の手を掴み、

  「俺と兄貴は本当の兄弟だっていうのか? 嬉しいねえ。俺の行くところは兄貴の行くところだ。俺も当然ついていくぜ」

  と言って、笑った。

  「おいおい、俺様のこと忘れてねえか?」

  放ったらかしにされたウルフィーが非難の声を上げる。

  「いや、忘れてたわけじゃないよ。さて、じゃあ、こんなところからはさっさと退散しよう」

  ウルフィーが俺にまとわりつき、俺たちは再び一体化する。

  「そうだ。この子どもたちも連れて行かないと」

  俺は牢屋を破壊して、囚われていた数十人の子どもたちを解放した。

  「兄貴、こいつら全員連れて行くのか? 見つかっちまうぜ?」

  ベイルタイガーが懸念を示す。

  「かと言って、置いていくわけにもいかないだろ? 俺たち二人ならやれるさ」

  『俺様もいるぜ? 俺様の力が必要だろ?』

  ウルフィーが脳内に直接語りかけてくる。

  「そうだな。頼りにしてるよ、ウルフィー」

  『おうよ、任せとけ』

  そして、俺たち一行は施設の外を目指す。

  

  

  俺たちは命からがら施設から抜け出すことに成功した。

  子どもたちはみんな嬉しそうにそれぞれの家へと帰っていった。

  俺は今、ウルフィーを着て、夜の高層ビルの屋上で寝そべりながら、不規則に明滅する街の明かりを眺めていた。。

  ベイルタイガーは付近を調べてくると言って、今は近くにはおらず、月光だけが俺たちを淡く照らし出している。

  風は冷たいようだが、ウルフィーを着ているので寒くは感じない。

  「なあ」

  俺はウルフィーに声をかける。

  『なんだ?』

  「これで、ウルフィーは自由だな」

  『そうだな』

  「ウルフィーはこれからどうするんだ?」

  『お前こそどうするんだよ』

  「俺は弟の記憶を取り戻して、一緒に人間に戻るつもりだ。弟が組織の他の施設の場所を知ってるから、人間に戻る手がかりを探しに忍び込んでみる」

  『お前、まだトカゲ怪人としての力を取り戻してないんだろ。大丈夫なのかよ』

  「まあ、確かに大丈夫じゃないな……。今の俺じゃ、弟の足手まといにしかならないか……」

  『はぁー。しゃーねーな。俺様が力を貸してやるよ』

  「えっ、いいのか? せっかく自由の身になったのに?」

  『自由になったって、俺様みたいな化け物には、この世界に居場所なんてねえよ。それに、どうせ俺様には宿主が必要だしな。あと、お前の精子は美味いし』

  そう言って、ウルフィーは勝手に腕を動かして、俺のちんこを掴んだ。

  「お、おいっ」

  急に股間を掴まれて、俺は驚いた。

  『いいだろ? 俺様もかなりエネルギーを消費しちまったしな。補充させてくれよ』

  ウルフィーは俺のちんこを掴んで優しく上下に擦り上げる。

  おれのちんこはムクムクと起き上がり、嬉しそうに先走り汁を垂れ流した。

  『ああ、たまんねえ♥ ちんこって、凄い気持ちいいのな』

  感覚を共有しているウルフィーが夢中になって、俺のちんこをいじりだす。

  俺はウルフィーにされるがままに全身をいじられ、全身を突き抜ける快楽に支配されながら、大量の精子をウルフィーの中で吐き出した。