外伝2話

  血が分かつ関係と言うものは、この世のどの様なものにも例えられないものらしい。

  アタシは兄のことが、好きだった。

  肉親として敬愛する兄としては勿論、異性として好意を抱いていたのである。

  と言っても、そこまで拗れた感情があるわけではなくて、どちらかといえば『性愛』とか言うよりは、もっと穏やかなものだったと思う。

  実際のところ、兄貴はシスコンなりにその事に気が付きながらも、アタシには努めて普通に接してくれてたし。

  それに、この感情が滅茶苦茶に破壊されるイベントがすぐにやってきたのも、ある意味では幸いだったのだろう。

  兄貴が突然連れてきた恋人は、小さく可愛らしくて、アタシもよく知る兄貴の友人で、オトコの人だった。

  オカルトめいた趣味をしたアタシの同級生が原因だったとの事だけど、脳が混乱して上手く理解できなかったというのが正直なところで。

  兄貴のこと、アタシは何にも分かって無かったのだなって思った反面、自分勝手な寂しさを感じている自分が嫌になった瞬間でもあったように思う。

  ──そうこうしているうちに、兄貴の恋人が妊娠した。

  事実、少しずつ大きくなっていくそのお腹を見守って行ったからこそアタシには分かるが、信じられる話ではないだろう。

  非現実的過ぎて頭が変になりそうだったけれど、元よりヘンなのはアタシも同じなので諦めることにした。

  お腹の中で蹴る感触を頬で感じたら、不思議な安心感を覚えたものだっけ。

  ──大きくて立派な、女の子が産まれた。

  世界初、男性の出産に立ち会うという稀有な体験をする事になったけど、そんな事は特に気にしなかった。

  抱かせて貰ったら、とても重かったことを記憶している。

  赤ちゃんの匂いってやつなの?なんとも言えないいい匂いがした。

  「ママ似だね」

  って言ってみたら、その言葉に反応したのかぎゅっと指を握られた。

  凄く温かい。人の温かさを感じるというのはこんな風なんだと、どこか他人事のように考えていたっけ……。

  それから十数年。

  アタシはひとり暮らしをしながらそこそこ名の知れたところに就職して、『そこそこ』な生活を送っていた。

  あれだけ打ち込んでいた陸上競技は高校で辞めてしまったけど、仕事の傍らジムに通ったり体力作りの為にランニングしたりなんかしていて、毎日健康的。

  今でも10代半ばに間違えられるのは社会人になってからもずっと変わらない悩みだが、それももう慣れっこになってしまった。

  今の生活に不満は無いし、これから先どうなるのか想像出来ないくらい平凡で平穏な日々を噛み締めながら過ごしていると思う。

  寂しいとは思わない。時折、というよりはしょっちゅう。

  アタシの巣には家出娘が訪れて来る事がある。

  「陽菜叔母さんー!」

  ほれみろ。早速お呼びがかかったみたいだ。

  自転車を停める音と同時に、元気いっぱいな声。

  ラフな格好のままに玄関を開けると、見上げるくらい大きな女の子が立っていた。

  元気と健康さがはち切れんばかり、といった表現がぴったりだろう。

  黒々した天然パーマのショートヘアに、小麦色の肌。

  いつも満面の笑みを絶やさないその顔はどこかあどけなさを残しているが、成長を続ける身体は不釣り合いなほど女性らしくて、アタシでもちょっとクラつくくらいの美人さん。

  「いらっしゃい」と、アタシは笑顔で彼女を迎えた。

  「えへへ、お邪魔します!」

  ぺこりと頭を下げてから、彼女は玄関を潜る。

  靴を脱ぐ前に、彼女の視線はアタシの顔をじっと眺めていて、アタシは「ん?」と首を傾げる。

  すると、彼女は少し恥ずかしそうにしながら「叔母さん、わたし以外の人が来てもそのカッコで出迎えない方がいいと思うな……」と呟く。

  「どうせ姪っ子しか来ないんだし、別にいいでしょ。ジムでだってこんなんだし、アタシとしては葵ちゃんの格好の方が……」

  制服のシャツはパツパツで、スカートの丈なんて今にも見えちゃいそう。

  汗でキャミソールが張り付いた身体は、どこもかしこも柔らかそうだ。

  目のやり場に困るのはアタシだって一緒だ。

  「……葵ちゃんがこんなお胸とお尻してなかったら、姪っ子じゃなかったら襲ってたかもね♪」

  冗談めかしてそう言って見せる。

  「もう、陽菜叔母さんったら……そんな事ばっかり言ってぇ〜!」

  背中をバシバシと叩かれながら、アタシはいつものリビングへと姪っ子を案内した。

  変わり映えのない、独り暮らしには少し広いくらいの部屋に、ちょこん。と座る姪っ子は、まるでお人形さんみたいだ。

  「あのさぁ葵ちゃん、アタシが言う事じゃないだろうけど」

  「……な、なんでしょか?」

  ちょっとだけ真顔になって見つめるアタシにたじろぐように、彼女は目をぱちくりさせている。

  目を惹かない方がおかしいくらいの美少女。

  切れ長い瞳を冷たく感じさせない大きな目に、小さな鼻と口。

  まつ毛も凄く長いし、唇だってぷるっと潤っている。

  “ママ”譲りの中性的に整っている顔立ちは、この若さで完成されてしまっている様。

  そこに父親譲りなのか発育の進んだボディ

  ラインが加わって、正に目の毒。

  最近二次性徴期が来たのか、我儘なまでに成熟したその身体に、アタシは目を奪われることが少なくない。

  「葵ちゃんさぁ……もうちょーっと自覚した方がいいよ?」

  心配に心配が重なり、そう呟く。

  苦労が絶えないのもありそうだけれど、こんな危うい子を放っておいたら良からぬ虫がついてしまいそう。

  汗まで甘い、その匂いに誘われるがままに。

  変な気が起きないのが不思議なくらいの美少女を前に、アタシはしばし考える。

  この悪魔的な魅力を彼女が自覚して、それを笠に着て悪いことでもし始めたら……。

  あまりにも危険過ぎる。

  アタシの心配をよそに、彼女はきょとんとしている。

  「な……なにを、ですか?」

  その無垢な表情を見て、アタシは「ううん、なんでも。それより」と話を変えた。

  「今日はどしたのさ?急に来たからびっくりしちゃったよ」

  そう聞くと、彼女は少し神妙な面持ちになる。

  あどけなさの中に大人びた色っぽさが混ざって、年甲斐も無くドキリとしてしまう。

  彼女はそんなアタシの想いを知ってか知らずか、すぅーっと息を吸い込んでから言った。

  「ただ、陽菜叔母さんに会いに来たの。ちょっとだけ、お話したくて。いつも通りに、ね」

  「そっか。じゃあ、いつも通りに……ね?」

  そう言ってアタシは、冷蔵庫から麦茶をふたつ取り出してテーブルに置いた。

  いくら家が大きくたって男世帯。プライベートも乏しければ溜まるストレスも多かろう。

  避難所としてアタシの家が機能しているのなら、それはとても嬉しい事。

  「ありがと」と、麦茶を受け取った彼女は、そのコップに口を付けながら話を始めた。

  「最近ね?わたし、変なの」

  「変?」

  「うん。なんか……身体がヘンで……」

  そう言って彼女は自分の胸に手を当てる。

  「前にも言ったでしょ?最近まわりのみんな……特に男の子がね、わたしのことじろじろ見るの。女の子までおんなじような目で見てくるし、わたし……もうどうしたらいいか……」

  「あ、ああ。うん」

  葵ちゃんは頭からツノもしっぽも生えてない、普通の人間に見える。

  見目の造形は単純な遺伝の賜物でしかないわけだけれど、たしかに最近の彼女の成長ぶりには目を見張るものがある。

  それに、アタシも人のことは言えないし……。

  「だ、大丈夫なの?何かされたりしてない?」

  「……うん……まぁ……」

  歯切れの悪い答えが気になって詳しく聞くと、どうやら最近男女問わず妙に付きまとわれているようだった。

  「お……男の子に、一緒に帰ろうとか。あそぼーよ、って。わたしまだ部活で練習あるし……」

  「う、うん」

  「女の子はね、もっと怖いの。着替えてる時見られるのはともかくね、その……トイレで……」

  「トイレ?」

  「……うん、その……一緒におしっこ行こうって……誘われても、『先出てて』って言われるし……」

  「うん」

  「汗拭いたタオルとか無くなっても新品と入れ替えてあったりするし……」

  「うん」

  「あ、あと……その、ね。わたし、そんなつもりないのに……『葵ちゃんならいい』って。みんな言うの。断ったら大人しくなるけど、また次の日に同じ事言うし……」

  「う、うん」

  「わたし、そんなつもりないのに。ただみんなと仲良くなりたいだけなのに。ようやく、いじめられたりからかわれなくはなってたのに、今度は……その……」

  「……葵ちゃん」アタシは彼女の言葉を遮る。「もう、いいよ。分かったから。それ以上言わなくていい」

  そう言って、彼女の頭を優しく撫でてあげた。

  男性同士から産まれた世界初、の赤ちゃん。

  人類の想定外の生き物は、この世の理なんてお構いなしに誕生し、そして成長していた。

  好奇の目に晒され、あらぬ言葉を浴びせられながら。

  研究に投資しバックである花山院のお膝元で暮らしていてこうなのだから、そのストレスは想像に難くない。

  繊細な彼女がよく泣きついたのは彼女のママではなくアタシだったし、そんな彼女をアタシが慰めるのも日常茶飯事。

  悪い気はしなかった。母親ごっこに、何処か兄の面影も相まってアタシの溜飲も下がるところもあった訳だし。

  「……ごめん」

  「ん?」

  急に謝る彼女に、アタシは首を傾げる。

  「陽菜叔母さんに話したらスッキリするかなって思ってさ。わたし子供だよね」

  「ううん、そんな事ない。葵ちゃんの気持ちも分かるよ。大人を頼るのは子供の特権でしょ?」

  「頼られて悪い気はしないよ。幸さんすっ飛ばしちゃったのはアレだけど」

  連絡はよく取り合ってる。

  幸さん。葵ちゃんのママとはアタシも長い付き合い。

  葵ちゃんがアタシを頼ったのも、きっと幸さんの影響だろう。

  「でもさ、わたし、どうしたらいいかな……。今のクラスの友達だって、わたしが虐められたりヘンなこと言われたら守ってくれて、だからわたし、友達のこと大好きだけど……」

  陰で、そう言った『時代に即した』教育がされた上で彼女の周りを取り巻く人間達のチョイスが為されているのは違いないだろう。

  しかし、アタシが昔に幸さんから感じた、頭がぽぉっとするような『匂い』。まさにフェロモンのような、人を惹きつけて止まない『何か』の遺伝が受け継がれていると思う他ない。

  その対象が彼女のクラス、いやもしかしたら学年全体かもしれない、とまで考えると……。

  アタシが最近葵ちゃんの前で薄着だったり身体の火照りが隠し切れないのも、そういう訳なのだろうか。

  「葵ちゃんはどうしたい?周りの人達のこと」

  聞くと、彼女は「わかんない……」と言って少し目を伏せる。

  「でも、わたし……みんなと仲良くしたい。友達のこと大好きでいたい」

  「そっか」

  アタシが彼女の頭をぽんぽんと撫でると、彼女は少しくすぐったそうにした。

  そんな様子に思わず笑みが溢れながら、アタシは続ける。

  「葵ちゃんが素直で良い子なのはよく知ってるよ。でも、その素直さで葵ちゃんが辛い思いをするの、アタシも悲しいな」

  「陽菜さん……」

  うるっと涙目でアタシを見る彼女に、そっと告げる。

  「お盆はアタシも休みだし、女ふたり水入らずで羽伸ばそうか」

  「えっ!?」

  驚いたような顔をする彼女に、アタシは続ける。

  「葵ちゃんさえ良ければ、だけど。陸上部も休みなんでしょ?」

  「は、はいっ!全然大丈夫っ!」

  わたわたと手を動かしながら言う彼女は可愛らしくて、つい揶揄いたくなってしまう。

  「そかそか〜?葵ちゃん、アタシとふたりきりでお泊り会なんてして、大丈夫なの〜?ん?」

  「昔っからしてるし、今更だよ〜っ」

  ぷぅーっと頬を膨らませる彼女。

  そんな様子も、アタシにとっては愛おしい。

  「じゃあ、決まりだね」

  本当は、幸さんからも「お願い」と頼まれてはいるのだけれど、それはまあ言わないでおいた。

  「陽菜さん?」

  ふと、彼女がアタシの顔を覗き込む。

  何かマズいこと考えてた?と言いたげな表情だ。

  「葵ちゃんってホントに可愛いなぁ〜って思っただけー!」

  そう言うと、彼女の膨らんだ頬を指でつついて空気を抜いてやった。

  ぷひゅっと音を立てた頬を押さえながら、彼女は言う。

  「陽菜さんったら……わたしの事、ほんと子供扱いするんだから……」

  拗ねたような口振りでそう言いながらも、その表情はどこか嬉しそうだ。

  子供の成長が早いのは理解しているつもりだけど、葵ちゃんは本当に見ていて飽きない子だ。

  「今日はさ、ゆっくりしようね」

  「大人っぽくさ」

  そう声をかけると、彼女ははにかみながら頷いた。

  ☆☆☆

  物静かなだけの四角い空間も、彼女が居れば途端に華やいで見える。

  「陽菜さん」

  「ん〜?」

  「わたし、お料理するね。何かリクエストある?」

  エプロンのリボンをキュッと結びながら、彼女は言った。

  アタシはううん、と首を振ってから、悪戯っぽく付け足す。

  「通い妻、ってカンジで良いね。葵ちゃんのエプロン姿は」

  「……もう、バカにしてるでしょ?パパが忙しい時はわたしだってお料理くらいするし」

  少し恥ずかしそうにしながら、彼女は慣れた手付きで包丁を操っている。

  台所からは、トントンと心地良い音。

  「何か手伝おうか?」

  そう訊ねると、彼女は微笑みながら首を振る。

  「ううん、大丈夫。陽菜さんは寛いでてよ。料理は冷蔵庫にあるやつで適当だけど」

  少しして、アタシの目の前には美味しそうな料理が並んでいた。

  兄貴譲りだなあ、なんてしみじみ思う。

  アタシは料理がからっきしで、こうやって誰かに作って貰うまでろくにキッチンすら使えていなかったから。

  「いっつもありがとね、葵ちゃん。

  アタシ、葵ちゃんの手料理が1番好きだよ」

  「え?や、やめてよもぉ!揶揄わないでってば!」

  ふいーっとそっぽを向く彼女を微笑ましく思いながら、アタシは並んだ食事に手を合わせる。

  「いただきます」と呟くと、彼女はまだ少し赤らむ顔のまま「召し上がれ」と呟いた。

  アタシは、彼女の手料理が大好きだった。

  葵ちゃんを妹のように、娘にように可愛がっているのも確かだけど、それ以上に……。

  (兄貴の味、だもんね。これ……)

  当たり前だ。兄貴の料理はアタシが1番よく知ってる。

  そんな大好きで仕方の無い手ずからの味がアタシだけの為だけに振る舞われているのは、正直言って優越感が凄い。

  「陽菜さん、お味はいかがですか……?」

  少し心配そうにアタシを見つめる葵ちゃんを安心させるように、アタシは笑って答える。

  「美味しいよ。100点満点中の100点。アタシはね、葵ちゃんの料理が世界で1番好き」

  そう告げると彼女は「えへへ……ありがと……」と照れたように笑った。

  「……パパのよりも?なんて……えへへ、冗談」

  少しして、彼女は悪戯っぽく笑いながら言う。

  目ざとさは、きっと幸さん譲り。

  「最近は葵ちゃんの料理の方がよっぽど食べてるからね。分かんない」

  「もぉ〜陽菜さんったら!……でも、わたしもパパに料理習ってて良かったな。……だって、好きな人の好きな味は知っておきたいもん」

  少し照れるように笑う彼女に、アタシはドキッとする。

  「……そだね。葵ちゃんのそういうところ、手強いなぁ」

  アタシの、葵ちゃんへの気持ちも。

  ☆☆☆

  食事を終えて、2人で後片付けをする。

  「陽菜さん、お皿拭くから流しに置いといてくれる?」

  そう言って彼女は布巾をアタシに渡すと、自分は食器洗いを始めた。

  「おっけ」

  アタシは生返事をしながら、洗い終えた食器を流しの隅にまとめ上げていく。。

  黙々とした作業分担。

  アタシは手を動かしながら、チラチラと葵ちゃんを見やる。

  彼女は食器を拭き終わったあとのお皿を水切りカゴに置いていく最中。

  流しでの水の音がBGMとなって、2人きりの空間をより良いものに演出していた。

  「お風呂沸いてるから先に入ってくれてもいいのに」

  「いやいや、家主差し置いて先なんて入れないよお〜。……それともわたし、汗臭かった?」

  葵ちゃんの声のトーンが少し落ちる。

  「いや、そんなことないって!めっちゃいい匂いするから!ほら、シャンプーとかのさ」

  シャンプーの香りは仄かには残っているけれど、それを塗りつぶしてなお有り余る甘い蠱惑的な香り。

  自分からはあんまりしなくなってきたラクトン臭とはまた違う、葵ちゃんの匂い。

  汗に混じって効力を増すのは香水となんら変わらないけど、この破壊力。

  無自覚に振り撒かれるそれは、直に鼻腔で嗅がなくても脳を揺さぶる。

  「……ほんと?」

  「うん、嘘じゃないって。葵ちゃんからはいつもいい匂いする。アタシ鼻いいし」

  シャツの襟元を掴んでくんくんと匂いを嗅ぐ。

  ノックアウト寸前の理性を総動員させて、アタシは彼女を褒めた。

  「あ、ありがと……そう言ってもらえて嬉しいな」

  顔を真っ赤にして照れる彼女を見ていると、いよいよアタシも歯止めが効かなくなりそう。

  「あ、あの……陽菜さん?」

  そんなアタシの葛藤を知って知らずか、彼女は上から見下ろしつつも上目遣いでアタシに訊ねる。

  「どーしたの?葵ちゃん」

  「えっとね、その……背中流してあげてもいいよ?」

  思わず彼女の身体に目を滑らせてしまう。

  そんなアタシの視線の意味を分かってか分からずか、彼女はさらに言葉を続ける。

  「陽菜さん、最近お仕事とかで疲れてるみたいだし……その、力になりたいなーって」

  スキンシップがもっと欲しい、甘えたい。きっと、子供らしい純粋な気持ち。

  アタシと違って邪な気持ちなんか微塵も無くて、ただ単純に疲れを癒やしてあげたくてそう言っている。

  「……それならお言葉に甘えちゃおうかな」

  口が滑る、とはこういう事を言うんだろう。

  最後のコップを水切りカゴに入れて、蛇口をキュッと締める。

  「え、えへへ……やった」

  シンクの前で照れながら微笑む彼女に、思わず胸が締め付けられる。

  『誰にも渡したく無い』、そんな独占欲にも似た感情。

  彼女の身体に染み付いた媚毒の匂いがそうさせるのか、或いはアタシ自身が感じ取った本能の警告か。

  そんな思考を振り払うように、軽く頭を振る。

  「じゃあ、一緒に入ろっか」

  そう言ってアタシは彼女の手を取る。

  「うん!えへへ……陽菜叔母さんとお風呂……」

  少し恥ずかしそうにしながらも、彼女はどこか嬉しそうだった。

  ☆☆☆

  アタシの凹凸のない身体とまるで正反対な、葵ちゃんの身体。

  彼女と同じ歳には成長なんて止まって久しかったアタシにとっては、異次元のような……理想のような身体がそこにある。

  長い手足は実用的な筋肉に引き締められつつも、柔らかな皮下脂肪のお陰で女性らしい丸みも兼ね備えていて。

  お尻なんて、アタシが両手で抱えきれないくらいに大きい。

  スカートを押し上げるヒップのライン。

  キュッと括れたウエストに、悩ましげな腰のくびれ。

  窮屈そうなシャツのボタンがぷつぷつと外れていくのは、まるでプレゼントの包装を丁寧に解いていくような高揚感がある。

  「あ、あの……陽菜さん?そんな見られると恥ずかしい……」

  そんな葵ちゃんの言葉も聞こえないくらいにアタシの視線は釘付けだった。

  「ご、ごめん。あんまりにも綺麗でさ」

  キャミソールを脱いだ彼女の上半身が露わになる。

  シンプルなデザインのブラジャーに、守られて尚聳える山脈のような双丘。その先端はぷっくりとして、アタシの視線を釘付けにするには充分だった。

  大きく息を吐くように、アタシは生唾を飲み込む。

  「……そんなに見ないでよぅ……」

  「ご、ごめん……ほんと綺麗な身体だからさ」

  下着姿になった彼女が背中に手を伸ばしてブラのホックを外すと、形を保っていた双丘がぷるんっと揺れながらまろび出る。

  若さか、それとも別の何かか、肌色は淡く桜色で乳頭も綺麗な薄桃色。

  少しツンと上向きの乳房は、彼女の動きに合わせてふるふると揺れている。

  どうやったってアタシには手に入れられない理想的な身体がそこにはあった。

  その差が、アタシの理性をジリジリと焼き切っていく。

  「綺麗だよ……葵ちゃん」

  思わず手が伸びそうになるが、なんとかアタシはこらえる。

  すると彼女は少し拗ねたように口を尖らせた。

  「……陽菜さんも綺麗じゃん」

  そう言うと彼女はおもむろにキャミソールを捲り上げてきた。その下にあったのは

  、少し瘦せこけたスレンダーな身体。

  肋骨の浮き出た腹回りにくびれの無い腰つき。骨盤は幅が広く、お尻には肉の余分は無い。

  そんなアタシの身体を見ると、葵ちゃんは少しだけ微笑んだ。

  「……綺麗じゃないって言いたいの?」

  「違うよ」

  自分の腹やら尻やらの肉を摘みながら、アタシは彼女に言う。

  「陽菜叔母さんに憧れて陸上やってんだから。知ってるもん」

  「頑張ってるもんね、葵ちゃん」

  そう言って頭を撫でると、彼女は少し顔を赤くして微笑んだ。

  この間もタイムで言えば大人の記録だって塗り替えている。

  身体的、遺伝的、その出生の特殊さを鑑みて、公式の大会に出る事は出来ないけれど。

  それでもこんなに日焼けして、髪を汗で濡らして毎日頑張る葵ちゃんを見ていればそれがただの身体的特徴やホルモンやらの一言で片付けられる事じゃないのは、よくわかるし誰だって応援したくなる。

  「……ありがと。でも、あははっ、くすぐったいよ陽菜さん……」

  そんな葵ちゃんをアタシはぎゅっと抱きしめた。

  「あ、あの……陽菜さん……?」

  悔しい想いをさせてごめんね。

  そんな気持ちは胸の内にしまって、今はただ温もりを共有していたかった。

  「……どうしたの?陽菜さん」

  「ううん、なんでもないよ」

  アタシがそう答えると、彼女はまた声を上擦らせて言う。

  「な、なんでもなかったら抱き締めないでしょ……」

  アタシの身長だと胸に顔を埋める形になるけれど、お構い無しにアタシは彼女を抱き締め続ける。

  葵ちゃんが小学生の頃にはとうに抜かされた身長は、今じゃもう頭2つ分以上違う。

  抱いてあやしてあげていた頃が懐かしい。

  急激に湧き出た母性でなんとか堪えて、抱き締めまでしてしまったが、直に肌から彼女の香りや熱を感じて限界を迎えそうになる。

  アタシが男なら、このまま押し倒して求め合うのにな。

  そんな最低な考えをしながらぴったりくっつけあった身体。葵ちゃんのお胎のあたりがどくん、と脈打つのを感じて、アタシはびっくりして彼女から離れる。

  勘違い、だろうか。

  「葵ちゃん」

  「……うん?」

  少し潤んだ瞳で見つめてくれる彼女に、アタシは自分でもびっくりするくらいに優しい声で語りかける。

  「そ、そろそろお風呂入ろっか」

  「う、うん?」

  心臓に悪い。本当に悪すぎる。

  どうかしてしまう前に、アタシは葵ちゃんに背を向けた。

  ☆☆☆

  「わぁ……」

  ちゃぷんと湯船に身体を沈める葵ちゃん。

  広めの浴槽でも2人ではいるには少し狭いようで、アタシ達は向かい合わせで座る。

  親子のような、恋人同士のような。

  ただ愛しさだけで互いを求め合うような空気感がそこにはあった。

  「ウチにもお風呂がもう一個欲しいよぉ

  ……」

  そんな事を言いながら、彼女は肩まで湯に浸かる。

  アタシもそれに倣うようにして、身体を湯船に預けた。

  「大所帯だと大変だよねえ、ゆっくりする時間もないし……」

  「そーそー、わたしが一番最初に入るから後がつかえちゃって、いつもバタバタしちゃうし、羨ましいなぁひとりでゆっくり入れるの……」

  そこまで言って、ふと葵ちゃんはアタシに向き直る。

  「陽菜さん」

  「ん?どした?」

  「お背中、流してもいいですか?」

  「……へ?」

  思わず変な声が出てしまう。

  「だって初めっからそのつもりでお風呂一緒に入ろうって言ってオッケー貰ったんだし、違う?」

  「そ、そうだけど……」

  まるで年長者に対する態度とは違う、小悪魔のような微笑み。

  アタシは彼女のそんな表情に弱い。

  「……じゃあ、おねがーい」

  「うん!任せて!」

  そう言って彼女は浴槽を跨ぎ、洗い場へと出る。

  バスチェアを傅くように置いて、座面をぽんぽんと叩く。

  「ここ座って、陽菜さん」

  アタシがちょこんと座ると、彼女はふふっと笑った。

  「え?なに?」

  「ううん、なんでも……えへへ」

  そう言うと葵ちゃんは鏡の棚からボディーソープを掌に取って泡立て始める。

  鏡に映った自分たちを見れば、完全に葵ちゃんがお姉さんでアタシが子供だ。

  「お客さん、痒い所はありませんか?」

  泡を纏った彼女の手が背中を滑っていく感覚がくすぐったい。

  まるでマッサージみたいに気持ちがいいけれど、少し手の動きがいやらしくないだろうか。

  くすぐったいというか痒いというか、手先が触れた箇所がピリリとする。

  爪が少し伸びているのだろう。

  「ちょっと背中がくすぐったいけど、気持ちい〜い♪」

  「えへへ、良かった」

  彼女はそのまま手を滑らせてアタシの背中を泡まみれにしていく。

  「陽菜さんの肌ってすべすべで綺麗だよね」と彼女が言う。

  「そう?こんなおばさんの肌、若い葵ちゃんみたいに綺麗なわけじゃないよ?」

  「そんな事ないって。陽菜叔母さんさんこそもっと自分の事自信持ってよ。それとも……『叔母さん』って呼ばれるの、嫌?」

  「いや、それは……そんなことも、ないけど……」

  20代で音だけでも『おばさん』は精神的にキツイものがある、けど。

  「わたしだって『陽菜さん』とか『陽菜ちゃん』って呼びたいし、なんならお姉ちゃん、とかでも良いんだけど……」

  「……葵ちゃん」

  「うん?」

  「それはちょっと……恥ずかしいかな」

  「そっか。じゃあ『陽菜叔母さん』のままでいいや。わたしはそっちの方がしっくりくるし♪」

  彼女はそう言うと、また手を動かす。

  腰から肩甲骨の辺りに手が置かれて、ぐい〜っと親指で押される。

  少し強いくらいの力加減に思わず声が出る。

  「んっ……」

  「あ、痛かった?」

  「ううん、気持ちいいくらい」

  彼女はほっと胸をなでおろして、また手を動かし始めた。

  アタシも大人だからそれくらい分かる。これは子供の親にしてくれるマッサージのようなものだ。

  腋の近くから、肩まで。

  リンパが滞っているであろう所を重点的に解されると、電気が走ったような快感が走る。

  「んぁ……」と思わず声を漏らせば、彼女は少し訝しげにこっちを見ている。

  「……陽菜さん」

  「あ、えっと……ごめん」

  手付きがどこか艶かしいせいで変な声が出てしまったのだけれど、それを彼女に言うのは流石に躊躇われる。

  「続けて……いいから」

  「う、うん……」

  葵ちゃんは戸惑ったように言うと、少しづつ手を滑らせていく。

  まるでお医者さんごっこをしてるみたい。アタシが患者役で、葵ちゃんが先生役。

  昔っから、健康そのものではあったけど産まれの特殊さから病院で検査をしてもらう事が多かった葵ちゃん的には興味のあるところもあったのかも知れないけど。

  『ママよりおっぱいちいさいね』なんて無邪気な小悪魔に揶揄われたりしてたっけ。

  「んっ……」

  また声が漏れてしまう。

  今度は葵ちゃんも見逃さなかったようで、アタシの顔を覗き込むようにして言った。

  「陽菜さん……その、変な声出すのやめてよ……なんかえっちだよ?」

  「ご、ごめん。疲れが溜まってるのかも……自分でマッサージするより、気持ちいいし……」

  「そ、そっか。それなら良いんだけど……わたしの触り方、ヘン?だった?」

  「ううん。葵ちゃんの触り方は、すごく優しいよ」

  「……良かったぁ……えへへ」と安心したように笑う彼女を見てると、アタシも思わず笑顔になってしまう。

  そんなやり取りをしている間も、彼女の手は止まらない。

  肩や首のリンパを流して、鎖骨周りから遂には胸へと手が伸びる。

  「あ、葵ちゃん……流石にそれは」

  「?洗うだけだよ?」

  真っ平らな胸板を撫でて、泡を塗り広げる。

  「んっ……」

  彼女の柔らかな手に触れられたところが熱を帯びたみたいに熱い。

  じわ〜っと広がるような痺れと快感が身体を駆け巡る。

  鏡に写った自分の顔は蕩けていて……それが余計に羞恥心を煽る。

  乳首がピンと立ってしまっているのが見なくても分かってしまう。

  バレてたらどうしよう。

  「陽菜さん、どうしたの?」

  「……なんでもない」

  彼女は少し訝しげにアタシを見てから、また手を動かし始める。

  「んっ……あ……」

  思わず漏れてしまう声を必死に抑えて、鏡越しに彼女を見る。

  彼女の表情はいつもと変わらずにこやかで、ただただアタシの身体を洗ってるだけなのに。

  その指先は、まるで別のもののように感じてしまう。

  タコが這い回ってるみたいな、ねっとりとした動き。

  指先が吸い付いてくるような感覚に思わず身を捩る。

  「ぁ……んぅ……」

  ゆっくりと、皮膚の薄い脇腹を撫で上げられる。

  アタシはそのもどかしい快感に小さく声を上げた。

  ぞわっとした感覚が身体を襲う。

  「ん……ふぅ……」

  彼女はただ身体を洗ってくれているだけ、そう言い聞かせても身体は反応してしまう。

  臍の周り、下腹。

  擽ったいような感覚が一気に、性的興奮に似た感覚へと変わっていく。

  低周波治療器に似た微弱な刺激が、アタシの脳を蕩けさせていった。

  まずいまずいまずい。

  「葵ちゃん……やっぱりちょっと……」

  そう言ってアタシが立ち上がろうとすると、ぐっと肩を掴まれる。

  「だ〜め♪ちゃんと綺麗にしないとね?」

  「あ、葵ちゃ……」

  「ほらぁ、まだ終わってないよぉ?こっち向いて?」

  「う……うん……」

  ダメだ、なのに言われるがままに身体の向きを変える。

  膝をついて座る彼女に向き合うようにして座ると、彼女はにっこりと微笑んだ。

  「えへへ、こっちの方が洗いやすいかも」

  そう言うと彼女はまた手を動かし始める。

  太腿から膝を通ってふくらはぎまで泡を伸ばして行きながら、ゆっくりと足の裏へと彼女の手は伸びていく。

  足の甲を優しく掴まれ、指を一本ずつ丁寧に洗われる。

  指の間をくすぐるように彼女の指先が通っていく。

  まるで慈しむような手付きはアタシの興奮を一気に昂ぶらせる。

  「うぁ……ふぁっ……」

  足の指の付け根あたりまでもみほぐされながら泡まみれにされていくと、アタシはもういられなかった。

  「陽菜さん……気持ちいい?どうしたの?」

  心配そうな瞳がこちらを覗き込む。

  その間も、彼女の手は止まらない。

  足の裏をマッサージするみたいにして、土踏まずの辺りをぐりっと刺激されると思わず腰が跳ねてしまう。

  「あ、葵ちゃんっ……そこ、だめぇっ」

  「ここ?」

  彼女はアタシの静止も聞かずに土踏まずをぐりっと押し込んだ。

  「ひぅっ!?」

  思わず声が出る。

  まるで神経を直接撫でられているかのような感覚。

  足の裏から伝わる快感が身体中を駆け巡り、頭が真っ白になる。

  「足のツボってすっごい効くんだよ?こことか、どう?」

  「ああぁっ!」と思わず大きな声が出てしまう。

  まるで脳天に雷が落ちたみたいな衝撃。

  目の前がチカチカして、何も考えられないくらいに気持ちいい。

  「陽菜叔母さん疲れが溜まってるみたいだから、ちゃんと解さないとね〜♪」

  そう言って彼女はどんどんと手を進めていく。

  親指の付け根の辺りをぐにっと揉み込まれると声が抑えられなくなるほど気持ちがいい。

  あくまでマッサージをしてくれているだけ。

  そう自分に言い聞かせるが、彼女の指先はアタシの身体を蹂躙していく。

  足の裏からふくらはぎを揉みほぐされながら、太腿の付け根まで手が伸びると思わず腰が引けてしまう。

  「あっ……」

  しかし、彼女はそれを許さないとばかりに腰に手を回されて引き寄せられた。

  「どしたの?陽菜叔母さん」

  「葵ちゃん……そこは自分です、るから……」

  おかしくなりそうな快感に耐えながら、何とか言葉を絞り出す。

  ぬらつくぐらい濡れてしまっているだろう秘部に触れられる事だけは避けたかった。

  ぶーっと不満そうに頬を膨らませる葵ちゃんをなだめながら、アタシはなんとか反対を向いてアソコを見られないようにする。

  「も〜……陽菜叔母さんったら、恥ずかしがって」

  彼女はそう言ってアタシを後ろから抱きしめるようにして、手を這わせる。

  背中に当たる柔らかな膨らみと、お腹の辺りに触れる彼女の小さな手がこそばゆい。

  「ちょ……葵ちゃんっ」

  「陽菜叔母さんの、全身ちっちゃい女の子みたいでキレイだね。可愛くていいなあ……」

  後ろから抱きつくようにして、彼女はアタシの身体に泡を塗っていく。

  「わたしなんて……ほら」

  そう言って、彼女は自らの手で胸を下から持ち上げる。

  ぷるんっと揺れた胸が鏡に写って見えてドキッとした。

  そんなアタシの視線に気づいていないのか、それとも気づいていてワザと見せつけているのか、彼女は艶めかしい動きで身体を擦り付けてくる。

  「重ったいし、肩凝るしさ……いいなぁ」

  アタシの何にもない胸を掠めるように、彼女の指先が身体に触れる。

  硬くなった乳頭を指が掠めた瞬間、アタシは「ひゃんっ」と情けない声を上げてしまった。

  慌てて口を塞ぐがもう遅い。彼女は不思議そうな顔でこっちを見てくる。

  「……どうしたの?」

  「な……なんでもないよ……ごめんね、びっくりさせちゃって」

  どうやら今のは単なる事故らしい。

  アタシがホッと胸を撫で下ろしていると、葵ちゃんは胸を背中に押し付けたまま甘えるようにお腹を撫で回して来る。

  「ん〜……やっぱり、ツルツルでスベスベ……羨ましいなぁ……」

  「あ、葵ちゃんっ、くすぐったいよ」

  彼女の指先はアタシのおへその下あたりから鼠蹊部までをゆっくりと往復する。

  ぞわっとした感覚と共に、身体の奥から何かが溢れ出すような感覚に襲われる。

  「ここもツルツルだし♪……剃ってないよね?陽菜叔母さん?」

  「そ、剃ってないっ!毛がなくって、悪かったねっ」

  コンプレックスの1つでもある毛のないアソコは、アタシにとってはあまり人に見られたくない場所だった。

  かなり、丸見えだし……。

  「そんなことないよ?こんな可愛いの、他の人には絶対見せちゃダメだよ?」

  そう言いながら彼女はシャワーでアタシの全身の泡を流していく。

  羞恥で肩まで真っ赤になっていやしないか心配なほどだ。

  全身がじゅんと熱くなり、まるでのぼせたような感覚に襲われる。

  しかし、それも束の間で彼女はアタシを立たせるとそのままシャワーヘッドをフックにかけた。

  選手交代と言わんばかりに大きなお尻を

  バスチェアに預けて座ると、背筋をピンと反らして伸びをしてこちらに振り向く。

  「さ、今度はわたしが洗ってもらう番ね♪」

  まるで白磁の壺のように日焼けを避けた背中は、滑らかでシミひとつない。

  背面から乳房の左右がはみ出して見えて、ため息にも似た吐息が漏れる。

  水を弾いた肌が艶やかに光っていて、思わず触れてしまいたくなるほど美しい。

  「陽菜叔母さん?」と声をかけられて我に帰る。

  慌てて彼女の背中へと手を伸ばして泡立てるように優しく撫で回していく。

  肩甲骨から背骨に沿って下っていくように、ゆっくりと指を動かすと彼女は小さく声を漏らした。

  「ちょっと、くすぐったいよ叔母さん」

  「ごめんごめん。じゃ、いくね」

  今度は軽く押したり揉んだりするようにして背中のマッサージをする。

  少し力を入れただけで彼女の肩甲骨が浮き出て、その下の背中は引き締まっている。

  腰の筋肉のラインに沿って指を這わせると、彼女はくすぐったそうに身を捩った。

  ふぅと鼻にかかった吐息が漏れる。

  柔らかい、なんとも実用的な筋肉の感触が手の平を通して伝わってくる。

  天稟の肉だ。生まれ持っての天性の肉体。

  それはまさに神の祝福を受けるべくして与えられたものであろう。

  角と尾の生えた悪魔じみた牡の股から出てきた生物がこれとは、神も随分と狂ったものかもしれない。

  そんな存在の、あまつさえ血の繋がりだってある彼女に狂わされるアタシはもっと狂っているのだろうか?

  粘り気なんてないのに吸い付いてくる肌はアタシの思考を絡めとる。

  この皮膚の下に流れる赤い血潮を飲み干したくなるほどに、魅惑的な肢体。

  風呂でニオイが落ちて尚、香る彼女の体臭はどんな香水よりも芳しい。

  「陽菜さん……ちょっと、触りすぎ」と彼女は言った。

  「あ、ごめん……」とアタシは慌てて手を離す。

  「もう……そんなにわたしって魅力的なの?みーんなわたしの二の腕とか足とかペタペタ触って揉んでさあ……。わたし、そんなに太って見えるかな?」

  彼女は自分の二の腕や太腿を触りながら言った。

  「いや、その……」

  アタシは言葉を濁す。

  目の前に、制服からこんな肉がはみ出して、こんな刺激的な身体を持っていれば誰だって食いついても無理はないと思う。

  かぶりついて歯跡を刻みつけたくなるほどに蠱惑的な肉が、彼女の全身には付いているのだから。

  「健康そのものだからじゃないかな〜?ハツラツとした、元気いっぱいの葵ちゃんを見たらみんな触りたくなっちゃうんじゃないかな?」

  アタシは当たり障りのない事しか言えなかった。

  「ふーん……そっかぁ……」

  少し不満げに彼女は呟くと、そのまま立ち上がってアタシに抱きついてきた。

  全身がすっぽりと彼女の腕の中に収まる。

  まるで自分がぬいぐるみにでもなったような気分だ。

  「な、なに?葵ちゃん」

  「いやー、そういえば叔母さんの髪洗い忘れてたっけな〜って思って。ダメだよ?ちゃんと頭も洗わないと。女の子なんだから」

  「う、うん……そうだね」

  アタシがそう答えると彼女はそのままシャンプーのボトルを手にとって、アタシの髪につけた。

  ゆっくりと撫でるように指を毛根へと滑らせていく。

  そしてアタシの髪に優しくかけながら、髪を洗い始める。

  わしゃわしゃという音ともに彼女の細い指先が髪の間を通ると、不思議な感覚に襲われた。

  「良いなあ陽菜叔母さんの、綺麗な髪」

  「そ、そうかな?」

  「うん。羨ましいなぁ……わたしもこんなサラサラで綺麗な髪になりたかった……」

  そう呟きながら彼女はアタシの長い髪を丁寧に洗ってくれる。

  「良いじゃない、真っ黒でふんわりしてて。葵ちゃんの髪、アタシ好きだよ?」

  ボリュームのある髪が、彼女の小さな顔の周りをまるでレースのように彩っている。

  幸さん譲りと言うべきか、姉弟みんなこう。

  「でも、陽菜叔母さんのは……こう……ツヤツヤでサラサラしてて……」

  彼女はそう言いながらアタシの髪にシャワーをかけて泡を流した。

  そしてそのままコンディショナーを馴染ませてから、また髪を洗い始める。

  「そりゃ無いものねだりだって言うのは分かってるけど……うぅ〜、良いなぁ。ストレート掛けても全然まっすぐになってくれないんだもん」

  そう言って彼女は自分の髪を触った。

  しっとりと濡れた髪は鴉の濡れ羽色。

  濡れてもなお存在感のある煌めくような髪は、直毛のアタシからすれば豪奢にすら思える。

  兄貴の幸さんの髪を撫ぜる手つきの愛おしさを見れば、明白だ。

  「……良いと思うよ?その髪」とアタシは呟く。

  「え〜?ど〜こが?」

  不満そうに頰を膨らませる彼女が可愛くて、少し意地悪したくなってしまう。

  「だって……ほら、こうやって……」と言って彼女の髪に指を通す。

  そしてそのまま手櫛で梳かすように、彼女の髪を指で弄ぶ。

  「わしゃわしゃってしても絡まらないし……それにふわふわしてて、猫っ毛で……」

  アタシは指先で彼女の髪を軽く握るようにして指を通す。

  くしゃりと髪同士が絡まり合う音は湿った吐息にかき消されていった。

  お返しとばかりにシャンプーを泡立ててふわふわの髪と戯れる。

  「ん……もぅ」

  彼女は少し不満げな声を上げるが、それは口だけで満更でもなさそうだ。

  アタシは彼女の髪を優しく撫でながら、その触り心地を楽しむ。

  まるで上質なシルクの糸束のような手触りに思わずため息が出てしまうほど。

  羊みたい、というとまた怒るだろうか?

  「ふぁ〜……あっ……」

  少し色っぽい、脱力するような声が浴室に響いた。

  「陽菜さん……気持ち、いい……」

  そう言って彼女はアタシの手に頭を委ねるようにしてもたれかかってくる。

  彼女の髪から漂う甘い蜜のような香りが鼻腔をくすぐる。

  なんだか、アタシまで変な気分になりそうになる。

  「どうしたの?葵ちゃん」

  彼女は蕩けた声で答える。

  「なんか……こうしてると、お母さんみたい……」

  「お母さっ!?」と思わず声を上げてしまう。

  彼女の髪を弄んでいたぴたと手が止まる。

  心臓が変に脈打って、まるで耳のすぐ横で鳴っているかのような錯覚に陥る。

  「あっ……ママみたいってのとは、ちょっと違うかも……でも、なんか安心するっていうか……」

  「そ……そっか。それは嬉しいな」

  アタシは動揺を隠すようにそう答えたが、上手くいったかは自信がない。

  「うん……だから、もうちょっとこのままでいて欲しいな」

  彼女はそう言って、さらに体重をかけてくる。

  重い。けど、それが心地いい。

  柔らかい彼女の身体を感じながら、アタシはなるべく動揺を悟られないように言った。

  「うん……いいよ」

  彼女からの返事はなく、代わりにゆっくりと長い息遣いだけが聞こえる。

  彼女の身体の柔らかさが、アタシの理性を溶かしにかかってくるかのようで頭がクラクラする。

  そんな時だ。

  「陽菜さん……好き……」

  彼女は呟いた。

  「え?」と思わず間抜けな声を上げそうになるのを堪えて、アタシは平静を装う。

  「お母さんの代わり……って言ったら怒る?」

  「い、いや。別に……」

  アタシは言葉を濁した。

  それはきっと、彼女の実母である幸さんに対する感情ではないのだろう。

  断っておくなら幸さんは、アタシなんかよりずっと女性的で、魅力的で、優しい人だ。

  兄貴と手を取り合って家庭を守る彼女は、まさしくアタシとは正反対。

  アタシは家族が怖くて、恐ろしくて、それらから距離をとった。

  そして気づけばこの歳になって、叔母さんなんて立場に甘んじている。

  自分で作れば良い家族を、他人の家族を羨んで、上前を掠め取るような卑劣な人間。

  でも、現にこの胸の中で甘える少女は母に、母性に飢えてアタシに縋っている。

  「好き……好きなの」と彼女は言った。

  「うん……」

  アタシはそう答えながら、彼女の髪を優しく撫で続けた。

  愛情不足じゃないなんてことは、アタシが1番知っている。

  しかし彼女の曝され続けてきた環境によるストレスは計り知れない。

  専門のケアが出来る資格なんてないし、アタシはそんな大それた人間じゃない。

  でも、それでも……。

  「上せちゃったかな?ちゃっちゃと流して上がろうか。身体も冷えちゃうし」

  「うん……ありがとう、陽菜叔母さん……」と彼女は言った。

  アタシは彼女の身体が離れて行くのを感じて少し切なくなる。

  それを誤魔化すように、シャワーの蛇口を捻ってお湯を出した。

  アタシの劣情を掻き消すかのように、匂いを洗い流すために。

  熱を持った下腹に冷水をかけたくもなったけれど、そんな事をしている暇はない。

  「じゃ、上がろっか?」とアタシは言って、彼女の手を取った。

  「うん……」

  彼女はどこか上の空でそう答えた。

  ☆☆☆

  サイズの少し合わないパジャマに袖を通して、アタシ達はベッドに潜り込んだ。

  葵ちゃんは落ち着きなさげでそわそわとしながらこっちを覗いてくる。

  「どうしたの?」と聞くと彼女は恥ずかしそうに言った。

  「あの……これ、叔母さんの恋人さんの?」

  少し窮屈そうに袖口を掴みながら彼女は聞いてきた。

  「昔の……ね」

  そんな時期も、あった。

  どうしてもある時期、どうしても誰かに必要とされたくて、そんな時に出会った人もいた。

  自然と女性に靡いていたのは、逃避だったのかもしれない。

  その相手とは、長続きもしなかったけれど。

  「そっか……」

  彼女はそう言って、アタシの袖をきゅっと掴んだ。

  まるで自分の匂いを擦りつける猫のように、頭をすり寄せてくる。

  そんな仕草が可愛くて、つい意地悪をしたくなる衝動に駆られた。

  「気になるの?葵ちゃん」とアタシは聞く。

  「うん……ちょっと、ね。わたし、ずっとこの家に入り浸ってた気でいたのに、叔母さんのそういう話って全然知らないから。……ちょっとだけだよ?」と彼女は言った。

  「そう……」

  アタシはそれだけ言って、彼女の髪を優しく撫でた。

  「葵ちゃんだって、彼氏や彼女の1人や2人ぐらい、いるんでしょ?」とアタシは聞いた。

  「い〜ま〜せ〜ん!彼氏いない歴14年でーす!」と言って彼女は寝返りを打つ。

  そんな反応が可愛らしくて思わず笑ってしまった。

  すると彼女も釣られたように微笑んでくれた。

  「良かった♪乱れた性生活をしてる葵ちゃんなんて、想像出来ないもの」

  「もうっ!陽菜さんっ!」

  彼女は怒ったように言いながらもアタシに抱きつくと、胸元に顔を埋めてきた。

  まるで母親に甘える子猫のように、ぐりぐりと顔を押し付けてくる。

  彼女の吐息がくすぐったい。

  「わたしだって……興味はあるけど。なんかさあ……違うの、クラスの子は。こう……なんか、違うの」

  「そう?アタシは葵ちゃんぐらいの時が1番興味あったけどなぁ」

  そう、実の兄に恋をしたり。兄の大学の友人があられもない姿に変貌して兄が掻っ攫われて行ったり。

  敗北よりも価値観や倫理観の崩壊、そして自分の再構築が優先された。

  「陽菜さんは……その……した事あるの?」と彼女は言った。

  「え?何を?」

  「だから……その、セッ……」

  そこまで言って彼女は言葉を詰まらせる。

  耳まで真っ赤にして俯く彼女の姿に、アタシは嗜虐心を煽られた。

  彼女の耳元に唇を近づけて囁くようにして言う。

  「あるよ?」と言って髪を撫ぜる。

  彼女は緊張したように肩を強張らせてから、ごくりと生唾を飲み込んだ。

  そんな初心な反応が可愛いくてついつい苛めたくなる。

  「気になる?葵ちゃん」とアタシは言った。

  「う、うん……ちょっと……」

  彼女はそう言って上目遣いにこちらを見た。

  その瞳は不安げに揺れていて、まるで迷子になった子猫のよう。

  「そっかぁ……」と言って彼女の頰に触れる。

  「ガールズトーク、する?」

  「がる……?」

  「ふふ……ガールズトーク♪女同士の内緒話」

  布団の中では2人の体温が融け合うように、寝間着越しに相手の温もりを感じることが出来る。

  イケない秘密を混ぜ合うように、アタシ達は額をコツンとぶつけ合う。

  彼女の長い睫毛が細かく震えているのを感じるほどの距離で見つめ合ってから彼女は言った。

  「うん……したい……」

  期待に満ちた眼差しが熱を帯びるのを感じた。

  脳がビリつく甘い芳香が鼻孔にまとわりついて離れない。

  「アタシさ、ちっぽけな自分がイヤで、背の高くて、良い匂いのする人が羨ましくて仕方なかった時期があったんだ」

  「そう……なんだ……」と彼女は呟くように言った。

  「でも、なんでだろう?それが恋とかじゃなくてさ、自分を愛してくれる人なら誰でも良かったの。寂しい時だけ構ってくれて、自分を満たしてくれる相手だったら何でも良かった」

  「受け身だった、って事?」

  「そう……その時も、そんな相手とのセックスが1番気持ちよかった」

  アタシはそう言って、自嘲気味に笑う。

  「その人、小さいアタシみたいな女が好きだって嬉しそうに言ってた。可愛くて、小さくて、抱き締めたくなるんだって」

  そう言う趣味なの、と彼女は言っていた。

  ぴったり10代中ごろで成長を止めたアタシみたいな女は、パートナー探しでもおかしな需要があるらしい。

  法律的にはなんの問題もなく、好きなだけ弄べる幼さすらそのままに、背も伸びない、女らしくなる兆しもない。

  美味しい美味しいと言ってよくアタシの股に顔を埋めて、一日じゅう舐め続けては、ねちっこく責めてくるのがお得意だった。

  アタシも嬉しかった。

  自分の価値を、自分の存在を肯定されたような気すらしていたから。

  そんな相手でも、アタシにとっては大事な人だったのだ。

  もう、顔も声も思い出せないけれど。

  「だけれどね、ウソだったの。ホントの狙いはアタシじゃなくて……」

  アタシは葵ちゃんの頰に手を添えて、引き寄せるように顔を寄せた。

  「え?」と彼女は驚いたような声を上げるが、アタシは耳元で囁いた。

  「ママにも、兄貴にも絶対に秘密にしてくれる?」

  「う、うん」

  彼女は緊張したような面持ちで頷いた。

  気が重たくなるよりも、吐き出して楽になりたいという気持ちの方が勝った。

  「いきなりそのヒト、葵ちゃんに興味持ちだしたの」

  「え……?」と彼女は困惑したような声を上げたが、構わず続けることにした。

  「話にはしてたけど、突然葵ちゃんのこと可愛いって言い出してさ。最悪の気分になった」

  「え……」と彼女は言葉を失った。

  無理もないだろう。いきなりそんな話をされても困るに決まっている。

  でも、もう後には引けない。

  彼女の反応が怖くて、アタシは早口に捲し立てるように言った。

  「今思えば、研究目的か何かで葵ちゃんを拉致しようとしてアタシに近付いたんだと思う。アタシの事はただのカモフラージュ」

  「そんな……ことって……」と彼女は呟くように言ったが、アタシは続ける。

  「でも、あの時はアタシも馬鹿でさ。葵ちゃんに何かあったらタダじゃおかないって、そのヒトに啖呵切っちゃってさ。その後は……まあ、お決まりのコース」

  「……」

  彼女は押し黙ってしまった。無理もないだろう。

  しかし、アタシは続けるしかない。もう後には退けないのだから。

  「それでね、そのヒトが最後に言ったんだ」

  『同類だと、思ってたのにな』

  「同類……?それってどういう……?」と彼女は言ったが、アタシは首を横に振った。

  これ以上喋るつもりは無かったし、そもそも彼女に聞かせるような話でもない。

  ただ、吐き出したかっただけなのだから。

  「ごめん……やっぱり聞かなかったことにして。全部ウソ、作り話。そんなアホみたいな事、あるわけないよね。アタシの妄想が産んだ幻だよ」

  「……」

  彼女は黙ってしまった。

  当然だ。こんな話をいきなりされても困るに決まっている。

  下らない与太話、笑い話として消化するには臭いがキツい。

  「ごめんね?こんな話して」と言ってアタシは背を向ける。

  今頃になって、このまま眠って無かったことにしてしまいたくなってしまう。

  「陽菜さんは……そのヒトのこと、嫌いになった?」と彼女は言った。

  「……」アタシは押し黙ってしまう。

  思えば、アタシも彼女も偽装工作に余念を欠かさなかったのだろう。

  なんの痕跡もなく、当時から足繁く通っていた葵ちゃんに気取られるわけでもなく、このベッドで、リビングで、浴室で、トイレで、時には玄関で。

  アタシの身体を貪るそのヒトは、まるで獣のようだったと記憶している。

  「嫌いに……なれなかった」とアタシは言った。

  「……そっか」と彼女は呟いた。

  「多分ね、好きだったんだと思う。でもさ、もう名前も思い出せないし、きっと偽名だったと思う。それに、もう顔も声も……思い出せない」

  彼女は押し黙ってしまった。

  「でもさ、きっと好きだったんだって思う。だってね、アタシのこの身体で、悦んでくれたんだって思うとね。嬉しくてさ」

  「陽菜さん……」

  アタシは自嘲気味に笑いながら言った。

  彼女の髪に顔を埋めるようにして抱きつくと、彼女は優しく抱き返してくれる。

  柔らかい乳房が押し当てられる感触に身体の芯まで熱くなるのを感じた。

  あの人は幼い肉体が目的で、アタシはアタシを求めて愛してくれればそれで良かった。

  あのヒトにとってのアタシは、肉体の幼さ故に性別すらも曖昧で都合の良い玩具だったのだ。

  最終的な目的はどうだったか定かでは無いが、彼女らの周りは人知れず身辺警護の人間が張り付いているし、きっと今もそうだ。

  それだけ貴重で、替えの利かない存在。

  「幻滅してよ。アタシ、葵ちゃんより年上なだけの子供なんだよ?求めてくれれば誰でもいいような女」

  吐き捨てるように言った言葉は、そんな自分をより深く貶めるようだった。

  本当に子供だ。あの人に抱かれている時、アタシは子供でいられたから。

  「幻滅なんて……出来ないよ……」

  そう言って彼女は、アタシをぎゅっと抱き締める手に力を込めた。

  痛いくらい力いっぱい、それでいて優しく包み込むように。

  「どんな理由があっても……それで陽菜さんが傷付いたことに変わりはないでしょ?わたしはそんな陽菜さんを責めたりしないよ」

  「葵ちゃん……」

  それは彼女の優しさに他ならなかった。

  アタシの自嘲に満ちた自虐を肯定するわけでもなく否定するわけでもなく、ただ受け入れてくれる。

  それが何よりも嬉しかったし、それと同時に自分の事が恥ずかしかった。

  アタシが彼女に対して劣情を抱いているのは事実で、その浅ましさすら受け入れようとしてくれる彼女に甘えようとしている。

  『同類』には違いないのだ。

  あの人とアタシは。

  産まれた頃より腕に抱いてきたような姪っ子に、身勝手な母性とそれに相反する肉欲をぶつけようとしている。

  もしかしなくとも、アタシの元から去った彼女よりも化け物じみている自分。

  「わたしの番」

  と彼女は言った。

  「へ?」

  アタシが思わず聞き返すと、彼女は続けた。

  「陽菜さんの秘密は聞き終わったから、今度はわたしがするんでしょ?ガールズトーク。だから、わたしの番」

  ぎゅっと抱き締めていた腕を緩めて、彼女はアタシの顔を見る。

  真剣で、でも不安そうな表情。

  何を言うのだろうか。

  何を言われても、アタシは彼女を拒めないと悟った。

  「陽菜さん……その……」

  「なに?」

  彼女は少し躊躇うような様子を見せた後で、ゆっくりと言葉を紡ぐように話し始めた。

  まるで罪を告白するかのように、彼女の手がアタシの頰に触れた。

  「わたし、パパもママも、うるさいけど弟たちだって……皆好き。大好き」

  「……」

  彼女は少し視線を落としたまま続ける。

  「だけど、あの家でほんとうに女の子なのはわたしだけで、だからちょっと……違和感があって」

  「ママはどんな人よりも綺麗って言うか可愛らしいけど、でもなんだか違うっていうか……ママのお腹の中に居た時からたくさん愛して貰ってたけど、ちょっと違うっていうか……よくわからないんだけど……」

  彼女は戸惑いがちに言う。

  「お人形遊びをしたいのに、お人形が無くて、その代わりに弟達がいるみたいな……ごめん、わかんないよね。わたしもよくわかんないもん」

  「葵ちゃん……」

  彼女は恥ずかしそうに笑って続けた。

  「陽菜さんが居てくれて、わたし、すごく嬉しかった。陽菜さんは……わたしのことちゃんと女の子として見てくれてたから」

  「うん……」

  彼女は少し躊躇うような表情を見せた後で、また口を開いた。

  「……病院の検査だってイヤだし、家の周りを隠れて見張ってる人たちだってイヤだし、クラスの子達だって先生や大人に言われて仕方なく……って感じがしてさ。みんな、わたしみたいなのは本当はイヤなんじゃないかって」

  「そんな事ない!」とアタシは言った。

  彼女は少し驚いたような顔をした後で、また続ける。

  「うん……陽菜さんがそう言ってくれるなら、きっとそうなんだろうと思う。でもさ……やっぱり不安で、オトコの人から産まれたってだけでそんなに変なのかなって、小さい頃はそう思ってた」

  「……」

  彼女は一旦口を閉じて深呼吸した。

  そして意を決したように言葉を続ける。

  「小学生の頃ね、パパとママがセックスしてるのを見てたんだ。パパのアレがママの中に入っていくのを見て、すごく不思議でさ」

  「え……」

  突然の言葉にアタシは面食らうが彼女は続けた。

  「なんか……こう、ぐわーってなってて、それでズブって入ってくの。ママの肌が真っ青に変わって、角も尻尾も振り乱して、初めて聞いたよ。ママのあんな声」

  「ママがフツーじゃないのは、なんか前々からわかってたけどさ。パパとのセックスを見て、ママはフツーじゃないし、わたしはもっとフツーじゃない存在なんだなって思った」

  彼女は少し寂しそうに言った。

  「だからかな?わたしね、ずっと普通の女の子になりたかったんだ。それで、陽菜さんみたいに可愛くなってみたい。でも、パパにもママにも言えないし」

  「葵ちゃん……」

  彼女は悲しげに笑った後で、アタシの髪を優しく撫でた。

  「陽菜さんの髪ってさらさらだね」と彼女は笑う。

  「……前にも言ったけど、最近みんなおかしいの。クラスの子達だけじゃなくて周りの大人も、なんかじろじろ見てくるし」

  「でも、わたしが話しかけたらみんな言うこと聞いて、お人形みたいに大人しくなるの」

  アタシは愕然とした。

  「葵ちゃんそれってどう言う……」

  「わかんない。でも、変なの」

  彼女は首を捻るが、アタシはそれが何を意味するのかを理解していた。

  それは彼女の持つ力だ。

  人心掌握、いやもっと別の何か。

  彼女が無意識に放つフェロモンや魔力的な何かに引き寄せられて、周りの人間は彼女に傅くようになってしまう。

  「今日陽菜さんの家に向かう時もね、近くの警護の人たちには『言うこと聞いて』貰ったんだ。だから、今日はだーれもわたし達を見てないよ」

  「葵ちゃん……それは……」とアタシが言いかける。しかし彼女はそれを遮って言った。

  「大丈夫、陽菜さんが心配するような事はならないから」

  唇にほそ長い指を押し当てて微笑む。

  妖しさが頬を紅潮させて、それがまた色香となってアタシを惑わせる。

  「陽菜さんのおかげなの。わたし、こんなに人を好きになれるんだって」

  「葵ちゃん……」

  彼女はそのまま続ける。

  「パパもママも大好き。弟たちだって可愛いし大切。でもそれ以上に、陽菜さんはわたしを女の子でいさせてくれてるから」

  彼女はそう言うと、アタシの手を自らの胸に導いた。

  「あっ……」

  思わず声が漏れるが、お構いなしにそのまま押し付けてくる。

  柔らかくて温かい肉の感触と心臓の鼓動が伝わる。

  「ほら、陽菜さんのおかげでわたし女の子でいられるんだよ?」

  そう言って彼女は微笑んだ。

  とっても彼女らしい、太陽のように明るい笑顔だった。

  「だから、陽菜さん」

  彼女はそのまま続けた。

  「わたし、もっと女の子になりたいの。それでね……陽菜さんに女の子を教えて欲しいんだ」と彼女は言った。

  「……それって……」

  アタシは戸惑いながら言うが、彼女は構わず続けた。

  「わたしね、陽菜さんだったら良いんだ」

  「葵ちゃん……」

  彼女はそう言うと、アタシの首筋へと唇を這わせた。

  甘い吐息が耳元を擽って全身が粟立つような感覚に襲われる。

  否が応にも身体が反応してしまい、アタシは抗うように身を捩らせるが彼女は離してくれない。

  それどころかより強く抱き締めて来て、その拍子に彼女の柔らかな膨らみの感触を如実に感じ取ってしまう。

  「あっ……」と思わず声が出てしまう程に鮮烈な刺激に理性すら崩れそうだ。

  「陽菜さんにはお願いなんてしないし、きっと陽菜さんは許してくれない。でもね、わたし女の子になりたいの」

  彼女はそう言うとアタシの首筋へと強く吸い付いた。

  「あっ……葵ちゃ……」

  「だからお願い。陽菜さん、わたしに女の子を教えて」

  そう言って彼女は微笑んだ。

  その笑顔は今まで見たどんな表情よりも美しく、甘美で恭しく、蠱惑的な魅力を放っていた。

  自らの欲望と、絡め取ろうとする彼女の肉体に、アタシの理性が揺らいでいく。

  「葵ちゃん……」と彼女は呟くように言って、また首筋に舌を這わせる。

  背筋からぞわぞわとした快楽が這い上がってきて、脳髄まで蕩けてしまいそうになる。

  指を噛んで理性を繋ぎ止めようとしたが最後、アタシは彼女の求めに応じる以外の選択肢は無くなっていた。

  「あ、葵ちゃん……葵ちゃん……あぅ……」

  アタシはうわ言のように呟きながら、彼女を抱き寄せた。

  もう何も考えられない。ただただ目の前の彼女が愛おしくて仕方が無かったのだ。

  「ママがね、陽菜さんの大好きなパパを取っちゃったって、知ってるよ?オトコなのに、オトコなのにママに取られちゃって、それで陽菜さんがずっと我慢してたのも知ってる」

  「あ……葵ちゃ……」

  彼女はそう言ってアタシをベッドへ押し倒して覆い被さった。

  「ベッドの中、いやらしいニオイがしてる」

  そう言って彼女はアタシの下腹部へと手を伸ばす。

  「んっ……んぅ……」とアタシは声を漏らして身体を震わせた。

  彼女の細くしなやかな指先が、ショーツ越しに敏感な部分に触れたのだ。

  割れ目をなぞるように指先が這っていき、その度に強い快感に襲われる。

  腰が跳ね上がりそうになるが、彼女はそれを押さえつけるように体重を掛けてくる。

  そしてアタシの耳元に口を寄せたかと思うと、囁くようにこう言った。

  「わたしの手でも……気持ちいい?陽菜さん」と彼女は言った。

  甘く蕩けるような声色だった。まるで媚薬のように脳髄へと染み込んでいき、正常な判断力を根こそぎ奪っていくような、そんな声だ。

  「あ、葵ちゃん……んん……」

  アタシは必死で言葉を紡ごうとするが、彼女に耳を舐られてしまい言葉にならない。

  熱い吐息と共に舌が入ってきて耳の奥を犯していく。ちゅぷという水音と彼女の艶めかしい息遣いが混ざって脳髄に響き渡り、思考能力を奪っていく。

  その間も彼女の指先は止まることなく動き続けていた。ショーツ越しではあるがその指先が生み出す快感は凄まじく、アタシの理性を溶かすには十分すぎるものだった。

  「このベッドで一緒に寝たのだって数えきれないぐらいなのに、陽菜さんがわたしでオナニーしてたなんて」と彼女は言った。

  「あ、葵ちゃ……そ、それ……!」

  アタシは慌てて否定しようとするが、彼女に愛撫され続けているこの状況ではまともに言葉を発することすら出来ない。

  そんな様子を見て楽しそうに笑みを浮かべる彼女を見て余計に恥ずかしさを感じてしまう。

  羞恥や背徳感を破砕するように快楽の波は容赦なく押し寄せて来て、アタシの理性をガリガリと削り取っていく。

  「あぅ……んん……くぅ……」

  指先で性器の入り口周辺を撫で回されてビクンっと身体が跳ね上がる。

  彼女の指先の動きに合わせて腰が揺れ動き、もどかしさに身を焦がされるような感覚に襲われる。

  もっと刺激が欲しい、その一心でアタシは無意識に腰を押し付けるような仕草をしていた。

  それを見計らったかのように彼女の指先が一際強く押し込まれた瞬間、背筋に甘い痺れが走った。

  「あぅ……!」と思わず声が出てしまうと、彼女は責める手をぴたり、と止めてしまった。

  「陽菜さん、気持ちいい?」と彼女は問い掛ける。

  その問いにアタシは首を横に振ることしか出来なかった。

  否定したかったのではなく、ただ単に言葉を喋る余裕が無かっただけだ。だが彼女にはそんな事情など関係無いようで、クスリと笑いながら言葉を続けた。

  「嫌なら止めるよ?セックスって愛し合う人たちのする事なんだから、嫌々するもんじゃないよね?」と彼女は言った。

  「あ……葵ちゃ……」

  アタシが縋るような声を出すと、彼女は妖艶な笑みを浮かべて顔を近づけてきた。そして耳元で囁くように言葉を続ける。

  「陽菜さんが嫌だっていうなら止める。二度とこんな真似しないって誓うよ。だから、陽菜さんが本当に嫌なことを教えて」

  「あ……葵ちゃん……」

  アタシはごくりと生唾を飲み込んだ。

  分かっているのだ、彼女が求めていることも、自分がするべきことだって。

  ただそれを認めたくなかっただけ。

  でも、もう逃げられないところまで来ているのだと理解しても尚、アタシの理性は最後の一線を守ろうとしていた。

  ふるふると首を振り、全身をわなつかせて快楽に耐えようとする。

  きっと、断れば元通りの叔母と姪っ子に戻れるはずだと自分に言い聞かせながら。

  喉がへばりつくぐらいカラカラで、緊張と興奮で心臓の鼓動が早くなる。

  きゅぅーっと胸が痛い位締め付けられて、呼吸すらままならない。

  潤してくれなければ、アタシは一生この渇きに苛まれる事になる。

  「あ……葵ちゃん……」とアタシは言った。

  彼女の顔を見る勇気が無くて、目を反らしたまま言葉を続ける。

  「陽菜さん、こっち向いて」と彼女は言った。

  「あぅ……だ、だって……」とアタシは口ごもる。

  「お願い、しっかり目を見て言って欲しいの」と彼女は言った。

  アタシはゆっくりと顔を上げて、彼女の顔を見た。

  視線が交差する。彼女の大きな瞳に吸い込まれてしまいそうな錯覚に陥ってしまう程に綺麗な瞳だ。

  アメジストのような透明感のある瞳が、アタシの視線を捉えて離さない。

  掠れる喉が、渇いてひりつく喉が言葉を紡ぐ。

  「葵ちゃんが……欲しい。やめないで、愛して、葵ちゃん……」

  消え入るような小さな声で、しかしハッキリとそう口にした。

  乾いた喉と正反対に、瞳からはぼろぼろの雫がとめどなく零れ落ちてベッドを濡らす。

  罪悪感による涙ではない。

  期待と不安、愛しさと恐れがぐちゃぐちゃに入り交じった感情が涙となって溢れ出してきたのだ。

  いとも簡単に、人間の感情を紙屑同然にくしゃくしゃにしてしまう存在。

  彼女の母親に初めて出会った時に感じた魅力と畏怖、忌避感を感じさせる隙間すら生じさせない程の、圧倒的な存在の放つ衣香。

  「陽菜さん、可愛いよ。わたしがいっぱい、たくさん、ずっとずーっと愛してあげる」

  彼女はそう言って微笑むと、ゆっくりと顔を近づけてきた。

  視界が彼女でいっぱいになり、唇に柔らかな感触が押し当てられる。

  ちゅっ、ちゅるっという水っぽい音が脳髄に響き渡り、アタシの思考回路を溶かしていく。

  大量の唾液と共に彼女の舌が侵入してきて、アタシの口内を犯し尽くしていく。

  嚥下する唾液にも彼女の毒が含まれていて、アタシの体内へと吸収されていく。

  舌同士が絡み合い、歯茎を舐め上げられて蹂躙される感覚に背筋がゾクゾクと震える。

  「んふっ……んんっ……」と思わず息を漏らしてしまうが、彼女は一切構うことなく口づけを続けてくる。

  呼吸すらままならないのに、死んでしまうかもと思うよりも酸素より、この唾液が欲しい、もっと欲しいと思ってしまう自分がいる。

  いくら飲んでも渇きが癒されることはなく、もっともっととねだるように舌を絡めてしまう。

  彼女の唾液が喉を通る度に身体が熱くなり、全身が蕩けていくような感覚に陥る。

  まるで媚薬のようなその味わいに酔いしれて頭がクラクラする。

  もっと欲しいと思うのと同時に、これ以上は危険という警鐘も鳴っていて、脳が混乱を起こしそうだ。

  アタシは彼女の背中に腕を回して強く抱きしめて、自分からも舌を絡ませる。

  お互いの唾液を交換し合って混ざり合ったそれを飲み込む度に、どんどん身体の奥底から火照らされていくような錯覚に陥る。

  キスだけでこれだけ気持ちいいのだから、これ以上のことをされたらどうなってしまうのか想像すら出来ない。

  アタシだっておとめではないんだ。初めての彼女への手解きは、アタシがリードするはずなのに、押し負けている。

  「んん……ぷぁっ……」

  離れた二人の唇を銀色の橋が繋ぎ、重力に引かれて途切れる。

  アタシは酸欠で、肩で息をしながら彼女の顔を見る事が出来ないぐらい恥ずかしくて、顔が真っ赤に染まっていることだろう。

  「キス、こないだしたのよりどう?上手に出来た?」と彼女が尋ねる。

  アタシははぁはぁと息を荒げながら、小さくこくんと頷いた。

  「わたしね、ずっとこうなりたかったんだ」と彼女は言う。

  そう言って愛おしそうに頬を撫でてくる彼女の指先を感じながら、アタシは思わず視線だけを上げた。

  そこには頬を紅潮させ、髪を騒めかせて、発情した獣の表情を浮かべた彼女がいた。

  「我慢してたの。ずっと我慢してたんだよ」

  彼女はそう言って舌なめずりをする。

  彼女の赤い舌が唾液で妖しく艶めかしく濡れ光っている様子は、ひどく扇情的だ。

  「わたし、パパ以外の家族の中でなんでわたしだけ角も尻尾も生えてないのかなってずっと疑問に思ってた。でも、わたし分かったよ」

  そう言って彼女は自分のお腹を撫で回すように手を動かす。

  「きっとね、わたしが女の子で、カラダの準備が出来てないからだって」

  「葵……ちゃん……?」

  アタシは不安になって彼女の名前を呼ぶ。

  しかし彼女はそれに答えずに続けた。まるで自分の中に芽生えた感情に名前をつけるかのように、ゆっくりとした口調で言う。

  「わたしね、ずっと陽菜さんになりたかったの。小さくて、可愛くて、華奢で守ってあげたくなるような陽菜さんに。いつもわたしに優しい笑顔を向けてくれる陽菜さんになりたかったの」

  彼女が何を言っているのか理解出来ず呆然としていると、彼女は再び覆い被さってきて耳元で囁いた。

  「でも、こんなにわたしは大きくなっちゃた。パパみたいに、陽菜さんの大好きなお兄さんみたいに、ね?」

  母親譲りの顔と髪をした彼女は、妖艶な笑みを浮かべて言った。

  頭部から黒々とした角が二対生えてきて、お尻の辺りから黒くて細長い尾がみるみる

  伸びていく。

  「あ、葵ちゃん……」

  アタシは彼女を押し退けようと力を入れるが、ビクともしない。それどころかその力すらも抜けていくような感覚に襲われる。

  脳髄が蕩けてしまいそうなほど甘くて蠱惑的な香りに包まれていき、思考がまとまらない。身体の奥底から沸き起こる熱に浮かされて、呼吸すらままならない。

  「わたしね、きっと陽菜さんの望んだままの姿に変われたんだよ?陽菜さんだけを愛して、陽菜さんだけに愛されて、陽菜さんの為なら何でも出来る。してあげる」

  これ見よがしに、彼女はゆっくりと身体を起こして服を脱ぎ出した。

  しゅるりと衣擦れの音が響く度に心臓が跳ねるような感覚に襲われるが、目を逸らすことが出来ない。まるで蛇に睨まれた蛙のようにアタシは動けずただ見つめることしか出来ないでいる。

  角がつかえて上手く脱げないのか、彼女は煩わしそうに身を捩り、小さな舌打ちをした。

  「もぉ〜!だからみんなシャツとかスカートなんて着たがるんだ!尻尾も角も生えてたら、お洋服なんて邪魔なだけなのに!」

  そう言って彼女は乱暴に脱ぎ捨てた。

  つい込み上げて、笑い転げて、転げて、笑い転げる。

  「笑わないでえ!陽菜さんも脱いじゃえ!」

  そう言って、彼女もアタシの服に手をかける。

  「あ……葵ちゃん……」

  抵抗しようと試みるが、身体に全く力が入らない。まるで自分の身体じゃないみたいだ。

  彼女は慣れた手付きでアタシの服を脱がしていく。そして下着だけの姿になると満足そうに笑った。

  「ぺったんこ♪陽菜さん」

  「や……やめ……」

  恥ずかしくて顔を背けようとするが、顎を掴まれて無理矢理正面を向かされてしまう。

  ちゅっと軽いリップ音と共に唇が重ねられる。

  優しい唇を合わせるだけのキス。

  それなのにアタシの思考回路は一瞬でショートしてしまう。

  「陽菜さん、あのね……」

  彼女は言葉を区切ると、もじもじとしながら続けた。

  「あのね……キスの次って……何すれば良いんだっけ……」

  アタシは彼女の言葉の意味が理解出来ず、暫く惚けていたがやがて理解した瞬間思わず吹き出してしまった。

  「な、なんで笑うの!陽菜さん酷いよ!」と彼女は顔を真っ赤にして言った。

  そんな様子がおかしくて可愛らしくて、アタシは思わず笑ってしまう。

  「あははっ!そっか!そりゃあ葵ちゃん初めてだもんね!」

  「も、もうっ!馬鹿にしてぇ!」と彼女はぷんすか怒りながら言う。

  危なかった、本能のまま貪られてしまっていたら今頃は……。

  アタシも深呼吸をして心を落ち着かせてから、改めて言う。

  「さっきみたいに指で触って、優しく動かしてあげるの」

  彼女は目をぱちくりさせている。

  「え……それだけ?ほんとに?」

  「うん。あとはお互いに気持ちよくなれるところを探してあげるの」

  彼女はアタシの言葉を聞いて、少し考えるような素振りを見せてから言った。

  「陽菜さん、教えて?」と上目遣いで言ってくるものだから断れるはずもなかった。

  「ほら、見せてあげる。葵ちゃん」

  惜しげもなく脚を広げて、自分の秘所を彼女に見せつける。

  「陽菜さん、ここ……すごく綺麗……」

  ぴっちり閉じた割れ目はまっさらで、未成熟な子供のそれに似ていて。

  形の良い包皮に包まれた陰核も、触って欲しそうにピクンっと震える。

  すでに濡れそぼって、充血しているのが自分でも分かる。

  「ありがと♪自分でする時みたいに触ってあげて」

  「うん……こうかな?」

  恐る恐るといった感じに彼女の指先が触れる。それだけでも電気が走ったように身体が跳ね上がる。

  直接は気がどうにかなりそうなくらいの電流が脳内を駆け巡った。

  「ひぅっ……あぁっ……」

  自分でも信じられないくらいの甘い声が出て、思わず口を塞いでしまう。

  「陽菜さん、どうしたの?」

  「へいき……気にしないで」

  息も絶え絶えに答えると、彼女は納得したように頷きまた指先を這わせてくる。

  薄い陰唇越しに小さな突起を探り当てると、円を描くように優しく撫で回す。

  「あふぅっ!やっ……んんっ!」

  一際甲高い声が出てしまい慌てて唇を噛み締めるが、その程度で誤魔化せるはずもなく彼女は更に追い討ちをかけてくる。

  指先で何度も何度も往復を繰り返し、時折少しだけ強く押し潰すように刺激してくる。

  その度にアタシの腰は浮き上がり、背中を反らせてしまうが彼女はお構い無しに責め立ててくる。

  「陽菜さん……気持ちいい?」

  「ちょっと……上手すぎて……っ!待ってっ……ああっ!」

  アタシは必死に懇願したが、彼女の手は止まるどころか激しさを増した。

  先程よりも強く摘まれてしまい思わず腰を浮かせてしまう。

  そんな様子を見て彼女は嬉しそうに笑う。「陽菜さんのその顔好き……」と呟くように言ったあと、更に激しく責め立ててきた。

  「ほら、見て……?陽菜さんの大事なとこ、こんなに糸引いてる……」

  彼女はアタシの目の前で見せつけるように指を開く。

  彼女の細い指先には粘ついた愛液が絡みついており、LEDの光を受けてテラテラと光っている。

  その光景に恥ずかしさを覚え目を背けようとするが、彼女に顎を掴まれてしまう。

  「だめだよ?ちゃんと見なきゃ」と囁かれてしまえば、それ以上抵抗する気力もない。

  アタシは観念して彼女に従うことにする。

  すると彼女はゆっくりと見せつけるように舌を這わせて愛液を舐め取った。そして妖艶な笑みを浮かべて言うのだ。

  「ぬるぬるして……ちょっと酸っぱくてしょっぱい?でも美味しいかも……」

  アタシは恥ずかしさのあまり顔から火が出そうだった。

  「もぉ!何やってるの!」

  彼女は全く意に介さない様子で続ける。

  そして再び顔を近づけてくると今度は直接、舌を伸ばして舐め取ってきた。

  「いやっ!だめぇっ!」と制止の声を上げるが、彼女は止まらない。

  長細い舌先で陰唇を割り開いてくる感覚に背筋がゾクゾクする。丹念に陰唇の皺をなぞり、吸われ、蹂躙される。

  まるで別の生き物のように蠢き動く舌に翻弄されっぱなしになってしまう。

  舌も人間ではないかのような細かい襞や凹凸があり、それが擦れる度に今まで感じたことの無い快楽に襲われてしまう。

  アタシは堪らず腰を浮かせて逃げようとするが、それは逆効果だったようで、彼女は逃さないと言わんばかりに両手でガッチリと固定してさらに強く吸い付いてくる。

  「やぁぁ……だめぇっ!それだめぇ!」

  「ほいひいよ?ひなひゃん」

  「しゃべるのも!らめぇ!」

  拙いかと思えば、こちらの反応を窺って途端に弱い箇所を責め立ててくる。

  外を愛撫される方が良いなんて、言ってもないのに。

  クンニリングスされるのは好きだ。

  わたしの未成熟なままの身体をぺろぺろ、ぺろぺろと愛してくれるのはとても心地が良い。

  跪いて顔を埋めて、一生懸命に奉仕してくれる姿は可愛くて愛おしい。

  何時間でも舐めさせてあげたくなってしまう。

  しかし、今は状況が違う。

  ぬちゃぬちゃと卑猥な水音を立てながら女性器を蹂躙されるたびに頭が真っ白になるような感覚に陥る。

  唾液が塗りたくられるだけでビリビリとした甘い痺れが全身を駆け巡り、腰が砕けそうになる。

  身体が変な疼き方をして、お腹の奥がきゅんきゅんと収縮を繰り返して切ない吐息が出る。

  たった数分でアタシの脚はガクガクと震え、閉じたくても閉じることが出来ない。

  「あ……葵ちゃ……もう、いいからぁ……」

  アタシはなんとか手を伸ばして頭をくしゃりと押すけれども、彼女は止まらない。

  それどころか「ふぅ〜♪」と吐息を吹きかけてくる始末。

  その瞬間お腹の奥に甘い衝撃が走り、目の前がチカチカした。

  「陽菜さんのここ……さっきからぴくぴくって動いてるね?可愛い……」そう言って彼女は指先をアタシの一番敏感な部分に狙いを定めていた。

  まん丸いクリトリスは丁度避けられる位置にあり、そこを掠めるようにして指を動かされるともどかしい。

  焦らすような指の動きに腰が勝手に動いてしまう。

  そこを吸われると堪らなく気持ちいい。

  「葵ちゃん、そこ……もっと……」と思わず口にしてしまう。

  「ここ?こうかな?」と彼女は舌先で陰核の周りの包皮をぐるり、と剥き上げる。

  「〜〜〜〜ッ♡!」

  待ち望んだ刺激に声にならない悲鳴を上げてしまう。

  剥き出しになった神経の塊を直接舌で愛撫されてしまい、視界が明滅する。

  長い舌先は器用なまでに抉る様に動き回り、アタシを絶頂へと導こうとしていた。

  「や……まって……いく……」

  あと少しでイケるというところで彼女は唐突に口を離してしまう。

  「……へ?」と間抜けな声が出てしまうと同時に、腰がへこへこ動いてしまう。

  「あ……葵ちゃん……?」

  彼女はクスリと笑うだけで何も言わない。

  アタシは無意識に腰を動かして、少しでも快楽を得ようと必死になっていた。

  しかしいくら頑張っても絶頂に達することが出来ないまま時間だけが過ぎていく。

  もういっそ自分で触ってしまおうかと考え始めたその時だった。

  ふぅーっとアソコに生暖かい吐息を吹きかけられ、腰が跳ねる。

  「っ……!」

  「どうしたの?陽菜さん」と彼女はクスクスと笑う。

  分かっている癖に、わざと聞いてくる彼女にアタシは恨めしげな視線を送るが効果はないようだ。

  むしろもっと意地悪したくなってしまうらしい。

  彼女の長い舌先が大陰唇の周りを焦らす様に這い回る感覚に背筋がぞくぞくする。

  早く、早く舐めて欲しい!その一心でアタシの腰は浮き上がり小刻みに震えていた。

  それなのになかなか触れてもらえず、もどかしさだけが募っていく。

  「あ、葵ちゃん……おねがい……」

  恥も外聞もなくアタシは懇願した。しかしそれでも彼女は舌を伸ばしてくれない。

  それどころか、また離れていってしまう。

  「葵ちゃん……いじわるしないでぇ……」と泣きそうになりながら訴えるが、「だってもだえる陽菜さん可愛いんだもん♪」と言うだけで取り付く島もない。

  「セックスって互いに曝け出し合って

  、気持ちいいところを責め合うのが普通なんでしょ?わたし、陽菜さんの気持ち良くなっちゃうところたくさん知りたい」

  そう言って彼女は再び秘部へと顔を寄せる。

  そして舌先で陰核に触れるか触れないか程度の距離でチロチロと舐め始めた。

  アタシは堪らず腰を浮かせて逃げようとするが、それは逆効果だったようで、彼女は逃さないとばかりに両手でガッチリと固定してきた。

  「やぁぁ……それだめぇ!」

  皮を剥いた状態のクリトリスは先程よりも敏感になっており、少し触れただけでどうにかなってしまいそうになるほどだ。

  生暖かい吐息を吹きかけられ、それだけでもイキそうになってしまうほどなのに、それをピンポイントで責められるのだから堪ったものではない。

  恐らく唾液が付いただけでもイキ狂ってしまえるだろう。

  しかし、彼女はあえて触れないようにしているのか、絶妙な距離を保っているようだ。

  アタシは堪らず涙を流しながら懇願した。

  「葵ちゃん……おねがい……お願いします……そこ舐めてぇ……」

  「え?どこに?」と白々しく聞いてくるので、アタシは恥も外聞もなく叫んだ。

  「あ、葵ちゃんのいじわる!!クリトリス!お豆さんを!舐めてくださぃぃぃ!!」

  あまりの恥ずかしさに顔を真っ赤にしながら叫ぶと、彼女は満足げに笑ってクリトリスを舌でつついた。

  待ち望んでいた刺激がようやく訪れ、アタシは背中を大きく仰け反らせて絶頂を迎えた。

  「〜〜〜~ッ!!♡♡♡」

  ガクンガクンっと腰が跳ね上がり痙攣する。足の指先が攣って痛い。

  葵ちゃんの髪を掻いて大きな角を鷲掴みにする。

  もう無我夢中だ。

  愛液がまるで失禁したかのように流れ出し、シーツに大きな染みを作る。

  角を触られると葵ちゃんも気持ちが良いみたいで、アタシの蜜壺に口を密着させてジュルルル!と愛液を啜ってきた。

  「〜〜〜〜ッッ♡♡♡♡♡」

  もう言葉を発することもできずイキ狂う。

  目の前がチカチカして意識を失いそうになるけれど、それ以上の快楽がそれを許さない。

  懸命にちゅうちゅうと吸い付いてくる彼女の舌先の動きに翻弄されて、何度も絶頂に達してしまう。

  「ひっ♡ひぅっ♡」と情けない悲鳴を上げながら腰を浮かして痙攣と快楽に翻弄されるがままになるしかないアタシを、葵ちゃんは愛おしそうに見つめていた。

  「あ♡あおいちゃっ♡も、もうだめぇ♡」と呂律が回らない口調でなんとか言うと彼女はようやく口を離してくれた。

  口の周りを愛液でべっとり汚してはいるが、それでも彼女はとても満足そうだ。

  「陽菜さん……わたし、上手に出来た?」

  「す、すごかったぁ……♡人生でいちばん……きもちよかった……♡」

  アタシは息も絶え絶えになりながら答えると、彼女は嬉しそうに笑い抱きついてきた。

  そして耳元で「ね、今度はわたしにシて?お腹の奥、熱くて切なくて堪らないの」と囁かれる。

  「あ……葵ちゃん……」

  きゅんと子宮が疼くような感覚に襲われる。

  火照り切った肉体が日焼けと白い素肌を赤く上気させ、アタシの情欲を掻き立てる。

  ぺたりとベッドに座る彼女の胸に顔を埋める。

  むせ返るような雌の匂いと熱気が顔全体を包み、頭がくらくらする。

  「陽菜さん、甘えんぼさんだ」

  「うん……葵ちゃん、好き……」

  彼女の胸に顔を押し付けて匂いを堪能する。汗ばんだ身体からは濃厚なフェロモンが香り立ち、鼻腔を刺激する。

  アタシは堪らずその豊満な乳房にしゃぶりついた。

  舌先で乳輪をなぞるように舐め回すとぶつぶつとした突起が感じられ、それを重点的に責め立てる。

  「あっ♡そこ……好きぃ♡」と彼女が甘い吐息を漏らすのを聞いて嬉しくなる。

  そのまま口に含んで吸い上げると彼女は背中を大きく仰け反らせて感じてくれた。

  舌先で突起を押し潰すようにしながら乳輪を円を描くようにして舐め回すと、彼女の口からは絶え間なく喘ぎ声が漏れ出た。

  「気持ちいい?」と聞くと、彼女はこくりと小さく首肯する。

  こんなに瑞々しいのに大きくて、張りのある乳房を触っているだけでアタシは絶頂に達してしまいそうになる。

  顔より大きな片乳をアタシの両手で抱え込むようにしてむぎゅ〜っと胸同士を押し潰すと、彼女は身を捩った。

  「陽菜さん……おっぱい好きなの?」

  そう問われてアタシは素直に答える。

  「うん……大好き……葵ちゃんのおっぱい、すごく柔らかくて気持ちいいんだもん……」

  年端も行かない少女に有り余る母性の象徴を堪能する背徳感に酔い痴れる。

  揉めば指に吸い付き、離せば元通りに戻る弾力は素晴らしいの一言に尽きる。

  「葵ちゃん……これずっと揉んでたいくらい……」

  そう言いながら両手で胸を鷲掴みにして揉みしだくと、彼女は顔を赤くして俯いた。

  そして蚊の鳴くような声で呟いた。

  「そんなに好きなら……いっぱい触って良いよ……?」

  その一言にアタシは目を輝かせた。そして遠慮なく彼女の乳房を堪能する事にした。

  大きな胸を両手で寄せて両方の乳首を同時に口に含む。ちゅぱっと音を立てて吸うと彼女は甘い声を漏らした。

  そのまま舌先でチロチロとくすぐるように舐め上げると、葵ちゃんは甘い吐息を漏らしながら胸を突き出す。

  「あ……陽菜さん、それ好きぃ……」

  アタシは彼女の反応を見ながら舌先を動かす速度を早めたり遅くしたりする。

  そして時折歯を立てて甘噛みすると彼女は背中を大きく仰け反らせて悦んだ。

  「あっ♡噛んじゃだめ♡」と言いながらも彼女は決して止めてくれとは言わない。

  それどころかアタシの頭の後ろに手を回し、優しく抱き寄せてくれるのだ。

  それが嬉しくて、アタシはさらに強く噛み付き吸い上げる。

  自分のモノだとマーキングするように何度も歯を立てると彼女は切なげに眉を寄せる。

  「も、もう……陽菜さんったら……」と言いながらも嫌がる素振りは見せず、むしろもっとして欲しいと言わんばかりに頭を押さえつけられた。

  彼女の期待に応えるように甘噛みを続ける。

  口の中でツンと主張している乳首の感触を楽しみながら強く噛み、そして離す。

  それを何度も繰り返すうちに彼女の呼吸はどんどん荒くなっていき、時折小さく身体を震わせるようになった。

  どうやら軽く達しているらしい。

  アタシは最後に一度強く噛んでから口を離した。白い乳房には痛々しい歯型が残り、うっすらと血が滲んでいる。

  「ごめん葵ちゃん……痛かったよね?大丈夫?」

  慌てて謝ると、彼女は首を小さく横に振って答えた。

  「平気……陽菜さんだから平気だよ……」

  そう言って彼女はアタシの背中に手を回し、ぎゅっと抱きついてくる。

  密着した肌を通して彼女の心音を感じる。ドクンドクンというリズムに合わせるように子宮が収縮するのを感じた。

  「葵ちゃん……好き」と呟くように言うと、彼女もそれに応えて言ってくれた。「私も好き……大好き、陽菜さん……」

  そう言って彼女はアタシの頭を撫でてくれた。それが嬉しくて幸せで、涙が出そうになるくらいだ。

  「葵ちゃん……もっと触ってもいい?」

  そう聞くと、彼女は恥ずかしげに小さく首肯した。そして消え入りそうな声で呟くように言った。

  「うん……いっぱい触って♡わたしが陽菜さんのものだっていう証、たくさんちょうだい♡」

  その一言でアタシは理性を完全に失ってしまう。

  肘を持ち上げて腋窩に吸い付くと彼女は「ひゃあんっ♡」という可愛らしい声で鳴いた。

  汗ばんだ腋に舌を這わせ、蒸れた汗の味を堪能する。舌先で窪みをなぞるようにして舐めると彼女の口から甘い吐息が漏れた。

  今度は舌全体でぺろぺろと舐め上げていく。

  時折唇で挟むようにして甘噛みすると彼女はビクンッと身体を跳ねさせた。

  「あぅんっ♡陽菜さっ……♡そんなとこ汚いよぉ……」

  彼女の制止を無視して執拗に腋を攻め立てる。汗とそれ以上に濃いフェロモンの混ざった香りが鼻腔を刺激して頭がくらくらする。

  唾液を絡ませるようにして舌を這わせ、彼女の弱点である腋を攻め立てる。

  その度に彼女はビクビクと身体を震わせた。

  「あっ♡ああぁぁんっ♡」と可愛らしい声で鳴く彼女にアタシは興奮を抑えきれなくなってしまう。

  もっとその声を聞きたいという邪な欲求に支配され、アタシは立ち上がるとそのいやらしい腋に自らの陰部を近づけた。

  何をしているのか察したのか、彼女は顔を真っ赤にして止めようとした。

  「えっ!?だ、だめだよぉ♡そんなとこっ……」

  そんな彼女の制止を無視してアタシは自分の秘所を彼女の腋に押し当てた。そしてゆっくりと前後に動かし始める。

  ぬちゃっと湿った音がして彼女が小さく声を上げるがお構いなしに腰を押し付けて動かす速度を早めた。

  アタシの愛液と彼女の汗で滑りが良くなり、より一層快感が増してくる。

  「葵ちゃんっ!これ……すごいぃっ♡ワキがおまんこみたいにすごく気持ちいいよぉっ♡」

  そう言いながらアタシは無我夢中で腰を動かす。ぬちゅ、くちゃと淫らな水音が響き渡り、頭が真っ白になるほどの快楽に襲われる。

  自分でもみっともないくらい乱れてしまっているが、そんな事はもうどうでもよかった。

  ただ目の前の少女の肢体を味わい尽くしたい一心で一心不乱に動く。

  「んっ♡んうっ♡ちょっと……陽菜さん、激しすぎっ♡」

  彼女が何か言っているが、アタシは構わず行為を続ける。

  むしろもっと早く動かすことで更なる快感を得ようとしていた。

  そしてついにその時が訪れる。

  「あぁんっ♡イクッ!イッちゃうぅっ!」という彼女の甲高い嬌声と同時にアタシの股間からぷしゃっと潮を吹いて葵ちゃんの顔面に浴びせてしまった。

  その量は凄まじく、彼女の顔だけでなく髪までも濡らしてしまうほどだ。

  「あ……ご、ごめんなさい!アタシったら……」と慌てて謝るも彼女はぽーっとした表情でアタシの股間を見つめている。

  その様子に訝しんでいると、彼女は舌を伸ばしてぺろっと舐めてきた。

  「んっ♡ちょっと葵ちゃん!?」と制止しようとするがお構いなしだ。

  それどころか、まるで子犬のようにぴちゃぴちゃと音を立てて夢中で舐めてくるものだから堪らない。

  「それっおしっこだからぁっ!汚いってばぁ!」と必死に訴えるが、聞く耳を持ってくれない。

  それどころかもっと欲しいと言わんばかりに口を窄めて吸い付いてくる始末だ。

  「あぁんっ♡だめっ♡吸わないでぇっ♡」

  そう言いながらもアタシの腰は勝手に動いてしまう。太ももの付け根から身体を持ち上げられ、宙に浮かんだ状態で葵ちゃんにしゃぶられているのだ。

  頭を撫で角を摩ってあげると、彼女はうっとりとした表情でこちらを見つめてきた。

  「陽菜さん……好きぃ♡大好き♡」と言いながらさらに強く吸い上げてくる。

  その快楽にアタシはもう限界を迎えようとしていた。

  そしてついにその時が訪れる。

  「あっ♡だめっ♡また出ちゃうぅっ!」と言うと葵ちゃんは口を離して円弧を描く小水を口で受け止めた。そしてゴクリと音を立ててそれを飲み下す。

  量は少ないけれど、それでも全てを受け止めたらしく口の端からは一筋の線が垂れていた。

  「うそ……飲んじゃったの?」

  信じられない光景に唖然としていると、彼女は顔を赤くしながら俯いた。

  「んっ……陽菜さんのお漏らしおいしい……♡」

  再び舌を這わして舐め回して綺麗にしてくれる。そして仕上げとばかりにちゅっと音を立てて口付けてくれた。

  「あ、葵ちゃん……」

  その行為にアタシは胸がキュンとなるのを感じてしまった。

  「陽菜さん……もっと欲しいよぉ♡」と甘えた声でおねだりされて断る理由なんてなかった。

  「うん……♡いっぱいシようね♡」

  黄金水濡れの顔を舐め上げると、彼女は蕩けるような笑みを浮かべて喜んでくれた。

  休憩なんて許される訳もない。

  アタシは彼女の黒々と繁茂した茂みをかき分け、優しく陰唇に触れる。

  それだけでも彼女は敏感に反応し、甘い声を上げ始めた。

  「あ……んっ♡そこっ……」

  指先でつんつんと突いてやるとすぐに愛液が溢れ出てくる。それを絡ませながら割れ目に沿って指を這わせると彼女の背中が大きく仰け反った。

  「ふぁぁっ♡はっ……あんっ♡」

  うねうねとした陰唇が絡みつくように指を締め付けてくる。吃驚して思わず指を引き抜くとべったりと愛液が煌めいていた。

  (っ!?なに今の……)

  陰毛に隠れてしっかりとはみていなかったけど、そこはまるで別の生き物のように蠢き、アタシの指を求めているようだった。

  あまりの淫靡さにドキドキしてしまう。

  (ここ触ったら……葵ちゃんもっと気持ちよくなるのかな?)

  少し怖いと思いつつも好奇心には勝てず、再びそこに触れると彼女は一段高い声で鳴いた。

  「ひぅっ♡そこっ……だめぇ♡」

  「あ、葵ちゃん?」

  慌てて手を離そうとするが彼女はそれを許さなかった。アタシの手首を掴むとそのまま自分の秘所に押し付けてきたのだ。

  そしてさらに強く押し付けてくる。

  「んっ♡もっと触って欲しいのぉ……」

  切なげな表情で訴えかけてくると同時に指を包み込むようにしてくるものだからたまらない。

  まるで未知の生き物のようなそこはアタシの指を離そうとしない。

  「葵ちゃん……アタシに葵ちゃんのおまんこ、もっとよく見せてほしいな?」

  好奇心と興味本位でそうお願いすると、彼女は小さく微笑んでゆっくりと足を開いてくれた。

  「うん……恥ずかしいからあんまり見ないでね……?」

  そう言っておずおずと足を開いていく。その姿はとてもエロティックでドキドキしてしまうほどだ。

  アタシはごくりと生唾を飲み込むと、彼女の秘部を覗き込んだ。

  昔はもう可愛らしいすじだったそこは、熟れきった果実のように赤黒く変色しており、ヒクヒクと痙攣している。

  「すごい……」思わず感嘆の声を漏らしてしまった。

  「あ……あんまり見ちゃだめだよぅ……最近、すごく大きくなってきてコンプレックスなんだからぁ」

  葵ちゃんは恥ずかしそうに足を閉じようとする。しかしアタシはそれを許さなかった。

  「だめ……見せて?」

  そう言って指で広げてあげると彼女は顔を手で覆い隠してしまった。耳が真っ赤に染まっているところを見ると相当恥ずかしいのだろう。

  エグいくらいに肥大化した陰唇は、ひとりでに開閉を繰り返しては白っぽいな愛液を垂れ流している。

  「すごい……こんなになってるんだ……」

  陰唇の先端からは湯気が上がりそうなほど熱を帯びているのがわかる。

  発情を知らせるかのように立ち上る強い雌のフェロモンと生々しい匂いに頭がくらくらしてくる。

  牝の味が染み込んだ体液を舐め取りたい衝動を抑えながら、アタシはそっと指先で触れてみる。

  その瞬間ビクンっと彼女の身体が跳ね上がった。

  「あんっ♡」という甲高い喘ぎ声を上げながらビクビクと身体を痙攣させている。

  その反応を見てアタシはさらに興奮してしまった。今度は両手の人差し指を使って左右に押し広げて膣口を露出させてみる。

  「あぁ……んっ♡やだぁ、広げないでぇ♡」と抗議の声を上げるものの抵抗らしい抵抗はなかった。

  むしろもっと見て欲しいと言わんばかりに腰を突き出してくる始末だ。

  陰唇の女性ホルモンで変色した色味と正反対に、膣口のピンクは鮮やかで美しい。

  尿道口はひくひくと物欲しげに動いており、膣口から垂れる愛液はまるで水飴のよう。

  アタシはその淫靡さにごくりと生唾を飲んだ。

  「葵ちゃん……すごくエッチだよ」

  そう囁くように言うと彼女は顔を真っ赤に染めて目を潤ませた。そして消え入りそうな声で呟くように懇願するのだ。

  「全然嬉しくないよぉ……見ないでぇ」

  しかしアタシはその言葉に耳を貸さない。むしろさらに顔を近づけてまじまじと観察してしまう。

  陰核のぷっくりと充血した姿は可愛らしいのに、その下の女性器はあまりにも淫猥だった。

  そしてそれ以上に漂う強烈なフェロモン臭が鼻腔を刺激して頭がくらくらしてくる。

  「陽菜さんっ!もう許してよぉ……」と泣き言を漏らす彼女を他所にアタシはその匂いを堪能し続けた。

  「すごい……葵ちゃんのここ、すごく良い匂いがするよ♡」

  やらしい女を誑かす魔性の女陰に誘われるがままに、アタシは顔を近付けて匂いを嗅いだ。

  むせ返るような濃厚な牝臭が脳天まで突き抜ける。

  軽くイッてしまったのは言うまでもなし。

  お預けを食らった犬のように荒くなった呼吸を整えながら、アタシは彼女の秘部を舐め始めた。

  陰唇は火傷しそうなくらいに熱を持っており、ヒクつくたびに愛液を垂れ流している。

  小陰唇が舌にへばりつくような感覚がたまらない。

  「あっ♡あんっ♡」と可愛らしい声で鳴いてくれるものだからもっと気持ちよくしてあげたくなってしまう。

  びらびらを唇で喰み、引っ張りながら吸い付く。

  そしてそのまま優しく咀嚼するように嚙んであげる。

  「陽菜さんっ♡それだめぇっ♡」という抗議の声を無視して責め続けると彼女は呆気なく絶頂を迎えた。

  ぴゅっぴゅっと愛液を吹き出してアタシの顔を濡らす。

  生臭い匂いに思わず顔をしかめてしまうが、それがまた堪らない。

  彼女の秘所からは樹液のような濃厚な液体が垂れ落ち、アタシの顔を汚していく。

  それを指で掬って口に含むと甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。

  甘露のような味わいに、思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。

  「陽菜さん……汚いよぉ」という彼女の声には耳を貸さずにその蜜を舐め続ける。

  そしてそのまま舌を膣内へと侵入させた。

  「ひゃあんっ♡」という声と共にビクンっと腰が跳ね上がるが、構わず奥へと突き入れると、顔に陰唇がぴったりと張り付いた。

  その柔らかくも張りのある感触にアタシは感動すら覚えてしまうほどだ。そのまま舌を這わせるようにして奥へ奥へと進めていく。

  鼻で呼吸すれば膣の臭気が直に感じられてクラクラしてしまうほどだった。

  「あっ♡あんっ♡」という甘い声を聞きながら、アタシはさらに奥へと舌を滑り込ませる。生暖かい粘膜の感触とぬるぬるとした膣壁が舌に触れる。

  まるで別の生き物のようにうねうねと動く膣内はとても狭く、異物を追い出そうとするどころか逆に絡みつくようにして締め付けてきた。

  「あぁんっ♡だめぇ♡」という甘い嬌声を聞きながらアタシは舌を動かす。膣内の天井部分を重点的に責め立てると彼女はさらに大きな声で鳴いた。

  まるで別の生き物のように動く膣壁が舌に吸い付き、愛液が溢れ出してくる。その味は今まで味わったどんなものよりも甘美で、濃厚だった。

  実際のところ、本当にそれが甘いかどうかなんてわかる訳もないぐらい脳が蕩けきり、舌はビリビリと灼けるように痺れていた。

  それでもなお、アタシは彼女の蜜を求め続けた。

  舌先で陰核の裏スジをなぞるようにしてやると面白いくらいに反応するものだからついつい何度も繰り返してしまう。

  その度に彼女は腰を浮かせて痙攣し、まるでアタシの舌を使ってオナニーをしているようだった。

  「陽菜さん……もう許してぇ……♡いやっ……♡あんっ♡」

  口では嫌々言っているが、彼女の手はアタシの頭を押さえつけるようにしてぐいぐいと陰唇に引き寄せてくる。

  そんな様子が可愛くて、アタシはさらに強く吸い上げた。そしてそれと同時に舌の動きを早める。

  そんな時だった。

  細くて長い紐のような何かが首を締め付ける感触がした。

  (え……?)

  突然のことに思考が追い付かないまま、アタシはクンニを止めることができなかった。

  葵ちゃんのしっぽがアタシの首にぐるりと一周巻きついて締め上げている。

  まるでアタシを逃がさないと言わんばかりに。

  (あ……これ、やばいかも)

  無意識だったのだろうその愛情表現に、アタシの子宮がきゅんっと疼くのを感じた。

  彼女のその激しい愛情表現に応えるかのようにアタシは激しく舌を抜き差しする。

  どのみち呼吸も碌に出来そうにないし、絶頂に導いてあげなければ尻尾の巻き付きも緩まないだろう。

  「ああぁっ♡だめぇっ♡もっとぉ♡」と甘い声で鳴きながら、彼女はアタシの頭をさらに強く引き寄せてきた。

  視界が明滅し、酸素の目減りと共に快楽が

  脳髄を犯し始める。

  彼女の腰が浮き上がり、太ももで顔を挟まれる形になるがそれでもアタシは責め続けた。

  葵ちゃんのあそこからは、大量の愛液が溢れ出してきていた。舌を動かす度にぐちゅぐちゅという水音が響き渡り、それは彼女の快楽の深さを物語っているかのようだ。

  鼻から愛液が逆流してくるものの、アタシはそれに構うことなく彼女の膣を貪る。

  窒息死よりも彼女を堪能せずまま終わることの方がアタシには怖かった。

  尻尾も頸動脈を僅かに外してチョークするように締め上げてきていた。それがまたたまらない感覚でアタシは思わず尻尾を握りしめる手に力が入ってしまった。

  「あぁっ♡わらひっ♡ヘンになっちゃうっ♡もうらめぇぇっ♡」

  収縮した膣から舌が追い出され、アタシはトドメとばかりに陰核に歯を立てた。

  勃起してパンパンになっていた陰核を甘噛みしたその瞬間、彼女は大きく仰け反り絶頂を迎える。

  「あ゛あ゛っ!あ゛あ゛ぁっ!!♡」

  性器が激しく収縮し、アタシの顔に潮を吹きかけた。それと同時に尻尾が緩み解放される。

  「ごほっ……けほっけほっ!」

  むせ返るような雌の香りが充満するなか、咳込みながら息を整える。

  鼻の中にまで入った愛液の味が愛おしくてで仕方ないが、それよりも今は酸素が欲しい。

  「陽菜さん……ごめんなさいっ!わたひ……あひゃっ!?」

  謝罪の言葉を遮るようにして、アタシは葵ちゃんの尻尾を引っ張ってやった。

  ココが性感帯なのは幸さんから聞いていたので、ちょっと悪戯したくなったのだ。

  ビクンッと跳ね上がる彼女の身体。その反応に気を良くしてアタシは尻尾を擦ったり揉んだりしてみながら耳元で囁く。

  「オイタが過ぎるよ?葵ちゃん」

  そう言うと彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。

  「あぅ……ごめんなしゃい……」という声が可愛らしいが、許すつもりは毛頭ない。

  彼女の尻尾を強く握りしめて言った。

  「おしおきが必要かな?」と。

  「うん……わたしいい子になるから……いっぱいおしおきして……ください」

  素直で可愛い彼女に満足しつつ、アタシは改めてその尻尾を見やった。

  豊満な脂肪を湛えたヒップの尾骶骨の付け根から生えているそれは、まるで生きているかのように動いているのだ。

  そして今もなおアタシの指から逃れようと必死にもがいていた。

  好奇心に突き動かされるままその尻尾の先端を指先でつつくようにしてみると「あんっ♡」という甘い声が漏れる。

  どうやら本当に性感帯らしい。

  「おしおき……して」という彼女のおねだりを聞いてアタシは尻尾をぎゅうっと握りこむ。

  「ひゃうんっ♡」と可愛らしい声を漏らす彼女の様子に嗜虐心をそそられながら、アタシは大きな大きな桃のようなおしりを撫で回すと、尻たぶを思い切り叩いた。

  「ひんっ!」と短い悲鳴のような声を上げる彼女だったが、その表情は蕩けきっているし、尻尾もアタシの手の中でビクビク震えているのが丸わかりだった。

  「あぅ……痛いよぉ」と涙目になっている彼女を他所に今度は優しく撫でてあげる。すると彼女は嬉しそうに喉を鳴らして擦り寄ってきた。

  もっと叩いておしおきして、とおねだりするような仕草に応え、アタシは何度も彼女のお尻を叩いた。

  「あんっ♡あぁん♡」という甘い鳴き声が部屋に響き渡るのを聞きながら、アタシはひたすら彼女の柔肉を堪能する。

  やがてアタシの手も痛みを覚えてきたところで手を止めた。

  赤くなった彼女のデカケツがパンパンに腫れ上がっているのが見て取れる。

  「痛い?葵ちゃん」というアタシの問いに、彼女は顔を真っ赤にして小さくコクリとうなずいた。

  それがまた可愛らしくてアタシは彼女の頬を撫でる。

  「頑張ったね」と褒めながらキスをすると彼女は蕩けきった顔で舌を絡ませてきた。

  しばらくお互いの口内を貪るようなディープキスを交わした後、アタシは彼女の耳元に口を寄せる。

  そして彼女にしか聞こえないぐらいの小さな声で囁いた。

  「最後に、二人で気持ちよくなろっか?」

  その言葉に、葵ちゃんはコクリと首を縦に振る。

  アタシは彼女をベッドに横にして足を広げさせた。

  そしてその間に身体を割り込ませると、すでに濡れそぼったその花弁へと指を伸ばす。

  そこはもう洪水のように濡れており、アタシの指を容易く受け入れていった。

  葵ちゃんは恥ずかしそうに顔を背けるが、尻尾は嬉しそうに揺れている。

  「指、結構慣れてるね?葵ちゃん結構中でオナニーするんだ?」

  と少し意地悪な口調で言うと葵ちゃんは顔を真っ赤にして俯いてしまった。

  そんな様子に嗜虐心が刺激されて思わず笑みが溢れてしまう。

  「大丈夫だよ、変なことじゃないから」と慰めつつ膣内のGスポットを探すように指を動かす。

  するとすぐにざらっとした部分を見つけてそこを重点的に責め立てていく。

  するとすぐに彼女の口から甘い声が漏れ始めた。

  「あっ♡そこっ♡んっ♡」という声と共に身体を捩らせる葵ちゃん。その反応を見ながらさらに激しく責め立てると、彼女はビクビクッと身体を跳ねさせて絶頂を迎えた。

  しかしアタシはまだ満足できずにそのまま野太い太腿を抱えると、彼女の秘所に自らの陰部を擦り合わせ始めた。

  いわゆる貝合わせというやつである。

  「あっ♡だめぇ♡」という彼女の制止を無視して腰を振り続ける。

  お互いの愛液で濡れそぼった性器同士が擦れ合い、ぬちゃっという淫らな音が部屋中に響いた。

  葵ちゃんの陰唇はアタシの性器にしゃぶりつくようにして刺激してくる。

  蛞蝓の交尾のように腰をくねらせ、お互いの一番感じる部分を探りながら快楽をぶつけ合う。

  ふくらはぎにかぷりと歯を立てるとびらびらがきゅっと縮こまってアタシの性器に絡みついてくる。

  おまんこまで大好き好きすきと抱き締めてくるようなその感覚にアタシは酔いしれた。

  尻尾の付け根を指でなぞってみると、葵ちゃんは「ひゃうんっ♡」と可愛らしい声で鳴いた。

  「ほら葵ちゃんっ♡お豆さん同士がキスしてるよ♡」

  くりくりと腰を回しながら、アタシは彼女に言う。

  「恥ずかしっ……あんっ♡あぅ……」

  指を噛んで必死に声を抑えようとしている姿はとても可愛らしいが、アタシはそれを許すつもりはない。

  葵ちゃんの手をぎゅっと握ると、そのまま倒れ込むようにキスをした。

  肉の最高級ベッドは柔らかい皮下脂肪の乗った筋肉のクッションで衝撃を和らげてくれる。

  アタシの矮躯では溺れて息継ぎができなくなる深さだ。

  沈まぬよう這い上がって酸素を求めてキスをし合う。

  アタシは何度も彼女と唇を重ねた。

  互いの存在を、五感を使って確かめ合うようなそんな優しいキス。

  キスはアタシにとって怖いものだった。

  おやすみ、お出掛け、いってきます。

  いつだって別れの合図でしかない。

  でも今は違う。葵ちゃんとのキスは愛情の交換で、気持ちよくて幸せなものだ。

  腰を押し付け合い、僅かな性器の接触ででも気持ちよさを分かち合う。

  「あんっ♡陽菜さんっ♡すきっ♡もっとぉ♡」

  アタシは葵ちゃんに覆い被さるようにして激しく腰を振る。

  おっぱいにみっともなくしがみ付かなければ、快感の渦に呑み込まれてどこかへ飛んでいってしまいそうだった。

  下腹をぶつけ合う度に子宮がじんじんと熱くなる。

  クリトリス同士が擦れ合う度に膣内が痙攣し、膣内もより熱くなっていった。

  もう限界が近いのだろう。

  汗でびしょ濡れになった身体で葵ちゃんの身体に巻きつき、秘所を押しつけ合う。

  「ああぁっ♡もうダメっ♡」

  先に音を上げたのはアタシだった。

  陰唇同士が激しく絡み合い、お互いの性器が融け合ってしまうかのような錯覚を覚える。

  そしてついにその時が来た。

  雌しべとめしべが、まるでキスでもするように触れ合った瞬間。

  アタシは葵ちゃんの身体を強く抱きしめながら絶頂に達した。

  もう膀胱の中身は出し切っていたせいで潮吹きはできなかったものの、おまんこは断続的に収縮を繰り返し大量の愛液を吹き出している。

  それと同時に葵ちゃんも全身を痙攣させながら絶頂を迎えていた。

  陰唇から噴き出した精液のようなドロドロとした愛液がアタシの股間を汚す。

  その熱さと感触に酔いしれながらアタシはしばらく余韻に浸っていた。

  動けそうに、ない。

  普段からトレーニングを欠かさなかったのは決してこの為ではなかったけれど、無駄ではなかったらしい。

  心地よい疲労感の最中でも、回復したらすぐに立ち上がって行動に移れるだろう。

  汗だくの葵ちゃんの顔に張り付いた髪の毛を整えてあげながらアタシはそう考える。

  尾で締め上げられた首の違和感が、まだ少し残っていた。

  首輪のように腫れてしまっているかも、と

  心配になりつつ首筋を撫でる。

  ああ、なんて事をしでかしてしまったのか。

  「陽菜さん……ごめんね」

  葵ちゃんが申し訳なさそうに言う。

  そんな顔をされたらアタシはどんな顔をしていいかわからないじゃないか。

  だから、彼女の頬を軽くつねった。

  そしてそのままキスをすると、今度は優しく抱き締めてあげるのだった。

  「謝らないでいいよ、葵ちゃん」

  そう呟くと彼女はしゅんとしてしまった。

  尻尾もへたりと垂れ下がってしまっている。

  「私、陽菜さんを傷つけちゃった……。抱きしめてあげたかった筈なのに、尻尾が勝手に首にいってて……」

  泣き出しそうな声で葵ちゃんは言う。

  その表情は不安げで今にも壊れてしまいそうだった。

  そんな彼女の頬に優しく手を添えて、アタシは囁くように言う。

  「大丈夫だよ」と。そしてそのまま頭を撫でると彼女はくすぐったそうに目を細めた。

  別に行為中に首を締められるのは初めてでも無かった。

  『小さい子が好き』な彼女はそう言った嗜虐性も持ち合わせていて、『キモチよくなれるから』とアタシの頸動脈をストップウォッチと顔面とを見比べながら締めてきた。

  アタシが落ちる瞬間、自分もオナニーでイケるとも言っていた。

  彼女の興奮した顔と、ブラックアウトする意識。

  キモチよく無かったと言えば嘘になる。

  気絶したアタシの身体に無茶な事は一切せずに、ただ優しくキスをして終わりにしてくれる事を知っていたから。

  でも、葵ちゃんにこんな倒錯的な行為に耽っていた過去を言うのは憚れたので、角にキスして誤魔化す。

  身体は熱って汗もかいているのに、彼女の尻尾だけは冷たくて気持ちが良かったのだ。

  だから、この首環はアタシが望んだ事でもあった。

  互いの体液に塗れた身体を寄せ合うようにして、どちらともなく距離が無くなる。

  汗は冷える事なく、熱は絶える事なく。

  葵ちゃんの身体はこちらに伝わるくらいの強い鼓動を刻み続けていた。

  熱く火照った皮膚と深く大きな呼吸音、そして時折聞こえる甘い呻きがアタシの耳朶を打つ。

  全速力で短距離を走った後でも、こうはならないだろう。

  些か心配になって思わず声をかける。

  「大丈夫?葵ちゃん……」

  何故だろうか、彼女の呼吸はより荒くなった気がする。

  過呼吸?いや、興奮しているだけ……? どちらにしろマズい状態かもしれないと思いアタシは身体を離そうとするが、何故か逆に強く抱き寄せられてしまった。

  まるで獲物を捕らえたカマキリのように、アタシを抱き締めて離さない。

  吐息は荒く、どこか恍惚としているようにも見える。

  「ちょっと、葵ちゃんってば……」

  心配になりつつ声をかけ続けると不意に彼女の唇が動いた。

  「おなかが熱いの……」

  「お腹……?」

  アタシが聞き返すと彼女はこくりと小さく首を縦に振る。

  手を取られ下腹部に添えられれば、熱を出した子供の額のような熱さを手のひらに感じた。

  思わず顔を顰めるが、当の葵ちゃんはそれ以上に苦しそうな表情をしている。

  「どうしたの?どこか苦しい?」

  慌てて問い掛けると彼女は小さく首を横に振った。

  そして、おずおずと口を開くとポツリポツリと呟き始める。

  「あのね……陽菜さんの匂い嗅いでたら、お腹の奥の方がきゅってなって……。それで、その……」

  そこまで言って彼女は俯いてしまう。

  しかしすぐに顔を上げ、意を決したように口を開いた。

  「お腹の奥の方がムズムズしてて……なんか変で……」

  そう言って葵ちゃんはアタシの手を更に下へと導くと、濡れそぼった秘所へと押し当てた。

  さっきよりも熱い、茹だるような膣内に入った二本指。

  それは火傷しそうな程の熱を帯びていた。

  うねって絡みついてくる媚肉を掻き分けるようにして、ゆっくりと奥へと吸い込まれていけば、その先にはコリっとした部分があった。

  そこがぱくぱくと物欲しげに蠢いているのを感じたアタシは、ゾッとする。

  葵ちゃんのお腹が熱いのも、変な感じがするというのもきっとこのせいだと直感したからだった。

  「お願い……なんとかしてぇ……」

  泣きそうな顔でそう言われてしまえば、断ることなんてできないけれど、コレは一体全体どうしろというのだろうか。

  子宮がこんなになって降りてきているだなんて。

  指が食べられてしまわんばかりだというのに、それでもなお葵ちゃんは切なそうに声を漏らして尻尾をくねらせる。

  髪を掻き乱し、足の指が何かに耐えるように丸まる。

  「葵ちゃん……」と思わず呟くと、彼女はビクリと身体を震わせた。

  「陽菜さん……私もうダメかも……」

  そう呟いた後、後頭部がベッドの柔らかい部分に当たるのを感じた。

  押し倒されたと気付いた時にはもう遅かったのだ、葵ちゃんはアタシの身体に覆い被さって来る。

  膝小僧を掴まれ、大きく股を広げられてしまえばもう抵抗する術はない。

  蛇のように長い尻尾が足の付け根を撫で回すように動く。

  まるで値踏みをされているかのようなその仕草に鳥肌が立ち、アタシは小さな悲鳴を上げそうになった。

  しかしその声は喉奥に張り付いて出てこない。

  やがて尾は葵ちゃんの太腿にぐるぐる巻き付いたかと思うと、その先端で自らの秘所をぐちゃぐちゃと掻き回し始めた。

  先程アタシがやったように、しかしそれよりも激しく、だ。

  その姿はあまりにも卑猥で、アタシは目を逸らすことができなかった。

  『あっ♡あぁっ♡んっ♡』

  短い悲鳴のような声を上げながら、葵ちゃんは自らを慰め続ける。

  愛液を尻尾に塗りたくるように、また自分の発情をアタシに見せつけるように。

  粘性の高い湿った喘ぎが部屋中に響いた。

  尻尾の動きが速まるにつれて、彼女の呼吸は乱れていく。

  「んっ……ふっ……♡」

  時折漏れる甘い吐息と喘ぎが耳にこびりついて離れない。

  そんなアタシの様子を愉快そうに見やりながら葵ちゃんは微笑んだ。

  両の手はアタシの膝をがっしりと掴んで離さないまま、仕上げが済んだとばかりに彼女は尻尾を引き抜いた。

  ぬぽっ、と音を立てて引き抜かれた尻尾はヌラヌラと妖しく光を反射している。

  小さな返しが幾つもついたソレは、まるで槍かエイの毒棘のようだった。

  鎌首をもたげたそれが、淫蜜を纏ってアタシのあそこに押し当てられる。

  くにゅり。

  くちゅり、くちゅ……

  アタシの何かを溶かすように、ゆっくりと押し進められる異物。

  「あっ……あぁっ……」

  アタシは声を漏らした。

  指よりも細く、長い。

  今まで体験した事の無い異物感に、頭が真っ白になる。

  やがてそれは行き止まりへと達し、アタシの中で確かな存在感を主張し始めた。

  それを感じた瞬間、思わず腰が引ける。

  しかし葵ちゃんは逃さないとばかりに腰を押し付けてきた。

  コレがやりたかったと、口が裂けんばかりな笑みを浮かべる彼女に、アタシは恐怖にも似た感情を覚える。

  そして次の瞬間には奥の奥を小突かれていた。

  子宮口に凶悪な形状をした尾の先端が

  めり込む。

  3センチ。

  目盛り付きの棒を押し込まれて、数値で計ってみて言われたのだから間違いない。

  クスコの押し広げられる感触と、アタシの奥を見て興奮している彼女の吐息を思い出す。

  アタシは奥歯を噛みしめることしかできなかった。

  あの時は違和感ばかりで何にも良い気がしなかったから。

  「ねぇ、陽菜さん」

  子宮口に尻尾の先端がぐりぐりと押し付けられる。

  特濃の彼女の体液を塗り込められた毒矢のような尾先が、アタシの子宮口を滅多刺しにし始めた。

  「ふぎゅっ!あふっ♡」

  視界がチカチカと明滅する。

  身体は痙攣し、爪先はピンと伸びていた。

  子宮口への刺激だけで達したアタシの膣が、彼女の尻尾をギチギチに締め付けているのがわかるけれど、それを気に掛ける余裕などなかった。

  「痛くないようにっ♡してあげたいからっ♡ちょっと我慢してね♡」

  葵ちゃんはそう言って、先っぽを更に子宮口に押し込んできた。

  そしてそのままぐりぐりと回転させるように動かされるものだから堪らない。

  「あ"あ"っ!やだっ!」

  アタシは悲鳴を上げたけれど、それは逆効果だったようだ。

  媚毒めいた彼女の体液がアタシの子宮を解せているのだと証左するように、アタシの体は快感に蝕まれていた。

  次第に痛みよりも快楽の方が強くなり始めてきて、甘い痺れが身体中を駆け巡る。

  「やぁぁっ♡おかしくなるぅっ♡」

  ガクガクと膝を震わせながら泣き叫ぶけれど、葵ちゃんは動きを止めてはくれなかった。

  むしろその反応を楽しむかのように尻尾をくいくい動かし始める。

  そしてそのまま子宮口まで押し込んできたかと思うと、今度はゆっくりと引き抜いていくのだ。

  「あ"っ♡やだっ♡それやだぁっ♡」

  アタシは駄々っ子のように首を振ったけれど、葵ちゃんは許してくれない。

  むしろその動きを速めていくばかりだ。

  ずろろっと引き抜かれそうになると締まりきった膣が尻尾を締め付けてしまう。

  そしてまた突き入れられると今度は歓迎するように絡みついてしまうのだ。

  アタシの体も葵ちゃんのようにおかしくなってしまったのかもしれない。

  そんな思考を必死に振り払っていると、不意に彼女の顔が目の前に現れた。

  「どうしたの?陽菜さん」

  無邪気な笑みを浮かべる彼女に胸がキュンとする。

  彼女の狙いがアタシの子宮だとして、それがなんだと言うのか。

  「なんでもないよ♡」とだけ答えて、アタシは彼女の首に腕を回した。

  唇同士を合わせながら、尻尾が子宮口をノックするのを感じる。

  「んっ♡ちゅっ♡」

  舌を絡め合う音と水っぽい音が部屋に響く中、アタシの意識は彼女の尾先に集中していた。

  熱い胎内を我が物顔で動き回るそれを感じながら、アタシは目を閉じる。

  子宮口が自然と開き、彼女を受け入れようとしているのがわかった。

  無理矢理こじ開けられ貫かれるのでは、という恐れはもうない。

  「葵ちゃん……きて」

  その言葉を待っていたかのように、葵ちゃんは身体を歓喜でうち震わせた。

  コツコツとノックをして、ちゅっと吸い付いてくる子宮口に尻尾の先端を徐々にめり込ませていく。

  「あ"ああぁっ♡おぐっ♡入ってぇ♡」

  痛みと快楽が同時にアタシを襲い、目の前が激しく点滅した。

  グネグネと必死にアタシの子宮を解そうとする尻尾が愛おしい。

  弛緩してなお愛するように締め付ける子宮頸管が、奥へ奥へと入ってくる尻尾にアタシは縋りつく。

  葵ちゃんもまた快感に耐えきれず、身体を跳ねさせていた。

  やがて尻尾が完全に子宮内部へと入り込んでしまう。

  「ひぃっ♡んぉ♡おっ♡」

  アタシの口からは意味のない喘ぎだけが漏れるばかりになっていた。

  もう何も考えられないくらいに頭が真っ白になっている。

  そんなアタシを見やりながら葵ちゃんは小さく笑った。

  「ようやくっ♡陽菜さんの中にっ♡私がっ♡」

  恍惚とした表情で何度も子宮内壁を擦るように尻尾を動かされ、アタシは悲鳴のような声を上げる。

  「あ"っ♡やだっ!だめぇっ♡」

  「あっごめんなさいっ♡」

  葵ちゃんは慌てて謝ると、今度は優しく撫でるような動きで子宮を愛撫し始めた。

  「んぁっ♡あぅっ♡」

  アタシの口から漏れるのは甘い喘ぎばかり。

  尻尾が子宮を解す度に、アタシの身体はビクビクッと痙攣する。

  そんなアタシの反応を楽しむように、葵ちゃんはにんまりと笑った。

  「ねぇ、陽菜さん♡わかるかな?わたしがここまで入ってるんだよ?」

  そう言いながら葵ちゃんは下腹部に手を当てた。

  そしてゆっくりと撫で回しながら言う。「ここにね♡」と。

  アタシの子宮がぽこんと押し上げられ指と尻尾でお腹の中から撫でて見せてきた。

  その仕草はとても扇情的で、アタシの子宮はキュンキュンと疼いてしまう。

  「あぁ♡わかるっ♡」

  アタシが蕩けた声で答えると、葵ちゃんは嬉しそうに笑った。

  「えへへ、良かった」

  そう言ってまた子宮を優しく撫でられる。

  まるで我が子を愛しむかのような仕草に胸がいっぱいになった。

  一体此処から何をするのだろう。

  期待と不安が入り交じった感情が胸の中でぐるぐると渦巻く中、アタシは彼女に身を任せることにしたのだった。

  「それじゃあ、もっと奥に入るからね?」

  へ?どう言う意味だろうか。

  アタシの疑問はすぐに解消された。

  ゆっくりと、だが確実に彼女の尻尾はアタシの子宮を侵略し始めているのだ。

  ずぶずぶっと音を立てながら、それはアタシの中へと入ってくる。

  「ああぁっ♡やだっ!抜いてぇっ♡」

  痛みはないものの異物感に恐怖を覚え、アタシは悲鳴を上げた。

  しかし葵ちゃんは聞いてくれないどころかむしろ嬉しそうな声で言うのだ。

  「駄目だよ♡もう後ちょっとだから我慢してね♡」

  葵ちゃんはそう言って更に深く押し込んできた。

  尾の先端が動く度にアタシの子宮は形を変えられていく。

  「んっ♡陽菜さんっ♡左と右、どっちが良い?」

  またも意味不明な事を聞いてくる葵ちゃんにアタシは混乱した。

  「な、なにがっ?」と聞き返すも彼女は答えずにアタシの子宮を優しく撫で回している。

  まるで何かを確認するかのように。

  「んぁっ♡あぅっ♡」

  アタシはただ喘ぐことしか出来ないでいる。

  子宮がきゅんきゅんと疼く感覚に翻弄されてしまっているからだ。

  やがて葵ちゃんは満足そうに微笑むと言った。

  「ふふ、わかった♡じゃあ両方にしてあげるね♡」

  「え?な、なにを言って……」と言いかけた瞬間だった。

  切迫するような圧迫感が下腹部を襲う。

  それが葵ちゃんの尻尾の先が左右に分かれたせいだと気付いた時にはもう遅かった。

  「あ"っ♡やだっ♡それダメッ!なんかやらからぁ!」

  クネクネと動き回る尻尾の先端に翻弄され、アタシは悶絶する。

  それらがアタシの胎内の2点を探り当てたのか、ピタリと止まる。

  アタシは思わず血の気が引いて、葵ちゃんは小さく笑う。

  「見つけた〜♡陽菜さんの良い所♡」

  その言葉を合図にしたかのように、葵ちゃんの尻尾が激しく動き始めた。

  卵管にめり込んできた尻尾の先端がアタシの子宮を左右から同時に侵略し始める。

  「あ"っ♡やだっ!なにこれぇっ♡」

  未知の快感にアタシは悶えた。

  今まで感じたことの無いような感覚に襲われ、恐怖すら覚えてしまう。

  しかし葵ちゃんはそんなアタシの様子などお構いなしといった様子で細い卵管に尻尾を滑り込ませてきた。

  「あ"ぁぅ♡やらっ♡抜いてよぉ♡」

  涙を流して懇願するも聞き届けられる筈もなく、逆にその涙すら舌で舐め取られてしまう。

  そして次の瞬間には尻尾の全てがアタシの子宮に潜り込んだのだ。

  圧迫感と異物感で嘔吐しそうになるが、それすら許されない。

  「あ"っ♡おごぉっ♡」

  アタシは獣じみた声で鳴いた。

  痛みを伴う筈のその行為は、しかしアタシに快楽だけを与えてくれる。

  まるで麻薬のように依存性のあるそれが怖くて堪らなかったが、それと同時にもっと欲しくなってしまっていた。

  そんな葛藤を他所に葵ちゃんはゆっくりと尻尾を動かし始める。

  「ひぎっ♡あ"ぁっ♡な゛っな゛にしでぇ♡」

  こんなところまで蹂躙されるとは思ってもいなかったアタシは、呂律の回らない口調で叫ぶ。

  「やめっ♡やめてぇ♡おがじぐなりゅっ♡」

  快感に狂いそうになりながらも、何とかそれだけは伝えようと必死に叫ぶ。

  しかし葵ちゃんは無情にも一言だけ呟いた。

  「大丈夫♡」

  何が大丈夫なのだろうか。

  アタシの思考回路はもう完全にショートしていた。

  理外の生物とも言える彼女たちの考える事なんてアタシには理解し得ぬと言うのだろうか?

  いや、違う。

  葵ちゃんはアタシを愛してくれているからこそ、こんなことをしているのだ。

  そう。きっと、そう。

  であれば、きっと。

  「あ、赤ちゃん……?赤ちゃんがっ♡」

  アタシは葵ちゃんに問うた。

  もはや自分でも何を言っているのか分からないけど、とにかく彼女にこの行為の意味を問いたかったのだ。

  すると葵ちゃんはニッコリと微笑んで答えた。

  「そうだよ♡陽菜さんのカラダをわたしのモノにしてる所♡」

  その言葉を聞いた瞬間、アタシの中で何かが弾ける音がした。

  快楽という名のそれは、瞬く間に全身へと広がっていく。

  「なんとなくだけどね……わかるんだよ♡こうして段々わたしたちのカタチにしていくとね♡」

  卵管の最奥、キャッチ部へと尻尾の先端を潜らせた葵ちゃんはさらに言う。

  「陽菜さんの中でね、わたしたちの赤ちゃんが作れるように変わっていくんだよ♡」

  じんわりと卵管にまで到達した尾から滲み出る体液がアタシの子宮へと流れ込んでくる。

  それはまるで灼熱のように熱く、そして灼けるように痛かった。

  「あ"っ♡あぁ……お゛ぉ♡」

  痛くても気持ちいい。その痛みすら今は愛おしい。

  彼女は愛おしげに下腹部を撫で回した。

  まるで我が子に語りかけるかのような優しい手つきだ。

  「嬉しいなぁ……♡陽菜さんの中に、私たちの赤ちゃんが出来るんだよ?」

  そう言いながら彼女はゆっくりと尻尾を動かし始める。

  痛みは既にないものの違和感はあった。まるで身体の内側から作り替えられていくような錯覚に陥る程に。

  しかしそれも次第に快感へと変わっていった。

  「あ"ぁっ♡んぎぃ♡やらっ♡やらっ♡へんになっぢゃう♡おなかがへんになっぢゃうよぉ♡」

  取り返しの付かない不可逆的な身体の変貌に、アタシの人間性が必死に抵抗を示していた。

  しかしそれもすぐに打ち砕かれてしまう。

  「大丈夫だよ、陽菜さん♡もっと気持ちよくなっていいんだよ♡」と葵ちゃんはアタシの耳元で囁く。

  そして次の瞬間には尻尾がブルリと震えた。まるで何かを放出するような動きだ。

  それと同時に子宮がじんわりと熱を持ち始める。

  その感覚は今までの全てを塗り潰すような凄まじいものだった。

  「あ"ぁぁぁぁぁぁぁあ!おぉおおッ!」

  「〜〜〜〜〜ッ!♡♡♡」

  声にならない叫びを上げ、アタシは背中を大きく仰け反らせた。

  視界に映るものがチカチカと明滅し、何も見えなくなってしまう程の衝撃が身体中を駆け巡る。

  どくん、どくん。

  心臓の音に合わせてアタシの子宮は激しく収縮した。

  まるでアタシではないものがお腹の中で暴れているような感覚に、アタシは恐怖するよりもまず興奮してしまった。

  「あ、あはっ♡嬉しいっ♡葵ちゃんとの赤ちゃんっ♡」

  アタシは蕩けきった声でそう答えた。

  もう何もかもどうでも良いと思える程に幸福感に包まれている。

  ずるずるとゆっくり尻尾が引き抜かれる度にアタシは甘い吐息を漏らしてしまう。

  「んっ♡あはぁ……♡」

  そして完全に抜け切る直前、葵ちゃんはまたも尻尾をブルリと震わせた。

  「んっ♡離したくないのはわかるけど、本番はこれからだよ?陽菜さん♡」

  葵ちゃんはそう言って尻尾をくいっと動かすと、今度は尻尾をアタシの子宮口にめり込ませたまま引っ張ってきた。

  釣り針のフックのように子宮口が尻尾の先で引っ掛けられる形になり、アタシは絶叫を上げる。

  「んぎゅっ!?あがぁ!おごぉっ♡」

  内臓を直接掴まれているかのような感覚に呼吸すらままならない。

  しかし葵ちゃんはお構いなしとばかりに尻尾を巧みに動かし始めたのだ。

  「ほぉら♡お外に出してあげるね♡」

  「おっ♡お"っ!?やらっ♡やべでぇっ♡」

  敏感な場所に開発されきった子宮を釣り上げるようにして、ずるずると尻尾が引っ張られていく。

  身体の内側を引きずり出される感覚にアタシは悶絶した。

  そしてついに尻尾が膣口から抜けそうになる程の所まで来ると、ピンクの先端がブルルッと痙攣する。

  艶やかな内臓が子宮口から少し顔を出し、尻尾に引っ掛かったままプルプルと震えていた。

  「あはっ♡面白い♡」

  アタシの股座を見つめながら葵ちゃんは笑う。

  そして再びその尻尾をくねらせ子宮口をくちゅくちゅと刺激し始めた。

  「あ"ぁ♡それぇ、だめぇ♡」

  敏感になっている粘膜を尻尾の先端で弄ばれ、アタシは喘ぐ以外何も出来なくなってしまう。

  アタシの反応を楽しむかのように、彼女は指先で子宮口をなぞったりコリコリと刺激したりし始めた。

  「ほぉら♡こしょこしょ〜♡」

  「ひぎっ!あはぁぁぁ♡♡」

  暴力的なまでの快楽が押し寄せてくる。

  脳味噌ごと掻き混ぜられているかのような錯覚に陥り、アタシは意識を手放しかけた。

  すると、それを許さないとばかりに尻尾の先端が子宮口をくぱぁ♡と押し広げる。

  「あ"ぁぁっ!♡♡♡」

  アタシは獣じみた声で叫んだ。

  もう何も分からない。ただ気持ちいいという感情だけが頭を埋めつくしている。

  そんなアタシの様子を見て葵ちゃんは満足そうな笑みを浮かべた。

  「もう大丈夫そうだね♡」

  そう呟くと同時に葵ちゃんは尻尾を思い切り引き抜いた。

  「おぉぉおぉぉっ♡♡♡」

  ずるるるるるっと勢いよく引き抜かれた尻尾によってアタシは激しく絶頂を迎えてしまう。

  返しのついた尻尾が子宮口を引っ掻くようにしながら引き抜かれた事で、アタシは舌を突き出してアヘ顔を晒しながらビクビクと痙攣していた。

  「あ……あへぁ♡」

  焦点の合わない瞳で虚空を見つめながら放心するアタシに葵ちゃんは言う。

  「ふふ♡可愛いよ陽菜さん♡わたしのココも陽菜さんを妊娠させたいって言ってるもん♡」

  そう言って葵ちゃんは息も絶え絶えのアタシの眼前に匂い立つようなアソコを差し出した。

  指でグチュグチュと掻き回した矢先、中からぬぷぅ♡っと子宮がまろび出る。

  先程アタシの指を咀嚼してきた子宮口をひくつかせながら、彼女は妖艶な笑みを浮かべて言った。

  「陽菜さん♡わたしのココ……舐めて?」

  淫猥に蠢動する子宮を目の前に差し出されたアタシは、考えるよりも先にそこに口付けをしてしまう。

  ちゅっ♡と軽く触れるだけのキス。

  それだけでも子宮は歓喜に打ち震えるように痙攣した。

  「あはっ♡」

  嬉しそうに笑う葵ちゃんの声が聞こえたので、更に強く吸い付く。

  ちゅっ♡ちゅぱっ♡と卑猥な水音を立てながらアタシは夢中で子宮に舌を絡ませた。

  そして舌先でくにゅっと柔らかい肉の塊を押し込むと、葵ちゃんは「んぁっ♡」と甘い声を漏らす。

  ツルツルコリコリとした子宮口とは打って変わり、子宮本体は柔らかい粘膜に覆われていった。

  その感触はまるでゼリーのようでもあり、マシュマロのようでもある不思議なものだった。

  「あはっ♡陽菜さんっ♡いいよぉっ♡」

  葵ちゃんはそう言ってアタシの頭を優しく撫でる。それが嬉しくてアタシは一心不乱に子宮を舐め続けた。

  やがて彼女の子宮口は柔らかく解れ始めると、アタシはその先端を口に含む。そして歯を立てないように気をつけながら舌を這わせた。

  舌先で味わうようにして丁寧に舐め回すと、それだけで葵ちゃんは身体を反らせて反応する。

  「あっ♡陽菜さんっ♡それ好きぃ♡」

  彼女は快楽に蕩けた表情を浮かべながら、甘い声で呟いた。

  ぴゅっぴゅと吐き出される液体を舐め取りながら、アタシは一心不乱に奉仕を続ける。

  そして一通り味わい尽くした所で口を離すと、今度は舌先でツンツンと突っついた。

  「あぁんっ♡もうっ♡陽菜さんったら♡」

  葵ちゃんはそう言いながらも尻尾の先端をアタシの頬に押し当て、続きを促してくる。

  もう我慢の出来ないアタシは、その先端を口に含むとそのまま一気に根元まで飲み込んだ。

  喉奥まで突き入れられ、一瞬嘔吐きそうになるも必死で堪える。

  そんなアタシを見て葵ちゃんは愛おしげに微笑んだ。

  「あはっ♡いいよぉ♡陽菜さんっ♡」

  子宮が上顎にぺったりと張り付き、呼吸すらままならない。

  それでもアタシは必死になってそれをしゃぶった。

  子宮が喜びに打ち震え、ビュルルルルッ♡と粘っこい液を噴き出してくる。

  飲み下せば飲むほどに葵ちゃんの子宮はアタシに懐き、まるで赤子のように吸い付いてきた。

  非現実的で倒錯的なその光景に、アタシは崩れ去った理性の残りカスでさえも吹き飛んでしまいそうになる。

  「んぶっ♡じゅるっ♡」

  子宮がアタシの口から離れる事はなく、彼女は愛おしそうに下腹部を撫で回していた。

  我が子を慈しむかのように優しく愛撫している姿は聖母のようですらあった。

  もはやアタシに人間としての尊厳など存在しない。

  牝としての幸福感に包まれて、アタシは絶頂していた。

  「んっ♡陽菜さん♡」

  葵ちゃんは子宮口を突きだし、まるでキスをせがむかのような仕草をする。

  そして彼女は耳元で囁いた。

  「そろそろ……いい?」

  その問いに対してアタシは小さくコクリと肯くことしか出来なかった。

  もう迷う必要はないのだ。

  自分だけの、いや、自分とこの子だけの楽園を作っていく事に躊躇いなど必要ない。

  「嬉しい♡」

  葵ちゃんは歓喜に声を震わせていた。

  彼女の生来から感じていたであろうこの世界からの孤独感をアタシが埋めてあげられるのなら、こんなに喜ばしい事はない。

  だから……もう我慢などする必要はないのだ。

  「きて……♡」

  アタシは四つん這いになるとお尻を突き出して言った。

  子宮口がふるふると揺れ動きながら開閉しているのが分かる。まるで呼吸でもするかのように、早く入れて欲しいと急かすかのように。

  興奮しきった葵ちゃんの子宮頸部がアタシの子宮口をくぱっと押し広げる。

  その感覚がたまらなく心地良くて、アタシは思わず甘い吐息を漏らした。

  「いくよ。陽菜さん」

  そしてついにその時が来た。

  彼女の子宮が喰らい付くようにアタシの子宮口とぴったりと密着する。

  「あっ……♡」

  待ち望んでいた感覚にアタシは歓喜に打ち震えた。

  子宮同士がお互いを求め合うように吸い付き合い、そして……

  「ん"おぉぉおぉぉっ♡♡♡」

  アタシの子宮が、葵ちゃんの子宮に飲み込まれた。

  捕食されるかのような衝撃に、アタシは舌を突き出して獣じみた嬌声を上げる。

  その瞬間、今まで感じた事の無い幸福感に全身が包まれた。

  まるで幸せの絶頂にいるような感覚に陥りながら、子宮同士が絡み合う快感に溺れていく。

  「あはっ♡入ったぁ♡」

  葵ちゃんはうっとりとした表情を浮かべながら自分のお腹を優しく撫で回していた。

  そしてゆっくりと子宮同士が絡み合った部分を撫で回すように尻尾を動かす。

  その瞬間、アタシの脳天を貫くような凄まじい快楽が襲い掛かってきた。

  「ん"ぉッ♡♡♡」

  視界がバチバチと明滅し、意識を失いそうになる程の衝撃が駆け巡る。

  子宮同士のディープキスはアタシに未知の感覚を与えていた。

  それは今まで感じた事のない程の強烈な快楽で、アタシの思考回路を焼き切っていく。

  「あ"ぁぁッ♡♡♡んぉおぉぉッ♡♡♡」

  ぶしゃっと音を立てて潮を吹きながら、アタシは叫んだ。

  全身が痙攣し、身体がガクガクと震える。

  そんなアタシの姿を見た葵ちゃんは楽しそうに笑う。

  「あはっ♡すごい声♡そんなに気持ちいいんだ♡わたしもきもちいぃよぉ♡陽菜さん♡」

  そう言って彼女は尻尾をくねらせ、アタシの子宮と自分の子宮を擦り合わせた。

  「んぎぃぃっ♡♡♡あ"ぁぁッ♡♡♡」

  まるで電流でも流されたかのような衝撃に、アタシは絶叫を上げる事しか出来なかった。

  しかし葵ちゃんは容赦なく腰を動かし始める。

  「もっと♡もっと気持ち良くなって?陽菜さん♡」

  そう言って彼女は尻尾をくねらせて子宮同士を擦り合わせたり、前後に動かしたりする。

  虫の交尾のように激しい動きにアタシの子宮は悲鳴を上げた。

  だが、そんな事などお構い無しといった様子で葵ちゃんは快楽を求めてくる。

  「陽菜さんっ♡陽菜さぁん♡」

  「あ"ッ♡♡♡んぎぃッ♡♡♡」

  子宮がゴリゴリと押し潰されそうな程の勢いで締め付けられ、熱いまでの胎内で蕩けそうな程の快感を味合わされる。

  子宮同士が絡み合い収縮する度にアタシは絶頂を迎えていた。

  アタシの壊されてもなお子宮同士の交尾を求めようとするその姿は、まさしく牝としての本能を剥き出しにした姿そのものだ。

  排卵を誘発するように葵ちゃんの子宮は収縮し、アタシの卵巣を刺激する。

  まるで自分が本当の意味で人間ではないモノに作り替えられていくような感覚に陥り、アタシは興奮した。

  しかしそれと同時に葵ちゃんに対する愛情が深まっていくのを実感する。

  もう後戻りなどできない。

  アタシはこの快楽から逃れられないし、逃れるつもりもない。

  そんなアタシの心情を察したのか、葵ちゃんが覆い被さるように強く抱き締めて来る。

  大きな身体は柔らかで、その温もりがアタシに安心感を与えてくれた。

  自分の所有物に対するような乱暴さで子宮同士を擦り合わされ、アタシは声にならない喘ぎを漏らす。

  葵ちゃんの動きが激しくなるにつれ、そのスピードも上がっていく。

  それに合わせて快感もどんどん膨れ上がり、ついに限界が訪れようとしていた。

  もう四つん這いでもいられずにベッドに突っ伏し体液塗れでビクビクと痙攣するアタシに、葵ちゃんは覆い被さるようにして尻尾を絡ませた。

  一緒にイキたい。

  その思いからアタシは両手を恋人繋ぎにして彼女の手を強く握ると、葵ちゃんは嬉しそうに笑った。

  そしてついにその時が訪れる。

  「陽菜さん♡一緒にっ♡♡」

  「あ"ぁッ♡♡♡きてぇぇ♡♡♡」

  ごぷっという音と共に、葵ちゃんの子宮の中からどろりとした何かが溢れ出てアタシの子宮を満たしていく感覚があった。

  それと同時にアタシも絶頂を迎えてしまう。

  「〜〜〜〜〜ッ♡♡♡」

  声にならない叫びを上げながら、アタシは全身を激しく痙攣させる。

  そんなアタシを葵ちゃんは愛おしげに抱きしめてくれた。

  解された卵管を彼女の体液が満ち、卵子に辿り着いたのが分かる。

  精液とも違う、暖かくて気持ちのいい感覚が卵巣を満たしていた。

  アタシは幸福感に包まれながら、意識を手放すのだった。

  ☆☆☆

  「ん……」

  目が覚めるとそこは自分の部屋だった。

  時計を見ると朝方のようだが、どうにも身体の調子がおかしい気がする。まるで泥酔した後のような倦怠感に頭痛、そして何よりお腹に違和感を感じる。

  まるで何かがアタシの腹腔内に居座っているかのような感覚だ。

  「あ……れ……?」

  その違和感の正体が分からず、恐る恐る自分の腹部に手を当ててみると、そこには何かがあるような感触。

  見ればアタシの中に黒々した尻尾が入ったままになっていた。

  「……夢じゃなかったんだ」

  そう呟きながら、アタシは尻尾を少し引いてみる。

  子宮口に引っ掛かるようにして差し込まれているのを感じて、深くため息を漏らした。

  「はぁ……どうしようこれ」

  とうのしっぽの持ち主はと言えば、隣でくうくうと寝息を立てている。

  可愛らしいものとは到底言い難い、禍々しくも見える尻尾をアタシの中に埋め込んだまま。

  「ん……陽菜さん……?」

  葵ちゃんは眠そうな目を擦りながら身体を起こすと、自分のお腹に手を当てて首を傾げた後……。

  「……あっ」

  何か思い出したかのような声を漏らした。

  そして少し恥ずかしそうにしながら口を開く。

  「えっと……その、なんというか」

  もじもじと身を捩らせながら言い淀む彼女だったが、尻尾をくっとアタシの子宮に押し当ててきた。

  その感触に、思わずビクンと反応してしまう。

  「あっごめんなさい!陽菜さんの飛び出ちゃってたの、戻そうとしてえ……それで、その」

  ぎゅっと押し込もうとしてこれ、らしい。

  葵ちゃんは恥ずかしさで顔を真っ赤にして俯いてしまった。

  「あ……あはは、アタシこそごめんね」

  汗やら体液やらで湿りきった髪を梳くように撫でながら、アタシは言う。

  ヒドいニオイのする部屋の中、アタシたちは沈黙したまま見つめ合った。

  「ねぇ葵ちゃん」

  「はい?」

  先に口を開いたのはアタシだった。

  そしてそのまま言葉を続ける。

  「責任取ってくれるんだよね?尻尾まで入れて栓しちゃってさ、もう元には戻らないかもしれないんだよ?それでもいいの?」

  本当に責任を取らねばならない立場はアタシ自身。

  そう分かってはいるが、こうして言葉にすると興奮する自分がいるのも確かだった。

  女性同士からの子供の誕生は、些かセンセーションには欠ける。

  しかし、アタシ達のしでかす事は、葵ちゃんやその姉弟の二の舞になりかねない。

  その重みに耐えかねられずに葵ちゃんがアタシの元から去るかもしれないというリスクを孕んでいるというのに。

  「はい」

  それでも葵ちゃんは、屈託のない笑顔で答えてくれた。

  その笑顔が眩しすぎてアタシは目を逸らす。

  これ以上目を見ていたらいけないような気さえするし、何より恥ずかしい。

  そんな自分の気持ちを抑え込むように深呼吸した所で、アタシは再び口を開いた。

  「返事ばっかり良い子に育ったわけじゃないのは知ってるけど、後悔しない?」

  「怖いよ、アタシ。葵ちゃんを縛り付けちゃうのが」

  正直な気持ちをぶつける。

  葵ちゃんを好ましく思うからこそ、彼女にはアタシよりも幸せになれる道があるんじゃないかという考えが頭から離れないのだ。

  いっときの脳内物質の起こした感情に、一生涯を委ねて良いのだろうか。

  「葵ちゃんはそりゃ綺麗で背丈だって高くて大人びてて、アタシなんかよりよっぽどいい人が見つかるよ。だから……」

  「陽菜さんは」

  葵ちゃんは少し語気を荒げて言った。その迫力に思わず口をつぐむ。

  「陽菜さんはわたしの事、嫌いですか?」

  そんな訳がない。

  でもそれを言葉にする勇気は、この朝日の中では持てそうに無かった。

  「素直じゃない」

  そんなアタシを見て、葵ちゃんはクツクツと笑いながら距離を詰めてくる。

  逃げたくとも、子宮に繋がったままの尾がそれを許してくれない。

  くりくりと円弧を描くように尾を動かされ、アタシは甘い吐息を漏らす事しかできなかった。

  「陽菜さんはわたしの事嫌いですか?」

  葵ちゃんはアタシの顔を覗き込むようにしてそう聞いてきた。

  もう、逃げられない。

  「……す……き……」

  「姪っ子として?」

  アタシは首を横に振る。それを否定するように。

  そして意を決し葵ちゃんの目を見つめ返すと、今度ははっきりと言った。

  「……愛してる」

  その瞬間、彼女の尻尾がアタシの中でビクンっと跳ね上がり、小刻みに震え始めた。

  悦びにうち震えているかのように、それはアタシの中で脈打つように動く。

  心臓のように子宮が脈打つ感覚に、アタシは身悶えした。

  「あ"っ♡んぉお♡」

  子宮がキュンっと収縮し、しっぽを締め付けてしまう。

  すると葵ちゃんの口からも艶っぽい声が漏れ出した。

  「んっ♡わたしも、陽菜さんの事、愛してます♡」

  ちゅぷちゅぷと子宮で抽送される尻尾に翻弄されるも束の間、ゆっくりと優しく引き抜かれていく。

  「あ……あぁ……♡」

  子宮口がちゅぽんっと尻尾を離すと、その先端からどろりと粘ついた液体が垂れ落ちるのを感じる。

  それは紛れもなく葵ちゃんの愛そのものだった。

  そのまま尾がずるずると引き抜かれていき、アタシは喪失感に身を震わせる。

  しっぽを膣が離したくなさげに締め付け、何処までも貪欲に尻尾を離すまいと吸い付いていた。

  「あはっ♡陽菜さんのおまんこ、わたしのしっぽ離したくないって吸い付いてきてる♡」

  「も……もうっ」

  ぬろーっと引き抜かれる尻尾に、アタシの膣は名残惜しげに絡みつく。

  やがてちゅぽんという音と共に完全に抜け切ると、その喪失感を埋めるかのように子宮が疼いた。

  葵ちゃんの愛を注がれた子宮は、まるで赤ちゃんのように彼女の愛を啜り上げているかのようだ。

  「あ……あ……♡」

  子宮が痙攣し、収縮する。その刺激で軽く達してしまいそうなほどの快感が込み上げてくるものの、アタシは必死で耐えた。

  「葵ちゃん……」

  彼女の名前を呼ぶと、先程までつながり合っていた尾の先がアタシの口元に差し出される。

  それはまるで口吻をねだるように突き出されていた。

  互いの体液で湿るそれを、アタシは躊躇なく口に含む。

  溶け落ちたアイスを掬い取るかのように尾の先端を舐め上げ、口に含んで吸い取り綺麗にして解放する。

  それはまるで愛おしいモノを扱うかのようだった。

  そしてそのまま、細い尾はアタシの左手へと。

  あまり使わない指に絡みつくようにして愛撫し、その指の付け根をつんっと突く。

  それが意味する所はひとつ。

  「葵ちゃん……いいの?」

  思わずそんな言葉が出てしまう程にはアタシも驚いていた。

  だが、彼女は微笑みを返すだけだ。

  そんなアタシを見て葵ちゃんは嬉しそうに微笑んでくれる。

  その笑顔に、思わずドキリとした。

  「陽菜さん」

  そう言って彼女は自らの左手をアタシの顔の前に差し出す。

  まるで何かを期待するかのような眼差しに、アタシは吸い込まれるようにしてその指に舌を伸ばした。

  紅を指す指を咥え込み、少し強く歯を立てれば、僅かに血潮の味が口内に広がってゆく。

  その味をもっと感じたくて、更に深く咥え込んだ所で、葵ちゃんはアタシの口から指を引き抜いた。

  「んっ……はぁ……♡」

  引き抜かれる際にも名残惜しげに吸い付く自分の浅ましさに呆れながらも、アタシは彼女の指から口を離した。

  誓いの指輪か、互いを魅了し合う枷か。

  葵ちゃんの左手薬指には赤い歯形が、アタシには彼女の尾が巻き付いていた。

  「これでもう、ずっと一緒ですね」

  「うん、ずっと一緒。葵ちゃん」

  ふたりだけの誓いを胸に刻み、アタシ達は再び唇を重ねるのだった。