サンプル -04- 繁殖指導官

  一切の動揺がない。

  「初めてだろう?勃起した男性器を見るのも。」

  理知的な低音を耳にし。

  僕が――こくりと、無言で頷くと。

  獅真さんの武骨な右手が頭を撫で。

  「オメガにとって、アルファの身体に慣れることはとても重要だ。」

  『っ、は、ぁ・・・―――♡』

  無意識に息が止まってしまっていた僕は。

  慌てて吸い直すもまた――

  獣の強い匂いが鼻腔を満たし、余計に頭をぼんやりとさせ。

  見入って、しまう。

  「ほら、これが強くて逞しい・・・―――

  雄アルファの中の雄アルファの、フェロモンだ。」

  そんな僕に。

  落ち着き払った低い声が僕の頭上から降り注ぎ。

  その声色は。

  興奮を押し殺しつつも、どこか。

  自信満々といった様子であって。

  逃げ場など、もうどこにもない僕は―――――

  「そして君のフェロモンが……俺をこうさせている。」

  『ぁ・・・はひ・・・♡』

  目の前に突きつけられた"それ"が視界を占領する。

  大きい。

  熱を持った雄の塊が、鼓動を刻むように脈打っている。

  こんな間近で"アルファの身体"をまじまじと見ることになるなんて。

  「ほら、しっかり嗅いで。好きにするといい。」

  ――気付けば。

  僕は頭を優しく撫でられていた。

  思考がぼんやりと蕩けかけている―――

  それを悟っている手つき。

  優しいのに、決して拒めない。

  『ぁ……ぁ、ぁ……っ♡』

  もう思考が溶け切った僕は――

  言われるがまま。

  まずはその、すぐそこにある逞しい肉竿。

  それを右の指先で触れてみる。

  びくんっ♡ビくっ、ぶしゅっ♡

  『ぅぁ…―――っ♡』

  刹那。

  どくん、と大きく跳ねる肉巨根。

  その脈動に、その熱さに。

  僕は驚きながらも両手指を添えて。

  『ぅっ……す、すごい……♡』

  しゅっ、くにゅっ♡

  「ん…っ…ふ、ああ…いい……っ」

  血管の浮き出た太い肉幹に沿って。

  普段。

  自分の竿を扱く時よりも優しく。

  ――上下に動かすと。

  しゅっ、くにゅっ♡ぴゅっ、ぶしゅっ♡

  『ぁ・・・すご、ぃ………♡』

  手のひらを燃やしてきそうな熱と。

  僕の両手を振りほどきそうにしゃくり上がる、力強さ。

  それでいて脳みそが溶けそうなほどのいいニオイに―――

  『ぁ・・・す、ご……―――♡』

  「ふう。上手だ・・っ・・ほら、口でも感じてごらん?」

  優しい声色なのに。

  どこか有無を言わさぬその――命令。

  それとともに。

  獅真さんの、逞しい太腰。

  それがずんっ、とこちらに突き出てきて―――

  亀頭が唇に、押し当たる。

  ―――ぶちゅっ♡

  『―――ぁ―――♡』

  雄のニオイいが強まり、脳がぼんやりと痺れる。

  そんな凶悪な、誘い。

  それを受けて僕は半開きの口を大きく開けて―――――

  『ぁ・・・―――あん、あむっ♡』

  くちゅっ♡れろ、ぺろっ♡

  「っ、ん、おお"・・・っ♡」

  ―――傘の張った亀頭。

  それを口いっぱいに頬張ってみると。

  その途端。

  『んむっ・・・っ♡』

  熱く脈打つ、太すぎる肉の幹。

  ビクんビクんっ、としゃくり上がるその太い肉ストローは――

  ねばっとした我慢汁を僕の口腔に噴射してきて。

  『んっぶっ、んぐっ♡』

  舌先に絡みつくアルファの塩辛い味。

  口内に広がる雄臭さは――鼻腔をも支配して。

  僕の頭をさらにぼんやりとさせ。

  それでも僕は。

  噴射される我慢汁で窒息せんと。

  ――溢れ出る我慢汁を。

  ストローですする様に飲み干していく。

  『んっんぶっ♡んっぐっ、んく・・―――♡』

  「ぅぉ、ん、ああ・・・っ、上手だ・・・っ♡」

  中年の雄獅子アルファである、獅真さん。

  その雄声は終始、優しく。

  ――余裕すら感じさせつつも。

  その大きな右手が愛おしげに僕の頭を撫で。

  頬張る僕を"いい子だ"と労うように褒めてくれる。

  まるで。

  指導とは名ばかりで。

  今の、獅真さんは―――"オメガを完全に手懐けた雄"

  それでしかなくて。

  『(こんなの……おかしい……♡)』

  「……ん、そう……だ。いい子だ……」

  ―――そうは思う、けど。

  獅真さんの手のひらは僕の頭を撫でながら低く囁き。

  ごつごつとした指先さえ心地いい。

  『んっ、んぐっ、んっぶ……っ♡』

  耳まで真っ赤に染まっているのが自分でも分かるほど。

  その熱を感じつつ、必死に舌を動かして―――

  熱を帯びた肉の幹が口内を蹂躙し、喉奥までずっしり押し込まれる。

  「……ふっ、く……ぅ……」

  頭がぼんやりと蕩け始めた、その時だった。