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心配

  秋信は倒れている望を見て、動揺から一瞬固まったが、すぐに望の容体を確認し始めた。

  「望くん! 聞こえる!?」

  望の体に手を当てると、信じられないくらい熱かった。

  (落ち着け……これくらいなら、治せるんだから……)

  望の体調を治すために術を使おうとするが、動揺からか、なかなか術が使えない。

  (何で……何で使えないんだよ!)

  秋信の焦りは増すばかりで、一向に術は使えなかった。

  「秋信! こいつ苦しそうだよ!」

  側にいたクロの声で、我に返る。そしてすぐに、望を家の中へと運んだ。

  (僕は、何をしているんだ……術が使えなくても、看病くらいはできるというのに……それすらすぐに気づけなかったなんて……)

  [newpage]

  「秋信さ……望!?」

  秋信が望を運んだ状態で、戻って来たのを見た立は、驚きを隠せずに、駆け寄った。恵奈もかなり驚いている。

  「玄関の前で、倒れていたんだ……布団を出すから、様子を見ていてくれるかな?」

  「はい」

  秋信は一旦、望を畳の上に寝かせ、布団を敷きに別部屋へ向かった。

  「……苦しそう」

  望を見て、恵奈は呟く。

  「おとなしく寝てろって言ったのにな……」

  「立くん?」

  「……まあ、信用もなくなるか」

  立は小さく、そう呟いた。

  [newpage]

  その後。別室に敷いた布団に、望を寝かせ、濡らした手拭いを額に乗せた。

  「望くん、大丈夫かな?」

  心配そうに、恵奈が言う。

  「……まあ、よくあることだから大丈夫だろ」

  そう言う立だが、心配が表情に出ていた。

  「こんにちはー」

  玄関の方から純可の声がし、恵奈は目を見開いた。

  「この声……お、お姉ちゃん……?」

  「……出てくるね」

  そう言って、立ち上がろうとした秋信だが、羽織を望に掴まれていることに気がつく。

  「あー、俺が出てきますよ」

  「……ありがとう」

  立は代わりに、玄関へと向かった。

  「……秋信さん、お姉ちゃんとも知り合いだったんですね……」

  「うん。じつは、君が純可ちゃんと姉妹だってことも、知っていたんだ。黙っていてごめんね」

  秋信が謝ると、恵奈は首を横にふった。

  「大丈夫です! でも……お姉ちゃん、まだ怒ってたらどうしよう……嫌われちゃってたら、どうしよう……」

  立と純可の足音が近づいてくる。恵奈は、身構えた。

  「大丈夫だよ。君のお姉さんがどういう人なのか、恵奈ちゃんはよく知ってるでしょ?」

  恵奈は、秋信の言葉にゆっくりと頷く。そして、部屋の戸が開かれた。

  [newpage]

  「秋信さん、こんにちは。事情は立くんから聞きました。それと……妹が迷惑をかけてしまって、ごめんなさい。恵奈を見つけてくださって、ありがとうございます」

  純可は頭を下げる。

  「僕は、迷惑だなんて全く思ってないよ。顔を上げて」

  「……ありがとうございます……恵奈……」

  純可の視線が、恵奈に向けられる純可は、怒っている目をしており、恵奈は思わず震えた。

  「……二人っきりで話したほうが良さそうだね。僕達はこの部屋にいるから、居間の方で話してくるといいよ」

  「ありがとうございます」

  秋信の提案に、純可は礼を言い、恵奈を連れて居間の方へと向かった。

  居間につくと、純可は思いっきり恵奈を抱きしめた。

  「!?」

  「ばかっ! 帰ったらいないし、連絡もつかないしで……気が気じゃなかった! どうして何も言わずに家を出たの!?」

  恵奈の肩辺りが濡れていき、純可が泣いているということに気がつく。

  「……ごめんなさい。昨日、あんなこと言っちゃったから……合わせる顔なくて、思いっきり泣きたくて……」

  「……本当に心配した」

  「ごめんなさい」

  「謝ってほしいんじゃない……そもそも昨日の件は、私も悪かったわ。ごめんなさい……」

  恵奈は、罪悪感で胸が締め付けられていた。

  「……お姉ちゃん」

  「ん?なに?」

  「私ね……」

  恵奈は、黙っていたことを言うと決め、ゆっくりと口を開いた。

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