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「……どうして、こうなったんだ……」
浮遊大陸、ガスコのパレシアに代わる新たなる首都、ファラオ。
かつての戦争から一年の時が経過し、かつての首都の様相に負けず劣らずの栄華を誇り始めていたその街並みは──
「何度見ても……嫌な光景だな……」
巨大戦車、タラニスの幾多にも及ぶ砲撃によって、見る影もない程に蹂躙されていた。
進路に広がる無数の瓦礫。方々から立ち上る炎と黒煙。砲撃に巻き込まれ、傷ついた人々……
数え上げればキリがないほどの惨状の数々に、白い毛並みのイヌヒトの青年──ウインドは苦虫を噛み潰したような表情をしながら、観測室のモニター越しにその光景を見つめていた。
「これ……みんな、おにいちゃんたちがやったの……?」
「ううん、そんなわけないよぉ!マルト達がいきなりこんな酷いこと、するわけないもん!」
「でも、この光景はさすがに気のせいやうっかりなどではとても済まないレベルなのですよ……」
その後ろで、同じくモニター越しに映る光景を見つめながら、少しぶかぶかなハンチング帽を被った小さなイヌヒトの少女──メイが目に涙を浮かべると、大きな体躯をしたオーバーオールのネコヒトの少年──ボロンがそっとその体を抱き寄せ、惨状が極力見えないように自分の体で視界を塞ぐ。
しかし、目の前に広がる光景とスピーカーから響く悲鳴は、白衣を着た眼鏡のイヌヒトの少年──ソックスが言う通り、子ども達が受け止めるにはあまりにも残酷で無慈悲な現実であった。
「でもこれだけのこと、あれだけみんなを守ろうとしていたマルトが起こせる訳も理由もない……それにシーナだっているんだ。きっと何か、タラニスそのものが暴走してるに違いないよ」
その3人の横で、額にわずかな傷が見え、腰のホルスターに拳銃を携えたイヌヒトの少年──ブリッツが、冷静に分析をしながら諭すように言う。
その言葉にウインドは小さく頷くと、モニターに背を向け、真剣な表情で子どもたちへと向き直る。
「とりあえずはこのまま追いかけよう。この戦車……タラスクスならきっと何かできるはずだ」
ウインドの言葉に全員がコクリ、と頷くと、ブリッツたちはどこか慣れたように戦車の中を動きながら、それぞれ行動を開始し始める。
その背中を見送ると、ウインドは自らの傍でどこか祈るように目を瞑って立っている、ネコヒトの少女の背中を優しく擦った。
「……きっと、みんな無事だよ。だから、今は僕らに出来ることをしよう」
その言葉に、少女は閉じていた双眸をゆっくりと開く。
その目尻には、涙が浮かんでいた。
「さぁ、行こう」
その涙を、少女──ハンナは自らの手でそっと拭うと、今度は力強く頷いた。
「えぇ。……わたし達で、なんとかしましょう……!」
──本当になぜ、こうなったのか。
時は、幾分か遡る──。
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