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虎獣人の幼馴染といちゃいちゃするだけ。

  人間の少年、小川たもつは、頬を赤らめながら唇を真一文字に結んだ。

  「これ、じっとしてないとだめかな……?」

  たもつが眉を寄せながら尋ねると、彼が思いを寄せる幼馴染の虎獣人――縞島笑(しょう)は元気よく応えた。

  「ん? あたりめーだろ筋トレなんだから。おいっちに! おいっちに!」

  「恥ずかしいんだけど!」

  笑が声を上げるたびに、たもつの視界が上下し、頬に温い息と、柔らかい皮毛が当たる。たもつは笑にお姫様抱っこされた状態で持ち上げられ、バーベルのように扱われていた。

  「ふんすっ! ふんすっ!」

  「話聞いてよぉ……みんな見てるんだってば……」

  教室外の廊下でしているせいで、周りの道行く生徒から奇異の視線を向けられている。たもつは恥ずかしくて、顔を天井に向けた。

  「なにも恥ずかしがることないだろ? 悪いことしてるんじゃなし」

  屈託ない笑顔を向けてくる幼馴染に向かって、たもつは声のトーンをいつもより少し上げる。

  「こういうことするならはじめに言ってくれないかな!?」

  「だって正直に言ったら絶対断ると思ったからさ」

  「わかってるならダンベル持てばいいじゃない! 腕立て伏せで足を押さえるくらいだと思ったよ!」

  昼休みになってすぐに筋トレの手伝いを頼んできたと思ったら、こんなことになるなんて。正直死ぬほど恥ずかしい。

  笑はそんなたもつの様子をおちょくるように言った。

  「おいおい、なにがそんなに恥ずかしいんだよ。どっちかというと恥ずかしいのは俺じゃないか?」

  彼が面白がってトロフィーのようにたもつを掲げると、周りの視線が、一層突き刺さるような気がした。

  「やめてっ! そんな掲げないでっ!」

  「なんだー? なにがそんなに恥ずかしいのか言ってみろー? 女の子みたいに持ち上げられてるのがそんなに恥ずかしいのかー?」

  「わかってるじゃん!」

  「じたばたすると落ちるぞ……っとぉ!」

  言いながら笑はたもつを胸元に抱える。制服越しの分厚い胸板の感触に、心臓が跳ね、頬が熱くなる。

  「おーい、顔赤いぞー? 大丈夫かー?」

  「だ……だいじょうぶだからっ!」

  覗き込んでくる笑から逃げるように顔をそらすと、彼はたもつの反応をみて、してやったりといった表情になった。

  笑は抱きかかえる腕に力を込め、ゆりかごのように動かしはじめる。

  「相変わらず可愛いなぁ。もっともふってもいいんだぜー?」

  「や……やめてよっ! 気持ち悪い!」

  「いーや、おれはやめないぞ。おーよしよし。よーしよしよし」

  柔らかい肉の感触の向こう側に、強靭なオスの強さを感じる。むちむちでがちがちの二重奏。鼻腔に入ってくるむわっとした獣臭も、たもつの思考の混乱に拍車をかけた。

  どこぞの動物博士のように頬ずりしてくる幼馴染を、たもつは両手を使って押し返す。

  「そういうのが気持ち悪いんだってば! っていうか臭っ! 獣臭っ!」

  だが、言えば言うほど、笑はむせ返るような雄臭をたもつの体に擦りつけてくる。

  「恥ずかしがらなくていいって。こういうの好きだろ?」

  「好きじゃないってば! 離してよもう!」

  たもつは笑が好きだ。でも、彼ほどあけすけにはできない。

  笑の両肩に手を置いて、拘束から抜け出す準備をはじめたとき、ふいに耳の中にクラスメイトの男子の声が飛び込んできた。

  ――なぁ、やっぱあいつら付き合ってんの?

  ――今更言うなよ……さあ? 幼馴染だからじゃね。

  ――だよな……お姫様抱っことか同性にするか? 普通。

  それを聞いた瞬間、たもつの背中に冷たいものが走り、体が凍りついたように固まる。

  いきなりおとなしくなったたもつをみて、笑が不思議そうに首をかしげた。

  「んぅ? どーした?」

  はっとして視線を向けると、少しだけ心配そうな顔をしている笑と目が合った。どうやら彼には聞こえなかったようだ。自分が神経質になりすぎているのかもしれない。

  その邪気のない表情に自身の醜さを反射されたような気がして、たもつは笑の顔をもう一度押しのける。

  「降ろしていただきたいっ! ……ぼくは笑くんのことなんて、嫌いなんだからっ!」

  付け足したような言葉と合わせて、傍から見るとバカップルがいちゃついているようにしか見えない。周りが呆れたような顔をしていることにも気づかず、たもつは腕の中でジタバタと動いた。でもそんなことをすれば幼馴染は彼を一層強く抱き寄せる。無限ループだった。

  「お前さ、顔を真っ赤にして言われても、ぜんぜん説得力ないぞ」

  「なっ!? 誰が……!」

  固まるたもつを、幼馴染はまるでぬいぐるみのように独占しながら言った。

  「安心しろ。おれはそんなことでおまえを嫌いになったりしない。今日もおまえはちっちゃいし、可愛い! だから自分に自信を持つがいい!」

  「なんか色々おかしくない!? 可愛いとか言うなよ!?」

  「しょーがないだろ事実なんだから! ぎゅーってしたくなるんだよ!」

  たぷたぷむちむちの雄肉と、むわっとした獣臭に包まれて、嬉しいやらいやらしいやら、たもつは顔を一層赤くする。

  「も……もぉっ! 冗談でもそんなこと言っちゃだめだって! なんでこう誤解されるようなこと言うかな!」

  「物分りの悪いやつだな。そんなの、おれがおまえのことを好きだからに決まってるじゃないか」

  言うなり笑は、さっきより強引に頬ずりしてきた。

  「おれはおまえが好きだ。そしておまえはおれのことが好きだ。お互い、近くにいられて嬉しい、それじゃだめか?」

  「そんなことは、ないけれど……ってそうじゃないからね!?」

  すると、もふもふの感触が自分のほっぺたから離れていく。思わず笑の方を向くと、そこには幼馴染の真剣な眼差しがあった。

  「うぐっ……!」

  たもつは思わず「ごめん」と言いかけたが、その言葉をぐっと飲み込んで不機嫌そうな顔をつくる。

  「ちょ……調子に乗らないでよねっ! たとえぼくがきみのことを好きだとしても、筋トレの道具代わりに使うのは話が別なんだから!」

  自分でも顔が尋常じゃないくらい熱くなっているのがわかった。こんな状態、本心を晒しているに等しい。

  たもつは内心素直になれないことに頭を抱えながら、笑をみた。すると彼は肉食獣の牙をむきだしにして、困ったような笑顔を浮かべる。

  「それもそうだな。すまん。乙女心がわかってなかった。ごめん」

  「それを言うなら、男心でしょ。何度も言うけれどそろそろ降ろしてよ」

  周りからため息が聞こえたが、心の中がいっぱいっぱいのたもつがそれに気づくことはなかった。

  

  ***

  たもつは玄関扉に鍵を差し込みながら、ため息をつく。

  「怒られるのは当たり前だよ。はぁ……」

  ちらりと後ろをみると、笑が申し訳なさそうに肩をすくめていた。

  「で……でもさ? あんなに言うことないと思うんだよ……」

  時間は放課後。昼休みのあの一件は風紀委員の目に留まってしまい、たもつは結局静かに休み時間を過ごすことはできなかった。特に笑の方は相当口を酸っぱくして叱られていて、それからずっとこの調子だ。

  彼の心に残ったダメージの深刻さは、想像するに難くない。

  たもつは扉を開けながら、尋ねる。

  「そういえば聞いてなかったけど、うち、寄ってくつもりなの?」

  背後にぴったりくっつかれているから、聞く必要もない気がするけれど。

  すると笑はさっきとはうってかわって元気よく応える。

  「おう。ゴチになりまーす!」

  「当然のように夕飯たかるのやめてもらえないかな……ていうか切り替え早っ!」

  諦め混じりにつぶやく。たもつの家は両親が仕事の関係で家を開けていることが多く、そういう時に限って笑は夕飯を食べに来る。

  昔からだ。きっと自分のことを心配してくれているのだろう。嬉しいけれど、気持ちを素直に表すのは恥ずかしい。

  だからたもつは、彼が食べるご飯だけは全身全霊をもってつくると決めていた。今の自分ができる、精一杯のおもてなしだ。

  「食べに来てくれて嬉しいとか言ってもいいんだぞ」

  「ないないありません」

  「このツンデレ野郎」

  「締め出していいかなあ!?」

  たもつは内面を丸裸にしようとする笑から少しでも離れようと、食い気味に一歩踏み出して玄関と家の敷居をまたいだ。

  それから数秒後に、穏やかな衝撃とともに頬に少しごわついた被毛が当たる。それが誰のものなのかはみなくてもわかる。笑に後ろから抱きしめられたたもつは、自宅の土間に入ったところで足を止めた。

  玄関扉が閉まり、視界に薄闇のフィルターがかかる。そのなかで、まるで言葉を空間に溶かすみたいにそっと、笑は囁いた。

  「ここならもう、つんつんする必要ないよな?」

  彼の声には、強い興奮の色が混ざっていた。たもつは心を落ち着かせるために深呼吸する。獣臭を吸い込んで吐いた息は、細かく震えていた。

  「獣臭いから、お風呂入ってきなよ。服は消臭剤かけるから。父さんの服を代わりに着て……ってくすぐったいよ」

  笑がたもつの首筋に鼻を当てて、じっくりと匂いを嗅いできた。黒い鼻先が白い肌にピッタリくっつき、少年のエッセンスを息が続く限り吸い込んでいる。

  「でも、やっぱり好きだろ? これ」

  べつに家の中では、見栄を貼る必要はない。たもつは素直な気持ちを口にする。

  「好きだけど、許せるかどうかは別」

  「おれはおまえの匂い好きなのに。ずっと嗅いでられる。いい匂いだぞ」

  言葉とともに、首に触れている鼻がぴくぴくと動く。

  「そりゃどうも。離れてよ、靴が脱げない」

  すると、笑は腕に込める力を強くした。たもつの肩に掛けていたかばんが落ちて音を立て、制服のワイシャツが腕力に負けてくしゃくしゃになった。

  積極的な様子になった幼馴染に対し、たもつは眉をひそめる。

  「ちょっと……玄関でするの?」

  「ん……はぁあぁあ……っ! なんだよ。今のうちにやっといたほうがいいじゃないか。風呂に入れば匂いごと証拠隠滅できるぞ」

  「制服のクリーニング出すの大変なんだから。みんな鼻が利くし。……押し付けないで」

  「ん? なんか当たってんのかぁ? ……へへっ、いいじゃんかよ。ほら、こっち向け」

  尻に当たるちんぽを指摘すると、笑は得意げに言った。彼は背後から片腕を使ってたもつの顔を自分のほうに向けると、口を開けて舌を伸ばし、キスを求めてきた。

  「ほら、早く」

  「もう、堪え性がないんだから……」

  たもつは呆れたような声を出すが、こちらも大概だ。制服のスラックスはもう三角のテントをつくっている。彼の求めに応じる準備は万端だ。

  たもつは顔をねじるように動かして横を向き、幼馴染と超至近距離で見つめ合う。熱っぽい視線が絡み合った。

  「今日、コンドーム切らしてるんだ。やっぱり止めとこう?」

  いつも彼との情事はセーファーセックスだった。

  でも、笑はそんなことを気にしてはいないようだ。

  「それがどうしたってんだよ。生ですればいいだろ?」

  たもつは笑を責めるように目を細めた。興奮のせいか、今の彼はいつもより少し荒っぽい。

  「いいじゃん子供できないんだし」

  「感染症にでもなったらどうするの」

  「病気持ちなのか?」

  そんなことあるわけない。彼以外とセックスしたことはないし、今後もそんな予定はない。否定の意思を瞳に宿らせながら、たもつは口を開く。

  「そういう話じゃなくて、リスクヘッジは大切でしょ? 僕たちまだ学生だよ?」

  それを聞いた笑は可愛いものをみるような、緩んだ表情を浮かべた。

  「まるで嫁入り前の箱入り娘だな」

  「やめてよ」

  「でも、おまえだってしてみたいだろ? 本気のセックス」

  そう言いながら笑は自分のカバンを土間に落とし、自由になったもう片方の手で、たもつのテントを撫でるように触る。

  それをされた瞬間、たもつの体を少しの快楽と、大量の多幸感が駆け抜ける。

  「はぐぅっ……!」

  「こんなにしちゃってさ、口では硬いのに、ドスケベだよなぁ」

  まるで小さな子供の頭を撫でるように、さわさわと雄竿を刺激してくる。たもつは目の前が歪むような気がした。

  我慢できなくなったのか、薄闇のなかで笑が乱暴に唇を重ねてきた。

  「ん……! んぅ……っ!」

  「かふっ……ぐむっ……くぅ……!」

  顔だけでは窮屈で、苦しい。たもつは全身を動かして、スムーズに笑と正面から向かい合う格好になる。

  笑の舌が口腔内を縦横無尽に動くたび、理性が削り取られていく。彼の手がたもつの尻を掴み、お互いのちんぽが擦れるようにポジションを固定する。

  ふたりは靴を適当に脱ぎ散らかし、重なり合ったままリビングに移動する。正確には笑に無理矢理リードされる形で、たもつはリビングのカウチソファーに倒れ込んだ。その間もお互いに唇を貪り、腰を擦りつけ合う。

  ここにもうひとり誰かがいたならば、大男に精一杯しがみついて腰を降る少年の姿がみれただろう。ふたりだけの世界には、下品とか情けないとかそんな感情は存在していなかった。

  「……っぷぁ! おまえのちんぽ、固くて気持ちいい……っ!」

  接合部が離れ、虎獣人の肉厚な淫舌がたもつの口からずるずると引き抜かれる。

  そうして現れたたもつの唇は、女の子のような濃い桃色に染まっていた。お互いに貪りすぎたようだ。まるで女の子のまんこのようなきれいなサーモンピンク色になったたもつの艶やかな唇が、自分を塞いでくれるなにかを探して空虚に動いた。

  獣臭い唾液と人間の唾液がミックスされたよだれを口の端から滴らせながら、たもつは熱っぽい目を笑に向ける。

  犯され尽くした口腔内で蠕動する彼の舌が物欲しそうに伸ばされ、その光景に鼻息を荒くした笑は、ちんぽを透明な汁で濡らしながら、獰猛な笑顔を浮かべる。

  「我慢……してるんだから……っ!」

  「する必要ないじゃん。ほら」

  勃起したふたりのちんぽ全体をお互いに味わえるように、笑はたもつの上で騎乗位の姿勢を取っている。二つのテントが擦れ合うたびに、たもつのパンツにじわりとシミが滲んだ。

  「相変わらずここ、すっげーエロい匂いしてる」

  「そんなこと口に出さなくても知ってるよ! もぉっ!」

  にやにや笑う幼馴染を直視できず、右腕で目を塞いでいると、のしかかっている幼馴染の体が移動した。

  なにがやりたいのかを直感的に察して、たもつは釘を刺す。

  「……一回だけだよ。それが終わったら、シャワー浴びてね」

  「おっけ」

  短い問答。でもそれだけで通じ合う程度には、ふたりは一緒にいる。

  笑はたもつのスラックスと下着を手際よくずり下ろすと、ぶるんっ! と現れた臨戦状態のちんぽに狙いを定める。奉仕しようと伸ばされた手がちんぽに触れた瞬間、たもつの体が小さく跳ねた。獣毛の感触が、天然のセンズリグローブとして機能していた。

  もうすでに爆発寸前のちんぽをみて、笑は生唾を飲み込む。彼はたもつを、自分を屈服させることのできる『雄』なのだと認識し、恍惚とした表情を浮かべていた。

  もちろん、そのことをたもつは知らない。ただ自分のちんぽを早く食べたがっているだけだと考えている。でも実際は違う。縞島笑は、もうずっと、心の中の深いところをたもつに侵略され、屈服させられている。

  たもつのふとした男らしさを垣間見るたび、笑のちんぽは透明な涙を流し、彼の雌になってしまうほどに。

  「やっべぇ……あふ……んむ」

  笑は大きく口を開け、震えながら鈴口から雄臭い涙を流すちんぽを、獣口のなかにぬるりと迎え入れた。

  「ふ……ふぁあっ!」

  そのいくら経験しても慣れない肉の感触に、たもつは反射的に腰を浮かす。

  「あむっ……っ、ふふっ。ぁんだよ……じゅるっ、そんにゃ気持ちいいふぁ?」

  「咥えたまま喋らな……歯が当たって……!」

  虎獣人のギラつく牙が亀頭に当たって、下半身をなかをちくちくとした感触とともに快楽がほとばしる。生暖かい肉布団に包まれたちんぽは、眠ることなくいきり立ったままだ。

  「んん……っちゅ……はぁ……そんにゃにこわがりゅな……よ……んぶ」

  「怖がってなんて……んくっ! ……あんまり強く吸わないで! 出しちゃうからっ!」

  幼馴染の口のなかは生温くて、にゅるにゅるしていて、特に動いていなくても我慢汁が止まらない。少しの刺激で出しまいそうだ。

  ちんぽを咥えたまま頭をピストンし始めた笑はたもつの声を聞いて、熱く荒い息を吐きながら奉仕の手を早める。

  口内に溜まった唾液が肉棒にかき乱され、クチュクチュという音を立てた。その音の感覚が短くなればなるほど、甘い電流がちんぽをびくびくと痺れさせる。

  口だけで肉棒を射精に導こうとしている幼馴染は、期待の表情でたもつをみつめた。

  「ひょれひょれ、ちんぽじるらしちまえよ。ひゃもつ」

  下品におねだりする姿に、たもつは顔を赤くする。

  その間にも、どんどん快感は頂上に向かって歩を進めていて……

  「くっ……! もう、知らないんだからね!」

  根負けしたたもつの言葉に、笑は瞳だけで微笑むと、フィニッシュに向けて動きをさらに素早くする。

  牙に護られた門の向う側にある肉洞の誘惑に耐えながら、たもつは笑の頭をつかむ。すると幼馴染の性急なピストンに、たもつのねっとりとしたストロークが加わった。

  「ん゛ん゛ぅっ!」

  喉の奥まで挿し入れるような、緩慢だが暴力的な動きに、笑は苦しみの声を上げる。でもたもつは止まらない。自分の肉棒を好きに食べさせつつ、彼のこめかみあたりを掴み、深く動かしてオナホとして奉仕させる。

  「た……たも……っ! ぐふっ!」

  「んくぅっ……! 縞島くん……っ! ……いぃっ!」

  たもつの薄く開いた瞳に映った光景は、涙目になりながらこちらを見上げる笑の姿だった。

  苦しげな表情で股間に顔を埋めながらも幸せそうにちんぽを頬張る姿にたもつは劣情を刺激され、普段とは想像もつかない快楽に酔ったような表情を浮かべた。

  「は……激し……っ! ぐひゅふ……!」

  笑がえづきながら声をあげるが、それすら潰すようにたもつの腕が動き、幼馴染の喉奥まで深く肉杭をめり込ませる。

  「ん゛ぐッ!? ぐん”ん”ぅ”!?」

  笑の濁音混じりの懇願を、たもつが聞き入れることはなかった。肉洞の奥深くまで侵入した肉竿の根本に、幼馴染の黒い鼻かぴったりとくっつく。そこから放たれる息はこれまで以上の激しさだ。

  虎獣人の膂力ならばこの状態を一瞬で覆すことは簡単だ。でも彼はそれをしていない。言葉とは裏腹に、体はたもつを求めている。その証拠に笑はソファ相手にいきり勃った股間を擦りつけ、オナニーで射精しようとしている。

  たもつのちんぽが虎獣人の口腔内を深く深く犯すたび、笑の喉が食べ物を飲み込むときのように蠕動し、苦しげな声がたもつの耳に届く。

  「ぐっ……! 縞島くん……ッ! 縞島くんっ!」

  「んふぅっ! んん゛っ……ぐうぅッ!?」

  必死なたもつとは逆に、だんだんと笑の声に嬌声が混じり始める。抉るような前後運動が行われるたび、声に含まれる淫靡さは増していく。不器用だった音が調律され、心地いい旋律が奏でられはじめる。

  ――ぐちゅっ……っ! ぐちゅ……っ!

  柔らかいものを押しつぶすような音は、たもつの雄竿が笑の牙に守られた口腔内を犯す音だ。ふたりの頭の中が、快楽にかき混ぜられる音でもある。

  口の中でびくびくとちんぽが動くたび、笑は優しくそれを舌で包み込み、しっかりと喉奥を犯してくれるように寝かしつけた。淫靡な眼差しのなかに相手を気遣う優しさが垣間見えて、その対比で一層たもつが昂るなんてこと、彼は知る由もない。

  「ん゛はぁ……! いいぜぇ……おれのくちのながぁっ……のどもぉ……もっとちんぽでき混ぜてくれよお゛ッほぉ゛ぉ゛おっッッ!」

  言い終わるより早く肉の破城槌が虎の城門を突き崩し、その先にある理性を衝撃でぐずぐずに壊していく。

  激しいピストンに笑は、マズルの端から白濁混じりの唾液を垂れ流す。

  「んっ……! 腰――止まらなッ……!」

  「んふふ……ふーっ、ふーっ、ん゛ぉお゛ぉお゛お゛ォ゛っ!」

  くちマンコにちんぽを納めた幼馴染の顔は、もはや欲望に奉仕するメス猫と化している。自分よりか弱く小さい人間のちんぽをしゃぶり、ザーメンを貪ろうとする姿に、屈託ない笑顔を浮かべていたときの面影はない。

  「縞島くんの口……ぬるぬるであったかくって……吸い込まれる……っ!」

  この瞬間を終わらせたくない。でも幼馴染に種付けはしたい。二律背反に苦しむたもつとは対照的に、笑の瞳はちんぽだけをみつめ、暗い炎に燃えていた。

  彼は繊細なバランスを崩そうと、たもつに支配されていた律動を早くする。

  「っぐぁ……! し……縞島くん!?」

  ふいに与えられた快楽にうろたえたたもつは、笑に視線を送る。瞳だけで微笑んだ幼馴染は、たもつとともに快楽の階段を駆け上がる。

  「うっ……ぐっ……じゅるるっ!……ちゅぱっ……ちんぽうんめぇ……ぇ」

  くちマンコに向かって勢い良く腰を振るたび、淫液にまみれた獣毛が湿った音を立て、それがふたりを囃し立てるように刺激した。

  ちんぽから精液をこき出し、貪るためだけに動いている笑の姿にたもつは昂ぶりを抑えられず、荒々しい声を上げる。

  「っく……! 縞島くん、射精るよっ!」

  もうすでに限界は超えていて、気力だけで続けている状態だった。

  それに、幼馴染は行動で応える。

  「ちゅ……ん……ん……んぅうっ!」

  笑は上下運動を止め、根本までちんぽを咥え込んだ。そして、ビクビクと痙攣するちんぽ全体を舌と、淫液を嚥下する喉の動きで刺激する。誘われるように頂上に導かれていく感覚に、たもつは思わず笑の頭をつかむ。まるで本当に道具を使って達するときのように、身勝手に強く、強く臀部に虎獣人の黒い鼻先を押し付けた。

  「あ゛あっ゛! ん゛お゛ぉぉおぉ゛ォ゛っ゛!!」

  濡れた陰毛に笑の鼻が当たり、道具扱いを受け入れた笑が興奮のあまり腰をヒクつかせた。雌犬に腰を振るときのような仕草にたもつは嫌な予感がしたが、襲いかかる絶頂の予感にすべて押し流された。

  たもつは笑の獣毛をぎゅっと握ると、腰を浮き上がらせる。

  瞬間、訪れる幸福感と、すべてを吸い取られるような感覚。

  「くぅっ! 縞島くんっ……で……射精るっ!」

  竿全体が歓喜に震えたかと思うと、喉奥の亀頭が膨れ上がる。そして、

  ――びゅるっ! びゅるるるるぅっ!

  たもつのちんぽは絶頂を迎え、幼馴染の体内に大量かつ断続的にザーメンをぶちまけはじめた。

  「んふぅ゛ううう゛うぅんっ!」

  たもつは体のなかの感情すべてを吐き出しているような錯覚に陥りながら、チカチカする視界のなかに笑を納める。

  彼は恍惚とした表情でだらんとソファに体を横たえ、まるで授乳されている赤ちゃんのようにちゅうちゅうとザーメンを飲み続けていた。バキュームフェラの刺激で、射精の波が何度もたもつの下半身をさらう。

  だが、三度目の波が来たとき、笑がいきなり瞳を白黒させたかと思うと、ソファに腕をついて、ずるりとちんぽを口内から引き抜いた。

  彼は苦しそうに表情を歪め、むせながら上半身を起き上がらせる。

  「……っ! ぐっ! ごほっ!」

  「大丈夫!?」

  たもつも体を起こし、笑の頬に手を伸ばした。

  「だ……だいじょぶだいじょぶ! ちょっとむせただけだって」

  「僕、水取ってくるよ」

  目尻に涙を溜め、咳混じりに話す笑が心配で、たもつはソファーから降りようとする。

  だが、笑は床に足をつけて立ち上がろうとしたたもつの左腕を掴んで、無理やり元の位置に座らせた。

  彼は屈託ない笑顔を浮かべながら、乾いた声を出した。

  「にしてもすげぇ出たな。まだ喉に絡みついてる」

  「今はそういうこと言ってる場合じゃ――ごめん」

  興奮で膨れ上がっていた心がしぼんでいく。ばつが悪そうに視線をそらしたたもつの頭に、ぽん、と軽い衝撃が走る。

  笑が、いつもの笑顔のままでたもつの頭の上に自分の手を置いていた。

  「な――なにさ……?」

  「いや、いまのたもつ、すげぇかわいい」

  太陽みたいにあったかな声と笑顔で言われて、頭が沸騰したような気がした。もしかしたら湯気でも出ているかもしれない。たもつは笑の腕を振り払うと、ソファの上で距離を取ろうとする。

  でも、左腕を掴まれているので、上手く離れられない。

  「離してよ。水を取ってくるから」

  「ごめん。たもつ」

  「どうしてきみが謝るの。謝るのはこっちでしょ!?」

  「キレながら言うセリフじゃないと思うんだが……」

  文字通りの逆ギレだった。たもつは内心頭を抱える。

  ――なんで、こうなるんだろ。

  優しくしたいのに、辛く当たってしまう。学校でいるときと同じように。いつもそうだ。世間体を気にしてしまう性分のせいで、笑からの好意に満足に応えられたためしがない。

  たもつはちらりと横に視線をやり、幼馴染をみる。皮毛のあちこちにこびりついた体液が、自分の身勝手さの象徴に思えた。

  「と……とにかく待ってて! ついでにお風呂のお湯も溜めるから。湯船洗ってあるし! 服は適当に脱いでそこら辺に掛けてて!」

  「そのことなんだけどさ……ごめん」

  「だからなにがだよ!?」

  勢い良く振り向くと、そこには申し訳無さそうな幼馴染の顔があった。でも、そのときのたもつには笑の顔が怯えているようにみえて、反射的にそっぽを向く。

  傍から見ると高速で首を振ったようにしかみえない態度を後悔していると、沈黙を肯定と受け取った笑がおずおずと話し出す。だが彼はゆっくりとした口調で、とんでもないことを言った。

  「あのさ……出しちゃったんだよ。おれ」

  「……え?」

  驚いてもう一度笑の方に顔を向ける。するとそこには、まるで怯えた子犬のような表情をした幼馴染の顔があった。

  彼はカウチソファーに座り直すと、ベルトのバックルを外し、ズボンの金具を外して下着を露わにした。

  すると、

  「あー……」

  「ごめん……射精しちまった……」

  そこにはむせ返るような匂いを纏う、精液でビショビショのボクサーブリーフがあった。

  汗混じりの、鼻がひん曲がるような雄臭に、たもつは顔を顰める。

  笑は分かりやすく耳と尻尾をしょんぼりさせながら言った。

  「服汚すなって言われてたのに、つい……」

  イカ臭い湿った布に包まれた獣の男根は、溜め込んでいたものを出したせいか、形を浮かび上がらせることはない。

  どこか気まずい雰囲気。どうしたらいいかわからず視線を動かさないでいると、下着に包まれた獣根は早くも上を向きはじめる。

  たもつは、幼馴染のちんぽにいつの間にか釘付けになっていることに気づくと、邪念を振り払うように頭を降った。そして、周りに漂う空気を入れ替えるように声を出した。

  「も……もぉ! エッチ! とにかくお風呂入ってきて! 着替えは用意する!」

  「わ、わかってるよ! お……押すなっ! 押さないでっ!?」

  そう言って、カウチソファーから笑を追い出すと、彼はズボンがずり下がらないように両手で抑えながら、不格好な足取りでバスルームへと進んでいった。

  その様子を見届けると、たもつは大きなため息をつき、ズボンをずりあげた。

  ***

  

  たもつがリビングに隣接したキッチンで鍋を煮ていると、背後から大きな影が差した。相手は誰なのかはわかる。笑だ。

  「お風呂お借りしました」

  「うん。もうそろそろご飯できるから。これが終わったら僕もお風呂入るよ」

  「りょーかい」

  言い終わると笑は、後ろからたもつを抱きすくめる。彼の今の格好は、バスタオルを頭からかぶり、その他着ているものはたもつが用意したボクサーブリーフのみ。

  笑は下着越しのやわ硬ちんぽをたもつの腰にこすりつけながら言った。

  「これ、おまえの?」

  「うん……買いに行けないからとりあえずそれで凌いでっていうか変なの当てないでってば」

  「いや、どおりで窮屈だと思ったんだよ」

  「怒るよ?」

  でも、アソコの大きさで笑に負けているのは紛れもない事実で、たもつはずっと前からそのことを知っていた。自分はまだ攻め役としては未熟で、弱々しい。思わず表情に出てしまいそうになるが、プライドで踏みとどまる。

  気分を変えようと少しだけ背中を笑に預けると、ほかほかした体毛の感触が伝わってきた。ふわふわしていて、かなり湿っていた。

  たもつはその感触に眉をひそめると、幼馴染に向かってゆっくり振り向く。

  「ちょっと、生乾きのまんま来ない。床がビチャビチャになっちゃうでしょ」

  眉間にシワを寄せたまま言うと、幼馴染は器用にマズルを尖らせる。

  「乾かすの手伝ってほしくて呼んだのに来ないから頼みに来た」

  たぶん、キッチンの音で聞こえなかったのだろう。たもつは眉尻を下げながら言う。

  「えぇ……それくらい自分でやりなよ。鏡あるんだからさぁ」

  「たもつがやったほうが早いし気持ちいいんだってば! 頼む!」

  コンロの火を止めて、たもつは半目で幼馴染のほうをみる。笑はまるで祈るように目をつぶって隣に顔を並べていた。

  ほっぺたをすりすりしてくる笑をみていると、なんだか自分の悩みが全て杞憂に思えてくる。こいつは僕に遠慮なんて微塵もしてないんじゃないか、とも思ってしまう。

  たもつはそれに心地よさを覚えながらも、なんとかいつもどおりの不機嫌さを装って口を開いた。

  「しょうがないなぁ。いいよ。どこに風を当てればいいの?」

  たもつは背中に感じる豊満な乳房と、そこに浮かんだ桜色の突起の感触、硬さを増し続けるちんぽにドギマギしながらも、刺々しさをはらんだ声を出す。普通なら怒っているように感じる声を。

  でも、幼馴染とはすでに数え切れないほどの時間を過ごしてきた。笑はたもつの気持ちを敏感に感じ取ると、腕に力を込めてますます強く抱き寄せた。

  そして、いつもどおりの太陽のような笑顔で、言う。

  「えっと……しっぽ!」

  それは、ずっと昔から変わらないやりとりだ。今まで何十、何百と繰り返してきた。だからたもつはそれを聞いて、そっと微笑む。

  「縞嶋くんは僕がいないとなんにもできないんだから、僕がいなくなったらどうするのさ」

  「じゃあずっと一緒にいてくれよ」

  「……考えとく」

  「ここまで言ってんのに、答えてくれないのかよ。けち」

  その言葉には煩悩せずに、たもつは笑の黄と黒の縞模様の腕に横顔をうずめた。そして、毛先が動くか動かないかの微妙な繊細さで唇だけを動かし、音もなく言葉を紡いだ。

  ――僕も好きだよ。笑くん。

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