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狐獣人の俺が魔物の店でふたなり金属像にされて無様にオナニーをさせられる話
◇◇◇
「そうびくびくと怖がりなさんな、折角のかわいい顔が台無しだよ」
伸ばされる嫋やか手が、俺の頬を撫でる。
愛おしげに、恐怖に震える頬を撫でられる冷たい感覚に、肺の奥までが凍りついてしまいそうだった。
雨がざあざあと窓のガラスを叩いている。
濡れた衣服から大粒の雫が滴り落ちて、店のタイル床に水たまりを作っていく。
「や、やめ……っ」
俺の目に、震える狐獣人の男が映っている。目の前の存在に俺自身が反射している。
黄土色の毛並み。男にしては華奢で、端正だと褒めそやされる一方で男らしいとは思われない、細身の肉体。シャツとズボンというシンプルな出で立ち。
そんな俺の姿がぐにゃりと歪む。
俺自身の体が歪んでいるのではない。俺の姿を映すのは鏡ではなかった。
「安心しなよ。たっぷり、可愛がってあげるからね」
俺の姿は、そう笑う女の身体に反射しているのだ。
クスクスと肩を震わせる女は、その全身を流体金属で形作っていた。紛れもなく尋常な生物ではない――魔物だ。
後悔と恐怖に溺れてしまいそうだ。
街へ遣いに出て、用を済ませて村に帰る。その道中で雨に降られた俺は、見覚えのない場所に立っていたこの店に、これ幸いと駆け込んだ。
そして、足を踏み入れた瞬間から、この店の異常さを痛感させられてしまっていた。
思えばその瞬間、まだ締まりきっていない扉から逃げてしまえたら良かった。だが、今更そんな事を思ってももう遅い。
俺はその時、足を竦ませてしまったのだ。
その時、そして今もこうして目の前に広がる光景の奇怪差に。
「いや、だ……ぁ、あ……っ」
そこには、何十体もの金属像が並んでいた。それだけならいい。像を売る店だってあるだろう。奇怪だったのは、その像の姿だ。
その像達のシルエットは紛れもなく女性のものだった。だが、ある一点だけは明確に違っている。
そこには確かに漲った男の象徴が聳え立っていたのだ。魅惑的な女性達の胸や腰つき、太ももからの肉感のある曲線。それらと一線を描きながら謎めいて調和している完全に勃起した男根が、本来陰唇があるべきその股座に堂々と居座っている。
まるで、今も生きているかのように精巧で、それ故に不気味な像。その中に現れたのはこの店の主人らしき女だった。
女店主は俺が扉の前に立っている事に気づくと、にたりと笑みを浮かべた。そして、何もしていないというのに、その女の体を服がすり抜けて床に落ちていったのだ。
いや、そうではない。服が体をすり抜けたのではなく、体が服をすり抜けたのだ。
人の肌をしていた女の肌は、みるみる内に金属質な滑らかさを滲ませていく。瞬く間に、女の乳房や手足、顔や秘部までもが作り物めいた液体金属へと変貌した。
その女は、俺の恐怖心を弄ぶかのように、ゆっくりと歩み寄ってきている。
そして、その手が俺の頬に触れた。
「さあ、私を受け入れな」
耳に響く甘い声。
それに従ってはいけない。俺はそう理解しているはずだと言うのに、何故か腕を広げてしまわずにはいられなかった。まるで抱擁を受け入れるかのような俺に、女は蔑むように笑う。
逃げなければと叫ぶ俺の心中に、彼女のものになりたいという欲求が芽を出し根を張っていく。
「ぁ……っ、ぁあ……」
抑えられない。
女店主が俺にハグをする――いや、抱きつくようにして更に沈み込んでいく。俺の体は、金属質な液体で包まれていく。他でもない女を構成する肉体に。
熱い。冷たい。
筆舌に尽くしがたい感触に襲われながら、俺は自らの衣服が肌を離れていく感覚に困惑する。溶けていく。シャツもズボンも下着すらも。
そして、己の体自身も。
金属の体の中で体が作り変えられていく。
叫ぼうとした、瞬間。
パチン、と意識が弾けた。
空白。
暗転。
そして、意識は唐突に目覚めた。
◇◇◇
女主人は、身なりの良い婦人を相手に柔和な笑みを浮かべていた。
昨日降った雨で道がぬかるんでいる。だが、それにもかかわらずにその客らしき婦人は、長いスカートに泥の一つも汚れはない。
どこぞの貴族なのだろう。冷ややかな笑みを浮かべる彼女は店内の像を見回してから、ゆっくりと一つの像に視線を定めた。
「奥様、どうかしたかい?」
「ええ、いくつか目新しいモノが見えるけれど、この狐は私好みだと思ってね」
「ああ、これねぇ?」
と、婦人と女店主の目が一つの像に向けられている。
オペラグローブとチョーカー、そしてハイヒールのパンプス。その像は、裸の身体にそれだけを身に着けて立たされていた。
その表情はまさしく哀れなもので、口を半ばに開き舌を垂らしては情けなく眉尻を下げている。だと言うのに目は大きく見開いていて無様極まりないものだ。
そして何より滑稽なのは、その両手が固く張り詰めた屹立を握りしめていることだろう。
「試してみるかい?」
必死に自慰に耽り、絶頂に至るその瞬間に時を止めたかのような、金属像――つまり、俺を示して女店主はそう呟いた。
婦人がゆっくりと頷いたのを確認すると、女店主はそっと俺の胸に指を触れさせた。すると、まるで触れた場所から波紋が広がるように金属の光沢が揺らぎを見せたかと思えば。
「……は、っ……ぁッ……!」
唐突に、遥か遠くに薄らいでいた感覚が俺の五感を刺激した。
鼓動の音にかすかな花の香り、色に満ちる光とマズルの中の唾液の味、そして空気を撫でる触覚。
薄っすらと金属光沢の残った身体は、再び自由に動くようになっていた。だが、グローブやチョーカー、ハイヒールは金属質のまま店の内装を歪めて映している。
この服にも見える部分すら、今や俺の肉体そのものだった。走りにくいハイヒールを脱ぐことも出来ない、首輪めいたチョーカーをかなぐり捨てることも出来ない。
骨格から作り変えられた俺は、内股からも解放されることはない。だが、男性機能だけは残され、更に強制的に欲を増幅されてしまっていた。
「あぅ……っ!」
唐突に全身を動かす事ができるようになった俺は咄嗟に力が入らず、店の床にもんどり打って倒れ込んでしまった。五体を投げ出すように伏して、立ち上がろうと顔を起こしたその先で、二人の女が俺を見下ろしていた。
喉が凍りつく。
一瞬の開放感が過ぎ去った後に、俺の体を埋め尽くしたのは強烈な肉欲だった。
固く熱り立ったままの肉竿を扱き上げてしまいたい、そのまま精液を吹き上げて快楽を貪ってしまいたいと、と。あわよくば女店主か婦人の、その体の奥へと屹立を突きこんで果ててしまえたら。
俺は尻を突き上げて転んだままの姿で、屹立へと手を伸ばした。
「何をしているんだい。誰が勝手に手をつかっていいと?」
「ぁ……あぁ……!」
だが、その目論見は、女店主の言葉に儚く崩れ去った。俺の腕は肩から先が固まり、動かせなくなってしまっていたのだ。
昨夜、俺がこの姿に変えられてしまってから、女店主に寸止めオナニーを強要されていた。豊満に実った自らの乳房を揉みしだき、時に女店主の裸体で誘惑され。そして、絶頂しそうになる度、俺の手は再びこうして金属に変えられてしまっていたのだ。
だが、今なら。そう考えていたのに。絶望する俺の頭上で嘲笑が響く。
「まあ、みっともない。このような欲に塗れた下郎には床磨きがお似合いでしょうね」
「それはいい考えだね、そら。お客様のご要望だよ。その汚らしい棒切で床でも磨いてな?」
そうすりゃ退屈しのぎの玩具として貰ってくれるかもしれないよ。女店主の言葉に、俺は恥も外聞もなく腰をタイルの床に擦り付けていた。ずりゅ、ずりゅと溢れる先走りで床を汚しながら、それでも俺の喉からは快楽の雄叫びが漏れ出していく。
「あ……ふ、オぉん゛ッ……ぉ、ふっ……ぎもち、ぃい……ぁおおォオっ!!」
「耳障りだね、どうだいこの汚らしい声。盛りの付いた雄犬ですらもう少し上品に腰を振るよ」
「ええ、全く……。なんて情けない」
身を焦がす快楽に、思わず太ももを強く締め付けながら、腰を動かす。その度、胸の乳房も床に擦れて敏感な先端からも電流のような甘い感覚が体中を巡っていく。
尻も尻尾も、快楽にブルブルと震えながら、それを止められはしなかった。
見下され、軽蔑の視線で体を突き刺されながらも、俺は自らの快楽に抗う事は出来なかった。脳が痺れる。体中から快楽に絞り出された液体が溢れ出ていく。
「ぢんちん……っ、ゃばぃい……ひぁ、……こわれる……、ぉお……ッでも、とまんなぃ……っ!!」
女性二人の足元で、俺は脇目も振らずに床を相手に交尾するかの如く腰を打ち付ける。
その醜態に何を思うのか。
こんな怪しげな店の床で、見目麗しい女店主と婦人に蔑まれ、情けなく涎を散らしながら腰を振っている。
元の体を失い商品として扱われる俺自身の姿が、店中の金属像に映っている。
「ぁ……っ、イク、イケ……るゥ……!! いきだい、イ、ッきたい……ぁあ、お、ぁあッ!!」
突如として体中の血液が下腹部へと殺到していくような感覚と共に頭が真っ白になった。尿道を灼熱が勢いよく通り抜けていく、そんな慣れ親しんでいたはずの幻覚を感じた瞬間。
脳天を貫く快感に備えた俺の全身は、しかし、その予感していた衝撃を受ける事はなかった。
「ぉ……ォ…ぁあ……っ、イケにゃ、っでェ……! ひぁ……ぁあ……っああ!!」
「当たり前だろう? 私の――所有者の許可無しに、気持ちよくなろうなんてさ。出来っこないのさ」
「そ、んぁ……ぁあ……ッ!! ぁあ!! あああァあ゛ッ!!」
腰は動く。
今も、俺は熱り立った屹立を床に擦り付けている。だと言うのに、その感覚は果てしなく遠くに薄れてしまっている。
垂れた乳房の間から俺の股座を見下ろせば、そこには完全な金属体へと変貌してしまった男根が床をゴリゴリと撫でていた。先ほどまで床を濡らしていた先走りが水たまりのようになっていて、もはやそれすら吐き出すこともできなくなった亀頭がその透明な粘液を未練たらしく均すように延ばしていた。
俺はまるで駄々をこねる幼子のように首を振りながら、それでもその屹立を床に擦り続けていく。
「どうだい、躾甲斐のある商品だとは思うけどねえ。ほら、もしこれがコイツのならどんな風に虐めてやる?」
「そうですわねぇ……」
と女店主が、そんな惨めな俺を一通り笑ってから婦人へと目を向けた。そして、婦人の傍らに立っていた像の肉竿へとその手を誘っていく。
女性の体に立派な逸物。そして、それが当然のように生きた人間へと変じるこの店で、婦人は躊躇いもなくその熱り立った金属の竿に指先を触れさせた。
俺は思わず腰を止めて吸い込まれるようにその指の動きを見つめてしまう。あの名も知らぬ犠牲者の像が――その屹立が己のものであれば。
「ぁ……ぁ……っ」
指先がそっと亀頭冠の周りをぐるりと撫でてから、つつ、と触れるか触れないかの距離で根本までを擽っていく。
そして、彼女の指はカリ首へと戻ると。今度は裏側を指先がそっと擦り上げた。そして、まるで絞首台にのった罪人へと縄を掛けるかのように細い指が輪っかを作り、ゆっくりと前後にその輪を動かし屹立を擦っていく。
「ぁあ……ッ」
己のそれは触られてすらいないのに、まるで己がそうされているかのような錯覚が起こる。体はその快感を得ていないのに、脳の奥底ではまるで己がその像であるかのようにあるはずのない快楽を求めて、欲を疼かせていく。
気付けば俺は、足を大きく開いて、動かせるようになっていた腕で惨めな屹立を擦り上げていた。婦人の手付きを真似るようにゆっくりと。
「どうかな、奥様?」
「ええ、そうねえ……」
もう、俺の心の中には、目の前の女性達に嬲られ、射精をさせてほしいという感情しか残っていなかった。
婦人は女店主の声に俺を見て、その口端を緩ませる。
俺を買ってくれる。
俺に絶頂を許してくれる。
胸の内に、そんな悦びが舞い上がる。
「嫌よ、汚らわしい」
その寸前に、その心地は無惨にも叩き壊されてしまった。蔑む声とともに、女店主の指が再び俺に触れた。次第に体が完全な金属像へと変貌していく。
蹲踞の姿勢で屹立を磨き上げる俺が、その姿から動けないまま、淫らな像へと堕ちていく。
「だそうだ。残念だったね」
「いやだ……ぁ……ッ、イキたい……っ、イカせて、いか……ッ、ぁああ……っ、イか、せ……、ぇあ……あ、ぁ……っ」
俺を見つめる目は、ただ侮蔑に満ちた嘲笑だけを浮かべている。
いや、こうして懇願する俺を眺めて愉しんでいるのだ。
「ぁ……、っ……」
再び声すら出せぬ像となった俺は、ただ高ぶらされた欲の熱だけを金属の中に閉じ込められて、延々と焦らされ続ける。
そんな地獄を味わい続ける事となったのだった。
◇◇◇
複数の場所に出没するという謎の金像店。
そこには、酷く精巧な像と美しい店主が待っているという。また一人、新しい商品が迷い込む。
人生も、自由も、権利も、矜持も、全てを奪われ。
そして、それを極楽と感じるまでの地獄が彼を待っている。
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