ダンジョンの最深部。そこには財宝と共に無念にも時間を止められてしまった犠牲者が多数存在していた。
「へへっ、案外楽勝だったな。対策も万全だし、あとはずらかるだけって訳だ」
いかにも盗賊といったような風貌の狼獣人の男は、慣れた手つきで空間圧縮の力が込められた袋に財宝を詰め込んでいく。これなら重量を感じることなく、大量に持ち帰ることができるという優れ物だ。その利便性から、一般人には手が出ないほどの高級品だったために、彼のお財布事情はかなり厳しくなっていたのだが。
「うっひょー!最高だぜっ!!この量を独り占めだなんて、神様も捨てたもんじゃねえなっ」
彼が手にした財宝は、全て売り払えば軽く100回以上は人生を遊んで暮らせるほどの代物であった。それに目が眩んだ者達は全て、財宝を護る機構により、物言わぬ彫像と化して佇んでいるのであった。
無論、彼はその情報を仕入れていたので、ありとあらゆる身体的な異常を無効化する装備に身を包み、万全な状態で臨んでいたのであった。そのため、防衛機構により閉じ込められていても平静を保っていられた。
「あばよマヌケ共!これは俺のもんだぜ!」
財宝を全て袋に詰め込んだ不届き者は、迫り来る魔物に向かって吐き捨てると、腰のポーチから脱出魔法の効能を持った水晶を地面に叩きつけた。水晶は粉々に砕け散り、緑の光が視界を覆い尽くす。
彼は安堵しながら、そよ風に包まれ、ダンジョンの外へと――。
「グラァッ!」
「ぐぇっ!」
腹底の痛みに苛まれながら、辺りを見渡す。そこはまだ薄暗いダンジョンの中であった。
そんな彼を気にする様子もなく、無慈悲な攻撃が向けられる。
「ぐわっ!」
先程のものとは打って変わって吹き飛ばすような攻撃。彼はそれによってよろけてしまい、そのまま地面に倒れ込んでしまった。
(く、くそ……なんで……)
満身創痍となった泥棒を、魔物が覗き込むようにして見つめている。彼はその目を直視してしまい、抵抗することを諦めてしまった。
――――
「あっ……がぁっ……うっ……」
ダンジョンの最深部にはヌチュッという水音と、男の喘ぎ声が響く。
魔物が召喚した触手と魔眼によって体の自由を奪われた侵入者は、身ぐるみを剥がされ四肢を縛られ、もはや万事休すと言ったところだ。
「や、やめ、むぐっ!?」
触手は彼の全身を攻略していく。陰部を容赦なく扱きあげ、更に彼の尻からも体の中へと侵入していく。
攻略が進むにつれ、彼の体はじわじわと灰色に染まってゆく。
触手から分泌されたどろりとしたものが喉を潤し、尻の中にも同じような異物感を覚えた。
周りの彫像と同じ末路を辿る―、快楽に脳を焼かれながら僅かに残った正気のリソースを思考に割いた上で、彼はそう悟ったのだった。
もはや彼は抵抗することなく、体をビクビクと震わせながら快楽を自身の股間から放出していく。その度に、その体は石に近づき、震えは小さくなっていくのだった。
ビュルルッ……パキッ……
そんな戯れも長く続くことはなく、静寂の空間に残されたのは装備の残骸と、元に戻った財宝、そしてその脇に集められた挑戦者の哀れな姿を永久に保存する彫像群のみだった。