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くり抜いたような岩窟の中が、オレの棲みか。
ちょっと深さがあるけど、晴れの日は外から差し込む光が中を照らすおかげでそんなに暗くない。
そんな空間の中、彼はその手のひらの上で煌めく小石をオレに見せてくれる。
「ほら、こんなの見つけたんだ!」
楽しげに笑みを浮かべるのは、オレよりも少しだけ背の低い、薄灰色の毛に包まれた竜。
「すごい、透き通っててきれいだな」
「でしょー!」
感想を述べてやると、満足そうにその透明な石を床へ。
陽光を受けて七色の輝きを岩肌に映すそれは、とても華やかだと思う。
オレの棲みかにはいままで彼が集めた宝物がずらっと並べられていて、その端っこに石は加えられた。
大小煌びやかなそれらにオレは顔を近づけて、じっくりと見回す。
「フリアはきれいな物を手に入れる天才だなー。敵わないや」
とある金属質な宝物のつるっとした表面に、濃い灰色の自分の姿が映り込んだ。これは中でもお気に入りの一品だ。
「えー? ラムだって頑張れば見つけられるよ」
フリアはオレの手をとって、ほら一緒に探そう、と笑いかけてくる。
小さな手がオレの指に触れている。その些細なふれあいに、胸がきゅっとして、なんだか照れくさくなる。
そうしてオレがうつむいたのが分かってか、フリアのほうも目を逸らす。
「……えへへ」
はにかむ彼が、愛らしい。
こんな子と一緒に過ごせるのなら、どんなことでも楽しく感じられる。
引かれる手に従って立ち上がり、オレ達は棲みかの外へと歩いた。
太陽の下へ出ると、暖かい風がふたりの毛を揺らす。
森にはもう春が訪れて、小鳥たちのさえずりが行き交っている。気持ちのいい季節だ。
と、そばの茂みを歩いてゆくふたりの竜が視界に入った。
「あ! あれって」
フリアも気づいたようで、嬉しそうに声を上げる。
その声に振り向いた竜の片方が、手を振りながらこちらへ走ってきた。
「やっほー、ラムにフリア!!」
「やあ、久し振りだね」
ふたりの竜のうちレモン色の小さい方がすぐそばまで来ると、オレの手を握って上下にぶんぶん振った。ちょっと痛いけど気持ちは嬉しい。
後から追いついてきた橙色の少し見上げる背丈の方が、苦笑いしながらそれを制する。
「こらこら、ラムを困らせるなよ」
「えへへ、ごめんなさい」
頭を撫でてやると、にぱーと笑顔。小さい子の純粋さに癒される。
「すっかり暖かくなったなー。元気だったか?」
「元気だよー! ロイトたちも変わりなさそうだね」
フリアが答えると、優しい笑顔を浮かべてくれる。
彼らのうち小さい方がスイル、大きい方がロイト。いつも一緒の仲良しで、ふたり一組で覚えられている。
オレたちと同じ森に住む仲間だ。
「またみんなで遊びにいこ!」
「いいねー。今度はどこに行こうかな? 海辺には去年行ったし……」
唸っていると、いつの間にかスイルが胸元へ鼻を近づけてくんくんと嗅いできていた。
「ね、ロイト。ラムがいい匂いだよー」
この時期に咲くとある花の甘い香りをつけてるんだが、それが気に入ってもらえたらしい。その事自体はいいんだけど。
フリアとロイトの視線が、ぎろりとオレの方へ。
さっきまでの穏やかな雰囲気とうってかわって、かなりとげとげしく見える。
これはちょっとまずいかも。
「ほう……? そんなに言うなら、どれどれ」
ロイトが妙に力の入った足取りで近づいてきて、首筋に顔を寄せてくる。微笑んでいるのに、威圧のような気配が感じられる。なんだか怖い。
「わーい、もっとかがせろー!」
そんな空気の変化に気づいていなさそうなスイルの手が、オレの胸元の毛をわしゃわしゃと掻き乱して、香りを立たせる。
オレにもわかるくらい花の香りがふわっと舞って、スイルは満足そうな表情になった。ロイトも吟味するようにゆっくり鼻で息を吸って、ふむと頷いている。
ロイトは分かりやすく行動を起こしてきたわけだが、フリアの方はといえば……、
「ボク帰る」
露骨に不機嫌そうな声が投げられた方を見ると、既に背中を向けて歩くフリアの姿が。
「やば……」
慌てて追いかけようとするが、レモン色と橙色に絡まれていて身動きが取れない。
仕方がないので、ごめんなと声をかけながら脱出を図る。
「え、どしたの?」
遅れて気づいたらしいふたりが不可解そうに首を傾げた。
確かに今のわずかな時間でフリアを怒らせるようなことがあった風には見えないだろう。けれど、オレにはおおよその理由が分かっていた。
「すねちゃったみたいだ。オレも行かなきゃ」
ふたりは顔を見合わせた後、またねと手を振ってくれた。
フリアの棲みかもオレの所とよく似た、ちょっとした穴ぐらだ。奥まったところにはあまり光が届かず、薄暗い感じになっている。
その壁際でいじけたように砂利を蹴っているのを見つけて、気まずく思いつつも声をかける。
「おーい、フリア?」
「……むー」
「悪かったって。除け者にするつもりはなかったんだ」
「やだ! ラムはボクのなのに!」
「んっ……。大丈夫、オレはちゃんとここにいるよ」
「スイルもロイトもきらい!」
「そんなこと言わないでよ、もうやめるように言っておくって」
「むうー」
オレのことをとっても気に入ってくれている反面、オレが他の子とあんまり仲良くする、っていうかフリア抜きで楽しそうにすると、こうしてすぐへそを曲げてしまう。
ちょっと困った子、なのだが。『ラムはボクの』だなんて言われると。
すごく胸がきゅっとなってしまって、その通りでありたい自分がどうしても出てきてしまって。つい甘やかしてしまう。
ふくれっ面のフリアを背中側から抱きしめて、優しく頭を撫でてやる。
そうすると、オレの方に体重をぐーっと掛けてきて、フリアとオレは一緒に倒れ込む。
「ボクも、嗅ぎたい……」
照れくさそうに、でもまだ恨めしそうに、そう呟くフリア。
もうちょっとで機嫌を直してくれそうだ。
「ふふ。どうぞ」
そう言うのが早いか、鼻先を毛の中に突っ込んですんすんと嗅ぎ始めるフリア。
オレが好きな香りでもあるけど、本当はフリアが好きと言ってくれるから、毎年この香りをつけている。
毛の奥の肌まで鼻をこすりつけて嗅がれると、だんだん恥ずかしくなってくる。けれど、この恥ずかしさもなんだか心地よくて、そのままやりたいようにさせてやる。
「ラム……。すき……」
「オレも、フリアが好きだよ」
胸の底が熱くなってくる。こうやって抱きしめながら好きって言い合うのが、幸せ。
一心不乱に匂いを吸い込もうとするフリアを、やさしく撫で続ける。
そうやっていると、腿のところに少し硬い感触が当たる。
「んぅ……」
それが何なのか分かってしまうオレもつられて、股間のそれが硬くなって立ち上がる。
息を荒らげながら匂いを吸い込むフリアがとても熱く感じる。
「ボクの、ボクだけのラムっ……」
そんな言葉がオレの胸の奥をぎゅっと掴んでしまう。
痺れている間に、ひくひくと跳ねているオレの雄の部分が、ラムの手に捕まる。
その握っている手の中にフリアの雄も迎えられて、ふたりの分身が寄り添う。
「ああ……フリアがあったかいよ」
「ラム、ラムとふたりきり、ぎゅって」
言葉に合わせて強く握り込まれる。
その質感が一番繊細なところから感じられて、腰の奥まで届く。
フリアの雄がぎゅっと硬くなって、一緒に気持ちよくなってるのがわかる。
「だめぇ、でちゃう……」
余裕がなくなって、切なさそうに見上げてくるフリア。
たったこれだけの刺激でも、興奮して、溢れそうになってしまう。
その姿がかわいくて、ぞくぞくする。オレの中で熱を湧き上がらせる。
「ぅ、お、オレも……」
すがるようにフリアの頭を抱きしめると、荒い鼻息が毛の中をくすぐってくる。
フリアの手はふたり分の粘液を塗り広げるように、ぐちょぐちょ音を立てながら上下に往復する。お互いの分身がぬめりあいながら、一気に責め立てられる。
「あっあっ、ラムっ!」
「フリア、いっしょ、に……!」
腰をぐいと突き上げて、フリアに思いきり押し当てる。
ぐりゅっと手の中で滑って、オレたちは絡みあいながら昇り詰める。
「「う……ああっ!!」」
ふたり同時に高い声を上げた。
フリアの手の中でびっくんびっくんと跳ねて、熱を吐き出す。
胸元に抱いたフリアの匂いに酔いながら快楽に身を委ねる。
指の間からこぼれる体液は、もうどちらのものか分からなくなって、ゆっくりと滴る。
そうして、くたっと力が抜けて、重なるように仰向けになって。
そのまま口同士を重ねて、舌を滑り込ませる。熱くて柔らかいフリアに絡みつく。
顔を上げると、吐息と唾がこぼれる。
「えへへ。ラム」
「ん」
「もっとしよ?」
「……しょうがないなぁ」
まだ収まらないふたつの雄へ、今度はオレの手を覆いかぶせた。
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