お兄ちゃんだいすき!

  「ケン~、風呂あがったぞ」

  俺は二階にいる弟のケンにそう呼びかけた。

  両親は懸賞か何かで当選したペア宿泊券を使って旅行中。仲が良いのはいいけどふつう子供を置いてくか? ぶつくさ思いながらも、めんどくせぇ縛りが無いのは結構羽を伸ばせて気楽だ。

  気を抜くと鼻歌が出てしまう。

  ふんふんと冷蔵庫を開け、おっと、LINE来てる。慣れた手つきで飲み物を取り出す。

  ペットボトルを開け、昼間に買っておいた炭酸を……ってあれ?

  ふとさっと走る違和感。なんでフタがこんなに固いんだ? まあいっかと口をつける。んん? やっぱり別のペットボトルだったみたいだ。全然炭酸じゃない。味はほんのりと甘くて、どこかカンキツ系の爽やかな風味がある。ま、味が良かったからいいか。

  喉も乾いていたので、俺はごくごくと謎のジュースを飲み干していた。

  火照った体を冷ましたくて、ソファーにそのままダイブする。適当にリモコンをいじって……、あ、新しいドラマ始まってるじゃん。

  そこからしばらくぼーっと集中してテレビを見ていた。CMに入って集中が途切れる。

  んーっと伸びをしたとき、俺はふとしたヘンな感覚に襲われた。なんか肌が荒れてるっていうか痒いっていうか。

  ていうかケンのやつ、全然降りてこないな。ゲームでもしてるのか?

  ケンを呼び出そうと、スマホに手を伸ばす。そのとき俺は、年甲斐もなくぎゃっと叫んでしまった。

  「は、はあっ!? なんだよこれ!」

  手が、詳しく言うと指が、人間では考えられないほどに膨らんでいた。腫れている、というのとは違う。赤くなってないし熱くもない。だがぷっくりと指の一本一本が膨らんでいた。しかも、この変化は現在進行形で起こっていた。

  くらっとする。変化は終わらない。掌に違和感が走り裏返してみると、ぷっくりと膨れ上がっていた。触ってみると柔らかくて、ほんのりと温かい。

  「ひっ、あ、あぐっ」

  突如、皮膚の裏側を針で突き刺すような鋭い痛みが両手を覆う。ぐう。涙が自然とあふれ出し頬を使う。なんとかゆるむ視界でとらえたのは、もっこりとずんぐりむっくりになった両手に、黄金色の細かな毛が噴き出す様子だった。

  もう何がなんだかわからない。毛は、まるで毛玉のように、そして火山から吹き出すマグマのように、的確に俺の体を包んでいく。ぞわぞわっと腰のあたりが震えて、はあ? こ、こんなの……。

  ずずず、と、体の中から押し出されていく肉の棒。それを追いかけるようにして毛が生えそろい……。

  こ、これって、……尻尾?

  そんな余裕はすぐにぞわぞわとした違和感と痛みに上書きされていく。

  ぐがっと喉がつぶれたかと思うと、体で起こっている変化が顔にまでやってきた。あ、あ、熱いっ! とんでもない量の熱を、顔の中心、特に鼻のあたりに感じた。慌てて鼻を抑えると、ずいずい、と口元ごと前に突き出されていくのが分かった。無駄だと分かっていても、なんとか元に戻そうと必死に押さえていた。すーっと口の端の切れ込みが深くなっていき、舌が伸びて歯が鋭く変化していく。耳がぐーっと引っ張られて、形を変えながら頭の上で止まった。やけに俺自身の汗のにおいを敏感に感じる……。

  そこから、今度は全身が発火したように熱を帯び、ごきごきと骨のきしむ音を響かせた。足の関節がぐりんと曲がり、ぐりぐりと全身が縮んでいく。着ていた服に覆われて、長くなった鼻を、いや、これはもうマズル、だな、を振って外気を吸う。

  んーっと、前足で器用に服を引っ張ると、とりあえず窒息死は免れた。

  自分の姿を確認したい。まあ、おおよそ見当はついているが。テレビを消して、鏡代わりにしようと思ったが、肉球付きの、もう「前足」になってしまった腕では自由に操作することは至難の業だ。

  うーんと格闘していると、ケンがどたどたと階段を降りる足音が響いた。

  「あっ!」

  「……あっ」

  「お兄ちゃんっ! よかった~、ちゃんと犬になってるね!」

  「やっぱり犬になってたか。……あと、ケン、お前の仕業なんだな……」

  てへっと舌を出しておどけて見せる。ふん、その様子を見てるとなんだか腹が立ってきた。

  「わーい、わーい、きれいに犬になってるーっ。かわいいなあ」

  「ちょ、おい!」

  ケンは弾けるようにこっちに向かってきて、全身を使ってがんじがらめになりながら、あどけない少年のように俺の毛皮に顔を埋めている。すーはーと熱い息が毛をかき分けて地肌をぬるっと温めていた。

  「よかったあ、全部計画通りだね。まあ、お兄ちゃんがまさか自分から変身ジュースを飲むとは思ってなかったけど。結構不注意なんだね」

  「ぐええ、まじかよ……」

  ふんぬ。なんかケンの、結局は手のひらの上って思ったらむしゃくしゃしてきた。

  「ねえねえ、お兄ちゃん。ぼくさ、犬お兄ちゃんとやりたかったことがあるんだ」

  急にもじもじし出したな。

  「やりたかったこと?」

  「お散歩、いこっ?」

  どーしてこうなった!

  夕暮をすっかり過ぎて、いくら夏休み期間中だっていっても、辺りはすっかり暗くなり、街灯だけが等間隔に、まるで光の島をつくるようにして点在していた。

  「さー、お兄ちゃん! 大丈夫だって! 今は犬だし、普通にしてたら元人間だって誰も思わないからさ」

  「だーっ、元人間ってなんだ! 元に戻れなかったら怒るからな!」

  「しーっ! お兄ちゃん、普通の犬はしゃべらないんだよ?」

  急にケンの正論が飛んでくる。くう、確かに喋ってるところを見られるといろいろとまずい。

  ていうか、自分の部屋からすっと首輪とハーネスを持ってきたケンが怖いのだが。

  ずっとこうなるように計画していたのか……?

  家族の知らない一面を知って、俺の体はぶるっと震えた。

  「お兄ちゃん、毛皮があるのに寒いの? まあ、はだかんぼみたいなもんだしねえ」

  ん? よく考えてみると、俺、今、裸?

  意識し出すと、急に走り出し止まらなくなるのが羞恥心というもの。尻尾がだらんと垂れて、足ががくがくと震えだす。顔が、がーっと熱く熱く火照って、漫画じゃないけど頭から湯気が出てきそうになる。

  ん? なんか甘い香水みたいな匂いが……。

  「あっ、ケンくん。こんな遅くにどうしたの? お兄さんは? それに……、ワンちゃん……。ケンくんって犬飼ってたっけ」

  んぐああっ!

  曲がり角を曲がった瞬間に現れたのは、近所に住んでいる美人お姉さん、ミチヨさんだった。花も恥じらう女子大生だ。歳も大体同じくらい。こんな薄汚い全裸野郎という醜態をさらしているのがたまらない。

  どくん、という異常な心音とともに、爆発的な羞恥心が全身を巡る。顔が引きちぎれそう。アツアツだ……。

  「あっつ、ミチヨおねえちゃん。この子ね、夏休みの間だけ預かってるんだ!」

  「そうなんだ。ふふ、お手とかできるのかな?」

  「うんっ! なんでもできるよ!」

  こ、こいつぅ……!

  ミチヨさんが柔らかくしゃがんで、その黒い瞳がすーっと俺の心を見透かすように注がれる。ふんわりと小さく風が巻き起こって、いろんな女の子のいい匂いが敏感になった嗅覚に突き刺さる。はわわ~と恥かしさを超えて、なんか、こう、心に来るッ、って感じだ……。

  それからひとしきりミチヨさんは俺を撫でたりお手を求めてきたり、犬としての絡みをした。

  ミチヨさんと別れた後。よし。ここなら誰もいないし……。

  「な、なあケン……、その、」

  「どうしたの? お兄ちゃん」

  「いや、あれだな、うう」

  ケンは、何なに~? と俺の顔をのぞき込む。

  「ん? もしかしておしっこ? お兄ちゃん、犬なんだからその辺でしちゃいなよ。ほら、トイレでしてる方がヘンだよ?」

  た、確かに……。

  ほらほら~、と、ケンは電柱柱を指差している。大丈夫、夜だし、人通りは少ないし、誰も見てないし、人間だと思ってない。

  くっ、こ、こうか?

  「お兄ちゃんうまいうまい。ほんとの犬みたいだよ」

  ぐうぅ。顔がぐちゃぐちゃになる錯覚のなか、恐る恐る足をあげて、股間(?)を外気に晒す。すーっと熱が抜けていく気持ちよさがあった。

  んぐっ。きゅっと絞っている筋肉を緩め、シャーっとシャワーのように尿が勢いよく飛び出した。う、んあ、ああっ……、やば、なんか気持ちいい……、開放感が。やばい、この感覚、まさか。

  ぐいんと首を腹側に曲げると、足の間から真っ赤な肉の芽が、ほんの先端だけ見えていた。

  素数、素数を数えるんだ! そう自分に言い聞かせ、恥ずかし気持ちいい、おもらしのような野外放尿をなんとか乗り切ったのだった……。

  家に帰ってくると、ケンはもう眠いと言って風呂にも入らずに、着替えを済ませるとすぐにソファーに眠ってしまった。慣れない前足で、俺はなんとかケンの体にバスタオルをかけてやる。

  ……ていうか、ケンが寝たら俺はどうやって元に戻るんだ……?

  はあ。仕方ない。犬のまま寝るか。

  腹をくくった俺は、犬らしくケンの腹に頭を突っ込んで、人肌の温度の心地よさを感じながら眠った。

  翌朝。

  「お、おいいいっ! どーゆーことなんだこれはっ!」

  「もう、お兄ちゃん、朝からおっきな声出さないでよ」

  「関係あるか! な、なんで今度は着ぐるみなんだよ!」

  全く、なんつー薬を飲まされたんだ俺は。

  朝になり、カーテンの隙間から心地よい陽光が差し込んできて、気持ちよく目覚めようとした俺だったが、ありえない角度で床に投げ出されている感覚に襲われた。

  もぞもぞと必死に体を動かし楽にしようとしても、まるで意識が無くなってしまったかのように動かない。頭も動かせないから、どういう状態なのかもわからない。なんとか声をしぼりだすと、ケンがにやにやしながらうれしそうにやって来て、俺の「頭」を掴んだ。ケンの脇に抱えられながら、視界がぐるぐる変化する。

  鏡の前にやってきて、俺は言葉を失う。

  「なんじゃこりゃあっ!」

  犬の「着ぐるみ」の頭が、そこにはあった。

  リビングに散らばった体のパーツ。昨日は動物に、そして今日は生き物ですらないモノに……。あまりの変化に吐いてしまいそうになる。

  ケンに問いただしてみれば、単に着ぐるみを着てみたかったとのこと。まったく弟の教育をどこで間違えてしまったのだろうか。

  よく見てみると、確かにケンの背丈で着るのにちょうどいいぐらいの大きさの着ぐるみに変身させられていた。

  「じゃ、さっそく着てみるね!」

  なぜか服をすべて脱ぎだすケン。

  「好きにしろ……、まったくもう」

  んっ、なんだこれ……、ケンが足を差し込んでくると、あったかい体温がじんわり伝わって来て、なんかすごく気持ちいい……。

  「おお、なんかぎゅーってしめつけてくるね。それにどくどく言ってるよ? お兄ちゃんドキドキしてるの?」

  「気のせいだろ」

  するすると、俺はケンに「着られて」いく。モノになってしまったせいか? 使われる、ということに異常なほど興奮する。

  ついに下半身はすっぽり俺の体に覆われてしまった。俺の興奮は収まらず、ケンはずっとはしゃいでいる。

  腕の部分にケンの腕が通されると、股間部分が俺の内側と密着する。着ぐるみの内側は、上に近づくほど亀頭みたいに敏感で、ちょっと引っ掛かれるだけで声を出してしまいそうになる。弟の前で喘ぎ声などあげられるか。必死に堪える。

  やばっ、密着するからケンのチンコの形、ぴくぴく動いてるのがめっちゃ伝わってくる。ていうか、こいつ勃起してる!

  「ほら、お兄ちゃんチャックしめてよ。生きてる着ぐるみだから簡単でしょ」

  「はぁ? そんなの……。あ、うん、確かにできるな」

  「よーし、じゃああとは頭をかぶって、と……うん、いいねえ! かわいいなあ、ぼく」

  とたとたと走って鏡の前に行き、ケンはぺたぺたと顔から体から尻尾から、とにかく色んなところを触りまくっていた。

  やめろ、っ。ナカ、敏感だからっ! 口のすぐ内側で、ケンの荒くなった鼻息が当たるだけで狂いそうになる。全身がめちゃくちゃにこすれてぱちぱちと脳内で(脳みそがあるのかはよくわかんないが)神経が弾ける。

  「ん、あれ、お兄ちゃん、何これ? おちんちん?」

  「え?」

  ケンがぐいん、と頭を動かして腹の方を見ると、そこにはぴくぴくとひくついている、正真正銘の犬チンが、真っ赤な色と雄臭い匂いを漂わせていた。

  「あっれー? これって『ボッキ』だよね! お兄ちゃんコーフンしてるのぉ?」

  しゃ、しゃべるなっ、息が当たってっ、ぐ。

  ケンはおもむろに柱状のクッションを取り出した。

  な、何するつもりだ……?

  「ふふ、ボッキしたらえっちすれば収まるんだよねぇ。こうやって擦ったらえっちになるって知ってるんだからね!」

  「ぐあ、んあ、ああっ、あう、け、ケンやめ、んああっ‼」

  やばい、兄貴としての威厳、でもそれ以上に、この疑似セックスがたまらない。まじの犬に、ケダモノになってしまったかのようで、しかも体は内側からケンに動かされていて、んあ、ああっ!

  いろいろ既に限界だったから、はじけ飛ぶのは時間の問題だった。

  「あ、あぐっ、で、出るッ‼」

  ぽん、と頭の片隅で、栓が外れる音がした……。さーっと、白くなっていく視界。

  「わ、わあっ、な、何これっ! お兄ちゃん大丈夫……? 何この白いの……」

  あ、ああっ……、兄の威厳、丸つぶれだ、うう。

  賢者タイムが否応なく襲ってきて、ぶくぶくと自責の念にからめとられる。

  「こ、これ、きれいにしなきゃ。ごめんね、お兄ちゃん、まさかお兄ちゃんのおちんちんからおしっこおもらししちゃうなんて。も、もう元に戻すね」

  ケンはそれから、頭を外し、てきぱきと俺を脱いだ。

  「あれ? お兄ちゃんに元に戻る薬飲ませようって思ったんだけど、どうしよ。着ぐるみだからお口があってもおなかの中身がないじゃん」

  ええ……? 自分のザーメンでぐちょぐちょになってしまうというみじめな状態の俺は、ぐったりとしながらそれを聞いていた。

  「あっ、いいこと思いついた! ぼくが自分で変身すればいいんだ!」

  どたどたと足音を立てながら、ケンは自室から薬を取ってきて、目の前でそれを飲んだ。

  「よしよし。じゃあまたお兄ちゃんを着てっと」

  二回目だったからか、だいぶ着られるのにも慣れてきた。

  「よーし、ぼくも変身だーっ!」

  え、このままか⁉

  そんな疑問が走ったのとほぼ同時に、俺の中にいるケンの体つきが突然変化し出すのを感じた。むくむくと膨らんで、ぎゅーっと押し付け合って、境目が、熱が溶け合って……?

  おっ、これがお兄ちゃんのなかかあ。

  け、ケンなのかっ⁉

  もう、そんなにあわてなくていいじゃんかあ。

  いや、突然頭の中で他人の声がしたら驚くって……。

  まあ、そうだね。あの薬、一個につき二回までしか変身できないんだよねえ。だから、お兄ちゃんとぼくが合体して、一緒に動物になって、そこで元に戻る薬を飲もうかなって思いついたんだ!

  よし、じゃあ今から変身するね、よーし、もっかい犬になろう!

  んぐ、変身って結構大変だね、というケンの感想を聞きながら、俺たち兄弟の混ざり合った体は、じわじわと犬になり始めていた。既に見た目は犬っぽいから、目に光が通い、鼻が濡れて口が開き、息をし始めて、全身の骨格ができて内臓が詰められるぐらいの変化だ。いや、それってすごい変化じゃん、なんてしょうもないことを考えていると、あれ? ケンの声が聞こえない、いや、聞こえるけどすごく遠い……? なんか変な感じだ。

  「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」

  どうしたんだケン、と言おうとしたのだが、あれ、口が?

  「……っ、ぷ、ぶ、ぶううっ」

  「お兄ちゃん、体動かしてみて! いっしょうけんめい!」

  何言ってるだ……? 前足、後ろ足、胴体、ん、あれ、どこにも感覚がしない、なんとか体を横に振れるか? ん? あ、あうッ、な、なんか気持ちいいぞっ⁉

  「あ、あうっ、た、大変だっ、お、お兄ちゃん、ぼくのおちんちんになっちゃってるっ‼」

  はあああっ⁉

  「お、おうっ、あっ! お兄ちゃんストップ! お兄ちゃんがあせっちゃうと、ぼくまで気持ちよく……、あ、あうっ、ボッキしちゃう!」

  意識はどうやらチンコの中だけのようだが、五感はケンのものも伝わってくる。ケンの視界でとらえた今の「俺」の姿は、まるで柱、まるで塔のようにそびえたつ、ケンの顔にまで達するほどの長さ、そして両手でなんとかつかめるぐらいの大きさになった犬チンだった。

  「お、お兄ちゃんっ、ぼ、ぼくもうがまんできないよっ、お兄ちゃんの記憶がどんどん流れてきて、これ、オナニーっていうんだよね、ザーメンいっぱい、びゅるるって出したいっ!」

  い、一旦タンマ! け、ケンっ、あ、あぐうううううっ!

  俺の必死の静止もケンには伝わらない。それに、俺が焦り精神的に追い込まれても、ケンにはチンコから直接伝わってくる快楽のようだった。

  がしっ、とケンのアツアツになった小さな手が俺を、ケモショタのような愛らしい見た目とは相反するえげつないチンコを掴む。誰に教えられたわけでもなく、必死に快楽を追い求めてつたない手つきで初めてのオナニーを開始する。

  「あ、お、あっ、おっ、う、んん、んッ! あ、あああっ! お兄ちゃん、お兄ちゃんちんちん、すっごく、んあ! きもちいいっ!」

  あ、やば、んっ! 俺が今チンコだから、手で全身を掴まれて、無数の手で愛撫されているような感覚で、血液が沸騰して脳はどろどろに溶けてピンク色の妄想しかできなくなる。

  「あ、お、お兄ちゃんっ、出る、おしっこ、でちゃう!」

  ああっ!

  びゅく、びゅる、びゅるるるるるるっ‼

  一気に長い長い尿道を通って、夜空に浮かぶ夏の大花火のように、リビング一面を俺たちの遺伝子で染め上げた。

  そしてそのまま、ぷつん、と意識を失った。

  そこからは大変だった。

  旅行先から帰って来た母さんと父さんは、巨根犬ショタが精液の匂いをぷんぷんにさせながら気を失っている、悪夢でもこうならないだろうってくらいの異常な現場に悲鳴を上げた。

  そしてすぐに俺たちは病院に連れてこられた。医者の先生にケンははじめずっと泣いてばかりで、しかもぴくぴくと俺チンコを勃起させていた。先生はよく平常でいられたもんだなって思う。

  診察は、体の色んな場所を検査ということで触られた。もちろんチンコも、だ。ケンは緊張のせいか医者の先生に触られただけで射精してしまった。先生は頭から俺たちの濃密ザーメンを被っても、何も言わずに着替えていたが。あれ、内心どう思っていたんだろうな。

  それから、元に戻る薬を飲まされたが、結局見た目しか戻らず、俺はケンのチンコのまま。まあ、犬チンから皮被りの包茎にもどった(?)のだが。

  「最近こういう変身薬のトラブルが増えているんですよ……、ケンくん。こうなったらちんちんにちょっと注射すれば戻れるからね。じゃあちくっとするよ」

  ケンはぐっと覚悟を決めて、力強く頷いた。

  「あっ、で、でもそのまえにおトイレ……、」

  「そうかい、じゃあ行っておいで」

  ありがと、とケンは短く先生に返答すると、そのまま「俺」をぐいっと抱えてトイレに急いだ。

  「へへ……、まさかお母さんたちに見つかるとは思ってなかったな。もう、もうちょっとでいいとこだったのになあ。ま、いいや。次は見つからなかったらいいだけだもんね!」

  け、ケン……?

  「はあ、でもお兄ちゃんをおちんちんにして、びゅるって射精したらこーんなに気持ちいいんだ! 知らなかったなあ」

  こ、こいつ!

  「あ、おしっこはほんとに行きたかったからね、でも、さっき出したばっかりなのに、ふふ、お兄ちゃんちんちんでまた白いおしっこびゅーびゅーしたくなっちゃってる」

  ふう、とケンは息を深く吸い込んだ。

  「よーし! お注射して元に戻る前に、あと一回射精するぞーっ!」

  や、やめっ、あ、ひゃん、あ、いぐっ!

  「いっけー! はっしゃぁ!」

  そして病院のトイレをザーメンだらけにして、ケンが大目玉を食らうのは、今は知る由もないことだった。

  おわり