PRPR
  
優等生が狼に変えられ、他の生徒達を変えていく。

  日本のどこかに、とある有名な名門高校があった。そこに在学している全ての生徒は優れた成績を持っていたが、その中で最も優れた人物がいる。

  「真神さん、綺麗な顔と美しい体をしているね。どんなことをしてきたの?」

  「それは……特に意識をしてなかったわ」

  彼女は美しい顔と体を持ち……

  「大口、今回のテストは君がトップで満点だ。いつも凄いな」

  「ありがとうございます、先生」

  彼女はこの学校で最も高い学力を持ち……

  「真神さんは運動も出来るんだな。将来はスポーツ選手になってもおかしくないぞ」

  「そうかもね。でも私は、私がやりたいことをやるわ」

  彼女はかなり高い運動神経を持ち……

  「あ、ありがとうございます。大口さんに庇ってもらわなかったら、僕は疑われたままでした」

  「別にいいのよ。証拠もなく誰かを悪人とみなすのが嫌だったから」

  彼女は弱者を助ける優しい性格であり……

  「大口真神さんって本当に、この学校の人気者だよね。こうして僕らがファンクラブを結成しても先生は文句言わないし」

  「先生たちも認めているんだよ。彼女の存在が学校の誇りなんだよ」

  校内にファンクラブが存在する程のマドンナであり、文武両道で人格者である大和撫子――大口真神。家族、学友、教師など、誰もが彼女はより良い人生を送ると思われていた。

  しかし、小さな出来事で、明るい人生が闇の人生に変わってしまうことがある……

  ――――

  「もうこんな時間……早く帰らないと」

  学校での用事で遅い帰宅をしている真神。空をオレンジ色に照らす太陽が沈みかけていき、代わりに街灯が真神の帰路を無機質に照らす。帰りが遅くなることを伝えており、両親は帰宅の遅さで煩く言わない人だが、それでも心配させたくないと駆ける足を早めていく。それでもいつも通りの時間には帰れそうにない。

  普段は人通りが少ない道路を通らないようにしているが、両親を心配させたくない真神は「急がば回れ」という言葉を忘れ、その道を通り過ぎようと入っていった。

  何かいる。

  真神が通ろうとする道の中心に何かいる。全身が毛皮に覆われており、四足を地面につけていた。一瞬、犬かと思ったが、真神が見た大きめの犬よりも一回り大きい。むしろ、大人の人間が両腕と両足で立っているような大きさだ。

  「急がば回れ」という言葉を思い出し、この道を通ろうとした事を後悔しながらも、それを刺激しないようにゆっくりと背後の方に進んでいく。

  しかし、“それ”が上半身を起こし二足で立った。そして真神の方に顔を振り向いた。

  犬、いや狼と同じマズルと耳をしていた。

  「ひっ!?」

  架空の存在のはずの頭に真神は驚愕と恐怖が込み上げた。狼――人狼が体を向け、ゆっくりと詰め寄ってくる。目の前の存在が恐ろしく、体が震えて動けない真神。

  ようやく体が動き、逃げ出そうとするも無駄だった。運動が得意な真神が走り出した直後に、駆け出した人狼に追いつかれてしまった。そして……

  真神の左腕に人狼に牙が食い込んだ。

  「ぎゃあああぁぁ」

  激痛に悲鳴を上げる真神。通学カバンを持つ右手で人狼の鼻先を叩きつけ、口を開かせて腕を放させる。左腕に噛み跡があり、血が溢れ出ているが、それどころじゃない真神は再び逃げ出た。

  鼻先を叩かれた人狼は何故か真神を追いかけようとしなかった。彼女の背中を見送るだけの人狼、その口の端は上がっていた。

  …………

  人狼から逃げ切れ、帰宅できた真神は自室のベッドに横たわっていた。

  あの恐ろしい出来事の後、どう話せばいいか、信じてくれるのかと不安に思っていた。

  しかし、噛まれたはずの腕を見て驚いた。噛み跡がない。流れ出ていた血も跡形もなく消滅していた。家の帰ってきた時にも、出迎えてくれた両親には心配されたが、噛み跡のことは一切触れていなかった。

  日本に狼はまだいたの? そもそも100年前に絶滅してなかった?

  あれは……幻覚だったんだろうか? 完璧な自分であり続けることに疲れを感じたのか?

  それでも“なんでもなかったこと”に安心し、ベッドで眠って変わらない明日が来ることを待つだけだ。

  その明日が大きく変わっていくことを知らずに……

  …………

  ……

  …

  

  大口真神は夢を見ていた。

  ゆっくりと、どこかを歩いていた。歪んだ形の建物、奇妙な動物があちらこちらにいる、彼女が歩む先には大きすぎる満月が浮かんでいた。

  それをじっと見つめながら歩く真神。彼女の体に変化が起き始めていく。

  左腕に傷が浮かび始め、噛み跡が再生されていく。その噛み跡がある腕が歪に痙攣し始め、指先から鋭い爪、皮膚から毛皮が生えだした。

  その変異が体中に広がっていく。鋭い爪のもう片方の腕、地面を強く蹴れる獣の足、腰からの毛に覆われた尾……

  そして、口元と鼻が前に伸びてマズルが形成され、腐り落ちた人間の耳の代わりに三角耳が髪の中から伸びていく。

  (いやだ……おおかみになりたくない……わたしはにんげん、わたしはおおぐちまかみ……)

  人狼に変化していく身体に対し、心は人間であり続けることを強く願っていた真神。しかし……

  

  (おおぐちまかみってダレダッケ……?)

  ――――

  ――

  ―

  翌朝のホームルーム、大口真神のクラス担任が生徒にあることを知らせた。その内容を聞く前に、生徒達もある程度察していた。クラスだけでなく、学校中の人気者の席に座っている者がいないからだ。

  「皆は大口真神が初めて遅刻、あるいは欠席したと思っているが、彼女のお母さんから調子が悪そうだから欠席するとの電話を聞いた。これには先生も驚いたぞ」

  教師の言葉に生徒達が驚いた。「あの大口真神さんが欠席?」「一体何があったんだろう?」「ファンクラブの連中がパニックだろうな……」と聞こえてくる生徒達の言葉に、教師は暗い表情をした。

  ホームルームの前に真神の母親から電話が来たのは事実だ。しかし、その内容が皆に言えなかったことばかりだった。

  “帰宅していたはずの娘がいなくなっていた”

  “娘の部屋が何者かに荒らされ、獣の爪痕が残されていた”

  “部屋の床には謎の毛が散らばっていた”

  一瞬、母親の言葉を信じられなかったが、警察と名乗る人物に電話が代わり、本当のことだと言われた。「真神は何らかの事件に巻き込まれた可能性が高い」と……

  自分が理解できないことを生徒達に伝え、パニックになるのを避けたい教師は事件のことを隠した。真実が明らかになるのと、真神の無事を祈って。

  「真神さん、どうしたんだろう」

  昼休みの時間に廊下を歩いている何人かの生徒達、そのうち一人が心配の言葉をつぶやいた。

  彼はひとことで言えばイケメンだ。美しくかっこいいのが顔だけでなく、心が広い男でもある。

  「真神と釣り合うのは彼しかいない」とファンクラブの男は悔しそうにも認めていた。真神とは深く関わってなかったとはいえ、彼女の初めての欠席に彼も戸惑いを隠せなかった。

  そんな彼は何らかの用事で別の教室に向かう所だった。その途中、彼は奇妙なモノを見つけた。

  開かれた窓、普段は入らない教室、その間の廊下には動物の足跡が残されていた。

  換気するために開かれた窓から動物が入ったように見えるが、イケメンがいるのは二階の廊下だ。それに足跡は犬のようだが、人と同じ大きさだ。

  人並みの足を持つ犬が二階の窓から入り込んだ……学校にUMAが現れたのか?

  オカルト大好きなイケメン君だったが、足跡の先にある教室の中から何か聞こえてくる。得体の知れない存在がいることに驚きと恐怖が込み上げてくるイケメンだが、その正体を知らずに騒いだら恥だと考え、教室の引き戸をゆっくりと開く。

  室内は薄暗く、引き戸の僅かな隙間では見えにくい。もう少し引き戸を開こうとした時だった。

  暗い教室から“何かの瞳”がイケメンを見返していた。

  獣に似た瞳にイケメンが逃げ出そうとするも、大きな顎に噛まれ、教室内に引き込まれてしまった。

  明かりのない教室に水音と媚声が響く。イケメンの制服と下着が床に乱れている中、二人の人狼が交尾をしていた。

  イケメンが噛まれて変化させられた人狼が床に横たわった状態で、真神だった雌狼に性器を繋げられた状態で馬乗りにされ、腰を上下に動かされている。狼の姿で童貞を卒業するとは思わなかっただろう。

  彼の上で腰を振っている雌狼の乳房が上下に揺れ、マズルの口から舌を垂らしていた。憧れの優等生も狼に変えられたら本能を抑えられなくなる。

  やがて雌狼の腰が速まっていき、大きく腰を下ろした瞬間、人狼が絶頂に耐えられずに射精してしまう。精液を放っていく快感に人狼は歪んだ笑顔になり、膣に精液を流し込まれた雌狼は満足そうな笑顔を浮かべていた。

  

  

  

  数時間後……校内にいた二匹の人狼が生徒、教師達を襲いかかり、全員を人狼に変えてしまう。名門校は人狼共の巣に成り下がってしまった。

PRPR