狼は山の神であつた。
別名は「山犬」であり、もののけ姫の「モロ」や、「山犬の姫」も、ニホンオオカミ(山犬)なのである。
サンてふ名は「山」と「太陽(英語)」が響き合つてゐるのかも知れない。
古来より、神聖な動物は白毛とされる。
古事記に「山の神」として現れる白猪しかり、日本書紀の白狼しかり、日本国旗しかりだ。
出雲神話では、神聖な「白」の字を使はず、「素菟(しろうさぎ)」とされる。因みにこれは、「素つ裸」てふ意味も含まれてゐる。だから、赤肌の哀れなウサギは「素菟」だが、大国主神の治療で神性を取り戻した兎神は「白兎」と言つて良いのかも知れない。
兎に角、だからモロら三頭の山犬は白色であり、年を重ねた霊獣であるから、人語も解する。
『狼と香辛料』の狼神ホロの言葉を借りれば、「賢狼」てふ事になるだらう。
然し神性を帯びたその神秘的な動物「日本狼」は、今や肉體を失つた。
ニホンカワウソやニホンザル、ニホンジカ、ニホンイノシシ、タンチョウ(Grus japonensis)など、日本の名を冠しながら絶滅しかけてゐる動物も居る。
因みに、關西の山の神は猿である。
犬猿の仲とは、関東と関西の事なのだと思ふ。
田の神といへば狐である。
或いは狸や猿でも良からう。
山に住みながら人里に降り、山の霊性を連れてくる彼ら。
それらは山の神、狼の部下なのである。
北海道のアイヌにとつては、山の神とはクマである。
朝鮮の仏教美術は、虎を山神の精霊として描き、また、檀君神話にも出て來る。
https://artsandculture.google.com/story/yAUB_exZf_u-JA?hl=ja
虎には勝てないであらうが、狼は熊に立ち向かふてふ。
個では敵はないが、群れと個の熊とでは戰ひ得るのだ。