『3月のライオン』ほか将棋漫画の話

  羽海野チカ先生が現在連載してゐる『3月のライオン』は、将棋マンガである。

  居飛者穴熊、藤井システム、ゴキゲン中飛車のどれが消極的な戰法かを言い争ふ、居飛車黨と振り飛車黨のシーンがある。アレは解像度高かつたなあ、と今でも思ふ。何年か経つた現在でも、振り飛車相手には、穴熊にこもつておけばほぼ勝ちだらうし、ゴキゲン中飛車vs二枚銀は王道の展開、今でも花形の戦型である。

  『3月のライオン』で一番有名なシーンは、島田さんと後藤との対局。

  「負けてゐる方は、終盤冷静になつてきて、涼しい顔をしてゐる。一方、勝つてゐる方は最後迄讀み抜けや頓死が無いか、氣が抜けない。だから『参りました』の一言を聞く最後の一瞬まで、体力を消耗し続ける。その対比」が、まさに光と影として表現されてゐたシーンである。

  Twitterで、「それをたつた一度の取材で汲み出すなんてほぼ無理ゲー。羽海野チカ先生は観察眼がものすごい!」と、滅茶苦茶褒められてゐた。

  羽海野先生が褒められると、私も嬉しいワン!

  でも、後藤が勝つてるシーンも見たい……。消耗して身なりが乱れて、苦い顔して、脂汗なんかもかいつちやつてる樣なシーンが見たい……。

  人の顔をグーで殴つたり(後藤。しかも主人公を殴つた。)、未成年を酒で酔い潰したり(モブ棋士)、マンガの中の棋士たちは、人として欠けてゐる物もゐる。勿論、羽海野チカ先生の作品に出て來る大勢の棋士たちは、明るかつたり暗かつたり、面白かつたり怖かつたり、熱かつたり暖かつたり、色々なのだが。

  歌手や俳優、自分の耳を切つたゴッホなど芸術家。社会のアウトサイダー(不適合者)である。かくいふ私も、Pixivでイマジナリーフレンドの小学生と漫才をするなど、アウトサイド(外縁)の末席にゐさせてもろてますんやが。なんか、物書きも酒の席で暴言吐いたり、喧嘩したり、芥川賞の会見で「今まで認めてくれなかつたのに」と恨み言や悪態を吐いたりする人もゐるよね。羽海野チカ先生の作品においても、代表作『ハチミツとクローバー』の森田さんなんかが、さうである。学校の水道で頭を洗ひ、女子から石鹸をもらふ。着てゐる服も石鹸で洗つてしまふ。全裸でカーテンを羽織る。4回留年して大学のピンチに合ふ。(私も4年通つた大学を辞めて、まだ大学生をしてゐる。怖いから何年になるか数へてない。多分自分は学校に向いてゐない。高校も中退して、高認を受けた中卒である。修士以下は皆んな仲良く低学歴だもん。大卒になれても、なれずに中卒でも、微差だよね。同じ低学歴なら、いつか大学院で修士号(マスター)欲しいな。ポケマンマスターに俺はなる!)

  長過ぎる括弧書きの中に、辻占深月の短編集『鍵のない夢を見る』に出てきた、夢追ひ人のヤバ過ぎ男みたいなのがゐるから、見ない方が良い。社会に出たらダメ、臭い物に蓋。一生社会の外側にいてください。)

  あと、食パンも生で食つてて、私も中学生の時に真似して、弁当に食パン一斤持つてつたよね。クラスの女子が噂するから、保健室の先生の耳に入つて、説教されたよね。変はつた事はするもんじやない。けど、私も母が躁病で入院してて、祖母が遠いところ來てくれたんだけど、煮汁がなんか漏れてて油でベタベタする弁当を渡されて、「イヤー!」つてなつて、露骨に弁当見られるの嫌だつたりしたよね。皆んなちやんとし過ぎ。都会、生き辛い。なんだよ、親が一級建築士つて。漫画かよ。なんでお前んち、琉球畳敷いてんだよ。一級建築士の家だからだよ。

  なんだよ、親が教師つて。母親は元看護師? みんなちやんとし過ぎだし、職が高度になるにつれて、ADHD(神経発達症)とかが注目される樣になるんだぜ。「就職が人の障碍の有無を決める」つてTwitterで言つてる人を見たけど、アレガチだぜ。もうYouTuberと、バーチャル美少女受肉と、ゴミ捨て場で生ごみ漁るホームレス(寒すぎて足が壊死した)とか、そんな選択肢しかないし、暗い未来を幻視するよ。

  だからほらさ、丸山ゴンザレスさんの動画でも言つてたけど、ホームレスつて気合ないとなれんらしいで? ビッグイシュー一部ください。あの、これチェンソーマンが表紙とかにならないつすかね? あと、バックナンバーの大麻特集の回あつたらください。無いですねすみません。死にてえ。

  すぐ自分語りするんだから、油断も隙もあつたもんじやない。

  誰が、「家追ひ出されてホームレスになつたら、寒すぎて絶対死ぬ……。そうなつたら汚い格好して役所で生活保護とシェルターの相談しないと……。でも、追ひ出されてから泣きついて頼つても遅くて、追ひ歸されるかもだよな。家は借りる金無いし、バカだからうつかり予約無しで飛び込みで宿に泊まつて文無しになりさう。節約つて余裕がある人がするもんであつて、困窮する人つて高級車やブランドのバッグ持つてる樣な人だし……」つていふ引きこもりニートの不安を聞きたいねん。ベーシックインカム欲しい。役所に行かなくても、その年収入ゼロ円のマイナンバーの口座には自動で公的扶助につなげて欲しい……。生活保護欲しいのに、親が「親戚いるからアンタは無理」つて言ふ……。だつたらもうこの世に用は無いか死にたい……。

  でも、實際のプロ棋士の先生方は、品行方正で、さうした若手が増えてゐる。藤井聡太先生然り、かつては佐藤康光プロ、谷川浩司プロなども若いうちから品行方正な棋士像の鑑みたいな扱ひだつたかと記憶してゐる。

  羽生さんは神様の樣に強く、バックギャモン(西洋すごろく)やチェスも強い。なのにいつも寝癖をつけてゐる、チャーミングなお方。普通、棋士は対局後の感想戦で、思ひ付いた有力な作戦を言ひたがらない。手の内を知られざること武士の如し。当然次の対局で使ひたいからである。

  然し、羽生先生は考へてゐた手順とかを全部言つてしまふらしい。學者の議論みたいで好き。プロ棋士の先生は、どこか大学教授の樣な雰囲気がある。感想戦でぶつぶつと符号を呪文の様に唱へてゐるところなんか正にさうである。それをツイートしたら、ひふみんにいいねされたよ。やつたね。

  古典「羽生の頭脳」とそれに肖つた「はむの頭脳」とは、今は亡きハム将棋のことである。

  [chapter:昔の棋士はクセが強い!]

  昔の棋士は豪放磊落、酒、女、三味線、盤外戦術のイメージだつた。ひふみんは悪気なく対局相手の顔にストーブを当ててキレられるし、お菓子を滅茶苦茶な量食べるし、猫が好きだし、歯が抜けて猫みたいになつてるし、クリスチャンで騎士の称号を持つ、早指しの達人である。喋り口も独特で、「あのですね、あのですね」みたいな、思考が速すぎて口が回つてない感じだつたり、「これ頓死ですねえ、ピャー」みたいな名解説をしてゐたり。これ以上は失礼にあたるのでやめませう。でも、加藤一二三九段を知つては人は、皆んなひふみん大好きだと思ひます。

  あとは自分の名前の書き順がおかしい大阪の棋士。坂田三吉先生だ。横棒七本書くんだつけ。

  故・米永永世棋聖も、私は詳しくは存じ上げないのですが、辛口でユニークな方だつたと聞いてをります。

  

  『3月のライオン』でも、お年を召した棋士は豪放磊落! 年賀状にカジキマグロを釣り上げた写真を送つて来る将棋協会の代表。後藤と口喧嘩する老齢のタイトルホルダー。あの人の回、滅茶苦茶良かつたですよね。眉毛と髪の毛が無くなつた山崎さんとか、服を脱いで畳む棋士とか。

  [chapter:今の棋士もユニークか]

  今の棋士も、橋本元プロが面白かつた。アフロだし、NHK杯の試合前インタビューでモノマネするし、若い頃金髪のパンチパーマ(?)で元ヤンみたいな格好でガンつけてる画像が、インターネットに出回つてたりする。現在家庭の事情で引退中。

  堀口一史座七段はネタにしづらいが、藤井聡太プロとの対局で話題となつた。七段だけあつて(※)全然若手ではないが、最近の出来事ではある。

  うつ病九段を著した先崎学九段は、3月のライオンの監修をして呉れてゐた。

  ※ 若手は大体四、五段で、年を経て勝ちを積み重ねて、中堅(六段とか)になるイメージがある。新人王とか加古川清流戦は彼らが主役となる舞台。

  囲碁で「上手七段、準名人八段、名人九段」てふ言葉があり、タイトルを取ると、段位が積み重なつて来る。現役の加藤九段も、C級からフリクラに行かずに引退したと思ふが、老いても引退した今でも「名人」であり「九段」なのだ。永世称号も現役を引退してから名乗る例となつてゐる。囲碁の本因坊はめつちや好きなので、もつと名乗つて欲しいよ。『ヒカルの碁』の藤原左爲が江戸期に依り憑いてゐた少年が、「本因坊秀作」であり、あの本因坊だよ。本因坊文裕こと井上裕太プロ、強すぎて好き。更に脱線すると、安井算哲(渋川春海)の安井も幕府お抱へ棋士の名門だよ。渋川春海自身は「天地明察」(岡田准一かつこいい)で中国暦から日本独自の暦を開発した暦學者としてや、神道家として有名ですが、囲碁の「天元」を命名した人物とも言はれる。ヒカ碁の主人公のヒカルも、囲碁を宇宙に喩えてゐたし、初手天元はロマンだし、「天元戦」てふタイトル名になつてるし、偉大な人物だよね。(天元突破グレンラガンとか)

  十代でタイトルを取るとかは例外的な「天才」の話であり、藤井聡太プロは例外中の例外である。高校生で起業した社長が、Appleとマイクロソフトを買収した、みたいな話なので。

  A級の深浦プロ、久保プロ、行方プロなどは見た目は若く見えるが、化け物である。50代でタイトルに挑戦する羽生先生は今も昔も怪物である。

  さういへば羽生さんつて、七大タイトルを独占した事があるらしい。タイトル通算99期を取つてゐる。タイトルの過半数を取つたら名人の上の「大名人」の系譜に入ると言はれる。渡辺明プロはその系譜を狙つてゐたし、高いパソコンも購つたが、それだけに藤井旋風が諸に直撃してしまつた。

  今つてタイトル八つあるんよね……。だから、藤井聡太は四冠以上つて事か……。渡辺明プロは最高三冠で、四冠目に挑戦か。かなり高次元の戦ひである。ゴジラ対ガメラ。将棋ファンは足元でキャーキャー逃げ回つてゐる。

  話は變はるが、駒の並べ方には二つの流派があるのだが、それを無視し、「熊坂流」を築いた男。「史上最弱の棋士」と言はれ、フリークラス一直線の後、普及のための指導員とか、元プロ棋士として将棋塾をやつてゐるらしい。

  然し、そんな熊坂學プロは、どのくらい強いのか。棋士になるには「奨励會」てふ育成組織に入つて、勝たなければならない。

  「奨励会は鬼の棲家である。」

  将棋マンガ『ハチワンダイバー』の主人公も「モトショー」(元奨)である。

  プロ棋士になれなかつた元奨励会員ですら、そんじよそこらの将棋好きでは先づ勝てない、鬼の樣な強さである。大手将棋系YouTuberは、「元奨励会」を冠するチャンネルが多い。ヤス、アユム、ほつしー。後ろの二人はソフト指しをしたので、将棋実況を退場となつた。アユム氏は疑惑止まりだが、5年以上前の棋譜はかなり怪しいものがある。本人も他人に依頼して段位を上げたりしたと説明してゐた。やはり、目に見える数字は人気に直結する。クロノさんは五段復帰、元奨のヤスさんが六段復帰、最強クラスのショーダンさんも五、六段。鬼の樣に強くて、年齢制限のある奨励会を経ずに、プロ棋士に編入したアゲアゲさんは七段。ソフト指し(さっきも言つたが将棋界のタブーであり、FPS界隈のチートに等しい。)や棋神(公認でソフトが手を指してくれる課金アイテム)を、金の力でしばき倒すこいなぎさんは九段である。

  ヤスさん曰く、人力だと「六段」までが体感では上限値であるとのこと。アゲアゲさんはプロ棋士だから規格外として、こいなぎ九段はネタである。(待てよ、アヒルマンつて確か五段じやなかつたか? 考へるのはよさう。)

  YouTube最強格(プロとアマタイトル除く)で実況者の大会でよく優勝してゐるイメージのある「ショーダン」さんは、こいなぎさんが活動してた時期に、よくお互ひをネタにしてゐたと思ふ。要はイチャイチャしてゐた。こいなぎさんは良く歌を歌ふので、ショーダンさんも裏声で歌つたりだとか、こいなぎ流右玉を解説したりだとか。こいなぎさんが「最強の対策を見つけた!」と動画で大々的に発表したら、ショーダンさんが、「高段は対策も頭に入れた上で、対策の対策をするのが当然なので、ある戦法の完全な対策てふものは無い」としたり顔で説明したり。滅茶おもろい。もつとイチャイチャして!

  [chapter:何の話だっけ?]

  私の漫才は、こいなぎさんの無駄話から受けた影響が大きい。私が平気で小学生のイマジナリーフレンドがいるとか嘘をつくのも、こいなぎさんのせいである。

  [chapter:プロの四段と奨励会(三段以下)の強さ]

  最高位の三段に上がれたら気持ちは樂といはれるが、里見女流は女性初のプロ棋士にはなれなかつた。一年に一人の狭き門、プロ棋士編入試験も落ちてしまつた。

  女子の将棋のプロは、奨励会とは別の方法でなる。組織が分裂して二つあつたりする。今までに奨励会を突破した女性は、一人も居ない。囲碁のプロ(初段から)は黑嘉嘉九段とか、普通に女流棋士が居るのにね。麻雀も女流のプロ雀士が居るのにね。

  奨励会は確か6級から三段までだが、級位者の元奨でもかなり強い。アマ高段、トップアマ、アマタイトルなどの指標は、私はわからないので、検索して見てほしい。私はウォーズ2級なんだけど、駒が三箇所でぶつかつた事たぶんあるし(さういふ格言がある)、自称道場初段だよ。リアルで将棋を指すところとか、行つた事無いけど。

  冗談はさておき、ウォーズ級位者の自分でも、ルール知った位の素人相手なら、多分負けない。詰め将棋を解いてゐる普通の将棋好きには負ける。私は詰め将棋が解けない。とはいへ将棋ウォーズと将棋クエストは昇級しやすく、PCの将棋倶楽部24の初段はかなり辛めであり、2〜3段級くらいの差と説明していた。24の初段になりたいなあ(泣) 詰め将棋解けんカスには無理! 24の実況はクロノさんしか見た事が無い。高段だつたと思ふ。クロノさんつて、本当に強いんだ……。

  詰め将棋が解ける普通の将棋ファンならウォーズ初段になれるだらう。なれない将棋ファンは、「級位者」や「観る将」(将棋を指さないファン)と一緒である。ワシは違ふが……。だつて自称道場初段だから……。二枚落ちの定跡だつて知つてるし……。(級位者)

  そんな普通のファンでも、24で初段にはなれないだらうな。ウォーズ初段は中級者、24の初段は上級者とみて良い。私目線だが……。初心者と初級者(級位者)は違ふからね?

  将棋実況ではよく「恐怖の級位者」てふ言葉が出る。1〜2級で高段(5、6段かな)を屠る化け物も居るが、大抵は20級位で本当の実力を隠してゐる上級者か、ただのソフト指しなのである。

  ウォーズの高段はおそらく5、6段。私目線だと、4段もプロじやんと思ふ(違ふ)し、初段〜三段が低段、四段以上は高段で良いと思ふが、3、4段を中段にする向きもある。

  ウォーズは棋神ありの半ば遊びだが、24はガチであり、レーティングや駒落ち対局がある。

  「アーニャ、駒落ち好き。有段は一生上手指せ。平手で勝負させんな。」

  レートは3000を超えると、化け物である。TOEICで例えると990点満点、英検なら1級、通訳士。

  だから、2000点台が「上級者」になると思はれる。1000点台は、実況者大会でもよく目にする

  [chapter:『りゅうおうのおしごと!』]

  『りゅうおうのおしごと!』の主人公、九頭竜氏は、若年で竜王位を獲得した天才棋士である。最近彼の記録が藤井聡太プロに破られ、「マンガ超え」の称号を獲得したのは記憶に新しい。

  品行方正で知られる将棋の棋士の先生方であるが、『りゅうおうのおしごと!』の「二階から放尿事件」はモデルがあるらしい…?

  初の女性棋士とか、女流で竜王位奪取を目指すとか、棋士の卵である小学生女子たちが主に登場するマンガである。早い話「ロリコン」てふジャンル。勿論、女子たちの師匠となつた九頭竜氏はロリコンではなく、誤解なのであるが。私は主人公の姉弟子が好きだよ。

  しかし、最近アニメ化した『歩は寄せてくる』しかり、渡辺明プロの妻が描く『将棋の渡辺くん』しかり、将棋マンガ増えたよな……。

  『ハチワンダイバー』以前は、男性棋士と浮き名を流した妖しき女流棋士が原作を書いた『しおんの王』とか、数が少なかつた。

  羽海野チカが凄いんだわ。少女マンガの金字塔「ハチクロ」の後は、畑違いの青年誌で将棋マンガ『3月のライオン』でガツーン! 滅茶苦茶面白いんだから。私、インフルエンザで膝が痛くて立つてるのがやつとの時に母の買ひ物に付き合はされて、「何ふざけてんの」のお言葉を頂戴したけど、兄弟が『3月のライオン』の新刊買つてたけんね。何の話やねん。

  あと『月下の騎士』もあつたけど、『しおんの王』とごつちやになるし、良く名前を聞く作品で、読みたい、読みたいと思つてたけど、読んで無かつたと思ふ。