街中に張り出された1枚の広告。誰もが見向きもしないまま通り過ぎていく中で、1人の少年が食い入るように広告を見つめている。経験・年齢不問!あなたもロボットのオペレーターになりませんか?――そう書かれた広告には、人の顔をテレビのモニタに置き換えたかのようなロボットのイラストが添えられている。普通であれば、このような怪しい広告に釣られる人はいないだろう。だが、少年――ロボトという名前だ――彼にはロボットに対する強い情熱があり、年若く疑うことを知らない純粋な心の持ち主であった。ロボトは、好奇心を抑えることが出来ずに広告に記載された住所へと足早に向かう。両親に相談もせず、誰かに行き先も告げぬまま。
記載された住所に経っていたのは、古めかしい洋館だった。一見すると人が住むどころか幽霊が出るのではないかと疑う外見をしているが、ロボトは恐れることも無く呼び鈴を鳴らす。――誰も出ない。再度呼び鈴を鳴らすが、一向に家主が出てくる気配は無い。
「なあんだ、誰もいないのか」
ロボトが諦めて振り返った瞬間だった。背後から電撃を浴びせられ、ロボトは気を失ってしまう。そしてそのまま何者かに掴まれ洋館の中へと引きずり込まれていった――
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何も見えない暗闇の中、ロボトは意識を取り戻した。彼は状況を確認しようとするが、身体の感覚が無く身動きも、声を出すことすらも出来ない。
(なんで身体が動かせないんだろう。システム検索開始――頭部モジュール/一部オフライン、胴体モジュール/Not Found、電力充電量/100%――え、身体が無いの!?)
ロボトは、『身体の状態を検索』して身体が無くなってしまったことに気づく。だが、その行為がおかしいことにはまだ気づけていない。彼は再度検索を開始しようとするが――突然鳴り響いた扉を勢いよく開けるような音に、検索を中断した。
「やあ、被検体01号。調子はどうかね?」
若い男の声。ロボトは声を出そうとするが相変わらず何も音は出ない。
「ん?ああ、音声モジュールとメインカメラを起動させていなかったんだっけか。――01号、音声モジュールとメインカメラを起動」
電子音と共に、ロボトの目に男の姿と機械にまみれた部屋の全容が映し出された。白衣を着たいかにも研究者といった風貌の男は、手元にある端末を触りながらロボトを見つめている。
「音声モジュールとメインカメラが正常に起動致しました。――お前は、誰?」
ロボトの口から無機質なアナウンスと、疑問が漏れ出す。その言葉に男はこう返す。
「私は奇械ツクル。様々な機械を発明してきた研究者にして発明者さ」
なんだこいつ――ロボトはそう思う。しかし、この状況を聞かなくてはとも思いツクルに話しかける。
「ツクル様。なんで僕の身体が無いの?」
ツクルは、少し笑いながら壁にあったスイッチを押す。すると、動作音と共に鏡が天井から降りてきた。
「その疑問は、鏡を見れば解決するだろう。被検体01号」
鏡に映されたのは、広告で見たイラストのようなテレビモニタ風の頭部が宙に吊るされている姿だった。あちこちから伸びているケーブルが無数に繋がれ、頭部から下には何も無い。
「エラー。ああ、どうしてこんな、こんなの、僕の身体じゃ、ない」
「ん、ああその身体は仮のモノだから安心したまえ。これから他の身体に移行するから」
その様子を見て悪びれる様子も無くツクルは何やら端末を弄っている。
「早く戻せ、この≪不快な電子音≫が!お母さんに言いつけてやる!あっ――システムを一時停止し、データの移行を開始致します。しばらくお待ちください」
ロボトの動きが止まり、頭部だけの身体から新しい身体へとデータの移行が始まる。端末でデータの移行の操作をしながら、ツクルはニヤリと笑った。
「きっと、新しい身体を気に入ってくれると思うよ」
そう呟きながら、ツクルは着々と作業を進めていった。
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「システムを再起動しました。動作チェックを開始致します――あれ、これは?」
ロボトが再び目を覚ました時、目に映ったのは先ほどとは別の部屋と――新しい身体だった。
「これ、もしかして僕?」
元々の彼をモチーフとしたかのようなロボットが、目の前の姿見に映されている。だが、ある1点だけは本来の身体と形が違っていた。
(僕のチンコ、こんなに大きくなかったはずなのに)
股間に大きく反り立っていた男性器は、成人男性のソレと同じ大きさをしていた。彼がまじまじと陰部を見つめていると、突如彼の全身に快感が走った。
「疑似精液充填、これより射精シーケンスのチェック、並びにそれに伴う電子頭脳への快楽伝達実験を行います、え、ええ?」
突如口から出た言葉に彼が困惑した瞬間。彼の男性器から精液を模した液体が勢いよく排出された。2mほど離れた姿見まで飛んでいくほどの勢いを持つ疑似射精は、彼の頭脳に大きな快楽を与えた。
「なにこれ、こんな気持ちいいの、知らない――っ!出ちゃう!おしっこが出ちゃう!電子頭脳がオーバーヒート寸前です、冷却する必要があります」
彼はまだ精通を知らない男児であった。だが、初めてを学ぶ前に歪な形で学習させられてしまった。
「いつまで続くの、おしっこ漏らし続けちゃって恥ずかしいよ――なんで気持ちいいの、分からない、エラー、エラー――」
程なくして疑似射精が停止する。電子頭脳が焼き切れ、シャットダウンしてしまった彼を見て満足そうな顔をしながらツクルが入室する。
「素晴らしいデータだ。さあ、次の実験に移ろう」
再度端末を操作すると、別の身体へとデータを移行し始めるのだった。
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「システムを再起動しました。動作チェックを開始致します――あれ、これは?」
先ほどの快楽はどこかへ行き、記憶領域にも残っていない。1時間ほど前に同じ言葉を言ったことも、ロボトは何も覚えていなかった。まるで再演するかのように、目の前の姿見を見る――だが、映し出されていたのは彼をモチーフにしたロボットでは無かった。
「なにこれ、犬――?」
映し出されていたのは、昔流行っていた愛玩用のロボット犬のような姿だった。『匂いセンサー』を稼働させ、周りの様子を探る。すると、甘い香りが鼻をかすめてきたので匂いの元を探す。
「交尾対象を発見、直ちに交尾を開始致します。え、交尾ってなに?」
匂いの元には、今の自分と同じようなロボット犬がいた。ただ彼と違っていたのは、そのロボット犬は雌をモチーフにしたものであった点だ。
彼は彼女にのしかかり、男性器を挿入する。電動的な動きで男性器を刺激され、直ちに疑似精液が吐き出される。
「ワン、ああ、正常に動作中です、ワンワン、なんで犬の鳴き声が、なにこれ、気持ちいい、クゥーン…」
設定された犬の本能と、人間であった知識の『データ』が、彼の思考をぐちゃぐちゃにかき混ぜていく。1時間ほども交尾は続き、終わって男性器を引き抜く頃には彼はまともな思考が出来なくなっていた。
「交尾、交尾交尾交尾交尾交尾交尾――精液が充填されていません。マスターに指示を仰ぎ充填の申請を、それよりもまず交尾、交尾をしたい!ワン、ワワワン!」
『データ』が壊れ、繰り返し同じことを呟き続ける。身体が震え続け、今にも壊れそうだ。ツクルがボタンを押し、強制シャットダウンされるまで繰り返し繰り返し交尾の再開を申請し続けていた。
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「システムを再起動しました。動作チェックを開始致します――あれ、これは?」
何度目か分からない再起動。記憶領域がリセットされ続け、繰り返し実験されているロボト。だが、その実験も終わりを迎えていた。
「おめでとう、被検体01号。次で晴れて君はロボットのオペレーターになれるぞ」
その言葉に、ロボトは喜ぶ。が、すぐにおかしいと気付いて反論する。
「嘘だ!僕はロボットを動かしにきたのに、僕はロボットになってる!話が違うぞ、マスター!」
ツクルが笑っている。何がおかしい、とロボトが怒る姿を見てツクルはさらに笑う。
「別に嘘はついていないさ、君は、ロボットのOS(オペレーティングシステム)になったのさ。ロボットをオペレート出来るだろう?ククク…」
それよりも、とツクルは続ける。
「君は自分の身体を心配しなくていいのかい?それとも、また回路が焼き切れてしまったのかな?」
その言葉に、ロボトは『状況の検索』を始める。
「システムチェック開始、並びに現在の状況を把握――女性器モジュール/マスターの挿入受け入れ態勢完了済、胸部モジュール/Fカップ、胴体モジュール/マスターの嗜好に合わせ最適化済、頭部モジュール/モニタに笑顔を表示可能――はい、何も心配する必要はありません。いつでもマスターを受け入れることが可能です。違う!その汚いチンコをどけろ!」
ツクルは、彼を犯そうとしていたのだ。全裸となり、ロボトの身体を上から押さえつけていた。
「そうかい、準備完了かい。じゃあ遠慮なく」
ツクルの男性器が、ロボトの『女性器モジュール』に挿入されていく。実験で最適化されていった快楽の信号が、電子頭脳へと直接送られていく。
「ああ、あん、こんな声、『わたくし』じゃ、マスター、やめて」
諦めなよ、ツクルが『彼女』の耳元で囁く。彼はもう人間の男ではなく、子供でもなく、成人女性を模した性行為用のロボット――セクサロイドなのだ。滑らかでツルツルな肌も、大きく膨らんだ胸も、人らしさの無い小型モニタが付いた顔も、そして電動で男性器を締め付ける女性器も――全てツクルを悦ばせるために作られた作り物。
「さあ、君は僕の精液データを受け止めた瞬間、真の意味で僕のモノになるのだよロボト君」
(ロボト、そうだ、僕の名前――不要なデータです。消去を開始します。やめて!)
快楽と並行で、不要なデータが消去されていく。並列処理を可能とした最新鋭のボディは、マスターを悦ばせるために最適化を進めていく。
「そろそろイクぞ!受け止めろロボト――いや01号!」
「名称登録完了。01号はマスターの命に従います。疑似膣内に精液をお出しください。」
ついに男児らしさのある喋りは無くなり、無機質な女性の音声で喋る『01号』。『彼女』は出された精液と行為の分析をし、次回の性行為における動作をアップデートしていく。
「マスター、わたくし、あなたにお仕え出来て幸せです」
設定された言葉を、悦ばせる最適な選択を、『01号』はマスターに語り掛ける。その姿を見て、いい物を作れたな、とツクルは満足そうに頷いた。