ハロウィンは永劫に続く

  「ハロウィンの後片付けも大変だよなあ、はぁ」

  「愚痴ってないで、早く片付けようよ兄ちゃん」

  とある町の一角に存在する小さな建物。『南瓜商店』という名前のそのお店は、ある兄弟が営む小さな小さな雑貨屋だった。兄の名前はミナミ。怠け者ではあるが、力仕事が得意で商品の入荷を担当している。弟の名前はウリ。働き者で、頭の回転の速く、またコミュニケーション能力に優れることから店番を担当している。そんな彼らは二人の名前を合わせて『南瓜』であることから、『南瓜兄弟』と呼ばれていた。

  彼らはハロウィンの日にカボチャの飾り付けをするのが毎年の恒例行事となっていた。店の名前をこう決めたのだからそうするべきだ、そう軽い気持ちで。だが、ハロウィンはもう昨日の出来事。その後に待つのは後片付けのみだ。そんな状況下で、ミナミは片付けを面倒臭がり始め――今に至る。

  「もう、後は棚に飾ってたカボチャを撤去するだけなのに! 高いところにあるんだから、兄ちゃんしか片付けられる人はいないんだよ!」

  ミナミは20歳、ウリは10歳。その身長差はなんと60㎝ほどもあり、ウリは高いところに全く手が届かない。それ故に、高所に設置されたカボチャはミナミに任せるほか無かったのだ。

  「分かった、分かった! 分かったから腕を引っ張るなって!」

  ウリの圧力に屈したミナミは重い腰を上げて棚の上に手を伸ばす。そして、本物のカボチャから創り上げたジャックオーランタンに手を掛けて――手を滑らせてしまった。落下するジャックオーランタン。その落下先は、ウリの頭上だった。

  「えっ、なに!? 暗くて何も見えない、助けて!」

  ウリの頭にピッタリと覆い被さるように、ジャックオーランタンが装着されてしまう。必死に外そうとして引っ張っているが、ハマってしまったのか一向に外れない。

  「待ってろウリ、俺が外してやるぞ、ウオオォォ!」

  「痛い痛い痛い、止めて、止めてぇ!」

  力任せに引き抜こうとすれば、首も一緒に引っ張ってしまったのか激痛が走っているようだ。

  「クソ、どうすればいいんだ。呼吸が出来るかも心配だし、割ろうにも身体の事を考えると勢いよくは無理だし――」

  人は、今まで出会ったことの無い異常に出会うとパニックを引き起こす。ミナミは正常な思考が出来ない状態にあった。ただでさえ、難しいことを考えるのは苦手だった彼はただその場で立ち尽くすことしか出来ない。だが、事態は急転する。

  「に、兄ちゃん、からだ、からだあつ、あつい」

  ウリは身体の熱さを訴えると、その場に座り込む。そして、そのシルエットが徐々に形を変えていることに、ミナミは気づいた。

  「おい、どうしたんだウリ。その腕は一体――!?」

  細く柔らかく、筋肉の発達しきっていない腕に筋肉が付いていく。太く硬く大きく――大人でも滅多に見ないほどに筋肉が付いていく。その大きさは胴体すら超えているほどで、全身とのバランスが全く取れていない。

  腕が発達しているということは、手もまた変化していくということ。その大きさに見合うように、紅葉のように小さかった手は大きくなっていき、大人の顔すら鷲掴みに出来そうなほどまで肥大化する。

  「あれ、なんで、手がうごいて」

  そして、変化した手はウリの意思を無視して動き出し、自分の衣服を力任せに引き裂いてしまう。シャツも、ズボンも、そしてパンツさえもただの布切れと化してしまう。平坦で何もない胴体。小さく、周りに毛も生え揃っていない男性器。それらを遮る物は無く、何もかもが曝け出されてしまう。

  「いや、にいちゃ、みないで」

  恥じらい隠そうと藻掻くが、手は自由に動かせないので隠すことなど出来ない。そして、ミナミも目を離すことが出来なかった。何故なら、腕に発生した異変が、身体全体で発生していることに気づいたからだ。

  胸板が厚くなる、最早下手な女性よりも膨らみを持っているだろう。

  腹筋が割れる、これほど綺麗に割るためには、何年もの鍛錬が必要となるだろう。

  足が太く硬く大きく、腕と同じ変化を辿る。その足は、大地を踏みしめればドスン、という音を立てるに違いないだろう。

  「いやだ、イヤだ、ぼくガ、ボクじゃナい、ボクガ――」

  錯乱し、うわ言を喋り続けるウリの声は、段々と唸り声のような低さへと変化していく。既に、彼であった痕跡は股間の小さな男性器にしか存在しない。その男性器すらも、今や天に向けて硬直させその時を待っていた。

  「ウウ、ウオォ、デル、デルウウゥウ!!」

  辺りが震えるほどの重低音の叫び声と共に、そのサイズには見合わない量の精液が男性器から放出されていく。その勢いは留まらず、下半身を真っ白へと染め上げる。そして、射精すればするほど男性器は、陰嚢は大きさを増しては更に放出する精液量を増やしていく。

  「アァ、アアアァアアァアア!!」

  精通も迎えたことの無かったウリの心は、快楽に染め上げられてしまった。今や自由に動かせるようになった腕で、手で、男性器を乱暴に掴み更なる快楽を求め扱き始める。身体のどこに精液が付着してもお構いなしだ。

  そんな精液も、白く濁った色が次第にオレンジ色へと変わっていく。そして付着した部位を同じ色に染める。腕も、足も、胴体も、男性器も――オレンジ色に染まり切ってしまった。

  「グフゥ、グフゥーッ!」

  最後に、顔と同化したジャックオーランタンにオレンジ色の明かりが灯ると、ウリの変化は終わりを告げた。ボディビルダー顔負けの凶悪な筋肉を持ち、全身をオレンジ色に染め上げ、今もオレンジ色の精液を放出し続けるこれまた巨大な男性器と陰嚢を持つ『化け物』。そう形容する以外に言葉が見つからないような、この世に存在してはいけない生物が、そこにはいた。

  「どうして、ウリ、こんな」

  ミナミは腰を抜かして尻もちをつく。最愛の弟が、目の前で化け物と化してしまった。その事実を受け止めきれなかったのだ。後悔と、異形に対する恐怖。彼は失禁し、パンツをびちょびちょに濡らしてしまった。そのアンモニア臭に、『化け物』は反応を示した。

  「アア、ニイチャン、オモラシシタノ? ソレジャア、キレイキレイシナイト」

  『化け物』が迫る。ミナミの服を切り裂き、軽々と持ち上げてみせる。その身長差は、40㎝ほどだった。ミナミの方が、小さい側で。

  「ヘヘ、ナンダカナツカシイネ。ボクモムカシ、オモラシシテタ」

  そう言いながら、『化け物』は顔を股間に近づけ、ギザギザとした口の中からオレンジ色の舌を出すと、ミナミの股間を執拗に舐める。

  「コレデ、キレイキレイニナッタ」

  『化け物』は丁寧に尿を舐め取ると、満足したかのようにミナミを床に降ろす。だが、何か思うことでもあったのか、肩を強く掴んだまま放そうとはしなかった。

  「コレジャア、ニイチャンガ、オトートミタイ。ソウダ、ソウダヨ、オモラシスルナンテ、コドモノスルコト、ダモン」

  自問自答を繰り返し、納得したかのような表情を(カボチャの顔に表情なんて無いはずなのに)浮かべると、再度ミナミを持ち上げて、両足を開かせる。『化け物』の視線の先には、生存本能により勃起した男性器と、お尻の穴が――。

  「待て、何をするつもりだ、やめてくれ、やめてくれーーっ!!」

  その瞬間、ミナミのお尻に激痛が走る。到底受け入れられないような大きさの男性器が、お尻の穴に捻じ込まれている。遠慮なしに激しく、まるでオナホを扱うように、『化け物』はミナミに対して一心不乱に男性器を打ち込み、前後に動かしていく。

  「お、ごおぉ、が、があぁ」

  未知なる体験、激痛、恐怖。様々な要素が重なり、ミナミは意識を放棄するが――荒々しく打ち付けられ、意識が引き戻されるのを繰り返す。何度も、何度も何度も何度も――だが、永劫に続くかのように思えたその行為にも、遂に終わりが訪れた。

  「ニイチャン、ウケトメテ、イ゙グヴゥ゙ヴ!?」

  腸内を精液が埋め尽くす。そして、穴から収まりきらなかった精液が溢れ出してくる。腹が膨れ上がり、太ってしまったかのような、妊婦かのような、そんな状態に成り果ててしまっている。

  「抜い、て、抜いて、く、れ」

  行為の終わりに安堵しながら、息も絶え絶えに『化け物』に懇願するミナミ。だが――。

  「ナニイッテルノ、ニイチャン。ココカラダヨ」

  絶望。その言葉に耐えられず、彼の心が狂気に支配されるのは当然の帰結だった。

  「あは、あははは、アーハッハッハッ!!」

  笑う。怒りも無く、悲しみも無く、ただ笑う。そんな彼を見て、『化け物』は「ヨロコンデクレタンダネ」と誤解している。そして、その笑いに誘発されたのか。それとも精液によるものなのか。ミナミもまた、その身体を大きく変容させていく。

  最初に起きた変化は、その大きな体格に対してだった。190㎝を超え、全身が程よい筋肉で覆われていたその身体は、まるで風船が萎んでいくかのような、成長を逆再生しているかのような、そんな風に縮小していく。身長は100㎝を下回り、筋肉など欠片も残らず、子供らしい脂肪が各所に付いていく。だが、精液によって膨らみ、男性器によって押し上げられているお腹周りは変化せず、そのままの大きさを保っている。その皮膚の色は、『化け物』と同じオレンジ色に染まっていた。

  次に、顔の形が大きく変わる。『化け物』の顔が真顔のジャックオーランタンであれば、ミナミの顔は、笑い顔のジャックオーランタンへと変化を遂げた。そして、ピンク色の明かりが灯ると、薄気味悪い笑いが口から漏れ出す。

  「あはは、うふ、いひひひ」

  その声は、漏れ出る度に高く、されども透き通るような声では無く。まさに、子供の声だった。

  そして、最後の変化が、股間部分の変化が始まる。男性器の周りに生えていた密林は段々と抜け、ツルツルとなってしまう。そして一般的な男性よりも1.5倍は大きかった男性器は豆粒のような大きさになると、陰嚢もまた同じように小さくなっていく。子供どころか、赤ちゃんのような大きさだ。おしっこをする以外の用途では使い物にならないだろう。実際、その男性器からは精液臭さなど消えており、アンモニア臭のみが残されていた。

  こうして彼は、小学生にも満たない体格でありながら、100㎏くらいは詰まっている太った突き出たまん丸なお腹を持ち、可愛らしい赤ちゃんのような男性器を持つ――そんな『子供の化け物』へと変化を遂げた。

  「ワア、ニイチャン、カワイイ! ン? ニイチャンダト、オカシイ。コレカラハ、ランタ! ボクハ、ジャック!」

  『ジャック』は弟の誕生を喜び、抱きかかえてクルクルと回る。『ランタ』はそれを嬉しく思いながら、小さな手でギュッと腕を握り返す。今も尚結合されたお尻と男性器からは、相変わらず精液が漏れ出していて、クルクルと回る度にあちこちへと飛び散っていく。だが、この程度の事、彼らにとっては些細な事だろう。

  「ジャックにいちゃ、おしっこでちゃ、あははは!」

  『ランタ』の股間から、おしっこが勢いよく放出される。お漏らしをしているにもかかわらず、それを恥じる様子も無い。彼の元々の記憶は、綺麗さっぱりと消えてしまったようだった。

  「ショウガナイナ、ランタハ。ホラ、オソウジスルカラ――ン、コッチノホウガ、ハヤイカ」

  『ジャック』は男性器を引き抜くと、その逞しい手で勢いよく扱き――思いきり射精する。その精液をお互いに浴びて、全身に塗りたくっていく。

  「きもちーね! にいちゃ!」

  「アア、キモチイイ、キモチイイネ」

  ――こうして、彼らは異形へと成り果てた。兄と弟の立場が入れ替わり、その存在を大きく歪められてしまった彼らは、元の姿など忘れていることだろう。何故なら、その身体は楽しく、美しく、気持ちいいのだから。彼らはもう、ミナミとウリでは無い。『ジャック』と『ランタ』なのだ。

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  「ねえ、『南瓜商店』から嫌な匂いがしてこないかい?」

  「ほんと、イカ臭いというか、カボチャ臭いというか。ハロウィン以来、お店も開いていないし――ちょっと確認してみましょうよ」

  近くに住む主婦たちは、『南瓜商店』から漂う匂いを不審に思い、その戸を叩く。何度叩いても返事は無く、ただ悪臭だけが漂ってくるだけだ。

  「う、もう限界、早く離れましょっ」

  1人が吐き気から離れようとした瞬間、戸が勢いよく開いてオレンジ色の腕が中から伸びる。そして、主婦たちを纏めて捕らえると、中へと引きずり込んでしまった。

  「ハッピーハロウィン、フォーエバー♪」

  店内に、悲鳴が鳴り響く。だが、その声も次第に嬌声へと変わる。そして、開けっ放しの戸から異形が溢れ出してくる。

  大きな男性器を備え、遠吠えをする人狼。

  性器を見せびらかしながら飛び回り、あてもなくフラフラとしている吸血コウモリ。

  豊満な肉体を見せつけながら、フワフワと彷徨う幽霊。

  全身が固まって動けなくなりながらも、胸も男性器も揺らしながら飛び跳ねて移動するキョンシー。

  多種多様な異形が解き放たれ、町へと散っていく。各地でも同様の悲鳴が鳴り響き、また1人、また1人と異形へと成り果てる。そうして1日も経たないうちに、町は異形によって支配されることとなった。

  世界がハロウィンに染まるのは、時間の問題だった。

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  【設定資料】

  イメージを膨らませる用です。

  ・ミナミ→ランタ

  鍛えているというわけではないが程よい筋肉が付いており、基本的にどんなスポーツも楽々こなすほどの運動能力を持つ。しかし怠惰が故に、大会で優勝するなどといった実績は無い。ウリは歳が離れている弟ではあったが、子供好きなこともあり非常に仲良く接してきた。

  ジャックとなったウリの手によって、子供のカボチャ頭人外へと改変させられる。恐怖から逃避するために新たな人格を生み出し、元々の記憶と人格を消し去ってしまったため、ミナミとしての意識などは一切残っていない。何に対しても笑い、楽しむ。無邪気な子供。

  

  身長:195㎝→98㎝

  体重:89㎏→147㎏

  年齢:20歳→2歳

  備考:幼児体型かつ肥満体。

  能力:栄養満点おしっこ

  →彼のおしっこを血族(ジャックオーランタン)以外が飲むと、幼児となり尿意を堪えることが不可能となる。更に、おしっこを漏らす度に人間性が喪失し、人外へと変わっていく。改変された後の姿は対象の性格に依存する。カボチャジュース味らしい。

  (例→臆病な性格だったので幽霊に変化、大人しい性格だったので人造人間に変化)

  ・ウリ→ジャック

  平均的な小学4年生よりも小さく、コンプレックスを抱いていた。その分頭脳明晰で優しく、近所の人々や学校の友達から好かれていた。歳の離れた兄ではあったが、純粋な愛情を受けていたためミナミにはこの歳になっても甘え続けていた。

  ジャックオーランタンを被ってしまったことにより、ハロウィンの残滓からミナミ以上の肉体を持つカボチャ頭人外へと変化してしまう。記憶は残っているものの、考え方は人外のソレであり、気持ち良くなることを大前提として動く。人外と化した者を家族だと思っており、邪魔する者には容赦しない。

  身長:128㎝→240㎝

  体重:31㎏→110㎏

  年齢:10歳→28歳(実際は計測など出来ないが、仮の値)

  備考:ボディビルダー顔負けの筋肉、平均の数倍は大きな男性器を保有。

  能力:カボチャ精液

  →彼の精液を血族以外にかけるか飲ませるか体内に流し込むと、ハロウィンをモチーフとした人外へとその姿を改変する。対象の精神の強度により、意識を保てるか、人格が変わるかどうかなどが決まる。また、改変させられた者の姿は、基本的に彼がどのような姿にしたいかどうかで変化する。カボチャ味らしい。

  (例→ワイルドな男友達が欲しかったので主婦を狼男に改変、ママが欲しかったので豊満な肉体を持つ幽霊へ改変)