混沌探索編 第七話 ダイン対空飛ぶ魔獣の群

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  ダインからの追い堕液で胎内を満たされたレ・ミュウは、その生涯最高の幸福を感じていた、ダインが注ぐ愛情が不変で有る事がその心に完全に刻まれた為でも有る。

  レ・ミュウ 「主の思いは凄いです、ミュウが存在する限りの愛だなんて」

  ダイン 「私なりの不滅の愛を考えて結果ですからね、苦労して完成させた芸術に対する愛情は私の思考では失われる事が無いんです」

  レ・ミュウ 「愛される事を心で感じられるって素晴らしい事です、作品に対する愛と種族に対する愛、ミュウ個人に対する愛は深くは有りませんが、遊魔を維持する上で偏りを避けたいという主のお心はちゃんと理解出来てますから」

  ダイン 「ミュウがちゃんと遊魔で安心しました、個人の欲が繋がりを崩壊させる事も有りますからね、特にミュウの個体としての力は今まで産まれた遊魔の中でもっとも強いですから」

  ダインはミュウが今までの遊魔から逸脱していない事に安堵する、遊魔社会を維持する為には力を持つモノがちゃんと控えた態度を取る事が重要なのだ、この力に驕らない遊魔の精神性がより遊魔の結束を強固にする。

  翌日、ダインは遊魔能力で糸を作り出すと、爪で針を作って服を作る事にする、レ・ミュウは他にも服の材料を探す為に狩に出掛けるが、遊魔の力が与えられたレ・ミュウなら魔龍でなくとも魔獣ごときに遅れを取る事は無いだろう。

  ダインは二本の糸を使って縫う事によりかなりの速さでマントを服へと作り変えて行く、狩に行くレ・ミュウに上着を貸してしまった為に少し肌寒いので、遊魔化して寒さを凌ぐ。

  レ・ミュウとだけならこの姿でも問題無いが、取り敢えず北方の人間集落を目指す事に決めたダインにとって、防寒着は怪しまれ無い為に必要だと考えているのだ。

  そして、余り期待していなかったレ・ミュウの狩はダインの想定を大きく上回る結果を出した、綺麗に内臓を処理した鹿の魔獣と見慣れない甘い果実を収穫して来たのだ、その上調理に使える岩塩なども採取しており得た知識を上手く活用してくれた様だ。

  ダイン 「塩を得たのは大きな収穫ですね、タムラも大喜びですよ」

  ダイン也のボケは当然ミュウには通じない、ただ口にしてみただけなのだ。

  レ・ミュウ 「タムラって何ですか、塩が好きな感じですけど」

  ダイン 「タムラの事は忘れて下さい、ですが甘味と塩味の両方を手に入れてくれるとは・・・それにこの鹿は毛皮に使えそうですね」

  レ・ミュウ 「主が北方に行くと言ってましたので探して来ました、毛皮の加工はミュウに任せて下さい」

  ダイン 「それは助かります、私は食べる事には貪欲なんですが着る物には無頓着だとよく言われますから、飾り立ても本質は変わりませんからね」

  レ・ミュウ 「ミュウも主見た時は驚きました、明らかに異質な魔力で場を統率してたのに見た目は一番地味でしたから、ミュウだから主の魔力の凄さを解りましたが、普通の魔龍なら主が長だとは思いませんよ」

  ダイン 「それは朗報ですね、私は雑魚だと思われて方がいいんですよ、雑魚は気にされませんからね、ですが予想外の攻撃が一番効果的なんですよ」

  レ・ミュウ 「確かに主の一番怖いのは、牝を堕とすところですからね、でも対象は限定されてますけど」

  ダイン 「まぁ人類圏では妙に目立ってしまって居心地悪いところも有ります、私は目立たずに街とか散策したいですからね、民衆の日常から得られる情報が一番その国を現しますからね」

  レ・ミュウ 「主の言葉はミュウには難しいですね、でも亜人大陸の集落を堪能したいから北方を目指すんですか?」

  ダイン 「北方を目指すのはユーマの混沌侵攻の橋頭堡になりそうだからです、ある程度の人間が居れば労働力が有るという事ですから、遊魔の主力を展開する為には基地が必要ですからね」

  レ・ミュウ 「基地ですか・・・ミュウが人の頃からマギガントは存在してましたけどあんなの魔龍よりも弱いですよね、あんな物で魔龍と戦いたく無いです」

  ダイン 「私も魔龍と接近戦なんてしたく無いですよ、私のマギガントは正に自走砲ってヤツですからね、マギガント自体は武器の輸送手段としての位置付けが強いですね」

  レ・ミュウ 「砲とはそんなにも凄い武器なんですか?」

  ダイン 「試作した魔導加速砲は連射は出来ませんが十分な性能だと感じています、レブナン島に戻る時は気を付けないと行けないでしょうね、ナナなら魔龍への早期の対抗として実用化を急ぐでしょうから」

  レ・ミュウ 「まさかあの程度の物を恐れないといけないとは、でも、主の思考から読み解くと魔龍の鱗も貫くみたいですね」

  ダイン 「魔導による物体の加速が思った以上に優秀でしたからね、まぁレールにも球にも加速術式を施しますので速さはほぼ倍化するんですよ、これならば障壁を展開したクフィカールも障壁ごと破壊出来ます、地球の現代兵器にも通用する火力だと思いますね」

  レ・ミュウ 「主は魔龍達を狩るつもりなのですか?」

  ダイン 「それは相手次第ですね、耳長で処女なら間違いなく私の好みですから、出来れば遊魔に迎え入れたいとも思ってますが、こちらの力を示さないと話も聞いてくれないですよね」

  レ・ミュウ 「その認識は正しいとは思いますけど、強い魔龍は凶暴化していて自尊心高いですよ、ミュウみたいに素直じゃ無いです」

  ダイン 「翼の片方でも撃ち抜けば大丈夫でしょう、翼の強度は魔龍の身体の中で一番頑丈ですよね、それに失っても命に別状なく飛べないぐらいでしょうから」

  レ・ミュウ 「魔龍の生態考えれば、飛べなくなると終わりだと思いますが・・・魔進化させれば翼も再生出来るわけですね」

  ダイン 「翼の無い魔龍なら今のミュウなら抑え込めますよね、全ての持てる戦力を投入すれば今でも魔龍に対しても勝算が有りますよ、もっとも各個撃破が基本ですけどね」

  レ・ミュウ 「主は戦って堕とせるから問題無い、クフィカールも沢山あるみたいだし」

  レ・ミュウは魔進化した事により、遊魔の現状がちゃんと把握出来ている、だが、ダインの思考にはまだ追い付けていなく、北方で人間集落を探す意味もよく解っていないのだが、当のダインにとっても興味をそそられた為に適当な理由を口にしてだけで、基地云々は別にどうでもいいのだ。

  結局、ダインは北方探索の準備に一週間ほど費やす事になる、途中レブナン島に戻りリレッタと接触を持ったが、遊魔の動きが想定内だった事でまだ様子を見る事にしたのだ。

  そして、それなりに準備を整えたダインはレ・ミュウの巣から北方に向けて旅立つ、この地から北方への間には荒涼とした砂漠地帯が存在していて、環境が魔獣の侵入を防いでいるそうだ、だが、飛行移動出来る遊魔にはそれ程の障害では無く、水と食料の準備も十分に整えている。

  レ・ミュウ 「実はミュウも北方へは行った事有りませんけど、これだけ準備が整っていれば大丈夫だと思います」

  ダイン 「計算では途中砂漠で一泊します、飛び続ける事も可能ですが体力の温存は考えるべきでしょう、まぁ無理なら止めればいいだけですあくまで興味本位ですからね」

  レ・ミュウ 「かなり準備に時間使いましたけど、いいんですか」

  ダイン 「前にも言った様に私が居ない環境を作る事も目的でしたから、どうやらそれも余り意味が無かった様ですがね、古参の遊魔はちゃんと私を理解している様で私が生存していて遊んでいる事に気付いていましたよ、だからそっちの心配は無くなりました」

  レ・ミュウ 「帰ろうと思えば半日も掛かりませんからね、それでも許してくれる御姉様達は心が広いですよ」

  ダイン 「ですがその分ミュウが嫉妬の対象になってしまうかも知れません、私と二人だけで過ごした事の有る遊魔はナナぐらいですからね」

  レ・ミュウ 「ミュウの生きた年月で考えると妥当な時間だと思います」

  ダイン 「確かにその考えは納得出来ますね、魔龍生活は余り楽しそうじゃ有りませんから、ミュウは報われるべきですね」

  レ・ミュウ 「だから生涯でもっとも幸福な時間をもっと続けたいです」

  ダイン 「今からが新婚旅行の様な物ですからね、まぁ日本組とはアーグル世界への召喚自体が新婚旅行の様な物ですが」

  レ・ミュウ 「何度も新婚旅行出来る主って結構酷いですよ」

  ダイン 「ならミュウはここで留守番しますか?」

  レ・ミュウ 「そんなの絶対嫌ですよ」

  こうしてダインとレ・ミュウはまだ見ぬ未知の土地への探検を開始する。

  空を飛べるダイン達からすれば、道中に苦難に見舞われる要素は無い筈だが、魔獣蔓延る混沌大陸で有る以上、油断は出来ない旅でも有る。

  そして出発して数時間でダイン達に最初のハプニングが襲い掛かる、巨大なコウモリに似た魔獣が群を成して襲い掛かって来たのだ。

  ダイン思考 『これは、皮膜の翼を持つ猿の様ですね、樹上生活をする猿が魔法生物細胞で進化したわけですね』

  空を飛んでいるもののその生態は猿である、一際大きい一匹が群のボスの様で先陣切ってダイン達に襲い掛かって来る、腕が翼になっている分、足の器用さが上がっている様で足に棍棒や石を装備した個体も複数存在している。

  石を持つモノはより高く舞い上がると、狙いを付けて石を投げてくるが、ダイン達の障壁は石程度など物ともしない。

  飛び猿達は攻撃の通用しない相手に群に動揺が拡がっている様だが、統率者であるボス猿が怒気を孕んだ叫び声を上げると、石を投げて一群が降下して、棍棒組が急接近して白兵攻撃を仕掛けて来る。

  対して、ダイン達が避ける事もせずに障壁で弾くと、猿達は距離を取って様子を伺っているのだが、両脚に棍棒を持ったボス猿だけは自身の威厳を示そうと蛮勇振りかざして攻撃を止める気配もない。

  ダイン思考 『縄張り意識からの攻撃でしょうか、身体的な進化は見事ですが頭の方は猿のままの様ですね』

  ダインはボス猿の猛攻を気にも止めずに飛び猿の群を冷静に分析して対処法を考える、生態的に興味深い飛び猿達を皆殺しにする事にダインも躊躇して、より効果的と思われる対処法を実行する事にする。

  何故なら子猿を背負った母猿の攻撃など、意外と心優しいダインには不可能だったからだ、だが、蛮勇振りかざす雄に対しては冷酷なのがダインである、狂乱状態にあるボス猿の攻撃に対して障壁に火炎の罠を展開させると、ボス猿は知らずに攻撃を繰り返し罠に捕らえられると棍棒から炎が伝わって火だるまになると、羽ばたく事も忘れてボス猿はそのまま地上に落下して激突する。

  地上に落ちた火だるまは二、三度大きく跳ねるが遂には全く動く事を止め、様子を伺っていた群は散り散りに逃げ去って行く。

  その様子を確認した後、ダインは落下したボス猿の元に降下して状態を確認していると、レ・ミュウも側によって言葉を掛ける。

  レ・ミュウ 「魔龍の時は逃げ去ってましたが、まさか攻撃されるとは・・・でも、主に掛かれば余裕でしたね」

  ダイン 「この程度の武器では傷も付きませんよ、ですが空飛ぶ猿とは混沌で独自進化した生き物でしょうね、木を伝わって移動する過程で飛行能力を手に入れたんでしょうか、詳しくは肉を採取して解析してみましょう」

  レ・ミュウ 「これは食べないんですか、食べるのが責任だと言ってましたよね」

  ダイン 「私自らが欲したのであれば食べる責任を感じますが、襲撃は別ですよ、襲撃にまで供養として調理を行えば人間を食べないと行けませんからね」

  レ・ミュウ 「確かにそうなるかも知れませんね、それでこれはどうするんですか美味しそうな匂いはしてますけど」

  ダイン 「一部を尻尾で採取して放置ですね、このまま放置しても他の生物が処理してくれるでしょうから」

  レ・ミュウ 「そろそろ砂漠が近いから主のいう通りになると思います、匂いも拡がってますし」

  ダイン 「なら他の危険な生物が現れる前に旅を続けましょう」

  砂漠で一晩滞在を考えているダインはなるべく先に進んでおきたいのだ、今起こった飛び猿の襲撃の様な事がまた起こる可能性も十分あり、今ここで無駄な時間を費やす気に慣れない。

  おまけ

  飛び猿魔獣 前述した通り飛行する魔獣は強力なモノが誕生しやすい、この飛び猿魔獣は未だ進化の途中ではあるが強力な魔獣の卵とも言える存在である。

  捕食で強化される魔獣はより近縁の種族の特徴を発現させキメラ化する事もある、近縁とは言っても哺乳類や鳥類と言ったレベルでのキメラ化が可能で、飛び猿魔獣は蝙蝠と猿とのキメラでもある。

  だが、飛び猿魔獣はキメラ化から更に進化した存在で、足を人間の手の様に器用に使いこなす事が可能で、進化した足を使って道具の製作すら可能な高い知能を持つ魔獣でもある。

  高い知能で群を作って生活している飛び猿ではあるが、猿の社会構造を維持しておりボス猿に多くの権力が集中している。

  ダインは群との戦闘で指揮するボス猿の存在を直ぐに見極め、見せしめとして圧倒的な力で屠る事で群れの脅威を完全に排除する事に成功した。