虎退治に出かけて返り討ちにあった俺は、幼い少女と共に虎のメスへと堕とされていく(2)

  ※注意※

  こちらは(2)です。

  (1)を先に読むとより楽しめます。

  ・肉食獣相手なので、流血描写があります。

  ・主人公(主な被害者)は中年男です。

  ・幼い少女が獣の被害に遭う描写があります。

  ・野生の獣なので、排泄等の描写があります。

  以上ご了承の上お楽しみください。

  [newpage]

  「おい、起きろ。メシだぞ」

  ボスの声が聞こえる。慌てて飛び起きて横を見ると、[[rb:玲玲 > リンリン]]もちょうど起きたところのようで、四つん這いになってお尻を突き上げ、身体を伸ばしていた。昨日よりも、尻尾が随分長く伸び、立派な虎らしい姿により近づいたようだった。

  「ごはん、だね」

  今日の獲物は、イノシシだった。

  「俺達はもう済んだ。残りはお前らが好きにして良い」

  ボスはそう言って、食い散らかされたイノシシの身体をそのままにして、彼の持ち場へと去っていった。

  残されたものを見て、ごくり、とつばを飲み込む。以前の俺であれば、生理的に抵抗感を覚えるような光景だったが、今の俺には喉が鳴るほど魅力的なものに感じられてしまう。

  「いい匂いだね、おじさん」

  「ああ…」

  転がるイノシシの死骸からは、野生らしい[[rb:饐 > す]]えたような臭いが強烈に漂ってくる。ひとしきり食い荒らされた後となれば、あたりに散らばる血や内蔵の匂いと相まって、人間であれば鼻が曲がりそうな悪臭になっていた。

  だが、そんな臭いに俺達は食欲を刺激されていたのだった。

  胸の鼓動が、激しくなるのが分かる。

  血の匂いが、獣の臭いが、俺達の本能を呼び覚ます。人間などというか弱い生き物の理性を押し流して、誇り高き野生のケダモノの力が、みなぎってくる。

  頭では必死に「いけない」「ダメだ」と考えようとするが、生命の維持に直結する食事のことゆえか、俺の虎の心が暴れて言うことを聞いてくれない。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]、俺、我慢できない…」

  早く食べたい。口いっぱいに味わいたい。だが、俺にはまだその権利はなかった。

  「じゃあ、あたし、先にもらうね」

  そう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]が先にイノシシの残骸にむしゃぶりついた。落ちている肉を口で拾い上げ、骨に残った肉は器用にこそげ落として飲み込んでいく。

  俺は、[[rb:玲玲 > リンリン]]が良いと言うまでよだれを垂らしながら待っていた。年は俺のほうが上だが、[[rb:玲玲 > リンリン]]の方が虎としては先輩だから、序列は上なのだ。

  俺達獣は、序列が上のものには必ず従わなくてはならない。昨日、俺がボスに対して示した礼儀と同じだ。

  [[rb:玲玲 > リンリン]]はしばらく一匹で肉を頬張っていたが、やがて俺の方に振り返ると、笑顔で優しく吠えた。

  「おじさん、いいよ」

  その言葉を待っていた俺は、すぐさま飛びついた。まだ生暖かく、柔らかい肉に舌を這わせる。虎になって、すっかり味蕾が鋭敏になってしまったせいで、臭みの強い血の味も、しっかりと感じ取れた。

  「アゥウ」

  呻きながら、夢中になってしゃぶりつく。全身に鳥肌が立ち、背筋がゾクゾクと震えた。野性味溢れた食事だった。

  (骨も食べたい。みんなみたいに……)

  そう思って、俺は骨に噛みついた。[[rb:玲玲 > リンリン]]やボスが、肉を骨ごと噛み砕いているのを見ていたので、俺も同じようにやってみたのだ。

  だが、歯が立たなかった。ゴツ、と鈍い音が鳴り、顎がしびれただけだった。

  そんな俺を見て、[[rb:玲玲 > リンリン]]はクスクス笑った。

  「焦っちゃだめだよ、おじさん。こうならないと」

  そう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]は口を大きく開けて見せつけてきた。

  そこには、見事な鋭い牙が生え揃っていた。[[rb:玲玲 > リンリン]]はまだ若い虎の体だが、これくらいになれば骨だって簡単に噛み砕くことができるのだ。

  「おじさんの歯、まだまだ可愛い人間の歯だもんね」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]の言う通り、俺の犬歯はまだ鋭さが足りず、せいぜい柔らかい肉に噛み付いて引き裂く程度の力しかない。大きくなった顎に対して歯は小さいままなので、隙間だらけだった。これでは不便すぎて、一人前の虎としてはやっていけない。

  「そんな顔しないで。あたしだって、そうだったんだから」

  そう言って、彼女は自分の牙をザラリと舐めた。それはまるで、自分はもう既に立派な虎だと主張しているかのようだった。

  (いいなあ……)

  思わず、羨望の眼差しで[[rb:玲玲 > リンリン]]を見てしまう。早く、自分も虎の仲間に入りたかった。そうすれば……。

  (あれ?)

  「ま、まて!」

  すんでのところで俺は我に返った。

  「どうしたの、おじさん?」

  不思議そうに首をかしげる[[rb:玲玲 > リンリン]]に、俺は心の中で冷や汗をかきながら答えた。

  「違う。俺達は、人間だ。人間なんだ!」

  俺が叫ぶように言うと、[[rb:玲玲 > リンリン]]は面食らったような顔をした。それから、すっかり成長した尻尾を振って、困ったように言った。

  「おじさん、自分の手を見てごらんよ」

  言われるがまま、俺は自分の手を見つめた。そこには、鮮やかな橙色に黒い縞模様の毛皮に包まれた手があった。

  昨日の急激な変化によって、指は縮んで、もう以前みたいに深く握りしめたり、指を絡めたりもできない。四本指のような形になり、肉球もある。出し入れ可能な鉤爪もある。

  「ね? これでも人間なの? 虎じゃなくて?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]の言葉に、俺は答えることが出来なかった。言われてみれば、こんな手をしている自分は人間といえるのだろうか。

  昨日は俺にヒトとしての意識を取り戻すきっかけをくれた手が、今日は俺の心を折りに来ている。何か、他のことで人間性を証明しなくては。

  (そうだ)

  俺はあることを思いついた。

  そして、背筋を伸ばすと、その場で立ち上がった。

  「うわっ、おじさん何してるの?」

  四つん這いのまま驚いたように俺を見上げる[[rb:玲玲 > リンリン]]に、俺はキッパリと言った。

  「ほら、どうだ。俺はやっぱり、人間なんだ!」

  そうして、二本足で仁王立ちして見せる。片足を上げてみたり、その場で飛び跳ねたりもした。すっかり胴が伸びて脚も短くなり、動きづらかったが、それでも人間らしく動くことはまだできた。

  「さあ、[[rb:玲玲 > リンリン]]。君も」

  そう言って、手を差し伸べる。もうしっかり掴むことは出来ないけど、身体を支えるくらいならできる。

  なんとかして、[[rb:玲玲 > リンリン]]に正気を取り戻させなくては。自分が人間であることを思い出させなくては。その一心で呼びかけた。

  しかし、[[rb:玲玲 > リンリン]]はうつむき加減に視線を落として、言った。

  「……無理だよ」

  「無理なことあるか。ほら、立ってごらん」

  俺が促すと、[[rb:玲玲 > リンリン]]はゆっくりと顔を上げた。

  「だって、あたし…もう、立てない」

  「立てない、って、どういう」

  「立てないの。おじさんみたいには」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]はそう言って、静かに首を振った。

  「見てよ。あたしの後ろ脚。こんなに曲がっちゃって、短くなって…」

  確かに、[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体はすっかりずんぐりとした虎の体型になっていた。もともとすらりとしていた脚は、短く太くなり、足の形も、かかとが付けられない形に変形してしまっている。前足になった手と同じように、ふくよかな肉球と鉤爪もしっかり生え揃っている。それが、彼女の今の身体だった。

  「それに、尻尾だって」

  そう言って、彼女は尻から生えた長い縞模様の尾をゆらゆらと振ってみせた。

  「あたしはもう、虎なの」

  「そんなわけない!」

  俺はそう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体を抱えると、無理やり立たせようとした。やってみれば、できるかもしれない。できなくたって、人の心を思い出すきっかけになるかもしれない!

  だが人間から虎の身体になって大きく膨らんだ[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体は重く、上半身を持ち上げるだけでも一苦労だった。

  それでもなんとか、俺の肩を貸すようにすると、ようやく俺に支えられながらだが、立ち上がることが出来た。

  「ほら……立てた。君は、人間、なんだ」

  疲れて息を荒くしながら俺は語りかける。

  [[rb:玲玲 > リンリン]]はほんの一瞬だけ、嬉しそうな顔をしたが、すぐに険しい顔になって、言った。

  「ごめんなさい。……もう、つらいの。前足を、つかないと、腰が、痛くて」

  「前足なんて言うな!」

  君は人間なんだ。人間には前足なんてない。俺は、そう説得したかった。だが、[[rb:玲玲 > リンリン]]の心に巣食う虎は、もはや取り返しがつかないほどヒトの心を食い尽くしてしまっているようだった。

  「…おじさん。あたしのお願い、覚えてる?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、静かな声でそう尋ねてきた。俺は、コクリとうなずいた。

  「あたしがすっかり、虎になっちゃったら、そのときは……ね」

  「ああ、分かってる」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]の目には、深い悲しみと、諦めの色があった。

  「じゃあ、ね」

  そう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]は俺に体重をかけて寄りかかってきた。まだ若く小型とはいえ俺とほぼ同じ体長に成長した虎の身体は重く、俺はよろけて、そのまま後ろに倒れてしまう。

  俺を下敷きにするようにして倒れた[[rb:玲玲 > リンリン]]は、俺を見下ろしていた。

  (ああ…)

  俺は気づいた。彼女の、最後の最後に残っていた、人間らしいところ。

  金色に染まってしまった黒目を縁取る、白目の部分。それがとうとう、彼女から、失われてしまったことに。

  白目の無い大きな金色の目に、黒点のような瞳が小さくポツンと浮かんでいる。鋭い眼光のそれは、まさしく虎の目だった。

  俺の中で、何かが、崩れた。

  「はあ、はあ、はあ……!」

  俺は虎となってしまった[[rb:玲玲 > リンリン]]の下から這い出すと、巣穴の外へ向かって駆け出そうとした。

  周りのメス虎たちは虚を突かれたようで、追いかける足をもたつかせている。

  「待って、おじさん、どこに行くの?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が、俺の背中に問いかけてくる。だが、俺は無視して走った。

  (あれはもう、虎の声だ)

  ヒトだったころの約束すらも忘れてしまった彼女の変わりように、心が軋む。

  何としても逃げ出さなくては。それが、人間だった[[rb:玲玲 > リンリン]]が、最後に望んだことなのだから……!

  [newpage]

  だが現実は、どこまでも残酷だった。

  「そう慌てるな」

  あと数歩で出られるというところで、ボスが、俺の前に立ちはだかった。

  俺は、赤子の手をひねるように軽々と蹴り飛ばされ、巣穴の中へ逆戻りさせられてしまった。

  「お前をなんとかしなきゃならん」

  ボスの声が、俺のお腹の奥に響く。

  本当は獣の唸り声でしか無いはずなのに、ヒトの言葉が話せた頃の俺よりもずっと男前な、渋い大人の声に聞こえてくる。

  (聞いちゃ、ダメだ……また、おかしく、なる…っ)

  必死に耳をふさいだ俺の思いをあざ笑うかのように、ボスの声が響く。

  「お前は虎になるだけじゃなくて、メスになるんだって、言っただろ」

  キュン、と胸が疼く。

  「アウウゥ……!」

  何日も犯されてきた日々が脳内でリフレインする。オスに腕力と精力で支配される、メスとして繰り返した性生活が。あの、幸せな時間が。

  俺はうずくまって頭を抱えて、何度も自分に言い聞かせた。

  違う。そんなの幸せじゃない。一方的に蹂躙されただけだ。俺はヒトだ。ヒトのオスだ…いや男だ。獣じゃないんだ。オスじゃない、男だ…。

  「さあ、来い。仕上げだ」

  ボスはそう言って、身動きが取れないでいる俺を、手下のメス虎たちの方へ引っ張っていった。

  「ほら、見ろ。お前がかわいがっていたガキが、メスどもの仲間になった姿を」

  (り、[[rb:玲玲 > リンリン]]…)

  見たくなかった。そんなもの、見たくなかった。

  「見ろ」

  ボスにそう言われると、言う通りにしなきゃいけないような気がする。恐る恐る目を開けると、そこでは虎になった[[rb:玲玲 > リンリン]]が、他のメス虎たちに挨拶をするように匂いを嗅ぎ合っていた。

  「お姉ちゃん」たちは、彼女の仲間入りを跳ね回って歓迎してるようだった。これまでの苦労をねぎらうように、ペロペロと

  彼女を舐め、その体を愛撫してやっている。

  「あのガキで、四匹目だ。お前は五匹目にになるんだよ」

  (え……?)

  その言い回しに、俺の頭に嫌な想像が浮かんだ。

  「ま、まさか」

  「気づいたか? ここにいるメスどもは、もともとみんな、人間だったんだよ」

  そう言って、ボス虎はニヤリと笑った。

  「俺たち虎はもともと群れる生き物じゃない。だがヒトは群れで生きる動物だ。群れは不自由も生むが、協力することで絶大な力を得ることができる。だから、ヒトの群れる習性をもった、特別な虎を作ることにしたんだ。俺の力でな」

  得意げに説明してくれるボス虎の話に、俺は全身の力が抜ける思いだった。

  「だが、群れにオスは一匹でいい。だから今まで、メスを攫って来ていたわけさ。今回ガキでもうまく行ったのは収穫だったが……」

  そうして、ボス虎は俺をギロリと睨んだ。

  「問題は、お前だ」

  「お、俺はオスだけど…」

  「わかってる。食い殺しても良いところだが…せっかくだから、試してみることにしたんだ」

  顔を近づけられて、ボスの匂いが鼻をつく。

  「俺は、メスを作ることができるのかってことをさ」

  言うが早いか、ボスは俺の尻をベロリと舐めてきた。

  「い、イヤァアッ!!」

  俺は自分の声とは思えないほど甲高い声を上げて飛び退いた。

  そして、必死に鼻息を荒くして、背中の毛を逆立て、威嚇した。

  「フーッ! フゥウーッ!!」

  ボスにこんな失礼なことをするなんて、本能が咎める。でも、俺の中にまだわずかに残っていたヒトのオスとしてのプライドが、あくまでも抵抗しようとしていたのだった。

  ボスはそんな俺を見て、やれやれというように首を振った。

  「往生際が悪いな。そんなメスも嫌いじゃねえが」

  相変わらず甘い声でそう言って、姿勢を低くしている俺にくるりと尻を向けた。

  「ほら、俺の匂いを嗅げよ」

  その言葉と同時に、俺の顔面に向かって、ボスはプシャッとスプレーのような匂いの強い尿を放ってきた。思わぬ行動に不意を疲れた俺は、うっかりそれを直に浴びてしまった。

  「あ、あ、ア…ア…♡…ア…♡♡♡」

  これは強烈に効いた。人間だったら、あまりの激臭に失神してしまうような臭い。だが、すでに虎の鼻を手に入れていた俺には、別の効果があった。

  すなわち、俺こそがオスで、お前はメスだと脳に直接刻み込んでくる匂い。

  「あ、アタシ…♡…いやっ、ぼく、おれ♡……おれは…♡♡!」

  身体の奥が、きゅん、きゅんと疼き始めた。自分の形が、ぐにゃりと歪められていく。

  「メス、ちが♡、オス、のはず、なのにぃ♡♡♡」

  身体が熱い。頭の芯まで溶けて行くような心地よさが全身を満たしていく。俺は立っていられなくなって、その場にぺたんとへたりこんだ。

  「いや、ちが、アタシ♡、オス、お♡♡ おれ♡♡ 違う……♡♡♡♡」

  うわごとのように呟きながら、俺は舌を出して荒い呼吸をする。まるで発情期のメスだ。ボスはそんな俺の様子に満足そうに笑っていた。

  もうすっかり脳まで塗り替えられてしまっているらしかった。身体がオスとして機能せず、メスとしての悦びに打ち震えているのが分かる。

  「さあ、始めようか」

  ボスは、そのままいつものように、俺の背中にのしかかってきた。そして、首すじに噛みつくと、腰を動かし始める。

  「あ、アアッ、だめっ♡」

  イヤイヤをするように首を振りながらも、俺は自分から尻を突き出し、ボスを受け入れようとする。

  (ちがうっ、こんなの俺じゃない)

  心で叫ぶが、一度始まった行為はもう止まらない。ゆっくりと、オスとして生きてきた人間だった俺が融解していくのを感じながらも、何もする術がない。

  (こんなはずじゃなかったのに……どうして、どうしてだよぉ!)

  涙で視界がにじむ。だが、俺の身体は、しっかりメスの悦びを感じているようだった。ボスが、早くメスになれよと煽るように腰をグリッと動かしてくると、そのたびに「ひゃん♡」と甲高い声を上げて、背筋を反らせてしまう。

  (イヤなのにっ、こんなヤツに……気持ちなんて無いはずなのにぃ……!)

  そう思えば思うほど、甘い快楽は俺の心を蝕んでいくのだ。オスとしてのプライドが粉々に砕け散り、メスとしての悦びに上書きされていく。

  「さあ、受け取れ。そして、俺のメスになれ」

  ボスが、一際深く押し込んできた。そして、俺の中に熱い精液を注ぎ込んだ。

  (あっ、イクッ、イッちゃうぅぅっ…♡♡!!)

  俺は、ビクビクと身体を震わせながら絶頂を迎えた。

  だが、昨日と同じように、やはり精液は出なかった。いわゆるメスイキだ。オスとしての尊厳を失くした、哀れなメスの絶頂だった。

  「あ、ああ♡、イヤぁ♡♡、違う♡、俺♡、こんなのイヤだぁ…♡♡♡」

  グズグズと泣き始めた俺を見下ろしていたボスは、からかうように言った。

  「そんなにメスになるのは嫌か?」

  「メス、やだ、アタ…♡…い、いや俺は、オスなんだ。それ、に…♡…アタシ、虎じゃ、ないっ♡。に、人間なんだよぅ…♡♡♡」

  泣きながら訴えかける俺に対して、ボスはしばらく困ったように見つめていた。

  しかし、やがてボスは何かを思いついたように短く唸り声を上げると、含みのある笑みを浮かべて言った。

  「じゃあ、今度はお前がオスとして、交尾してみるか?」

  「え……ボスと?」

  「バカ、ちげえよ。ちょうど、お前にちょうどいいメスが、一匹いるんだ」

  何を言っているんだろう。まだメスイキの余韻が消えない俺は、朦朧とした意識の中で、ボスの言葉の真意を探ろうとする。

  「ほら、来いよ」

  ボスは誰かを呼びつけたようだった。

  すぐさま、呼ばれたらしい虎が一匹、駆け寄ってくる音が聞こえた。

  そして、声も聞こえてきた。

  「ボス、お呼びですね」

  聞き覚えのある、健気さを感じる可愛らしいメスの声。その声を聞いた瞬間、俺は激しく動揺した。

  (まさか、まさか……)

  俺は信じられない思いで、近づいてくる足音に振り返った。

  「うそ、だろ……」

  目の前に現れた姿を認め、愕然とした。それは間違いなく、[[rb:玲玲 > リンリン]]だった。完全に虎になってしまった彼女は、若々しいメスの虎として、四本のがっしりとした足で胸を張って立っていた。その姿には、もう悲壮感も、寂しさも纏ってなかった。

  「おじさん、あたしです…♡」

  そう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]は甘えるように頭を摺り寄せてくる。俺は、その顔から目が離せなかった。

  まだ少女らしさを残した、幼さの残る顔つきではあるものの、その眼はとろんとしていて、媚びるような光が宿っていた。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]、お前……」

  思わず呼びかけると、彼女は嬉しそうに目を細め、俺の身体を舐め回してきた。ザラついた舌が、くすぐったいような快感を俺に与えてくる。同時に俺は、彼女の股の間から立ち上る、濃いメスの匂いを感じとった。

  「おお、発情したな。見かけはまだまだガキだが、もう成獣になったようだな」

  ボスが満足気にそう言うと、[[rb:玲玲 > リンリン]]は身体をクネクネさせながら喉を鳴らした。

  「ボスぅ♡、ごめんなさいぃ♡、お許しをいただく前にこんな…でもあたし、このおじさまのことが…♡」

  ボスは気にするなという風に優しい声で唸ると、俺の頭を踏みつけて、愉快でたまらないといった調子で言った。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]、お前の、虎としての最初の相手はコイツだ。そして、それが、コイツのオスとしての最後の交尾になる」

  「ヒャン…♡、ボスぅ、ありがとうございますぅ♡」

  「な、何を言って…!」

  俺は、その言葉に戦慄した。呼びつけられた時点で予想はしていたが、俺に、[[rb:玲玲 > リンリン]]を犯せと言っているのか…!?

  今はもう成熟しかけの虎の姿だが、もともと彼女は、中学にも上がっていない子供だったじゃないか。そんな少女を、俺がオスとして、交尾の相手にするだなんて……。

  「いや、イヤだ、イヤだ!」

  そんな俺を、[[rb:玲玲 > リンリン]]が、メスの虎が、熱っぽい目で見下ろしている。

  「ねぇ、おじさま♡ [[rb:玲玲 > リンリン]]の身体、どうですかぁ♡ メスとして、おいしそうですかぁ?♡ あなたの、オスの、おちんちんをぉ♡、ビンビンにしてあげますからぁ♡」

  そう言いつつ、俺の身体を舐め回してくる。こんな下品なことを口走って、俺を誘ってくるなんて。これがあの[[rb:玲玲 > リンリン]]なのかと、信じられない思いだった。

  「ねえ、おじさま……、早くぅ♡」

  そう言って彼女は、地面に這いつくばっている俺に尻を向けると、誘うように腰をクイッと突き上げた。メスのフェロモンをまき散らし、まるで本能のままにオスを誘惑しているようだった。

  (もう[[rb:玲玲 > リンリン]]は完全に、発情したメスの虎に…うっ!?)

  絶望的な気持ちになったその瞬間、俺の心臓が、ドクンと跳ねた。

  (え、あれ、なんだ、これ)

  同時に、身体の奥底から、得体の知れない衝動が沸き上がってくるのを感じた。それは、まるで「早く目の前のメスに襲いかかれ」とでも言っているかのようだった。

  (だ、だめだ。[[rb:玲玲 > リンリン]]にそんなこと、しちゃいけない)

  自分に言い聞かせるように、頭の中で繰り返す。だが、それと同時に、俺の中に居座っていながら、今までずっと抑えつけられていたオスの本能が、むくむくと鎌首をもたげてくるのだ。

  そして、その本能に引きずられるかのように、俺の口から、オスの唸り声が漏れ出てきた。

  「う、グルルッ♡、リン、リンッ♡♡!!オマ、オマエ、ガルルルッ♡!!」

  「ガゥ♡、おじさま♡ 私のフェロモン、感じてくれたんですね♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が嬉しそうに啼く。

  (だめだ、ダメだ、だめだ)

  俺は頭の中で必死に抵抗する。しかし、なおも衝動は強くなっていくばかりだった。

  そして、ついにそれは、限界を突破した。

  「ガオオオオォオゥ♡♡♡!!!」

  俺は我慢できずに叫ぶと、虎になった[[rb:玲玲 > リンリン]]に飛びかかっていった。そのまま彼女の上になり、大きな尻を、爪で引き裂かんばかりに引っ搔いていく。

  「キャァアンッ♡♡♡!!」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は気持ちよさそうな声を上げて、自分から腰を振ってくる。それがさらに俺を興奮させ、動きが激しくなっていく。

  (ちがう、こんなことしたくないのにっ)

  理性はそう思っているが、身体は言うことを聞かない。それどころか、ますます激しさを増す一方だった。

  気づけば、久しぶりに勃起して現れた俺のペニスには、しっかりと棘が生えていた。虎のモノだ。

  もう俺は虎なんだと、こんなところですら思い知らされる。

  「グォオォッ、ガ、ガルルルッ♡♡!!」

  鋭い棘が生え揃った陰茎を、俺は[[rb:玲玲 > リンリン]]の膣口へ押し当てた。そのまま、勢いよく挿入する。

  「キャウンッ!♡、おじさま、激しい♡♡♡!!」

  子宮口まで貫いた瞬間、[[rb:玲玲 > リンリン]]が一際大きな嬌声を上げた。それと同時に、俺の頭の中に凄まじい罪悪感が湧いてきた。

  (あ、ああ、俺はなんてことを…)

  しかしそれも一瞬のこと。すぐに頭の中から消し飛んで、伝わってくる快楽以外何も考えられなくなってしまう。

  「グルルッ♡、グルルルッ♡♡!!」

  (あぁ、もっと、もっと、もっとだ、[[rb:玲玲 > リンリン]]!)

  俺は本能のままに腰を振り続けた。その度に、[[rb:玲玲 > リンリン]]は俺の剛直を締め上げ、快感をもたらしてくれる。そして、そのたびに、俺の中のオスとしての本能が満たされていくのだ。

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、俺の動きに合わせて、自らも腰を振ってきた。その姿はまるで、獣の交尾そのものだった。

  (そうだ、これでいいんだ)

  俺はとうとう、自分の中のオスとしての本能に屈し、身を委ねることにした。すると、それをきっかけにして一気に強い快楽が俺を包んでいく。

  「グルルッ、ガルゥッ♡♡♡!!!」

  あまりの気持ちよさに、俺は吠えるような声を上げていた。そのまま何度も、激しくピストンを繰り返す。そのたびに、[[rb:玲玲 > リンリン]]の口からは甘い吐息が漏れていた。

  (あぁ、ダメだ、もう、我慢できない)

  そう思った次の瞬間には、俺は勢いよく射精していた。ドクンドクンと、大量の精液が注ぎ込まれていき、[[rb:玲玲 > リンリン]]の中を満たしていく。ヒトだったころの俺と比べると、圧倒的に早い絶頂だった。

  「ふわぁっ、おじさま、いっぱい出てますぅ♡♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は幸せそうにそう言うと、自らも絶頂に達したようで、身体を大きく仰け反らせて痙攣させた。その拍子に膣壁がぎゅっと収縮し、俺のモノを強く締め付けてきた。俺はその刺激でまたも射精してしまった。

  そうして、しばらく俺たちはつながったまま、快楽の余韻に浸っていた。

  (これがオスとしての悦び、か)

  これまで何度も、ボスにメスとしての悦びばかり与えられてきた俺にとって、この、オスとしての、オスの虎としての交尾による悦びは、初めて味わうものだった。

  「オォゥ、グォォォッ♡♡♡」

  俺は、もう一度雄叫びを上げた。そしてそのまま、俺の上でぐったりとしている[[rb:玲玲 > リンリン]]の首筋に噛みついた。

  気づけば、俺の歯は獲物を切り裂き、メスの首元をしっかり噛んで固定させるには十分なほどの、長く見事な大きさの牙へと生え変わっていた。

  「ひゃうんっ♡♡!」

  甲高い声を上げて身体を跳ねさせる彼女を押さえつけるように抱き寄せながら、俺は、虎としての本能が求めるままに、再び腰を振り始めた。

  「ああっ、おじさまぁ♡♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は甘い声で啼きながら、俺を受け入れてくれている。その反応に、また、俺の中のオスとしての本能が呼び起こされるのを感じた。

  だが、その時だった。

  「さて、こっちを使わせてもらうぞ」

  突然背後から声がしたかと思うと、俺の背中に、ボスが前足を乗せてきた。

  「なっ、ボス、何を」

  慌てて振りほどこうとするが、俺は[[rb:玲玲 > リンリン]]に挿入している最中で、身動きが取れない。おまけに力は圧倒的に向こうの方が上である。

  「お前が最後まで、そのガキを犯すオスの快楽の方を強く感じ続けられたら、オスの虎として認めてやろう。だがこれから俺に犯されるメスの快楽の方が勝ったら……お前は、メスだ。いいな」

  そして、ボスは有無を言わさず、俺の尻穴に剛直を押し込んできたのだった。

  「ヒャゥッ!?♡」

  腰の前後からやってくる別々の刺激に、俺は情けない声を上げた。だが、そんなことお構いなしといった様子で、ボスはそのまま抽挿を始めた。

  「グル、グ、ガッ、ガウゥッ♡♡♡」

  俺は喘ぎ声を上げながら、尻から供給される刺激よりも、[[rb:玲玲 > リンリン]]と繋がっているオスとしての快感に集中しようとした。

  (要は、俺とボスと、どっちがオスとして強いか、勝負ってことだ)

  俺は一層[[rb:玲玲 > リンリン]]の中に強く腰を打ち付けた。

  「あんっっ♡!おじさま、すごい♡♡もっと、強く…♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]も、俺の動きに合わせて腰を動かし、子宮口まで貫かれる度に、甘い声で啼き始めた。

  だが、ボスの方も俺の尻の中に、太く、硬く、逞しい陰茎をねじ込んできて、容赦なく責め立ててくる。

  ペニスに伝わってくる、オスの虎としての交尾の快感。肛門から送り込まれる、メスの虎としての交尾の快感。2つの快感が、俺の中のオスとしての本能、メスとしての本能の両方を揺さぶってくる。

  (くそっ、負けてたまるか!)

  俺はオスの本能に身を委ね、懸命に腰を振った。

  だが、それも長くは続かなかった。

  次第に、ボスのモノが与えてくる、メスとしての快楽が強くなってくる。

  「おじさま……♡ [[rb:玲玲 > リンリン]]は、あたしは、もっと激しくされても、大丈夫、ですよ♡? 虎は、丈夫、なんですから♡ ね? 遠慮しないで♡、もっとぉ……♡♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が物足りなそうに、甘えるような声を上げる。

  だが、俺は遠慮していたわけではなかった。

  ボスにメスとして責め立てられる快楽に、だんだん勝てなくなってきていたのだ。

  (ああっ、おれ、やっぱり、ボスの、ちんぽ、好きぃ……♡)

  [[rb:玲玲 > リンリン]]の膣内へ突き立てる腰の動きが、どんどんおろそかになってしまう。

  「グ、グル、グ、ガウゥッ♡♡♡」

  それでも必死にメスの快楽に抗おうと、歯を食いしばって、腰を振り続ける。

  「がんばれ♡、頑張れぇ♡♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が嬉しそうに応援してくれる。

  (くそっ、だめだ、負けるもんかっ!)

  俺は負けたくない一心で、腰を動かす力を強める。しかし、ボスの責めは激しさを増すばかりで、そこから与えられる快感の方が強くなっていく一方だった。

  (ああっ、か、身体が、言うことを聞かないっ…♡!)

  オスとしての本能は、メスとしての快楽に負けまいと抗おうとしている。だが、俺の身体は、それに反するように、どんどんメスの悦びを受け入れていく。

  (このままじゃ、ダメなのにっ♡)

  必死に抵抗しようとするが、逆にそれは、ボスの責めを強める結果となってしまった。

  「ほら、観念しろっ…!」

  ボスのその声と共に、尻の中の剛直から、熱いものが注ぎ込まれていく感覚があった。肛門の中がじわりと熱くなる。どうやら射精されてしまったらしい。

  (あああっ♡、熱いっ、ボスの精液が、尻の中にぃ♡♡)

  その感覚に、俺は思背筋を震わせた。

  「おじ、さま、おじ、さまぁ…♡♡♡ [[rb:玲玲 > リンリン]]、もっと、おじさまに、激しく、求められたいです♡♡♡♡♡」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]はそう言ってくれるが、もう俺のペニスはすっかり力をなくして、ただ[[rb:玲玲 > リンリン]]の中で、ピクッ、ピクッと痙攣するだけだった。

  「ほら、お前は、どっちだ? オスか? それとも、メスか?」

  ボスが一際甘くとろけるような声で囁く。俺は頭の上の耳を震わせて、ボスの声に応えようとする。

  「や、やだ……ア、オレ、メス…いやっ…♡」

  俺の口から、自然とメスとして媚びた言葉が漏れてくる。

  いつの間にか生えた尻尾までもが、無意識に、[[rb:玲玲 > リンリン]]ではなくボスの方へと伸びていく。

  「グル、グルルルッ、ガルルッ、ガウゥッ♡♡♡」

  俺は必死に抵抗するが、そんな俺の中で、虎としての本能はボスへの奉仕心を高ぶらせていく。俺の意思とは関係なく、尻の穴がひくつき、ボスのモノを締め付けた。

  (やだっ、おれ、オスなのにっ…♡)

  そうは思うものの、既にメスとしての快楽に屈した身体は言うことを聞かなかった。

  (だめっ♡、またきちゃう♡♡♡、お尻の、ケツまんこが、キュンキュンする♡♡♡)

  「グル、グゥッ♡♡♡!!」

  俺は情けない声を上げながら、また絶頂を迎えた。だが、今回は[[rb:玲玲 > リンリン]]の中に挿入していたにも関わらず、一滴も精液が出ることはなかった。

  メスの膣に入れていながら、絶頂しても精液が出ない。もう、俺の中のオスとしての力は、完全にボスに敗北してしまったのだ。

  「終わったな。これで、お前は、メスだ」

  「アフぅ……♡ ハィぃ…♡♡♡」

  本来ショックなはずのその事実が、アタシの頭の中を歓喜で満たしていく。そんな歓喜の海に揺蕩いながら、アタシは何のためらいもなく、ボスの言葉を肯定してしまった。

  「まったく、手間かけさせやがって」

  ボスが呆れたように言いながらも、どこか楽しげな様子で腰を振ってくる。

  「ほら、お前はこれからメスだ。オスの感覚を取り戻さないように、しっかりとこの感覚を刻み込んでやる」

  「あっ、ああっ、ありがとうございますっ♡!!!」

  嬉しい。メスの悦びを、身体に、心に、刻み込まれる。その事実が、嬉しくて堪らない。

  「おじさん……」

  すっかり発情が醒めた様子の[[rb:玲玲 > リンリン]]が、元の口調に戻ってジタバタと動き、アタシの身体の下から、するりと抜け出した。

  そして、ゴロゴロ喉を鳴らして、にっこり微笑んできた。

  「ありがとう。あたし、本当に嬉しかった。虎になって、おじさんの虎としての初めてのメスになれて。……うまくすれば、子供、できたかもしれないね。あたし、人間だった頃は子供だったけど、今は少しだけ、大人になったんだよ。だからちゃんとフェロモンだって使えたし、発情もできたの。お姉ちゃんたち、褒めてくれるかな」

  そう言って、寂しそうに、でもどこか吹っ切れたように笑う[[rb:玲玲 > リンリン]]。だけど、アタシはその笑顔を見て、胸が締め付けられるような気分になった。

  ごめんね、[[rb:玲玲 > リンリン]]。アタシ、オスのままでいられなかった。メスになりたいという欲に勝てずに、あっさりオスを手放しちゃった。[[rb:玲玲 > リンリン]]はせっかく、アタシをオスとして求めてくれていたのに。

  ボスはそんなアタシの感傷も無視して、執拗に腰を打ち付けてくれる。アタシは[[rb:玲玲 > リンリン]]の前で、ひたすら涙とよだれを垂らしながら、よがり声を上げていた。

  「リン、リン……ッ♡! ごめんっ! アタシ、んんっ、おれっ♡! アナタをっ♡! 守って♡ あげられ、なかったっ♡!!」

  そんな無様な姿のアタシの鼻先を、[[rb:玲玲 > リンリン]]はぺろりと舐めて言った。

  「いいの。大丈夫。これまでおじさんは、いっぱいあたしを助けてくれたもん」

  そう言うと、[[rb:玲玲 > リンリン]]は、アタシの頭の上をきっと睨みつけ、強く意思のこもった声で、言った。

  「今度は、あたしが、おじさんを助ける番なの」

  え、と思った。[[rb:玲玲 > リンリン]]の瞳が、ほんの一瞬、人間の目に戻ったように見えたからだ。

  次の瞬間、事件は起きた。

  「フギャアァァォオ!!!!」

  叫び声と共に、[[rb:玲玲 > リンリン]]は両前足を振り上げて伸び上がると、アタシを犯すのに夢中になっていたボスに、強烈なパンチをお見舞いした。

  「ガォゥッ!?」

  完全に意表を突かれたボスは、焦ったようにのけぞると、後ろに倒れ込んだ。

  「アゥッ…!」

  その拍子にアタシのお尻から、ボスのモノが引き抜かれた。

  「おじさん、立って! 走って!!」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]はアタシの首根っこを咥えると、懸命に引っ張り上げて、アタシを立たせようとした。

  アタシはそれで、彼女がアタシに何をさせようとしているのか、理解した。

  思わずとっさに二本足で立とうとして、できないことに気づいたアタシは、初めて四本足で立ち上がり、巣穴の外へ向かって駆け出した。

  すぐさまボスが立ち上がって、追いかけてくる。

  「ギャァアォォ!! ガォオオオゥ!!!!」

  「グルルルゥ、ガルゥッ!!! ガルルルゥッ!!!!」

  背後から、ボスの唸り声と、複数のメスの怒りに満ちた声、さらに若い一頭のメスの甲高い叫び声が聞こえてくる。

  アタシは振り返らず、一目散に巣穴の外へ飛び出し、出口に広がる岩場の上から、森の茂みの中へと飛び込んだ。

  鋼のような虎の身体は、凄まじいパワーでアタシを自由へと駆り立てる。

  アタシは走った。走った。日が暮れるまで、走り続けた。

  やがて、アタシは自分がどこにいるのかもわからないくらい、巣穴から遠く離れたところまでやってきた。

  アタシは、[[rb:玲玲 > リンリン]]のことが心配だった。彼女の方も、うまく逃げられたのだろうか。それとも……。

  その先の想像はしないことにした。あの群れの中で裏切りを働けば、どんな精算が待っているか。考えるだに、恐ろしかった。でも、とりあえず、あの地獄のような空間から脱したという達成感と安心感に、アタシは満足していた。

  やがて、アタシは森の中で見つけた沢のほとりに座り込んだ。その途端、緊張の糸が切れて、どっと疲れが押し寄せてきた。

  ([[rb:玲玲 > リンリン]]、無事でいて)

  そんなことを考えながら、アタシはその場に丸くなって眠りに就いたのだった。しっかり生え揃った毛皮のおかげで、ちっとも寒くなかった。

  [newpage]

  夢を見た。夢の中のアタシは、鹿を狙って茂みの中で息を潜めていた。自慢の肉球で足音を消し、そろり、そろりと近づく。

  縞模様がいいカモフラージュになって、ターゲットはアタシの接近に気づかない。

  そしてとうとう、前足を伸ばせば届くような距離にまで近づくことできた。

  (いまだ!)

  アタシは、全身のバネをフル活用して、一気に飛びかかった。

  「ガゥッ!!!」

  獲物の首筋に食らいつき、喉笛に牙を立てる。

  「キェッ!?」

  鹿の悲鳴を聞きながら、アタシはさらに激しく、その首へと噛みつく。

  「キャンッ!!ケヒュッ、キュゥ―ンッ!!」

  苦しそうな鳴き声を上げながら、鹿は傷口から血しぶきを上げて脚をバタつかせた。やがて、その動きがだんだんと弱くなっていき、最後に一度だけピクピクと痙攣したきり、完全に動かなくなった。

  「はぁ、はぁ、やった!やったわ!」

  アタシは興奮で息を荒らげながら、獲物を咥えて、引きずっていった。

  愛しいボスと、かわいい妹分たちと、それと、これから新しく[[rb:妹 > なかま]]になる子のために。

  「みんな、いい獲物が獲れたわよ!」

  アタシは、意気揚々と巣穴の中へ入っていった。

  「わぁ、今日もすごいね、お姉ちゃん!」

  妹分たちの中でも一番若くてアタシに懐いている[[rb:玲玲 > リンリン]]が、目を輝かせて、獲物に感嘆の声を上げる。その隣では、ボスも満足げに笑っていた。

  「よくやった。後で、褒美をやらねばな」

  「ほんと? 嬉しい!」

  いっぱい可愛がってもらえるかな。そんな期待に、ついつい舌なめずりをしてしまう。

  (あぁ、幸せだなぁ)

  アタシは、この上ない幸福感に包まれながら、獲物を巣穴の真ん中に放り投げた。

  すると、奥の方で怯えた顔をしながらうずくまっている、メスのヒトの姿が目に入った。

  「ボス、あの子そろそろ、いいんじゃないかしら?」

  アタシはそう言った。

  アタシたちが舐め回して快楽を与え続けたおかげで、昨日あたりから、体中にアタシたちと同じ色の毛が生え始めてる。悲鳴をあげながら必死に抜こうとしてるけど、多すぎてとても追いつかないみたい。

  ここらでボスに一度、メスの悦びを教えてもらったら、一気に気持ちも変われるんじゃないかしら。いつまでも怖い思いをさせていたら、可愛そうだもの。

  アタシの提案に、ボスはニヤリと笑みを浮かべた。

  「ああ、そうだな。じゃあ、お前のご褒美の前に、一発、やってやるか。まずは、腹ごしらえだ」

  そう言って、ボスはアタシが狩ってきた獲物に貪りついた。

  「楽しみだね、お姉ちゃん!」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が、キラキラした目で、アタシの胸元に飛び込んでくる。

  「ふふっ、そうね。新しい仲間が増えるものね」

  アタシは、怯えきった表情で体を縮こまらせているヒトの顔を見ながら、[[rb:玲玲 > リンリン]]の頭を撫でてあげた。

  「あの子、いくつくらいかなあ」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、好奇心に目を光らせ、興味深そうに言った。

  「そうね、おそらく、20歳くらいじゃないかしら。少なくとも、[[rb:玲玲 > リンリン]]よりは上ね」

  正確にはわからないけれど、見た感じ、そのくらいだと思った。

  「でも、あたしの方が先輩だもん、あたしがお姉ちゃんでいいよね?」

  「あら、それを言ったらアタシも[[rb:玲玲 > リンリン]]の妹ってことになるのかしら?」

  アタシは、冗談めかして言った。

  すると[[rb:玲玲 > リンリン]]は、さっと真面目な顔になって、言った。

  「違うよ、お姉ちゃんは特別。だってお姉ちゃんはあたしの……」

  「ん? なあに?」

  最後のほうが、もごもごとして、良く聞き取れなかった。

  「お姉ちゃん…」

  「なによ」

  「お姉ちゃん…」

  急に視界がぐらり、と歪んで、[[rb:玲玲 > リンリン]]の声が巣穴中に反響するかのように、ぐわんぐわんと響きわたった。

  やがて、抗いがたい眠気が、アタシに襲ってきて……。

  [newpage]

  「おじさん、おじさん」

  その声に、アタシはハッと目を覚ました。

  ぼやけた視界の中に、覚えのある匂いが佇んでいる。

  アタシを覗き込んでいる、一匹の、メスの虎。子供から大人になりつつある途中の、若々しくて、甘くみずみずしい匂いの女の子。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]!?」

  ガバっと身体を起こしたアタシに、[[rb:玲玲 > リンリン]]はにっこりと優しい笑みを見せた。

  「おじさん、無事で良かった」

  「り、[[rb:玲玲 > リンリン]]こそ……って」

  意識がハッキリしてきて、気づいた。[[rb:玲玲 > リンリン]]の身体から、血の匂いがする。

  見れば、全身傷だらけで、腰辺りにある一番深い傷からはまだ血が流れ出していた。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]、アナタ、その傷っ!!」

  慌てて駆け寄り、傷を舐めてやる。

  「あはは、大丈夫だよ、これくらい。それよりも、おじさんが無事逃げ出せたから」

  アタシは、[[rb:玲玲 > リンリン]]に余計な心配をかけまいと、気丈にふるまった。

  「その傷、まさか、ボスに?」

  「うん。あの後、おじさんを追いかけようとしてたから、この爪で引っ掻いてやったの」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、自慢げに自分の両手を前に出すと、鋭い爪を見せびらかすように、カキンカキンと打ち鳴らした。

  でも、代償は大きかったらしい。見る限り、随分手ひどくやられたみたいだ。命があっただけ、幸運だったかもしれない。

  「ごめんね、[[rb:玲玲 > リンリン]]。アタシのために」

  こんな幼い子が、自分の命を賭してまで、アタシを逃がそうとしてくれた。それが、嬉しくて、そして申し訳なかった。

  「いいんだよ、おじさん。それより、これからどうする? 人間のところに、行く?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、傷を舐め続けるアタシの背中を舐めかえしながら、そう言った。

  「うん、そうね……」

  アタシは、少し考えた後、首を振った。

  「せっかくだけど、やめておくわ」

  「え、どうして? おじさんたちの家族、待ってるかも」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、意外そうな顔をした。でも、アタシの決意は固かった。

  もう、ヒトの世界に、アタシの居場所はない。アタシはもう、身も心も、完全に一匹の虎になってしまった。ヒトの言葉も喋れない。二本の足で立つこともできない。かつてやっていたはずの工事の仕事も、もう、思い出せない。

  アタシは、[[rb:玲玲 > リンリン]]に、自分の気持ちを正直に話した。

  「そう、なんだ」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、少し寂しそうな表情を浮かべたものの、すぐに納得したように頷いてくれた。そして、アタシの身体に寄り添ってくると、クンクンと匂いを嗅いできた。

  「おじさん……、もう、オスの匂いも、しなくなっちゃったね」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が、アタシの首元に顔をうずめ、匂いを嗅ぎながら、悲しげな声で言った。

  なんとなく、感じてはいた。

  もうあたしの股間からは、オスの象徴が、綺麗さっぱり無くなっていた。代わりに肛門とは違う、メスの証明でもある新しい穴ができている。顔つきも、腰つきも、オスのものとは違う、ふっくらしたものになっている。

  おかげで[[rb:玲玲 > リンリン]]の言うとおり、オスらしい匂いも、完全にしなくなってしまった。だって、こうして舐め合ったり、匂いを嗅ぎあったりしているのに、アタシたちはどちらも、少しもイヤらしい気持ちにならない。

  こんなに近い距離で毛皮を寄せ合うなんて、もしもアタシたちがオスとメスならば、フェロモンを出さずにはいられないはずなのに。

  「……もう、おじさんじゃなくて、お姉ちゃん、だね」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が、小さく、呟いた。

  「あら、おばさんでも良いのよ」

  アタシは、冗談めかして、言ってみた。

  「だめ、お姉ちゃんだよ。あたし、お姉ちゃんのメスの匂い、好き」

  そう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]はまたアタシの胸元に顔を埋めた。そして、甘えるようにして、アタシに身体を擦り寄せてくる。

  「ちょっと、くすぐったいわよ、[[rb:玲玲 > リンリン]]」

  くすぐったさに身悶えしながら、アタシは言った。[[rb:玲玲 > リンリン]]の柔らかな毛並みが、アタシの身体に触れるたび、何とも言えない心地よい気分に包まれる。

  「お姉ちゃん、あったかい」

  「ふふっ、そうね」

  アタシは、しばらくの間、ただ黙って、お互いにお互いの温もりを、そして匂いを感じていた。やがて、どちらからともなく口を開いた。

  「ねえ、お姉ちゃん」

  「なあに? [[rb:玲玲 > リンリン]]」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、少し迷っていたようだったけれど、やがて意を決したように口を開くとこう言った。

  「あたしたち、これから、どうすればいいんだろう」

  「そう、ね……」

  アタシは、考え込んだ。ボスに虎に変えられている間、アタシは、ただのメスとして、ボスに抱かれていただけだった。身に付けているのは本能的なものだけで、あとは交尾のことばかり。

  このまま野生の虎として生きていくには、あまりにも知らないことが多すぎる。

  [[rb:玲玲 > リンリン]]だって、そうだ。ボスに反逆してまで、アタシを逃がそうとしてくれたけれど、このままでは行くあてもない。

  ここにいるのは、無知なメスの虎が二匹。森に迷い込んで、途方に暮れている。

  その時だった。

  (戻ってこい)

  「え?」

  ふいに、声が聞こえた気がした。

  (戻ってこい、俺の、可愛いメスたちよ)

  「お、お姉ちゃん」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が怯えたような声を上げた。その様子を見て、アタシは察した。

  「アナタにも、聞こえるのね」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、小さくうなずくと、不安げな表情を浮かべたまま、アタシの顔を見つめた。

  「お姉ちゃん、もしかして」

  「ええ、多分、ボスの声よ。アタシたち、呼び戻されているみたい」

  声は体の奥の方から聞こえてくる。深く植え付けられた、虎の魂が共鳴するように、アタシたちの体を、心を、否応なく支配していく。

  「だめだよ。あたしはもう、あそこには戻れない! だって……あたし、ボスにあんなひどいことをっ、しちゃったんだよ!?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が、声を荒らげて言った。その声には悲しみと後悔が入り混じっている。

  「ええ、そうね」

  アタシは、静かに頷いた。[[rb:玲玲 > リンリン]]はなおも頭を抱えて切ない唸り声を上げた。

  「ほんとは、ほんとは、戻りたい! あたし、怖かった。ここまでお姉ちゃんの匂いを辿ってきたけど、ずっとさみしくて、心細くて……巣穴の外が、こんなに怖いだなんて知らなかった。ボスに会いたい。優しかったお姉ちゃんたちに、会いたい。だけど…」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、そこで一瞬声をつまらせた。

  「あたし、戻ったらきっと、殺されちゃう。仲間を裏切って、ボスに楯突いたんだもん」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、アタシの胸に顔を埋めて、鳴き始めてしまった。

  なんて、気の毒で、哀れな子だろう。

  アタシのために、アタシのせいで、この子は虎として生きる場所を失ってしまったんだ。

  ……だけど、それなら。

  アタシがこの子の、居場所を作ってあげなきゃ。

  アタシは[[rb:玲玲 > リンリン]]の頭を舐めてやりながら、言った。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]、戻りましょう。大丈夫。アナタに危険があるなら、その時はアタシが守ってあげるわ」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、驚いたように顔を上げた。アタシは、その鼻先にそっと、自分の鼻をくっつけて、言った。

  「アナタ、アタシのために、頑張ってくれたのでしょう? それなら、今度はアタシの番よ。これからは、アタシがアナタを守るから」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、しばらく呆然としていたが、やがてまたアタシの胸に顔を埋めると、肩を震わせながら鳴き始めた。

  「いいの? お姉ちゃん、せっかく逃げ出せたのに」

  「いいのよ。本当のことを言うとね、アタシも、帰りたいなあって、思ってたんだもの」

  「ほんと? ほんとに、お姉ちゃん、そう思ってくれるの?」

  「ええ、本当よ」

  実を言うと、心のどこかで、アタシもボスへの未練が捨てきれずにいたのだ。あの、ボスとの交尾の快感が、忘れられない。深くうっとりするような甘い声に蕩けさせられる、あの多幸感が名残惜しい。そして、なにより、まだアタシは、新しく出来たメスの部分を使ってもらえていない。アタシは、まだ本当の意味でボスのメスにはなれていないのだ。それが悔しい。

  いつか、ボスの子を孕みたい。それが、メスの虎としての最高の幸せなのだから。

  (ほら、帰ってこい)

  また、聞こえた。

  「ほら、ね? わかるでしょ、[[rb:玲玲 > リンリン]]。ボスが呼んでるの」

  アタシは、努めて優しい声で言った。

  「うん、わかる。でも、あたし、怖い」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、不安そうに言った。

  「大丈夫よ、アナタには手を出させやしないわ」

  そう言って、アタシは身を起こした。そして、じっと[[rb:玲玲 > リンリン]]の瞳を見つめると、付け加えた。

  「交尾の時以外では、ね?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は、驚いたように目を丸くすると、メスの匂いをぷんと漂わせながら、小さな唸り声を上げた。

  「ふふっ、可愛いわね、[[rb:玲玲 > リンリン]]」

  アタシは、その喉元を舌でくすぐってやると、おもむろに立ち上がった。

  「じゃあ、帰りましょうか、ボスの元に」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]もすくっと立ち上がって、言った。

  「うん!」

  そうしてアタシたちは、二匹揃って、ボスの待つ巣穴へと、歩き始めた。

  「だけどね、お姉ちゃん」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]が、ふわふわした声で話しかけてくる。

  「なあに?」

  「あたしね、しばらくボスとの交尾は、したくないんだ」

  「あら? やっぱり、怖いの?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]がほんの小さな人間の娘だった頃、ボスに無理矢理抱かれ、純潔を奪われたときのトラウマが、まだ残っているのかもしれない。立派な虎になるためには仕方がなかったとはいえ、かわいい妹分があんなふうに苦しいだけの交尾をさせられてしまったのは、見ていてもつらかった。

  でも、[[rb:玲玲 > リンリン]]は静かに首を横に振った。

  「ううん、そうじゃなくて」

  「じゃあ、なんで?」

  ボスに抱かれるのはアタシだけじゃもったいない。トラウマが無いのであれば[[rb:玲玲 > リンリン]]にも、もちろん他の巣穴の仲間たちにも、あの悦びは分けてあげたい。

  すると[[rb:玲玲 > リンリン]]は、恥ずかしそうに続けた。

  「あの、お姉ちゃんが、まだオスだった頃…最後に、あたしを抱いてくれたでしょ?」

  「そうだったわね」

  「もしかしたら、あれで、子供が……ね?」

  ああ、なるほど。もしもアタシの仔が出来ていたら、それを先に産みたいのね。

  なんていじらしいことを言うのかしら。きっとアタシがオスだったら、こんな可愛いことを言うメス、絶対に放ってはおかないわね。

  「じゃあ、アタシも負けないように、早くボスの仔を授からなきゃ」

  アタシたちは、競い合うようにして、ボスの巣穴へと向かった。

  [newpage]

  それからアタシたちは、舞い戻った巣穴でボスに心から不忠を詫びた。

  ボスは、アタシたちを叱らなかった。虎になったばかりで混乱していたせいだろうと言い、それから[[rb:玲玲 > リンリン]]の傷を顎で示して、制裁はすでに十分下したと言った。

  アタシたちは二度とボスに逆らわないと誓い、もう一度群れに迎え入れてもらうことが出来たのだった。

  どうなることかとは思っていたけど、巣穴のメスたちもアタシたちを許し、新たな仲間の証としての毛づくろいをしてくれた。

  「それにしてもあなた、大きいわね」

  「ほんと、メスにしてはものすごい大きさよ」

  「さすが、元オスよね」

  アタシの毛並みを舌で撫でながら、メスたちがアタシの体の大きさを、褒めてくれた。

  「えへへ、そうかな?」

  それが嬉しくて、アタシは照れ笑いを浮かべた。

  「この身体なら、いい仔を産めるわよ。ボスも期待してらっしゃるから、頑張りなさいね」

  メスの一人が、激励してくれる。アタシは、はい、と元気よく返事をした。

  「お姉ちゃん、嬉しそう」

  隣で、[[rb:玲玲 > リンリン]]が微笑んでいる。アタシは、その頬を舐めてやりながら、言った。

  「ええ、嬉しいわ。だって、ボスがアタシを、仔を産むためのメスとして、期待してくれてるっていうのよ? こんなに幸せなこと、ないじゃない」

  すると[[rb:玲玲 > リンリン]]は、目を輝かせて言った。

  「ねえ、それじゃあ、お姉ちゃんのこと、ママって呼んでも良い? これからホントのお母さんになるなら、そう呼んでも、いいよね?」

  すぐさま周りの仲間たちも頷いた。

  「いいじゃない! あなた、私達の中では新参だけど、年は一番上みたいだし。成熟した大人のメスって感じの身体してるもの」

  みんなの視線を集めて、ちょっと恥ずかしいけど、悪くない気分だった。

  「そ、そう? みんな、そう思う?」

  そう尋ねると、仲間たちはみんな異口同音に「そうよそうよ」と頷いた。

  「決まり! 今日からあなたのことは、ママ…だけど序列は下だから、ママちゃんって呼ぶことにするわね」

  「わ、わかったわ」

  アタシは、なんだかくすぐったいような気持ちになりながらもうなずいた。

  「わぁい! ママ! あたしのママ!」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は嬉しそうに、アタシの首筋にペロペロと舌を伸ばしてきた。

  アタシは、くすぐったさに身悶えしながら、その鼻面に、ツンと自分の鼻を当てた。顔中のヒゲとヒゲがぶつかりあって、ゾクゾクするような快感が、身体中に走る。

  「こら[[rb:玲玲 > リンリン]]、ママちゃんよりあなたの方が序列は上なんだから、ちゃん付けで呼ばないと」

  先輩の一匹がそう言ってたしなめる。

  ママは本来上位の相手への呼び名なのだから、虎として目上の[[rb:玲玲 > リンリン]]は、ちゃん付けして立場をハッキリさせないといけないのだ。

  けれど[[rb:玲玲 > リンリン]]は、仔虎のように口をとがらせて首を横に振った。

  「ううん、いいの。ママは、あたしの特別だもん!」

  一番古株の先輩はやれやれと溜息をついた。

  「もう、甘えん坊さんなんだから」

  するとそこへ、ツンとボスのおしっこの匂いが漂ってきた。

  アタシたちは一斉に顔を見合わせる。

  この匂いは、メスを呼んでいる匂い。

  それも、一番新しい、メスになりたての、アタシを呼んでいる匂い。

  「行ってらっしゃい」

  「初めて、頑張ってね」

  「本物のママになるためよ」

  仲間たちは口々にそう言って、アタシを送り出した。

  「待ってるね。ママ」

  最後に[[rb:玲玲 > リンリン]]がそう言った。

  「ええ、ありがとう、みんな」

  アタシは、笑顔を向けると、駆け出した。

  (とうとうアタシ、本当のボスのメスになれるんだ)

  心が躍るのを感じた。

  [newpage]

  「よく来たな」

  服従の証として身体を伏せるアタシに、ボスは、威厳ある声で話しかけてきた。

  「はい、ボス」

  アタシは、おずおずと答え、その顔を見上げた。すると、そこには、見ているだけで惚れ惚れしてしまうボスの迫力たっぷりな顔があった。虎になって大きくなったアタシより、さらに大きな体躯。けれどその眼差しは優しげで、アタシを見つめる瞳は、温かな愛情に満ち溢れているように思えた。

  (ああ、なんて素敵なの)

  心の底からそう思うと同時に、胸の中に熱いものが込み上げてくるのを感じた。

  口が開き、舌が垂れる。

  「しっかり、発情するようになったな」

  ボスは、嬉しそうに笑い、アタシの顎下をくすぐってきた。

  「はい、ボス…♡」

  アタシは、目をうっとりと細めると、喉をゴロゴロ鳴らしながら全身の力を抜いて、その愛撫を受け入れた。

  「うむ、もう完全にメスとして完成したな。良い事だ」

  ボスは、満足げに唸ると、アタシのお尻の匂いを嗅ぎ、そのまま背後から覆いかぶさった。そして、アタシの耳元でそっと甘く囁いた。

  「俺の仔を、孕め」

  そしてボスは一気に、アタシの出来たばかりのメスの穴に、自分自身のモノを突き入れてきた。

  「ギッ……ギャウンっ!!」

  アタシは、思わず悲鳴を上げた。

  初めてはやっぱり、痛い。最初にお尻に入れられたときと同じか、それ以上に痛い。つい身をよじって、逃れようとしてしまう。

  「動くな」

  ボスはそう言って、しっかり爪で背中を抑えつけてきた。

  だけどあまりの痛みで、どうしても腰が引けて、後ろ脚が暴れてしまう。

  「ご……ごめん、なさいっ!!ボスぅ…!!」

  すると、ボスは、アタシの首筋をザラリとひと舐めし、言った。

  「手助けしてやろう」

  そうして、アタシの首筋に思い切り噛みついてきた。今までは加減してくれていたんだということがわかる、本気の噛み付きだった。

  「ギャッ、ギャウゥッッ!!」

  痛い、痛い。全身の血が逆流するような痛みが、身体中を駆け巡る。でも、おかげで身体が硬直して、ボスから逃れようとする動きは強制的に止まった。

  「動くぞ」

  ボスはアタシに噛みついたまま、腰を揺すり始めた。

  「ギャッ、アァウッ、ンゥッ」

  アタシは、身体をこわばらせたまま、苦悶の悲鳴を上げた。しかしボスは、まったく動じない様子で、ピストン運動を続ける。

  (痛いっ、痛いよぉ!!)

  初めての膣を使った交尾に伴う痛みと恐怖で、頭の中がいっぱいになった。

  そこへまず一発、最初の精が、勢いよく放たれた。

  「ン、グルゥッッ!」

  痛みの中で快感など覚える間もなく、アタシはただ歯を食いしばって悲鳴を上げた。

  ドクンドクンと熱い液体が、お腹の中に注がれているのを感じる。しかし、ボスの動きは止まらない。

  相変わらず激しい痛みに、涙が溢れてくる。同時に、それとは相反する感情もまた湧き上がってくる。

  苦しいはずなのに、この痛みが愛おしいような気すらしてきたのだ。

  これは、アタシが支配されていく痛み。

  力強く、たくましく、獣臭い、オスの中のオスとも言える、最高のオスによって、アタシが踏みにじられ、傷つけられ、辱められ、穢されていく、痛み。

  それはアタシという存在が、彼に隷属し、奉仕するための獣なのだということを刻まれていく、悦楽。

  そこから引きずり出されるのは、アタシの中にある、メスとしての強い繁殖欲。

  産みたい。産みたい。この方の仔を、アタシの、メスとしての、初めての仔を。

  好き。好き。大好き。大好き、ボス。愛してる、アタシの愛しい、旦那様!!

  そこでまた、二度目の奔流がやってきた。

  「グ、ガゥッッ!!??」

  精液の熱さよりも、彼のペニスの棘が膣壁に突き刺さった一際強い痛みに、アタシはまた叫び声を上げた。

  もう、頭の中の思考はぐちゃぐちゃになっていた。痛みと、快楽と、愛情だけがある世界の中にアタシは放り込まれていた。

  ああ、もっと、もっともっと愛してほしい、貪ってほしい、奪い尽くしてほしい、支配し尽くしてほしい!! そんな想いが込み上げてくる。

  その後も続くピストンに合わせて、アタシの被虐心はどんどん加速していく。

  もっと、もっと激しく、乱暴にして。アタシの身体を、めちゃくちゃにしていいから。

  いくら傷つけてもかまわないから、どうか、アタシのことを犯し尽くして。アタシの、メスとしての本能が、叫んでいる。

  この[[rb:獣 > ひと]]になら、何をされてもいい。なんでもしてあげたい。どんなことをされても、喜んで受け止めてあげられるから。だから、アタシを愛してほしい。メスの虎として。ツガイのメスとして。

  強く願えば願うほど、身体はますます敏感になっていく気がする。心がどんどん昂っていくのがわかる。

  ああ、これが本当の交尾なんだって実感する内に、ようやくじんわりとした快感が身体を満たしはじめた。

  「ガフゥぅう♡♡、キュルルゥン…♡♡♡」

  「馴染んできたようだな」

  ボスは、アタシの首筋に牙を突きたてながら、言った。

  「アゥウウ…♡ は♡、ウ、ガルルルゥン…♡♡」

  アタシはもう、虎の言葉さえ満足に話せなくなっていた。口から溢れるのは、もはや意味のない、ただの鳴き声だった。

  「ふぐっ♡、ガルルルッッ♡、グルルゥウ♡♡♡!!」

  アタシは全身を痙攣させ、よだれを垂らしながら、必死になってボスに媚びを売る。

  早くこの虎の仔を身籠りたいというメスとしての本能が、頭の中を支配していた。

  そうしてピストンが激しくなり始めると、アタシにとって、本物のメスとして初めての絶頂が近づいてきたのを感じた。

  (ああ、とうとう、来るわ…♡)

  もう我慢出来ないとばかりにアタシが自分から腰を動かすと、ボスはアタシの首を一際強く、ガブリと噛み締めた。

  「ギャウッ!!」

  鋭い牙が首筋に刺さり、鈍い痛みが全身を走る。同時に、再び膣の中のペニスが大きく膨らみ、熱いものが発射されるのを感じた。そして、それが子宮に注ぎ込まれると同時に、頭の中にも大量の快楽物質が溢れだした。

  (イッくうぅううう!♡♡♡♡)

  アタシはその凄まじいまでの快感の前に、一気に上り詰めていったのだった。

  [newpage]

  アタシはその日、ウサギを捕まえて巣穴に戻ってきた。

  「お疲れ様」

  仲間の子たちがアタシを出迎えてくれる。

  「ママ、すごいね…」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は感心したようにアタシを見つめている。それだけじゃなく、どこか心配しているようだった。

  その心配の理由は、アタシのお腹にあった。

  「お姉ちゃん、ママは大丈夫なの? お休みしたほうがいいんじゃない?」

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]、虎は人間なんかと違うから、孕んでいたって狩りくらいできるのよ」

  仲間の一匹が、[[rb:玲玲 > リンリン]]にそう言って聞かせた。

  アタシのお腹には、ボスの仔が宿っていた。それが分かったときにはみんな、アタシを祝福してくれた。

  「でもそれなら、あたしも狩りにでなきゃ、だめじゃない?」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は自身の大きく膨らんだ腹を見て言った。

  「[[rb:玲玲 > リンリン]]はいいの。まだ若いんだから、無事に仔を産むことに集中なさい」

  アタシはそう言って、[[rb:玲玲 > リンリン]]の頬を舐めた。

  [[rb:玲玲 > リンリン]]はアタシのオスとしての最後の交尾で、アタシの仔を孕んでいた。

  ボスが認めてくれるか心配だったけれど、元人間どうしの虎の仔がどうなるか、見てみようということで、とりあえず産むことだけは許してもらえた。

  「早く会いたいな、ママの仔供に」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は待ち遠しそうに言った。

  「あら、それはどっちの?」

  「両方!」

  そう言って舌を出す[[rb:玲玲 > リンリン]]の顔は、少し大人びてきていた。アタシの仔を孕んだことで、身体がまた大きくなった。見た目まで完全な成獣らしく育ち切るのも、後もう少しといったところだ。

  するとそこへ、別の仲間がアタシに身体を擦り寄せてきた。

  「ねえママちゃん、アンタの腹の仔、どっちかしらね」

  アタシはもう何度も繰り返されてきたこの問いに、苦笑いしながら答えた。

  「そうねえ…オスだと良いんだけど」

  産まれてくる仔が、メスの場合普通の虎と同じらしい。でも、オスだった場合は、ボスと同じようにヒトを虎に変える力を持っているのだとか。

  「もっと、[[rb:虎 > なかま]]を増やさないと。そのためには、新しいオスが独り立ちして、別の群れを作っていかないとね」

  「そうね。私たち、みんなメスしか産んだことがないから」

  アタシの言葉に、仲間たちは悔しそうに唸った。三匹の仲間たちはそれぞれ既に一匹ずつ仔を産んでいるらしいが、三匹とも、産まれてきたのはメスだったという。みんな独り立ちして、今頃は普通の虎として生きているんだとか。

  「でもママちゃんなら、オスを産めるかもしれないわ。なんてったって、本人が元オスなんですもの。きっと強いオスが産まれるわよ」

  一番の先輩が、そう言ってアタシを期待の眼差しで見つめた。

  「あっ、ボスが帰ってきた!」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]の声を合図に、アタシたち五匹は急いで整列した。一番古参の先輩を真ん中にして、アタシは端っこに立つ。ママと呼ばれてはいるけれど、ここでの序列は一番下なのだ。

  「おかえりなさい、ボス」

  アタシたちの言葉に、ボスは軽く喉を鳴らすことで答えた。

  「まあ…!」

  仲間の一匹が声を上げた。

  ボスは頭以外の身体に毛が生えていない、つるんとした生き物を、引きずりながら現れたのだ。

  普段森では嗅ぎ慣れない匂いが、ぷうんと立ち込める。果物に似てるけど、無理矢理作ったみたいな、鼻が曲がりそうな強い臭い。こんなのを身に纏っているなんて、人間って物好きなものよね。

  そう、ボスが引きずってきたのは、成人したてくらいの、若い人間のメスだった。

  裸のままガクガクと震え、何かブツブツつぶやいている。

  「……うそ、うそ、やだ、やだ、やだ…」

  「今回は、こいつだ」

  ボスはそう言って、アタシたちに引き渡した。

  「ヒッ……いたいっ!!」

  べシャリと叩きつけられて、その子はうめき声を上げている。

  「んもう、ボス、人間は弱いんだから、あんまり乱暴に扱っちゃだめですよ」

  古株の先輩がそう言うと、ボスは苦笑いして言った。

  「悪いな。しばらくはお前たちに任せるよ」

  「わぁ、仲間だ! 新しい仲間!」

  [[rb:玲玲 > リンリン]]は飛び跳ねて喜んだ。

  「ヒィ……、何よ、何なの、怖い怖い怖い! やめてよ!」

  哀れにもアタシたちの言葉がわからないその子は、[[rb:玲玲 > リンリン]]の愛らしいはしゃぎっぷりにも恐怖してしまうようだった。

  気の毒で見ていられない。早く、楽にしてあげないと。

  「みんな、始めましょう。ママちゃんと[[rb:玲玲 > リンリン]]ちゃんは、基本的に見張り役ね」

  序列一位の先輩の指示に従って、アタシたちはこれから新しい仲間になるその子を、巣穴の中へ引っ張っていった。

  「イヤァアッ! やだ、ヤダ、ヤダァっ! うっ、オェエッ!! くっさ……げぅ……やめてよ、離して、ヤダヤダヤダ!!!」

  涙を流して暴れるヒトの子の姿を見つめながら、アタシはこの子がすっかり虎になるのが早いか、それとも腹の仔が産まれてくるのが早いか、どっちだろうかと考えていた。

  「ふふ、早い方が、お姉さん、だね」

  結果は、これからのお楽しみだ。

  (完)