アオフVSゴウキ

  アオフは合法地下闘技場の控え室で

  [ボスっ!バスっ!」

  とサンドバックを叩きつける音が響き渡る。

  彼女は今から戦う相手についてワクワクしていた。

  対戦相手の種族はオーガだ。

  自分より体格の大きさや筋肉量が多くて間違いなく強者と予想する。

  そう考えるだけでも

  [バァンっ!!ドガァ!!」

  さっきよりもサンドバックを強く叩きつけてしまう。

  サンドバックを殴って居ると控え室の扉が開き

  「アオフ、出番だぞ」

  その言葉を聞いた瞬間、アオフは無意識に力を籠めて大振りのテレフォンパンチをサンドバックに

  [ゴスッ!!!]

  と命中させてサンドバックから砂が

  [ザラザラッ…………パラパラ……」

  落ちていく様子を確認した後

  「あぁ悪い、ついつい歯応えが有る奴だと興奮しちまってな」

  ウォルタは

  「お、おう掃除はこっちでやっとくぜ」

  「サンキューな」

  と言いながらアオフは控え室から出ていく。

  [newpage]

  アオフがリングの下でブルーコーナーの鉄格子のゴンドラで待機して居ると

  『さぁ合法地下闘技場のメインイベントが始まります』

  実況席の男が声を上げると観客達は歓声を上げて盛り上がっていた。

  『其れでは選手の入場、レッドコーナー、戦闘向きの種族の中でも一二を争うと言われる種族オーガ!

  その中でもこの合法地下闘技場で最強のオーガの拳姫! 名はゴウキ!!』

  アナウンスと共にアオフの狼の耳から反対側の鉄格子のゴンドラが

  [ガンガンガン……ギィイイン」

  動く音を聞こえて

  「おぉおおおおおおおおおおおっ!!!」

  雄叫びを挙げて更に盛り上がる観客達の歓声を聞きく

  其れを聞いただけでアオフの口元が緩む

  『続きましてブルーコーナー、この合法地下闘技場に初登場となる新顔の狼の亜人の拳姫のアオフ!』

  アオフが乗って居る鉄格子のゴンドラが

  [ガンガンガン……ギィイイン」

  動き始め、アオフはリングがある上に引き上られてリングと同じ階に来るとアオフを乗せた鉄格子のゴンドラが止まり、係員が鉄格子のゴンドラを開けてくれる。

  アオフはゆっくりと鉄格子のゴンドラから降りていき、自分の足でリングのキャンパスを踏みしめるそして自分の反対側に居る対戦相手のゴウキを見据える。

  自分より頭半分位の身長差があり、一目見ても筋肉量も多く腕はアオフの脚位の太さだ。

  アオフは目の前にいる相手が今まで戦ってきた相手の中で一番強いと確信した。

  そんな事を考えていると

  「随分ちっぽけな小犬じゃねぇか?」

  ゴウキはニヤリと笑みを浮かべると

  「好きに言え。

  私は歯応えのある奴なら誰だろうと構わないんだからよ」

  そう言うとお互い睨み合う。

  レフェリーは二人の間に入って右手を高く上げると

  [ゴォオオ~ン]

  試合開始を告げるドラが鳴る。

  先に仕掛けたのはゴウキで

  「オラッ!」

  左のテレフォンパンチのアッパーカットを繰り出す

  其れに対してアオフは何もせずに

  「⋯⋯」

  ゴウキの左のテレフォンパンチのアッパーカットをお腹に喰らった。

  「もう一丁だ」

  今度はを大振りの右のフックを繰り出した

  アオフは其れも何もせずに

  「⋯⋯」

  またアオフはゴウキの右のフック顔に受けて喰らい倒れる。

  「だ、ダウン、ワン!」

  カウントを始める。

  ゴウキは笑い出して

  「おい、どうした? もう終わりなのか!?」

  と挑発する。

  其れに対してアオフは

  「⋯⋯」

  無言でゆっくりと立ち上がりファイティングポーズを取る。

  レフェリーは一度、アオフに

  「やれる?」

  と聞くと アオフは

  「⋯⋯」

  此処でも無言で小さく首を縦に振る。

  それを見たレフェリーは試合再開の合図を出して試合を再開する。

  「そんなにサンドバックになりたいのか?

  「⋯⋯」

  「良いだろう望み通りにしてやるぜ!」

  とゴウキはアオフに向かって走り出して其のまま大振りのテレフォンパンチを繰り出して一瞬瞬きして目に映ったのはゴウキの大振りのテレフォンパンチで殴られるアオフではなく、アオフが付けている青いボクシンググローブが迫って居た。

  「え?」

  ゴウキは一瞬戸惑ってしまい膠着状態になり、その間にアオフは大振りの右オーバーハンドが

  [バァンっ!!]

  と音を立てて命中するとそのまま仰向けに倒れ込んで

  「だ、ダウン!」

  と慌ててレフェリーはゴウキをカウントを数える。

  アオフは自営のコーナーに戻り、ゴウキは何にやられて倒れたのか分からず混乱していた。

  ゴウキは混乱をしながらも立ち上がりファイティングポーズを取る。

  レフェリーは

  「大丈夫?」

  とゴウキに声を掛けるが

  「あ、あぁ」

  と戸惑いながらも答える。

  「ファイト!」

  と声を上げて試合再開する。

  ゴウキはファイティングポーズを取るがアオフは

  「ふ⋯フフフッ」

  と不敵に笑うと

  「何が可笑しいんだよ」

  ゴウキはそう言うがアオフは

  「いやぁ、今まで私が対峙した相手がどいつもこいつも弱すぎてなぁ.

  だからお前みたいな奴と戦えるのが嬉しくってしょうがないんだぜぇ!!」

  とアオフはそう言って同時に

  「だけどまだ噛み応えが足りないからハンデをくれてやる」

  「あん?」

  「今から私は避けるのも防御もしねぇ。

  ただ殴るだけだ。

  それ故に私を殴り放題だ」

  アオフの舐め切った言葉を聞いてゴウキは

  「舐めんじゃねぇぞ!

  そんな貧弱な体をへし折ってやるぜ!!」

  ゴウキは激怒してアオフに突撃をして来た

  「やって見ろよ!」

  アオフもゴウキに突撃して

  [ドガッ! ]

  [ゴスッ!]

  アオフの拳とゴウキの拳がクロスカウンターの形でお互いに顔に直撃して

  「「ぐっ!!」」

  [newpage]

  『試合は第五ラウンドに突入しました。

  二人の拳姫の一歩も引かない攻防が続いています』

  実況席ではマイクを持った男が解説をしている。

  観客達は二人の戦いに熱狂している。

  ゴウキは大振りの右のテレフォンパンチを繰り出す。

  アオフなら簡単に避けられるパンチだが、試合開始時に避けるのも防御もしないと宣言をした為、アオフはガードと避ける事無く、ゴウキの右のテレフォンパンチを左頬に喰らい無理矢理首を右に曲げられてしまう

  アオフは首を正面に戻そうとする。

  その時ゴウキはアオフの横顔を見てしまう。

  その時のアオフは笑っていた。

  其れも人間の笑う顔ではなく獣の様に牙を見せながら口元を大きく歪めて笑って居た。

  そのアオフの表情を見てゴウキは恐怖を覚えてしまい、追撃の左のテレフォンパンチを繰り出したがアオフはゴウキの左のテレフォンパンチよりも早い右のボディーをストレートを繰り出してゴウキの鍛えられた腹筋が意味が無いようにアオフの右のボディーをストレートが

  [ドスゥ]

  と鈍く響く音が聞こえながら深深くゴウキのお腹に

  「がばっ!!」

  突き刺さる。

  そしてアオフの拳が抜かれてゴウキは思わず両手でお腹を庇う様に押さる

  其れに対してアオフは

  「おいおい、今のでお腹が痛くなったのかよ?」

  と煽りながらゴウキの顔をパンチングボールの様に連続で

  [バシッ!バシィ!バシ!バシ!」

  「グハッ、ゴホッ、ゴホォ!」

  と殴り続けられて最後のアッパーカットで

  「オラァ!」

  とアッパーカットがゴウキの顎に命中してゴウキは大の字に倒れて

  「おい、まさかもうお寝んねのつもりじゃ無いだろうな?

  こっちは身体が温まってハイになってんだ。

  もっと楽しませて貰おうか」

  「な、舐⋯めやがって」

  ゴウキは立ち上がりファイティングポーズを取る

  「良いね良いね。

  そう来なくっちゃ面白くない」

  アオフはクイクイとボクシンググローブを付けた手で挑発をする。

  ゴウキは怒りで我を忘れたのか、それともアオフの言葉に乗せられてしまったのか分からないが、またアオフに突撃して行った。

  其れに対してアオフも突撃して其処から純粋で激しい殴り合いが始まった。

  お互いのパンチが何度も顔面とお腹にに命中するが二人は怯むことなくパンチを繰り出し続ける。

  だが直ぐに均衡は崩れた。

  アオフはゴウキのパンチを喰らっても怯まず殴り返して、逆にゴウキはアオフのパンチを喰らうたびに怯んで後退してしまい、徐々にアオフが優勢になっていく。

  如何して此処まで差が開く理由は身体の使い方だ。

  ゴウキはオーガと言う種族故に体格が良く、力が強い為、今まで恵まれた体で腕だけの力任せの大振りのパンチを繰り出せば勝てた

  しかしアオフは前世のアマチュア女子ボクシング時代で培った技術を持って居て、避けるや防御しなくても相手のパンチを喰らった時の身体の動かしてダメージ軽減の仕方や筋肉に力を込めて硬くして防ぐタイミングを熟知していて、ゴウキの振り回すだけの大雑把な攻撃はアオフにはほぼ通用しない

  其の上、アオフの身体は幾ら鍛えても筋肉が浮かび上がらない体質なので、実際アオフの筋肉量はゴウキとほぼ同じで、其の上、ゴウキの腕だけの力任せの大振りのパンチが根本的に違い、アオフのパンチはプロのボクサーと同じ様に全身を最大に使ったパンチを繰り出す事が出来る。

  その為、

  「オラオラ、どうしたぁ!!

  そんなもんかぁ!!」

  アオフがゴウキを殴るたびに

  「ぐっ!!」

  とゴウキが苦しそうな声を上げてパンチの威力がどんどんと落ちて後ろに後退してしまう。

  流石に合法地下闘技場に居る観客、関係者はあり得ない物を見ている感覚に陥っている。

  巨体のゴウキを頭半分位の身長差があるアオフが一方的にゴウキを殴っているのだ。

  しかもゴウキの反撃をアオフは避ける事も防御する事も無く殴られ続けているのにアオフは平然とした顔つきをしている。

  そしてとうとうゴウキとうとうと

  「なぁ私がコーナーに!?」

  コーナーポストに追い詰められてしまい、アオフは ニヤリと笑い

  「歯を食いしばれぇ!!」

  と叫びながらゴウキの身体に容赦なく怒涛の勢いでラッシュを

  「ぐっ! ぐふぅ!」

  とゴウキはもうアオフのサンドバックに成ってしまった。

  そしてゴウキの顔がパンパンに膨れ上がりお腹は彩な痣に染められ腕が垂れ下がり動きが完全に止まった瞬間にアオフは身体を最大限に使って

  「オラ!!!」

  アッパーカットでゴウキの顎を

  「ごぶっ!!!」

  殴り上げてゴウキを宙に浮き其のままコーナーポストを軽々と越えてリングアウトでしまう。

  レフェリーは急いでゴウキが落ちた場所に向かいゴウキの様子を見る

  「あ、う⋯ぐうっ…….」

  ゴウキは尻を突き出すように海老反りの状態で気絶してお漏らしをしていた。

  此れを見たレフェリーは試合続行不可能の合図を送って

  [ゴォオオ~ン]

  レフェリーはアオフの右腕を掴んで高々上げて

  『勝者、アオフ!!!」

  アオフの勝利で終わった。