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【留文】噛んで、暴いて、素直になって【ウェブオン先行サンプル】
留三郎は狼設定
文次郎は人間
これだけ分かれば読めるはずです🙇♀️
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満月の夜は嫌いだ。
己の未熟さを“本能”だから仕方ないと正当化し、言い訳をしてくる。忍びになりたいと言いながら、欲求に抗えない姿は見ていて不愉快だ。
「……おい、何をしている」
文次郎は、自身の身体に感じる重さに対し、ぶっきらぼうに言い放った。
今は日付が変わった頃だろうか。しばらくぶりに布団で眠れると思ったらこれだ。
「グルル…………」
自身の上に跨がる男は、喉を鳴らし、鼻息荒く見つめてきているのが分かる。
「何か言え、留三郎」
「……今日は満月だから、襲いにきた」
文次郎はまだ重く引っ付くような瞼を薄めに開けてみると、口元から涎をだらしなく垂れ流しながら、獲物を狙う目で自身に覆い被さろうとしている留三郎がいた。
月明かりが、襖を突き抜け部屋の中を輝かせている。
もう夜も深まるというのに、留三郎の顔はやけにはっきりと文次郎の目に映っていた。
薄く開けた口から覗く鋭い牙、興奮しているせいか、留三郎の頭から生える灰色の大きなミミはピンと立ち、呼吸と共にぴくぴくと動いていた。
「三禁はどうした、明日は早いからもう寝かせてくれ」
留三郎を押し退けるように自身の夜着を口元まで引っ張り上げると、上に乗っていた体温が一気に無くなるのを感じた。
「いつまでいる、お前も部屋に戻れ」
なおも荒い呼吸音を響かせる留三郎に部屋に戻るよう促せば、掛け直した夜着を一気に剥がされ、気づけば両腕を掴まれながら再度上へと覆い被される。
「文次郎、なんで今日は部屋で寝てるんだ?」
「今日は休息の日だ」
「わざわざ、満月の日にか?」
「……たまたまだ」
満月の夜は嫌いだ。
「|た《・》|ま《・》|た《・》|ま《・》、か」
本能という見えない欲求に、自身の身体が沈められていく気がするから。
「んぅっ……」
自身の脇腹を這う手に、思わず甘い声を漏らし、文次郎は瞬時に手で口元を隠した。
ただ触れられただけだというのに、身体はびくりと跳ね上げ大袈裟に反応してしまう。
「もんじ……」
甘えるような留三郎の声は、文次郎の脳に直接響くようで、ジリジリとこびりついて離れない。
熱帯びたその目で見られると、全身に火傷を負った感覚に陥る。粟立ちが止まらない肌は、期待したかのように風が突き抜けるだけで文次郎の全身を脈立たせているみたいだ。
ぽたりと自身の頬に溢れた留三郎の唾液。
それだけで、溶けそうなほどに身体が昂ってしかたない。
「……しかたねえな」
文次郎がそう一言溢すだけで、タカが外れたように、留三郎は文次郎の唇を貪るように吸い始めた。
「んむっ……んっ、待てっ……おい」
言葉を阻むように留三郎は文次郎の口を吸っていく。文次郎の閉じかけた唇をその尖った牙で甘噛みし、開けたところで彼は無理やり舌を捩じ込んできた。
「んあっ……♡」
自身の口の中を這う生温かな感覚は、それだけ必死なことが伝わってくる。
いつも以上に高い体温が、自身の上唇をなぞり、びりびりとした痺れを与えてきた。
ぴちゃぴちゃと部屋中に響く水音が、やらしいことをされているのだと自覚させてくる。
「んっ……しつ、けえ……っ」
「はっ……もっとさせろ」
留三郎の襟を掴み引っ張りあげてみたが、無駄な抵抗だったらしい。覆い被せられた身体は|人《・》|間《・》の力では敵わないと分かっていた。
今日が満月なことも、留三郎が襲いにくることも、全て分かっていた。
「な、触っていいか……?」
これは|獣《・》|人《・》の本能なのだから、仕方ないのだ。
「……好きにしろ」
理性が働く人間でも、瞬時に感じる本能を無くすことはできない。
わざとらしく唇の隙間から覗かせてきた留三郎の牙は、今から何をしようというのか。ぞくっとする背筋や少しの好奇心、それから、その視線からひしひしと感じる嗜虐的な感情は、文次郎の感情を乱していく。
獣人のお遊びに付き合ってやってるだけだと自身に言い聞かせても、胸の奥に募っていく熱は獣人の本能とやらと何ら変わらない。
「んっ……」
不意に自身の下半身に触れた硬いものに、文次郎は小さく声を跳ねさせる。
「もうデカくしてんのな」
「いっ、ちいち、言うなっ……んぁっ」
留三郎の手は文次郎の快楽を弄ぶように、指先で掠めてはそっと撫で、沸々と焦らしていた。
「っ触るならっちゃん、と、触れっ……んんっ♡」
「気持ちいいくせに」
その言葉と共に、文次郎は自身の股間部にずしりと体重が掛かるのを感じた。
「ぅあっ……♡」
留三郎の下半身から感じる硬いものが、わざとらしく自身の身体に擦られていく。
留三郎が前後に腰を揺さぶるたび、互いのモノが触れ合って熱が、混じり合うようだ。
互いに酷く興奮し合っているのだと、文次郎は目で、己の肉体で再確認させられていた。あまりにも昂り、擦れた突起はでこぼことし上手く重ならない。それがまた予期せぬ快感を生み、いつの間にか文次郎の褌の中はヌルヌルとした我慢のできなかった蜜で溢れている。留三郎の昂りが自身の肉茎を摩擦するたびに、ヌメっとした快感まで与えてきやがる。
「んっ♡んんっ……♡」
「声くらい我慢するなよ」
「っだ、れが、んなもん出すか……っ」
自身から勝手に漏れ出される声が、まるで自分ではないかのようで。こんな気持ちの悪い声をあげてしまうほどに、我というものを忘れてしまう行為をすることに文次郎には罪悪感があった。
だから、これは、本能で仕方なく。
「っ……も、|挿入《い》れろ、留三郎」
「あ?まだ慣らしてねぇだろ」
「してある、から……っ」
本能の処理を手伝う作業なのだと、自分に言い聞かせて。
「お前だって、もう我慢出来ねぇだろ。……いつも通り襦袢は脱がさず、夜着は被っててくれ」
「……勝手だな、文次郎」
月明かりは部屋いっぱいに満たしているというのに、今の留三郎の表情はまるで雲掛かるように暗く見えなかった。
「ぐぁっ……ぁっ……♡」
確かめもせず無理やり貫いた留三郎の肉茎は、遠慮なく文次郎の内壁の奥へと一気に侵入してくる。自身の腹の奥の形が変わっていくのが分かる。ミチミチに詰まっている自身の内壁は、今、留三郎を受け入れようと少しずつ必死に馴染んでいった。
「うぅっんあっ♡」
あとはただ、留三郎が満足するまで自身の身体が使われるだけだ。
「ぐっ……♡ぁっ♡」
「本能だからお前を襲ってるわけじゃねえよ。……って、聞こえてないか」
少し乱暴なくらいがちょうどいい。
痛みが快楽に変わった時、自身の理性は何もかも吹っ飛び訳がわからなくなるから。
その方が、心の痛みに気づかなくて済むんだ。
────今は、丑三つ時ほどか。
部屋を照らしていた月明かりもいつの間にか傾き、目を慣らさねばならぬほどに真っ暗に変わっている。
「……はぁ」
気を失っていたわけではないが、行為の後は記憶が曖昧だ。夏場の過酷な鍛錬でさえ意識がはっきりとあるのに、留三郎と身体を重ねている時は頭にモヤが掛かるようにその瞬間を上手く理解できないでいた。
文次郎は少し乱れていた襦袢を直し、床で横になっている留三郎へと視線をやる。布団は敷かれているというのにわざわざ冷たい床へと横たわり、壁の方へと顔を向けている留三郎へ。
一緒の布団で寝たいわけではない。だが何というのだろう、身体まで重ねているというのに、同衾は嫌なのかと細かいことがちらついて、文次郎は苛立ちを覚えていた。
「……阿呆らしい」
起こさぬようそっと立ち上がると、後孔から腰に響くような痛みを感じた。
無理もない、ほとんど慣らす行為などせず留三郎を受け入れたのだから。
「どこに行くんだ」
襖を開こうと手をかけた瞬間、背後から声色の低い留三郎に声を掛けられる。
「眠れないから鍛錬に出る」
「こんな時間にか」
「……は組は今、仙蔵がいるだろう。朝まで戻らんからこの部屋で好きに過ごせ」
留三郎から放たれる鋭い気配は、文次郎の肌を刺しちくちくとした痛みを与えてくる。
怒っているのだと、わざと気配で主張してくるのは獣人の習性か。
あるいは、気づいて欲しいからか。
「ならせめて|ケ《・》|ア《・》してけよ」
「今散々やっただろ」
「そっちじゃねぇ」
刺さるような気配が穏やかになり、向けられた視線が変わっていくのが分かる。
「撫でろよ」
これは、甘えられているのだと。
獣人には理性や心を保つためにケアという物が存在する。
忍務が成功した時、命令が聞けた時、人間は獣人を褒めて甘やかしケアをしてやるのだ。
忍術学園には獣人も人間も多く存在した。そのためか入学時から部屋割りは獣人と人間で組まされ、学園にいる間はそのケアのパートナーとして互いに存在している。
「っ……俺じゃなくて、そういうのは伊作にやってもらえ」
だからこれは、文次郎の仕事ではない。
伊作にぶつけられない本能からの欲求は受け止めても、これはする義理がないのだから。
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