ブタカソセイ~豚化蘇生・豚可塑性~(Skeb作品)(FANBOX始めました)

  「ふふん、人間程度には荷が重かったようですが、この私にとってはあまりにも容易い相手でしたね!」

  魔女カティエが魔物相手に勝ち誇る。

  成人にすら届いていないように見えるあどけない少女といった風体だったが、実際、彼女はその態度の大きさに見合うだけの強大なエルフではあった。

  齢は百を超えるほど……というのは長寿なエルフとしてはまだまだ若輩の年齢ではあったが、それでも人間の学者や魔法使いに比べれば大ベテランだ。エルフという種族がもつ天性の魔力の高さや魔法の制御センスそして感知能力など、先天的な才能に恵まれた上に後天的な努力も決して怠ってはいない。

  自由を好む……というより個としての才覚を誇示したいきらいのあるカティエは特定の王室お抱えや研究機関には所属しないフリーの魔女や冒険者として活動しているが、その若々しい貪欲さは魔法使いとしての研究や冒険者としての活動とうまい具合に噛み合って、名声ある英雄……とまではいかずとも知る人ぞ知るなかなかの注目株としてのポジションを得ていた。

  「うひゃー、怖い怖い。オレの魔物どもがこうもあっさりやられるなんて、いつ以来かなぁ」

  相対する魔物は、しかしそんなカティエの力量を知ってか知らずか、へらへらと緊張感の無い様子だ。

  ゾームル、という個体名を持つらしきその魔物は、人の言葉を話すのみならず、骨格や体格も人間やエルフに近い姿をしていた。外見的にはカティエよりもさらに年若く……というより幼く見える。その容姿にしろ甲高い笑い声にしろ、未成熟ゆえに男性のようでもあり女性のようでもあり……(あるいはそもそも両性だったり無性だったりする生物という可能性もあるが)皮膚の色が人間離れした青紫色をしているゆえに辛うじて魔物とわかるが、そうでなければ人里に潜入して悪さをされても気付かないくらいだった。

  「強がっても無駄ですよ。珍しい種族のようですが、あなたが危険視されていたのは『魔物を生む魔物』という能力だけ。その配下の魔物たちも私の敵ではない以上、もはやあなたに勝ち目はありません。残念でしたね」

  洞窟に居を構え、魔物の巣くうダンジョンを構築し、そこで魔物の数を増やしてはたびたび屋外へと這い出て村や行商を襲い食糧や物資を奪い、時に人をさらう……討伐しようとしても次々と兵力が生産されてキリがなく、かといって魔物ひしめくダンジョンの奥地へ潜入し元を絶つのは難度が高すぎる……軍も冒険者も二の足を踏んで対処できずにいたこのゾームルという魔物を自分が討伐し名を上げてやろう……そういう腹積もりでカティエはここへ来た。

  実際、洞窟内に戦力として配備されている魔物たちは、数は揃えているものの質より量でしかないといった印象だった。剣や斧で一体ずつ対処していてはこちらの体力が先に尽きるだろうが、魔法による破壊は点ではなく線や面での制圧を可能とする。さすがに「洞窟入り口から大量の炎や水を流し込んで一網打尽」などという手段ができない程度の地形的防護設計はあったようだが、潜入したカティエの目の前に魔物が現れるたび、呪文の一言や腕の一振りで敵は一気に複数体同時になぎ倒されていった。生まれながらに魔力に親和性のあるエルフにとって魔術の行使は呼吸のようなもので、数十回の攻撃と防御を魔法によってこなしておきながらカティエの表情には疲労の色さえ見えない。

  「うーん、確かにあのレベルの魔物たちじゃ相手にならなかったみたいだけどさー、ちょっとオレのこと舐めすぎじゃね?」

  「舐めている? 公正な判断ですよ。このダンジョンの魔物で私に勝てるものは居ないし、魔物を生み出せるといってもあなた自身の魔力はそれほどでもない。それともその体躯でオーガや巨人ばりの腕力があるとでも?」

  辺りに散らばるゴーレムや魔人形の破片や、横たわるゴブリンや魔獣の遺体……自分が撃破したそれらの魔物の残骸を指すようにして己の力を誇示するカティエ。

  「それほどでもない、ね……そっかー、そう見えるんだー……」

  「……ケケッ、ばーか!」

  [newpage]

  「!?」

  ごう、と洞窟内に突風が吹いたような感覚……いや気流ではない。空気の流れではない。これは魔力の流れだ。魔力を知覚し操る能力に長けたエルフであるカティエだからこそ、物理的な圧力に錯覚してしまうほどの膨大な魔力。

  風はゾームルに向かって吹きつける……というよりゾームルに吸い寄せられるような流れに感じられた。大量の魔力が渦を巻いてゾームルに吸い込まれていくようだ。この魔力はどこから? 発生源は……と戸惑っていたカティエは、周囲に横たわっていた魔物たちの遺骸が魔力を放出しながら見る間に土塊へ変わっていくのを目撃した。

  「オレの魔力を貸し与えて作り上げた魔物たちだもん。そりゃ返してもらうことだってできるさ。それも、作りたて直後より育ったり熟成したりで魔力の質も量も上がってるし、『利子付きで』ってとこかな」

  「う、嘘でしょう、そんな……!」

  勝利を確信していたカティエが、自分の知識外からの手法で盤面をひっくり返されショックを受ける。

  「(い、いえ、まだです……! これ以上、魔力が高まる前に……今のうちに、素早い攻撃魔法で撃ち抜けば!)」

  認めたくないが、相手は自分よりも強大な魔力を備えつつある……しかし今ならまだ……!

  「遅いよ」

  最短の呪文詠唱と最小の動作で放てる魔法を……と攻撃の予備動作に入っていた彼女よりさらに速く、落雷のような速度でゾームルの放った魔力がカティエを貫いていた。速すぎる。魔力量だけでなく魔力制御の技術面でも自分より上……?

  相手が自分より弱いと侮った慢心と、その反動としての、相手が自分より強いと悟った時の動揺……それらによって生まれた数秒の隙が無ければ、いやそもそも優位な状況で敵に対面したからと勝ち誇らずに淡々ととどめを刺していれば、ひょっとしたらそのまま勝てていたかも知れないのに……と今更後悔しても遅い。

  直撃を受けたカティエは死を覚悟し……しかし数秒後、自分の生命がまだ継続していることに気付く。それどころか痛みもない。ひょっとしてゾームルの側も苦し紛れに不完全な魔法を撃っただけで、効果を発揮できなかったのか?

  「(とにかく、好機です! この機を逃さず、反撃を……ッ?)」

  ぐらり、と身体が傾いで、膝をついてしまうカティエ。

  「ケケケ、無理に動かない方がいいよぉ? もうマトモな筋力だってなくなってるだろうし」

  「な……何をワケのわからないことを言ってるんです!」

  攻撃魔法を……と思ったが、うまくいかない。手足の動作だけでなくそれ以前に、魔力の循環や伝達がうまくいってないような違和感がある……身体上には血の巡りと同じく魔力の巡りというものがあるのだが、それがうまく感じ取れなくなって……いや、血の巡り……血? そういえば今さっき強く膝を打ったはずなのに、痛みもない……?

  「そうだね。もう動けないとは思うけど、無理して勝手に『壊れ』られても困るしー。コネール! 捕まえちゃって!」

  ぬるっ、と手品のように人影が地面をすり抜けて生えてきた。いや「『人』影」というには異形のシルエットだ。いわゆるマリオネット……関節部が球体のパーツで繋がっている操り人形のようだが、腕が一対ではなく何本も生えている。操り糸や外部動力の類は見えないのに自ら動いている。木材や樹脂や金属といった材質で構成されているようではあるが、動作が異様に滑らかなだけでなく気付くと瞬間瞬間で形状が微妙に変化しているようにも見える。頭部のパーツがマネキンのような無表情の人物像だと思っていたら、まばたきしたり視線を外したりしてからもう一度見るとある時は道化師の笑みのマスクをして、またある時はのっぺらぼうになっている……といったように、視界内に定まった像を結ばない。実際の変化なのか幻術の類なのかはわからないけれど。

  「なっ……何をするんです! は、離して!」

  コネールと呼ばれたその自動人形魔物……オートマータは、多腕を活かしてカティエの各所を拘束しながら抱え上げる。両腕を広げさせられた彼女の姿勢は、まるで蜘蛛や昆虫を模した台座に磔にされているかのような格好だ。

  逃れようとしてもがくが、何かうまく動けず……そうこうしている内に、先ほど地面に強かに打ったはずの膝に視線が向く。

  「……ひぃっ!?」

  傷とか流血とか、そういうものはなかった。

  ただ……へこんでいた。押しつけられた地面の形を転写するかのように、まっ平らに。

  骨や肉が砕け潰れているという様子ではない。痛みもなかった。神経が潰れて感覚信号が伝達されてないとか強すぎる痛みで一時的に感覚がなくなっているというのとも違う。

  言うならば、「身体組成が肉や骨ではなく別の材質に変えられてしまっている」といった状態。この質感はまるで、焼き上げる前のパン生地か、あるいは……

  「ケケケ、粘土だよ。アンタの身体はオレの魔法で粘土に変わっちまったのさ!」

  「ね、粘土……? そんな、石化の呪いならともかく、そんな魔法、聞いたこともありません! 魔法とともに百年生きてきた私の知らない魔法なんて……!」

  「オレは作った魔物たちと魔力貸したり返したりしてもらうだけじゃなくて経験もある程度フィードバックできるからなぁ。ずっとチーム研究してるようなもんさ。アンタは百年といっても研究にしろ開発にしろどうせ一人でやってたんだろ。プライド高くて共同研究する仲間とか居なさそうだもん」

  「なッ……にを! 必要なかっただけです! 仲間なんて……足手まといですし……!」

  図星を突かれた焦りと愚弄された怒りとで大声を上げるカティエ。その仕草自体が客観的にはある意味恥ずかしい振る舞いではあったが、しかし一瞬の激情で恐怖や絶望は薄れ、心折れかけていた彼女にとってはどうにか反撃しようという意識のきっかけになる……だが、むしろゾームルはその様子を見てこそニヤニヤした笑みを深めたようだ。敢えて挑発的な物言いをしていたのか。

  ――簡単に諦められてもらっては困る。久々のおもちゃなんだから、もっと精一杯抵抗してくれないと面白くない――

  とでも言うかのように。

  [newpage]

  「(肉体の材質が変化している……というのは石化の呪いと原理は近いかも知れません。それに対する解呪の魔法なら私も覚えてます。その魔法を使えば、完全回復まではいかずとも状況を打破できるかも……!)」

  と思い至り、術を使用するための精神集中に入るカティエ。肉体の粘土化によって血管や神経が無くなっているのと同様、魔力の経路というものも曖昧になっているが、魔力そのものが消えたわけではないようだ。今までのような感覚では魔法を使えないものの、複雑な魔力操作を必要としない比較的簡単な治療術からなら、なんとか……と思ったのだが、

  ぐにっ

  「んぐぅっ!?」

  彼女の四肢を背後から拘束しているオートマータ。

  コネールと呼ばれたそいつの腕の本数はカティエを束縛しても余りあるほど多く、その空いている腕を何本も、袖口などの衣服の開口部から布地と肌の間にねじ込み、カティエの身体をまさぐり始めたのだ。

  「な、何をっ……何をするのです! やめなさっ……!?」

  とても集中などできない状態だ。二の腕や腋の下、太腿などを指先が這い回る感触……こそばゆいというより、明白に淫靡なものを感じさせるその手つきにカティエはぞくりぞくりと悪寒混じりの心地よさを感じるが……

  ぽろっ

  と、何か「物体」がこぼれ落ちる感触を覚え……

  「えっ……ひっ!?」

  その物体が何か理解したとき、カティエは短く悲鳴を上げた。

  左腕がもぎとられていた。根本から。

  流血や痛みが無いことがむしろ不気味さに拍車をかける。

  コネールが持っている彼女のその左腕は、指の形状だとかそういった特徴からして明らかに自分の腕ではあるのに、断面は筋肉や骨や血管といった内部組織を晒すこともなく均一な肌色の粘土で、その「形状は精巧な人体ではあるが質感は作り物めいたもの」という様子が「不気味の谷」と呼ばれる気持ち悪さをかき立てる。

  材質が変化したとはいえ形を保っていたためにイマイチ実感が薄かったものの、肉体の一部がこんな唐突な断絶をさせられたことで、己の身体が決定的に損なわれる様子にカティエは血の気が引くような恐怖と絶望を改めて感じる……「血の気」といってももはや血液すら無いのだが。

  「か、返してくだ……っ、ああっ!?」

  すぐに繋ぎ直せば直せるかも……治せるかも知れない、と、奪われた腕をどうにか取り戻そうとしてもがくカティエだったが、身動きもとれず魔力もマトモに練れない状態では何もできず、奪い返すどころか……

  ぽろっ、ぽろっ

  と、無痛で……むしろおぞましい快感すら伴って、残った右腕が、両の脚が、根本からもぎ取られる。

  「あっ、あああ……!」

  拷問や粛正や、上下関係をたたき込む闇社会での「教育」において、苦痛そのものよりも指や手など身体の一部を奪われる不可逆な喪失感こそが相手の心に絶望を刻みつけるのだ……という手法もあるらしいが、カティエも今まさに、体感としての苦痛は無いにも関わらず心を折られつつあった。

  [newpage]

  「返してっ……返しなさいっ! 今ならまだ許してあげますっ!」

  「うわぁ呆れた。まだそんな態度とれるんだ。……いや時々来る三下冒険者みたいに、指先とか耳とか軽くもいだだけで簡単に土下座服従されてもつまらないし、まだ反抗してくれた方がいいんだけどね、面白くて。ケケケ」

  まだ折れきっておらず敵対的な態度をとるカティエ相手に、ゾームルは逆に満足げな笑みを浮かべる。「選んで買った高価な品に、見込み通りの価値や楽しみ方があったことに喜ぶ」……そんな、通な富豪のような顔だ。

  いや、笑う理由として、そもそもカティエの様子が――いまだ心折れないのは見上げた精神性ではあるものの――滑稽というのもある。

  四肢を奪われコネールに抱えられた彼女は、手足の無い像の一種、いわゆるトルソーか何かのようだ。黙っていれば(あるいはいっそ粘土化ではなく石化していれば)美術品としての風格もあったかも知れないが、虚勢を張ってわめき散らす様子は(諦めても事態は好転しないから必要なこととはいえ)絵本か何かに出てくる戯画化された小さな芋虫が威張っている図を思わせるような可笑しさ。

  「黙りなさ……ひぃっ!?」

  いつしかコネールの複腕のいくつかが、どこからともなく取り出した短刀を握っている。今度こそ命を奪われるのかと恐怖に悲鳴を上げる暇もあればこそ、瞬く間に閃いた刃は……しかし彼女の肌には傷をつけず、衣服だけを切り裂いていた。

  「ひやぁっ……!」

  今度は恐怖とは違う声を上げる。相変わらず生命の危機に直面してはいるものの、それはそれとして、女性として裸体を晒すことへの恥ずかしさはあるものだ。

  魔物退治や危険なダンジョンでのアイテム収集といった荒事も行うアウトドアな魔女にしては綺麗な肌。冒険から傷を負わずに帰還してきた有能さの表れでもあったが、裏を返せば格下相手に勝ちを拾ってきたばかりで死地を経験していない未熟さの証でもある。

  しかし、「綺麗な肌」とはいっても今は作り物めいた不自然さがあった。血色の感じられない均一な質感……やはりもぎ取られた手足だけでなく胴体も粘土にされてしまっているのか。

  「ケケケ、これはこれは。貧相かと思ってたけど剥いてみたらなかなか興味深い体してんじゃん」

  「ふ、ふざけないで! いやらしい目で見ないでください! 汚らわしい!」

  「んん? ……ああ、なんだ。興味深いってのはあくまで創作意欲を掻き立てられる造形だなーって話だったのにさ。そういう想像してんのかよドスケベエルフがよ」

  「なっ……」

  自分の言葉を返されて赤面するカティエ。(血流が無いのに頬が染まるのは、どうも表面の色が変化する仕組みになっているらしい。元々そういう術なのかゾームルの遊び心なのかは不明だが)

  「ケケッ、そうだなぁ。じゃあさ、そんなドスケベに相応しい『カタチ』にしてやろうじゃん?」

  「何を……ひぅぅん!?」

  先ほどのおぞましくも蠱惑的な動作で、コネールの余った腕のすべてが一斉に彼女の肌に指を這わせる。肉ではなく神経も無さそうな粘土に変えられたにもかかわらず何故かカティエの肌の感覚は以前と同じくらい……いやむしろ以前にもまして鋭敏になっているかのようで、声を抑えることができないほどの悪寒がコネールの愛撫によって生み出されている。

  ……いや、それを愛撫と言っていいものかどうか。

  ぐに、ぐにぃっ

  揉む、揉みほぐす、揉みしだく……胸や尻の肉を揉むのは確かに愛撫でもある動作だろうが、より強く、より深く……指が沈み込み、めり込み、食い込んでいく。もはや体内に指を深々と刺しねじ込まれているような状態だが、粘土になった彼女の身体は皮膚が裂けるようなこともなく骨が砕けることもない。そして奇妙なことに……

  「んひぃぃい!? やめっ、やめてぇぇ!? ひゃうっ、ひ、んなっ、何これぇぇ! んんっ!」

  そんなふうに肉体を乱暴に弄くり回されていながら、痛みは皆無で、むしろ気持ち良さを……性的な快楽を伴っていた。コネールの指先が肌に粘土に穴を穿つのが気持ちいい、その穴を手のひらで押されて埋められるのが気持ちいい、体を破壊しかき混ぜるようなことをされているのに、何故かそれが、それこそが気持ち良くて仕方ない……!

  [newpage]

  「細かいところは後回しにするとして大まかな形はこう……んー、そうだな、コネール、もぅちょい縦に潰して?」

  「ぎっ!?」

  頭頂部と股間に手を添えられ上下からの力をかけられるカティエ。掴まれた股間部は、元々の女性器としての快感と粘土としての捏ねられ快感を同時に発生させていて、二重の快楽で今にも達してしまいそうだ。魔法も使っているのか、今度は手がめり込むのではなく全体への圧力を感じる。

  「お、ごっ……」

  重圧に負けて首が潰れるように肩にずぶずぶと沈み込み始めた。顎全体が下から押されて、行き場を失った肉が頬に流れる……そのせいで頬肉が膨らみ、いわゆるデブ顔のような顔つきになってしまう。

  「ぃ、ひぃっ……わ、わだしの、がお、顔、がっ……!」

  「ケケケ! エルフやら人間やらは、やたらと縦に細長いのを美しい美しいとありがたがるけど、どうよその真逆のチビデブになった気分は!」

  胴体部も縦に押しつぶされた肉が横方向に押し出されつつコネールの手で誘導されて腹や尻などに盛り付けられ、低身長でありつつぶよぶよの肥満体のような丸々とした形状になっていた。

  「も、戻せ、戻しなざいっ! ごんな、こんな醜い姿っ……」

  「わー、マジでその程度で『醜い』なんて言うんだ傲慢ー。エルフたちって本当、自分たちと違う姿を見下すのな。魔物たちの方がよっぽど容姿に対してはおおらかだぜ……そうだな、そんな傲慢なエルフ様は、教育のために……今の姿を『醜い』なんて言えなくなるほど、もっと『醜い』と思う姿にしてやらねぇとな!」

  「な、に……」

  ゾームルの言葉にこれからさらに何をされるのか得体の知れない恐怖を覚えるカティエだったが、再びコネールの無数の腕が身体をこねくり回し始めて、その快感に(どういう原理なのか、肥満体にあわせたかのようなくぐもった声色になった)嬌声を上げるしかできなくなった。

  今度のコネールは指だけでなく、いつの間にかヘラやローラーのような工具のようなものもその多腕に持って、造形を進めていく。

  「んぁうぅ! ひゃぃっ、ひぃぃ!」

  こねくり回されるだけでなく、ペタペタとローラーで表面を均されたり、ヘラやデザインナイフでカリカリと引っかかれたり、といった動作はまた別の種類の快感を生んで、カティエは悶絶し続ける……

  余り過ぎた肉を肩口や下半身に集めて、突き出た棒状のものを構成し始める。腕や脚を再び作ろうとしているようだが、もがれた手足を返そうというわけではなく、何か全く別物な形状で……長さも胴体の低身長ぶりに合わせ……いや胴体とのバランスを考えてももっと短い。幼児のように未発達な短い手足。再び立ち上れるようになったとしてもこれでは肥満体もあいまって寸胴なずんぐりむっくりとした体型になってしまうだろう。

  両胸の左右から腹部の下にかけて何か所かを摘まみ上げるように、何か大きな虫刺されのようなものを形作る。胴体の腹側、左右対称な位置に縦に列をなして並ぶように……

  何をしようとしているのか訝しむカティエの前で、ゾームルがにんまりと笑みを浮かべ……その構造物の一つを、指先で軽くピンと弾く。

  「ひぅぅっ! ……え? 何、今の感触……ひょっとして……」

  「ケケッ、そうよ。乳首だよ。今までたくさん魔物退治したり魔物解体して素材集めたりしてきた魔女様なら知ってるだろ? 動物には乳房が一対じゃない種族だってたくさん居るってこと」

  「ど、動物って……ま、まさか……!」

  「いやぁ楽しみだよねぇ。同じエルフでも体型がちょっと変わったくらいで『醜い』なんて言っちゃうエルフ様が……エルフじゃなくなったら。体型どころか種族まで変わっちゃったら、どんな風に思うのかなぁってね! ケケケケケ!」

  [newpage]

  「やめでぇぇ! やめでくださ……んひぁああ!」

  太く短い両手足、それだけでも不格好なのに、その四肢の先端をコネールはエルフや人間とは全く違う形状に象りつつあった。

  エルフの指はこんな本数じゃない。エルフの指はこんな太くない。エルフの手足はこんな……こんな、動物のヒヅメのような固そうな塊じゃない!

  「ケケッ、いい悲鳴。いい絶望だなぁ。やっぱり種族まで変えられるのは精神に効くかぁ……んー、でも、もうちょっと、ひと押し足してぇな……体格を変え、種族を変え、あと何か……あっ、そうだ」

  何かを念じるような仕草を見せるゾームル。コネールにまた新たな指令を飛ばしたのだろうか。ゾームルは脇に置いておいたカティエの腕を一本手に掴むと軽く手首のあたりでちぎって……

  ぞぶぅ

  「んごっほぉぉおお!?」

  カティエの女陰、そこに彼女自身の切り離された手を深々と突き入れたのだ。

  粘土化した彼女の穴は柔軟性があり、もはや裂けるようなこともなく突然のフィストファックも咥え込んでいる。

  破壊の心配は無いものの、快感に対して鋭敏になっている彼女は汚い喘ぎ声を上げてしまった。

  さらにゾームルがその上から再び深々と揉み、捏ね回す。女性として粘土として二重の激しすぎる快楽で呼吸もできないほどだ。(粘土化した肉体に呼吸が必要なのかはわからないけれど)

  深々と掻き回すコネール。表面だけでなく内臓のあった部分まで混ぜ合わせるように。

  ……やがて、女性器があった部分は均質な粘土として跡形もなく穴が塞がってしまっていた。手首という「材料」が足されたことでその部分の粘土は量が多く、股間部からやや盛り上がっている。

  その部分にコネールが改めて何かを造形し始めた。強すぎる快楽で息も絶え絶えだったカティエは、再びの快感に震えるが……今までの快感とは別種の、未知の感覚が混じっていることに気付き、喘ぐ中でもわずかに怪訝な表情をする。

  いったい何を作ろうとしているのか? 何か……棒状の……体内から外に伸びる筒、いや管……? その根元には何か重い塊状の構造物が二つ。ぶら下がるような球状の……

  「……え。……まさか、嘘、でしょう……?」

  コネールの捏ね回し快楽責めで視線を宙に泳がせていたカティエだが、「何か」に思い至り……「思い違いであってください予想がはずれていてください」と祈りながら、悪寒に震えながら視線を自らの股間に向けて……見てしまった。

  竿。玉。

  男性器である。

  それもエルフや人間の男性器ではない。やたら細長くて捻じ曲がったペニスが、己の股間から伸びていることを視認して、カティエは卒倒しそうになり……しかし捏ね回される刺激で意識を引き戻される。もうこんな屈辱と絶望を与えられ続けるなら気を失った方が幸せだとすら思えるのに。

  「ケケッ、どうだ? 体格を変えられ、種族を変えられ……性別まで変えられる気分ってのはよ?」

  「こっ……ころし……んぎぃぃ!」

  カティエの言おうとした言葉ははたして「殺してやる」だったのかそれとも「殺してください」だったのか、答えはわからないまま再び嬌声に埋もれていく。

  「まぁ魔女として勉強とか実験とかしてるならもうわかるよねぇ? こんな形の手足持ってたり、こんな形のチンポ持ってたりして……そして『醜い』と言われる種族。ひょっとしてアンタ自身も使い魔として飼ってたこともあるかもね」

  「い、ひ、ぃやあ……やめて、やめてください……お願いです……なりたく、ない、そんな……」

  快感に翻弄される中でも、必死で悲鳴じみた懇願の声が絞り出される。

  「……ぶ、豚になんて! それもオス豚になんて! なりたくない、なりたくないですぅうう!」

  「ケケッ、駄目駄目ぇ。アンタが表の戦闘要員をぶちのめしちゃったんだもん。まぁ裏にある苗床は無事だからよかった。メスは足りてるしね。その繁殖力抜群の豚チンポからザーメンたくさん出しまくって、殺した分は殖やしてもらわないとさぁ」

  さらりと言われたが、今までさらわれたり討伐に行って帰ってこなかったりした人々の末路が暗に示され愕然とする。

  [newpage]

  「さて……それじゃそろそろ仕上げっと」

  「やめ……フガッ!?」

  コネールがとうとう、カティエの頭部に手を加え始める。

  顎を掴まれて、耳をつままれて、鼻を押し上げられて……

  人物の特徴の中心、容姿の最重要点である顔が、歪み、変えられていく。

  それなのに……それなのにとても気持ち良い。

  性器を変化させられた時の快楽にも凄まじいものがあったが、頭部も重要な感覚器が集中する場所である。

  元々が敏感な器官な上に、さらに粘土化で快楽に対する感度を向上させられていて……おぞましいのに、嫌なのに、恍惚となるような気持ち良さが溢れて止まらない。

  耳が引っ張られつつ大きく広げられていくのも、舌が指先で撫でられながら太く長くなっていくのも、鼻孔を正面に大きく晒しながら鼻周りが大きく前方に引きずりだされつつ形を整えられていくのも、とても……とても、気持ち良くて……

  しかも、

  ずぶ、ずぶずぶ

  「フギィィィ!? ゴッ、あがっ、ぐウィィィー!?」

  コネールが一対の手でカティエの頭部を揉み解している。

  (この時代のこの国にはまだ存在しない概念だが)頭皮マッサージやヘッドスパのような動作だが、その指先は彼女の頭の中に浅く沈み込んでいた。

  頭脳も、粘土化されているのだ。

  柔軟になったことで直に触れられても破壊されることはないが……コネールの指先から、魔力や微電流が、信号として注ぎ込まれている。

  もはや「身体を刺激されたその結果として快楽が生じその感覚が神経を伝って脳に伝わって知覚される」という処理過程を経る必要すらない。

  直接「快楽という情報」を流し込まれているのだ。

  皮膚も性器も感覚器も情報分解能……いわゆる「感度」に物理的な限界があるが、脳に情報を直接送り込むのであれば、そんな感覚器の機能限界に制限されることなく、最強の、最高の、最悪の快楽をも……!

  「ケケッ、最後の最後はオレの手で仕上げをしてやろう」

  ビクンビクンともはや鳴き声とうわごとを上げながら痙攣するだけになったカティエに、何か液体の満たされた小壺と、幅広の筆……いや、ハケを持って近付くゾームル。

  「ニスとかうわぐすりとかいうモノ知ってるかなぁ? 木工品や焼き物に艶を出すために塗るヤツ。コレ使うと動物の粘膜部にいい感じに湿った『照り』が出るんだよねぇ……チンポとか、豚の鼻先にさ」

  ぬるり、と、ハケを使ってカティエの陰茎に、そして鼻先その液体を塗り付ける……

  「ブヒィィ!? プギュイイィ!?」

  均一だった質感の粘土に光沢が乗って、豚鼻は分泌液に濡れた粘膜のように、陰茎は勃起し充血しているように生物的な見た目に近くなる……いや、「見た目」だけではない。そこに確かに血が通い始めている。しかも、ペニスや鼻先だけではなく、じわじわと広がるように、肌色が桃色に変わって、獣毛が生え茂って、生々しい体臭が漂い始めて……粘土化の術が解けつつある……血肉を備えた生体活動が再起動されつつあるというのか……だがそれは、カティエにとっては救いどころか、このカタチこの姿が、一生涯のあいだ固着されてしまうことを意味して……

  「ピギッ、ヒ……ブヒュィィィーーーーッ!!」

  どぴゅっ、どぴゅるるるる、どぷっ、ごぷっ……

  ……「生体活動」の証として、彼女は――いやもう「彼」と言うべきなのだろうか――カティエは、獣臭い豚の精液を、その股間の豚の男性器から、盛大に噴出させたのだった……

  [newpage]

  「ブヒィ! ボクはゾームル様に服従を誓った雑魚チビブタのカティエでブ! 繁殖用としてまだ若輩なボクは自分の豚チンポを使った直接交尾は許されませブが、どうぞ精液タンクとしてお使いくださブヒィ! 浅ましいタマから豚ザーメンを搾り取って魔物の繁殖などにご利用くださブヒィーッ! (いやぁ! いったい私は何を言ってるんです!? やめて! 私の口を勝手に動かさないでぇ!)」

  肉体だけでなく頭脳をも書き換えられたカティエは、もう自意識すら自由にならない。

  反抗しようとしても口や身体は勝手に動いてゾームルの命令に忠実に……いや命令以上にブザマに動いてしまう。

  そしてブザマなのに、そのブザマな言動が快楽を生じるような脳にされてしまっている……

  そんなカティエの奥底、真の自我や魂は屈辱と嫌悪に震えているのをハッキリ知覚しながら、ゾームルは悪戯っ子な(というには邪悪すぎる)笑みを浮かべ、また次の侵入者でどうやって遊ぼうか思いを巡らせるのであった……

  おわり