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時はもう十二月、日本もクリスマスシーズンの真っ只中であった。
「ねー冬菜、クリスマスの予定もう決めた?」
「私さ……春樹くんに告ろうと思うんだよね」
「えーとうとう? あたし応援するよ! 頑張ってね冬菜!」
とある高校の教室。そこでは二人の女子が話をしていた。
[b:[[rb:三 > み]][[rb:田 > た]][[rb:聖 > きよ]][[rb:美 > み]]]と[b:[[rb:甲 > か]][[rb:斐 > い]][[rb:冬 > ふゆ]][[rb:菜 > な]]]の二人はごく普通に暮らしていた女子高生だ。そして彼女たちは中学からの親友同士である。
冬菜には恋心を抱いている、[b:[[rb:最 > も]][[rb:上 > がみ]][[rb:春 > はる]][[rb:樹 > き]]]という名前のクラスメイトがいた。彼女は春樹とは仲は良かったものの、好きという感情までは彼に打ち明けることができず、ずっと心にしまい込んでいたままだった。
聖美もそんな彼女の気持ちは理解しており、冬菜の恋を応援しようと陰ながらアドバイスを続けていた。
そんな冬菜がとうとう勇気を出して彼に告白しようとしている。聖美はそれがたまらなく嬉しかった。
そして、十二月二十四日の日曜日に、繁華街に展示されている大型イルミネーションの前で、春樹に告白する事を決めた冬菜。最高のシチュエーションでの、一世一代の人生の選択。冬菜は本気でそう思っていた。当然親友である聖美もそれは同じだった。
「よしっ、あたしも見守ってあげる! もし成功したら夜二人でお祝いのクリスマスパーティーしよ! 25日は春樹君との、24日はあたしたちのパーティーだね!」
「聖美……ありがとうね。私頑張るから」
二人はがっちりと手を組み合う。冬菜と春樹のこれからの未来を成功させるため、そして、二人の友情のパーティーを成功させるために。
◆
そして日はあっという間に流れ、とうとう二十三日の夜となっていた――
「って感じで行こうと思ってるんだけど……」
「じゃあそうしましょう。それじゃ冬菜、健闘を祈ってるから」
「うっ……うん。じゃ、また明後日ね」
冬菜との通話を終えた聖美は、夕飯を食べに一階へと降りる。当事者でもないのに、聖美の胸はドキドキと高鳴っていた。冬菜は春樹はきっとうまくいく。学校でも仲は悪くないし、きっと大丈夫。心の中でそう自分に言い聞かせていた。
そんな聖美の前に話しかけてきた者がいた。
「お姉ちゃん、サンタさんにプレゼント頼んだ?」
彼女の弟である[b:[[rb:清 > せい]][[rb:一 > いち]]]であった。
清一は聖美の心配事など関係ないとばかりに無邪気にサンタの話をしている。
そんな弟をあしらうかのように聖美は言った。
「清一ったら、サンタさんは子供にしかプレゼントはあげないの。高校生のあたしはもうオトナ。サンタさんなんて来ないわよ」
「そうなんだ。でね、お姉ちゃん、明日のパーティーがね……」
そういえばそうだった。と弟の言葉ではっとなった。
彼女の家では毎年家族でクリスマスパーティーをやっているのだ。しかし明日は冬菜の様子を見届けるという用事があり、さらに明後日には冬菜とのクリスマスパーティーの約束までしてしまっている。
親には友達とパーティーをすると言えば許可は貰えるだろう。それならば、今年くらいなら大丈夫か。弟には我慢してもらおう。聖美はそう思った。
「ごめん清一、あたし明日友達とパーティーやるんだ。だから今日はちょっと帰れないかも」
「えー! 僕やだよ! 断れないの?」
しかし幼い子供である清一にそんな彼女の事情など知ったことではない。彼にとっては家族とのクリスマスを過ごせない事が何よりも悲しい事だったのだ。
「ごめんね、この埋め合わせはちゃんとするから」
「やだやだ! お姉ちゃんと一緒にパーティーするんだ!」
聖美は説得を試みるも清一は涙を浮かべ頑なに言うことを聞こうとはしない。それだけ聖美のことが好きなのだろうが、彼女にとってはそれがただのわがままに見えてしまう。
そんな彼女が取った行動が、取り返しのつかない状況を招く事など、この時、聖美も清一も知る由はなかった。
「いい加減にしなさい! 悪い子にはサンタさん来ないよ!」
「お姉ちゃんが勝手に約束しちゃうからでしょ! 僕知らなかったもん! 僕みんなでパーティーやりたいんだ!」
怒り出した聖美に刺激されたのか清一も声を荒げはじめる。聖美は明日のことで頭がいっぱいだったのもあってかつい声を荒げて怒鳴ってしまっていた。
「ああもう! そんなに誰かとパーティーしたいならサンタさんにでも頼めばいいじゃない! 来年ならいくらでもしてあげるから今年は我慢してよ!」
「っ!」
「あ……」
普段温厚な聖美が怒ったからなのか、清一はびくりと反応して黙ってしまう。うつむく清一の目には涙が浮かんでおり、そこで聖美はさすがにやりすぎたと心の中で反省した。
「ご、ごめんね急に怒ったりして……。でも、お姉ちゃんにも大事な用事があるの。本当にごめんね、清一」
そんな弟から逃げるように聖美はひとりリビングへと走っていった。
「……」
「清一……」
その後の夕飯やテレビの時間も清一は暗い顔で俯いたままだった。
聖美は清一の機嫌が治らない事に後味が悪くなり、それでも明日のための準備をはじめなきゃと自分に言い聞かせながら自室に向かう。そんな聖美に母親が話しかけてきた。
「聖美、清一がなんか落ち込んでたみたいだけど、あんた達喧嘩でもした?」
「お母さん……」
「清一に聞いたら、お姉ちゃんがとかパーティーがどうとか言ってたけど……」
「ごめん、明日あたし友達とクリスマスパーティーする予定立てちゃって。だから家でパーティーには出られないんだ。それを清一に言ったら喧嘩になっちゃって」
「聖美ももうそんな歳なのね。私達は構わないけど、その様子だと清一結構食い下がったんじゃないかしら」
「うん……それでつい怒鳴っちゃって……。明日清一に謝らなきゃって思って」
「うーん、清一には私からも言っておくわ。でも、怒鳴ったことはちゃんと謝らないと駄目よ」
「わかってる……。おやすみなさい、お母さん」
「おやすみ、聖美」
母はそれだけ言うと寝室へ向かっていった。明日の事もあるし、自分ももう寝ようと聖美は部屋へ向かう。
「着替えとかは明日にしよう……。なんか疲れちゃった……」
聖美はベッドに向かうとそのままどっと倒れるように眠りについた。きっと明日は楽しみで眠れないんじゃないか、昨日まではそう思っていたが、その考えと反してあっさりと彼女は眠りに落ちていた。
窓にはちらちらと白い雪が映りだしいた。
[newpage]
――――……。
――聖美が眠ってからいくつ時間が経っただろう。
ベッドの上ですやすやと眠っている聖美に、異変が起きる。
ビクン! と突然身体が跳ねる。その瞬間、小刻みに震えると、なんと聖美の身体は全体的に大きくなりはじめていた!
小柄だった身体はムクムクと膨れあがっていき、身長は二メートル近くと女性にあるまじき大きさにまで成長していた。
変化はそれだけでは収まらなかった。身体のあちこちにムッチリとした肉がつきはじめたのだ。
腕は盛り上がり手はふっくらとした大きなものに、脚は太くなるのに反比例して長さを短くしていく。スリムだった腰や腹回りには脂肪がブクブクと増えはじめ変化が終わる頃には弾力のある太鼓腹がブルリと震えていた。
「うっ、ううう……」
奇妙な感覚に無意識の中で声を上げる聖美。しかしその声も喉に膨らみができはじめる頃には低くしわがれたものへと変化していった。
上に沿って顔にも変化は訪れる。顎に肉がついてふくよかなものになる。さらに女性にも関わらず真っ白でふわふわとした毛が聖美の口元を覆いはじめていた。逆にサラサラの黒髪はパラパラと抜け始めつるりとした禿頭になってしまう。
その白い毛は顔だけでなく体にまで余すことなく生えはじめ、いつしか白い毛で覆われた肥満体へと聖美の身体は変化していた。
パンティの中では愛液を垂れ流していた秘所から女性とは異なる物が誕生しようとしていた。陰核が血管を張り巡らせながら膨張していき、陰茎のような形へと立派に成長を遂げた。いや、これはまさしく陰茎そのものだった。
「んんんんんんぅぅ!」
こうして聖美の変化は終わった。ただの老人のような姿になった聖美野太い声を上げるとそのままいびきをかいて深い眠りに落ちていた……。
「うーん……」
そして、その変化は聖美だけではなかった……。
同じく、明日に想いを馳せ眠っていた甲斐冬菜の身体にも、同じ変化が起きていたのだった……。
こちらは、聖美よりさらに大きく頑強な肉体に変わりつつあった。脂肪が体じゅうを覆った聖美とは対照的にゴリゴリとした筋肉が冬菜の体に付いていく。
コンプレックスであった胸の豊満な膨らみは、そのたわわな脂肪を保ったまま大胸筋へと変貌していく。“そのケ”の人間が見れば惚れ惚れしてしまうような胸へと冬菜は一瞬で変化した。
その筋肉はボコボコと移動して、腕、腹、脚とその支配を侵食させていく。なだらかな腹部はいくつもの腹筋の山に彩られていった。
「ん……んああっ!」
喘ぎ声のような声をあげる冬菜だったが、その声はすでに雄々しい男の声になっていた。そんな冬菜の全身に栗色の毛が生えていく。腹部や手先など一部の毛はクリーム色で、まるでその色合いはモンブラン、もしくは『ブッシュ・ド・ノエル』のようだった。
「あっ、あああっ。オオオオォ!」
顔にまで毛が覆われた頃、冬菜の顔面が無慈悲に変わりはじめる。口周りは前に突き出し獣のものへと変化していく。告白のためにセットした髪や整えていた眉は全て抜け落ちその上にもふさふさとした毛が被さった。
耳は上へ移動し、二つのかわいらしい耳がぴょこんと生える。
頭上には体毛と同時に琥珀色の突起がちょんと生えていたのだが、その突起はぐんぐんと大きく伸びはじめ――いつしか立派な角へと変化していた。
激しすぎる肉体の変化に耐えきれずベッドは崩壊。冬菜は床に投げ出されるも彼女はそれに気がつく素振りすら見せず、ただ大いびきをかきながら眠りこけていた。
こうして二人が壮絶な変身を遂げた夜も終わりを告げ、時は十二月二十四日――クリスマス・イヴの朝となっていた。
[newpage]
◆
「はっ!」
あたしは体を冷やす寒さで目が覚めた。外はもう雪がしんしんと積もりはじめている。いわゆるホワイト・クリスマスだ。
二階に降りると両親も清一もいない。二人はおそらくパーティーの買い出し。清一は……友達と遊びに行ったのかな? まだ仲直りしてないのにな……。
ふと時計を見ると朝の8時。まだ余裕はあるけれど先に行った方がいいのかな?
とりあえずあたしは家にあったパンとコーヒーで朝食を済ませ、部屋に置いていた赤い服を着てブーツを履き家を出る。
冬菜はいつ春樹君と会うつもりなんだろう? たしか冬菜は10時くらいって言ってたけど、春樹君がいつ来るかがわからない。
とりあえずみんなで遊ぶという体であたしと冬菜が合流、春樹君と三人で時間を潰して、丁度いい時間になったらあたしは先に帰る。そのあと、夜に繁華街のイルミネーションの前で冬菜が春樹君に告白……という算段だ。
あたしはそのために春樹君に冬菜のいいところをいっぱい教えてあげなくちゃ。春樹君が冬菜を一緒にいて良い子だと思ってもらえれば、多分大丈夫。
「この辺かな……。って、あっ!」
待ち合わせ場所にはすでに春樹君がいた。でも冬菜はまだ来ていない。しまったなあ、と私は思った。できればしれっと二人で集合して春樹君を待ちたかったんだけど。
仕方ない。あたしが先に春樹君と合流して、冬菜のいいところをたくさん教え――ってあっ、冬菜だ!
春樹君を見て少し動揺しちゃったみたいだけど、すぐに覚悟を決めて春樹君のところへ向かっている。よし! あたしもすぐに二人と合流して……
「ごめん春樹君! 待った?」
「あ……」
あれ?
なんだか春樹君の様子がおかしい。立ち止まって、少し震えているみたいだ。なんか怖がってる……みたいな?
「?
どうしたの。春樹君?」
「…………よ」
「よ?」
その時、あたしは見た。
春樹君が冬菜の差し出した手を跳ね除けたのを。
そしてまるで怪物でも見たかのように顔をこわばらせながら叫んでいた。
「寄るな! このバケモノ!」
「っ!?」
「うわあああああっ! 殺される!」
「春樹……君……?」
春樹君はそう怒鳴るなり一目散に逃げていく……。
それにしても、バケモノってなによ……何でそんなこと言うわけ? 春樹君ってそんなひどいことを言う人だったの?
「酷い……なんで、私……」
冬菜はその場に崩れ落ち泣きじゃくりだす。そりゃそうだ。大好きな人にあんなことを言われたんだから。あたしは彼女を慰めようとすぐに泣いている冬菜に駆け寄る。
「冬菜!」
「あ……」
「大丈夫? それにしても春樹ったら酷いよ……冬菜にあんなこと言うなんて……」
「……聖美……?」
「振るにしてもバケモノなんて言い方しなくてもいいのに……少し角が生えてて、毛むくじゃらで、筋肉マッチョなだけ……なのに……」
「あんた、聖美なの……?」
「冬菜、なんでそんな体になってんの!?」
そこまで話をして、冬菜の姿を至近距離で確認して、あたしはようやく気がついた。何故か、そこで泣いているトナカイの姿をした人間を冬菜だと認識していたことに。
そして、あたしの姿が赤い服を着た老人になっていることにも。
「冬菜、トナカイみたいになってる……だから春樹君は逃げ出したんだ……!
いや待って!? なんであたしこの冬菜をいつもの冬菜だと思ってたわけ!?」
「私も分からない……。さっきまで私は普通の女の子だと思ってて……サンタの姿をした聖美に会うまではこんな体になってるなんてわからなかったのよ……!」
「えっ、サンタ?」
あたしはふと自分の体を確認する。ふわふわとした赤い服を纏った太っちょの老人。確かに本によく描かれているサンタクロースそのものに見える。サンタクロースとトナカイ。まるで自分達だけが絵本の中の登場人物になってしまったかのような錯覚に陥った。
「おっ、なんだアレ」
「クリスマスのバイトか何かか?」
「いや、このクオリティだと最早コスプレか本物じゃね?」
いつのまにか見知らぬ人が集まって、自分達を不思議な目で見始めていた。
「と、とにかく一旦どこかへ避難しよう!」
こんな姿でいるうえ二人で抱き合っているのが何か恥ずかしくなり、あたし達はそそくさとその場を逃げるように離れた……。
◆
しばらく我武者羅に走ったあと、サンタとトナカイの姿のままの二人は公園の公衆トイレへと逃げるように篭っていた。
「この時間、あまり人来ないからしばらくは大丈夫……だと思う」
「どうしよう……。もし元に戻れなかったら……」
「そもそもあたし達、どうしてサンタとトナカイなんかに……。いくらクリスマスだからって、こんな姿にしなくてもいいのに……」
「しかもこれ、男の体だよね……。なんかお股に変な感覚がするし……」
そう言われて聖美はズボンの中に手を入れて中のもの確認する。ちゃんと真ん中にイチモツらしきものが確認できた。聖美はその“事実”に気を失いそうになる。
その真下にある柔らかな袋を触ると、ピリッと奇妙な感覚が聖美を襲った。どうやら種を作る袋もちゃんと股間にあるらしい。
「うっ確かに……」
「しかも私何も着てない……。何で出かける時気がつかなかったんだろ……」
「あたしもこれがいつもの服だと思って自然に着替えてた気がする……起きた時間違いなくパジャマ着てたし……」
ふと鏡で自分達の姿をあらためて確認してみる。聖美は絵に描いたようなサンタクロースの老人に、冬菜は首に鈴つきのチョーカーのみを身につけた筋骨隆々のトナカイ男になっていた。
服を着ている自分はともかく、ほぼ何も身につけず立派な筋肉を晒している冬菜を見ているとこっ恥ずかしいというか、奇妙な感情が聖美の頭の中で駆け巡った。
「とりあえず冬菜は何か服を……冬菜?」
ふと冬菜を見ると膝立ちの状態で俯いている。しかしその様子はどこかおかしいものがあった。ハァハァと息を荒げ小刻みに震えていて、蹄の生えた両手は立派にそびえ立つ胸板を撫でている。
「冬菜? なんか様子おかしいけど……」
「き、聖美……。私……なんかムラムラする」
「ええっ!?」
「お、お股がヘンなの……なにかが出ちゃいそうなの……」
そう言った冬菜は、なにも生えていない股間からピュルピュルと透明な汁を垂れ流し始める。呼吸はさらに激しくなり、ブモォと発情した獣のような奇妙な鳴き声をトイレに響かせる。
「どうしたの冬菜! しっかりして!」
「や、ヤメテ……触ら、ナイデ……。デ、出チャウ……ブオォ!?」
冬菜の股間から、粘液を纏って真っ赤で太々しい肉棒が勢いよく飛び出した。それはまさしく冬菜の陰茎だった。陰茎が跳ねた瞬間、粘液が飛び散って二人の顔にかかる。
「ひっ……これ、おちんちん?」
「やっ、なにこれっ、あ、あっ、あんっ。おおっ、オッ、オオオッ!?」
冬菜は陰茎が空気にさらされる快感に喘いでいたが、いつしかその声が雄叫びへと変わっていく。そのまま震えながら膝立ちのまま聖美の眼前へと向かってくる。
「ちょっ、え? 何!? やめて!」
「た、助けて……体が勝手に動いてるの……! 私にも、止められないの!」
「やっ……いやっ、いやああああっ!!」
聖美の服をひっ掴んだ冬菜は、本人の意思とは関係なく強引に真っ赤なズボンを引っぺがす。するとぷるんと皮の被った白色のサンタ・ペニスが飛び出した。
「ひっ!?」
「あっ、ああっ!!」
冬菜は、反り立ったペニスを聖美の尻に近づける。その窪みにペニスが[[emphasismark:ちょん > ﹅]]と触れた時、冬菜の頭の中でとてつもない快感が駆け巡った。
「あっ!? やめて冬菜! そんなところに、そんなモノ……!」
「私じゃない……! 私、したくない……こんなこと、あっ!」
とうとう聖美のひくつくアヌスに冬菜のペニスが到達する。普通はそんなものを入れる器官ではないのだが、聖美のアヌスにその大きなモノはすんなりと入っていった。まるでいつも[[emphasismark:そういうこと > ﹅]]をしているかのように……
「はああああっ!
な、なにこれ! いやあっ! お尻の穴に入ってる! 冬菜のおちんちん!!
やめて! 今すぐ抜いてよ!!」
「はあっ、はあっ! 違うの、私の意志じゃないのっ、ごめんね聖美っ、私じゃ、私じゃブオオオオオオォッ!!」
口では違う違うと言いつつガツガツと腰を振る冬菜。その度にグッポ、グッポといやらしい音をたてる聖美の直腸。それと同時に聖美の頭の中にはとてつもない快感がドクンドクンと何度も走る。
聖美のペニスはその快感により勃起し、びきびきと血管を張り巡らせていた。鈴口から透明な粘液をどくどくと垂れ流しながら、聖美も同じく無意識に体を前後させる。
それをやれば気持ちいい。それをやっていればもっと気持ちよくなれる。そう思ったら止められなかった。
「聖美っ、ごめんね聖美ぃっ! 頭ではわかってるのっ、でも止められないのォッ!
ダッテコンナニキモチイインダモン……!」
「ああ、きっ、気持ちいいっ! 気持ちよいぞ『ヴィンテル』ッ! もっと、もっと儂の中を突いてくれ!」
アナルを刺激され続けている聖美の口調がいつしか変わり始める。いつもの聖美の口調ではなくその姿に見合うような、老人然とした口調になっていて、自らを犯す冬菜のことも[b:ヴィンテル]という名のトナカイだと思っているようだった。
「きっ、聖美っ、何その、ヴィンテルって名前っ、んあああっ!」
「知らないわよ! それよりもこれ……早くっ!
じゃないと、あたし、おかしく……何じゃ? 儂の頭の中に[[rb:女 > おな]][[rb:子 > ご]]の魂が棲み着いておる……これが儂の邪魔をしておるのか?」
一瞬元の口調に戻った聖美だったが、再び老人の口調へと変わってしまう。いや、口調だけでなく人格ですらその姿に相応しいものに引っ張られているのだろうか。まるで別人のような語り口で独り言を呟いている聖美。
そんな聖美にただただ困惑するも沸き立つ快感の中腰を振ることしかできない冬菜。もし冬菜が奇跡的に理性を振り絞り性行為を止めることができたならば、このような事は起こらなかったのだろうか?
「そのまま突いておれヴィンテル。お前も“溜まって”おろう。とりあえずこの体は儂のものなのだから、この魂も使わせて――
いやっ、やめて! これはあたしの体……あたしの体返し――
『ミタキヨミ』『ジョシコウセイ』……。なんじゃこれは? こんなもの、儂には不要じゃのう……――
やめて! あたしの記憶取らないで! 何これ? これ、あたしの体なのに……やめてよ、あたしまだ清一と仲直りしてないのに!」
その後も聖美は一人で会話を続けていた。それによるとどうやらサンタクロースの姿に見合った魂が聖美の体に生まれていて、その魂が聖美本人の魂を追い出そうとしているらしい。
聖美は自分の魂がどうして追い出されなくてはならないのかは分からなかったが、本能的に「射精したら自分が自分で無くなる」と確信していた。だからおそらく魂を追い出す方法も射精と関係している。聖美はそう考えていた。だからこそ射精することだけは避けたかった。
「まあ、一度射精してしまえばすっきりするだろうて。ヴィンテル、そろそろ頼むぞ――
いやいやいや! お願いやめて冬菜! あたし、射精したくない! ねぇ、『あたし』を捨てないで冬菜ぁぁ!」
「フーッ、フーッ……」
しかし冬菜は快感のなすがまま腰を振るだけ。聖美の声には反応しているようだったが止められないらしく息を吐き涎を垂らすだけだった。
「ン゛オ゛ッ」
いつしか、地響きのような低い声がトイレに響く。その瞬間、聖美は温かくてドロっとしたものが自分の腸の中に侵入していくのを感じた。
「冬菜……ウソでしょ……! ウソだよね……?!」
「ハァ……ハアァ……気持ちよかった……ごめん、聖、美……。
……あぁ……次は……あなたも気持ちよくさせてあげる、からな……。マスター」
収まり切らなかったのか、聖美のアナルからはドロドロとした精液が溢れ出る。それは黄ばんでいて強烈な臭いを発している。まるで何年も出さずに溜め込んでいたかのように濃厚だった。
とうとう冬菜の口調もその姿に引っ張られて変わってしまっていた。その口ぶりから精神もサンタクロースの部下の、トナカイそのものになってしまったようだ。
「冬菜、やだっ、そんな――ヴィンテルは先に不要な魂を捨てたようじゃな。そろそろ儂もこの頭の異物を捨てたい。よい子に贈り物を届けるためじゃ、なるべく早く頼むぞ」
「了解した、マスター」
冬菜は先程出したのにも関わらず、再び腰を振り始める。しかも今回は快感を貪るための本能的なものではない。理性に基づいて快感を得るための明確な性行為を行っていた。
冬菜――もといトナカイのヴィンテルはサンタクロースの最も善がることのできる“突きかた“を熟知している。いつもやっているように、アナルの奥のスポットを突くように、狙いすまして腰を振る!
「やめてぇっ! 冬菜ぁっ!
ねえ、やだぁっ! あたし……サンタになりたくない!
お願いだから誰か助けて!! お母さん、お父さんっ!
清一っ……ふおおおぉおおぉっ!?」
とうとう聖美は絶頂に達し、二、三倍にまで膨れ上がったペニスから大量の精子を吐き出した。家族や友達を思っていた頭の中は雪のように真っ白な快感にかき消され、ドロドロに溶けていった……。
◆
「ふぅ……。ようやく頭もすっきりしたわい。それにしても久々にこういうことをやったぞ。立場上性行為は控えておるが、たまにやると……なんじゃ、たまらんわい」
「お気に召されたようで何よりだ。じゃあ、オレたちは夜に備えて子供がどんな物を欲しがっているのか、今日中に見ておかなきゃな」
「そうじゃな。まあその前に汚してしまったこのトイレを掃除しなくてはならんがな。サンタクロースともあろう者がトイレをザーメンだらけにしたままにするなど許されないからな」
「了解した」
サンタクロースとヴィンテルは、かつて聖美と冬菜だった残滓を跡形もなく片付けると、トイレを後にする。
入り口の前には大きな橇が置いてあった。それは間違いなくかつての二人が乗っていた橇であった。
サンタクロースが橇に乗り込み、ヴィンテルは橇に積んであったハーネスを装備し橇を引くと、橇は光を纏いながら冬の空へ舞い上がり、いつしかその影は見えなくなった……
[newpage]
◆
十二月二十四日の真夜中。
子供たちがみな寝静まる頃、サンタクロースはプレゼントを配るため日本全国を回る。
サンタクロースは人々の概念により生まれた存在である。人々がサンタクロースの存在を信じていればいるほど、その存在は人知れず顕現しその使命を果たす。
かつて普通の少女だった二人の人間は、その概念となりこれから毎年日本のクリスマスに子供をプレゼントを届けるだけの存在と化したのだ。
そして三田聖美と甲斐冬菜の存在はもう人々の記憶からは存在しないことになっていた。概念に置き換わった元の存在が残っている場合、世界に異常な不具合が発生する恐れがある以上、それは避けられないことなのだ。二人としては望まれない変化となってしまったが。
「次はこの家か……」
「十歳の少年、三田清一だな。彼のプレゼントは、っと……」
サンタクロースは壁をすり抜け三田清一の部屋に入る。ふと近くを見ると清一が寝息をたてて眠っていた。どうやら泣いていたらしく瞼を赤く腫らしている。
「何があったのかはわからぬが、このプレゼントで笑顔になってくれるとよいのう……」
サンタクロースはプレゼントの箱を三田清一の枕元に置くと、外へ出る――はずだった。しかし、ふいにサンタクロースの足が止まる。
何故なら、サンタクロースの視界に一冊のノートがあったからだ。普通は人間に関わるものには一切干渉してはならぬのだが、サンタクロースは自然とそれを手に取っていた。
「これは……」
それは、三田清一の日記だった。
そこには、こう書いてあった。
12月23日 金ようび
ぼくはお姉ちゃんが大好きです。
だからお姉ちゃんとクリスマスパーティーをしたかったですが、お姉ちゃんは友だちとパーティーをやるからとパーティーをしませんでした。
どうしてもお姉ちゃんとパーティーをしたいとゆったら、お姉ちゃんに、そんなにしたいならサンタさんにおねがいすればいいじゃないと、おこられました。
もしお姉ちゃんがサンタさんなら、みんなでパーティーできるのにな。
その日記を見た途端、サンタクロースの目からは一筋涙がこぼれた。理由は分からなかったが、子供の健気さに心打たれたのだろうとサンタクロースは思った。
何故自分がそう思ったのかは分からない。でもそれはなぜか悪くないものだと思えた。しかし、サンタクロースは子供みんなにプレゼントを届ける存在。この家に長居する意味はない。そう思い、日記を元の場所に戻して家を後にした。
「そろそろだなマスター、いいクリスマスになるといいよな。みんなが笑顔になれるような……そんなクリスマスに」
「ああ、そうじゃな……」
――メリー・クリスマス!
クリスマスイヴの夜空にふたつの声が静かに響いていた……。
END
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