日が沈むのがおそくなったなーって思う。うっそうと木がしげってる森のそばをちろちろと流れる小さな川ぞいの道を歩いていると、ほんのりと夏のにおいが混じっていた。川にはすこし汚れたような赤色の小さなカニがぷかぷか泡をはいていた。
甚平なんて、こんなときじゃないと着ない。半そでであらわになったオレの毛皮を、湿気のふくんだ風がなでていった。ちょっとすーすーする感じが、ちょっと慣れない。
ああ、そうだ。早くシロの家に行かないとなー。
シロはオレと同じ村で育った、いわゆる幼なじみだ。ウサギ獣人で、どこかほっとけない感じがある。今日は、日が暮れる前にお祭りに行こう、と約束していた。
夏になると、村ではたくさんお祭りをする。正直、そんなに人も多くないし、意味あるのかなあ、なんて子供心に思うのだけれど、けっこう大人たちは楽しんでやってる。まあ、露店が出てたこせんとかイカ焼きとか食べ歩くのは好きだけど。ああ、そんなこと考えてたらおなかすいてきたな……。
そんな気分をついでにかき消すために、オレは足に力をこめてだーっと走りだす。
「兎沢」と書かれた表札の下のインターホンのスイッチに、なんとか手を伸ばして押す。こんばんはー! 寅雄です、って聞こえるように叫ぶ。はいはい、ってシロのおかあさんの声がして、がらり、と玄関の扉が開いた。
「もーっ、トラ、来るの遅いよぅ。メーくんとか委員長はもうおうち出たらしいよ」
「ごめんごめん、そんなにせっかちにならなくてもお祭りは逃げないぜ」
ていうかそれより……。ううん、シロの甚平姿、けっこうかわいいな……。普段見ない感じの格好をしていて、どきどきするというか、なんというか。水色のかわいい魚のもようがプリントされている、なかなかいかしたやつだ。オレの着てる、兄貴のおさがりのシンプルな紺に白い線が入ってるやつとは大違い。その甚平から、まっしろなふわふわとした毛が噴き出していて、ちいさな、いい匂いの、甘いにおいのする手がついている。ぴょんと頭からのびているうさぎの耳にかぶりつきたい。まただ。シロのことになると、いつもどこか考えすぎちゃうんだ。
「トラ? ……トラ! もう、どうしたの? ぼーっとしちゃって」
「えっ⁉ い、いや、なんでもない、それより! 早く行こう」
「ふーん。なんでもないならいいけど。あ、それとこれ、おかあさんからおこづかいだって。わたあめ買お! ね」
ちょ、う、腕つかむなって! もふっとした、ぬくぬくのシロの体に触れて……! 甚平の、パンツのなかの、ちんちんがなぜか固くなっている。ぴきーんってして、これ、こすれると痛いんだよな。もう、どうしたんだよオレの体!
「わかったから、あ、わたあめ売り切れちゃうかも」
「遅れておいてなんなのさ……、あんなの売り切れるわけないじゃん」
うう、股間がなんかもっこり膨らんでる……。ばれないくらいだけど、ちんちんになんか変なことがあるってすごく恥ずかしい。それをさとられないように、オレはシロの一方城を歩く。シロの真っ白な毛は、うすぐらい中でもすっごく目立つ。楽しみだからなのか、うれしそうにステップを踏んでくるくる回る親友を見ていると、なんだかしあわせな気分になる。
さいわい、お祭りをやっている神社の境内にいくまでに、ちんちんが固くなってしまうのは収まっていた。
「うーん! あまーい! ほら、トラも食べなよ」
「あ、う、うん」
どきどきが止まらない。心臓がうるさい。顔があつい……。シロにばれないようにするだけでせいいっぱいで、お祭りのにぎやかで色とりどりの露店の数々が、どこか色あせて見える。
シロの差し出してきた、ちょっぴりかじられた跡のあるわたがしを目をつむりながらかぶりつく。じゅわっと甘い砂糖が溶けだして、舌のうえいっぱいに広がった。
「うん、おいしい。ふだんあんまり食べないからかな」
「ぼく甘いのすきー」
ずんずん進んでいくシロを追っかけていく。人込みをするすると進んでいき、こげたしょうゆの匂いただよう焼きとうもろこし屋さん、こはく色の電灯をめいいっぱいに浴びて大きな声でお客さんを呼んでいる金魚売りのブタのおじさん、そしてそのすぐ裏手に広がっている神社の境内の暗がり……。目まぐるしく視界が変わって、五感にいろんな刺激がやってくる。
「し、シロ、ちょっと待って、どこ行くつもりなんだ」
「えー? 知らない! あっ!」
「ちょ! あぶなっ」
突然立ち止まったシロのせいで、オレは思いっきり鼻先からぶつかってしまう。その瞬間にふわんとシロの使ってるシャンプーかなにかの匂いが立って、ずきんとした。
「お、おいシロ? どうしたんだ?」
あれ……、と指さすシロはどこか不思議な感じがして、まあお祭りのせいなんだろうとその時は思っていたけど、今考えれば、このとき引き返せればってことだったのかもしれない。
シロの視線の先には、いかにもあやしいような、ローブを被った狐獣人のおばさんが、たしかペルシャ、じゅうたんだっけ? に座って、小さな紙のふくろに入った何かを売っていた。
「お、おい、さすがにあやしすぎるって、やめとこうぜ。ほら、あっちいって金魚すくいしよう、な?」
「……うん、でもなんか、すごく気になる……」
ふらふらと、その露店に近づいていくシロは火に向かって飛んでいく夜の虫みたいだった。こころここにあらず、という感じだった。
心配だったし、仕方なくついていくと、狐のおばさんはフードの下からぎろりとするどい目線を送ってくる。シロはそれにひるむ様子もなく、じっとあるものを見ていた。
「ホホ……。ウサギの坊やはなかなかお目が高いようだね……。そいつは特別な飴さ。月光の露を集めて、数十種類の薬草で煮詰めるのさ。あとは砂漠の砂糖をたっぷり入れたら完成さね。安くしとくよ……。品物があんたを選んだんだからねえ」
あやしく微笑む狐の魔女みたいなおばさんに、オレのキケンセンサーはびんびん反応していたけど、シロはしあわせそうに、言われたとおり百円玉を取り出し、交換で飴の入った袋を受け取った。赤と青の、それも絵具から直接出してきたみたいなすごいあざやかさだった。あやしさがぷんぷんする。
シロはおばさんにさよならを言うと、ちょっと休もうか、と神社のわきにある階段に向かっていく。石段に腰かけると、ひんやりと体温がぬけていった。
「さすがにさっきの狐のおばさん、かなりやばやばだったよなあ。よくあんな店で買うよ、そんなへんなの」
「へんなのじゃないよう。ほら見て……、すごくきれいじゃん。すんすん。ううん、いい匂い……」
「ほんと? ……た、確かに。これ何味なんだろ。ぶどう? りんご? とにかくすっごく果物ってことしかわからないな」
「じゃあぼく、青色の方をたーべよっと」
「あっ! まだ安全かってわかってないのに!」
そんなオレの制止もむなしく、シロはなまめかしく開けたとろっとしている肉色の口の中へ、そのあめ玉を入れた。
「んん~! あまーい、これすごくおいしい! ほんとに果物食べてるみたい。りんご、バナナ、ぶどう……、いろんな味がする」
ええ……? 顔をとろけさせてふにゃあと笑っているシロが、その不思議なあめ玉をおいしそうになめるので、オレもついつい味が気になってしまう。まずい、とか、あぶないってわかっているけれど、うん。覚悟を決めて、赤色のあめを口に入れた。
甘い! まず口の中に広がるじわーっとした甘さでいっぱいになる。続いて、シロがいうみたいにいろんな果物の味がした。ぐるぐる口の中で回っている……。味の変化にちょっとくらっとしながらも、その止まらないおいしさのとりこになっていた。ちゅぱちゅぱと、はしたない音を立ててしまうほど。
「うえ……、あっという間になくなっちゃった」
そう言ってからシロの方を見た。……だが、オレはその異様さに言葉がつまってしまう。
「し、シロ……?」
「はぁ、はぁ、う、ううん……、と、トラぁ、ぼ、ぼくなんかすっごく体が熱いよう……、溶けちゃいそうだよぅ……」
甚平ごしに、シロのもふっとした体に触れる。毛皮越しでもわかるたしかな熱が、オレの肉球にじわあっと伝わってきた。
「だ、大丈夫か⁉ と、とりあえずあっち行こう!」
オレはとっさに、ひと気のない、露店の立ち並ぶ参道脇の、黒々とした闇のひろがる木の下に、そっとシロをもたれかかるように体を置いた。しゃがんで、シロのおでことオレのおでこに手を当てて熱を測る。うう、はっきりわかるくらいに熱い。どうしよう……。誰か、とにかく大人に相談しないと。
「ね、ねえ……、行かないで」
立ち上がろうとしたオレの甚平を、ぎゅうっとシロは握りしめる。オレはもう一度しゃがんで、ちゃんとシロの目を見た。
「な、お前の体のことは、大人に早く相談しないと大変なことになるかもしれないから……ん‼」
くちゅ、ちゅぱ……。
がやがやと遠くでひびくお祭りの喧騒が、さーっと森の静かさに吸い込まれていくなか、オレの耳は、どこか他人ごとのように、その水音を聞いていた。突然のことに、何が起こったのかわからなかった。ぬるい熱が、あつい口元が、小さな舌が、オレのビンカンな口の中をじっくりと味わっていく。
顔をつかんで、ぐいっと引きはがす。心臓がばくばくと、感じたこともないくらいに跳ね上がっているのを感じていた。
「し、シロ、こ、これって……!」
「えへ、えへへ……、と、トラにちゅー、しちゃった……」
そして、間にすきまを入れることなく二回目のちゅーをする。シロが覆いかぶさってきて、オレは思わずしりもちをつき、手を地面に押し付けた。ひんやりとした土の感触にちょっとびっくりする。シロはオレの小さな体に腕を回し、ちゅぱちゅぱと、何度もなんども、ものを食べるようにちゅーをした。さしこまれた小さな舌が、オレのまだちゃんと生え変わっていない子供のキバを、ざらざらの舌を、なめくじ同士がくちゃくちゃとみだれ遊んでいるみたいになめまわし、どんどん一つになっていった。
ひととおり味わったのか、満足そうに顔をはがし、舌を引き抜くと、お祭りの灯りにてらされてよだれの橋がきらきらとかがやいていてきれいだった。
「えへ……、ぼくのちんちん、おっきくなっちゃった」
ばさり、とシロはおもむろに甚平をはだけさせる。真っ白な毛皮があらわになって、ぼんやりと暗がりのなかに浮かび上がった。するするとはがされていくふんどし。ぷるん、と重力にさからってぴーんと固く大きくなっているちんちんからは、不思議と汗とおしっこと、あといろんなくさい液が混じっているはずなのに、花のようないい匂いがしていた。その匂いが鼻を抜けて行って、……あ、あぁ、な、なんか、ぼーってする……。ちんちんがおっきくなるのは、ボッキっていって、男の子にとってはふつうのことで……、そんな学校で習った知識がぼんやりと浮かんできて、でもすぐによくわからなくなる。
「ね、トラ……、これ、なめてよ。もう、ぼく、バクハツしちゃいそうなんだ」
なめるなんて、おしっこ出すところだぜ? オレの、まだふつうのままの部分がそう叫ぶ。けれど、別のオレは、シロの真っ白ちんちんを食べたくて、吸いたくて、ちゅーってしたくて仕方がない。
ごくり、と生つばを飲みこみ、オレはシロのちんちんをくわえた。
「はうっ、あ、ああ……! あったかい……、ぬくぬくで、むにゅって、ああッ! そ、そこビンカンだからっ、こりこりしないでぇ……!」
あれだけリードしてたシロが、オレがちょっとちんちんをいじめるだけで鳴くもんだから、なんだかそれが面白かった。かっちかちで、どくん、どくんと脈打つ熱いあついちんちんをほおばって、ちょっとしょっぱい、くさい味がするけれど、なんだかそれがすごく心地よくて……。
ん、ちゅぷ、てゅぱ……。そんなぬめぬめべとべとなもの同士が触れ合うきたない音がひびく。べろでつるつるしてる、ちんちんの皮の中を押すと、シロは女の子みたいにきゃん、と叫んだ。それがなんだかかわいくて、オレも手加減ができなくなっていく。両手でがっしりとシロの足を、腰をつかみ、ずずっと木に押し付けてシロの体を固定する。逃げられなくなったところで、一気にじゅぷじゅぷとべろでちんちんを締め上げて、シロの反応を楽しんだ。
「あ、あっ! や、やば‼ トラっ、ぼ、ぼく、も、もれちゃう!」
も、もれるって⁉ そのときオレは、とっさにシロの体を突き飛ばしてちんちんを口から出そうとしたけれど、シロががっしりとオレの頭を押さえつけているせいで脱出できない! お、おしっこ飲まされる! って焦ったオレの口に、どびゅびゅって、なにかが発射された。
「ん、んんん! ご、ごほっ!」
「は、はうう~! な、なにこれ、き、気持ちよかった……」
力がゆるんだすきを見て、なんとか拘束から脱出する。口の中いっぱいに苦い味が広がり、べとべとした液がからんで、ごくんと少し飲み込んでしまった。ぺっぺ、と口から出てきたものを指ですくってみて、何度か指をつけたり離したりすると、びろーっと糸を引いた。
「ご、ごめんねトラ……。お、お口のなかにおしっこもらしちゃって……」
「シロ、これ、おしっこじゃないよ、ほら、学校で習ったじゃん。せーえきってやつだよ」
「え! ってことは、トラとぼくの赤ちゃん、生まれちゃう……?」
オレはふるふると首を振った。
「これは女の子のおなかの中に入れないと赤ちゃんは生まれないんだ、赤ちゃんの元ってことだな」
なんだか、すごくシロのせーえきが欲しい。指を赤ちゃんみたいにちゅぱちゅぱ吸ってみて、……なんだか頭がぼーっとする。苦いし、喉にひっかかる味だしいやな感じのはずなんだけれど……。
「と、トラ……? なんか顔が赤いよ?」
はあっと、シロのなまぬるい息が吹きかかり、ちょっとがんばればチューできちゃうぐらい近い。シロも顔をまっかっかにしている。そして、むくむくと、また復活しはじめるシロのちんちん……。女の子のおなかにせーえきを入れれば、赤ちゃんが生まれる……。
「……ぜんぶ、し、シロのせいなんだからな!」
兄貴の持っていた、えっちな本に、女の人が男の人の股間に乗っかって、その、ちんちんを穴に入れてるシーンがあった。
「ちょ! はぐっ、と、トラ! なんでいきなり倒すのさ! ……いてて」
「ぜんぶシロのせいだから……、ぜんぶお前がわるいんだからな……」
頭がくらくらする。オレのなかの何かが、すぐ耳元でささやいて、次どうすればいいのか、どうすればこの熱を発散できるのかを教えてくれている。はあ、はあ、ってオレたちの熱い熱い息がはき出されて、まざって、吸いこんで、もっともっとおかしくなる。
おしりの穴でも大丈夫だよな……。わかんないけどやるしかない。ちらっと見ると、シロのちっちゃなちんちんがぴーんと起立していた。さっきまでさんざんしゃぶっていたおかげで、てらてらと光り輝いていた。
「いただきます……ん!」
「あ、あうう! はうっ! ああ……」
んんんっ⁉ まずおそいかかってきたのは、モーレツな異物感だった。ふだん出ていくばっかりのおしりの穴に、外から何かが入ってくる。みちみちと腸を押し広げながら、ちゅるん、ちゅぽん、と油がわりのオレのつばで、シロのちんちんはなんとかなんとか奥の方に入っていく。
「あっ、あつい! 熱い! し、シロのちんちん硬すぎぃっ!」
「と、トラぁ。あ、ああっ! と、トラのおなかの中がっ、ちんちんぎゅーってつぶれちゃうっ、熱い! す、すぐ、ま、またもれちゃうようぅ」
最後は思いっきり体重を乗せて、おしりをずん、とシロの体に近づけた。
「「あっ!」」
二人同時にさけぶ。あ、あれ、入ったはいいけど、こっからどうするんだっけ……⁉ と、とりあえずすごく痛いし、焼けてるみたいに熱い、すごく、すごく嫌なはずなのに、なんでかやめられない。シロの、ウサギ獣人だから肉球のない手を握る。見つめあう。
「シロ……」
「トラぁ……」
「ごらぁ! あんたらそこで何しておる‼」
「へっ⁉」
「あっ!」
オレたちのささやき合いをさえぎったのは、夢に出てきそうなぐらい恐ろし気な声だった。かっと懐中電灯を向けられて、シロはオレのなかに射精する。頭の中が「?」でいっぱいになっていると、かさかさと枝をゆらしながら草を分け入ってきたのは、あのへんなアメをくれた狐のおばさんだった。ローブを取りはらって、ぴょこぴょこしている三角の狐の耳があらわになっている。
「ご、ごめんなさい!」
とっさに謝ったのはシロだった。オレもすぐに続く。
「ホホ……、なんじゃおぬしらだったのか。ほう……? わしの飴は効いたようじゃなあ。どうじゃ? 愛し合う感覚というのは。今年のつがいも見つかったし、今年もふぁいんぷれいじゃの、わし」
そしてオレたちは、狐のおばさんの背後にいたヤギ獣人の大人たちに、神社の本殿まで運ばれた。この年になってお姫様だっこされるなんて思ってなかったからすごく恥ずかしかったけど、さいわい、裏道を通っていたので誰にもばれてないと思う。運ばれている間も、シロに中に出されたせーえきが、ちょっとずつ、もれだしていた。
そうして、いきなりお祭りをやっている神社に連れてこられたオレたちだったが、それぞれ別々の部屋に放りこまれた。シロはっ! って聞いたけれど、別の場所で同じように説明を受けている、としか教えてくれなかった。オレを連れてきたヤギの人は、長い背の低い机と座布団を、慣れた手つきでふすまの奥から取り出して、てきぱきと準備していった。
「突然のことで驚いたでしょう。お菓子でも食べながら聞いてください。あなたたちはとても名誉ある役に選ばれたのだから」
障子の向こうには、すでにほかほかと湯気のたちのぼっているお茶と、ちっちゃいもなかがのっかったお盆があった。
ヤギのおじさんが目の前に座ると、どうしてオレたちが連れてこられたのかを、話し始めた。
オレたちの住んでいる村は、子供がいろんな理由でできなかった人たちがくる場所らしい。ここの村に移住して、村の神社にお祈りすれば、子供が授けられる……。そんな言い伝えがあるらしい。その言い伝えはほんとうで、というのも、村で仲良しのもの同士が選ばれて、一年の間、つがいとなってえっちをし続けるのだという。それで、子供が生まれる……。その子供が、お祈りをした親たちのところに届けられる、ということだ。
その仲良しのつがいを探し出すために、あの狐のおばさんのアメが使われているらしい。あのアメをなめると、えっちな気分になってしまうのだと。ふつうの仲良し度合いではちょっとチューをするだけで終わるけれど、ほんとうの、子供が作れるくらいの仲良しレベルでは、オレたちみたいになってしまうということだそうだ。
で、でも、オレたち男同士だし……、って言うと、それは特別な処置を行うので問題ありません、と返された。へえ……。
「これから、寅雄くんには子供を産める体になってもらわないといけませんからね……」
そんなヤギのおじさんの声にぞくっと体が震えてしまう。お、オレ、どうなっちゃうんだろう……。
「おっ、お前がトラだな? よろしく。俺は源三。鼓太郎の親父だな」
「お、おはようございます……」
早速、「子供を産めるような体」になる準備期間に入ることになった。その先生(?)は狸獣人の源三さん。同じクラスの鼓太郎のお父さんだ。鼓太郎は、あの狸おやじ! ってよく言ってるけど……。なんというか、思っていた以上におっさん、って感じがする……。なんかくさいし。でっぷり太ってて、っていうか! な、なんで股間丸出しなんだよ……。
「それじゃあ前置きはこれくらいにしといて……」
源三さんがそう言ってかばんから取り出したのは、あやしさ満点の小さなつぼ。ちゅぽん、とフタを開けると、おばあちゃんの家みたいな、漢方(?)みたいな不思議なにおいがした。
「これをケツの穴に塗ると、そこからどんどんメスになってくってわけ。お前さんの番いのウサギの子なんて、チンコがびっくりするぐらいでかくなるんだからな。ちゃんと受け入れる準備をしとかないとな」
がははってちょっと大げさに笑う。オレははあ、ってぎこちなく場の雰囲気に合わせた。
「そら、なにやってんだ。早く脱がないと。子供を欲しがってる親たちはずっと待ってんだぞ~」
「ちょ、待って。さ、さすがに自分で脱げるから……!」
数分後。
「う、うう……」
知らない大人にこう、まじまじとはだかを見られたのは初めてだ。すごくはずかしい……。
「なかなかきれいな毛並みじゃないか。いい子を産みそうな体だ……。はっはっは。いいねえ、俺のムスコも元気になってきやがった」
むわん、とただよう、源三さんのオスくさい香り。ほかほかに暖められたちんちんがぴくん、と重力に逆らって立ち上がって、オレにおそいかかろうとしていた。
「さあ、ケツ出して」
言われるがまま、オレはたたみに座っている源三さんに向かって、おしりの穴を見せた。よつんばいになって、股間の熱気がすーっと抜けていく。
「おお……、さすがにきれいなピンク色してやがるな。未使用アナル、んん、香ばしいいい匂いだ」
「ちょ、げ、源三さん、い、息が吹きかかって、はう……」
「舐めるぞ。ちょっとひんやりするが、すぐ薬を塗るからな」
「えっ」
聞き返したのもつかの間。なまあたたかくてべとべとしたものが、おしりの穴に触れてオレは全身を跳ねさせる。電撃が走って、目がちかちかした。ひゃう、とか、はうって声が出た。
源三さんはオレのおしりをつかみ、腰をつかみ、ぺろぺろ攻撃を続ける。必死になって、なんとかおしりの穴に力を込めて侵入を防ごうとするけれど、それもむなしく、オレの体は正直に気持ちいいのを求めて、受け入れてしまう。
「あっ、あう、ん、ひゃう!」
あ。ああっ……は、入ったぁ……。
ど、どうして、お、オレのちんちん、でっかくなってる……!
頭がぱちぱちする。体中が熱い。気持ちいいの、もっと気持ちいいのって体が求めてる。源三さんの息が吹きかかり、体のなかを、頭から胸のあたり、おしりにかけてまで、全部の体のすぐ内側をなめられている感覚がおそってきた。あ、ああ……、と、とろけちゃう……。
もう体に力が入らない、限界だ……。ふにゃあ、とオレはたたみに崩れる。
「はじめてにしちゃ刺激が強すぎたかな? まあいい。こんだけ感じるならおつとめも立派に果たせるだろう。……そら、薬を塗るぞ」
「あ、あっ! ゆ、指がぁ……。んんんっ! あ、熱い! お、オレのおしり、燃えてる……!」
「よし。トラ、俺のチンコ、ぶち込むからせいぜい感じるんだな! おら、いくぞっ!」
ずぷ、ずぷぷっ!
「あ、ああああああっ‼」
ほっかほかになった、かっちかちの、源三さんのおちんちんが、タヌキちんちんが、じわじわとオレの腸のなかをこじ開けて、ゆっくりゆっくり入ってきた。塗られた薬のおかげか、不思議と痛みはない。知らない、なんだろう、異物感……? みたいなのがあって、ちんちんの奥がこりこりといじめられていて、ちょっと動いてしまうと、もうびゅるってせーえきを出してしまいそうだった。
「よし……、全部入ったな。よっこらせっと」
「あ、うぐ、ぐああっ、あ、で、出るっ!」
源三さんは、いきなりオレの体にちんちんを差しこんだまま、ぐいっと後ろに倒れるようにして、よつんばいから座った態勢になった。重さでずぶずぶっとちんちんが深くまで刺さって、オレは射精してしまった。
「おお、イったか。がはは、けっこうけっこう」
「あ、あの……、源三さん、抜かないの?」
「何言ってんだ。これから一週間はこのままだぞ? お相手のウサギの子なんか、一週間村の大人たち全員とまぐわうんだからな。それに比べたらましだろ?」
それからというもの、トイレに行くとき以外はほとんどずっと、寝る時も、ごはんを食べる時も、ずっと源三さんのちんちんが入ったままだった。ほんとつらかった……。でもいちばんしんどかったのは、やっぱりシロに会えないことだった。まだあのアメの効果が残っているのか、シロのちんちんが欲しくて、シロの子供を産みたいってずっと考えていた。
やっと会えたのは、きっかり「準備」が始まってから一週間後だった。
「ひ、ひさしぶり……」
たった一週間離れただけだというのに、オレはシロの顔を見るとうまく言葉が出てこなかった。ふすまを開けて出ていたのは、たしかにシロだったけれど、その表情は今まで血はまったく違っていた。
「ふぅ……、ふぅ……」
びくびくと、おすくさいにおいを周りに花粉みたいにふりまいている、シロのそのちんちんは、子供のそれとは思えないほど、大きな木の幹のような、大砲のようなそれに、変わってしまっていた。ごくり、と生つばを飲みこむ。けれど不思議だ……。いまのオレには、あのちんちんから飛び出すせーしで、はらみたい、子供を産みたい、あのサイズなら入る、きっと気持ちいいぞ……、ということが、手に取るようにわかるし、そんな考えが頭の中をいっぱいにしていた。
「なあ、シロ……、シロも一週間、ずっとおあずけだったんだろ……。ほら、来いよ。オレのおしりの穴、好きにしていいからさ」
むにい、ともちもちしているおしりを手で開いて、ぱふぱふと穴を開閉させた。熱せられた体の中の空気がぬけていく。
「……う、う、も、もう、がまんできないッ!」
「あ、ああっ‼ で、でかすぎ、し、シロ、ちょっとがっつきすぎだって! ひゃう」
「あ、あっ、んあっ、ぼ、ぼく、いろんな大人のひとたちに入れられて、びゅくびゅくさせられて、でも! ちょっとも射精できなくてっ。トラのなかでしかイけないって! ど、んあ、どれだけ、苦しかったと思ってるんだよ!」
ばちゅん、ぱちゅん、ぱん。
オレの腸壁と、シロのあつあつちんちんの皮がなんども何度もこすれあう。そのたびに、電流がびりびりと走り、オレたちは気持ちよさのループから抜け出せなくなっていく。
けだもののように、本能のままに、儀式のおかげかいろんなブレーキがはずれて、ただ気持ちよさをお互いにむさぼる。
シロの、とんでもなく大きくなったちんちんが、ずっと源三さんにウワキしてたことを、ちくちくいじわるを言うみたいに、なんども何度も突く。そのたびに意識がふわって飛んでいきそうになって、必死にたたみに爪を立てた。
んぐ、ぐあ、ああっ!
念願のシロとのえっち。子供を作るためのえっち。本能のままにするえっち。
ももいろの気持ちよさとあたたかさとやさしさがいっぱいに、痛みとまぜこぜになってオレを襲う。途中から、この気持ちはオレのものなのか、シロのものなのか、わからなかくなっていく。
はあ、はあってシロの熱いあつい息がうなじにふきかかる。ぞくぞくとぞわっとした感覚が足の先から頭の先まで走る。
オレたちに言葉はいらなかった。心の奥深くが、つながっていた。
「と、トラっ! で、出るっ、ぼ、ぼくのせーし、ぼくの赤ちゃんのもとがっ! 出すよ!」
「「あっ!」」
せまい直腸のなかで、シロの射精がバクハツした。びゅる、びゅくびゅくととんでもない勢いで発射されたせーしが、あつあつの赤ちゃんのもとが、オレのおなかの奥の奥へと向かう。ちんちんが、オレのちんちんの裏をこりっといじめて、おなかが急に膨らませられて、出されたせーしをはき出しそうになって、うって、オレも射精してしまった。びゅくっと、たたみの上に、オレの、シロの、真っ白なべとべとした液がとびちった。
「ううっ、あ、ああ……。シロの、もれちゃう、もったい……」
「そんなの、またぼくがいーっぱい出してあげるから、だいじょうぶだよ……」
「シロ……」
「ふふ、なあに?」
火照った、熱いからだをまさぐりながら、オレたちは、またひとつになる。
「なんか、すごいことになっちゃったね……」
わちゃわちゃと、オレが「産んだ」子供たちが走り回っている。お世話は村の大人たちが代わりにやってくれている。トラの子に、ウサギの子に、みんなうれしそうに笑っている。
「あっ、いま、おなか蹴った」
オレのおなかは、ぽっこりと妊婦さんみたいにふくらんでいる。中にはもちろん、シロとの赤ちゃんがいる。やっぱりこの子達も父親のことが好きなのか、シロが近くにいるとすごく動く。いっしょうけんめい生きてる感じがしていとおしい。
「ねえ、トラ……。ぼく、またちんちんがおっきくなっちゃった」
「まあしょうがねえよ、出しても出したりないんだからさ。でも赤ちゃんいるから、口でいい?」
「ふふ! トラ、だいすき!」
「ん、ちょ、お、オレ妊婦さんだから!」
家族が、もーっと増えそうだ。そのうち、村の子供たちはみんなオレたちの子供だったりして。