旅館でマッサージやってる俺くんが、ぼさ毛のおっさん狼を揉んでるうちに襲われちゃうお話

  ☆

  「失礼します」

  「おお、入ってくれ……」

  布団が敷かれた部屋に寝そべっているのは、大柄な狼獣人だった。

  土方仕事でもしているのか、浴衣の上からでも膨れ上がったごつごつした体が見てとれる。

  きっと体を使うような肉体労働をしているのだろう。

  吐く息は酒臭く、毛皮の上からでも幾分顔が赤らんでるのがわかる。

  片隅には空になった酒瓶が転がっているのを見れば、間違いないだろう。

  ……げ、やっぱり酔っ払いかよ。

  それでも俺は笑顔をつくってみせる。

  

  「マッサージ師の茂村です! 今日はよろしくお願いします!」

  ☆

  それはその日最終のお客さんだった。

  『茂村くん、301号室のお客さん、お願い。獣人にお客様がどうしてもって言ってきてるのよ』

  旅館のフロントから待機所へ連絡が入り、すでに帰り支度をしていた俺は渋々制服に着替えたのだ。

  動きやすくマッサージのしやすい制服へ。

  そう俺、茂村直道はこのホテルで勤務するマッサージ師だった。

  マッサージ学校を卒業して3年。

  自分の治療所を持つために資金を貯めようと、昼間勤めている治療院の仕事の傍ら、この旅館で夜のバイトをしているのだ。

  こういう旅館のマッサージバイトはけっこう稼げるからな。

  とはいうものの、今日は立て続けにお客さんから呼ばれて、正直へとへとだった。

  ……もう帰れると思ったんだけど。

  それにこのままだと、確実に終電に乗り遅れてしまう。

  そんなことを考える俺に、電話口で旅館の女将さんが猫なで声を出す。

  『ね、茂村くん。お願いよ。終電逃したら今日はここに泊まってもいいから。明日は本業のお仕事、お休みだって言ってたでしょ』

  『……わかったッス』

  ま、お客さんあってのこの商売。

  この頑張りが治療所のお金になると思えば頑張れるはずだ。

  仕方なしに俺はそう自分を叱咤激励する。

  ……それにしても、お客が酔っ払いじゃなかったらいいんだけどなぁ。

  俺はそんなことを考えながら廊下を歩いた。

  俺もニンゲンにしちゃそんなに小柄じゃないし、もともと体育会系だから体も割としっかりしてるんだけど、やっぱり獣人となるとガタイが違うからな。

  そんな獣人が酔っ払って絡んできたりすると、対処するのが結構大変なのだ。

  持ち前の愛嬌で今までは何とかごまかしてきたんだけど。

  ……ややこしくありませんように。

  そう思いながら、301号室の扉をノックしたのだった。

  ☆

  願いも虚しく、お客さんは酔っ払ったおっさん狼だった。

  

  「なんだ、えらいちびっこいあんま屋だな」

  思った通り、狼獣人は酒臭い息を吐きながらうさんくさそうに俺を見る。

  「それにえらく若いし。歳はいくつだ?」

  「24です」

  「なんだ、俺より10も若いのか」

  驚いたようなおっさん狼だったが、それを聞いた俺も驚いた。

  ……もっと老けてると思ったよ。

  確実に40は越えているように見える。

  まあ、顔立ちはちょっと強面で威厳があるように見えるし、大体膨れ上がってボサボサの手入れしてない体毛見れば、そう思われても仕方ないはずだ。

  しかもうっすらと香る、汗と雄の匂い。

  俺にとっては悪い匂い[[rb:ではないのだけど > ・・・・・・・・]]、確実に風呂上りには見えなかった。

  「お客さん、今日は温泉入ってないんスか?」

  俺は思わず聞いてしまう。

  この旅館の売りはかけ流しの天然温泉があることなのに。

  

  「あ、ああ。仕事帰りに直接来ちまったからなぁ。みんなを待たせるのも悪いし、腹も減ってたから、先に飯にしてもらったんだ」

  なんだ、話してみると強面のわりに少し人懐っこい感じがする。

  そう言えば、今日はガタイのいい獣人たちが忘年会でたくさん泊まりに来てるって、女将さん言ってたっけ。

  「そんなことより、本当に大丈夫なんだろうな。そんな細っこい腕であんまなんかしたら、折れちまうんじゃないか?」

  いちゃもんをつけるというよりも、心配しているような言い方に、このおっさん狼の性格が表れているのだろう。

  悪い人じゃなさそうだ。

  むしろ……。

  俺は軽く薄い胸をポンと叩いて、力強く頷いて見せる。

  「はい。こう見えても、ガタイのいい獣人のお客さん相手でも、ちゃんと満足していただいてますんで。お任せください!」

  ☆

  「んん、いいじゃねぇか。……そこそこ、そこをもうちょっと揉んでくれ」

  「はい、了解っス」

  「くそっ、たまんねぇなぁ……」

  その大きな肩甲骨に手を伸ばして、グイグイとしっかりとほぐすように揉んでいくと、おっさん狼は気持ちよさそうな声を出す。

  しかし大きな体だ。

  2メートルは簡単に超えている違いない。

  ちょっと短足気味だが足はぶっといし、腕なんか丸太のように膨れ上がっている。

  触るだけで各筋肉の膨らみがはっきりとわかる鍛えられた体は、日頃の仕事で疲弊しているのか柔軟性を失って硬く強張っていた。

  俺はそれを丁寧に緩めていくのだ。

  

  「ああ……悪かったな、大丈夫かなんか疑っちまって。こんなに腕がいいんなら、ちょくちょくここに泊まりに来るのも悪くねぇなぁ」

  「えっ、本当っスか? じゃあこれからもごひいきにお願いします!」

  俺は時折、額に浮かぶ汗を腕で拭いながら、しっかりと腕を動かす。

  慣れているとはいえ、こんな大きな体のお客さん相手のマッサージは重労働であることは間違いない。

  それでも全然苦痛ではなかった。

  むしろ合法的にこんなゴツイ獣人を触れるのだ。

  幸せでしかなかった。

  そう、実のところ、俺はゲイだったりする。

  しかも男臭くて厳つい体の獣人がタイプなのだ。

  ただ、人間同士でもそうだが、普通に生きていてゲイの獣人との出会いなんてほとんどあるわけもない。

  そりゃ今は出会い系とか発展場とかあるんだけど……俺はチャラくみられるわりに、そういうのは苦手なんだ。

  その辺は古風な奴だなぁと自分でも思うんだけど。

  初めてのセックスはちゃんと好きになった人としてみたい。

  それでも厳つい獣人には触ってみたい。

  その気持ちがせめぎ合った結果、屈強な獣人に合法的に触ることができるこの職業を目指してしまう羽目になったのだ。

  ぶっちゃけ、このおっさん狼なんかは、どストライク。

  体もデカいし、ゴツイし、いかつい顔をしてるし。

  まあ、『兄ちゃんは風俗で遊んでるのか?』なんての話を振ってきたりするのを見れば、明らかにノンケだろうから、変な期待を持ったりはしないんだけど。

  「兄ちゃん、あんたここの専属なのかい?」

  「はい、夜はいつもここで働いてますね。昼間は獣川町にある別の治療院に勤めていますが」

  「なんだ、隣町か。俺の住んでる町じゃねえか。そっちの方が通いやすそうだ」

  首を後ろに回したおっさん狼がにかっと笑ってみせる。

  ……なにその笑顔。

  むっちゃかわいいじゃん。

  「そ、そうですか。来てくれると嬉しいっス!」

  ちょっとドギマギした俺は思わず顔を赤らめてしまう。

  「そういや兄ちゃん、あんた名前はなんて言うんだ?」

  「茂村です」

  「茂村くんかぁ。俺の名前は狼森道成だ。必ず治療院に行くから、覚えておいてくれよな」

  「はい」

  ……こんな格好いいおっさんのこと、忘れるわけないでしょうが。

  そんなことを思いながら、俺はマッサージを続けていた。

  ☆

  「ごごごごごごご……ごごごごごごごご……」

  疲れていたのか、それとも俺のマッサージが気持ちよかったのか、狼森さんはいつの間にかいびきを掻いて眠ってしまっていた。

  俺はその間も背中から腰から足から腕から、しっかりと体を揉みほぐす。

  お気に入りの、しかもリピーターになってくれるかもしれないお客さんなのだ。

  手を抜くなんてことは考えられない。

  あらかた筋肉が緩んだのを確認して、俺は狼森さんに声をかける。

  「狼森さん。今度は上向きになってください。次は仰向けのマッサージ……っ!」

  それは無意識だったのだろう。

  寝ぼけたままゴロンと上を向いたおっさん狼の腕が伸ばされると、いきなり俺の体を抱きしめる。

  そしてそのマズルが、俺の唇に重なった。

  「んんっ!」

  フレンチ・キスなんて軽いものじゃない。

  それはまごうことなくディープキス。

  目を白黒する俺のことなど無視したまま、半分眠っている狼は分厚い舌先を潜り込ませてくる。

  ぬちゅり、と舌先が動いて俺の口の中を搔きまわすのだ。

  口に広がる煙草と酒の味。

  

  「んんっ、んんんっ!」

  突然のことに驚いて、なんとかその拘束から逃げ出そうとするものの、ガタイのいい獣人力は半端なくて……。

  俺はそのままされるがままにキスをされてしまうのだ。

  じゅる、じゅる……。

  その時間は5秒程度だったはずだが、それでも1分以上しているように感じてしまった。

  

  「ん、あ……うわっ!」

  そのうちに目を覚ましたのだろう、驚いたような声を出して、俺を突き放す狼森さん。

  俺の体は布団に押し付けられる形になってしまうのだ。

  「あの……」

  戸惑ったように声をかけるものの、驚いたように呟くことしかできない狼獣人。

  

  「な、なんで男なんかと……」

  それはこっちのセリフだ。

  だが、顔を赤らめている俺を見て、自分がしでかしてしまったことに気づいたのか、急に狼森さんはすまなさそうな顔をする。

  「あ、すまん。つい寝ぼけちまって、女と間違っちまった」

  「い、いえ……」

  さっきまでの話で、この人がノンケだというのはわかっていたから、間違えたというのは確かなんだろう。

  それがわかっても、俺の胸の動悸はなかなかおさまらなかった。

  「そ、それじゃ仰向けのマッサージをしますね」

  「お、おう……」

  お互いに顔を赤らめたまま、俺はマッサージを再開する。

  何も考えないように一心不乱にそのぶっとい足を揉み続けるのだ。

  そんな時、ふと頭上から狼森さんの声が聞こえてくる。

  「……くそ、男相手にキスをしちまうなんて、俺も焼きが回ったもんだ」

  ……なぬ?

  それはノンケの漏らした本音の独り言なのだろう。

  だが、その言葉に俺はカチンと来てしまう。

  ……俺のファーストキスを奪っておいて。

  初めては好きな人と……なんてこじらせてしまったせいで、俺は24歳にもなって童貞のままだった。

  キスだってそうだ。

  だから、こじらせついでにずっと大事にしていたのに。

  まあ、狼森さん格好いいから、我慢できないこともないんだけど。

  ……それでもこのままだと悔しいよなぁ。

  その瞬間、俺の頭の中にちょっとしたいたずら心が湧いてしまう。

  ……このぐらいの仕返しはしたっていいだろ。

  俺はにんまりと笑うと、ここぞとばかりに狼森さんに提案をするのだ。

  「そうだ、狼森さん。せっかくですし、男性向けの特別なマッサージをやりましょうか?」

  「特別? なんだそれ?」

  キョトンとした顔で首をかしげるおっさん狼。

  「男性のお客さんには結構喜ばれるんですよ、睾丸マッサージ」

  「睾丸マッサージだとぉ?」

  いぶかしげな顔でこちらを見やる狼獣人。

  その口調が嫌そうなのは、男に金玉を触られるのをイメージしているからか。

  「ええ。睾丸を刺激して、血流をよくしてやるんス。精力増強とかEDの予防効果もあるんですよ。20代のころに比べて精力が弱ったなんてお客さんにはちょっと好評ですし」

  「……ふうん」

  「男性ホルモンもたくさん出るようになるんで、雄らしさも増すって言われてますね」

  「……悪くねえな」

  引っかかった!

  狼森さんも30代だから、若いころに比べれば精力も落ちてるだろうし、何より獣人は雄らしさにこだわる人が多いって聞くからな。

  「いつもだったら別料金なんですけど、狼森さんは特別にタダでいいっス。これ、普通に受けると結構高いんですよ」

  「そうか……。じゃあ、やってくれ」

  乗り気になった狼獣人。

  ちょろいなぁ、と思いながら俺はにっこりと笑う。

  「じゃあ、浴衣を脱いで裸になってください」

  「ええ……。男の前で裸にならんといけねえのかよ……」

  嫌そうな顔をするおっさん狼に、俺は言い聞かせるように言った。

  「そりゃ、睾丸のマッサージですから。見えないと触れないでしょうが」

  「まあ、そりゃそうだな」

  しばし考えて頷いて見せると、狼森さんはあっさりと立ち上がり、浴衣を脱いだ。

  その下は歳に似合わない越中ふんどしで、俺は思わず鼻血を出しそうになる。

  ……むっちゃエロイじゃん。

  するするとふんどしを取り払うと、そこには狸獣人もかくやと思わせるソフトボール大の金玉と、その上にちんまりと鎮座する極小の逸物が見えた。

  「……」

  少し飛び出た腹に埋もれたような小さなちんぽは、皮に覆われて先端がドーナツのような形状になっていた。

  この大きさで交尾なんてできるんだろうか、と思わせるほどに小さい。

  「おい。茂村くんよぉ」

  

  股間を見つめる俺を見て、おっさん狼はちょっと顔を赤らめる。

  「このおっさん、体のわりにちんこ小せぇなぁとか思ってるんじゃねのか?」

  「そ、そんなことないっス!」

  俺は慌てて首を振り、思ってもないことを言う。

  「あのなぁ、俺のは膨張率がすげぇんだ」

  「……」

  「男の価値は萎えたちんこにあるんじゃねえ、勃起したちんこの膨張率に価値があるんだよ!」

  胸を張って、言い訳するように何やら名言っぽいことを言うおっさん狼。

  それでも俺の親指ほどしかないちんぽに、そんな価値はあるように思えなかった。

  

  「ま、まあ……とにかくマッサージしますね」

  「くそっ、スルーしやがった」

  ぶつくさ言う狼森さんを無視して、俺は寝るように促した。

  どっかりとその場に仰向けになる狼森さんの股座の中に入ると、俺はその場にあぐらを搔く。

  太いけど短い脚の間に入ると、そこにはたわわに実った睾丸が、短い毛に包まれて僕の前に差し出されているのだ。

  ……眼福だよなぁ。

  むっちゃエロイ。

  こういう時はなまじ逸物がデカいよりも、こういうチョ根の方が愛嬌があっていいかも。

  そんな勝手なことを思いながら、俺は睾丸に手を伸ばした。

  くにゅ。

  「おふっ」

  男の大事なところを触られて、思わず声が漏れるおっさん狼。

  俺はそれを無視して、痛くないように柔らかく睾丸を揉んでいく。

  くにゅ、くにゅ、くにゅ、くにゅ……。

  優しく優しく、愛撫するように揉み込みながら、少しずつ金玉の皮を伸ばす。

  皮自体にも血管が張り巡らされているから、これを揉むことで血行が良くなるのだ。

  「あっ、あっ……」

  しわを伸ばされるその感触に、吐息が漏れる狼森さん。

  きっと気持ちがいいのだろう。

  普段では味わうことのない感触だろうから。

  「皮だけじゃなくて、玉の方も気持ちよくなりましょうね」

  俺はそう言うと、その玉袋の中にある大ぶりな中身を両手で優しくつかむ。

  そして、左右交互に転がすように弄ぶのだ。

  くりっ、くりっ、くりっ、くりっ……。

  袋の中で転がすように、右左、右左と金玉を揉んでいく。

  「おおお……」

  感に堪えぬように、声を漏らす狼森さん。

  これだけの厳ついガタイをした狼獣人を好きにしているという現実が、俺の心を高揚させる。

  くにゅっ、こりっ、くにっ、くにゅっ……。

  「んんんんんっ!」

  本人にもそれはわかっているのだろう。

  恥ずかしいのか、顔を赤らめて、潤んだ目で僕を見上げるおっさん狼。

  「くそ……。勃っちまうじゃねえか……」

  負けを認めたようなその言葉とともに……。

  ビキビキビキビキッ!

  「あ……」

  狼森さんの逸物が勃ちあがっていく。

  ……すごい。

  俺は思わず息を吞む。

  そこにあるのは、交通整理に使われる三角ポールと見まがうような逸物だったから。

  さっきの自慢は本当だったのだ。

  大人の腕ほどもある円錐状の逸物。

  そんなものがこの体のどこに隠されていたのかと思うほどに、太く長い代物だった。

  皮の剥けた赤黒い先端は、だらだらと我慢汁を流していた。

  それがまたエロイ。

  それを見た俺は、ついマッサージ師としてあるまじき考えを思い浮かべてしまう。

  ……狼森さんがイッたところを見てみたい。

  これだけのデカい睾丸と逸物の射精シーンはどのぐらいすごいのだろう。

  そう考えたら、俺の手は自然と動いてしまう。

  

  「あ、おい。何を……」

  伸ばされたそこにあるのは、蟻の門渡り。

  睾丸と肛門の間にあるそれは、奥に前立腺が存在する敏感な部位で。

  俺はそこを優しく刺激しながら、睾丸を揉み込んでいく。

  「お、おい……やべぇって……。俺、最近抜いてねえんだ……」

  焦るようなおっさん狼。

  だが、その逸物は、刺激を喜ぶようにびくびくと震えているのだ。

  俺はもう、たまらなかった。

  仕事だということも忘れて、ひたすら愛撫を続ける。

  睾丸を触る手が徐々に上に伸びて……太い竿の根元を掴む。

  片手で掴めないほどにデカい太竿。

  「茂村くん、だめだ……」

  それでも、快感に身を任せている狼獣人は、抵抗するのは口だけで、僕の動きを止めようとはしない。

  完全に快楽に飲み込まれているのだ。

  それをいいことに、俺は根元を持った手をゆっくりと上下に滑らせた。

  ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ……。

  「もう……イッちまうぅぅぅっ!!」

  それは突然だった。

  巨大な円錐状の逸物が、ビクンと震えると、まるで火山が噴火したように、白い溶岩を噴き出したのだ。

  びゅるっ、びゅるるるるるるっっ!!!

  降り注ぐザーメンが、俺と狼森さんの体を濡らす。

  青臭い雄の匂いに包まれて、俺は茫然としてしまう。

  ……しまった。

  ふと我に返ると、とんでもないことをしてしまったという現実に気づかされる。

  ……お客さん相手に僕は何を。

  「す、すみません……」

  謝りながらも、僕は慌てて雄汁を拭こうとタオルを探す。

  とにかく、きれいにしないと。

  パニックになった俺には、それしか考えられなかった。

  だが。

  さえぎるように俺の手をガシッと掴んだ狼獣人の目は……飢えたケダモノのようにぎらついていた。

  開かれた口からは、ギラリと牙が覗く。

  「おい……」

  「……」

  「お前、自分が何をやったのかわかってんのか?」

  「あ、あの……ご、ごめんなさい……」

  まるで蛇に睨まれた蛙のように身動き一つできなくなってしまう。

  自分の目に涙が滲むのがわかる。

  ……怖い。

  俺はふと恐ろしいことを思い出す。

  交尾を見られた野生の狼は、見た人間を執拗に狙って食い殺すことがあると。

  プライドを傷つけられた狼は、相手を殺すことでその汚名を注ぐというのだ。

  俺は殺されるかもしれないという恐怖を感じてしまう。

  しかし、おっさん狼は俺の想像と違って……いやらしい笑みを浮かべた。

  

  「茂村くんよぉ。……お前よく見るとかわいい顔してるよな」

  「えっ?」

  思いもよらない言葉に、俺は表情を強張らせてしまう。

  「もう……我慢できねぇ」

  その言葉に目をやると、盛大にイッたはずの股間の逸物は、いまだ臨戦状態のまま。

  それを見れば、目の前のおっさん狼が何を求めているかわかってしまう。

  

  「だ、だめです……」

  俺は慌てて抵抗しようとする。

  ……そりゃ狼森さんはタイプだけど。

  ここは職場なのだ。

  ばれたら大変なことになってしまう。

  それにこんな行きずりのエッチなんかしたくない。

  しかし、飢えた狼にその論理は通用しなかった。

  「何言ってやがる。お前が煽ったんだからな」

  「それは……」

  「それに獣人にとっちゃあ、ニンゲンなんざ雄も雌もたいして違わねえんだ。おっさんをからかった責任取ってもらうぞ」

  「だめ……んんん……」

  抗いの言葉は、人生二度目のキスによってかき消された。

  「ん……んん……」

  先ほどの強引なキスとは違う、雌を堕とすための甘いキス。

  舌先を優しく動かし、撫でるように歯列を触ると、甘やかすように僕の舌をからめとり、お互いの熱を確かめ合うようにぬちゃぬちゃと動かすのだ。

  「んん……」

  

  厳ついおっさんとは思えないようなそれに、僕は知らず知らずのうちに陶然となってしまう。

  初めてのちゃんとしたキスは思ってた以上に気持ちよくて。

  気がつけば自ら腕を回して、その分厚い体を抱きしめてしまっていた。

  「茂村くんよぉ。お前、下の名前なんてんだ」

  「大輝です」

  「ふうん、大輝か。大輝、お前があんないたずらするからいけねえんだぞ。俺だってこのかわいい体にいたずらさせてもらわねえとな」

  そう言うと、幅広の舌を伸ばして、俺の体をべろりと舐める。

  「あっ♡!」

  キスをしている間に脱がされたのか。

  いつの間にか俺は裸に剝かれてしまっていた。

  

  「やっぱりニンゲンはいいよなあ。毛もねえし舐めやすいぜ」

  そう言うと、この体にベロベロと舌を這わす。

  「ひいっ♡!」

  なぜだろう。

  そのざらついた刺激がたまらなく気持ち良かった。

  俺の体も興奮して敏感になっているのだ。

  じゅるじゅるじゅるじゅる……。

  熊が蜂蜜を啜るように、目を細めて俺を味わう狼森さん。

  まるで捕食されてしまっているような倒錯感すら感じてしまう

  じゅるんっ!

  「ひっ♡!」

  尖らせた舌が乳首をかすると、僕は体をのけ反らせた。

  「なんだ。おぼこい顔して、乳首が感じるのかよ。いやらしい奴だな」

  にちゃりと顔を歪めて笑うおっさん狼。

  「それは……」

  俺が恥ずかしさで顔を赤らめると、狼森さんは笑いながら頭を撫でてくれる。

  「いいじゃねえか。俺の愛撫で感じてくれるなんて、雄冥利に尽きるぜ」

  そう言いながら、指先で乳首をこりこりとなぶられると、あっあっ、と俺は小さく喘いでしまうのだ。

  太い指で押し潰され、擦られると、脳天にびりびりと快感が響く。

  ……なんで。

  初めて受けた愛撫にこんなに乱れてしまうなんて。

  大体乳首なんて、自分で触っても感じることはなかったのに…。

  そんな俺の疑問を悟ったのか、狼獣人は耳元で囁く。

  「なんだ、知らねえのか。俺達獣人の体液はちょっとばかしニンゲンには強いみたいでな。大量に摂取すると敏感になっちまうんだよ。山芋に触れると肌がかぶれちまうみたいなもんだ」

  「そんな……」

  「だから獣人がニンゲンと交尾するときは、全身たっぷり舐めてやるのさ。そうすりゃ体が夜泣きして、自分から雄を欲しくなっちまうんだ。このおぼこい穴だってよ」

  そう言うと、狼森さんは俺をひっくり返し、その尻に舌を這わす。

  ぬちゅり。

  「や、やだ♡……」

  「いいから。大輝は黙って感じてりゃいいんだ。すぐにここも開いて、俺のちんこを欲しがる雌穴にかわっちまうからな」

  「そんな……ひいっ♡!」

  じゅるり、と舌が肉穴に潜り込む。

  媚薬がわりの唾液をたっぷりまぶした舌先が、狭い肉穴をこじ開けるのだ。

  ……ああ。

  その先端からとろとろと唾液が流し込まれていく。

  ……熱い。

  俺は酒に酔ったように、自分の体が火照っていくのを感じる。

  頭の中は霧が掛かったようになり、身体から力が抜けていくのだ。

  ちゅぽん。

  「……これでいいだろ」

  舌を引き抜いた狼はにちゃりと笑う

  「すっかり穴も緩んじまったな」

  その太い指を二本、わななく肉穴に無造作に突っ込むとぐちゅりと掻き回す。

  ぐちゅんっ。

  「んんんんっ♡!」

  俺は喘ぎ声を漏らした。

  きついはずの肉穴は易々と狼森さんの指を受け入れ、触れられると喜ぶように締め付ける。

  その肉襞は爛れたように腫れていて痒みを帯びているため、掻き回されるだけで極上の快感を覚えるのだ。

  「痒いところを引っ掻かれるような気持ち良さがあるんだろう?」

  したり顔で笑いかけるおっさん狼。

  「それだけじゃねえんだぜ。獣人の体液には感度も上がる効果があるからよ。こいつをぶちこんだら、すぐにメスイキできるようになると思うぜ」

  野太い逸物を俺に見せ付ける狼。

  ……そんな。

  俺はその言葉に怯えてしまう。

  この人は僕の体を弄ぶだけじゃなく、本当に交尾をするつもりなんだ。

  ……あの逸物を僕の中に入れるなんて。

  俺はもう、恥も外聞もなかった。

  くしゃくしゃに顔を歪めて懇願する。

  「お願いです。許してください……」

  その言葉に鼻白む狼獣人

  「なんでだよ。お互い気持ちよくなるだけだろうが。俺との交尾はたまらなく気持ちいいぜ」

  「……」

  「なあ、別に大輝にツガイがいるわけじゃねえんだろ。他の獣人の匂いもついてねえしな。だったらお互いにちょっと楽しむぐらいいいだろうが。お前だってそのなりだ、結構遊んでるんだろうが」

  獣人は決まったつがいを大事にするのはわかっている。

  誰かのつがいとわかれば、手を出すことはまずないらしい。

  だが、それ以外は性に奔放なのだろう。

  でも俺は……。

  「……初めて……なんです」

  「何⁉」

  俺の言葉に驚いて目を剝く狼。

  「嘘つけ。お前みたいな奴が、交尾したことねえなんて。……それはただ俺みたいなおっさんとやりたくねえから嘘ついてるんじゃねえのかよ」

  「ほ、本当なんです!」

  俺は必死に言い募る。

  「狼森さんのことは、正直タイプだけど……初めてはちゃんとお付き合いする相手とするって決めてるから……」

  ごくり。

  俺の言葉に唾を飲み込む狼獣人。

  「それってぇと何か。将来好きになった人に捧げようと、処女も童貞も取ってあるってことか」

  「……はい」

  「……たまんねぇな」

  興奮したように鼻息を荒くする狼獣人

  「そんな顔して、身持ちが固いなんて無茶苦茶俺好みじゃねえか。……決めた。これだけかわいけりゃ、雄でも雌でもかまやしねえ。俺のちんこぶちこんで、俺だけのもんにしてやるよ」

  ☆

  「やだ、やだ……」

  俺はもう、子供のように泣きながら許しを請うことしかできない。

  だが、目の前の飢えた雄に理性などすでになかった。

  怯える俺の股を押し開くと、その間にぶっとい腰をねじ込んでくる。

  そして。

  「狼森さん、お願いです……」

  「……」

  言葉を話そうとしないケダモノは、そのいきり勃つ巨大な肉杭を容赦なく俺の中に押し付けてくるのだ。

  

  ぐぐ……ぐぐぐぐぐ……。

  「だめ……んんんんんんっ!」

  必死に閉じようとする穴をこじ開けようと突き立てられる肉塊。

  俺は必死に抗おうとするが……その猛々しい獣人に非力なニンゲンが敵うわけなどないのだ。

  「あっあっ……」

  

  少しずつめり込んでいく肉槍の切っ先。

  そして顔をゆがめた俺の体に、おぞましいほどの衝撃が走る。

  ぐぐぐぐぐ……ごちゅんっ!

  「ひぃあああああああああっっ♡!!」

  それは敗北を意味する叫び声だった。

  抗うことも叶わずに、俺の処女はこのおっさん狼に散らされてしまったのだ。

  それでも。

  「なんでぇぇぇぇぇぇっ♡!!!」

  俺は嬌声交じりの悲鳴を部屋に響かせた。

  体を引き裂いてしまいそうな太杭が、ただただ俺に快感を与えてくれたから。

  ごりっ、ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりっ!!!

  「ひぎいいいっ♡♡!」

  狼森さんの体液で敏感になった肉襞は、信じられないほどの快楽を俺に与えてくれる。

  ぞりぞりとえぐられる肉穴は、その竿の表面に浮かぶ、デコボコした血管の形までもはっきりと感じとれるのだ。

  肉壁を構成する小さな肉の粒をごりごりと押し潰されるたび、目の前にパチパチと火花が飛び散るのがわかった。

  内臓すらも、この快楽を与えてくれる雄になびきそうになるのがわかる。

  相手はただでさえタイプの格好いい雄なのに、本気で好きになってしまいそうになるのだ。

  「だめだからあああっ♡♡!!」

  俺が泣きながら自分に言い聞かせていると、おっさん狼は興奮で顔を赤らめる。

  「……なんだよ、俺のために誂えたような雌穴じゃねえか」

  俺の肉穴の具合を確かめるようにぐちゅぐちょと軽く抜き差しをして、その目が鋭く光る。

  「こいつは逃がしちゃいけねえな。孕むぐれえに種付けして、俺のこと忘れられねえようにしてやらねえと」

  その顔に浮かぶのは独占欲以外の何物でもなかった。

  気に入った雌を己のものにすること式考えられない野生の獣の顔なのだ。

  「知ってるか? 媚薬がわりになる体液ってのは唾液だけじゃねえんだぜ。ちんこから漏れる先走りも種汁だって、ニンゲンを狂わせちまうんだ。それに多ければ多いほどメスを狂わせることができる。……心も体も薬漬けのように変えてやるよ」

  「……」

  それは本気だとありありとわかる表情で。

  「や、やだ……」

  怯える俺に狼獣人は雄臭く笑った。

  「心配すんな。俺のもんになれてよかったって思えるようにしてやるからよ」

  ばちゅんっ!!

  次の瞬間、掘削機のような衝撃が、俺の体に叩きつけられた。

  がががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががががっ!!

  「んああああああああっ♡♡!! んああっ♡! んぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃいいいいいぃぃぃぃいいぃぃぃぃぃぃぃぃっ♡♡♡♡!!!」

  狼森さんは俺の体を抱きしめたまま、何度も何度も力の限り高速で腰を打ち付ける。

  体が粉々に砕け散ってしまいそうだった。

  激しく揺らされ、布団に叩きつけられる。

  それがたまらなく気持ちいいのだ。

  

  ぬちゅっ、ごりっ、ぬちょ、ずずずずっ、ごちゅんっ、がちゅんっ、ぬこっぬこっ、ごりっ、がつんがつんがつんっ!

  「お”お”お”お”お”お”お”お”お”っ♡♡!!」

  一見ただの暴力的な行為に見えるその抜き差しの中には、この雄獣人がこれまで培ってきた交尾のテクニックが見え隠れしていた。

  ただがむしゃらに抽挿するだけではない。

  浅く深く、浅く深く。

  激しく突っ込んだかと思えば、甘く掻きまわして。

  まるで肉襞の性感を、自分好みに育てていくように。

  媚薬で狂わされた体は、その刺激を受け入れて、快楽として脳に送り込むのだ。

  「しゅごいぃぃぃぃぃぃぃっ♡♡!!!」

  そして、三角コーンのような逸物が、肉穴を無理矢理に拡張し、ねじ込まれる。

  己の雄の肉棒を覚えろとでもいうように。

  めりっ、めりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめりめり……。

  「いやあああっ♡♡!!!」

  体を真っ二つに引き裂かれそうな衝撃はすべて快感に変換されてしまう。

  「イッじゃうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ♡♡!!」

  涙を流しながら、俺はイキ狂う。

  気持ち良くてたまらない。

  いや、気持ちいいなんて温い言葉では表現できない。

  魂を削られるような恐ろしい快楽。

  

  「ひあああああああああっ♡♡!!」

  がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんごりっがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんどちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがつっがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅん。

  それは快楽の暴力だった。

  肉穴をこじ開けられ、この先、人として生きていけないかもしれないと思わせるほどの莫大な悦楽。

  壊れてしまうかもしれないという不安と、それを遥かに上回る快感の嵐。

  それが抽挿を繰り返すうちにどんどんと高まっていくのだ。

  きっと媚薬効果のある先走りが肉襞に擦り込まれることで、体がどんどんと敏感な雌に変わっていくのだろう。

  もう目の前の雄のことしか考えることが出来ない。

  汗臭い体で僕を押し倒す狼の姿が、なによりも愛しい存在だと認識してしまうのだ。

  「うおおおおおおっ!!!!」

  野生の雄叫びをあげる狼は、もはや正気など皆無だった。

  ただ欲望のまま、己の雄汁を雌穴に吐き出すことだけを考えて腰を振りつづける。

  がつんがつんがつんがつんがつんごりっばちゅんどちゅんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんじゅつっじゅつっぬこっばちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんががつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんごりごりごりごりっがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんがつんっ!!!!

  「んぎいいいっ♡♡!!」

  快感の火花が飛び散りすぎて、目の前は何も見えなかった。

  視界は真っ白になり、ただわかるのは、全身を包み込むボサボサの体毛から溢れる雄の匂いと、体を貫く快感だけ

  「イグっ♡、イグっ♡、イッじゃうぅぅぅぅっ♡!! あ、だめっ♡ また……またイッじゃうからぁぁぁぁあぁぁああっ♡♡!! なんでぇっ♡♡! イグイグイグぅぅぅぅぅぅっ♡♡!! ごわれるっ♡、ごわれるからぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡!!! なんでぇぇぇっ♡、何度でも……イグぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡!!」

  涙も、汗も、よだれも、鼻水も、ザーメンも、そして潮も。

  体中の体液がすべて漏れ出しているように思えた。

  何度もイキすぎて枯れ果てたザーメンの代わりに、俺は間欠泉のように繰り返し潮を吹き上げた。

  そしてそれすらも枯れ果てるほどに。

  俺は生まれたての小鹿のように体を震わせて。

  体を痙攣させるたびに肉穴がびくびくと引くついた。

  キュッ、キュッ、キュッ、キュッ……。

  それは太竿にとっては子種をねだる仕草のように見えたにちがいない。

  「くそ……そんなに俺の種が欲しいのかよ」

  はあはあと息を荒げながら、吐き捨てるおっさん狼。

  「おい、大輝! 俺みたいなおっさんの種が欲しいのか? 俺の子を孕みてえのか?」

  「欲しいですぅぅぅっ♡♡!!」

  もう、俺の頭にはそれしかなかった。

  たとえこのままやり捨てられたとしても、狼森さんに種付けして欲しかった

  ……俺にはもう、この狼獣人しかいないのだ。

  「くださいぃぃ♡! 狼森さんのザーメンくださいい♡!」

  それを聞いて、俺の中のいちもつが膨れ上がるのがわかる。

  興奮の極致でいきり勃った逸物が火傷しそうな熱を持つ。

  「よし、よく言った! たっぷり種付けして、ガキを孕ませてやるからよ!」

  目を血走らせた狼は、旅館中に響くのではと思わせる雄叫びをあげるのだ。

  「ぐおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!!!!!」

  その瞬間、俺は体の中で爆弾が破裂したような衝撃で体をのけ反らせた。

  びゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるる!!!!!!

  

  ものすごい勢いで放たれた雄汁が俺の体の中を駆け巡り、腹を膨らませていくのだ。

  どりゅどりゅどりゅどりゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるるっ!!!

  太い竿から放たれるその勢いは止まることなく、俺を体の中から圧死させようとするかの如く子種を注ぎ続ける。

  「ひぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ♡♡!!!」

  苦しさ交じりの圧迫感に、俺は快感の悲鳴を上げる。

  俺の中に放たれたのは、ただの子種ではない。

  媚薬の原液のような濃い獣人の体液なのだから。

  脳が焼かれて、交尾することしか考えられなくなる。

  ……もっともっと。

  俺はもう、ただ竿を吞み込むだけの肉オナホも同然なのだ。

  ……このまま死んでしまってもいい。

  そんな俺の様子ににやりと笑う狼は、手を伸ばして部屋の受話器を掴んだ。

  「ああ、フロントか。このあんまの兄ちゃん、朝まで貸し切りで頼まぁ。ああ、本人もそれでいいって言ってるからよ」

  「……」

  電話を切って狼は笑う。

  「さあて。大輝のやってくれた睾丸マッサージのおかげで、全然萎えねえや。朝まで何度だって中出しして、俺のことを忘れられねえようにしてやるからな」

  

  その言葉は嘘じゃなかった。

  狼森さんは俺の体を乱暴に使って、満足するまで何度も何度も雄汁を雌穴に注ぎ込んで……。

  ☆

  「ひどいじゃないですか」

  俺はガキのようにべそをかきながら、目の前のおっさん狼に訴えた。

  あまりの激しい交尾で気絶してしまった俺の体は、気が付けばきれいに洗われていた。

  途中で正気に返った狼森さんがきれいにしてくれたのだろうが。

  それにしても、ひどすぎる。

  「いや、すまん」

  決まり悪そうな顔で狼獣人はポリポリと頬を掻く。

  「俺、言ったじゃないですか。初めてはちゃんとお付き合いする相手としたいって……」

  ぐすぐすと鼻を鳴らしながら、俺はうつむいたまま恨み言を言う。

  「こんな行きずりのセックスじゃなくて、ちゃんとした初体験がしたかったのに……」

  「行きずりじゃねえぞ」

  「えっ?」

  その言葉に僕は顔を上げた。

  おっさん狼は、初めて見る真面目な顔で、俺を見ていた。

  

  「心配すんな。責任は取ってやる。……大輝のこと、よ、嫁にしてやるよ」

  「……」

  その言葉に俺は頭が真っ白になる。

  「あの……嫁って……」

  「決まってるだろうが。俺のツガイだ」

  「……」

  ……何を言ってるんだ、この人は。

  「だって、狼森さん、あなたノンケ……いや、普通に女性が好きなんでしょ?」

  俺の言葉に、嫌そうな顔をするおっさん狼。

  「仕方ねえだろうが。交尾してるうちにお前のこと好きになっちまったんだからよ。……なんだ、こんなおっさんだと嫌なのか?」

  「いや、嫌じゃないです」

  無茶無茶タイプだけど……。

  「嫌じゃないけど。あの、別に結婚しなくても……」

  そりゃ初めては付き合った人としたいとは思ったけど、まさか結婚なんてことまでは考えてなかったから。

  そこまで責任取ってほしいなんて、さすがに思わないんだけど。

  だが、目の前の獣人はそうは思っていなかったようだ。

  「何言ってやがる。交尾の最中、俺のもんにするって言っただろうが!」

  「それは……」

  「もうお前のことツガイとして認識しちまったからな。絶対離さねぇぞ。お前は俺の嫁だ」

  「……」

  「このまま一緒に帰って、役所に婚姻届けを取りにいかねえとな。あちこち挨拶にもいかなきゃいけねえし。忙しくなるぞ」

  「……」

  ……どうすればいいんだろう。

  俺は何も言えずに、呆然と立ち尽くすことしかできなかった。