「あっ……あっ……」
ダンジョンの奥深く。灰色のガスに包まれたその場所から、似つかわしくない嬌声が聞こえる。
「あっ……イ、イク……ッ!!」
嬌声の主は手に確かな感触を覚えながら、ピキピキと音を立てて静止していく。
やがてそれは全身に広がり、再びダンジョンに静寂が訪れる頃には、彼の体は灰色に染まり、動かなくなっていた。
――それから3日ほど経過した頃。
そこでは再び嬌声が響き渡っていた。
「うっ……気持ちいい……あっあっ……」
彼はまた石像になろうとしているのか、勃起した逸物に手を添えて尻尾を激しく振っており、興奮を隠しきれない様子だった。
「石像オナニー……クセになっちゃ……ウッ……!」
ビュルルッ。この前の絶頂と比べて、明らかに出る量は増えた。彼の足元には以前よりも白い液体が広がっていて、結果は火を見るより明らかだった。
彼はかつての多幸感に包まれながら、自らをなぐさめる卑猥な石像へと姿を変えていった。
――それから、1週間、2週間、1ヶ月、3ヶ月と、間隔こそ長くなっていくものの、彼は一心不乱にその快楽を求めて股間に刺激を与えていた。
「はぁ……はぁ……もっと……もっとぉ……!」
回数を重ねた影響か、もはや自分一人では達せなくなってしまった哀れなケモノが一人。
そんな折、背後からコツ、コツ……と足音が聞こえてくるのを、頭頂部についた柔らかい二つの耳がしっかりと捉えていた。
距離はまだ遠い――今のうちに無理にでも達してしまおうか…?
そんな考えが彼の頭をよぎる。だが、こんなところでオナニーしている石像なんか、どう考えても異常者がただ石化しただけだろうと見られる。
それなら、いっその事そいつと一緒に石化してしまった方が気持ちいいだろう、そんな邪な考えが思い浮かび、その選択をしようと決意した。
足音は少しずつ彼のもとへと近づいてくる。その姿は見えないままだったが、興奮が収まらない彼はしっかりと股間を勃起させて待っていた。
「シューッ……」
「だ、誰だっ」
そんな問いかけに意味があるはずもなく。あるのは――性欲だけだ。
来訪者の姿が顕になると、彼の心臓はドクドクと主張を激しくした。それと同時に、勃起した逸物もピクピクと震えだす。
全身が灰色の獣人。石の魔物――ガーゴイル?
「まさか……ッ!?」
逸物に閉塞感を覚えた直後、あっさりと絶頂させられてしまった。
「あっ……!?グッ……」
その攻め立ては収まるところを知らず。完全に勃起した逸物は石の獣人に支配され、快楽が絶えず流れ込んでくる。
ビュルッ、ビュルルッ……
一瞬のうちに複数回の絶頂を経験した彼の体は、それまでのものとは非にならないスピードで石に包まれていき、体を仰け反らせて完全に勃起した逸物を突き出した状態で時間を止められた。
(き、きもちい……アッ……ウゥ……)
石と化してもなお、ガーゴイルは彼の逸物を味わうように口に含んでいた。どうやら彼らにとって、石化した獣人の精液というのは活動するためのエネルギーとして欠かせないもののようだ。
(アッ……イクッ……!)
石化しても、まだ感覚はある。むしろ石になったことによって敏感になったような気分だ。射精すると、その振動でまた逸物が刺激されて達しそうになってしまう。
(ア………アアッ……キモチ……イイッ)
凄まじい快楽によって石に塗りつぶされてしまった彼の心は、それを受け入れ、ただただ逸物から灰色の粘液を噴き出す石像に成り果てた。
ダンジョンの奥深く。それまでの空間とは様変わりした、全裸の獣人の石像が並ぶ場所にまた一つ、卑猥な石像が加わった。
それと時を同じくして、犬の獣人の姿をした石の魔物に襲われ、行方不明になる冒険者が後を絶たないという噂も流れ始めたのだった。
その関係を調べようとしたものは全て件の魔物によって口封じと言わんばかりに行方を晦まし、真相は闇の中に葬られたまま、人々の記憶からは薄れていった。
そしてまた一人、何も知らない純真無垢な獣人の子供がそこに足を踏み入れた。
「ひっ、や、やめっ、うぁっ!」
まだ声変わりもしていない、高い声で悲鳴をあげることすらかなわず、快楽に歪んだ表情で彼にとっての『初めて』を迎えたまま、石で染めあげられたのだった。