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ゆめのままに

  あぁ、これは夢なんだろうなと思った。

  「グルルルゥッ!!」

  俺の上げる唸り声がとても恐ろしい、獣の声だったから。

  視界に自分の濡れた鼻と強靭な顎、凶悪な牙が生え揃った口が映り込んでいたから。

  一回りも二回りも太くなった毛むくじゃらの腕から力が間欠泉みたいに迸るから。

  「ひぃ“っ、ぃ”っ、ぃ“ぃ”ぎぃ“ぃ”っ!?」

  ゴツゴツとした手。プニプニとした肉球。鋭く尖った爪。…その先端に血塗れの人がいたから。

  子供みたいに見えるけど、成人の男。無駄なく鍛えられたであろう引き締まった肉体。立派な逸物。立ち昇る雄の香り。

  それに俺はどうしようもなく興奮しているから。そして股間からずるり、と。

  腕よりも太く、鉄よりも硬い逸物が頭を覗かせたから。

  あぁ、これはきっと夢なんだろうな、と思った。

  平々凡々な毎日。決して嫌ではない、退屈でもない。ただただありふれた日々を過ごしている中で。

  仕事帰りに、普段は立ち寄らない道から帰って。その途中に大きなトンネルを見つけた。

  普段ならきっと、俺はそこを素通りしていただろう。だけどなんでか、その時は。そのトンネルに入ろうと思ったんだ。

  黄色くて真ん丸なお月様が照らしてて。街灯も何も無いのにとても明るくて。

  トンネルの入り口は俺をまるで待っていたかのように。柔らかく俺を出迎えてくれた。

  中に入ると、当然、真っ暗で。真っ暗な道を進むうちに、眠気に襲われて…

  「ガァァァッ、グルゥゥゥッ!!!」

  気が付けば、俺は。

  そうだ、化け物、と。かつて人だった、そこらへんに転がっている肉塊に言われた。それになっていた。

  突拍子もない話だ。頭がふわふわとしている。全身が筋肉で重く感じるのに、羽根のように軽い。

  鉄の臭い。肉の臭い。雄の臭い。嗅いでいると感じるのは不快感ではなく、高揚。快楽、愉悦、恍惚、悦楽。

  気持ちいい。ふわふわとして、ドキドキして、バクバクして、気持ちいい。

  だからきっとこれは俺の見ている夢なんだろう。

  俺は地面に雄を、獲物を押さえつけながら、片手で肉塊を拾い上げ口に運ぶ。

  肉を引き裂き、骨を砕く。とろりと溢れ出す髄液がとても甘い。適度な噛みごたえのある肉は今までに食べた事のない、高級な食材のようだ。

  あぁ、旨い。美味しい。気持ちいい。

  ぐしゃ、ぐしゃ、と咀嚼すると手の下の獲物は情けなく声を漏らし、ガクガクと全身を震わせている。

  雄を征服する愉悦に、笑みが溢れだす。

  これは俺の見ている夢。じゃあ、俺のやりたいようにやればいいか。

  夢と気づけば、夢は自分の好きなように出来るのだから。そうしないのは、勿体無い。

  「ガルゥゥゥッ!!」

  言葉が話せない。代わりに出てくるのは獣の声。

  股間から姿を見せた逸物は、ビキビキと。血液が集まり更に硬く太くなっていく。

  自分が見慣れたものとは違う。すらりとした先端。根元には大きな瘤。シンプルで、グロテスクな。

  犯す相手を確実に孕ませるよう設計されたモノ。

  男を、雄を犯す趣味なんて俺には無いけれど。無いはずだけれど。今は、俺がこうしたいと思っている。

  手の下の雄を蹂躙し、一方的な交尾を、種付けを。したいと体が求めている。

  喉が渇いた時に水を欲するように。そう求めている。

  獲物の体勢を変えさせる。動いたら殺す。そう言う代わりに首元に爪を突き立てる。

  「ひっ、ぃ“っ…」

  その意味を理解したのか、雄は大人しく俺の恫喝に応えた。両手、両肘、両膝を地面に突き、尻を突き出させる。

  いい臭いがする。熟成された雄の香り。汗の香り。むわぁ、と漂う密度が感じられる臭気。全てが俺を昂らせる。

  俺は雄に覆いかぶさった。俺の体は事も無げに雄の体をすっぽりと包み込み、飲み込んだ。

  雄の尻の谷間。肛門に。…俺は知っている。雄穴。雄膣に。

  逸物を充てがう。

  凶悪な逸物をとても受け入れられそうに無い。雄穴を先端でなぞり、そして。

  俺は知っている。雄を知らない雄を。

  ぎ、ぢぃ、ずぶ、ずぶっぐるぅっ♥

  「ひっぎぃ”ぃ“ぃ”ぃ“っ!?!?!!」

  蹂躙し、蹂躙し。雌の悦びを叩き込む事が、途方もない快楽であると。

  全身を激しく痙攣させながら涙と鼻水で激痛に歪んだ顔を彩っていくのが、欲望の火に油を注ぐ。

  雄の中はとてもきつい。大概へ排出させようと激しく腸壁が蠢き、雄穴が収縮を繰り返す。

  しかし当然、そんな程度の反抗で俺の逸物が吐き出される訳もない。

  「ハァァァッ…!」

  むしろ竿を肉の塊で覆われ、圧迫される感覚は手では得られない快楽。

  根本を締め付けられると先端の感覚が敏感になり、その快楽は何倍にも膨らんだ。

  まだ挿入しただけだというのに。俺は息を漏らし血が混ざった唾液をダラダラと溢れさせる。

  腰の奥が熱い。逸物に血液が集まってより硬く太く。雄の腸壁を圧迫する。

  「ぎっ、ぃ“っ、ぉ”っ…ぁ“っぁ”ぁ“ぅ”ぅ“っ!!」

  雄の苦痛の声が、耳に心地いい。もっと聞かせて欲しい。

  俺はにんまりと頰を釣り上げると雄へと体重をかけた。

  そしてがっしりと雄の両手を掴み、俺は腰だけを大きく引く。

  ずるるっ、ずるぅっ♥

  半分ほど抜き取ると雄穴は捲れ上がり、腸液と先走りに塗れた俺の逸物が外気に晒し出される。

  引き抜く際の抵抗感は、挿入する時とまた違ったもので。腰がビクビクと震えてしまう。

  我慢できない。この快楽を我慢なんて出来ない。

  「アォォォォンッ!!!」

  俺は真ん丸の月に向かって遠吠えをぶちかますと。

  ずぶんっ♥

  「ぃ”ぃ“ぃ”ぃ“っ!?!?」

  先ほどよりも強く激しく大きく。逸物を雄穴にぶち込んだ。

  きつく締め付ける雄穴、蠢きまわる腸壁、雄の絶叫。

  嬉しい。気持ちいい。愉しい。単純な言葉に出来る快楽。それらが混ざり合って俺は満たされていく。

  高みに辿り着きたい。腹の奥で渦巻くマグマを解き放ちたい。

  その欲望に俺は忠実に。腰を振り始めた。

  ずんっ、ずんっ、ずどっ、じゅぼっ、ばぢゅんっ♥

  雄の尻に俺の腹がぶつかる。雄穴にねじ込まれた雄穴が雄膣を蹂躙する。

  雄は言葉にならない絶叫を上げ、背筋を仰け反らせた。その顔は見るに堪えないものであり…

  「グゥゥゥッ!グルルゥ”ゥ“ッ!!」

  俺の欲望に、やはり油を注ぐだけ。

  雄の片手から手を離すと俺は雄の口に指をねじ込み、口角を無理矢理上げさせた。

  その間も腰を振り、雄の中をかき混ぜる。

  …少し硬い部分があって、そこを突くと雄穴の締まりが良くなる事に気が付いたから、重点的にそこを突いて。

  「ひん”っ、ぁ“っ、ぉ”っ、ぃ“っ…ぁ”っ、ぁ“っ♥ぁ”っ、はぁ“っん♥」

  口角を上げさせ、少し硬い所を突き続けると雄の声が徐々に上ずっていくのが分かった。

  顔を良く見てみると、恐怖と絶望に怯え竦んでいた瞳が徐々に蕩けている。

  キャパシティを超えた激痛と絶望に、脳が壊れてしまったのだろう。

  だから、吊り上げられた頬から快楽を感じ取り。その快楽に縋りつく。

  抵抗する事はもう無いだろう。そう判断した俺はもう片方の手を離し雄の逸物へと手を伸ばす。

  …どくんっ、どくんっ、と脈動し、勃起し始めている。先走りが溢れ出し、地面へびちゃびちゃと落ちていく。

  逸物から手を離し、腹を抱えると。引き締まった腹が、俺の逸物の形に膨らんでいるのが分かった。

  「グルゥゥゥッ!!」

  「ぁ”っ、ぁ“っ♥ぁ”っ、ぉ“ぉ”っ♥」

  ずぶんっ、がぢゅんっ、どぢゅんっ♥

  さっきよりも強く激しく大きく腰を振ると、雄は俺の腰の動きに合わせて紛れもない嬌声を上げ始めた。

  雄穴も適度に締まり、腸壁がより活発に。今度は俺を受け入れるように蠢き始めた。

  気持ちいい。手で扱くよりも何百倍も気持ちいい。

  俺は雄の逸物を軽く扱きながらやはり口角を無理矢理上げさせ、雄の首筋にマズルを近付けた。

  ぐぱぁ、と口を拡げ、雄の肩に噛みつく。

  「ぁ“っ、ぁ”っ、ウゥ“ゥ”ンッ♥」

  俺のモノ。この雄は俺のモノだ。そう示すための、マーキング。

  肩に牙の痕を何度も何度も刻み込むと、雄は上ずった声を上げ、目を蕩けさせ、全身を何度も何度も痙攣させた。

  腰を振る。雄膣を突き上げて。みっしりと詰まった肉体を押し潰す。

  雄の鼓動が体を通して響いてくる。雄の体温が、臭いが、肩から滴る血の味が。

  「グルゥゥッ!ゥ”ゥ”ッ!!」

  俺の快楽を押し上げる。逸物の根元にマグマが滾っているみたいだ。

  解き放ちたい、注ぎ込みたい。このマグマを外へ、雄膣へと吐き出す快楽は、どれほどのモノなのだろう。

  知りたい。だから俺は、ありったけの力を込めて腰を振った。

  「ひん”っ♥ォ”っ、ぁ”っ、ァ”ォ”ッ♥ォ”ッ、ォ”ッ♥」

  俺の腰の動きに合わせて雄は声を絞り出し、逸物から断続的に先走りを噴き出させた。

  そしてそこにいつしか。

  「ァ”ッ、ォ”ぅぅ”っ♥ぅ”ぅ”ぅ”んっ♥」

  びゅぐるっ、びゅるぅっ♥びゅるっ、びゅるぅぅっ♥

  精液を混じらせた。

  快楽に歪んだ雄の顔は、とても淫らで。軽くしか触れていない逸物から精液が溢れ出す。

  達した事によって雄穴はより強く、切なく。俺の逸物を締め付け、扱き上げた。

  腸液が大量に分泌されて。ぬるぬるとした感触が心地よくて。

  「ガァ”ッ!ァ”ゥ”ゥ”ゥ”ッ!!!」

  背筋に稲妻が走る。マグマがどんどん膨らみ昇ってくる。

  俺は両手を雄から離し、地面をがっしりと掴んだ。尻尾を雄に絡ませ…

  一気に。

  ずぶぐるぅぅっ♥ず、ずぶんっ、どぢゅんっ、ばぢゅんっ♥

  逸物を引き抜き押し付け捻じ込む。骨が軋み、肉体が弾ける。

  絶頂の予感に、俺は牙を食い縛った。気持ちよすぎて、頭がぼんやりとする。

  何度か抜き差しを繰り返すと雄はもはや声にならない声を上げながら口から泡を吐き、白目を剥いた。

  きゅんっ、きゅんっ♥

  腸壁が小刻みに震え、俺の逸物に絡みつき脈動する。包み込まれるその熱に。

  アォォォォォンッ!!!

  俺は吼えた。

  …どっぶっ、ぶぐびゅるぅっ♥びゅるぶびゅびゅぶりゅぅぅっ♥ぶりゅっ、ぶりゅびゅぅぅっ♥

  「~~~~ォ”ッ♥ォ”ッ、ァ”ァ”ィ”ィ”ィ”ッ♥」

  雄の悲鳴のような絶叫が、耳に心地よい。

  腹の奥、逸物の根元からマグマを。精液を解き放つ解放感。注ぎ込む愉悦。

  ただただ、気持ちいい。唾液を飲み込む事も忘れて、うっとりとしてしまう。

  いつもだったらほんの数秒しか持続しない快楽が何十秒も、何分も続く。終わらない。終わりが見えない。

  注ぎ込む精液の量に、生産される精液の量が追い付いていない。

  雄の腹の中を満たしている。雄の腹に触れるとどくんどくんと、俺の精液の熱が伝わってくる。

  どんどん膨らんでいる。満たされている。それでも俺の射精は終わらない。

  射精の快楽に浸っていると根本の瘤が俺の意志と無関係に動き始めた。

  それはどんどん先端へと向かい。

  「ぃ”っ…♥」

  雄穴を。限界まで拡がっている雄穴を。更に割り拡げる。

  がっ、ずっぢゅぶぅ”っ♥

  「ヵッ…♥♥」

  雄穴を通り抜けると。雄の中で瘤が膨らんだ。がっちりと逸物が固定される。

  俺自身、抜こうとも思っていないが…これで逸物が抜ける事は無いだろう。

  俺が体を動かそうとすれば雄の体も引きずられて動く。

  どんどん注ぎ込む。気持ちいい。

  雄の腹が更に膨らむ。どんどん膨らんで、本当に孕んだみたいで。

  「おぶっ…ぉ”ぇ”っぇ”ぇ”っ♥」

  雄は口や鼻から。俺の注ぎ込んだ精液を逆流させた。

  それがちょっと癪に障るけれど。吐き出した分、注ぎ込めばいい。

  アオォォォォンッ!!!

  俺はもう一度遠吠えをする。

  自らの存在を確かめるように。

  「ンッ…アゥ”ッ…」

  目を覚ます。目を擦る。

  最初に感じたのは違和感。空気の臭いがさっきまでと違う。澱み、汚れた空気の臭い。排ガスの臭い。

  …夢から覚めてしまったようだ。あぁ、やっぱりさっきまでのは夢だったんだと。

  それはそうだと半分がっかりしながら。半分納得しながら。俺は瞼を開く。

  月明かりが眩しく見える。

  あれ?なんで月明かり?俺はトンネルの中に入ったんじゃなかったっけ。

  遠くに車の走る音。賑やかな喧噪。

  俺は体を起こす。

  「…ガゥッ…?」

  俺は疑問に声を上げた。あれ。俺…俺?おれのからだ…

  両手を上げると。目に映るのは毛むくじゃらで、太い腕。漲る力。

  「アゥッ!?アォ”ッ!?」

  声が出ない。代わりに出るのは獣の声。

  あれ。これは、俺の体?俺は…あれ?俺は、なんだったっけ?

  辺りに散らばるスーツと鞄。俺が持っていた…持っていた?

  俺…俺…?

  「ォ”ッ、ォ”ッ♥ゥ”んッ♥」

  俺の耳に飛び込む。雄の喘ぎ声。視線を向けると、そこに居るのはさっきまで俺が犯していた雄。

  ぼっこりと膨らみ切った腹を愛おしそうに撫でまわし壊れた笑みを浮かべて。

  あぁ。これは、夢だ。

  まだ夢が終わっていない。じゃあ、いいか。俺がなんであろうと。なんでもいいか。

  …ムクムクと股間に熱が集まる。グゥゥ、と腹の虫が鳴く。

  もっと犯したい。もっと食べたい。もっともっともっと。欲望が赴くままに。本能が赴くままに。

  「アォォォォンッ!!!」

  俺は頬を吊り上げて。満月に向かって吼えた。

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