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亡国の狼将、性奴隷の果てに

  目の前を通り過ぎていく多数の雄。いかにも裕福で、傲慢で、私利私欲の為だけに生きているのが分かる。

  それに対して。

  

  「へっ、へっ、へぇっ…」

  

  上目遣いに舌をはみ出させながら懇願する様な表情を浮かべる。屈強な肉体。古傷のついた全身。

  大きな三角形の耳につけられたのはタグ。それは彼―狼が奴隷であることの証でもあった。

  もう数年経つだろう。とある国の将軍として戦い…そして敗北した。敗北した国の将軍。

  末路は悲惨なものに違いなく。彼は奴隷として売られ…今こうして生きている。

  処刑をされなかっただけでも良かったと考えるべきか。それともまだ処刑されていた方が幸せだったのか。

  狼はぼう、とする頭で遠く考えながら…目の前の雄に媚びる。

  雄が居るなら奉仕する。それが彼に叩き込まれた唯一の生きる手段。

  娼館で幾度も見知らぬ雄に抱かれた。飽きられれば売られた。

  乱雑に扱われ、奴隷の性処理道具として扱われたこともある。

  性奴隷として使われ続けるうちに彼の心は真っ黒に蝕まれていった。ただ生きるだけ。

  その為になら、なんだってする。そこに意味や目的は無い。

  拡がりきった雄穴からごぼり、と腸液が溢れ出し、幾重にも紐を巻き付けられた肉棒からとろとろと先走りが溢れ出す。

  

  「ふむ、かなり淫乱なのはいいが…少々年がな。」

  

  手に持った資料を見ながら狼の頭を撫でるのはでっぷりと膨れた腹の商人風の雄。

  そして隣に立つのは狼の売り手の代理人。ニコニコと空白の笑顔を浮かべながら必死に説明を始めていた。

  

  「そうなんですよね、ですが、その分技や体の方はしっかりと磨いています。ほら。」

  

  手に持った紐を引っ張る。紐の先は狼の首輪に繋がっており…持ち上げられれば首が締まる。

  ぐえ、と蛙の潰れたような声を出しながらも…狼は目じりを下げながらどぶどぶ、と先走りの量を更に増させた。

  痛みや苦痛が快楽に直結するよう調教され、開発された。

  今の狼にとって拷問はご褒美に似ている。びくびくっ、と快楽から震え、唾液を垂らした。

  

  「うへぇっ、ぐへぇっ…ちんぽっ…せーえきっ…そそいぐぶぅっ!?」

  

  蕩けた表情を浮かべていた狼の口に商人の指が捻じ込まれた。

  逸物から感じるものより薄いが、確かに雄の味。狼はその指を必死にしゃぶる。舌で丹念に舐めまわし、甘く噛む。

  口の中をかき混ぜられると頬が紅潮し耳が自然と動き。尻尾も振られてしまう。

  

  「ふむ…確かに口の使い心地は悪くなさそうだ。」

  

  「そうでしょう?それに…こちらも。」

  

  商人が指を離すのを確認すると代理人の男は狼の頭を掴むとどしゃぁ、と仰向けに倒した。

  そして足で太腿を軽く蹴る。狼はそれに即座に反応し、股を開いた。

  

  「あっ、んひぃっ…♪」

  

  使い込まれ黒ずんだ雄穴は、しかし華麗に、赤黒い薔薇を咲かせているように。

  そして腸の奥まで見えるようで…腸壁は蠢き汁をただただ滴らせている。

  射精を禁じるために鈴口には棒を数本捻じ込まれ、紐を幾重にも根元につけられ。膨らんだ睾丸は今も解放の時を待ち、どくんどくんと脈動している。

  それはグロテスクで、淫靡で。見るものが見れば芸術品としてすら扱われるだろう。

  だが。商人は腕を組みうぅむ、と考え込む。

  

  「これだけ使い込まれているとうちの店では使えませんなぁ…」

  

  「では奴隷用の性処理にどうでしょう。今なら半額でもお売りいたしますよ。」

  

  自分の価値がどんどんと下がっていく。今では子供の玩具と大して変わらない金額で買われる。

  屈辱的で。でも、生きるためにはそうするしかなくて。もはや涙も出ない。

  買ってくれ。そしたら肉欲にまみれ、何もかも忘れられる。快楽を。逸物を。雄を。

  しかし商人は資料を代理人に返した。

  

  「別の商品を見るよ。こいつはうちでは使えない。」

  

  「そうですか…なら、次はこちらへ。」

  

  資料をしまいながら代理人は狼の紐を手放し、そしてどこまでも冷たい目で狼を見下した。

  売れない商品。奴隷。行く末は。

  

  [newpage]

  

  「…すまない、ここの商品の売り手は?」

  

  奴隷市場の閉場時間ギリギリに、一人の雄が狼の前に現れた。

  それは漆黒の毛並みを全身に纏い、金色の瞳に鋭い光を携えた…おおよそ奴隷市場に縁のないであろう、兵士の風貌をしている、豹。

  黒豹の声に代理人はしまいかけていた資料などを急ぎ取り出しながら黒豹に近付く。

  

  「私です。何かご入用で?」

  

  狼はぼんやりとした頭で黒豹を見上げる。どこかで見たような気がする。誇らしく、勇ましく。

  まぁ、誰でもいい。買ってくれるなら。肉欲に溺れさせてくれるなら。

  疲弊した心は何かに縋りつくことしか出来ない。黒豹の方へと四つん這いで近付き、犬のように座ると舌をはみ出させた。

  

  「あぁ。…奴隷が一人必要なんだ。」

  

  「そうでしたか。どのような奴隷で?あいにく余りものしかありませんが…」

  

  黒豹の足元まで近付き、狼は愛玩動物のように喉を鳴らす。ごろごろと。甘えるように。

  首輪に、タグに、拘束具に。全裸を晒し、痴態を見せつける。

  黒豹の浮かべる表情は逆光で見えない。だが。ふぅぅ、と大きく一息吐いて。

  黒豹は狼を指し示した。

  

  「これを貰おう。いくらだ。」

  

  平坦な声に、狼はぱぁ、と明るい表情を浮かべ、黒豹の膝へ頬を擦らせた。

  嬉しい。これで見えない何かに怯えなくて済むのだ。

  縋るものを見つけられたのだ。

  

  「こちらでよろしいのですか?他にも…」

  

  「こいつでいい。で、いくらだ。」

  

  黒豹の有無を言わさない口調に男は少しだけ背筋を強張らせ、そして契約書を差し出した。

  その契約書に刻まれた価値は。

  黒豹は僅かに目を見開き、そして直ぐに首を振り…サインを走らせる。

  

  「…ご契約、ありがとうございます。もし何かありましたらご連絡を。」

  

  恭しく礼をする代理人に何も応えず。黒豹はしゃがみ込むと狼と視線を合わせた。

  狼はただただ嬉しそうに、喉を鳴らすだけだった。

  

  [newpage]

  

  「ごしゅじんさまぁ…?」

  

  黒豹の部屋まで連れて帰られた狼は新しい飼い主に媚びるような声を上げた。

  豪勢な屋敷だが、彼の部屋自体は殺風景な物だ。ベッドに机と椅子。鎧がいくつか置いてあるだけで…

  他には何もない。部屋に来るまでの間も、特に調度品が置いてある訳でも無く。ただただ、空虚で豪勢な屋敷。

  鍵を閉めると…黒豹は振り向き。その顔を屈辱と恥辱に歪め。ぼろぼろと大粒の涙を溢していた。

  何故黒豹は涙を流しているのだろう。狼は首を傾げながら、黒豹へと近づく。

  

  「申し訳…ない…!私は…!俺は!」

  

  その声は、奴隷市場で聞いたものと違った。感情がこもり、別の声に聞こえる。

  そしてその声は。

  狼の脳をチリチリと焦げ付かせた。

  聞き覚えがある。何度も聞いたはず。誰だっけ。新しい飼い主は。

  なんでも良いよ。早く、早く。

  ねだろうとしたその時。黒豹は強く、強く狼を抱きしめた。

  暖かくて、優しい匂いがする。今まで自分を買ってきた人たちとは違う匂い。

  黒豹は狼を抱きしめながら、何度も鼻をすすり、震えていた。

  どうしたんだろう。こんな自分に、なんでそんなに涙を?

  虚ろな狼の目に。飛び込む鎧。そこに刻まれた紋章は。

  

  「…あ…お…前…は…!」

  

  芋づる式に記憶が呼び起こされる。そうだ。会ったことがある。

  剣を交わしたことがある。

  自分の国を滅ぼした国の一つ。その、将軍だ。

  好敵手と言える相手だった。強かった。彼と戦っている時には心が躍った。

  敵ながら賞賛に値する相手だった。

  何故、自分を買った?何故、自分の国を滅ぼした?

  疑問と怒りがふつふつと沸いてくる。しかし、体はもはや戦う事も忘れた。雄の体温と臭いに反応してしまう。

  一瞬握られた拳は、すぐに力を緩め…ただただ黒豹に抱きしめられたまま、狼は尻尾をゆらり、と揺らす。

  

  

  

  [newpage]

  「んっ…」

  

  マズルを交わす。そして唇を重ねる。黒豹の体温は狼よりも高い。きっと、昂っている。

  余裕の無い表情をしていた。恐らく行為になれていないのだろう。そう、奴隷など買ったことも、見た事も無かったはずだ。

  

  

  少しずつ、黒豹が狼に語った事。

  狼の国は、確かに一度滅びた。しかし狼が居ない間に、黒豹の国の一部としてだが、独立しており…狼以外の兵士や王族は無事であること。

  本来なら狼もそこに居られたはずだった。しかし。

  

  

  「俺…こんなことして…いいのか…?」

  

  「はい。…今の私は、貴方のペットですから。」

  

  黒豹の震える、そして消え入りそうな小さな声に狼はこくりと頷いた。

  交わした唇を離し、黒豹の首筋から胸元へ、長い舌を伸ばす。黒豹はびくびく、と背筋を震わせ、目をぎゅっ、と瞑った。

  

  

  狼と敵対していた時から、すでに黒豹の心は動いていた。彼と共に歩みたい。生きていきたい。共に、永遠に。

  国の一部として独立するまで混乱は続いた。そしてそれが全て終わったら狼を迎え入れようとしていたのだ。

  

  

  ぴちゃ、ぴちゃ、とわざと音を立てながら黒豹の乳首や乳輪を丹念に舐めまわす。片手で下着に包まれている逸物を摩ると、黒豹は小さく喘ぎ声を上げ続けた。

  

  「ぶはっ…ご主人様は、ここがお好きですか?」

  

  胸筋が作り出す谷間。その境目に舌を這わせながら狼は少々意地悪く囁く。

  涙目になりながら、頬を紅潮させながら。黒豹はこくりと頷き。しかし。

  

  「ご主人様は…止めっ…んぁっ…!」

  

  黒豹は力ない反論をしようとするが、狼の愛撫に背筋を仰け反らせ、逸物から先走りを溢れさせているのだろう、下着を濡らして。

  それは狼の肉球にべったりと染みついた。

  

  

  

  黒豹を妬むものや、黒豹を自分のモノにしようとするものが居る事を、黒豹は知らなかった。

  そして黒豹を貶めるために。苦しめるために。自分の方へ向かせるために。

  黒豹の好意が向いている狼を、誰かが。誰か達が。奴隷として外へと売り飛ばしたのだ。

  

  

  

  肉球についた先走りをぺろり、と舐めると狼ははぁぁぁ、と深く恍惚の息を吐いた。

  塩辛い液体は狼の脳に幸福をもたらす。そのように体は開発されつくした。

  黒豹の身に着けている下着をずらす。行為への期待からぶるん、と逸物が零れだし、狼のマズルを叩いた。

  雄の臭いが狼の鼻を突き抜け、表情を蕩けさせる。大きさも太さも今まで見た雄の中でも相当上物だ。

  うっとりとしながら頬擦りをすると黒豹の逸物はむくむくと更に大きさを増し、先走りを狼のマズルへと垂らす。

  

  

  

  売り飛ばされた狼。その歩んできた人生を、黒豹は知らない。しかし、必死に。国の軍事を支えながらも黒豹は狼を探し続けていた。

  

  

  

  年の割に綺麗なピンク色をした逸物。気が済むまで頬ずりをすると、狼はぐぱ、と口を開け唾液と先走りを混ぜた液体を逸物に纏わせ、手で軽く扱く。

  ごつごつとした手からは想像もつかないほど繊細で、艶めかしい動きに、黒豹は何度も、ベッドが軋むほど背を仰け反らせる。

  ぬちぬちと淫靡に、いやらしい音が狼の脳を、体を支配する。あぁ、この雄に奉仕できる。

  

  

  数年の時を経て、ようやく狼の手がかりを手に入れた。…既に彼はヒトとしては生きていられない。生きていけない。

  そこまで調教され、開発され、使い尽くされた。

  性処理用の道具として。奴隷として。肉便器として。

  それでも黒豹は、狼へと近づいた。

  

  

  

  びくんびくんと大きく脈動する逸物から手を離し、狼はマズルを大きく開ける。逸物を咥え込もうとするが…

  

  「まっ、待ってくれ…」

  

  その言葉に狼はぴたり、と動きを止めた。

  開いた口からは唾液が止めども無く溢れ出し、黒豹の下半身を汚した。狼の吐息が逸物に、睾丸に纏わりつき、それだけでも黒豹は達しそうになる。しかし、それを押しとどめながら黒豹は。

  

  「俺の事を、俺達の事を…恨んではいないか…?」

  

  心の底からの言葉。それを狼にゆっくりと投げる。

  狼は口を閉ざして。しかし黒豹をまっすぐに見据える。その瞳は妖艶で。熱く、鋭く、冷たく。

  様々な感情がこもったものだった。常人であれば目を逸らしてしまいたくなるような色だった。

  

  「…恨んでいない、と言えば嘘になる。」

  

  狼は黒豹のペットとしてではない。自分の言葉を彼に返す事にした。

  数年間。行き過ぎた快楽を与えられ、精液無しでは、行為無しでは、雄無しでは生きられない体にまでされた。

  恨まない訳が無い。憎まない訳が無い。

  しかし。過去には戻れない。謝罪をされた所で、元の場所に戻れたところで。

  ならば。

  

  

  「過ぎてしまった事だ。起きてしまった事だ。きっと、誰も悪くなかった。お前は俺を探し出し、救い出した。買ってくれた。下手をすれば、俺は処分されていた。」

  

  狼の言葉に、黒豹はぎりっ、と狼の耳にまで聞こえるほど激しく牙を食い縛る。

  

  「今ここに居る。今こうして居る。それでいい。お前の…貴方の…ご主人様のペットで居られるなら。私はそれが幸せです。」

  

  「ッ…!」

  

  黒豹は起き上がるとがばっ、と狼を抱きしめた。

  何度も謝りながら、それでも足りないと言わんばかりに。涙を溢し、狼の肩をぐっしょりと濡らした。

  狼は…優しく、その背中を摩る。

  何度も、何度も。

  どくん、どくん、と心地よい鼓動。無間とも、永遠とも言えるほどに長く。抱きしめ合い。

  やがて狼ははぁっ、と熱い息を黒豹に吹きかけた。

  

  「さぁ…ご主人様…私を使って下さい…」

  

  「…あぁ…」

  

  狼の言葉に。黒豹は短くそう返すと、狼を抱きしめながら仰向けに寝転がる。

  狼は黒豹の下半身へ、逸物へ手を伸ばすと…自らの拡がりきった雄穴へ亀頭を宛がった。

  部屋を灯していた火はすっかり縮こまり、今や彼らの姿を僅かに映し出すに留まっているが…それでもなお、狼の痴態は黒豹の目にくっきりと映る。

  勇壮だった頃の面影はまるで無い。浅ましく呼吸を荒げ、期待から唾液を垂らす、その姿は。性奴隷。ペット。そんな言葉が似合ってしまう。

  亀頭に吸い付く雄穴は緩く、締め付ける、という感触には遠い。それだけ使い込まれたのだろう。

  ずぶ、と亀頭の先端が雄穴へと吸い込まれていく。

  

  「~~~ッ!!」

  

  黒豹は狼の体を強く抱きしめながら牙を食い縛った。

  亀頭を雄穴に挿入した瞬間。狼の腸壁が激しく蠢きだし、黒豹の逸物を一気に吸い上げ、包み込み、蠢き始めたのだ。

  その感触は今まで黒豹が味わったことの無い快楽。痺れる。脳が、体が。

  ぎゅう、と強く。筋肉で型どられた胸が変形するほどに。狼の体を自分に押し付ける。

  狼はがはっ、と少々苦しそうに咳をする。しかしその表情は恍惚一色に染まっていた。

  

  「あっ、あはぁっ…♪ちんぽぉっ、きらぁ…♥」

  

  聞くだけで脳を欲望に染め上げていく。誘惑の言葉。ビクビクと細かく体を震わせ、体内に入り込んだ肉の感触を味わっているようだ。

  黒豹は余りの快楽に動くことが出来ず、ただただ狼を折れんばかりに抱きしめる。

  狼は体を僅かに捩じり、黒豹の胸に手を這わせながら、ゆっくりと腰を沈めていく。ずぶずぶと野太く、立派な逸物が飲み込まれて。あっという間に全て飲み込むと…狼は目を上に向かせた。

  

  「あっ、あはっ、はぁぁっ…ちんぽぉっ…しゅきっ…んぉっ…♪」

  

  ぽっこりと黒豹の逸物の形を浮かび上がらせる腹。それを撫でながら狼は幸福そうに言葉を絞り出す。

  行為は始まったばかり。だというのに、黒豹は既に息を荒げ、射精への期待から逸物を激しくびくつかせている。

  自分の孔でここまで感じている。自分がしっかりと使われている事が分かる。それが今の狼にとっては何よりも幸せだった。

  きゅう、と雄穴を軽く締め付けると黒豹はぐぅっ、と呻くような声を上げた。

  腰を僅かに動かす。腸が捩じれ、腸壁が黒豹の雁首や裏筋を優しく扱きあげる。

  びくんっびくんっ、と黒豹の逸物が震え、狼の腹を押し上げた。

  

  「つぁっ…!やっ…!!」

  

  「せーえきっ…だしてぇ…♪はやくぅっ、そそいでくだひゃっ…んひぃっ…♪」

  

  ねだり、媚びる。上目遣いに、耳を畳み。淫靡に表情を崩し。

  罪悪感と背徳感。支配する優越感と充足感。

  相反する感情が黒豹の頭を支配していき…黒豹は気が付けば腰を動かし始めていた。

  

  「グゥゥッ!」

  

  唸り声をあげ。狼の雄穴から半分ほど逸物を抜き取ると勢いよく狼の腹の奥へ叩き込む。

  ずごんっ、と狼の体内で鈍い音が鳴り響き、狼はその反動で全身を激しく震わせるとびゅるっ、と先走りと精液の混ざった液体を逸物から溢れさせた。

  互いの体が粘液にコーティングされ…部屋の中に青臭く、濃密な雄の臭いが充満し始める。

  黒豹の腰の動きが徐々に激しさを増していく。狼の腹がその度に黒豹の竿の形をはっきりと映し出して。

  

  「んひっ、あっ、んぁぁっ!んぉっ、おほぉっ!?」

  

  はしたなく嬌声を上げる狼の肩に黒豹は軽く噛み付き、何度も牙を突き立てる。

  血がうっすらと滲んでも、黒豹はその行為を止めようとはしない。

  過去は変えられない。未来を見る事は出来ない。自分達が干渉できるのは、今だけ。なら。

  今この時。互いの求める事を。

  

  「ハァッ…!」

  

  血生臭い吐息が狼の首筋を撫でていく。ごづんごづんと肉がぶつかり、腹の中で弾ける。

  本能が知っているのだろう。黒豹の亀頭は的確に狼の前立腺を抉り、雁首や逸物の根元は腸壁をこそぐ。

  

  「んぁっ、あっ、んんんぅっ!んがぁぁぁっ!!」

  

  僅かな痛み。そしてそれ以上の快楽に。狼は白目を剥き、がむしゃらに、ひたすらに吼え。

  腸液と先走りが混ざった粘液が潤滑を良くすると黒豹の腰の動きが大きくなっていく。

  雁首近くまで引き抜かれ、また叩きつけるように根元まで捻じ込まれる。睾丸が狼の尻を何度も叩き。

  びたんっ、びたんっ、と水の音まで混ざり始め、ベッドは軋み濡れていく。

  

  「あ”ぁっ!ぐぅっ!ぐるっ、メスイギっ、ぐるぅぅっ!!」

  

  黒豹の背中に手を回し、狼は頬を紅潮させながら叫んだ。

  黒豹は優しく―だがどこか威圧的に―微笑み、狼の耳元で囁く。

  

  「イっても…いいっ…!」

  

  「あ”っ…あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!!!」

  

  黒豹の舌が狼の耳に突き入れられ。同時に腹を抉られると…

  びゅるっ、びゅるるっ、どびゅるるっ、ぶびゅるるうるっ!

  壊れてしまったのではないかと思わせるほど狼は黒豹の中で全身を痙攣させた。

  同時に噴き出した精液が黒豹の、狼の顔にまで降りかかる。真っ白に染まって。

  雄穴が締まる。腸壁が今までしていなかった動き―絞るように。黒豹の逸物に絡まりつく。

  動かそうとすれば無数のヒダが絡みつくように。それはさながら絹で出来た布で摩られるように。

  

  「グァッ!アガァァァァァッ!」

  

  それがトリガーとなり。黒豹は数回腰を動かし…先程まで最奥だと思っていた場所より深い場所まで亀頭を捻じ込み絶頂に達した。

  狼の腹が凄まじい勢いで膨らむ。ぼごっ、と膨らみ…噴精は止まらない。

  狼はもはや声を出す事も出来ず、ただただ注ぎ込まれ、充たされる感覚に壊れたように笑うだけだった。

  下腹部を。ひいては腹全体を膨らませるほどの精液を注ぎ込まれ。

  それでも尚黒豹の逸物は収まりそうにもない。

  

  「ごしゅじんさまぁ…♪」

  

  「…あぁ…」

  

  狼の甘えるような声に、黒豹はこくり、と頷き。顔元まで飛び散った精液を口に含むと狼の唇を奪った。

  苦く、えぐく。それでも幸福の味がする。狼の口腔内に舌を突き入れ。粘膜を削ぐ。

  狼は全てを受け入れたかのように体の力を抜き。黒豹のなすがまま。されるがままに。

  その身を快楽に揺蕩わせた。

  [newpage]

  

  「その…えと…」

  

  身に着けた礼服。それは婚儀の際に使う衣服だ。狼はそれを身に纏い、黒豹の前に立っていた。

  タグがつけられていた耳。代わりにつけられているのはきらり、とルビーがあしらわれたピアス。

  黒豹の耳にも同じようにルビーのピアスがついており…セットになっている。

  狼の姿を眺めながら黒豹は顔を赤くしながら…狼に近付いた。彼の身に纏っている衣服も、狼と同じ。礼服。

  

  「私…俺で…いいのですか?」

  

  狼の言葉に、黒豹は何も言わず。ただただ狼を抱きしめた。

  誰もいない。二人だけの儀式。

  

  「あぁ。…はい。あの時、一緒に居られなかった。助けられなかった。俺で…私でいいのなら。貴方と共に。」

  

  黒豹の言葉が狼の耳に溶けていく。どこまでも優しく。

  快楽や愉悦とは違う。心が温まるような。温まりすぎて、顔が熱くなってしまうような。

  とくん、とくん。

  鼓動の音が少しだけ早くなる。それはきっと、お互いに。

  互いの顔を互いの首に埋め。

  顔をあげると。

  目を軽く瞑り。

  どちらともなく。唇を交わす。

  啄むように。けれど、何度も。

  外から。

  鳩の鳴き声が。暖かい風が。穏やかな光が。

  彼らを祝福するように。

  部屋の中へ、舞い降りた。

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