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狼勇者が竜の淫魔に洗脳される話

  「よし、乗り込むぞ!」

  

  「「おぉぉぉ!!!」」

  

  勇敢な鬨の声を上げるのは鍛え上げられた虎や獅子の獣人。

  

  そしてそれを率いるのは左目に傷を負い、開くことの出来ない瞳を持つ、狼の勇者。

  

  先天的に素晴らしい魔力と知力、そして体力を持ち、そして自らを厳しく律し鍛えてきた彼。

  

  まさに勇者たるにふさわしい能力と人望で、今まさに魔王討伐へ向かう所だ。

  

  何度破れても、その度に彼らは強くなり、魔王に立ち向かい続けている。

  

  強靭な脚力で魔王の城へ乗り込むべく、走る。走る。

  

  並みいる魔物を蹴散らし、イバラの道を突き進む。

  

  そして。魔王の城が見えてきた。その迫力は凄まじいもので、弱者は見ただけで発狂してしまうだろう。

  

  しかし彼らはそんなものに動じはしない。己の得物を手に、一歩踏み出す。と。

  

  すぅ、と門の前に、黒い瞳に紅い光を宿した竜が現れた。魔王の手の者だろう。

  

  その全身には禍々しい紋章が模られている。見る者を魅了するような、そんな姿。

  

  「また来ましたね。…ふふっ、今回は新しい者が数名、居るようですが。」

  

  「ちっ!お前らッ!気をつけろ!あいつから嫌な気配がする!」

  

  勇者は手を広げ、仲間たちを後ろにし、先頭に立つ。そんな狼を見つめ、竜は笑う。

  

  そして手をかざした。

  

  「…さぁ、始めましょうか。…ねぇ?《私の仔》。」

  

  不思議と響く声。それが開戦の合図か。

  

  得物を強く握りしめるのは…新しくこの精鋭に入っていたメンバー。

  

  残りは…だらり、と力なく両腕をぶら下げると得物をがしゃん、と落とした。

  

  「え…?」

  

  「勇者…様…?」

  

  ぐるり、と振り返る狼。…その瞳に、新しいメンバー…新たな仔は、息を呑んだ。

  

  怪我のせいで開くことの出来なかったはずの左目がしっかりと開き…そして。

  

  そこにある瞳は、竜の淫魔と同じものだったのだ。

  

  「仰せの…ままに…」

  

  「私達は…」

  

  「貴方の…」

  

  虚ろに呟くと狼をはじめとする、《竜の仔》は、ゆらゆらと頼りなく、しかし歪に笑いながらゆらゆらと新たな仔を囲う。

  

  [newpage]

  

  

  

  話は数週間前にさかのぼる。

  

  一人の勇者。狼は傷つきながらもなんとか魔王の城の前にたどり着いた。

  

  ふぅ、と軽く息を吐き、自らに回復の魔法をかけて。狼は城へと侵入した。

  

  中は薄暗く、鉄の臭いと黴の臭いが満ちており、得意の鼻は機能しそうにない。

  

  慎重に、足音を極力鳴らさないように進んでいくと。

  

  ぞくり、と背後に気配を感じ。狼は振り向きざまに剣を振るった。

  

  どうせ味方はいないのだ。自分に近寄ってくるのは敵だけ。

  

  ズバァッ!と肉や質量のあるものを切り裂いた音がその場所に鳴り響く。

  

  ぎしゃああ、と苦悶の声を上げるそれは大量の体液をまき散らす。

  

  狼は舌打ちをし、とんっ、と軽く後ろに跳躍した。

  

  魔王の城だ。きっと相手は上手で、これは牽制程度のつもりだった。しかしその魔物は一閃。

  

  反応が一瞬遅れたせいで、狼の体に魔物の体液が降りかかってしまった。

  

  全身が薄く濡れる程度であるが…臭いがこびりついてしまう。

  

  これでは魔物たちからも位置を特定されやすくなってしまうではないか。

  

  薄く濡れた体液をなんとか振り払おうとするも…それは狼の毛並みに張り付き、少しずつ皮膚に染み込んでいく。

  

  …魔物の死体はびくびくと時折痙攣し、酷く甘い臭いを放っている。

  

  死んだあと、仲間を呼び寄せるタイプの魔物だったのだろうか。

  

  あまりここに長居するのは得策ではない。そして、自分の今の状況を考えれば、慎重に進むのはもう無意味だ。

  

  ならば一気に進むのが良いだろう。狼は剣をしまうと、四つ足で駆け出した。

  

  時折出会う魔物たちを交わし、そのまま突き進み…そして。

  

  一匹の竜が、目に留まった。感じる。あいつは相当なやり手だ。すり抜ける事は不可能。

  

  であれば。

  

  「どけぇぇぇぇぇ!!!」

  

  怒声と共に、四つ足を止めると狼は剣を抜き取りそれを薙ぎ払おうとする。

  

  「止まりなさい。」

  

  静かな竜の声。…狼の体がぴたり、と止まった。

  

  狼は混乱する。なぜ、体が言う事を聞かない?刃先はもう、竜の首元に近付いているのに。

  

  「剣を降ろして、私に跪きなさい。」

  

  竜の言葉が、耳に染み込んでいく。脳に。体に。

  

  狼は抵抗しようとするが、体が勝手に剣を捨て、竜の前に跪いた。

  

  竜をギロリ、と睨みつけて…気が付いた。こいつはただの人でも、悪魔でもない。

  

  恐らく。

  

  「淫魔…!」

  

  自身は強い戦闘能力を持っていないが…敵や味方を操り、力を増幅させることも、減退させることも出来る。

  

  そういった一族だと。狼は悟った。

  

  しかしその力を発揮するためには呪言や、詠唱が必要だったはず。

  

  ならば、いつ。どのタイミングで。どうやって自分はその呪言にかかった…

  

  その考えを見抜いていたかのように。竜の淫魔はにやり、と笑う。

  

  「貴方が入ってきた時から。ずぅっと少しずつ貴方にかけていましたよ?気付きませんでしたか?」

  

  小ばかにするような口調。憎々しいが…確かに気が付かなかった。

  

  入った時から完璧に侵入は成功したものだとどこかで慢心していたのだろうか。

  

  「まぁ、本当に少しずつでしたので、下手をすれば私の所に来るまでにかからなかったかもしれませんが…」

  

  竜の淫魔は跪いている狼に近付くとそのマズルを撫でた。

  

  冷たい。酷く冷たい手の感触にぞくり、と狼は背筋を凍らせる。

  

  「貴方が切り捨てた魔物。あれに飛び切りの呪いをかけていたんですよ。それを貴方は浴びてしまいましたよね?」

  

  ゆっくりと撫で回す。今すぐに振りほどきたいほどの衝動に駆られるが、体が言う事を聞かない。

  

  「あそこで貴方がもっと慎重であったなら…私は恐らくその剣で貫かれていたでしょうね。」

  

  マズルを撫でられ、瞳をのぞき込まれると…狼の頭がぼう、としてくる。

  

  目の焦点が合わなくなってきたころ。竜の淫魔は一度瞳を閉じると…何事かを唱えた。

  

  その言葉は狼には理解できない言語。そして、次に瞳を開くと。

  

  黒い瞳に紅い光。妖しく光り。狼の瞳を捉える。

  

  「さぁ。私についてきなさい。」

  

  「…はい…」

  

  狼は虚ろな目付きと口調で答えると立ち上がり、ふらふらと歩き始めた。

  

  [newpage]

  

  

  

  思い出せない。自分が何をしているのか。分からない。

  

  

  

  触手に全身を撫で回されると、熱くなる。

  

  口に近付けられた触手を噛みちぎろうとすれば、食道を引き抜かれるのではないかと思うほど激しく抽送を繰り返された。

  

  毛並みに隠れていた乳首を撫で回され、大きく膨らみ、そこを重点的に触手に撫でられる。

  

  分泌している粘液が染み込み、空気の流れだけで狼は嬌声を上げるようになった。

  

  肉棒が反応し、びくびくと脈動すると、触手は孔の開いた一本でその触手を咥え込むと、吸い上げる。

  

  溜まらず狼は遠吠えを上げながら絶頂に達した。

  

  次の瞬間に、乳首に対して鋭い針のような触手が突き立てられて。僅かな痛み。

  

  そして何かしらの液体を注ぎ込まれた。

  

  それ以降、狼の胸は僅かに膨らむ。それは筋肉や脂肪とは違う膨らみ方。

  

  

  

  抗う。否定する。この快楽を。必ず魔王を討つために。

  

  

  触手から解放されると、どうしようもなく体が疼く。竜の淫魔はそれを見越して、数体の魔物を用意させていた。

  

  それは恐らく狼が剣を振るえば一撃で倒せてしまうような、平凡で弱い魔物。

  

  しかし今の疼く体と淫魔に支配された体では、剣を握れない。振るう事も出来ない。

  

  代わりに握らされたのはその魔物の生殖器。狼の逸物よりも小さいだろう。それを扱き。

  

  触手によって解されていた雄を知らない肛門に魔物の肉棒を捻じ込まれた。

  

  屈辱。恥辱。だが同時に感じるのは快楽。疼きを、火照りを沈め、求めているものを与えられている。

  

  狼は両手で魔物たちの肉棒を扱きながら、出される精液を飲み干さざるを得なかった。

  

  魔物の出す精液は、人のものよりずっと粘液質で、喉に絡まる。味も酷いものだ。

  

  それなのに、体はそれを欲する。

  

  魔物が狼の胸を揉み上げると。ぴゅるぴゅるっ、と勢いよく白い液体が溢れ出した。

  

  狼は戦慄する。肉体が変貌していること。そして。それに感じたのが快楽だったこと。

  

  

  

  抗う…何に?否定する?何を?この快楽を?

  

  

  

  

  弱弱しくなる狼の心。そしてそれとは正反対に成長していく、欲望。貪る心。

  

  否定することに、躊躇いが出てきた。

  

  触手のベッドで眠り、眠っている間も雄穴を穿り回され。直腸を掻き回される。

  

  起きれば魔物の肉棒を握り、精液を浴び、乳を噴き出す。

  

  閉じる事も締まる事も忘れてしまった雄穴から腸壁が見え、精液が溜まっている事を指摘された。

  

  嘲笑われた。それなのに、狼はそれに対して怒りを覚えなかった。

  

  むしろもっと罵り、嘲り、卑下して欲しくなった。

  

  淫魔が言う。今の狼は自分の描けた呪言が解けている。そして自由に動くことが出来るだろうと。

  

  確かに彼の言う通り、狼は自分の体が自由に動かせることに気が付いた。

  

  だから。

  

  狼は。自ら激しく魔物の逸物を二本、雄穴に受け入れ腰を動かした。

  

  

  

  否定?それは、何を?

  

  

  

  狼よりも体の大きな魔獣が狼の前に姿を見せる。

  

  その4つ足の魔獣は、後ろ脚の根元に棘や瘤のついた禍々しい肉棒をぶら下げている。

  

  狼は期待にぶるり、と震え、自ら四つん這いになると尻を上げ、魔獣の肉棒を待ち構えた。

  

  魔獣は唸り声をあげ、狼に飛びつき、雄穴に一気に肉棒を捻じ込んだ。

  

  腸壁が破けるような感覚。ぶちぶちと。溢れ出す大量の血と精液。

  

  しかし痛みは感じない。頭を鈍器で殴られたような衝撃の快楽。

  

  淫魔は狼に近付き、魔術をかける。肉体の修復機能を上げ、傷をすさまじい勢いで治す魔術。

  

  千切れては治り、治っては千切れ。

  

  狼の意識は快楽を貪るためだけに残っている。

  

  喘ぎ、啼き、喚き、鼻水と涙と精液で顔をぐちゃぐちゃにする。

  

  魔獣が絶頂に達する。狼の中で魔獣の肉棒が跳ね、狼の腹が恐ろしい程の勢いで膨らんだ。

  

  膨らみ続ける腹。そしてそれは食道をも膨らまし。

  

  狼は上の口から精液と血液が大量に混じった液体を吐き出した。

  

  

  幸福だ。気持ち良くて、頭が狂いそうだ。もっと。

  

  なんで否定していた?

  

  [newpage]

  

  

  

  調教の末。狼の体は開発されつくした。

  

  乳首からは父乳が噴き出し、ぷっくらと膨らんだそれは弄り回される度に狼に莫大な快楽をもたらす。

  

  脇に肉棒を当てられ、擦られる。腹部にも同様の事をされても、狼は悦び、喘ぐ。

  

  口は性器として扱われ、それに対し狼は嫌がるそぶり一つ見せない。

  

  欲しい。もっと欲しい。この肉便器をもっと使って欲しい。

  

  頭が肉棒の熱と、精液をひたすらに求めている。雄穴に肉棒を捻じ込まれれば、それだけで絶頂に達し、何度目か分からない射精をする。

  

  狼を犯していた魔物たちが腰を震わせ精液を噴き出す。狼はそれを受け止め、一滴たりとも零すまいと手で掬い、飲み込む。

  

  美味しい。もっと欲しい。ちんぽ。もっと。もっと。

  

  「ぐへ、ぐへへへぇ…♪」

  

  狼は何リットルも出されたであろう精液をひたすらに飲み干し、満足そうに笑う。

  

  なぜ今までこの快楽を拒み続けていたのだろう。こんなに気持ち良くて、熱くて、何も考えられなくて。

  

  拒む理由なんてないじゃないか。

  

  肉棒が離れると、狼は呆けたような表情で竜にねだるような視線を送る。

  

  もっと、もっと、もっと、もっと。

  

  「さぁ、これが今のあなたの姿です。」

  

  竜が鏡を取り出す。そこに映るのは…

  

  精液に塗れ、淫売のような表情を浮かべる、淫らな雌犬。

  

  「うへへぇ…おれぇ…うへ、うへへ…♪ちんぽぉ…♪」

  

  「今から上げますよ。」

  

  竜が合図をすると、鏡に映されたまま…魔獣に肉棒を捻じ込まれた。

  

  結合部は写らないが、容易に想像は出来る。

  

  「ぉっ、ぉぉぉ!!魔獣チンポッ!ぎらぁぁぁぁ♪もっど、もっどぉぉぉ♪」

  

  もはやそこに勇者としての面影はない。魔獣にすら道具としてしか見なされていない、雌犬。

  

  しかしその表情は無間の快楽を全身に受け、この上なく幸福そうだ。

  

  「ぉ”っ、ぉ”ぉ”ぉ”っ♪」

  

  「これが今の貴方。いえ。本当の貴方です。どこまでも淫らで、どこまでも快楽を貪り、交尾が好きな、肉奴隷。それが本物の貴方。」

  

  「ぉ”ぉ”ぉ”♪ぉひぃっ♪」

  

  「さぁ、私の逸物を咥えて下さい。」

  

  そう言うと竜は自らのタテワレを狼の前に差し出した。

  

  魔獣に激しく犯されながら、狼は貪るようにタテワレにマズルを突っ込むと必死に舌を使い、竜の肉棒を探し当て、外へと引っ張り出した。

  

  でろり、と肉棒が露出する。もわ、と漂うその香りは今最も狼が欲しているものだ。

  

  躊躇うことなく、むしろ自ら望んで狼はそれを咥え込んだ。じゅるじゅると音を立てながら吸い上げ、長い舌を絡ませる。

  

  睾丸までも咥え込み、甘く噛むと、流石の竜も僅かに眉をしかめ、しかし頬を釣り上げる。

  

  「今までの貴方はずっと、何者かを演じ続けていました。」

  

  「ふぶっ、むぐぅっ♪ふごぉっ!」

  

  鼻を鳴らし、狼は魔獣に腸内を掻き回され。

  

  竜の言葉が頭の奥に染み込んでいく。

  

  何者かを演じていた。

  

  「さぁ、口を離して。」

  

  言われるまま、狼は竜の肉棒を離す。唾液と先走りに塗れたそれは煽情的な臭いを放ち、びくびくと震えている。

  

  欲しい。あそこから出てくる液体。精液。彼のすべて。幸福。

  

  魔獣の動きは更に動きを増し、肉棒の大きさを増していく。腸壁が圧迫され、狼の腹もそれに伴い膨らむ。

  

  「今の貴方が、本当の貴方です。」

  

  「はっ、はぁっ…♪」

  

  本当の自分。快楽を拒む自分は嘘。偽り。偽物。演技。

  

  狼の瞳に狂喜と狂気が宿る。

  

  鏡に映る自分は、どこまでも幸せそうで、心地よさそうで、淫らで、狂っている。

  

  「貴方は私の仔。」

  

  「あなたの…こ…」

  

  「そうです。貴方は私の可愛い、仔。気持ちいい事が大好き。逸物も、そこから溢れ出る種も。貴方の大好物。」

  

  「ちんぽ…すき…せーえき…もっと…ほしい…」

  

  竜の肉棒が狼の鼻にあたる。まるで嫌悪感は無い。

  

  欲しくてたまらない。そうだ。自分は竜の仔。

  

  なんで今まで勇者だと思い込んでいたのだろう。

  

  グォォォォ、と魔獣が吼えると。

  

  「ひっ…ひぎぃぃぃぃ?!?!?」

  

  どぼんっ、どぼんっ、と。今までの魔物ですら凌駕する熱と質量。雄である自分が孕んでしまっているかのように腹が膨らむ。

  

  孕みたい。仔を孕みたい。

  

  莫大な多幸感に、狼は嬌声をあげた。

  

  「この幸せを拒みますか?」

  

  そうだ。拒む必要なんて、ない。本当の自分は。

  

  「あなたの…こで…きもちいいこと…すき…」

  

  「そうです。貴方は、私の仔。可愛い、可愛い。」

  

  にちょにちょ、と竜は自らの肉棒を扱く。先走りが狼のマズルを濡らして。

  

  欲しい。欲しい。欲しい。欲しい。欲しい。

  

  「さぁ。もう一回聞きましょう。貴方は」

  

  「おれは…あなたの…こ…ちんぽ…すき…もっと…して…ほしい…」

  

  竜はそれに満足そうに頷くと、狼のマズルに自らの肉棒を捻じ込んだ。

  

  ぼごり、と喉が膨らみ。しかし。狼は笑う。

  

  「お帰りなさい、本当の貴方。…受け取りなさい。」

  

  喉の奥深くに、肉棒を挿入され。狼の体内へ、竜の精液が注ぎ込まれる。

  

  狼はそれを必死に飲み干していく。

  

  満たされていく。これ以上ない程に満たされていく。

  

  演じていた自分は、もう、いらない。

  

  この快楽を拒む必要もない。

  

  射精が終わると。狼は虚ろな目付きで竜をじっとみつめる。黒い瞳に、紅い光。

  

  彼は勇者ではない。…竜の可愛い、仔。

  

  「気分はどうですか?」

  

  「たりない…もっと…もっと…」

  

  「なら、いい方法があります。」

  

  竜はそう言うと、小さなナイフを取り出した。そして。

  

  それを容赦なく、狼の左目に突き刺す。ぶしゅう、と鮮血が噴き出すが、それは狼の苦痛にはならない。

  

  むしろ、快楽ですらある。自分が最も敬愛するものにつけられた傷。

  

  じゅう、と灼ける音と共に、煙が上がっても。

  

  「あなた一人でこの快楽を総取りするのではなく…分け与えましょう。」

  

  「分け与える…」

  

  「そう。…貴方は、偽りを演じて下さい。頼れる、狼の勇者。そんな下らない愚者を。」

  

  竜の言葉が一つ一つ染み込んでいく。

  

  偽りを演じる。勇者だったという自分を。

  

  下らない。そんなもの竜の仔であり、快楽を得られる自分とは真逆。そして、退屈。

  

  だが。

  

  「そうすれば…」

  

  「えぇ。もっと。もっと快楽を得られるはずですよ。」

  

  「…うへへ…へへぇ…♪」

  

  狼は尻尾を振った。

  

  

  [newpage]

  

  

  

  

  気が付くと、狼は魔王の城の近くへ一人、放り出されていた。

  

  …侵入した後の記憶が朧だ。…まるで思い出すことが出来ない。

  

  「…つッ…!」

  

  思い出そうとすると頭が酷く痛む。それと同時に、左目に強烈な痛みが走った。

  

  その時に気が付いた。自分の左目が完全につぶれていることに。

  

  このまま戦うには余りにも無謀。そして、一人では困難だ。狼はそう考え、魔王の城を後にする。

  

  それからは鼠算式だ。

  

  勇者はまず一人。最も頼れるパートナーである獅子と共に魔王の城に乗り込んだ。

  

  門の前で。竜の淫魔に会うと…竜は言葉を放つ。

  

  《私の仔》

  

  それがトリガー。

  

  狼は左目を開く。それが全てを思い出す為の段取り。

  

  左目が開いている間は演じる事を止められる。竜の仔として快楽を貪ることが出来る。

  

  獅子を犯し、雌の快楽を。雄の快楽を。刻み込み。心地よい触手のベッドに身を揺蕩えて。

  

  微睡む。ひたすらに。微睡む。

  

  何故か反抗的だった獅子も、やがて自分を演じるのを止め、狼と同じ、竜の仔となった。

  

  

  

  

  また、記憶が無くなっている。獅子と狼は互いを見合い、必死に思い出そうとする。

  

  何も思い出せず。魔王の城ははるか遠くに見える気がした。

  

  自分たちだけでは困難を極めるだろう。そう思い、また国に引き返した。

  

  次は虎と狐だった。二人は獅子と違い、すぐさま自分を演じる事を止めた。

  

  元々自分に素直なのだろう。

  

  悦び咽び泣き、魔物たちの肉棒を受け入れた。

  

  同じことを繰り返し。日々増えていく、《竜の仔》。

  

  何故、皆が偽りの自分を演じ、快楽に興じる事を隠し恐れ、否定するのだろう。

  

  それは。この快楽を更に貪り、愉しみ、酔うためだったと、狼は。思う。

  

  

  

  [newpage]

  

  

  

  「魔王軍が攻めてきたぞ!」

  

  怒声が鳴り響く。バタバタと慌てた様子で兵士たちは戦闘の準備を整える。

  

  目の前に迫りくる無数の魔物たち。

  

  狼は先頭に立ち、皆を護ろうと決意を込める。

  

  その目の前に。魔王の城の門の前で出会った、竜が現れた。

  

  「貴様ッ!」

  

  剣を向け、魔法を放つ。しかし。なぜか、当てる事が出来ない。

  

  それを疑問に思う。

  

  「そんなフリは、もういりません。」

  

  竜は酷く優しい口調でそう告げる。狼は受け入れた。

  

  「さぁ。…《私の仔》。…《宴を始めましょう》!」

  

  終わりを告げるように。新たな世界への祝福をするように。竜は大きな声で叫んだ。

  

  「何を言っているんだ…あの竜…勇者殿!」

  

  一人の兵士は疑問を抱えながら、剣を構える。

  

  狼は。

  

  「必要ない。…へへぇっ…もう…演じなくていいんだ…!」

  

  左目を開き、近くにいた兵士に襲い掛かった。

  

  もうこんな退屈で、快楽を拒む自分を演じなくていい。快楽を貪れ。

  

  それを伝染させろ。自分を演じ続け、快楽を否定し、拒むものに、真実を伝えろ。

  

  自分の快楽の為に生きろ。その為なら…

  

  「やめっ、勇者殿ッ!あっ、あひぎぃぁぁぁぁ!!」

  

  兵士の悲鳴は、やがて嬌声に変わる。

  

  それは城の…いや、街の至る所で起きていた。

  

  黒い瞳に紅い光を宿した兵士や街の雄が、別の雄を犯す。

  

  快楽を与えると、与えられたものも同じように黒い瞳に紅い光を宿し、快楽を貪る。

  

  肉棒を咥え、精液を飲み干す。

  

  両手と雄穴で肉棒を咥え込み、全身に精液を浴びる。

  

  その度にその身は快楽を刻まれ、さらなる快楽を貪ろうとする。

  

  腸壁が破れんばかりの勢いで肉棒を乱暴に捻じ込まれても、ひきつったように、だが確実に幸福そうな表情を浮かべて。

  

  そこは酒池肉林。無間地獄のような、快楽の宴。

  

  世界が始まり、世界が終わる、最期の晩餐。

  

  だがそれを否定するものも、拒絶するものもここにはいやしない。

  

  快楽を拒むことに理由なんて、いらないのだから。

  

  

  

  

  竜の淫魔の足元で、狼は幸せそうに足を舐めまわす。そしてその雄穴に魔王の肉棒を受け入れ、仔を孕む。

  

  周りの雄もみな幸せそうに呻き、啼き、愉悦に浸る。

  

  竜の淫魔は。

  

  

  [newpage]

  

  

  貴方は。

  

  何を演じているのでしょうか。

  

  何のために?

  

  そんなこと必要ありません。

  

  

  さぁ。

  

  《私の仔 》。

  

  

  《宴を

  

  始めましょう》

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