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異世界で冒険者になった俺がダンジョンで助けたのは、デブで役に立たない虎オッサンでした〜交尾だけは上手いケモオッサンが俺の旦那になるまで~

  ◇

  「はあああっ!」

  俺は納刀したままの刀に魔力を込めると、そのままダンジョンの奥へと走り出した。

  ここは人里離れたムサカダンジョンの地下13階層。

  冒険者ランクがB以上でないと入れない、いわゆる上級レベルのダンジョンだ。

  といっても、すでにAランクである俺にとってはよく稼げる安定した狩り場だったりするのだが。

  刀に魔力を練り込むと、柄が光を帯びるのがわかる。

  目の前にいるのはオークジェネラルと下っ端のオーク達。

  だが、興奮したような豚共はまだ俺の姿に気がつかない。

  捕らえた獲物を犯そうと夢中だから。

  「ひいいいっ!」

  その悲鳴はもちろんモンスターから聞こえるものではない。

  明らかに場違いなこの場に迷い込んだ一般人の悲鳴なのだ。

  ……まったく。

  そこには服をむしり取られ犯されそうになっている……虎獣人のオッサンの姿があった。

  恐怖で縮み上がっているのだろう、仰向けにされたせいで、皮被りのチビチンが股間にめり込んでいるのが見えた。

  鈍重そうなデブのオッサンの足元には希少なマンドラゴラの根が転がっている。

  素人がアイテムを手に入れようとして勝手にダンジョンに入ったのだろう。

  そこをオークに見つかって、裸に剥かれたというわけか。

  ……オークは子を孕ませるために、雄雌かまわず別の種族の生き物を襲って種付けするからな。

  さすがに見捨てるのはかわいそうだ。

  「はあっ!」

  俺は縮地で距離を稼ぐと、一気にでオークジェネラルに詰め寄り、その胴を目掛けて居合いを仕掛けるのだ。

  ばしゅっ!

  「ぐああああっ!」

  一瞬、その巨体に線が入ったかと思うと、そのまま上半身が下半身から滑るようにずり落ちる。

  呆然としたままの顔を残したまま。

  「が?」

  「ごああああ!」

  己達のボスをやられて恐慌状態になるオーク達。

  そうなると容易いものだ。

  俺はただ分厚いだけの肉の塊を切り裂きながら、1匹、また1匹とオークを討伐していった。

  ◇

  俺、坂上仁が地球からこの異世界に迷い込んだのは、3年前のことだった。

  トラックに轢かれたわけでもなく、異世界召喚に巻き込まれたわけでもなく、気がつけば着の身着のままでこの世界にいたのだ。

  あとから知るのだが、この世界では比較的よくあることらしい。

  別の世界から落ちて来るため、落ち人と呼ばれているんだとか。

  18歳という未成年で頼るものもないひとりぼっち。

  当初は戸惑うことばかりだったが、ありがたいことに異世界チートでもいうようなスキルをいくつか持っていたため、なんとか冒険者として生きていく事が出来たのだ。

  紆余曲折はあったものの、今じゃ誰とも組まずに上級ダンジョンを徘徊できる程度にはランクも上がって、『落ち人のジン』といえばそれなりに名の売れた冒険者になってしまっていた。

  ◇

  「お、おおきに。おおきに……」

  腕組みする俺の前で、全裸の虎オッサンが土下座をしていた。

  明らかにえせ関西弁っぽいのは、そういう訛りがある地域がこの世界にあるのだろう。

  それかスキル全言語のせいで、勝手に俺のイメージに変換されているのか。

  ……しかし虎オッサンか。

  この世界は異世界らしく、色々な種族が混雑している。

  俺のようなニンゲンもいれば、エルフやドワーフといったファンタジーの住人も当たり前に存在している。

  まあ、オークなんてモンスターもいる時点で不思議ではないんだろうが。

  そして、数は少ないが獣人もいたりする。

  大概街で見かけるのは、犬や猫といった種類だから、虎なんて獣人を見たのは初めてなんだが。

  「おおきにはともかく、あんた冒険者じゃないだろ」

  俺はため息をつく。

  「一般人がダンジョンに入るのは違反だぞ」

  「い、いや、わしも冒険者やねん。ほらここに冒険者証が……」

  ごそごそとオーク達に破かれた服を漁り、取り出した冒険者証。

  受けとったそれにかかれているランクはF。

  冒険者に成り立てのガキが持っているのと同じ、最下級のランクだ。

  「あのなあ……」

  俺は再びため息をつく。

  「こんなんで上級ダンジョンなんか入れるわけないだろ?」

  ……新人研修受けてないのかよ。

  「ていうか、よくそれで13階層まで死なずに来れたな。普通ここまで来る途中にモンスターと遭遇するだろ」

  「わし、どうしてもマンドラゴラが必要やったから……」

  なんとか隠れながらここまで来て、目的のマンドラゴラを採取したとたん、オーク共に見つかったというわけか。

  「しかし、相手がオークでよかったな」

  「え?」

  「あいつらは子を孕ませるために獲物を生かしておくけど、他のモンスターはただの餌ぐらいにしか思わないからな。あんたなんかさぞかし食い出があるだろうし」

  その言葉に顔を真っ青にする虎獣人。

  何も考えずにこのダンジョンにやってきたのだろう。

  ……はあ。

  俺は自分なんかよりもよっぽどデカい身体を見つめる。

  3メートル近くあるその身体はそこそこ筋肉はついているが、大半は脂肪だろう。

  少なくとも武器を振るうことが出来るようには見えなかった。

  「あんた、ジョブはなんだ?」

  「わ、わしは薬師や」

  「……依頼でマンドラゴラが必要になったって事か。それなら自分で採りに来なくても、それこそ冒険者にでも頼めば……」

  「そんな金、あれへんさかい」

  まあ、こんなオッサン、金もってそうには見えないしな。

  「まあいい。一般人の救助も冒険者の仕事だ。街には連れて帰ってやるよ」

  「ほ、ほんまか!」

  種族柄厳つい顔をしている虎獣人が泣きそうな顔ですがりつく姿はかわいく見えなくもない。

  俺はゲイでも何でもないから、絆されたりすることはないが。

  生きるか死ぬかの瀬戸際で3年間過ごしたせいか、甘っちょろい感情はすっかり消えうせてしまったのだ。

  ちょっと隙を見せると騙される世界だからなあ。

  ……それでどれだけ痛い目にあったことか。

  「とりあえず連れては帰るが、冒険者ギルドに連行するからな。Fランクが上級ダンジョンに入ったんだ。それなりのペナルティーは覚悟しとくんだな」

  「そ、そんなあ……」

  オッサンは悲壮な声を上げると、へなへなと崩れ落ちた。

  ◇

  破られた服を腰布がわりに身につけた虎オッサンは、手にしっかりとマンドラゴラを持ったまま、冒険者ギルドの受付嬢にしこたま怒られていた。

  「Fランクの冒険者が、上級ダンジョンに、しかも一人で潜るなんて、何を考えているんですか!」

  「す、すんません……」

  「しかもあなた、昨日冒険者登録したばかりでしょうが! 今時、子供でもダンジョンの恐さなんてわかってますよ!」

  「はい……」

  自分の娘ぐらいの受付嬢に怒られて謝ることしか出来ないオッサン。

  いい気味だと見ていると……。

  「ギルドとしてはペナルティーを与えなければなりません。とりあえずAランクの冒険者に助けられたのですから、それを依頼換算して、金貨15枚をギルドに提出するように」

  「げぇっ……」

  受付嬢の言葉に顔を歪める虎親父。

  「き、金貨15枚って……わしそんな金あれへん……」

  そらそうだろう。

  金貨1枚もあれば、平民家族が1年間暮らせるだけの金額なのだから。

  オッサンが後生大事に持ったマンドラゴラだって、精々金貨2枚程度の価値しかない。

  ……だから依頼すりゃよかったのに。

  呆れた顔で見ている俺の前で、受付嬢は無情にも言い放つ。

  「お金が払えないようなら、借金奴隷になるしかないですね。その金額なら20年も働けば解放してもらえるんじゃないですか?」

  ……この世界はシビアだからなあ。

  がっくりと肩を落とした虎オッサンを見てそんな事を思ったが、なんかかわいそうになってくる。

  「なあ、その依頼料換算って、俺に支払う金だよなあ」

  俺は受付嬢に話しかける。

  「ええまあ、そうですが……」

  「それだったらいらねえよ。さいわいオークジェネラルでたくさん稼がせてもらったし」

  あいつのキャンタマは必ず子を孕ませる強精剤の原料として貴族に高く売れるからな。

  

  「いや、そういうわけにはいきません。それではギルドとしてけじめが……」

  「いいじゃねえか。金貰う俺がいらねえと言ってるんだから」

  「いえ、いくらAランクのジンさんでも、決まりごとはきちんと守っていただかなければ……」

  ◇

  ……どうしてこうなった。

  受付嬢との押し問答の末。

  ため息をつきながらギルドを出た俺の後ろについてきているのは……虎獣人のオッサンだった。

  「すんません……ジンさんにご迷惑かけて……」

  「まったくだ」

  仏頂面のまま、不機嫌さを隠そうともせずに俺は言う。

  ……まさかこのオッサンが俺の奴隷になるなんて。

  結局、金はいらないと押しきったのだが、それならこの虎獣人(ザックスという名前のようだが)を奴隷として引き取るように言われてしまったのだ。

  ……いらねえよ。

  ろくに戦闘にも使えなさそうな薬師なんて。

  せめて魔法使いや僧侶的な後衛ならまだしも、一般人も同然なのだから。

  ……はあ。

  聞けば、オッサンの癖に薬師のスキルレベルも低いらしい。

  精々見習いに毛が生えたレベルだとか。

  それなら薬師というよりも、無職じゃねえか。

  ……これなら金をもらった方がよかった。

  それでも強制的に奴隷契約をさせられてしまったからには、こいつが金貨15枚を払い終えるまで、一緒にいなければいけないのだ。

  「まあいい。とりあえずそのマンドラゴラは売って金にするか。それで借金は多少なりとも減るしな」

  俺はため息をつきながら、オッサンが持っているマンドラゴラを取り上げようとする。

  これだけでも奴隷期間はだいぶ短縮出来るからな。

  だが……。

  「すっ、すんません、ジンさんっ! お金はちゃんと稼ぎますんで、このマンドラゴラだけは……」

  拒否するように泣きそうな顔で俺にすがりつく虎親父。

  

  「別にいいけど、お前だって早く奴隷の立場から解放されたいんじゃないのか?」

  「それは……」

  顔をくしゃくしゃに歪めて俯く虎オッサン。

  「実はこれには……」

  「おじちゃんっ!」

  この場にそぐわない幼い子供の声に、ぱっと顔を上げる虎獣人。

  そこには俺の腰程もない幼い女の子が、虎オッサンに抱き着いていた。

  

  「ちゃんと無事に帰ってきたんだね」

  「お、おう。大丈夫やと言うたやろ。ほれ」

  虚勢を張りながらそう言うと、俺には渡そうとしなかったマンドラゴラを少女に手渡すのだ。

  「やったあ! マンドラゴラだ! これがあればお父さんの病気が………」

  「そうや。師匠やったらこれを使えば病気を治せるはず」

  ……なるほど。

  2人のやり取りを見ながら、俺は理解する。

  虎オッサンは自分の師匠の病気を治すために、マンドラゴラを探しにいったのか。

  ……ふうん。

  へたれの癖に義理人情に篤いタイプなのか。

  ◇

  「わしは役立たずの弟子やったんです」

  マンドラゴラを受け取って喜んでいた少女と別れた虎オッサンは、歩きながら俺にぽつぽつと話しだした。

  「もう10年以上お世話になっとるのに、出来るのは簡単な回復薬と生活に役立つ薬ぐらいで。他の兄弟子はみな立派に独立しとるというのに」

  「……」

  「それでもわしの事を見捨てなかった師匠が、病気に掛かってしもうて。マンドラゴラがあれば治せる薬が作れると思うと、わしいてもたってもいられなくなって……」

  「それで冒険者ギルドに登録して、上級ダンジョンに潜ったというわけか」

  無謀にもほどがあるが、金のないオッサンにはこれしか思いつかなかったのだろう。

  「マンドラゴラを手に入れたら、師匠ならきっと薬を作れるから……」

  「そこは自分が薬を作ってみせると言うところじゃないのか?」

  俺が茶化すように言うと。

  「もし、失敗したら、師匠の命に関わるから……」

  寂しそうな顔をして、オッサンは笑った。

  

  「……そうか」

  「あの」

  虎オッサンは立ち止まると、その場で俺に向かって土下座をする。

  「ジンさんはわしだけやない、師匠の命の恩人でもあります。どうか……どうか恩を返させてください!」

  「……」

  そんな真摯な虎獣人の姿を見ていたら、この状況を受け入れるしかないと思えてくるのだった。

  ◇

  で、このオッサンに何が出来るかと言うとされた。

  「おはようございます、ジンさん。あの……朝ごはん出来ました」

  「おう」

  俺は虎オッサンの声で目を覚ますと、食堂へと足を向けた。

  薬師の師匠の家では主に下働きをしていたせいで、家事全般は任せられるようだった。

  料理の腕も悪くないし、見た目に反して几帳面な性格らしく、掃除や洗濯もきちんとこなしてくれる。

  このムサカダンジョンを攻略するために俺は家を借りていたのだが、そこを管理してもらうにはうってつけの人材ではあった。

  『わしが命に変えてもジンさんを守るから!』

  本人はダンジョンについてくる気満々のようだったが、それは丁重にお断りした。

  足手まといにしかならない未来が十分に予測出来たから。

  だから、本業の調薬の傍ら、家事を任せているのだが……。

  ちなみに師匠のところには弟子を辞める旨を伝えてきたそうだ。

  ジンさんのために尽くします、と真面目な顔をして言っていた。

  ……まるで嫁さんだな。

  出された朝食をぱくつきながら、嬉しそうな顔で俺を見る虎オッサンを眺めていると、そんな言葉が浮かんで来るのだ。

  ……いやいやいや!

  俺は自分で思いついた言葉を自分自身で否定する。

  ……こんなオッサンが嫁なんて、ありえないだろ。

  俺はゲイじゃないんだ。

  年下のかわいい女の子がタイプなのに。

  とは言うものの、この世界じゃ信頼出来ない相手を家に入れるのは難しい。

  特に俺みたいな高給を稼ぐ冒険者など、カモにしようと狙う女ばかりだしな。

  その点このオッサンは奴隷契約してるから、俺を裏切ることは出来ないし、何より性根はマシみたいだし。

  ……まあ、家政婦を雇ったと思えば悪くないか。

  ◇

  「最近、調子良さそうですね」

  虎オッサンがうちに来て三週間。

  毎日のようにダンジョンの階層を更新し、モンスターの討伐証明を持って帰る俺を見て、受付嬢は声をかける。

  

  「……まあな」

  俺は眉をひそめたまま頷いてみせた。

  そんなつもりはないのだろうが、まるでオッサンのおかげで俺の調子がいいとでも言うように聞こえたのだ。

  ……実際、そのせいもあるんだろうけどよ。

  家の中はきちんと整理されて、帰ればうまい食事も出てくる。

  何よりオッサンの薬師としての能力が俺を助けているのだ。

  いや、そのスキルレベルは、初めに確認した通りたいしたことはない。

  あいつの作る低級回復薬程度では、俺の戦う敵相手ではほとんど役に立たないのだ。

  だが、それ以外の生活薬が意外と俺の助けになる。

  緊張感をほぐす薬や、感覚を鋭敏にする薬は、ダンジョンで索敵をしたり初見の敵と戦う時に驚くほど有用だった。

  これを定期的に卸してくれるだけで、奴隷契約を解除してもいいと思わせるほど。

  「そろそろ最終層の45層ですね」

  「ああ。明日あたり、このダンジョンをクリアするつもりだ」

  俺の言葉に、周りの冒険者達が驚いたような声をあげる。

  このムサカダンジョンは未だ攻略をされたことのないダンジョンだから。

  「さすが、落ち人のジンさんですね。まさかソロでクリアするつもりだなんて」

  「賞賛はちゃんとクリアしてからにしてくれ。それじゃ、また明日な」

  俺はそう言うと、軽く手を挙げてギルドを後にした。

  ◇

  「帰ってきたぞ」

  「お、おかえりなさい!」

  似合わないエプロンなんかつけたオッサンが、いそいそと玄関まで迎えに来る。

  「ご飯にしますか、それとも風呂にしますか?」

  「……風呂にする」

  こんなオッサンとまるで新妻とのやるようなやり取りをすることに初めは抵抗があったのだが、慣れというものは恐ろしいもので、すっかり日常になってしまった。

  「そういや、明日は最終層に挑戦することになった」

  「えっ、ほんまですか!」

  驚いたような顔をする虎オッサン。

  「ああ。勝っても負けても、これでオッサンとはお別れだな」

  「え……」

  なぜか愕然とした顔をしている虎オッサン。

  「なんで……」

  「なんでって。そりゃこのムサカダンジョンをクリアしたらこんな田舎町には用はないからな。……心配すんな、ちゃんと奴隷契約は解除してやる。ちゃんと働いてくれたからな」

  もちろん俺が死んだから無条件で契約解除できるようにしてある。

  「でもわし、金貨15枚分も働いてない……」

  「別にかまわねえよ。金なんかいくらでも稼げるんだから。ギルドだって、ただの罰としてこういう処置をしただけだからな。オッサンだっていつまでも俺の奴隷でいるのは嫌だろ?」

  「そんな……」

  「ああ、でもあの感覚を鋭敏にする薬と緊張感をほぐす薬はストック用にいくつか作っておいて欲しいかな。あれあるとけっこう助かるんだ」

  「……」

  俺の言葉に俯いたまましばらく黙り込んでいた虎オッサンだったんだが、なぜか意を決したような顔をすると、俺に提案してくる。

  「ジンさん……。明日最終層に挑戦するんやったら、……わしにマッサージさせてもらえませんか?」

  「マッサージ?」

  「ジンさんには万全の体勢で戦って欲しいんや……」

  「ふうん」

  まあ、最近連続でダンジョンに潜ってるし、確かに体の疲れも感じる。

  回復薬の類は傷は治すけど、体の疲れとかには効果ないからな。

  「……オッサン、マッサージなんか出来るのか?」

  「はい! わし師匠の肩揉みなんかようやってたし。いいマッサージオイル作ったから、それでぜひジンさんに喜んでまもらいたいんや」

  「……。まあ、そこまで言うんだったらお願いしようかな」

  ◇

  

  風呂上がり、俺がパンツ一丁で出てくると、寝台の側でニコニコ笑いながら虎オッサンが待ち構えていた。

  オリーブオイルのような薄緑色の液体の入った瓶を持って。

  オイルを使うせいか、ご丁寧にベッドの上に防水布まで敷いて。

  「ほな、下着を脱いでベッドに横になってもらえますか?」

  「ああわかった……でもなんで、オッサンも裸なんだ?」

  虎オッサンは上半身裸で、下だけ褌をつけているのだ。

  ……ていうかこの世界、褌なんか存在したのか。

  「いや、オイル使うからわしも服汚したらあかんと思って」

  「そうか」

  俺は何も考えず下履きを脱ぐと、そのままベッドに俯せになる。

  「ほな、オイルかけますね。ちょっと冷たいかもしらんけど、すぐ気にならんようになるさかい……」

  そう言うと同時に、たらたらと背中に粘っこい液体が垂らされるのがわかる。

  「おぅっ」

  虎オッサンが言うように、冷たい感触のオイルはすぐに人肌ほどの温かさに変わっていく。

  「……体触っていきますんで」

  その大きな掌が、オイルを塗り広げるように体の表面を撫でていく。

  「ああ……」

  オイルにまみれた柔らかい毛とゴムのような肉球の感触が心地いい。

  ぐにゅっ、ぐにゅっ、ぐにゅっ、ぐにゅっ……。

  力加減もちょうどよかった。

  オイルが身体に浸透していくのがわかる。

  「……」

  ポカポカと身体が温まり、じんわりと汗が出てくるようだ。

  「ほな、揉んでいきますね」

  そう言うと、虎オッサンの手がぐいぐいと俺の身体を押していく。

  「すげえ……」

  思わず声を漏らしてしまうほどオッサンのマッサージは気持ちよかった。

  戦闘続きで強張ってしまった筋肉が、徐々に解れていくのがわかる。

  身体から力が抜けて、ばらばらになっていくような気がしてしまうのだ。

  筋肉だけではない、張り詰めていた気持ちも解れている。異世界に来て初めてといっていいほど心がリラックスしているのだ。

  今まで感じたことのない、とろけてしまいそうな快感。

  「ジンさん、どないです?」

  「ああ、たまんねえや……」

  俺は何も考えられないまま、オッサンの質問に素直に答えた。

  「そらよかった」

  デブの虎獣人は額の汗を拭いながら、せっせと腕を動かした。

  がしっ、ぐいぐいぐいぐい……。

  肩周りを力強くほぐすと、そのまま背中へと掌が移動する。

  途中でだらだらとオイルを追加しながらしっかりと揉み込んでいくのだ。

  「しかしオッサン、あんたこんなものまで作れたんだな」

  回復薬と、俺が戦闘で使っていた薬しか作れないのかと思ってた。

  「……いや、わしが作れる薬は3つだけや」

  俺の問い掛けにオッサンは少し戸惑うような様子を見せた後、そう答える。

  「それをうまいこと配合したらこのマッサージオイルが出来るんや」

  「……そうか」

  その返事にどこか違和感を感じたものの、快感に溺れて余計な事を考えられなくなっていた俺はただ頷く事しかできなかった。

  ぐにゅ、ぐちょ、にゅるん、ずるっ……。

  オイルと汗で身体がずるずるになっているのに気づくと、オッサンは優しくタオルで身体を拭ってくれる。

  そして再びオイルを垂らすと、肉に下味をつけるようにぐにゅぐにゅと揉み込んでいくのだ。

  「ほな、ジンさん。上向きになってくれるか?」

  「あ、ああ……」

  身体をひっくり返そうとするが、なぜか力が入らない。

  そんな俺に気づいたのか、オッサンはその太い腕で俺の身体を抱き上げると、優しく仰向けにしてしまう。

  「……なんや。わしのマッサージに興奮してくれたんかいな」

  その言葉に視線を股間に向けた俺はあっ、と顔を赤らめる。

  俺の逸物がビンビンにいきり勃っていたのだから。

  ……なんで。

  興奮する要素なんて欠片もない。

  かわいい女の子に揉まれているならともかく、相手はデブの虎オッサンなのだから。

  「大丈夫や」

  今までとは違い、まるで幼い子供に言い聞かせるような口調で俺に話しかける虎オッサン。

  「マッサージなんて気持ちええもんやからな。雄やったら勃起することぐらい、全然おかしいことないんやで」

  ……そうだよな。

  俺は虎オッサンの言葉に当たり前のように納得してしまった。

  「なあ、ジンさん」

  そんな俺を見下ろして、虎オッサンはなぜか興奮したように話しかける。

  「あんたのちんこ、えらくきれいなピンク色しとるけど、これ使ったことないんか?」

  「……ああ」

  この世界じゃ成人しているのに童貞なんて恥ずかしい事だとわかっているのに、なぜか俺は素直に答えてしまう。

  「そうなんか。ほな、他人に触られるのは初めてなんやな」

  手に大量のオイルを垂らすと、オッサンは鼻息を荒くしてそっと俺のちんこを掴んだ。

  じゅるんっ。

  「んんんんっ♡!」

  俺は思わずのけ反った。

  ……気持ちいいっ!

  自分でする自慰なんかとは比べものにならない快感が、俺の全身を貫いたのだ。

  あまりの快感に漏らしてしまいそうなほど。

  それを歯を食いしばることで、俺は必死に耐えた。

  ……な、なんで。

  「ジンさん、どうかしたんか?」

  戸惑う俺に優しく話しかける虎獣人。

  だが、いくらリラックスしてるからと言えども、あんたに触られてイキそうになった、なんて事言えるわけがない。

  「な、なんでもない……」

  「さよか」

  ちんこから離れていくオッサンの手。

  もっと…、と呟いてしまいそうになり、俺は必死に唇を噛む。

  「ほな、前も揉んでいくからな」

  再びだらだらと垂らされるマッサージオイル。

  かけられた端から身体が火照っていくのがわかる。

  ……おかしい。

  ようやく、俺は自分のおかれている状況に気がついた。

  ……なんでマッサージでこんな感じてしまうんだ?

  確かに気持ちいいけど、普通こんな身体が敏感になって、オッサンのやることをなんでも受け入れたくなるはずがない。

  『……いや、わしが作れる薬は3つだけや」

  『それをうまいこと配合したらこのマッサージオイルが出来るんや』

  オッサンが作れるのは低級の回復薬と、緊張をほぐす薬。そして感覚を鋭敏にする薬。

  それらを大量に混ぜて使えば……。

  「あ……」

  その危険性に気づいた俺は、思わず身をよじってオッサンの手から逃げようとする。

  だが、まるで他人の身体のように全く動かないのだ。

  その癖、鋭敏になった身体がオッサンの指先がもたらす快感を何倍にも高めて脳へと伝えてしまう。

  「ほれ、気持ちええやろ。見てみい、乳首もえらい勃ってるで」

  はあはあと熱い息を吐きながら、オッサンの指がピンと張り詰めた乳首に触れた。

  その瞬間。

  「んぎぃぃぃぃっ♡♡!」

  動かないはずの身体がビクリと震えた。

  イッたのだ。

  イッてしまったのだ。

  射精は伴わないものの、脳みそをぐちゃぐちゃに掻き回されてしまったような快感。

  いわゆる、乳首イキと呼ばれる奴だ。

  「……。はぁ、はぁ……」

  俺は息を荒げながらも、なんとか平静を装おうとする。

  オッサンの手で、しかも乳首を触られただけでイクなんて恥ずかしいこと知られるわけにはいかないから。

  だが、オッサンは俺の異変に気づいたのか、にやりといやらしく笑ってみせた。

  「ジンさん、どうかしたんか?」

  「……い、いや、なんでもない」

  「さよか。……ほな、続きするからな」

  そう言うなり、再び動き出す虎オッサンの芋虫のような太い指先。

  ぐちょっぐちゅっ、ざりっ、ざらっ、こりこりこり……。

  千変万化するその手技は、癒すように嬲るように、俺の乳首を弄び続けるのだ。

  こりこりこりっ、ぐりっ、さわっ、ぴんぴんぴんっ……たらたらたら、こりこりこりっ……。

  指先で転がしてみたり、強く摘んでみたり、かと思うと指先で弾いてみたり。

  足りなくなったと思えばまたオイルを足して、再びなぶり続けていく

  「ぐうっ♡!んんっ♡!んんっ♡!んんんんっ♡♡!」

  弄ばれているのはわかっていた。

  だが俺は抵抗も出来ずにイキ続けることしか出来なかった。

  出来るのはただ口を閉じて、オッサンに嬌声を聞かせないことだけ。

  しかし、それにも限界があった。

  射精とは違い、いくらでもイキ続けることが出来る乳首イキ。

  イケばイクほど、快感が増していくのだ。

  潰され続けた乳首自体も皮が擦りむけて敏感になり、そこにオイルが浸透してしまえば、そこは単なる性器へと成り下がってしまうのだ。

  しかし。

  ……なんで。

  さわっ、さわっ、さわっ、さわっ……。

  感度が上がると同時に、弄んでいる虎オッサンの指は、明らかに力を失っていく。

  優しく柔らかく、ぎりぎりイク事が出来ない強さで乳首を撫で回すだけ。

  ……もどかしい。

  連続でイクことを覚えた体にはそれは酷な仕打ちで。

  どんな強敵と戦うときでも涙なんか流したことはないというのに、俺は泣いてしまいそうだった。

  ……もっと……もっと強い刺激を。

  そう望んだ瞬間だった。

  その黄色い指先がひきちぎれろと言わんばかりの力で乳首を引っ張ったのは。

  ぐりりりっ!

  「イっ、イグぅぅぅぅっ♡!!」

  我慢など出来なかった。

  俺は雌のように喘ぎ声を上げながら、思い切りイクことしか出来なかったのだ。

  ◇

  「……」

  数分間に及ぶ脳を襲う絶頂に、俺は放心状態になる。

  もう何も考えられない。

  頭の中にあるのはただ身体を浸す快感だけ。

  「ほな、もういっぺん俯せになろうな。もっと気持ち良くしたるさかい」

  ……もっと気持ち良く。

  その言葉の奴隷になった俺は、動かない身体を必死に動かそうとする。

  ……早く、早く。

  せいぜい指先を動かすことしか出来ない俺を見たオッサンは笑いながら軽々と抱き抱え、俺の身体を下向きにする。

  「さあて、乳首もええけど、ここも気持ちええはずやで」

  そう言いながら、俺の両足をぱっくりと割るデブ虎獣人。

  「……いい形のケツしとるなら。ぷりっとして弾力あって。たまらんわあ」

  オッサンはそう言うと、再びたらたらとオイルを垂らして来る。

  すっかり弛緩して拡がってしまったケツの中に流れ込んで来るマッサージオイル

  「んんんんんっ♡♡!」

  その焼けるような感触に俺は呻く。

  肉襞にじわじわと染み込んでいく感覚は、皮膚表面にオイルを塗られるのとはまるで違った。

  まるで危険な薬物を、無理矢理摂取させられているように思えてしまう。

  「ちょっと刺激強いかもしらんなあ。ケツの粘膜から直接やから」

  オッサンはうそぶくように言う。

  「……怖い。怖い」

  初めて俺の口から弱音がこぼれる。

  身動き出来ないまま、身体を好きなように弄ばれて。

  それが苦痛を伴うなら我慢も出来るが、経験したことのないほどの快楽を気絶寸前まで味わわされているのだから。

  だが、オッサンはそんな俺にまるで安心させるように優しい声をかける。

  「大丈夫や。わしがついとる」

  「……」

  「それにまだまだ、気持ち良くなれるんやで」

  そう言うなり、芋虫のような指が1本、オイルと共に俺のケツに潜り込んでくるのだ。

  つぷり。

  「ああああああっ♡!」

  俺は泣いた。

  その黄色い体毛の隙間に染み込んだオイルが、肉壁を掻き分け、無数にある肉襞にこすりつけられる。

  ぐりっ、ぐりっ、ぐりっぽ、ぐりっ……。

  何層にも渡って出来ている、地層のような肉襞すべてに行き渡るように。

  太いのに器用な指先は、襞を拡げてその谷間をつつぅ、と撫でるのだ。

  「んぎぃぃぃぃぃぃっ♡♡!」

  愛撫という表現が正しい、ひたすら優しい感触は、俺の性感を到達したことのない領域に引きずり込んでしまう。

  ……この快感があれば何もいらない。

  そんなことを考えてしまうほどに。

  ぐりゅんっ。

  不意に指が大きく動き、肉壁が押し広げられる。

  「おほっ♡♡!!」

  2本目の指が追加されたのだ。

  「あっ♡あっ♡あっ♡……」

  それだけで俺はアマイキし続ける。

  ぐちゅっぐちょっ……。

  虎オッサンは俺の肉穴を弄ぶように、好き放題に指を動かす。

  土を耕すように肉を掘り、ぐずぐずに纏わり付く襞を押しのけて、未経験の穴を使い勝手のよい雌穴に変えるように。

  大して鍛えているわけでもないデブのオッサンの指2本に、味わわランク冒険者の俺は、なすすべもなく翻弄されるのだ。

  「気持ちええか? 気持ちええんやろ?」

  耳元で囁かれると、頑なな心が氷のように溶けてしまいそうになる。

  抵抗しても無駄だと本能が訴えるから。

  「……もうええやろ」

  ぬちゅんっ。

  「あひっ♡」

  思う存分拡張され、力無く拡がった肉穴から引き抜かれる指先。

  閉じることのない穴の淵から生暖かい空気が入り込んできて、俺は身を震わす。

  「なあ、ジンさん。もっと気持ち良くなりたいやろ」

  そう言うと、俺から身体を離した虎オッサンは、戸棚から小さな小瓶を取り出した。

  中には粘り気のあるローションのような液体が入っていた。

  ……なんだよ、それ。

  俺の危機察知能力が、あれは危険だと訴えていた。

  「これ、なんやと思う? 実はな、さっき使ぉたマッサージオイルを濃縮したもんなんや。せやからほら、こんなに濃い緑色しとるやろ?」

  緑というよりも黒に近い色合いに、俺は恐怖を感じる。

  「そ、それを……」

  「決まっとるやんか」

  虎オッサンはおもむろに唯一身につけていた肌着を取り去る。

  つまりは褌を。

  「あっ……」

  俺は身動きできない状態のまま、目だけを見開いた。

  ……でかい。

  それはダンジョンでオークに襲われているときに見たものとは全く違う、俺の腕ほどもある極大の逸物だった。

  ……どんな、どんな膨張率なんだよ。

  どす黒い色をした包皮は、いびつなほどボコボコと盛り上がっている。

  見れば真珠でも埋め込んだように太い刺が竿全体に張り巡らされていた。

  気弱なオッサンには似つかわしくない厳つい肉棒。

  俺のちんこなんかとは格が違う。

  あれは雌を犯すために存在する凶器なのだ。

  そしてそれは俺に肉穴が狙っている。

  俺を雌のように犯そうと。

  どろり……。

  その凶器の上にマッサージオイルとは粘度の違うローション状の薬が垂らされていく。

  にちゃにちゃ……。

  それを竿にまぶしつけると、虎オッサンはにかりと笑う。

  「ほな、一緒に気持ち良くなろうな」

  ……あんなの突っ込まれたら。

  「……だめ……だめだから」

  俺はもう、虚勢を張ることすら出来なくなっていた。

  ここにいるのは何の抵抗もすることの出来ない20代の若造で。

  ゴツデブのオッサンに犯されることしか出来ないのだ。

  でも……。

  あれだけの快楽攻めをされてしまったせいなのか。

  俺はゲイじゃないのに、オッサンのちんこを受け入れたいと思ってしまっていたのだ。

  もっと快楽を味わいたいと。

  それが怖かった。

  ぎしぎし……。

  デブオッサンがベッドに乗ると、軋む音が耳に響く。

  背後を取られた何も見えない状態が、余計に恐怖を感じさせる。

  「ジンさん……」

  分厚い肉の塊が俺の背中に覆いかぶさる。

  ぴとり。

  「ひっ!」

  熱く硬い肉棒がケツの入口に押し付けられた

  ……あ。

  逸物にまとわりついたローションが、皮膚に浸透していくのがわかる。

  あれだけオイルを使われたというのに、まだ身体が熱くなる余地があったなんて。

  「や、やめ……」

  「大丈夫や。優しくするからな」

  今からレイプしようとしているとは思えないほど穏やかで柔らかい口調で、虎オッサンは言った。

  「大好きやで」

  「えっ……」

  唐突に考えもしなかった言葉を聞かされ、俺は耳を疑う。

  「わしはジンさん、あんたが好きなんや。わしと師匠の命を救ってくれただけやない。兄弟子達に何の役にも立たん穀潰しなんて笑われてたわしをわざわざ奴隷として引き取ってくれた。こんなこんまい、かわいいニンゲンがや」

  「……」

  「わしはあんたに感謝しとる。大好きなんや。離れたくない。でもジンさんはダンジョンを攻略したらわしを捨てようというんやろ?」

  「それは……」

  捨てるんじゃなくて奴隷から解放しようというだけなのに。

  「わしは離れたくないんや。大好きなジンさんの側にずっといたい。せやから考えたんや。どうしたらずっと一緒にいられるか」

  「……」

  「答えはすぐ思いついた。嫁にすればええんやと」

  「何を……」

  「そうや。ジンさんはわしの嫁にしてしまえばええんや。わしの交尾の虜にして、離れられなくしたらええんやってな」

  そう言いながら、オッサンは俺の身体を抱きしめる。

  「大好きやで、ジンさん……」

  その凶悪な肉棒を俺の中に埋め込みながら。

  めりめりめりめり……がちゅんっ!

  「んおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ♡♡!」

  俺はそのあまりの圧迫感に泣き叫んだ。

  指で触られていた時とはまるで違う、穴を掘削されるような感覚。

  ゆっくりだというのに暴力的だと感じてしまうほどその存在感は圧倒的で。

  排泄するためだけの臓器が、オッサンの肉鞘に作り替えられていくのがわかるのだ。

  そして、それに伴う驚異的な悦楽の嵐。

  「ひぎいいいいいいっ♡♡!」

  さきほどまでの快感が児戯だとでもいうほどのおぞましい快楽は、脳を焼き尽くすようだった。

  腕を埋め込まれるも同然なのに、ただひたすら絶頂を繰り返す。

  いや、繰り返すわけじゃない。

  絶頂に押し上げられたまま、一度も降りることも出来ずにただ快楽に飲み込まれる事しか出来ないのだ。

  「イグっ♡イグっ♡♡、イグっ♡♡♡!」

  びゅるっびゅるっびゅるっびゅるっ!

  身体は痙攣しながら、精汁を吐きだし続けた。

  ずるずるずるずるずるずる……。

  その間も埋め込まれ続ける虎オッサンの肉棒。

  やがて。

  ぬちゃり。

  オッサンの股間が俺のケツに触れるのだ。

  ……ああ。

  俺はその時、雄としての人生が終わった事を悟る。

  きっとこの快楽からは二度と逃れる事が出来ないだろうと。

  

  「全部……入ってもうた」

  感無量とばかりに俺の耳元で囁く虎オッサン。

  「大好きやで。もう、逃がさへんからな」

  そう言いながら、餅つきでもするように腰を叩きつけるのだ。

  ばちゅんっばちゅんっばちゅんっばちゅんっ!

  「大好きやで……大好きやで……大好きなんや……」

  「んんっ♡、んんっ♡、あああああっ♡♡!」

  快楽と共にオッサンの言葉に脳に染み込んでいくのがわかる。

  ……だ、だめだ。

  心がほだされてしまいそうになる。

  パブロフの犬のように、快楽とオッサンが結び付いて、俺も好きだと錯覚してしまいそうになるのだ。

  ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ごちゅごちゅごちゅっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ごりっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ、ばちゅんっ……。

  「好きや……好きや……好きなんや……」

  「イグイグイグイグぅぅぅぅぅぅぅっ♡♡!」

  甘い言葉とは裏腹の野太いトゲだらけの棍棒が雌穴をえぐるたびに、俺は中イキを繰り返す。

  薬のせいもあるのだろう。

  イッてもイッても終わりなど見えはしない。

  それどころか竿にまとわりついた濃縮ローションが塗り込まれるたびに、快感が上書きされるように感度が上がっていくのがわかる。

  「んああああああああああああっ♡♡!」

  ケダモノのように叫ぶ俺の身体を強く抱きしめ、オッサンは甘い言葉と地獄のような抽挿を与えるのだ。

  ぐちゅんっ、がちゅんっ、ごちゅんっ、ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりっ、がつっ、ぐちゅりっ、めきょっぐちゅっ、ごんごんごんごんごんごんごんごんごんごんごんごんっ、ばちゅっばちゅっばちゅっばちゅっ、がっがっがっがっ、がつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつがつっ、がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんっ、めりめりめりめりっ……。

  異世界に来て鍛えられたはずの俺の身体が押し潰され、ひしゃげてしまいそうになってしまう。

  「ジンさん……ジンさん……」

  譫言のように呟く虎オッサンは、抱きしめていた腕を伸ばして、俺を完全に陥落させようとする。

  その太い指で再び俺の乳首を摘んで。

  ぐりっ。

  「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ♡♡!」

  目の前が真っ白になる。

  乳首イキと中イキが同時に訪れたのだ。

  上半身と下半身の快楽が一気に身体を駆け巡り、脳にまで達してしまう。

  俺はもう全身で悦楽を甘受するだけ。

  「おがじぐなるうううううっ♡♡!」

  それでもオッサンは容赦しない。

  自分の爪痕を俺の中に残すために執拗に交尾を続けるのだ。

  「大好きなんや……わしのもんになってくれ……ジンさんはわしの嫁なんや……」

  がちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんがちゅんっ!

  「ん”お”お”お”お”お”お”お”お”お”っ♡♡!」

  嫁という言葉が脳に焼き付く。

  まるで焼き印のように一生消えない証として。

  それは幸福感を伴って俺の中にありつづけるのだ。

  ……ああ。

  心の中までじんわりと温かくなっていく。

  ……この人しかいないんだ。

  ……ここまで俺を求めてくれる人はこのオッサンだけなんだ。

  俺は倒錯した喜びさえ感じてしまう。

  「イクで……ジンさんの中に雄汁出すからな……これでわしのもんや……わしだけのもんなんや……イグぅぅぅぅぅぅぅっ!!!」

  虎獣人が呻くと共に、俺の中に熱が拡がっていく。

  じゅぶじゅぶじゅぶじゅぶ……。

  腹の中で子種が吐き出される音が響いていた。

  それは満ち足りた幸せを俺に感じさせたのだ。

  「こんなもんやないど……もっと、もっとや……わしのこと忘れられへんぐらい、交尾したるからな……わしはジンさんの旦那なんや……」

  オッサンは再び俺の身体を押さえ付け、腰を振りはじめたのだった。

  ◇

  「おめでとうございます!」

  最後の階層で待ち構えていたドラゴンを倒し、その討伐証明を差し出すと、ギルドの受付嬢は喜びの声をあげた。

  「まさか本当に1人でムサカダンジョンを攻略してしまうなんて……」

  「まあ、1人というか、こいつの薬の力も借りたんだけどな」

  俺はギルドに連れてきた虎オッサンの顔を見る。

  相変わらず気弱な顔をした虎獣人。

  自分のしでかした事に気づいて、なんなら青い顔をしている。

  ……ギルドの連中に奴隷の癖に主人に刃向かったとわかったら、どんな目にあわされるかわからないからな。

  セックスの時はすごかったのに、正気に返るとこんなものなのだろう。

  「それにしたって……最終階層に潜るといって、1週間音沙汰がなかったから、もう駄目かもしれないと諦めかけていたんですよ」

  「……」

  受付嬢の言葉に俺は渋い顔をする。

  まさか1週間の間、ずっと交尾してたなんて言えるわけがないから。

  そう、オッサンはあのまま俺を屈服させようと、ずっと俺を犯していたのだ。

  ローションに混ぜられた回復薬のせいもあるのだろうが、あんなオッサンに底無しの体力があるなんざ思ってもみなかった。

  ひたすら俺に快楽地獄を与えて犯しぬいたのだ。

  さすがに1週間経って力尽きたオッサンをボコボコに殴り飛ばした俺は、ダンジョン攻略をすると宣言したことを思い出し、その足でダンジョンに潜りドラゴンを倒してきたのだ。

  オッサンとの交尾に比べたら、ドラゴンなんて屁とも感じなかった。

  「これが報奨金です」

  差し出された山のような金貨をマジックボックスに入れると、受付嬢が残念そうに話しかける。

  「あのダンジョンをクリアしたということは、この街は出て行かれるんですよね」

  「ああ」

  俺は冒険者だからな、次のダンジョンを目指さなければ。

  「そうだ」

  俺は受付嬢に声をかける。

  「このオッサンなんだが……こいつの奴隷契約を破棄してくれるか?」

  「……あ」

  オッサンの顔が歪む。

  あんなことをしたせいで、俺から捨てられてしまうとわかったのだろう。

  そりゃ、主に危害を加えるような奴隷なんていらないからな。

  「それはかまいませんが……借金はよろしいのですか?」

  「金なら腐るほど稼げたからな。こいつの借金なんざいらないんだ」

  「まあ、そうでしょうね」

  解放されるというのに泣きそうな顔をしている虎オッサンを見ながら、首を傾げる受付嬢。

  「よかったじゃないですか。元の薬師として師匠のところへ戻れるんですから」

  「……」

  意気消沈したまま何も答えないオッサンを見て、俺は笑う。

  「いや、奴隷契約解除したら、そのままこいつをパーティー登録してくれ」

  「えっ!」

  驚いたように顔をあげるオッサン

  「こいつの薬はなかなか有用だったから、俺の専属にすることにした。一緒に旅に連れていく」

  「あ……ジンさん……」

  オッサンは涙をボロボロと流す

  「よろしいのですか?」

  今度こそ困惑したような顔で受付嬢は尋ねて来る。

  「わざわざパーティーメンバーにしなくても……」

  足手まといを連れて行かなくても、とその顔に書いてあった。

  

  「そうなんだがな。まあ、こいつを守ることぐらい、Aランクの俺にしたら大した手間でもねえし」

  情にほだされたつもりはないんだが……。

  『大好きやで、ジンさん……』

  どうもあの言葉が、俺の心に残っちまった。

  どうせここにいても役立たずの薬師として扱われるだけだろうし、仕方ねえから連れて行ってやることにしたのだ。

  ……別にオッサンの交尾が気に入ったわけじゃないんだぞ。

  俺は自分に言い訳しながら、首を傾げたままの受付嬢に苦笑いしてみせる。

  

  「まあ、成り行きって奴だ」

  ……一応こいつは、自称、俺の旦那様らしいからな。

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