至上の毛並み

  狼が腹をいっぱいにして、眠そうに丸くなっていると、

  狐がそばにかけ寄ってきました。

  狼は狐に言いました。

  「狼に自ずから近づくとは命知らずな狐だな。」

  「話しかけるなら今しかないと存じましてね。

  「ずっと前から興味はあったのですが、

  腹の虫が鳴いている時に話しかけては、

  あなたの胃袋に納まるのも必然のことでございました故。」

  「別に納まりとて構わんぞ。」

  納まりとうなったら、いつでも申すが良い。」

  「そうなったらそういたします。」

  「ところで何用かな。」

  「狼さんの毛並み気持ち良さそうだなと思いまして、

  「触らせて頂いてもよろしゅうございますか?」

  「おぬしいったい何を企んでおる?」

  「いえ、心より申し上げたまでです。」

  「まあ、良かろう。

  「近うよれ。」

  好きに触るが良い。」

  「ありがたきお言葉。」

  狐は狼の毛を流れに沿って撫ではじめ、言いました。

  「艶がありますね。」

  毛づくろいはいつも念入りになさるのですか?」

  「まぁな。」

  「どれ、お前の毛も繕うてやろうか。」

  「よろしいのですか。」

  「狼に自ずから近づいたお前に敬意を表してな。」

  「ありがたき幸せ。」