木彫り職人の熊獣人女性に「合作」を提案され──逃げ切ったつもりだったが終わってなどいなかった

  ◆お品書き◇

  オンラインショップで偶然見かけた木彫り細工。

  良い出来だったので、実際に工房を訪ねることにした。

  そこには一風変わった「木彫りの熊」が置いてあり……

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  [とある工房]

  いらっしゃいませー!

  はじめまして、かな?

  今日はどういった御要件でウチの工房に?

  ふむふむ。

  オンラインショップで偶然見かけたウチの作品に惹かれて、

  実物を見たくてやって来た、と。

  お客さん、良い目してるねー!

  ここには色々置いてあるからさ!

  ゆっくり見てってよ!

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  [木彫りの熊(人型)について]

  お客さん、その商品が気になるの?

  『可愛い子だなぁ』

  『でもどうして人型なの?』

  『しかもアイドル衣装……』

  (この人、いま可愛いって……)

  ……あっ、それはね……

  笑わないで聞いてくれる……?

  実はそれ、ウチ自身がモチーフなんだ。

  実際に衣装を着て、鏡を見ながらアタリをつけて。

  最初は出来心だったんだよ。

  なにかバズる方法がないかなって。

  だけど、歴史ある木彫りの伝統に傷を付けるなって声も大きくて……

  だから今は、この工房にしか置いてないの。

  ……やっぱり変、だよね?

  えっ?

  木彫り師のアイドルが居ても良い?

  面白いじゃん!って?

  ほんとに!?

  ほんとにそう思う!?

  [静かに涙を流す]

  なんで涙が出るんだろ……グスッグスッ

  真正面から褒めてくれた人、あなたが初めてッ。

  [ニカッと笑顔で]

  ありがとう!お客さん!♡

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  [別の日]

  いらっしゃいませー! “ あなた ” !

  今日も来てくれたんだね!

  あっ、そうだ!

  新作の木彫り品、見てってよ!

  「木彫りの熊(メイド服)」!

  えへへぇ〜♡

  あなたは何でも似合うって言ってくれるから、作業の手が止まらないんだ〜♡

  『これも可愛い』

  『細部まで作り込まれてるね』

  そうでしょう!?

  やっぱりあなたは見る目があるよ!

  

  [獲物を狙うような雰囲気で]

  ねぇ。

  次の作品の為にさ。

  あなたにも “ 協力 ” して欲しいの。

  こっち来て?

  [力が強く抵抗できないまま工房奥へ]

  [荒い呼吸]

  フゥーッッ!フゥーッッ!

  あなたの匂い……

  とっても大好き……♡

  ねぇ!!♡

  2人の “ 合作 ” 作ってみない!?♡

  フゥーッッ!フゥーッッ!

  何にも怖くないから♡

  [2人の距離が縮まる]

  ねぇ良いよね?♡

  襲っちゃうよ?♡

  [襲われr──]

  っっ!?

  あれっ!?

  うそ……こんなときに……眠たくなる、なんて……

  なんでどうして!?

  どうして今なの……!?

  [一目散に逃げる]

  ねぇ待って!!!

  ……やだ!!!

  置いて行かないで!!!

  ……まだ終わってない……のに……

  クソッ!

  クソッッ!!

  クソッッッ!!!

  ウチの……モノ……なのに……

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  [月日は流れ]

  [街ブラしていると……]

  ???

  あ、いた。

  [相手はフードを被っていてよく見えないが──]

  あなたの匂い、忘れるわけないじゃん。

  久しぶり。

  冬以来だね。

  [そこには彼女が……]

  この前はどうして逃げたの?

  怒らないからさ、話してみ?

  ん?

  [恐怖のあまり声が出ない]

  もう逃げても無駄だから。

  ほら、工房へ行くよ。

  合作の話、まだ終わってないから。

  [目一杯暴れるが……]

  あなたが暴れたところで、ウチはなんともないの。

  だって──

  こんなに弱いんだもん♡

  [力なく項垂れる]

  やっとわかってくれたんだ♡

  ウチが木彫り師として邁進する為には、あなたの存在が不可欠なの♡

  ウチのこと、こんなふうにした責任──

  勿論とってくれるよね?

  ウチ、もう我慢しないから。

  今度は最後までヤるから。