1起
はじめに
人間が来世で動物になるお話。
これを知ったうえで読もう。
みなさんは、輪廻というものをご存じだろうか?
宗教上で違う世界に生まれ変わることを言う。
現世は人間である自分たちも、
前世は動物だったのかもしれない。
そんな輪廻を題材とした変化小説を書いた。
2承
昔お世話になったおばあちゃん。
その実家では楽しい暮らしがあった。
お家の内外問わず楽しみがあった。
お外ではお買い物や公園があり、
お家ではぬいぐるみやゲームがあった。
夏休みなどの長い学校の休みには、
毎年顔を合わせて寝泊りにいくのだった。
その顔を合わせに行く場所が、
あの実家から介護施設に変わったのは、
僕が大学に通っていた時だった。
満足に手足を動かせなくなったばあちゃん。
本当に数回しか会えないことを悟った。
社会に出て働く日々がはじまり、
その翌年のことだった。
またお盆の日に会おうと思ったときに、
葬儀の通知が届いた。
おばあちゃんが死んだ通知が届いた。
葬儀場の一室で顔を合わせた。
この瞬間を忘れることはなかった。
日々の会社の疲れで、
次の火葬の日には来れなかった。
永久の別れを告げると、
また働く日々が始まった。
3転
おばあちゃんの魂に輪廻の時が始まった。
老体が徐々に縮んでいき、
赤ちゃん並に五体が短くなると、
仰向けからうつ伏せへと反転した。
逆再生して若返ったように。
そこから動物への変化が始まった。
新しい皮膚から産毛が生えてくると、
体中が猫の体毛で覆われた。
二足歩行だった歩き方も、
地面に手を付けて這うようになった。
お尻を後ろに突き出して、
くねくねとした猫の尻尾が生えてきた。
丸い横の耳も三角へと形を変えて、
頭にはぴょこぴょこと猫耳が生えてきた。
自分の手を見ると、
手のひらには指が短く三本指になり、
肉球が出来て猫の前足になっていた。
おばあちゃんは白いふわふわの猫になった。
4結
猫の赤ちゃんは、
ある日みんなのお家にやってきた。
ティーちゃんと名付けた。
父猫や母猫はいない代わりに、
家族のみんなで育てている。
命はどこかで繋がっている。
寿命は短いというのに死を感じさせない。
そんな子猫の振る舞いが嬉しかった。
家族の暮らしもすっかり変わった。
ある日子猫が人間になったらと、
時々想像するようになった。
ペットが人間になった日に続く。