昨日のことは夢だと思いたかった。
ヒソヒソと僕を話題にする声と視線を浴びながら歩く。
自分が話題になっているのことが息苦しい。
早足で重い足を引きずりながら仕事先に向かう。
働かざるモノ食うべからず。
幾ら王族とはいえど働かなければならない。
ほかの兄弟、姉妹たちも働いている。
商売、事務、軍人などを色々やってる。
なんだかんだで多才な能力とそれにあったパートナーを持って国を回している。
僕の仕事は、入城審査官。
仰々しい名前をしているが仕事内容は門番と変わらない。
城に危険な存在が入らないように防ぐ仕事だ。
嘘を見抜けるというココは、質問の答えで偽りがあればすぐに気づくことができる。
そして、そのパートナーである僕は、性欲がない。
だから、魅了などにかからない。
僕たちはとても重宝されている。
「クロコ王子、勇者リブに告白されたんだってな。」
先輩のシーニー・アー・ケーキが白うさぎを腕にだきながら、高みの見物のように話しかけてきた。
三十代で、細身の男性だ。
人に警戒心を抱かせない人畜無害な顔をしている。
パートナーの動物は、真っ白なうさぎのシロウ。
その特殊能力は触っている間は上機嫌になる。
シーニーの人畜無害そうな顔で舐めた相手は、寄ってきたシロウに魅了されて上機嫌になり、大体素直に答えてくれる。
以上がある時は心音などの変化をシロウが足ダンなどで伝えてくれて、そいつは監視対象になる。
「そうなんですよ。僕もびっくりして頭回らず、ココに部屋に連れ帰ってもらってちゃんと返事もしてなくて、まじでどうしよう。返事がわからない」
僕は暗い顔をしながら答えた。
「とりあえず、こういう時は『お友達でよろしく』でいいんじゃないか。完全に断る気がないなら」
シーニーは明るく言った。
「そうですね。それがいい!」
そもそも、僕はリブを遠くからしかみていなかった。
友達ですらない。
それにバラのことを気にしなければ、リブは僕を何として欲しいか明言してないない。
とりあえず友達になるというのがいい。
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「クロコ様、今朝のあくまでも私一人の意見です。本当のあなたの意思にしたがってください。」
仕事が終わり、疲れ切った中、シロウを手放したシーニーは朝と打って変わって、慎重な感じになった。
これがシーニーの本来の性格でシロウの力を借りるおかげでフレンドリーな感じになっている。
シロウは仕事が終わったら、城のシロツメクサばたけに直行して行った。
ココもお腹が空いたと言って城の食堂に直行した。
職場に残ったのは人間だけだ。
「うん、もう僕の答えは決まっている。それではお疲れ様です」
扉をあけたら、大きな筋肉の壁にぶつかりそうになった。
「クロコワド様、こんばんは」
目の前にリブがいた。
「こんばんは、リブ様。ちょうどあなたを探しに行こうとしていました。」
僕は緊張した。
仕事とは違う。
熱のある目で僕をみてくる。
「今仕事が終わったので、出てくるの待っていました。答えが決まっていると聞こえたので教えてください。」
「友達「の」お付き合いでお願いします」
そう言って僕は右手を差し出した。
「友達「からの」お付き合いでよろしくお願いします」
そういって、タコだらけの硬い大きな手が僕の手を優しく握ってきた。