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🧸基本の綿🧸
・オリ設定
・口調迷子
・キャラ崩壊
〘隠し綿〙
🐣ヒヨコが好きに味付け
・ケチャップ乱舞しております。
(皆実さんが殴られる表現と蹴られる有ります。)
・黒審神者に操られの護道さんが出ます。
(触手使います。)
・皆実さんの夕焼けの目が開いております。
※いつもの様に皆実さんがぶっ壊れを起こします。
・懐中時計描写が有ります。
・ニケが出ます。
・皆実さんの身長が高くなる描写が有ります。
(あと、泣く描写も有ります。)
《本日のリボン》
🐙操られ護道さん🐙
服装:黒色のローブ(フード付き)
触手の位置:両腕(手が触手に変化)
目の色:虚ろな紫
ーーーーーーーー
それではどうぞ。
[newpage]
“ブラック本丸を破壊せよ”と伝令を貰った皆実とニケのディーゼル。
順調にブラック本丸を守る門番達を仕留めながら黒審神者の元に向かう二人。
そして、遂に二人は心臓部とも言える黒審神者の居る部屋に辿り着いた。
黒審神者の攻撃を避け、撃破に持ち込もうとした時妨害する者が現れた。
その妨害者とは…。
[newpage]
[chapter:紅色の紫陽花]
“キンッ”
‐突如として現れた触手が黒審神者に降ろうとした刃と弾を同時に叩き落とした。
『来るのが遅くなってしまい、申し訳ありません。
もう怖くないですよ、主。』
声の主は怯える黒審神者を優しく抱き締めた。
黒審神者も声の主を抱き締め返しながら言った‐
〘うんん…。
旦那様が来てくれるだけでアタシ嬉しいから、怖くないわ。〙
‐黒審神者が嬉しそうに声の主にスリスリと甘え出した。
風が軽く吹き[パラッ]と黒色のローブのフードを捲った。
月明かりがその主の顔を照らした‐
【…どうして、彼が…?】
‐その姿を見た皆実の目が見開かれ、言葉が零れた。
月明かりが照らしたのは皆実が愛して止まない片割れの護道心太朗だった。
零れた言葉を聞いた黒審神者がクスリと笑い、護道に聞いた‐
〘旦那様のお知り合いが来てるんだけど、旦那様知らない?〙
‐護道はチラリと皆実の方を見たがすぐに『知らない人です。』と答えを返した。
護道の答えを聞いた審神者がまた笑った…かと、思うとシクシクと泣き真似を始めた‐
〘旦那様が来る前にアイツに顔を引っ掻かれたの…。
撫でて…?〙
‐黒審神者は泣き真似をしながら皆実を指差した。
『痛いの飛んでいけ…。』
護道の手がスルリと黒審神者の頬を撫でる。
頬を撫でる手付きは皆実を撫でている時と同じだった。
撫でられた黒審神者は〘ありがと…♪〙と嬉しそうな声を上げた‐
【…そんなのに優しくしないで。
…私だけ…。】
‐その光景を見た皆実は小さく呟いた。
同時にコロリと目から雫が落ちた。
だが、その目に紅い光が宿り出した。
虚ろな夜色が可愛いと思える程の紅が…。
その色を見たディーゼルは息を呑み、発しようとした言葉を飲み込んだ。
その事に気付いていない黒審神者は護道の頬にキスをし始め、護道もそれのお返しのキスをした。
皆実とディーゼルの弾と刃を叩き落とした触手は黒審神者を抱き締め始めた。
それはまるで“夫婦”の様な抱擁だった‐
【…。】
“シャラッ”
‐皆実が無言で鎌を構える。
その音を聞いた黒審神者がギロリと皆実を睨んだ‐
〘アタシ達の邪魔をするつもり?〙
‐護道も皆実の方を睨み、攻撃体制を取ったが黒審神者が〘旦那様は動かなくて良いわ。
アイツの血で汚れちゃうもの〙と言い護道を制し、懐から霊符を出し鳥を作り始めた‐
〘目が見えないアンタに相応しい鳥よ!!〙
‐棘を持った鳥が放たれた。
“くぇー!”と鳴くと分裂し皆実達の方に襲い掛かって来た‐
“バンッ”
‐ディーゼルが鳥達に弾を放ったが、鳥達は器用に弾を交わしながら攻撃を仕掛けた。
狙えたとしても跳ね返され、地面に落ちた‐
「っ!!
(速すぎて正確に狙えない!!)」
‐弾を撃ちつつもディーゼルはチラッと皆実の方を見た。
皆実も鳥達の攻撃に苦戦している様だった‐
「…早く仕留めて、指揮官を助けないと…!」
‐飛んで来る鳥の頭に銃口をめり込ませ、撃ち込んだ。
鳥の鳴き声がディーゼルの耳を劈き、返り血が視界を塞いだ‐
«ぐわぁ!!»
‐野太い声が聞こえたのと同時にその鳥がディーゼルをめがけ飛んで来た。
が、視界が塞がっている為、鳥の襲撃に気付けない‐
「!?(どこ!?)」
‐鳥がディーゼルを突こうとした時だった…“ヒュオッ”と風の音がし、野太い鳥が斬られる音が耳に届いた。
その音の出処を見ようと目を開けようとした時“サワッ”と優しい手が顔に付いた血を拭っている感覚がやって来た‐
【あんな鳥に苦戦してしまい申し訳ありません…。
無事ですか?】
‐皆実はディーゼルの顔を優しく拭きながら聞いた。
ディーゼルは血を拭かれながら「はい。」と答えた‐
【良かった。】
‐薄く色付く紅を揺らしながらホッとした表情を見せた。
ディーゼルを軽く撫でた後、皆実は黒審神者の方を見て言葉を転がした。
ほんのりと煽りを混ぜて‐
【貴方のご自慢の鳥さん、壊れちゃいましたけど…そこで高みの見物を続ける気ですか?】
‐煽りが混ざった声を受け取った黒審神者が言葉を投げる。
その中に“怒り”を和えて‐
〘アタシの鳥を壊しておいてその言い草…!!
いいわ、アタシ達がお前らを壊してやる!!!〙
‐黒審神者はそう言うと“バサッ”と服を羽根の様に広げ、皆実達の前に向かって来た。
後ろからは護道が触手を伸ばし、その後を追い掛けた。
飛来する二人を見ながら皆実はディーゼルに指示を渡す‐
【アイツ等の連携分断作戦を開始します。
ディーゼルは彼の足止めをして下さい、私はアイツの足止めします。】
「分かりました。
護道さんが黒審神者を逃がしたとしたら?」
【護道さんがアイツを逃がしたとしてもこの本丸破壊と彼奪還は遂行します。
…奪還したら、あの女の匂い消さないと。
この場から逃げたとしても必ず見つけて仕留めてやる…。】
‐ボソッと転がり落ちた言葉は空気に溶けて消えた。
消えたのを見計らったかの様に二人がやって来た。
ディーゼルの方に護道、皆実の方に黒審神者が襲い掛かる‐
『主の邪魔をするな!!』
「それはこっちの台詞です!!」
“キンッ”
‐片刃バサミと触手で作られた斧がぶつかり合う音が響き渡る‐
〘アイツ(ディーゼル)…!!
旦那様の視界に入らないでよ、忌々しいわ!!〙
【視界がお留守ですよ!!】
‐鎌と刀の音が銃と触手で作られた斧の音の後に鳴り響く。
皆実と戦いながらも黒審神者の視線はディーゼルと護道の方を見ていた。
ディーゼルの片刃バサミの先が斧を捉えようとした時だった。
〘旦那様の視界に入って良いのはアタシよ!!
お前じゃない!!〙と発狂に近い声を上げ、皆実を突き飛ばしディーゼルと護道の間に割り込み、ディーゼルに刀を振り上げた‐
【私の家族に触るな…!!】
“ガキィッ”
‐振り下ろされる刀を鎌で受け止め、黒審神者の腹を蹴り飛ばした。
直後に護道の触手の斧が皆実に振り掛ろうとしたがディーゼルがそれを防ぎ、皆実との距離を離させた。
再びディーゼルと護道との距離が狭まった。
それを見た黒審神者がまた悲鳴に近い声を上げ、ディーゼルに襲い掛ろうとする‐
〘旦那様はアタシのよー!!〙
「っ!!」
‐黒審神者の手がディーゼルの首に掛ろうとした瞬間、鎌の持ち手の感覚が黒審神者の腹を襲った‐
【吹っ飛べ!!!】
‐勢い良く皆実は鎌を振り回し黒審神者を遠くの壁まで吹っ飛ばした‐
“ドゴォォ”
‐凄まじい音がその場に鳴った。
護道はギロッと皆実を睨み付けた。
皆実はその視線を受けながらも声に煽りを混ぜ、言葉を編む‐
【ねぇ、あの黒審神者のダーリン様ぁ?
良いんですかぁ、奥さんの所に行かなくても?
今頃、“痛いよぉ、旦那様ぁ…!!”って泣いていると思いますけど。
大事な奥さんをほっといてこの泥棒猫と遊んでくれるのですか…?】
‐嘘の泣き声を宿しつつも目は笑っておらず、声のみが泣いているという状況が三人の間に生まれた。
遠くで護道の名前を呼ぶ声が微かに聞こえて来た‐
【〘旦那様ぁ…〙って呼ぶ声聞こえますね。
ホラホラ、行かないと!】
『主!!』
‐護道はギッと皆実をまた睨んで遠くに吹っ飛んで行った黒審神者の所に触手を伸ばし、飛んで行った‐
(遠くに吹っ飛ばしたから戻って来るまで時間掛かるだろうなぁ…。)
【ディーゼル、怪我は?】
‐皆実はディーゼルに手を伸ばした。
伸ばされた手を掴んだディーゼルは「あっ…。」と声を上げた。
いつもの手では無く、大きな手だったからだ‐
「指揮官…背、大きくなったのですね。」
【一時期的だけですけどね。
いつもの姿だとアイツを吹っ飛ばせないので。
あと、この姿じゃ無いと彼と戦えない。】
‐フフッと笑うと首元に掛けてある懐中時計と指示をディーゼルに渡した‐
【黒審神者との戦闘中に“救護者”の気配を感じました。
その中に居る救護班と一緒に救護をお願いします。】
‐皆実は黒審神者との戦闘中に索敵でこっそり見つけた道を指差した。
指が示すその道は仄暗く“本当に救護者が居るのだろうか?”と思わせる暗さだった。
だが皆実が【救護者が居る。】と言った瞬間、動物の足跡を連想させる跡が現れた‐
【これなら怖くないですよね?】
‐皆実はちょこっと首を傾げた‐
「ありがとうございます。
これなら迷わずに歩けます。」
【良かった。】
‐ディーゼルが足跡に向かい歩き出した時だった。
『誰が行かせるか。』という声と鋭い触手の[[rb:錐 > きり]]が背後から降って来た‐
「っ!!」
“キンッ”
‐錐の切っ先を鎌が叩き落とした。
“カツンッ”
壊れた錐の切っ先が転がり落ちる‐
【お帰りなさい。
黒審神者の“旦那様”】
‐皆実が鎌越しに護道を睨む。
その視線を受けた護道が忌々しげにブラック本丸の主達に語られている皆実の通り名を呼ぶ‐
『本当に邪魔しかしないな…”夕焼け”!!』
【“邪魔”って、私達は貴方に用は無いのですよ。
あるのは“奥さん”だけです。】
‐その言葉を聞いた瞬間、護道の口から小さな言葉が落ち出した‐
『…は…の…き…。
な…と…。』
‐落ち出した言葉に合わせる様に触手が錐と斧を掛け合わせたモノへと変化を始めた。
錐と斧を掛け合わせたモノが出来上がった時、落ち出した言葉を[[rb:譫言 > うわごと]]の様にもう一度、言葉を落とした‐
『あの人の敵は俺の敵…。
彼女を壊す者は俺が壊さないと…!!』
‐落ちた言葉を引き金とし、錐と斧を掛け合わせた触手の雨が皆実達の方に降り始めた。
“キンッ、キンッ”
皆実は鎌を振り、その雨を防ぐ。
錐と斧の攻撃を防ぎつつもチラッと後ろを見ると、皆実の死角を縫う様に現れた錐と斧が足跡を攻撃していた‐
「絶対にこの足跡は消させない!!」
‐ディーゼルも護道に負けじと銃と片刃のハサミを組み合わせたモノを使い、錐と斧を撃ち落とし、切り裂く。
だが、その防御も上回る速さで雨が降り注ぎ出した。
“ピシッ”
足跡に亀裂が入る音が二人の耳に届いた。
その音を聞いた護道がディーゼルの方に一気に向かった‐
『まずはお前から…!!』
「!!」
‐ディーゼルが片刃のハサミを構えるよりも早く、錐で胸を突き刺そうと振り落とした時“キンッ”と錐の切っ先を受け止める音が生まれた‐
“ギリギリッ”
‐錐と刀の閃光が皆実と護道の間に散る。
護道はググッと錐を前に押し出す。
少しだけ皆実の足が後ろに後退しかけたが皆実も刀を前に押し、護道を押し戻した。
勢いそのままにディーゼルのと距離を離れさせ、皆実はディーゼルに言った‐
【ディーゼル、足跡の上を走ってください!!
早く!!】
‐ディーゼルは頷くと足跡の上を走り出した。
『行かせるか!!』
護道がディーゼルを追尾する型の触手の斧を放とうとした時、鎌の刃が斧を弾いた。
弾かれた斧の欠片がディーゼルが通り終わった足跡に突き刺さる。
欠片の雨を走りながらディーゼルは後ろを振り向き、言葉を零した。
「指揮官、ご武運を…!」
ディーゼルは走りながら小さく言葉を落とした。
転がって来た言葉を聞いた皆実もポツリと言葉を落とした‐
【…ディーゼル、ちゃんと無事に私の所に帰って来てくださいね…。】
転がした言葉を最後に皆実の理性は“プツンッ”と音を立て、切れた‐
『逃がすか!!』
‐護道の視線は未だにディーゼルの方に向いていた。
鎌の隙間を縫い、斧の触手をディーゼルの後ろめがけて飛ばした。
飛ばされた斧の触手は真っ直ぐ飛んでいったが、直後に“ボタッ”という音を鳴らし地面に崩れ落ちた。
ゆっくりと紅い目を開けながら皆実は幼さを混ぜた言葉を鎌越しに居る護道に落とした‐
【あの女の[[rb:旦那様 > おにんぎょうさま]]、私と遊びましょう♪】
‐無邪気な声が護道の耳に届いた。
そして、それが戦いの合図であった‐
[newpage]
[chapter:毬は転がり、鴉が飛ぶ]
‐部屋に鎌と斧がぶつかり合う音が響き渡る。
火花が散り、閃光が壁や装飾品を引っ掻く‐
“ガシャンッ”
‐装飾品が壊れる音を聞く度に護道の顔は歪む。
皆実の顔に“楽しい”という色が咲いていた‐
『ちょこまか動きやがって!!』
‐護道は装飾品を割らない様に斧を振るった。
皆実はクルリと振られた斧を避けながら言葉を転がす‐
【お人形様の動きが遅いだけ。】
‐皆実は装飾品を巻き込む様な動きで鎌を振るった。
巻き込まれた装飾品が壊れ、欠片を生んだ。
生まれた欠片も使いながら護道の間合いを詰め出した‐
“ギャリッ”
‐間合いが詰まれ出した護道が斧を前に押し出し始めた。
押し出された鎌に隙間が出来た。
護道は鎌の出来た隙間ごと斧で鎌を叩き落とした。
“カラーンッ”
鎌の落ちる音がその場に鳴る。
即座に皆実は鎌を拾い、振り掛けた斧を防ぐ‐
“キンッ”
‐再び鎌と斧の歌が始まった。
床に落ちた装飾品の欠片が歌に音楽を添える。
鎌が隙間を縫おうと動けば斧が隙間を壊し、斧が隙間を縫おうと動けば鎌が隙間を壊す。の繰り返しが始まった‐
【お人形様と遊ぶの楽しい…!!
もっと遊んで!!】
‐笑いながら鎌を斧に押し付けながら笑う。
声の中に“楽しい”という花が咲く。
護道は皆実に気付かれない様に落ちていた欠片に触手を這わした。
そして、皆実の視線が斧から外れた時ポツリと護道は言葉を落とした‐
『欠片の雨。』
‐護道は一気に欠片に這わせた触手を持ち上げ、皆実に投げ飛ばした。
大小様々な欠片が雨の様に降り、皆実を襲う。
が、皆実はケラケラと無邪気に笑いながら鎌を傘の様に持ち上げ、鎌を回し出した‐
【雨降りなら、こうやって弾かないと!!】
‐鎌が回る度に欠片は弾かれ、触手も削れていった。
削れた触手は空を舞い、消えて行った‐
【欠片の雨のお返し!!】
‐残っている触手に影から出した小刀を突き刺しそれを[[rb:独楽 > こま]]の様に回し、護道に投げ飛ばした。
護道は独楽を斧で止め、壊した‐
『こんなので俺を止めれると思うな!!』
‐クルクルと回る鎌を避け、護道の斧が皆実の鎌の刃を絡め取った。
勢いそのままに護道は鎌を遠くに弾き飛ばし、鎌を拾う間も与えずに斧を振るう‐
“ギャリッ”
【あはっ、私が鎌だけしか持ってないと思った?
残念、鎌以外も使えるよ!!】
『なっ!!』
‐護道の斧を止めたのは太刀だった。
ギリギリと音を鳴らしながら斧の進行を防いでいた。
太刀を横に凪ぎ、斧を地面に叩き付けた。
“ズドォォンッ”
凄まじい音を立て、斧が地面に沈んだ。
その隙に皆実が動こうとした時、上から電流を纏った触手が振り掛かって来た。
太刀で電流を纏った触手を受け止めた、次の瞬間“バチッ”と音がし太刀を伝い電流が皆実を襲った‐
【っー!!!!】
『ただの触手だと思ったか?
お前の太刀が濡れていて助かった。』
【…!!
(斧の中に水を仕込んでたか…!!)】
‐地面に叩き付けた斧を見ると中から水が溢れていた。
水が横に凪いだ時に太刀に付着し、電流を発動させる装置と化した。
そして触手を受け止めた時“発動”し、現に至る‐
“バチチッ”
‐電流の流れる音が護道の耳に届く。
電流をもろに喰らいながらも皆実は太刀を床に突き刺し、立っていた‐
【ははっ…。
電流喰らったの久しぶりだけど、やっぱりビリビリするね…。
でも、楽しい!!】
‐声に“愉快”を混ぜた声が護道の耳に届いた。
ふと皆実の顔を見た護道は驚いた。
何故なら、電流で苦しい筈なのに声と目に“楽しい・愉快”という色が灯っているのだから‐
【電流、返すよ。
私には要らないモノので。】
‐太刀に電流を纏わせるとそれを護道めがけ、振り飛ばした。
飛ばされた電流が“バチッ”という声を上げながら護道の方へ飛んで行った。
護道は触手を新しい斧に変化させ、飛んで来た電流を斬り落とした。
斬り落とされた電流が護道を痺れさせた‐
『ぐっ…!!』
‐護道のくぐもった声が咲いた。
皆実はその声を聞きながら言った‐
【お人形様、私とお揃い。
でも…】
‐太刀を再び構え、水のあるところに歩いて行った。
水に太刀を突き立てた‐
【もっと痺れて!!】
“バチンッ!!!”
‐太刀から溢れた電流が一気に護道に流れ込む。
水と相まってその威力は凄まじかった‐
『あ”ー!!!!!』
‐護道の悲鳴が部屋に木霊する。
触手をのたうち回らせ呻く。
呻いていたが、また譫言を落とした‐
『あの人を守るのが俺の役目…!!』
‐護道はギッと皆実を睨むと硬化させた触手を皆実の方に向け、撃ち放った‐
【かはっ…!!】
‐放たれた触手が皆実の腹を殴った。
口から血が流れ落ちた。
腹を殴られた拍子に太刀が手から落ち、電流も消えてしまった。
触手は皆実を壁に叩き付けた‐
『はぁ…はぁ…。
まさか、電流を利用されるとは…。』
‐ゆっくりと触手を揺らしながら皆実の方へ護道は近付き、触手を硬化させると皆実へと振り落とした‐
“ブォンッ、バシンッ”
【ー!!!】
‐声にならない声が部屋に木霊する。
皆実の顔と腕に痣が出来始めた。
それでも皆実の目から“愉快”さは消えなかった。
むしろ“愉快”という花が濃くなっていた。
遂に皆実は笑い出した‐
【あははっ!
そんなにあの女が大事って言うなら、その女のモノごと大事にしないとダメなんだよ!!】
“ガシャンッ”
‐皆実が両腕を壁に叩き付けた瞬間、黒審神者の物が一斉に壊れ出した。
その音を聞いた護道の顔が青褪め、皆実を殴っていた触手を壊れ出す物達に伸ばし、壊れないように安全な場所に避難させ始めた。
皆実は大きく両腕を地面に叩き付け、物を一気に落とさせた。
護道の触手が物を全て拾っている内に皆実はフラつきながらも部屋から逃げ出した‐
ー〘廊下〙ー
‐フラつきながらも皆実は冷たい廊下を歩いていた。
何度か膝を付きかけたが、気合で持ち堪えた。
顔、腹、腕を殴られた時の痛みが皆実の体を駆け巡る。
皆実は追っ手たる護道の気配が無いのを確認し、壁を背に付け、座り込んでしまった。
下から殴られた傷を撫でる様に冷たい空気が吹き付ける。
痛みの中、皆実はとある霊力を探り始めた‐
【…やっぱり、居ないか…。】
‐皆実が探っていたのは黒審神者の霊力だった。
だが、黒審神者の霊力はこの本丸には無かった‐
【…私とディーゼルの所に戻る前に逃したんでしょうね…。
きっと…。】
“ゲホッ、コポッ”
‐皆実が咳き込んだ時、口から血が流れ落ちた。
霞んでいた紅が流れ落ちた血を捉えた時、戻り始めていた理性が再び切れた‐
【…あの女のモノを壊したら来るのかな…?】
‐立とうとしても動けない皆実を見た鎌が鈍色の光を放つ。
コロリと皆実の口から転がった言葉を聞いた鎌が毬へと変化し始めた。
“準備するから待ってて”という様に。
毬の先に紐が付き、返しが果物の実の様に中で成長を開始しした‐
“チリンッ”
‐毬へと変化終えた鎌が皆実の指先に糸を伸ばし、突き始めた。
皆実は毬を優しく掴み、聞いた‐
【…あの女のモノを壊したらお人形様来る…?
遊んでくれるかな…?】
“チリンッ”
‐皆実の問いに答えるかの様にチリンッと鳴った。
答えを聞いた皆実は【そっか。】と言葉を返した。
紐に指を通すと思い切り、叩き付けた‐
“ポンッ!!”
‐叩き付けられた毬は一斉に部屋の中に飛び込み、中から返しを出し、黒審神者の物に突き刺さった。
軽く引っ張るとクイッと糸が引っ張られる感覚が指先に伝わった。
痛みが少しだけ引いたのを感じた皆実は壁伝いなれど立ち上がり、一気に紐を引っ張った‐
“ガシャンッ!!”
‐あちこちから物が壊れる音が鳴り響き始めた。
黒審神者の物が壊れる音が皆実の耳に音楽に聞こえた。
壊れる音を楽しんでいると遠くから『夕焼けー!!』という声が聞こえて来た‐
【お人形様だぁ♪!!
本当に来てくれた!!
遊びましょう!!】
‐降って来る斧を元に戻した鎌で防ぎながら皆実は嬉しそうな声を上げた。
護道は刃溢れさせた筈の鎌が復活しているのを見て目を見開いた‐
“ブォンッ”
‐嬉しそうな声と一緒に振り回される鎌を防ぎながら護道は皆実に言葉を落とした‐
『なんであの人を破壊しようとするんだ!?
俺にとってあの人は大事な人なんだ!!
夕焼けだって、大事な人が破壊されたら嫌だろ!?
なのに、なんで…!!』
‐護道の言葉を聞いた皆実は少しだけ真顔と真面目な声になり、言葉を返した‐
【私にも大事な人は居ますよ。
(目の前で私に斧を振るい、あの女を大事な人と言う貴方。)
大事な人が破壊されたら嫌なのは一緒です。
(早く、あの女から奪い返さないと…。)
ですが“黒本丸と黒審神者を破壊せよ”という任務で来ていますので、そんな事、言ってられないんですよね…。
と、いうわけで此処とあの女は破壊させて貰います。
(もう少しだけ待ってて、心太朗…。)】
‐再び、紅へと意識を沈ませた皆実は鎌を握り返し、鎌を振るった。
振るわれた鎌を斧がすかさず防ぎ、互いに隙間が無い状態になった‐
『そうか…。
だったら…お前を破壊してやる!!』
“ギリギリッ”
‐虚ろな紫色の目で皆実を睨み付けたかと思うと何処に体力を隠していたのかと思う程の体力と力で一気に皆実との間合いを詰め始めた‐
【!!
(何処にこんな体力隠していたんだ…!?
結構、体力削いだのに!!)】
‐地面に互いの靴の跡が付き始めた。
何度もぶつかり合った末に鎌の先に“ピシッ”と小さなヒビが入った。
本人は気付いておらず、護道のみがそれに気付いた。
一瞬の内にヒビ割れの箇所に斧先をズラし、押し込んだ。
押し込んだ斧先をヒビが大きくなる様に動かした。
ヒビはドンドン大きくなり、刃が壊れる音が聞こえ出した‐
『夕焼け、お前の鎌を見てみろ。
壊れかけているぞ?』
‐護道はヒビを指差した。
それを見た皆実が苦い顔をしながら言った‐
【っ…お人形様がヒビをゴリゴリしなければ…!!
(このままじゃ、鎌が壊れちゃう…。
壊れる前に押し切る!!)】
‐護道の斧を押し返す様に皆実は鎌を前へと押し込み、隙間から刃を突き入れ横に凪いだ。
斧の軌道がズレたのを見逃さなかった皆実は護道の腹を勢い良く蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた護道は壁にめり込んだ‐
『ゴフッ…!!』
‐護道の口から赤い筋が溢れた。
赤い筋は一旦零れ始めたら、止まることを知らずドンドン口から零れ始めた。
零れた赤い筋を護道は憎い目で見つめた。
“ガシャンッ”
護道の足の前に刃溢れが直った鎌が突き刺さった‐
『破壊寸前まで追い込んだのに直るってどんだけ頑丈に作り込んでるんだよ…。』
‐突き刺さった鎌を見ながら護道は声を落とした。
護道の声が落ちたのと同時に皆実の声が降り始めた。
降って来る声の中に護道が呟いた言葉の答えも落ちて来た‐
【ふふっ。
お人形様、私と一緒だね…真っ赤♥
この子は私の相棒だから壊れないよ、壊れちゃったら意味無いもん。】
‐護道の足の前に突き刺した鎌を撫でながら皆実は答えた。
ひとしきり鎌を撫でた後、護道の服の襟を掴んだ‐
【ねぇ、お人形様。
あの女を何処に逃したの?】
‐皆実の声が護道の鼓膜を揺らす。
虚ろな紫色に紅が映ったがその色から目を逸らした。
皆実は襟を掴んでいた手を顔へと移し、自分の目線へと戻させた‐
【目を逸らすな、答えろ。】
‐皆実の冷たい声が護道の鼓膜に染み込む。
護道は小さな言葉の欠片を転がした‐
『…れが…。』
‐息を吸い、欠片を繋ぐ。
虚ろな紫が紅を捉える‐
『誰が言うか!!』
“ガンッ!!”
‐硬化させた触手を足に巻き付けると護道は勢いそのままに皆実の鎌を蹴り壊した。
蹴り壊された鎌の破片が空を舞う。
破片の一部が皆実の頬を斬った。
斬られた頬からは血がツーと流れた‐
【まさか、鎌を蹴り壊すなんて…。
あははっ、余程あの女の事が好きなんだね!!】
ー皆実は蹴り壊された鎌を一本刃のハサミに変形させ、飛んで来る護道の触手の攻撃を躱すー
『あの人を壊そうとするお前は大嫌いだ!!
さっさと消えろ、夕焼け!!』
【(っ…!)
あの女を庇う貴方なんか大嫌いですよ!!
そして消えるのは私ではなくあの女だ!!】
ーハサミを持つ手が一瞬だけ震え緩みかけたのを見逃さなかった護道の触手がハサミを弾き飛ばすべく隙間から現れたが、それを予測した様にハサミの中からクナイが現れ触手を切り裂いた-
『っ!』
-切られた所から今の護道の目と同じ色の血が流れ出した。
護道は切られた個所を鞭のように[[rb:撓 > しな]]らせながら、切られていない触手で追撃を掛けようとする皆実のハサミの攻撃を受け止め、躱す。
その攻防戦を繰り返していた時だった…。
遠くから〘旦那様ぁ…。〙と泣く声が二人の間に届いた-
『あの人が泣いてる…。
帰らないと…。』
-攻撃を止め、護道は触手を鴉の羽へと変化させた。
皆実はハサミを構えたまま、その行動を見ていた-
『待ってて、大事な人。
夕焼け、今日の所は見逃してやる。
次に会ったら、破壊する。』
-そう言い、護道は“バサッ”と言う羽音を立て、触手の翼で飛び始めた。
無論、それを見逃す皆実では無い-
【待って、お人形様。】
-皆実もハサミの一部を槍へと変え、投げ飛ばした。
投げ飛ばされた槍は階段の様に連なり始めた。
皆実は槍の階段を一気に登り始めた。
“カンッ”
“カンッ”
“カンッ!!”
護道の耳に階段が出来る音と登る音が同時に届いた-
『何処までもしつこいな…!!
夕焼け!!』
-護道は飛びながら皆実に威嚇の声を上げる。
それを聞いた皆実がニッコリと笑い、返した-
【ええ。
ずっと、これでやってますので。】
(早くあの女を破壊しないと私の気が可笑しくなっちゃう…!!)
【このまま、第2ランドと行きましょうか。】
-皆実はそう答えると刃を構えた。
空中戦に持ち込んだのだ。
この時、皆実は知らなかった。
護道が密かに走らせ始めた“仕掛け”に-
[newpage]
[chapter:落花]
-火花が舞い、武器がぶつかる音が空に咲いた。
互いの壊れた武器の欠片が地に落ちて行く-
【…っ…。
はぁ!!】
『っ…。
よっと!』
-次第に武器がぶつかる音に混じり始めたのは二人の声だった。
触手は皆実のハサミを絡め取る様に巻き付いた。
が、皆実は巻き付いた触手を巻き取り、叩き落とした。
叩き落された触手は塵となり消えた-
【…。】
([[rb:宿主 > しんたろう]]から切り落とされると再生出来ないのか…。
なら…!!)
-触手が消えたのを見た皆実はハサミを開き、自分に向かってくる触手を断ち切り始めた。
切られた触手は空を舞い、地に落ちて行った。
その度に護道は新しい触手を生やし、ハサミに攻撃を繰り返した。
だが、向かってくる触手も断ち切った。
切られた箇所が再生しようと蠢く-
【へぇ…。
触手って切られたら再生に時間掛かるんだぁ。
だったら、邪魔なモノは燃やしちゃいましょう♪
お人形様を退かさないと次に行けないもん!】
(心太郎を寝かせないと次に進めない…!!
…絶対にあの女に渡してたまるか…!!)
-皆実はハサミに炎を纏わせ始めた。
スッーと灯っていく炎を見た護道は触手を硬化させ盾型に始めた。
炎が灯り、盾が完成したのを合図の様に二人は互いの間合いに飛び込んだ。
皆実のハサミを護道の盾が防ぎ、護道の盾を皆実のハサミが防ぐ。
両者、一歩も引かない戦いに幕を引いたのは皆実のハサミだった。
ほんの僅かな隙間にハサミの先を差し込み、内側から破壊したのだ。
これにより、護道の盾は完全にバラバラに砕け散った-
『っー!!!』
【あははっ。
楽しかったよ、お人形様…。】
(おやすみ、心太郎…。
全部終わったらお迎え、行くから。)
-皆実がハサミを護道に振り翳す。
ハサミが護道を捉えようとした時だった…。
“ドスッ!!”と言う鈍い音が皆実の腹を劈いた。
腹を貫いたのは透明な槍だった。
皆実の口から赤い筋が溢れ始める-
【カハッ…!!】
-ハサミが皆実から滑り落ちた。
護道はフラリと立ち上がると皆実を見下ろし、言葉を転がした-
『チェックメイトだ、夕焼け。』
-護道の言葉がソレが生まれる言葉だった。
今まで、地に落ちて行った欠片が触手と混ざり始めた。
皆実が護道を追うのに使った槍ですら触手を飲み込み、皆実の方に矢先を向け出す。
その様子を見た皆実が呟いた-
【最初から、これがやりたくて私の空中戦に応じたんだ…。】
-皆実が空中戦に持ち込む前に密かに触手を仕込んでいた。
そして、皆実との空中戦の最中に皆実の霊力を“水”とし芽吹かせ、花開かせた-
『俺がただ、飛んでるだけだと思ったか?
-此処でお前を仕留める為に罠を仕掛けたって訳だ。』
“シュルルッ”
皆実の霊力を“水”として育った触手達が皆実の方を一斉に向いた。
その先端には返し針付いており、抜けない仕様になっていた。
その出で立ちは、かの有名な拷問器具の乙女の様だった-
『“[[rb:壊れる紫陽花 > ステルス・メイデン]]”』
-護道が引き金となる言葉を引いた。
触手達が一斉に皆実を突き刺し、水底へとその身を落とした。
壊れる夕焼けが落ちたのと同時に水面にも針を持った魚が現れ、皆実を串刺しへと叩き落としたのだ-
『Close』
“バタンッ”
-護道が『終わり』と言った瞬間、水底と乙女の蓋が閉まった。
“トプッ”
水面に小さな桜の髪飾りが浮びんだのと同時に水面が紅に染まった。
護道はその水面に降り立ち、髪飾りを拾った-
『あの人の土産にでもするか。』
-護道は髪飾りをポケットに入れた-
『夕焼けを討ち取っただけでも大賞だが、その従者も壊したら更にあの人の笑顔が増えるな。』
-ポケットに入っている髪飾りを触りながら護道はクスリと笑った。
護道の頭の中が黒審神者の笑顔で埋め尽くされた。
だが、護道は知らない。
水面が微かに揺れているのに-
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[chapter:紫陽花の泣き声]
-紅が水面を揺らす。
護道はその光景を見ながら言葉を落とす-
『いつまでも此処に居る訳にはいかないから、移動するか。』
-飛び立とうと翼を広げる。
“バサッ”
水面に黒が泳ぐ-
『“夕焼けが現れたらば、黒本丸は沈む”とあの人は言っていたけど、沈んだのは[[rb:あっち > 夕焼け]]じゃないか…。
確かに強かったが、沈んでしまえばあの人の勝ち。
そして、“夕焼けの負け”だ。
さて、次の仕事に行くとするか。』
“バサッ”
-護道が翼を広げ、飛び立とうとしたその時だった…。
“ゴポッ”
水面に気泡が生まれる音が届いた-
『!?』
-音に驚いた護道が振り向くと有り得ない光景が広がっていた-
【…“誰が負け”たって…?】
-ゆっくりと水面から這い上がって来る者の姿が目に映った。
段々と顔が護道の方に上がっていき、護道の紫色の目に紅が映り始めた。
目に映った者に護道は驚きの声を上げた-
『うっ、嘘だろ…!?』
【ただいま。
お人形様ぁ…!!】
-水面から這い上がる者ー皆実は妖艶な笑みを浮かべながら、護道を見た。
口から溢れる筋ですら妖艶さに拍車を掛けた-
【いっぱい遊んでくれてありがとう。
これからは“私”が遊んであげるね!!】
-皆実の声に反応する様に水面が盛り上がり始めた。
次第にその水流達が“鎌”の形を作り始めた。
その光景に護道の目が見開かれた-
(何故だ、確実に串刺しにして沈めたのに…!!)
『水流で鎌を作っても無駄だ。
また従わせれば良い事だ!!
“[[rb:壊れる紫陽花 > ステルス・メイデン]]”!!』
-護道の声が水上に響く。
だが、拷問器具の乙女は出なかった。
代わりに鮮やかな色の鎌が形成され始めた。
皆実は鎌を撫でながら護道が引き金とし、自分を貫いていたモノの名前を落とした-
【“[[rb:咲き誇る紫陽花 > ステルス・メイデン]]”】
-紫陽花色の鎌が護道の触手の翼に小刀を飛ばし始めた。
護道は小刀を触手で防ぐ為に羽を触手に飛ばしたが、小刀は羽を弾き飛ばし、護道の触手に食い込んだ-
『ぐっ…!!』
-食い込んだ小刀は護道の触手の翼を切断し始めた。
が、触手もタダで斬られる訳が無く抵抗を始めた-
『邪魔をするな!
俺はあの人の所に帰り、あの人に褒めて貰うんだ!!』
-斬られていない羽の触手を硬化させ、食い込んでいた小刀を斬り落とした。
全ての小刀を落とした後、触手を再び伸ばし水面に居るであろう皆実に向けて触手を放った。
が、放たれた触手は水飛沫と共に空を斬った。
護道が上を見た時、皆実が鎌を構えていた。
鎌の先から小刀が現れ、護道の触手の翼に狙いを定めていた。
皆実は勢い良く鎌を振るった。
小刀が一斉に翼に食らい付いた。
触手の攻撃が間に合わない速度で翼を壊して行く。
小刀の隙間を見つけた触手が伸び掛けた時、皆実の手が触手を掴んだ。
掴んだ触手を引き千切った。
徐々に護道の翼が壊れ出し、下へと落下を始めた-
【このまま、下に落っこちゃえ!!】
-皆実は鎌を持つ手と自身に力を乗せ、護道を落下させに掛かった。
翼で飛ぼうにも触手で振り落とそうにも小刀と鎌が翼と触手に食い込み、護道は“飛ぶ術”を全て奪われた。
落下する最中、皆実は軌道を壁へと移した。
小刀が壁へと移動し突き刺さった-
“ジョリッ!!”
-壁へと完全に移動した皆実は護道の触手部分を下にし、そのまま落下を続行させた。
触手が削れる音を立て、削れて行く。
再生しようものなら、皆実は自分の手元にある小刀で触手を削いだ。
宿主を離すまいと触手は護道に寄生しようと伸びる。
皆実は伸びて来た触手を掴み、言葉を紡いだ-
【…心太郎は私のだ…。
誰にも渡すものか!!!】
-言葉を転がした後、皆実は触手を握り潰した。
触手と翼が削れる音が鳴り響く中、二人は水面の下にある部屋に落ちた。
その際、距離が離れてしまった-
“ドサッ”
『カハッ…!!』
-護道の口から“黒い珠”が落ちた。
黒い珠は護道の口に戻ろうと藻掻いていた-
“バキャッ!!”
-皆実が降らせた最後の小刀により、黒い珠は破壊された。
それに続く様に触手と翼も破壊された-
【…心太郎っ…。】
-皆実はよろめきながらも護道の隣に歩を進めた。
戦闘で負った痛みが傷が皆実を襲った-
【…まだ、倒れる訳には…。】
-フラつきながらも皆実は護道の隣に辿り着いた。
そして、手を伸ばし護道を優しく抱き締めた-
【…心太郎、ごめんね…。
痛かったよね…ごめんね…。】
-紅色の目からは雫が溢れ、涙声が室内に響く。
皆実は護道を抱き締めながらポツリと呟いた-
【…大きい身体で貴方を抱き締められて良かった…。】
-少しづつ、皆実の身体が元に戻り始めたのだ。
戻る感覚を泳いでいる中、空から色鮮やかな花が降り始めた-
【…綺麗だな…。】
-コロリと言葉を転がした後、皆実は気絶した。
花の雨の中、固く手を握って-
[END]
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