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彼は強かに酔っていた。
大体、ロシア系と飲み比べようというのがもう浅はかな発想なのだ。
いかに実家が酒店であろうと、年中度数が高い酒を飲んでいるような人種とはDNAが違うのだから敵うはずはない。分解酵素が少ないと言われるアジア系のなかではまだ強い方なのだろうが。
目の前の白い喉がまた動くのを、ぼんやりと眺めているほかなかった。
「飲むイメージなかったんだけどなー…」
「まぁ、あまり…」
見た目にも行動にも一切変化は表れていない。
飲んだところで何も起きない体質なのだろう。
それでは面白くもなんともないからわざわざ飲んだりしないのかもしれない。
穏やかな微笑も話し方も柔らかな目線も、飲み始める前と同じだ。
それが悔しかった。自分は動作も思考も緩慢になっているのに。
ローテーブルからボトルを掴んで引き寄せ、グラスに注ぐ。
「んー、負けたくねえなぁ」
「もう止しましょう。私の負けです」
優しい手がそっとボトルもグラスも取り上げた。
「……狡いよお前」
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注いだぶんだけは、と取り返そうとする彼の前でグラスを空ける、その喉元に見惚れた。
ジャケットはハンガーに掛けられており、ネクタイもない。ボタンは第二まで外されていて普段は見えない肌が覗いた。釘づけになる。
故意ではないのか、目線に気付くと不思議そうな顔をした。何も訊かないのだが。
「片付けますから。先に寝ていて下さい」
「いいよ明日で」
「面倒になりますよ」
「いいって。なぁ…」
「……はい」
結局は彼に甘いのを知っているのだ。
決して文句は言わない。しつこい小言も言わない。ただただ優しく受け入れてくれるのだった。
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成人男性二人にはあまり余裕のないベッドに入る。
彼の呼吸に合わせて毛布が上下した。
寝てはいない。
半裸ではあったが肌を重ね合うこともしなかった。
青白磁のようだ。だが触れればあたたかいのはわかっている。
横目で隣を窺う。仰向けになっているため、形の良い瞼を何度か上下させているのが見えた。
「なんか歌って」
「…急になんですか」
すこしの笑いを含んだ声。
「いいだろ。良く寝れそうなんだよ」
「やっぱり飲みすぎです」
「大丈夫だよ」
「心配してるんですよ」
「平気だって」
―ね、だから。
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知らない歌だった。静かで落ち着きのある声。
もともとそういう曲調なのか、ゆっくりとした歌い方にアレンジしてくれたのかはわからない。
「ん。やっぱすげえ良いわ…巧い」
本当は、薄い唇が発音に合わせて形を変えるのが見たかったのだ。
血色こそ良くないが綺麗な造形だと思う。
柔らかな銀の癖っ毛もつくりもののように整った面差しもスリムな体つきも勿論好きなのだけれど、彼はその唇が殊にお気に入りだった。
微笑を絶やさない優しげな口元にいつか触れようと思って見ているうちに、眦のすこし下がった目は閉じられた。
彼の規則的な寝息を確認したのか歌も止み、灯りは消えた。
END.次ページにあとがき
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子守唄www
ユーリたんの唇が好きなのは私ですごめんなさい。
折紙先輩の妙にえろい唇も大好きです。
何歌ったんでしょうね。キャラソンではなさげですね。
何もイメージせずに書いてしまいましたが。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
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